Semiconductor Portal

HOME » ブログ » インサイダーズ » 長見晃の海外トピックス

底打ち漸増&新年回復期待の半導体市場、AI半導体が急伸牽引:2023年

この3月までは新型コロナウイルスによる世界の累計感染者数を追っていたが、米国、中国はじめ年初に非常警戒措置解除方針が打ち出され、我が国でも「5類」への引き下げが5月8日に政府決定されて、用心しながらも3年あまりぶりコロナ前に戻ってきている現時点である。世界半導体販売高は、2022年後半からの低落が、2月に底を打って以降小幅に戻してきており、年間販売高は9.4%減と見込まれ、新年早期の本格回復が待たれている。米国の対中国半導体輸出規制を巡る動きは、米国側が中国との度重なる接触を図る中で引き続く一方、世界各国・地域それぞれに経済安全保障確立に向けた半導体の製造強化が一層活発化しているこの1年である。AI(人工知能)半導体が、Chat GPTが引っ張って、年半ば以降販売高が急増、半導体市場の本格回復を支える柱と期待されている。このような2023年の半導体業界を振り返っていく。

長見晃の海外トピックス


≪2023年の動きを振り返る≫

2023年の半導体業界について本欄のタイトル、計52件を分類する形で振り返って以下示しており、次の5つに分けて数字は項目数である。

【世界半導体販売高関連】 12件
【半導体市況関連】 7件
【米国の対中国規制関連】 6件
【各国・地域半導体強化関連】 9件
【AI半導体急伸はじめ技術&市場関連】 8件

1年前の2022年の締めでは、次の通り分類してあらわしている。米国の同年8月に成立したCHIPS Actを巡る動きがあって、世界各国・地域それぞれの半導体製造強化に影響を与えて、今に引き続く経過である。

【世界半導体販売高関連】 17件
【米国CHIPS Actを巡る動き】 8件
【米国の対中規制はじめ国益関連】 14件
【台湾、中国、韓国を巡る動き】 2件
【インテルはじめ各社の動き】 11件

後半から減少したものの年間では過去最高の半導体販売高を記録した2022年であるが、2023年は早々底を打ったものの小幅な戻しが続いて約1割減が見込まれている。そんな中、ChatGPTの世界的な人気が引っ張って、Nvidiaが牽引するAI半導体の売上げ急増が見られた2023年後半である。ウクライナ戦争に中東情勢の不安定さが加わって、各国・地域の国益確保に向けた半導体製造強化の動きが一層活発の度合いを深めてきている。

以下、分類ごとに見ていく。


【世界半導体販売高関連】 12件

米国・Semiconductor Industry Association(SIA)からの月次世界半導体販売高データ関連が、以下の通りである。締めてみると年間最高を更新した2022年の世界半導体販売高であるが、2023年に入って早々2月には2022年後半以降の低落が底を打って、その後今に至るまで小幅な増加が続いている。パソコン、スマホ市場がやっと上昇に向かう気配が見られており、AI半導体の急伸があって、2024年での早期本格回復の期待が強まる現時点である。

半導体販売高、1−11月累計が前年最高並みに:年初外交&政府絡み関連」(1月16日号)
2022年の半導体販売高が年間最高更新、3.2%増:景況急激悪化への対応」(2月6日号)
1月の世界半導体販売高、減少幅拡大:Chips法申請など米国主導の動き」(3月6日号)
2月の世界半導体販売高、引き続き減:輸出規制に対する中国の反発&動き」(4月10日号)
3月世界半導体販売高、昨年5月以来の前月比増、本年後半好転へ高まる期待」(5月8日号)
4月の世界半導体販売高、前月比0.3%増;AppleのWWDC新製品発表での注目」(6月12日号)
5月の世界半導体販売高、3ヶ月連続小幅増:中国の半導体素材輸出規制」(7月10日号)
6月半導体販売高、4ヶ月連続前月比微増;引き続く米中摩擦、現下の動きから」(8月7日号)
7月半導体販売高、5ヶ月連続僅かに増;Huaweiスマホ5G半導体を巡る一波乱」(9月11日号)
8月半導体販売高、6ヶ月連続前月比増:対中規制1年、米国、台湾の動きから」(10月10日号)
9月世界半導体販売高が7ヶ月連続前月比漸増、主要各社後半回復の見通し」(11月6日号)
10月の半導体販売高、8ヶ月連続前月比漸増、本年9.4%減、来年13.1%増」(12月11日号)

