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新興一大勢力目指すインド、再生&復権を図る我が国、現下の関連の動きから

半導体工場建設の話が持ち上がってはなかなか結実しない経過が繰り返されてもう何年になるか、そんな受け止めのインドであるが、今や「グローバルサウス」を引っ張る人口世界一の大国としてモディ首相のもと改めて半導体の新興一大勢力圏を目指している。
インド国内大手資源企業を傘下に擁するVedantaがインドでの半導体工場建設を目指す現下の動きが特に注目であり、台湾・Foxconnとの合弁が物別れとなり、Vedantaはインド政府の支援を求める一方、FoxconnはTSMCなどと提携を検討の模様である。これまた成り行きに目が離せないところであるが、長いブランクの後の再生&復権に向けて戦略的な支援の取り組みが展開されている我が国の現時点とともに、以下今週の動きを取り出している。

長見晃の海外トピックス

≪それぞれの現状≫

インドの半導体はじめ全体的な取り組みのスタンスが、以下の通りである。

◇インド、「スタートアップ大国」へ野心;海外勢とも連携 (7月10日付け 日経 電子版 00:00)
→インドが「スタートアップ大国」として、国際的な存在感を高めようとしている旨。20カ国・地域(G20)の議長国として新興企業の活性化をテーマにした会合を新設し、このほど1兆ドル(約140兆円)の共同投資などを中心とする共同声明をまとめた旨。
「グローバルサウス」と呼ばれる新興・途上国の盟主として注目を集めるなか、有力な新興企業を多く抱える大国としても影響力の拡大をめざす旨。

◇Dialogue Session Highlights India Gov’t Efforts in Catalyzing Electronics Manufacturing Ecosystem (7月11日付け EE Times India)
→先週ベンガルールで開催されたDigital India Dialoguesのセッションでは、インドのITハードウェア向け生産連動型奨励金(PLI)スキームの改定にスポットライトが当てられた旨。
インドは2026年までに$300 billionのエレクトロニクス産業と$1 trillionのデジタル経済の実現を目指している旨。

半導体各社のインドでの活動拠点に向けた動きも続いている。

◇Microchip joins parade of chip firms investing in India (7月9日付け FierceElectronics)
→Microchipは最近、インドでの半導体R&Dに$300 millionを投資すると発表、これは地政学的要因が半導体分野に影響を与え続ける中、半導体企業がインドに投資し、拠点を設置する複数の動きの中でも最新のものである旨。
Microchip社、Micron社、およびApplied Materials社などが最近インドへの投資を発表している旨。

◇Microchip $300M Multi-Year Investment Initiative to Expand Presence in India (7月10日付け EE Times India)
→Microchip Technology社は、世界で最も急成長している半導体産業の拠点の1つであるインドでの事業拡大に約$300 millionを投資する旨。

◇South Korea’s SK Hynix looking to set up chip packaging plant in India―SK Hynix considers a chip packaging plant in India, sources say (7月12日付け The Indian Express online (India))
→*韓国の半導体メーカー、SK Hynixは、インドの半導体製造奨励制度を評価し、同国でのパッケージング拠点設立の可能性を探るため、該センターと連絡を取り合っている旨。同社は提案書の最終段階にあるとのこと。
 *調査会社TrendForceのデータによると、2022年最終四半期のDRAM半導体の世界売上高は、サムスンとSKハイニックスがそれぞれ41%と29%を占め、次いでマイクロンが約26%となっている旨。

インドでの半導体工場建設の1件となると、VedantaとFoxconnの合弁が最有力と注目していたが、今週になって合弁解消となっている。

◇Foxconn dumps $19.5 billion Vedanta chip plan in blow to India (7月10日付け Reuters)

◇Hon Hai pulls out of semiconductor joint venture in India (7月10日付け Focus Taiwan)

◇Foxconn pulls out of $19 billion chipmaking project in India―Foxconn drops out of $19.4B Vedanta JV in India (7月11日付け CNN)
→Foxconnは、インドに半導体工場を建設するVedanta社との$19.4 billionの合弁事業から撤退する旨。両社は共にこの決断に至ったとしており、Vedanta社は該プロジェクトを継続する旨。

