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10月の半導体販売高、8ヶ月連続前月比漸増、本年9.4%減、来年13.1%増

米国・Semiconductor Industry Association(SIA)より月次世界半導体販売高が発表され、この10月について$46.6 billion、前月比3.9%増と8ヶ月連続の小幅なプラス、そして前年同月比0.7%減と下降傾向の前年ながら肩を並べる水準となっている。本格的な回復には至らないものの3月から着実に戻してきている販売高という現時点であるが、このほど合わせて発表されたWSTS業界予測では、本年が9.4%減の$520. billion、そして来年、2024年が13.1%増の$588.4 billionに達する見方があらわされている。Nvidiaが牽引する人工知能(AI)半導体の急伸が注目される中、米国の対中国規制厳格化の動きがまたぞろ強まっている一方、AMDが高性能でより安価な対抗製品を打ち上げて、錯綜する中、目が離せない状況が続いている。

長見晃の海外トピックス

≪10月の世界半導体販売高≫

米国・SIAからの今回の発表が、次の通りである。

☆☆☆↓↓↓↓↓
○10月のグローバル半導体販売高、前月比3.9%増;2024年年間販売高13.1%増の見通し―10月販売高、8ヶ月連続の前月比増;10月の世界半導体販売高、前年同月比0.7%減 …12月4日付け SIA/Latest News

米国・Semiconductor Industry Association(SIA)は本日、2023年10月のグローバル半導体販売高が$46.6 billionで、2023年9月の$44.9 billionに対し3.9%増加したが、2022年10月の$46.9 billionを0.7%下回った、と発表した。月次販売高はWorld Semiconductor Trade Statistics(WSTS) organizationのまとめであり、3ヶ月移動平均で表わされている。SIAは、売上げで米国半導体業界の99%およびnon-U.S.半導体会社の約3分の2を代表している。

さらに、SIAが発表した新しいWSTS業界予測によると、2023年の世界年間売上高は9.4%減少するが、2024年には13.1%増加すると予測されている。同予測では、2023年の世界売上高は$520. billionで、2022年の$574.1 billionから減少すると予測している。2024年の世界売上高は$588.4 billionに達すると予測されている。WSTSは、半導体動向の正確でタイムリーな指標を提供する世界の半導体企業の広範なグループからの情報を収集することにより、半期に一度の業界予測を集計している。

「10月のグローバル半導体市場は前月比ベースで8回連続のプラス成長となり、2023年が終わりに近づくにつれて半導体需要に明確なプラスの勢いがあることを示している。」と、SIAのpresident and CEO、John Neuffer氏。「今後、2023年の年末商戦は2022年に比べて減少すると予測するが、グローバル半導体市場は来年力強く回復し、2024年には二桁成長が予測される。」

地域別では、10月の販売高前月比で、China(6.1%), Asia Pacific/All Other(4.9%), the Americas(2.9%), Japan(0.6%)およびEurope(0.2%)とすべて増加した。10月販売高前年同月比では、Europe(6.6%)およびAsia Pacific/All other(0.4%)では増加したが、the Americas(-1.6%), China(-2.5%), およびJapan(-3.1%)では減少した。

                         【3ヶ月移動平均ベース】

市場地域
Oct 2022
Sep 2023
Oct 2023
前年同月比
前月比
========
Americas
12.33
11.79
12.13
-1.6
2.9
Europe
4.53
4.82
4.83
6.6
0.2
Japan
4.06
3.91
3.93
-3.1
0.6
China
14.20
13.05
13.85
-2.5
6.1
Asia Pacific/All Other
11.83
11.32
11.87
0.4
4.9
$46.94 B
$44.89 B
$46.62 B
-0.7 %
3.9 %

--------------------------------------

※10月の世界半導体販売高 地域別内訳および前年比伸び率推移の図、以下参照。
https://www.semiconductors.org/wp-content/uploads/2023/12/October-2023-GSR-table-and-graph-for-press-release-1.pdf
★★★↑↑↑↑↑