相次いで年間販売高史上最高を更新した2021年および2022年と比べていく形で、データの推移を見ていく。
以下、米国・SIAの月初の発表時点の販売高、そして前年同月比および前月比が示されている。
2023年1月は下げ足を早める出だしとなっており、2月はそれが引き続いている。3月に、ようやく2022年5月以来の前月比増加となっている。4月は、20%台の前年比マイナスが続きながらも、3月と同様前月比で0.3%のプラスとなっており、5月は前年比同様に大きくマイナスながらも前月比では1.7%増となり$40 Billion台を1月以来のこと、回復している。そして6月、1月の販売高を上回って、2023年最高となって、まだ小幅ながら4ヶ月連続の前月比増加である。7月は、昨年12月以来$43 Billion台となり、前月比増加とともに、前年同月比のマイナス幅を大きく縮めている。8月は$44 Billion台と小幅な前月比増加が続き、前年同月比は一桁%のマイナスとなったが、前年も大き目な低下であることが効いている。9月も、8月と同様の動きとなっている。そして、10月は$46.6 Billionと昨年同月にほぼ並ぶ水準と、上げ足を早める見え方である。今後の回復に向けてさらに早められるか、なお見極めを要するところである。

前年同月比
前月比
販売高累計
2021年 1月 
$40.01 B
13.2 %
1.0 %
2021年 2月 
$39.59 B
14.7 %
-1.0 %
2021年 3月 
$41.05 B
17.8 %
3.7 %
2021年 4月 
$41.85 B
21.7 %
1.9 %
2021年 5月 
$43.61 B
26.2 %
4.1 %
2021年 6月 
$44.53 B
29.2 %
2.1 %
2021年 7月 
$45.44 B
29.0 %
2.1 %
2021年 8月 
$47.18 B
29.7 %
3.3 %
2021年 9月 
$48.28 B
27.6 %
2.2 %
2021年10月 
$48.79 B
24.0 %
1.1 %
2021年11月 
$49.69 B
23.5 %
1.5 %
2021年12月 
$50.85 B
28.3 %
1.5 %
$540.87 B
 
2022年 1月 
$50.74 B
26.8 %
-0.2 %
2022年 2月 
$50.04 B
26.1 %
-1.4 %
2022年 3月 
$50.58 B
23.0 %
1.1 %
2022年 4月 
$50.92 B
21.1 %
0.7 %
2022年 5月 
$51.82 B
18.0 %
1.8 %
2022年 6月 
$50.82 B
13.3 %
-1.9 %
2022年 7月 
$49.01 B
7.3 %
-2.3 %
2022年 8月 
$47.36 B
0.1 %
-3.4 %
2022年 9月 
$47.00 B
-3.0 %
-0.5 %
2022年10月 
$46.86 B
-4.6 %
-0.3 %
2022年11月 
$45.48 B
-9.2 %
-2.9 %
2022年12月 
$43.40 B
-14.7 %
-4.4 %
$584.03 B
 
→史上最高更新
 
2023年 1月 
$41.33 B
-18.5 %
-5.2 %
2023年 2月 
$39.68 B
-20.7 %
-4.0 %
2023年 3月 
$39.83 B
-21.3 %
0.3 %
2023年 4月 
$39.95 B
-21.6 %
0.3 %
2023年 5月 
$40.74 B
-21.1 %
1.7 %
2023年 6月 
$41.51 B
-17.3 %
1.9 %
2023年 7月 
$43.22 B
-11.8 %
2.3 %
2023年 8月 
$44.04 B
-6.8 %
1.9 %
2023年 9月 
$44.89 B
-4.5 %
1.9 %
2023年10月 
$46.62 B
-0.7 %
3.9 %


2023年3月以降、月次半導体販売高の前月比増加がわずかながら続いており、本格的な回復が待たれるところである。パソコンおよびスマートフォン需要の立ち上がり、AI半導体の牽引など、期待を込めて注視している現時点である。
このような市況の中、各社は、AIそしてEV(電気自動車)など今後の期待分野に向けて新機軸を打ち立てて、新技術&新製品の打ち上げが盛んに行われている。激しく変化する世界の政治&経済情勢を一層強く映し出す半導体市場となっており、各国・地域の対応および推移に目が離せない現状である。