Vedantaについて、ネット情報より次の通りである。
Vedanta Resourcesは英国の資源大手。インドを中心にオーストラリアやザンビアで事業展開。インドで事業展開する資源企業としては国内最大級の規模を持つ。インド国内大手資源企業を傘下に抱え、その傘下企業を通じて生産を行っている。銅・亜鉛・鉛・アルミなどベースメタルが主体の非鉄金属事業の他に発電事業も手がける。創業者はインドの大富豪Anil Agarwal氏。英国の主要証券取引所であるLSE(ロンドン証券取引所)に2003年12月に上場しており、2006年6月にLSEの主要株価指数であるFTSE100種総合指数の構成銘柄に採用されている。


合弁プロジェクト解消後も、Vedantaは半導体市場への参入を計画するとしている。Anil Agarwal氏が以下にも見られている。

◇India's Vedanta to enter the chip market this year after Foxconn split―Vedanta continuing chip venture in India without Foxconn (7月12日付け Reuters)
→Foxconnがインドでの$19.5 billionの共同プロジェクトから撤退したにもかかわらず、Vedantaは半導体市場への参入を計画している旨。Anil Agarwal会長によると、同社は半導体とディスプレイ装置の製造について政府の承認を求めている旨。

◇Vedanta Adds Semiconductors, Display Glass Ventures to Portfolio (7月12日付け EE Times India)
→Vedanta社は、半導体とディスプレイ用ガラス製造ベンチャーをその多様なポートフォリオに加えた旨。
半導体市場は2022年に$24 billion240億ドルであったが、2026年には$80 billionに達すると推定されている旨。ディスプレイパネル市場は$7 billionと推定され、2025年には$15 billionに成長すると予想されている旨。現在、インドはこれらの需要の100%を輸入している旨。

Vedantaへの厳しい見方もあらわされている。

◇Foxconn-Vedanta JV split credit negative for UK conglomerate- CreditSights (7月13日付け Reuters)
→台湾のFoxconnがVedantaとの$19.5 billionの半導体合弁事業から撤退することを決定したことは、インドの該コングロマリットの英国の親会社、Vedanta Resourcesにとって「信用にマイナス」であると、債務調査会社、CreditSightsが木曜13日に発表した旨。

台湾・Foxconnの方も、インド政府の支援、そしてTSMCなどとの提携と、新たな道筋が以下の通り模索されている。

◇Hon Hai eyes India chip incentive plan after Vedanta split (7月12日付け Taipei Times)
→鴻海精密工業股?有限公司(鴻海精密)は、Foxconn Technology Group(富士康科技集團)としても国際的に知られているが、昨日、該台湾企業がVedanta Ltdと$19.5 billionの合弁半導体製造ベンチャーでたもとを分かった翌日、インドの半導体生産計画に基づく優遇措置を申請する予定であると述べた旨。

◇鴻海、インド社との半導体合弁撤退 (7月12日付け 日経)
→台湾電機大手の鴻海(ホンハイ)精密工業は10日、インド資源大手のベダンタと設立した半導体の合弁会社から撤退すると発表、双方の合意に基づく決定とした旨。理由については「より多様な発展の機会を探るため」とコメントし、詳細は説明しなかった旨。

◇Foxconn may partner with TSMC and TMH to set up fab units―Sources: Foxconn talking with TSMC, TMH about India fabs (7月14日付け The Economic Times (India))
→Foxconnは、今週Vedanta Groupとの合弁を解消した後、台湾セミコンダクター・マニュファクチャリング社(TSMC)および日本のTMHグループと提携し、インドに工場を設立することを検討していると情報筋は伝えている旨。情報筋によると、この契約にはレガシーノード半導体と先端半導体の製造が含まれる旨。

まだまだ流動的ながら、一大新興圏の構築に向けた動きに引き続き注目するところである。

次に、我が国についてであるが、再生&復権への道に向けた現下の動きを取り出している。

北海道千歳市にて、生産増強の動きである。

◇ミネベアミツミ会長「北海道の半導体生産能力2倍に」 (7月10日付け 日経 電子版 13:16)
→ミネベアミツミの貝沼由久会長が北海道千歳市にあるアナログ半導体工場の生産能力を倍増する構想を明らかにした旨。現在は6インチウエハー換算で月約4万枚の生産能力がある旨。実現すれば投資額は1000億円に迫る規模となる旨。

TSMCの熊本第2工場の取り組みがあらわされている。

◇TSMC reportedly to break ground on 2nd fab in Japan in April 2024―TSMC planning second wafer fab in Japan, sources say (7月11日付け Focus Taiwan)
→日刊工業新聞によると、台湾積体電路製造股?有限公司(TSMC)は、熊本県に第2ウェハ工場を建設する計画で、2024年4月に着工する予定の旨。
世界最大の受託半導体メーカーであるTSMCは、7月20日に予定されている投資家説明会を前に10日間の沈黙期間に入ったとして、火曜11日の報道に関するコメントを控えた旨。