相次いで年間販売高史上最高を更新した2021年および2022年と比べていく形で、データの推移を見ていく。
以下、米国・SIAの月初の発表時点の販売高、そして前年同月比および前月比が示されている。
本年1月は下げ足を早める出だしとなっており、2月はそれが引き続いている。3月に、ようやく2022年5月以来の前月比増加となっている。4月は、20%台の前年比マイナスが続きながらも、3月と同様前月比で0.3%のプラスとなっており、5月は前年比同様に大きくマイナスながらも前月比では1.7%増となり$40 Billion台を1月以来のこと、回復している。そして6月、1月の販売高を上回って、本年最高となって、まだ小幅ながら4ヶ月連続の前月比増加である。7月は、昨年12月以来$43 Billion台となり、前月比増加とともに、前年同月比のマイナス幅を大きく縮めている。8月は$44 Billion台と小幅な前月比増加が続き、前年同月比は一桁%のマイナスとなったが、前年も大き目な低下であることが効いている。9月も、8月と同様の動きとなっている。そして、10月は$46.6 Billionと昨年同月にほぼ並ぶ水準と、上げ足を早める見え方である。今後の回復に向けてさらに早められるか、なお見極めを要するところである。

販売高
前年同月比
前月比
販売高累計
2021年 1月 
$40.01 B
13.2 %
1.0 %
2021年 2月 
$39.59 B
14.7 %
-1.0 %
2021年 3月 
$41.05 B
17.8 %
3.7 %
2021年 4月 
$41.85 B
21.7 %
1.9 %
2021年 5月 
$43.61 B
26.2 %
4.1 %
2021年 6月 
$44.53 B
29.2 %
2.1 %
2021年 7月 
$45.44 B
29.0 %
2.1 %
2021年 8月 
$47.18 B
29.7 %
3.3 %
2021年 9月 
$48.28 B
27.6 %
2.2 %
2021年10月 
$48.79 B
24.0 %
1.1 %
2021年11月 
$49.69 B
23.5 %
1.5 %
2021年12月 
$50.85 B
28.3 %
1.5 %
$540.87 B
 
2022年 1月 
$50.74 B
26.8 %
-0.2 %
2022年 2月 
$50.04 B
26.1 %
-1.4 %
2022年 3月 
$50.58 B
23.0 %
1.1 %
2022年 4月 
$50.92 B
21.1 %
0.7 %
2022年 5月 
$51.82 B
18.0 %
1.8 %
2022年 6月 
$50.82 B
13.3 %
-1.9 %
2022年 7月 
$49.01 B
7.3 %
-2.3 %
2022年 8月 
$47.36 B
0.1 %
-3.4 %
2022年 9月 
$47.00 B
-3.0 %
-0.5 %
2022年10月 
$46.86 B
-4.6 %
-0.3 %
2022年11月 
$45.48 B
-9.2 %
-2.9 %
2022年12月 
$43.40 B
-14.7 %
-4.4 %
$584.03 B
 
→史上最高更新
 
2023年 1月 
$41.33 B
-18.5 %
-5.2 %
2023年 2月 
$39.68 B
-20.7 %
-4.0 %
2023年 3月 
$39.83 B
-21.3 %
0.3 %
2023年 4月 
$39.95 B
-21.6 %
0.3 %
2023年 5月 
$40.74 B
-21.1 %
1.7 %
2023年 6月 
$41.51 B
-17.3 %
1.9 %
2023年 7月 
$43.22 B
-11.8 %
2.3 %
2023年 8月 
$44.04 B
-6.8 %
1.9 %
2023年 9月 
$44.89 B
-4.5 %
1.9 %
2023年10月 
$46.62 B
-0.7 %
3.9 %