【半導体市況関連】 7件

2022年後半からの半導体販売高の落ち込みから、市況好転の材料に敏感になるこの1年である。メモリ減産などの対策の一方、半ば以降のAI半導体の急増、と折々の視点があらわれる以下の内容である。

後半急減の半導体市場、米中摩擦等国益の中核としての半導体:2022年」(1月4日号)
後退&リスク環境下の2023年出だし:厳しい市場状況&本格開催CES関連」(1月10日号)
現下の市場実態から:需要の落ち込み、DRAM減産への期待、ロシア流入、他」(4月17日号)
業界の懸案、現時点の捉え方から;回復に向けた足取り、人材不足警鐘&対応」(7月31日号)
波紋2件:ArmのIPOでの中国リスク、Nvidiaの四半期業績でのAI熱気の見方」(8月28日号)
厳しい市況下での注目2点推移:AppleのiPhone15発表、ArmのNASDAQ上場」(9月19日号)
2024年以降に向けて先端技術の醸成、ビジネス対応および市場展望関連の抽出」(12月25日号)


【米国の対中国規制関連】 16件

米中首脳会談は結局11月15日にサンフランシスコ郊外で行われたが、それまでにブリンケン国務長官はじめ政府高官の度重なる中国への接触が図られていることが、以下にもあらわれている。対中国半導体輸出規制については、新たに強められる一方で、その波紋を受けて韓国および台湾への適用除外措置がとられたり、以下に示す応酬および調整の推移となっている。直近では、AI半導体に対する規制強化の検討の動きが見られている。

ダボス会議より今後の見方関連:米国の対中国輸出規制の引き続く波紋」(1月23日号)
春節の週での注目:米日蘭対中輸出規制対応、各社人員削減、ChatGPT」(1月30日号)
対中規制を敷く中のBiden大統領一般教書:半導体バブル崩壊の様相例」(2月13日号)
米国の圧力による奔走、翻弄:対中規制、Chips Act、Entity List」(3月13日号)
具体的に動き始めたCHIPS Actおよび輸出規制措置、並びに関連する動き&波紋」(4月3日号)
NSTC(全米半導体技術センター)はじめ米中関連:生成AI、ChatGPTを巡る動き」(5月1日号)
米規制に対抗、中国のMicron製品販売制限措置:米国製半導体への動き」(5月29日号)
米中摩擦の新たな局面か:米国務長官訪中、韓台への規制適用除外延長、他」(6月19日号)
米国の新たな対中輸出規制検討、人工知能(AI)半導体、分断深まる現時点」(7月3日号)
米国政府の新たな対中規制の動きに対し、米国各社&業界の制止を図る対応」(7月24日号)
米国でのCHIPS and Science Act制定1年、さらなる対中投資規制大統領令」(8月14日号)
米国政府高官訪中3回目の会談、現下の摩擦継続および各国半導体製造強化」(9月4日号)
米国対中規制最終ガードレールのインパクト:Huaweiの新たな規制回避アプローチ」(10月2日号)
韓国企業の中国工場への装置導入規制緩和;メモリ市況、PC市場底打ち模様」(10月16日号)
米国政府の新たな半導体輸出規制、これから伸びるAI対象、市場&中国の反応」(10月23日号)
米中、それぞれに規制下でのビジネス打開を探る動き;ベトナムでの半導体関連」(11月13日号)


【各国・地域半導体強化関連】 9件

米国国内の半導体製造強化に向けたChips Actが、議会で難航してやっと成立したのが昨年8月のこと。それによる支援資金が初めて授与されたのが今月半ばと時間を要しているが、今後すでに進んでいる各社の米国工場にそれぞれに割り当てられる運びである。米国以外の国・地域でも、それぞれ政府主導が大方の半導体製造強化の取り組みが以下の通り見られている。2024年の熊本TSMC工場はじめ我が国での動きには、今後一層注目していくことになる。