◇TSMC、来年4月に熊本第2工場着工;12ナノ半導体を2026年製造開始 (7月11日付け 日刊工業)
→台湾積体電路製造(TSMC)が熊本県・菊陽町付近で検討する第2工場計画の詳細が明らかになった旨。2024年4月に着工し、2026年末までの生産開始を目指す旨。主に回路線幅12ナノメートルの半導体を手がける旨。米中対立がますます深刻化し、半導体受託製造(ファウンドリー)世界最大手にとって日本や米国の重要性が高まっている旨。第2工場の詳細が判明したことで、地元などでは早くも第3工場への期待が膨らみそう。

日本政府の支援が、ウェーハメーカー、SUMCOに向けられている。半導体材料大手、JSR買収の1件に続く受け止めがある。

◇Japan to give $530m for new Sumco silicon wafer plants at home―Japan subsidizing domestic wafer fabs to boost supply chain―Subsidy part of country's plans to bolster semiconductor supply chain (7月11日付け Nikkei Asian Review (Japan))

◇SUMCO新工場に750億円;経産省、半導体素材を支援 (7月11日付け 日経 電子版 02:00)
→経済産業省は半導体素材大手のSUMCOが佐賀県に新設するシリコンウエハー工場に750億円を補助する旨。国内の半導体メーカーへの供給のほか、米欧などに安定輸出する旨。経済安全保障上、重要な半導体そのものの製造は日本勢は出遅れているが素材は強みがあり、競争力を高める旨。

◇Sumco to get $530m wafer plant subsidy―Japan awards $530M subsidy to Sumco for wafer plant (7月12日付け Electronics Weekly (UK))
→1999年に住友金属と三菱マテリアルが合併して設立された日本のウエハーメーカー、Sumcoが日本政府から$530 millionの補助金を得ることになった、と日本経済新聞が報じている旨。

日本とEUの首脳会談が行われる中、半導体需給の情報共有に向けた協力も謳われている。

◇日本とEU、半導体の需給情報共有へ;供給断絶の回避策―首脳会談での合意調整 (7月13日付け 日経 電子版 05:38)
→岸田文雄首相は13日、訪問先のベルギーで欧州連合(EU)のミシェル大統領、フォンデアライエン欧州委員長と会談する旨。安全保障に関する閣僚級の定期協議創設や半導体需給の情報共有といった協力を盛り込んだ共同声明をまとめる旨。

半導体人材の育成が最重要に取り上げられる現状であるが、1つとして次の通りである。

◇九州工業大、半導体製造の幹部育成;年2000人受け入れへ―シリコンアイランド (7月13日付け 日経 電子版 05:00)
→九州工業大学は半導体製造の工程全体がわかるリーダー層や幹部候補の育成を強化する旨。社会人向けのリスキリング(学び直し)講座の講師を8人に倍増し、年間受け入れ数を2022年度の約600人から2028年度にも2000人超に拡大する旨。
九州では半導体受託製造の世界最大手、台湾積体電路製造(TSMC)の熊本進出をはじめ半導体産業の設備投資が相次ぎ、現場を支える人材の確保が急務となっていることに対応する旨。

年単位かけて、じっくり着実に取り組む動きに、都度注目を要するところである。


コロナ「5類」移行とはいえ、用心怠りなくの現状と言えるかと思うが、コロナ前に戻る舵取りがそれぞれに行われている中での世界の概況について、以下日々の政治経済の動きの記事からの抽出であり、発信日で示している。

□7月9日(日)

米中僅かながらも融和的なトーンと、イエレン米財務長官の訪中である。

◇Yellen concludes China trip on theme of “healthy economic competition” between US and China (FierceElectronics)
→Janet Yellen米財務長官は、米国のエレクトロニクス業界が注視する4日間の中国訪問を終え、中国向けの先端半導体と半導体製造装置に対する昨年の米国の制裁措置を擁護する一方、中国が8月1日からガリウムとゲルマニウムの輸出を制限する計画や、「米国企業(特にマイクロン)に対する強制的な行動が最近増加している」ことに懸念を表明した旨。

□7月10日(月)