上記の米国・SIAの発表にあるWSTSの秋季データは、業界紙で以下の取り上げである。

◇Semiconductor market to rise again in 2024?―WSTS: Semiconductor outlook strong for 2024 ―Research firms have mostly upgraded their market outlook by calling a bottom and return to a growth pattern - that accelerates next year. (12月5日付け TechHQ)
→半導体市場は来年、メモリー需要で改善するとアナリストは予想している旨。
World Semiconductor Trade Statistics(WSTS)は、世界半導体市場が13.1%成長し、評価額が$588 billionに達すると予測している旨。

同じタイミングで、市場情報アドバイザリー会社の米国・Gartner社から、本年および来年の世界半導体業界の売上高が以下の通り予測されている。メモリ半導体の需要急増が、今後を引っ張る見方となっている。

◇Gartner Forecasts Worldwide Semiconductor Revenue to Grow 17% in 2024 (12月4日付け Gartner)
→・2024年の半導体売上高は$624 Billionに
 ・2023年の半導体売上高は11%減少
 ・サーバーへのワークロード・アクセラレータの導入が2027年までに20%以上に増加
ガートナー社の最新予測によると、2024年の世界半導体売上高は16.8%増の$624 billionに達すると予測されている旨。2023年は10.9%減少し、$534 billion達する予測。

◇Global IC sales to grow 16.8% in 2024, driven by memory chips: Gartner―Gartner: Demand for memory chips to lift global chip sales 16.8% in 2024 (12月5日付け Focus Taiwan)
→ガートナー社発。2024年の世界半導体業界の売上高は$624.0 billionに達し、2023年比16.8%増となる見込みである旨。2023年の売上高は、需要低迷による在庫調整で前年比10.9%減の$534.0 billionになると予測されている旨。
2023年第四四半期まで、DRAM半導体市場の供給過剰は続き、価格回復の引き金となる完全な効果は2024年に見られて、売上高が88%増の$87.4 billionに達すると推定される旨。

◇Memory chips to drive 2024 global IC sales growth (12月6日付け Taipei Times)
→米国に本社を置く市場情報アドバイザリー会社Gartner Inc.が月曜4日に発表したところによると、世界の半導体業界の売上高は、メモリ半導体の需要急増に大きく後押しされ、今年の落ち込みから来年は前年比16.8%の成長が見込まれている旨。

現下の市場の戻しはどうなっているか。関連する内容を以下取り出している。

◇Global Shipments of Wearable Devices Show Modest Growth and Strong Volume in Q3 2023, According to IDC (12月4日付け IDC)
→International Data Corporation(IDC)のWorldwide Quarterly Wearable Device Trackerの新データ。2023年第三四半期(3Q23)のウェアラブル端末の世界出荷台数は前年同期比2.6%増となり、第三四半期としては過去最高の1億4,840万台に達した旨。

◇DRAM prices could rise 18% this quarter: TrendForce―STEADY: Prices are to rebound following inventory rebuilding demand, TrendForce said, with Samsung Electronics Co further trimming capacity as it slashes DDR4 lines (12月5日付け Taipei Times)
→TrendForce(集邦科技)が昨日発表した予測によると、DRAM半導体の成約価格は今四半期、前四半期比で最大18%上昇し、約8四半期ぶりの価格上昇となり、モバイル機器およびPCs用のDRAM半導体についての在庫再構築需要が主に引っ張る旨。台北を拠点とする該市場調査会社の予測によると、価格回復はモバイルDRAM半導体の四半期ごとの上昇に牽引されるもので、2021年第4四半期以来となる前四半期比13%から18%の上昇となる見込み。

◇Q3 NAND revenues up 2.9%―TrendForce: 2.9% revenue jump reported for Q3 NAND shipments (12月8日付け Electronics Weekly (UK))
→TrendForce のレポートによると、第三四半期のNAND出荷は前四半期比2.9%増の$9.2 billionで、ビット出荷が同3%増。