現下の情勢の下での動き:インド&東南アへの目、工場建設、英国業界」(2月20日号)
推移に注目の動き:CHIPS法実施、米の対中規制関連、市場現況対応」(2月27日号)
習近平政権3期目、日韓首脳会談の中、中国、韓国の半導体関連注目」(3月20日号)
米国に続いて欧州連合(EU)半導体法案合意、現下の各国の取り組み&動き」(4月24日号)
G7広島サミットに合わせた半導体関連:米台韓大手首相面会、対日投資発表」(5月22日号)
半導体製造強化の世界的競争:インテルの国外生産拠点&ファウンドリー対応」(6月26日号)
新興一大勢力目指すインド、再生&復権を図る我が国、現下の関連の動きから」(7月18日号)
米政府、国内強化に舵、31地域に技術ハブ、一方、AI半導体規制の波紋継続」(10月30日号)
米国Chips Act支援初回授与:Nvidiaの東南アジア、韓国とオランダとの連携」(12月18日号)


【AI半導体急伸はじめ技術&市場関連】 8件

これまでのインテルはじめ各社の先端の取り組み&戦略の取り上げに加えて、2023年はChat GPTの驚異的な登場&普及によるAI半導体の活況&急伸に、以下の通り否応なく注目させられている。AIはPC、スマホにだんだんと取り込まれていく現時点の流れであり、今後の本格回復の起爆剤としてますますの注目である。

Chat GPTを巡る動き相次ぐ:Nvidia GTC、GoogleのBard、Bill Gates氏」(3月27日号)
半導体市場、落ち込みの中の光明事例:Google開発者会議はじめ各社AI関連」(5月15日号)
低迷下、一層際立つ熱い活況のAI半導体、NVIDIAはじめComputex 2023にて」(6月5日号)
米中摩擦のもと、インテルの新事業&提携&ファウンドリー戦略推進、各々の現時点」(8月21日号)
インテルのAIはじめ最先端推進アプローチ;米国規制下での中国の自己完結開発」(9月25日号)
スーパーコンピュータおよびAI(人工知能)半導体に見る業界勢力鳥瞰図の更新}(11月20日号)
AI分野激変模様:Nvidia売上げ3倍超&ランキング急上昇、OpenAIの激震」(11月27日号)
AI市場急騰の中、席巻するNvidiaを軸とする動き、メモリ半導体市場の激変」(12月4日号)


以上、所感寸描のタイトルを分類して示したが、今度は、この1年の半導体市場関連の注目の動きを、月ごと取り出して数項目にまとめたものを、以下の通り示す。

2023年1月:
*中国がゼロコロナ政策を終了して入国時の隔離措置を撤廃
*我が国での新型コロナの扱い、「5類」への引き下げが大型連休明け5月8日に政府決定
*Las VegasでのCES(consumer electronics show)が、3年ぶりの本格規模での開催
*1−11月半導体販売高累計が史上最高の2021年の年間販売高とほぼ相並ぶ数字に
*対中国半導体輸出規制への米国同盟国の対応を巡って、揺れ動く状況
*非営利団体「OpenAI」が開発したチャット型AI、ChatGPTへの注目

2023年2月:
*米政権、コロナ非常事態を3年ぶり5月解除へ、WHOはコロナ緊急事態を継続
*我が国では来る3月13日から、屋内外問わず個人の判断でのマスク着用要否に向かう運び
*米国・SIA発表、2022年年間半導体販売高が3.2%増の$573.5 billion、年間最高更新
*米国の$53 billionのChips Actプログラムの実施要領について、商務省から発表
*英国で、何もなければ米国あるいはEUに移ると、政府支援を求める半導体業界の切実な声

2023年3月:
*新型コロナウイルス感染、データ追跡ソースの停止が目立つ
*米国、日本、韓国、台湾による半導体サプライチェーン(供給網)の協力枠組み、Chip 4
*米国の半導体で相次ぐ主導する動き、圧力を受ける関係国、奔走あるいは翻弄される事態
*Samsung、世界最大の半導体クラスター構想打ち上げ、向こう20年で30兆円超規模
*Google、ChatGPTに対抗するBardを公開

2023年4月:
*米国の対中国輸出規制措置、オランダに続いて我が国が半導体製造装置での追随表明
*Samsungの第一四半期業績が非常に大幅な減益、メモリ半導体の生産を削減
*Huawei、中国の業界は"生まれ変わる"として、14-nm以降に改めて取り組む動き
*ロシアに、米国製半導体が少なくとも1000億円が輸出、中国経由が7割
*EU、域内での半導体生産の拡大に向けたEuropean Chips Actで合意