◇Yellen in China: no bad news is good news (FierceElectronics)
→Janet Yellen米財務長官の4日間にわたる訪中が終わり、米中両国はわずかに融和的なトーンを打ち出した旨。これは、現在進行中の関係において、より良い方向への一歩である旨。

中国の経済低迷が気になるところ。上半期、1−6月の中国のIC輸入個数も、前年比18.5%減となっている。米国の制裁の影響もあるにしても、大き過ぎる落ち込みである。

◇中国、6月消費者物価横ばい;需要不足で伸びず (日経 電子版 11:16)
→中国国家統計局が10日発表した2023年6月の消費者物価指数(CPI)は前年同月と横ばいだった旨。0.2%上昇の5月からさらに鈍化し、2021年2月以来の低水準となった旨。ガソリンなど交通燃料の下落率が昨年の反動で拡大したほか、自動車やスマートフォンも値下がりした旨。消費回復が勢いを欠いており、需要不足が物価上昇の重荷となっている旨。

□7月11日(火)

消費者物価指数(CPI)の上昇鈍化など好材料から、連日上げとなって、年初来高値で締めた今週の米国株式市場である。

◇NYダウ反発、209ドル高;景気敏感株や医薬株に買い (日経 電子版 05:55)
→10日の米株式市場でダウ工業株30種平均は4営業日ぶりに反発し、前週末比209ドル52セント(0.6%)高の3万3944ドル40セントで終えた旨。前週末までの3営業日で683ドルほど下げた後で、主力銘柄の一部には自律反発狙いの買いが入った旨。一方、米連邦準備理事会(FRB)による利上げ継続観測で金利の先高観が根強い旨。一部のハイテク株には売りが出て、上値を抑えた旨。

□7月12日(水)

◇NYダウ続伸、317ドル高;出荷好調でボーイング上昇 (日経 電子版 05:39)
→11日の米株式市場でダウ工業株30種平均は続伸し、前日比317ドル02セント(0.9%)高の3万4261ドル42セントで終えた旨。6月の米消費者物価指数(CPI)の発表を12日に控え、内容を見極めたい雰囲気が強かった旨。そのなかで個別の取引材料が出た銘柄を中心に買いが入り、ダウ平均を支えた旨。

◇Inflation rose just 0.2% in June, less than expected as consumers get a break from price increases (CNBC)
→*6月の消費者物価指数(CPI)は0.2%上昇し、前年同月比3%上昇と2021年3月以来の低水準となった旨。
 *食料品価格の軟調な上昇と中古車価格と航空会社価格の下落がインフレを抑制したが、シェルター価格は上昇を続けた旨。
 *インフレ調整後の労働者賃金は前年比1.2%上昇した旨。

□7月13日(木)

◇NYダウ3日続伸、ナスダック年初来高値;CPI上昇鈍化で (日経 電子版 05:36)
→12日の米株式市場でダウ工業株30種平均は3日続伸し、前日比86ドル01セント(0.3%)高の3万4347ドル43セントで終えた旨。12日朝発表の6月の米消費者物価指数(CPI)が市場予想を下回った旨。インフレ抑制のために米連邦準備理事会(FRB)の利上げが長期化するとの警戒が和らぎ、景気敏感や消費関連、ハイテク株などが買われた旨。

◇中国、6月輸出12.4%減;米欧・ASEAN向け不振続く (日経 電子版 13:13)
→中国税関総署が13日発表した6月の貿易統計(ドル建て)によると、輸出は前年同月比12.4%減の$285.3 billion(約39兆円)、2カ月連続で減少した旨。米欧や東南アジア諸国連合(ASEAN)など主要地域向けが軒並み落ち込んだ旨。
輸入は6.8%減の$214.7 billion、4カ月連続で前年同月を下回った旨。

半導体関連の需給情報共有について上に示したが、我が国とEUの首脳会談での合意である。

◇EU、日本産食品の輸入規制8月めど撤廃;正式発表―首脳協議で合意 (日経 電子版 21:58)
→欧州連合(EU)は13日、日本産食品に課している輸入規制を完全に撤廃すると正式に発表、加盟する27カ国が福島県産の水産物などを対象に続けてきた規制が8月をめどになくなる旨。

□7月14日(金)

中国の落ち込みの関連が続いている。

◇米国の輸入、中国15年ぶり首位陥落;貿易構造一変 (日経 電子版 04:57)
→米国のモノの輸入に占める割合で中国が2023年1〜6月に15年ぶりに首位から陥落する見通しとなった旨。1〜5月の輸入額は前年から25%減少し、メキシコとカナダに抜かれた旨。世界経済の4割を占める米中は政策主導で分断が進み、国際貿易の構造が変わりつつある旨。