本格的な回復の見定めに向けて、引き続きの注目である。


コロナ「5類」移行とはいえ、インフルエンザが加わり一層用心怠りなくの現状と言えるかと思うが、コロナ前に戻る舵取りがそれぞれに行われている中での世界の概況について、以下日々の政治経済の動きの記事からの抽出であり、発信日で示している。

□12月5日(火)

年初来高値となって売りが優勢、前半3日は下げた後、雇用の過熱緩和への期待、景気悪化懸念の後退から後半2日は上げて、1年11か月ぶりの高値で締めた今週の米国株式市場である。

◇NYダウ41ドル安、利益確定売り;利下げ観測が下値支え (日経 電子版 07:33)
→4日の米株式市場でダウ工業株30種平均は5営業日ぶりに反落し、前週末比41ドル06セント(0.11%)安の3万6204ドル44セントで終えた旨。前週末に年初来高値を付けた後で、主力株を中心に利益確定売りが優勢となった旨。もっとも、米連邦準備理事会(FRB)が来年に利下げに転じるとの期待は根強く、相場の下値は堅かった旨。

□12月6日(水)

◇10月米求人、2年7カ月ぶり低水準;賃金インフレ緩和示す (日経 電子版 06:02)
→米労働省が5日発表した10月の雇用動態調査(JOLTS)によると、非農業部門の求人件数(季節調整済み、速報値)は873万3000件、前月から61万7000件減り、市場予測(940万件)を下回った旨。2021年3月以来の低水準。市場では労働市場の過熱が収まり、賃金インフレの緩和を示す材料として、長期金利の低下(債券価格は上昇)が進んだ旨。

◇NYダウ続落、79ドル安;利益確定売り続く (日経 電子版 07:38)
→5日の米株式市場でダウ工業株30種平均は続落し、前日比79ドル88セント(0.22%)安の3万6124ドル56セントで終えた旨。ダウ平均など主要株価指数が年初来高値圏にあるなか、一部の銘柄には利益確定売りが続いた旨。米金融政策を探るうえで、今週発表が相次ぐ雇用関連指標への関心が高く、買い手控えにつながった面もある旨。

□12月7日(木)

中国の「一帯一路」構想について、イタリアがついに離脱している。

◇イタリア、「一帯一路」から離脱を通知;中国に痛手 (日経 電子版 00:41)
→イタリア主要紙コリエレ・デラ・セラ電子版は6日、イタリア政府が中国の巨大経済圏構想「一帯一路」からの離脱を中国側に通知したと報じた旨。中国の専制主義への警戒に加え、経済的な恩恵が乏しいとして、閣僚や経済界から不満の声が上がっていた旨。イタリアは主要7カ国(G7)で唯一参画しており、離脱は中国にとって痛手となる旨。

◇NYダウ続落、70ドル安;AppleやAmazonに売り (日経 電子版 06:48)
→6日の米株式市場でダウ工業株30種平均は小幅に3日続落し、前日比70ドル13セント(0.19%)安の3万6054ドル43セントで終えた旨。8日発表の11月の米雇用指標を見極めたい雰囲気が強く、主力銘柄には持ち高調整の売りが続いた旨。一方、朝発表の民間による米雇用関連指標が労働市場の過熱感の一段の和らぎを示し、株価を下支えした旨。

□12月8日(金)

◇NYダウ4日ぶり反発、62ドル高;雇用の過熱緩和に期待 (日経 電子版 06:44)
→7日の米株式市場でダウ工業株30種平均は4営業日ぶりに反発し、前日比62ドル95セント(0.17%)高の3万6117ドル38セントで終えた旨。今週発表された雇用関連指標と同様に8日発表の米雇用統計が労働市場の需給緩和を示すとの見方が相場を支えた旨。ダウ平均が前日までに3日続落したことで短期的な相場の過熱感が薄れたとの声もあり、好材料の出た主力ハイテク株を中心に見直し買いが広がった旨。