2023年5月:
*世界保健機構(WHO)が、新型コロナ「国際的な公衆衛生上の緊急事態」終了を表明
*米国商務省、NSTC(全米半導体技術センター)年内立ち上げ推進のホワイトペーパー
*日韓首脳会談開催、半導体サプライチェーンについての相互協力そして相互投資が謳われる
*G7広島サミットの直前、米台韓の半導体大手トップが岸田首相と面会、意見交換
*生成人工知能(AI)の活用、G7広島サミットでも討議、ルールに向けた見解を年内に
*米規制に対抗、中国が、Micron Technologyの一部の製品、中国企業への販売禁止措置

2023年6月:
*生成AIこの半年のブーム、AI関連の半導体、一層際立って熱い活況
*Nvidia、半導体企業として初めて米巨大テック企業の時価総額「1兆ドルグループ」入り
*4月半導体販売高、前年同月比では大きくマイナスながら、前月比では2ヶ月連続でプラス
*ブリンケン米国務長官の訪中、一方、米国が韓国および台湾への規制適用除外を延長
*インテルのドイツ、イスラエルおよびポーランドでの新工場建設、$50 billion超の投資規模

2023年7月:
*米国の新たな対中輸出規制検討、AI半導体に及ぶ動き
*中国がガリウムとゲルマニウムの輸出規制を発表、米中双方の応酬またさらに
*「グローバルサウス」を引っ張るインド、改めて半導体の新興一大勢力圏を目指す動き
*米国主要半導体各社CEOs、米国政府に新たな規制を思いとどまるよう申し入れ

2023年8月:
*規制に抵触しない中国向けの半導体の設計、中国では成熟プロセス世代生産の取り組み強化
*米国CHIPS and Science Act制定1年、更なるAIおよび量子技術対中投資規制の大統領令
*インテルのTower Semiconductor買収計画、中国当局の承認が期限内に得られず中止に
*Nvidiaの5〜7月期決算、純利益が前年同期比9.4倍。売上高は約2倍、ともに過去最高

2023年9月:
*米国政府レモンド商務長官が訪中、米中両国協議体の設置、定期的な協議合意など
*7月の世界半導体販売高、5ヶ月連続僅かながらの前月比増加
*Huaweiの新型スマホ搭載の中国・SMIC製5G先端半導体を巡る一波乱
*AppleがiPhone15発表、新プロセッサ、A17 Proのトランジスタ数が190億個
*英国の半導体設計、Armが米Nasdaq上場、初日の終値が25%高、時価総額9兆円強にも
*インテルのAIベースのNPU搭載"Meteor Lake"プロセッサ発表、PCへのAIの導入

2023年10月:
*米国商務省が、CHIPS and Science Actによる半導体メーカーへの補助金供給に向けた国家安全保障ガードレールの最終規定を公表
*米国政府が、韓国のSamsungおよびSK Hynixの中国における工場への半導体製造装置導入について、特別な手続きを免除
*米国政府が、高度な人工知能(AI)半導体および製造装置を含め中国への販売を抑制する計画を発表
*米国政府が、CHIPS and Science Actのもと、米国32州とプエルトリコに及ぶ31の地域技術ハブを指定
*8月の世界半導体販売高、小幅ながら6ヶ月連続前月比増、前年同月比も減少幅が一桁%台に

2023年11月:
*Nvidiaの第三四半期(8−10月期)売上高が急伸、過去最高で前年比3倍超、第三四半期半導体ランキングでも、10位から2位に急上昇
*生成AI「ChatGPT」のオープンAIにて、トップ解任、数日後復帰、激震の事態
*Samsungが、苦境下で大規模な投資計画を発表、市場の好反応を呼ぶ
*マイクロソフトが、AI半導体を発表、AIの基盤企業を目指す打ち上げ