◇NYダウ4日続伸、47ドル高;利上げ長期化観測が後退 (日経 電子版 06:04)
→13日の米株式市場でダウ工業株30種平均は4日続伸し、前日比47ドル71セント(0.1%)高の3万4395ドル14セントで終えた旨。13日発表の6月の米卸売物価指数(PPI)の上昇率が市場予想を下回った旨。米連邦準備理事会(FRB)の利上げが長引くとの観測が一段と後退し、買いが入った旨。

□7月15日(土)

◇NYダウが年初来高値;113ドル高、金融・医療株に買い (日経 電子版 07:47)
→14日の米株式市場でダウ工業株30種平均は5日続伸し、前日比113ドル89セント(0.3%)高の3万4509ドル03セントと、昨年11月下旬以来およそ7カ月半ぶりの高値で終えた旨。朝発表の2023年4?6月期決算が好調だったヘルスケア株や金融株を中心に買いが広がり、ダウ平均を押し上げた旨。インフレが鈍化しているとの見方が強まっていることも相場の支えとなった旨。


≪市場実態PickUp≫

【DACおよびSemicon West関連】

恒例のDAC(Design Automation Conference)(2023年7月9−13日)およびSEMICON West(2023年7月11−13日)が、サンフランシスコのMoscone Centerで開催され、関連記事が以下の通りである。

≪DAC≫

◇DAC 2023, Day 1: Design Automation in the Age of AI (7月11日付け EE Times)
→昨日、サンフランシスコのモスコーン・センターで開催された第60回デザイン・オートメーション会議(DAC2023)の初日は、人工知能(AI)と電子設計自動化(EDA)におけるその役割が主要なテーマとなった旨。

◇DAC 2023, Day 2: Digital Twins, Chiplets and Curvy Design―EE Times staff discuss latest news and trends from day 2 at DAC 2023. (7月11日付け EE Times)
→DAC 2023の2日目は、デジタル・ツイン、Curvy Designおよびチップレットといったテーマが注目を集めた旨。さらに、半導体産業が1兆ドル市場になるための道筋、ネットゼロへの道筋、そして人材不足に対処するために2030年までに100万人の熟練技術者を獲得する道筋の一部として、コラボレーション、イノベーション、エコシステムおよび人材に引き続き焦点が当てられた旨。

◇DAC 2023, Day 3: ‘CHIPS Acts,’ RISC-V, More AI―EE Times staff discuss latest news and trends from day 3 at DAC 2023. (7月12日付け EE Times)
→DACに参加したRISC-Vコミュニティのメンバーが何を語ったかを以下で知ることができる旨。また、新しい半導体工場に投資するための世界中の立法措置、通称「CHIPS法」を企業幹部がどのように見ているのか、半導体とその社会的重要性に対する認識についても報告している旨。
もちろん、DACの3日目には、AIのあらゆる業界への浸透についての議論も行われた旨。

◇DAC/SEMICON West Wednesday―Conferences look at China's EDA, IP prospects under ban ―U.S.-China relations, chip outlook, circling back to EDA’s early days. (7月13日付け Semiconductor Engineering)
→Design Automation Conference(DAC)とSemicon Westの出席者は、米国の対中貿易制限と、中国が電子設計自動化(EDA)ツールなしで半導体を開発する計画如何について議論した旨。DACでは、検証、エミュレーションおよびテストなど、さまざまなツールをまとめて提供する中国の新興企業が出展した旨。


≪SEMICON West≫

◇ELECTRONIC SYSTEM DESIGN INDUSTRY LOGS $4 BILLION IN REVENUE IN Q1 2023, ESD ALLIANCE REPORTS (7月10日付け SEMI)
→Electronic System Design(ESD)業界の売上高は、2022年第一四半期の$3,527.7 millionから2023年第一四半期の$3,951.1 millionへと12%増加したと、SEMIテクノロジーコミュニティであるESDアライアンスは本日、最新のElectronic Design Market Data(EDMD)報告書で発表した旨。直近の4四半期とそれ以前の4四半期を比較した4四半期移動平均は12.7%上昇した旨。

◇SEMICON WEST 2023 OPENS TOMORROW TO SHOWCASE INDUSTRY GROWTH TO $1 TRILLION, SUSTAINABILITY AND TALENT―Concurrent with SEMICON West, FLEX Conference 2023 to Spotlight Flexible Hybrid Electronics Innovations (7月10日付け SEMI)