米国の金融引き締め緩和の観測が飛び交う中、日銀総裁発言を受けての円の値動きである。

◇円一時1ドル=141円台;すぐ買い戻し、荒い値動き (日経 電子版 08:11)
→7日午後のニューヨーク外国為替市場で対ドルの円相場が瞬間的に急騰し、一時1ドル=141円台後半を付けた旨。8月以来4カ月ぶりの円高・ドル安水準になった旨。その後はすぐ円安方向に戻し、7日夕時点では144円台で推移する旨。日銀の植田和男総裁の発言などを受けて政策修正を意識した円買い・ドル売りが膨らむなか、円は不安定な値動きをみせている旨。

□12月9日(土)

◇NYダウ続伸、1年11カ月ぶり高値;景気悪化の懸念薄れる (日経 電子版 06:59)
→8日の米株式市場でダウ工業株30種平均は続伸、前日比130ドル49セント(0.36%)高の3万6247ドル87セントと1週間ぶりに年初来高値を更新した旨。
2022年1月以来およそ1年11カ月ぶりの高値。朝発表の11月の米雇用統計は総じて強い内容だったが、米連邦準備理事会(FRB)が一段と金融引き締めをするほどではないと受け止められた旨。米景気悪化への懸念も和らぎ、主力株の一部に買いが入った旨。


≪市場実態PickUp≫

【米国の対中国半導体輸出規制関連】

米国議会での対中国規制厳格化をさらに求める動きが引き金と思われるが、商務省長官より特に人工知能(AI)半導体を取り締まる表明が以下の通り行われている。該市場を席巻しているNvidiaは、中国対応の仕様製品を出すとしているが、それを容認しない姿勢が打ち出されている。関連する内容含め、以下に示す。

◇Commerce Department tells chipmakers nation's security supersedes revenues (12月3日付け SILICON VALLEY BUSINESS JOURNAL)
→Gina Raimondo米商務長官が、半導体輸出規制をめぐる国家の安全保障上の優先事項に適応するようチップ企業のCEOsに指示の旨。

◇Raimondo calls out Nvidia, others that sell AI chips to China (12月4日付け FierceElectronics)
→ジーナ・ライモンド米商務長官は、週末にカリフォルニア州シミ・バレーで開催されたReagan National Defense Forum(レーガン国防フォーラム)に出席した際、中国に販売するAI半導体メーカーを非難、AI半導体で貿易ルールを回避しているNvidiaを批判した旨。

◇US govt warns that sanctions swerving GPUs will fall under their 'control the very next day'―Secretary Raimondo said she didn’t want to specifically call out Nvidia. (12月4日付け Tom's Hardware)
→ジーナ・ライモンド米商務長官は、最先端のAI半導体が中国の手に渡るのを阻止しようと決意している旨。今週末のReagan National Defense Forum (RNDF)でのスピーチで、同氏はより多くの資金が必要であり、そうすれば彼女の部署は効果的に制裁を適用できる、と訴えた旨。また、同氏が制裁に従わないGPUやAI半導体メーカーに、技術制裁を回避するための半導体再設計に関して、状況が変わっていくことを警告したことも注目に値する旨。

◇US officials to visit Taiwan to explain chip curbs, minister says―Taiwan's minister welcomes US visit to explain export rules (12月4日付け Reuters)
→台湾のWang Mei-hua(王美花)経済相は、米国当局者が台湾を訪問し、企業が先端半導体の輸出規制を解きほぐす手助けをする予定であると述べた旨。王氏は、台湾は "米国の執行機関の考え方を直接理解する "ことで利益を得るだろうと述べている旨。