2023年12月:
*米国のChips Actによる最初の助成金授与が軍需サプライヤー、BAE Systemsに対して行われた
*SamsungおよびSK Hynixが、それぞれオランダのASMLを訪問、具体的な連携を発表
*AI応用向けのHBM(高帯域幅)メモリーについて、韓国・SK Hynixの伸びが目覚ましく、直近四半期シェアでSamsungを急追
*10月の世界半導体販売高、8ヶ月連続の小幅なプラス、そして前年同月比0.7%減と下降傾向の前年ながら肩を並べる水準


コロナ「5類」移行とはいえ、インフルエンザが加わり、直近ではコロナ新変異型が取り沙汰されて、一層用心怠りなくの現状と言えるかと思うが、コロナ前に戻る舵取りがそれぞれに行われている中での世界の概況について、以下日々の政治経済の動きの記事からの抽出であり、発信日で示している。

□12月25日(月)

昨年の我が国のGDP、改めて知る位置づけである。

◇2022年の1人あたりGDP、G7で最下位;円安で順位下げる (日経 電子版 16:43)
→内閣府が25日発表した国民経済計算の年次推計によると、豊かさの目安となる日本の2022年の1人あたり名目国内総生産(GDP)は3万4064ドルとなった旨。イタリアに抜かれて主要7カ国(G7)で最下位だった旨。円安が大きく影響したが、長期的な成長力の低迷も映している旨。

□12月26日(火)

□12月27日(水)

連日の過去最高値、利下げの早期期待を孕んだ展開、以下に示す今週、2023年最終週の米国株式市場である。

◇NYダウ反発、159ドル高;インテル5%高で牽引 (日経 電子版 07:17)
→26日の米株式市場でダウ工業株30種平均は反発し、3連休前の前週末と比べて159ドル36セント(0.42%)高の3万7545ドル33セントで終えた旨。米国のインフレ鈍化を受け、米連邦準備理事会(FRB)が2024年前半にも利下げに転じるとの観測が投資家心理を支えた旨。19日に付けた過去最高値(3万7557ドル92セント)を上回る場面があったが、引けにかけてやや伸び悩んだ旨。

□12月28日(木)

◇NYダウ最高値、111ドル高;2024年早期の利下げ期待強く (日経 電子版 06:42)
→27日の米株式市場でダウ工業株30種平均は続伸、前日比111ドル19セント(0.29%)高の3万7656ドル52セントと19日以来の過去最高値で終えた旨。米連邦準備理事会(FRB)が2024年の前半に利下げに転じるとの観測が相場を支えた旨。半面、主力株を中心に利益確定目的の売りが出た旨。中東の地政学リスクも意識され、上昇の勢いが弱る場面があった旨。

2023年の自動車輸出、電気自動車(EV)が引っ張って中国が初の世界首位となっている。

◇自動車輸出、中国が日本抜き初の首位;EV8割増 (日経 電子版 14:15)
→中国の自動車輸出台数が2023年、日本を抜き初の世界首位になる見通し。ロシアやメキシコに販売を広げたことに加え、電気自動車(EV)が全体を牽引した旨。世界の自動車市場で中国勢の影響力が強まる一方、流入を警戒する欧州などが中国製EVの購入補助金を減らし始めている旨。自国産業の保護や雇用維持のため、同様の動きが広がる可能性もある旨。

これも米国での利下げの期待、5カ月ぶりの円高水準である。

◇円相場140円台に上昇;米利下げ期待で5カ月ぶり水準 (日経 電子版 16:36)
→28日の外国為替市場で円が対ドルで上昇し、一時1ドル=140円台後半を付けた旨。7月以来5カ月ぶりの円高・ドル安水準。米連邦準備理事会(FRB)の早期利下げ観測が強まり、幅広い通貨に対してドル売りが膨らんだ旨。

□12月29日(金)

またもコロナ新変異型、引き続き用心警戒である。

◇中国でコロナ新変異型;「JN・1」が増加傾向 (日経 電子版 00:54)
→中国保健当局は28日、新型コロナウイルスの新変異株「JN・1」の感染例が中国で出ており、増加傾向にあると発表した旨。JN・1は米国やインドなど各国で急速に感染が拡大し、世界保健機関(WHO)が先週「注目すべき変異株(VOI:Variants of Interest)」に指定した旨。現行のワクチンで予防効果が得られる旨。