◇SEMICON West 2023 Opens Tomorrow to Showcase Industry Growth to $1 Trillion, Sustainability and Talent (7月10日付け SEMICONDUCTOR DIGEST)
→半導体業界の重要なトピックが、SEMICON West 2023(7月11−13日)の舞台の中心となり、業界成長機会、持続可能性、および労働力開発についての最新の洞察を求めて、主要なCEOsがSan FranciscoのMoscone Centerに集まって明日開幕する旨。

◇GLOBAL SEMICONDUCTOR EQUIPMENT SALES FORECAST: $87 BILLION IN 2023 WITH 2024 REBOUND, SEMI REPORTS (7月11日付け SEMI)
→SEMIが本日、Mid-Year Total Semiconductor Equipment Forecast - OEM Perspective at SEMICON West 2023にて発表したところによると、半導体製造装置メーカーによる来年の世界販売高は、2022年の業界記録$1,074 billionに続いて、2023年には$874 billionへと18.6%の縮小予測から立ち直る見込みの旨。2024年の$1000 billionへの回復は、前工程および後工程の両セグメントが牽引する見込みである旨。

◇Chipmaking tool sales to decline 18% in 2023 before big gain in ‘24―SEMI: Sales of chipmaking gear expected to rebound in 2024 (7月11日付け FierceElectronics)
→半導体製造装置販売高が、記録的な2022年に続いて、2023年全体では世界的に18.6%縮小すると予測されているが、業界関係者は2024年にも堅調な回復を予測している旨。
「現在の逆風にもかかわらず、半導体製造装置市場は、歴史的な活況の数年の後の2023年の調整の後、2024年に力強い回復を見ることになる」とSEMIのCEO、Ajit Machoa氏。

◇半導体装置、世界売上高を下方修正;業界団体2023年予測 (7月12日付け 日経 電子版 14:30)
→半導体の国際団体、SEMIは12日、2023年の製造装置の世界売上高が2022年比19%減の$87.4 billion(12兆2000億円)になる見込みだと発表、2022年末に公表した従来予想($91.2 billion)から下方修正した旨。世界的に景気の低迷が長引き、スマートフォンやパソコンの需要回復が当初の想定より遅れている旨。


【インテル関連】

今後の新製品の取り組みについてである。

◇Intel rumoured to be scaling back its next-gen Battlemage GPU―Is the RTX 4080 no longer the target? (7月7日付け PC Gamer)
→まず事実から始めよう。インテルの次世代グラフィックス・アーキテクチャのコードネームは「Battlemage」。それ以上は憶測に過ぎないが、噂のたき火の最新の燃料は、インテルがBattlemageへの意欲を縮小していることを示唆している。最新の噂を信じるなら、Battlemageの実行ユニットは、インテルの既存のトップ・グラフィックス・カードであるIntel Arc A770よりも少なくなるだろう。

◇Raptor Lake Refresh Desktop CPUs Rumored to Be Due in Week 42―Sources: Intel prepping Raptor Lake CPUs for Oct. ―These will be the 'K' CPUs, in the week from October 16 to 22. (7月9日付け Tom's Hardware)
→インテルは、10月にK suffixesのRaptor Lake Refreshデスクトップ・セントラル・プロセッシング・ユニット(CPU)を発表すると報じられている旨。同社はまた、次世代グラフィックス・アーキテクチャ、Battlemageへの取り組みを強化しているとも言われている旨。

16-nmプロセス技術の展開、Intel 16が、あらわされている。

◇Intel Rolls Out 16nm Process Technology: A Low-Cost, Low-Power FinFET Node―Intel offers low-power 16nm FinFET node―IFS addresses inexpensive low-power applications with Intel 16 process. (7月12日付け Tom's Hardware)
→Intelが、モバイル、軍事、航空宇宙、その他のアプリケーション向けに16ナノメートルプロセスを打ち上げの旨。Intel 16と呼ばれる低消費電力FinFETベースの該ノードは、トップクラスの電子設計自動化(EDA)およびIPプロバイダーによってサポートされている旨。

インテルの中国市場に向けたAI半導体に注目している。

◇Intel offers customized AI processors to China, backed by major Chinese AI server providers (7月12日付け DIGITIMES)
→米国が中国へのAI半導体の輸出規制を強化しようとしている中、インテルは7月11日に北京で記者会見を開き、ディープラーニング・プロセッサ、Habana Gaudi 2を中国市場で発売すると発表した旨。このプロセッサーは、AIのトレーニングや推論タスクの高速化に利用できる旨。Inspur、New H3C、およびxFusionといった中国のAIサーバー大手は、該Gaudi 2プロセッサーを搭載したサーバー製品をリリースする見込み。