◇U.S. export controls need to ‘change constantly’ even if it’s tough for businesses, Secretary Raimondo says―Raimondo: Export control changes aim to keep up with tech (12月5日付け CNBC)
→1)*Gina Raimondo(ジーナ・ライモンド)米商務長官は、CNBCのMorgan Brennan(モーガン・ブレナン)記者の独占インタビューに応じ、企業の懸念にもかかわらず、中国への技術輸出規制が強化されると語った旨。
  *「テクノロジーは変化し、中国も変化、それに追いつかなければならない」と同氏。
 2)ジーナ・ライモンド商務長官は、進化し続けるハイテク産業に対応し、中国の輸出を制限するために、アメリカは「絶えず変化していく」と語った旨。ライモンド商務長官は、ハイテク企業との協力の中で、アメリカは「産業界と継続的に対話する新しい方法」を望んでおり、我々のエンジニアは彼らのエンジニアと互角に戦えて、われわれの意図は、XYZを可能にする中国の技術を否定すること、と述べた旨。

◇Nvidia CEO: We have to develop new AI chips to satisfy U.S. regulations (12月5日付け SILICON VALLEY BUSINESS JOURNAL)
→エヌビディアのジェンセン・フアン最高経営責任者(CEO)は水曜6日、サンタクララに本拠を置くハイテク企業である同社は、ハイエンドのAI半導体を中国に販売する計画をあきらめていないと述べた旨。

◇Nvidia working closely with US to ensure new chips for China are compliant with curbs―CEO: Nvidia is working with US to ensure chips for China meet export limits (12月6日付け Reuters)

◇Nvidia working closely with US to ensure new chips for China are compliant with curbs (12月6日付け South China Morning Post)  
→*カリフォルニアを拠点とする人工知能(AI)半導体設計メーカーは、中国の$7 billionのAI半導体市場で90%以上のシェアを獲得している旨。
 *エヌビディアは11月の決算で、米国の新ルールの影響で中国での第四四半期の売上げが急減する予想と警告した旨。

◇Trade blockade on AI to China could soon apply to US cloud providers (12月6日付け FierceElectronics)
→*米中貿易摩擦は、中国国内の顧客へのAIサービス提供制限によって、米国のクラウドプロバイダーにも間もなく波及する可能性がある旨。UBSによると、米商務省当局者と米クラウドプロバイダーとの間で話し合いが進められている旨。
 *中国によるAI関連半導体や技術へのアクセスを禁じる米国の貿易規制は、半導体サプライヤーだけでなく、クラウドプロバイダーにも近いうちに適用される可能性がある旨。

◇U.S. must take tougher approach on tech to China, says U.S. House committee―House committee: US should be stricter on tech to China (12月7日付け Reuters)
→US House of Representatives Foreign Affairs Committee(米下院外交委員会)は木曜7日、中国による米国技術へのアクセスをより徹底的に防止することを目的とした報告書を提出し、米国が中国への輸出許可をケースバイケースで承認するアプローチを止め、すべてを禁止するよう勧告した旨。該報告書はまた、商務省のEntity Listに関連する規則をいくつか修正することを提案し、該リストに掲載されている企業に対してクラウドサービスの利用を禁止するよう勧告した旨。

◇Taiwanese firms in China keen to cut capital amid rising US-China tensions (12月7日付け DIGITIMES)
→米中間の貿易・技術紛争が激化する中、中国に子会社を持つ台湾企業には大幅な減資の波が押し寄せていると、税務サービスの専門家が指摘している旨。ジーナ・ライモンド米商務長官が最近、中国が米国の最大の脅威であると発言し、エヌビディアが半導体貿易規制のグレーゾーンを回避していると批判したことも、複雑な状況をさらに複雑にしている旨。台湾が最近、22の主要技術の対中輸出を制限する国家リストを公式に発表したことも、政府補助の工業技術研究院(ITRI)を含む事業体が直面する課題をさらに浮き彫りにしている旨。