◇NYダウ最高値、53ドル高;連日の高値更新に警戒感 (日経 電子版 06:46)
→28日の米株式市場でダウ工業株30種平均は3日続伸、前日比53ドル58セント(0.14%)高の3万7710ドル10セントで終え、連日で過去最高値を更新した旨。年末で特に目新しい材料はなかったものの、米連邦準備理事会(FRB)の利下げ期待を手がかりとした買いが相場を支えた旨。景気敏感株やハイテク株の一角に利益確定売りが出て、引けにかけては伸び悩んだ旨。

□12月30日(土)

◇NYダウ反落、30ドル安で推移;Appleやシェブロン下落 (日経 電子版 05:30)
→29日の米株式市場でダウ工業株30種平均は4営業日ぶりに小幅に反落し、午後3時(日本時間30日午前5時)現在は前日比31ドル06セント安の3万7679ドル04セントで推移している旨。連日で最高値を更新した後で、年末年始の3連休を前に持ち高調整の売りが優勢となっている旨。


≪市場実態PickUp≫

【Apple関連】

前回本欄にて、血中酸素濃度測定技術を巡る特許係争から、Apple Watchの一部の販売一時停止を示したが、その後の動きが以下の通りである。Appleが上訴して販売が再開されたが、特許係争は未解決、Appleは当該機能を除いた再設計版も提出しているとのこと。
◇Apple appeals decision to halt sales of Apple Watch Series 9 (12月26日付け SILICON VALLEY BUSINESS JOURNAL)
→アップルが、Apple Watch Series 9の販売停止決定に上訴の旨。この禁止令は先週から施行され、クパチーノに本社を置く該巨大ハイテク企業は12月21日に時計のオンライン販売を停止し、24日には米国内の店舗での販売を停止した旨。

◇Apple gets a reprieve on Apple Watch Series 9 and Ultra 2 sales ban (12月27日付け SILICON VALLEY BUSINESS JOURNAL)
→控訴裁判所は、早ければ1月15日にもアップル社の控訴を受理する可能性があるが、クパチーノに本社を置く該巨大ハイテク企業は、米国での販売を継続させるために、当該センサーと機能を省いた再設計バージョンも提出した旨。

◇Apple Watch販売再開も知財リスク;成長戦略に冷や水 (12月28日付け 日経 電子版 13:56)
→米アップルが次の成長の柱とするヘルスケアサービスに黄信号がともっている旨。27日に腕時計型端末「Apple Watch(アップルウオッチ)」の販売を再開したが、米企業との特許紛争は解決していない旨。健康データの計測を強みとするウオッチの部品原価率はスマートフォン「iPhone」の半分程度とされ、収益性も高い旨。知財リスクの解消まで長引けば戦略見直しを迫られる旨。

◇Apple Watch、米での販売再開へ;控訴裁決定受け (12月28日付け 日経 電子版 09:30)
→米連邦巡回控訴裁判所は27日、米国際貿易委員会(ITC)による米アップルの腕時計型端末「Apple Watch(アップルウオッチ)」の輸入禁止命令を一時的に差し止めた旨。アップルがITCの決定に不服を申し立て、法的手続き中は禁止措置を停止するよう主張していた旨。アップルは販売を停止していた機種について、27日から順次販売を再開する旨。


【AI関連提訴】

米国ニューヨーク・タイムズが、同社の記事を無断使用、著作権を侵害として、OpenAIおよびマイクロソフトを訴えている。AI急進展の中、AI学習訓練における著作権の適正対価が論点となっている。

◇NYタイムズ、記事使用に警告;AI「ただ乗りで著作権侵害」 (12月28日付け 日経 電子版 18:30)
→米ニューヨーク・タイムズが生成AI(人工知能)の開発企業、米オープンAIを提訴した旨。多数の記事がAIの学習に無断利用されたと主張し、ジャーナリズムの基盤が揺らぐと警告した旨。AIの急速な発展に伴い、著作権に対する適正な対価が論点として浮上してきた旨。

◇米NYタイムズ、OpenAIを提訴;記事流用で数千億円損害 (12月28日付け 日経 電子版 03:39)
→米紙ニューヨーク・タイムズ(NYT)は27日、生成AI(人工知能)を手がける米オープンAIと同社に出資する米マイクロソフトを提訴した旨。2社がNYTの記事をAIの学習用に許可なく使用し、著作権を侵害していると指摘した旨。
NYTによると、AI学習を巡って大手の報道機関が開発企業を訴えるのは今回が初めての例となる旨。ほかの報道機関やAI開発企業にも訴訟の動きが広がる可能性がある旨。