◇Intel woos China with nerfed Habana Gaudi2 AI chips―Intel brings a modified Gaudi 2 AI chip to China (7月13日付け The Register (UK))
→Intelは、AIアクセラレーター、Gaudi 2の改良版を中国市場で生産している旨。中国のサーバーベンダーであるH3C Technologies、xFusionおよびInspurが該Gaudi 2の販売を計画していると報じられている旨。


【Huawei関連】

中国・HuaweiのAIおよびハイエンド・スマホへの取り組みが、以下の通りあらわされている。米国の規制に縛られる中での今後の動きに注目である。

◇Huawei unveils latest AI model as ChatGPT boom rolls on―Huawei Cloud's AI model is based on its chips, hardware ―China tech titan says its cloud computing is based on own hardware, chips (7月7日付け Nikkei Asian Review (Japan))
→Huawei Cloudは、同社のプラットフォームとハードウェアをベースにした最新のAIモデル、Pangu Model 3.0を発表した旨。ファーウェイは、AIクラウドサービスを製造業、金融および政府機関に拡大することを目指している旨。

◇ファーウェイ、生成AI強化;大規模モデル刷新;法人向け提供 (7月11日付け 日経)
→中国通信機器最大手の華為技術(ファーウェイ)は生成AI(人工知能)関連事業を強化する旨。生成AIの基盤となる「大規模言語モデル」を刷新し、幅広い産業に提供を進めていくと発表した旨。強みとする通信やクラウドなどの関連技術にAIを組み合わせ、法人向け事業のテコ入れにつなげる旨。

◇Huawei to Use China Fab's 7nm Node to Overcome U.S. Sanctions: Report―Sources: Huawei looks to SMIC's nodes for smartphone return ―Huawei expected to return to high-end smartphones business. (7月13日付け Tom's Hardware)
→米国発の技術の使用を禁じられているHuawei Technologiesが、年内にフラッグシップ・スマートフォン市場への復帰を計画している、ロイター通信が調査会社3社の話を引用して報じている旨。同社は5G端末に必要な高度な半導体を生産するために中国の工場と技術を利用すると報じられているが、詳細はまだ不明確の旨。


【AI関連】

AIについては、随所に目に入るところであるが、ここでは世界的に各国・各社の動きから取り出しての総覧である。それぞれに今後の動きを注視していく内容である。

◇Chip war may thwart Shanghai plans to build AI hub―AI chips made by Taiwan’s TSMC are not yet covered by US sanctions but they may be if Washington intervenes (7月7日付け Asia Times)
→上海政府は、浦東に世界トップクラスのAIハブを建設することを目的に、人工知能(AI)の人材と投資を誘致し、規制を改善する取り組みを強化している旨。

◇IBM mulls using its own AI chip in new cloud service to lower costs―IBM considers its in-house AI chip for cloud service (7月11日付け Reuters)
→IBM Semiconductorsのgeneral manager、Mukesh Khare氏によると、IBMは自社が設計したAI半導体を、watsonx cloud computingサービスのコスト削減に利用することを検討している旨。該人工知能ユニットは10月に発表された半導体であり、サムスン電子が製造した旨。

◇Nvidia invests $50 million in biotech company Recursion for A.I. drug discovery―Nvidia widens AI investment with $50M in Recursion, a biotech firm (7月12日付け CNBC)
→*半導体メーカーのNvidiaは、Recursion Pharmaceuticalsに$50 millionを投資し、該バイオテクノロジー企業の創薬用人工知能(AI)モデルの開発を加速させる旨。
 *ユタ州ソルトレイクシティに拠点を置くRecursion社は、23,000テラバイトを超える生物学的・化学的データセットを使用し、Nvidiaのクラウドプラットフォーム上でAIモデルをトレーニングする旨。
 *Recursionへの該投資は、NvidiaのAIへの賭けをさらに深めるもの。

◇イーロン・マスク氏、AI新会社設立;14日に詳細公表 (7月13日付け 日経 電子版 02:33)
→米起業家のイーロン・マスク氏は12日、人工知能(AI)を開発する新会社「xAI(エックスエーアイ)」の設立を正式に表明、新たにホームページを立ち上げ、14日にマスク氏が買収したツイッター上の配信で公開質問に答えるとしている旨。