【AI連携の陣営】

オープンなスタンスの「AIアライアンス」が、以下の通り設立されている。

◇Meta and IBM create AI Alliance, a coalition of artificial intelligence-focused groups and businesses (12月4日付け SILICON VALLEY BUSINESS JOURNAL)
→メタ社とIBMは、AIの「オープンモデル」を提唱する50以上の人工知能企業や研究機関の連合体であるAI Allianceの設立を発表した旨。

◇Meta, IBM and Intel join alliance for open AI development while Google and Microsoft sit out (12月6日付け South China Morning Post)
→*火曜5日に発表された新しいAIアライアンスには、NASAとともに数十社の新興企業が参加している旨。
 *技術の将来について哲学的な議論が交わされる中、米国で支配的な2社は同盟の創設メンバーには含まれていない旨。

◇米IBM・メタ、AI研究協力団体を発足;東大・ソニーなど参画 (12月7日付け 日刊工業)
→米IBMと米メタは、欧米・日本など世界の50以上の企業や大学、政府・研究機関とともに、人工知能(AI)のオープンイノベーション(技術革新)や研究協力などを推進する業界団体「AIアライアンス」を発足した旨。

グーグル、マイクロソフト、およびOpenAIは、クローズドでプロプライエタリなアプローチを打ち出して、これに対立する形である。

◇AI’s future could be ‘open-source’ or closed. Tech giants are divided as they lobby regulators―Tech giants disagree on whether AI should be open, closed (12月5日付け The Associated Press)
→連邦政府がAIをどのように規制するかを検討する中、メタとIBMは「オープンサイエンス」アプローチを提唱し、デル、ソニー、AMD、インテル、いくつかの新興企業や大学が参加するAIアライアンスを結成し、「基本的にオープンな科学的アイデアの交換とオープンイノベーションの上に構築された」AIを推進している、とIBMのsenior vice president、Dario Gil(ダリオ・ギル)氏は語った旨。グーグル、マイクロソフト、およびOpenAIは、クローズドでプロプライエタリなアプローチを推進しており、Frontier Model Forumを結成している旨。

◇The battle over whether AI’s future will be ‘open-source’ or closed (12月6日付け Taipei Times)
→フェイスブックの親会社メタとIBMは昨日、AIアライアンスと呼ばれる新しいグループを立ち上げ、AI開発への「オープンサイエンス」アプローチを提唱し、ライバルのグーグル、マイクロソフトおよびChatGPTメーカーのOpenAIと対立している旨。

オープン陣営のメタおよびクローズド陣営のマイクロソフトが、以下に示すAMDの新しいAI半導体を購入するとしている。

◇Meta and Microsoft say they will buy AMD’s new AI chip as an alternative to Nvidia’s (12月7日付け CNBC)
→*メタ、オープンAI、およびマイクロソフトは、AMDの最新AI半導体、Instinct MI300Xを採用すると発表、これは、ハイテク企業が、人工知能(AI)に不可欠な高価なNvidiaグラフィック・プロセッサに代わるものを求めていることの表れの旨。
 *MI300Xが来年初頭に出荷開始される時点で十分な性能を持ち、かつ安価であれば、AIモデルの開発コストを下げる可能性の旨。
 *AMDのリサ・スー最高経営責任者(CEO)は、AI半導体の市場規模は2027年に$400 billion以上に達すると予測し、AMDがその市場でかなりの部分を占めることを望んでいると述べた旨。


【Nvidia関連】

熱い活況ながら、米国の対中国規制に揉まれる注目のNvidiaであるが、CEOのJensen Huang氏が我が国を訪問、岸田首相に会うとともに日本での研究拠点設置を表明、と今週の同氏および同社の動きを以下取り出している。