【市況反転の気配】

半導体市場の本格回復の期待が日増しに膨らむ現時点、DRAM価格そしてスマートフォンやパソコン需要の持ち直しが以下の通りあらわされている。

◇半導体メモリー、2年半ぶり値上がり;減産で市況反転 (12月24日付け 日経 電子版 18:00)
→市況が低迷していた半導体メモリーに値上がりの波が広がってきた旨。代表的なDRAMは11月の価格が2年5カ月ぶりに上昇した旨。韓国サムスン電子や米マイクロン・テクノロジーなど、採算が悪化したメモリーメーカーの減産で在庫の余剰感が後退した旨。買い手となるデバイスメーカー側には、先高観から先行して手当てする動きもある旨。2024年の半導体市況は好転する見通し。

◇台湾IT、スマホ需要が回復;19社11月、鴻海など8社増収 (12月26日付け 日経産業)
→世界のIT大手に半導体やデジタル製品を供給する台湾主要メーカーの業績が回復している旨。上場IT、19社の11月の売上高合計は前年同月比5.4%増で、10カ月ぶりにプラスとなった旨。スマートフォンやパソコンの需要持ち直しを受け、鴻海(ホンハイ)精密工業などが増収に転じた旨。


【開発新組織】

RISC-Vエコシステム、および自動車用先端半導体のそれぞれ開発に向けて、関連業界大手が組む新組織が設立されている。

◇Five Leading Semiconductor Industry Players Incorporate New Company, Quintauris, to Drive RISC-V Ecosystem Forward (12月26日付け SEMICONDUCTOR DIGEST)
→半導体業界をリードするRobert Bosch GmbH社、Infineon Technologies AG社、Nordic Semiconductor ASA社、NXP Semiconductors社、およびQualcomm Technologies社は、Quintauris GmbH社を正式に設立、ドイツのミュンヘンに本社を置く同社は、次世代ハードウェアの開発を可能にすることで、RISC-Vの世界的な普及を目指す旨。

◇トヨタなど自動車大手、先端半導体開発で新組織 (12月26日付け 日経 電子版 23:19)
→トヨタ自動車など自動車大手が自動運転などに使う先端半導体の共同研究に動くことが26日、わかった旨。新組織を立ち上げ、半導体メーカーのルネサスエレクトロニクスや、半導体設計のソシオネクストなども加わる旨。日本の自動車や半導体企業が技術や設計を持ち寄り、車載用の先端半導体で独自開発に動く米テスラなどに対抗する旨。
新組織は「自動車用先端SoC技術研究組合」(仮称、ASRA)で、12月1日付で名古屋市に設立の旨。
2024年にも本格的に共同研究を始めることで最終調整している旨。各社はASRAに技術者などの派遣も検討する旨。回路線幅が1ケタ台ナノと細くした半導体を1つのチップに集積した「SoC」の研究開発に共同で取り組む旨。


【我が国半導体関連】

我が国の半導体製造装置業界における従業員構成、そしてTSMC、ラピダスはじめ我が国での工場立ち上げに向けた求人激化が、以下の通りあらわされている。

◇半導体製造装置主要5社、海外従業員数が国内を上回る (12月26日付け 日経 電子版 05:00)
→東京エレクトロンなど国内半導体製造装置メーカーが海外従業員数を増やしている旨。主要5社の国内外の人員数は、2022年度に初めて海外が国内を上回った旨。技術的な難度が高まり、顧客である海外半導体メーカーの拠点のそばにエンジニアを配置する必要が出ているため。

◇半導体の求人、10年で13倍に;TSMCやラピダスで一変 (12月26日付け 日経 電子版 05:00)
→日本国内で半導体エンジニアの獲得合戦が激化している旨。リクルートによれば、半導体関連エンジニアの国内求人数はここ10年で12.8倍と大きく伸びた旨。「半導体製造装置メーカーを中心に、人材が市場の伸びに追い付いていない状況」と同社コンサルタントの杉原伸太郎氏。

ご意見・ご感想