◇中国、生成AI規制を8月施行;国家安全重視を強調 (7月13日付け 日経 電子版 19:07)
→中国政府は13日、精緻な文章や画像を作り出す生成人工知能(AI)の規制を8月15日に施行すると発表、4月に発表した規制案から条文数を増やし、「国家安全」を守ることを強調した旨。
生成AIの分野では統制を強化しながら開発を加速し、米国に対抗する方針を鮮明にした旨。

◇Google、生成AI「Bard」を欧州でも提供 (7月14日付け 日経 電子版 07:56)
→米グーグルは13日、文章などを自動で作る生成人工知能(AI)のサービス「Bard」の提供地域や対応言語を広げたと発表、規制当局が求めるプライバシー保護への対応で投入が遅れていた欧州でも展開を始めた旨。同日から中国語やスペイン語など40以上の言語でバードを使える旨。


【公正取引およびM&A関連】

Broadcom社によるVMware社の大型買収について、EUが以下の通り条件付きで承認している。

◇Broadcom wins European approval for $61B VMware acquisition (7月11日付け SILICON VALLEY BUSINESS JOURNAL)
→Broadcom社が水曜12日、$61 billionを投じた VMware社の買収について、欧州委員会(EC)から条件付きで承認された旨。

◇Broadcom wins conditional EU antitrust approval to buy VMware―Broadcom gains EU approval to buy VMware after remedies (7月12日付け Reuters)
→Broadcomが、$61 billionを投じて VMware を買収する計画について、Marvell Technologyに救済策を提示した上で、EUの独占禁止法上の承認を得た旨。欧州委員会(EC)によると、Broadcomは同社のストレージ アダプタの相互運用性を Marvellやその他のライバル企業に約束する旨。

中国の半導体装置メーカー、AMECが企業秘密侵害でLam Researchを2010年に訴えたという件、上海高裁の裁定である。

◇Shanghai high court rules in favour of AMEC in its IP dispute with US chip equipment maker Lam Research, China firm says (7月11日付け South China Morning Post)
→*上海市高級人民法院は、Lam Research社に対し、中国の半導体製造装置メーカー、AMEC(Advanced Micro-Fabrication Equipment Inc.)の装置に関する技術文書と写真の破棄を求める最終判決を下した旨。
 *AMECは2010年、ラムリサーチ社を企業秘密侵害で上海第一中級人民法院に提訴した旨。

米国連邦取引委員会(FTC)による動きが以下の通り続いている。Microsoftのゲーム大手買収差し止め、そしてChatGPTのOpenAI調査と、今後の推移に注目している。

◇Microsoftのゲーム大手買収、米独禁当局の訴え棄却 (7月12日付け 日経 電子版 06:05)
→米サンフランシスコの連邦地方裁判所は11日、米マイクロソフトによる米ゲーム大手アクティビジョン・ブリザードの買収の仮差し止めを求めていた米連邦取引委員会(FTC)の申し立てを棄却した旨。買収成立に向け一歩前進となるが、FTCは控訴できる旨。英国では規制当局が買収を認めないとしており、行方はまだわからない旨。

◇米FTC、Microsoftのゲーム大手買収差し止めで控訴へ (7月13日付け 日経 電子版 10:31)
→米連邦取引委員会(FTC)は12日、米マイクロソフトによる米ゲーム大手アクティビジョン・ブリザードの買収の仮差し止めを求めていた裁判で、上級審にあたる控訴裁判所に控訴すると発表、11日に米サンフランシスコの連邦地方裁判所がFTCの申し立てを棄却していた旨。買収阻止に向け全面的に争う構え。

◇FTC investigates ChatGPT for potential harm, deceptive practices (7月13日付け SILICON VALLEY BUSINESS JOURNAL)

◇米FTC、ChatGPTのOpenAIを調査;消費者保護で (7月14日付け 日経 電子版 03:34)
→米連邦取引委員会(FTC)が対話型人工知能(AI)「ChatGPT」を開発した米新興のオープンAIに対し、消費者保護の観点から調査に乗り出したことが明らかになった旨。米紙ワシントン・ポストなどが13日に報じた旨。
FTCはオープンAIに対し、AIの訓練の手法や個人データの取り扱いといった企業側の管理体制について書面で回答を求めた旨。消費者保護のための取り組みがきちんとなされているかを調査し、対応にあたる考え。

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