◇Nvidia Plans Network of Chip Plants in Japan to Meet AI Demand―Nvidia looking for partners in Japan to establish AI ecosystem (12月4日付け BNN Bloomberg (Canada))
→Nvidia社は、人工知能(AI)の分野で優位に立とうと躍起になっている日本の需要に応えるため、日本におけるAI技術関連のエコシステム構築を支援する計画。
カリフォルニア州サンタクララを拠点とするエヌビディアは、日本の研究機関、企業および新興企業と提携し、AIの工場を建設することを目指す、とジェンセン・フアン最高経営責任者(CEO)は火曜5日、西村康稔経済産業大臣との会談の冒頭で述べた旨。NvidiaはAI研究所を設立し、地元のスタートアップに投資し、そしてAI利用について一般市民を教育する、とHuang氏は述べた旨。

◇Nvidia CEO says he will try to prioritise Japan for AI processors―Nvidia's Huang putting a priority on GPU supplies for Japan (12月4日付け Reuters)
→NvidiaのJensen Huang最高経営責任者(CEO)は月曜4日、市場の需要が極めて高い中、同社の人工知能(AI)プロセッサーを日本に供給するために最善を尽くすと述べた旨。
日本は、かつて世界をリードした半導体インフラを再建し、AI技術の開発に追いつこうと急いでいる旨。米国に本社を置くエヌビディア製のグラフィック・プロセッシング・ユニット(GPUs)は、AI向け市場を独占している旨。
「需要は非常に高いが、GPUsに対する日本の要求を優先するため、全力を尽くすと首相に約束した」と、Huang氏は東京の岸田文雄首相公邸で記者団に語った旨。同氏の訪問は、日本が半導体投資に充てる約2兆円($13.60 billion)を含む追加予算を可決してから2週間も経たないうちに行われた旨。この資金の一部は、台湾の半導体メーカー、TSMCと、北海道で最先端半導体の製造を目指す半導体ファウンドリーベンチャーのRapidusを支援するために使われる見込みである旨。
「日本の半導体産業は今成長を始めており、GPUsの生産も可能になるだろう」と同氏は語った旨。
「日本のような国は、独自のデータを所有し、独自のAI工場を建設しそして独自のAIインテリジェンスを生産する必要があることに気づいている。」と付け加えた旨。

◇岸田首相、エヌビディアCEOと面会;半導体供給増を要請 (12月4日付け 日経 電子版 17:45)
→岸田文雄首相は4日、首相官邸で米半導体大手、エヌビディアのジェンスン・ファン最高経営責任者(CEO)と面会した旨。生成AI(人工知能)などに必要な画像処理半導体(GPU)をできるだけ多く供給するよう同社に要請した旨。
ファン氏が面会後、記者団に明かした旨。日本でソフトバンクやさくらインターネット、NEC、NTTなどの企業と連携していくとも話した旨。

◇米エヌビディア、日本に研究拠点設置へ;AI人材育成も (12月5日付け 日経 電子版 14:58)
→米半導体大手エヌビディアのジェンスン・ファン最高経営責任者(CEO)は5日、日本に人工知能(AI)関連の研究開発(R&D)拠点を設ける考えを明らかにした旨。大学や研究機関との連携を視野に入れる旨。同社の協力は国産の生成AI開発の後押しにつながる旨。
ファン氏が西村康稔経済産業相と経産省で会談し、意向を示した旨。ファン氏は設置の理由について「日本は独自のAIを作るための技術的な知見や産業能力がそろっている」と語った旨。

◇Nvidia planning AI build-out in Japan (12月6日付け Taipei Times)
→堅固な基礎:メガトロニクス、製造業およびロボット工学における数十年の専門知識を持つ日本には、独自のAIを開発する資質がある、とジェンセン・ファン氏。

◇エヌビディア、日本にAI開発新拠点;産総研と連携視野 (12月6日付け 日経)
→米半導体大手エヌビディアのジェンスン・ファン最高経営責任者(CEO)は5日、日本に人工知能(AI)関連の研究開発拠点を設ける考えを明らかにした旨。大学や研究機関との連携を視野に入れる旨。同社の協力は国産の生成AI開発の後押しにつながる旨。

◇Nvidia lists RTX 5880 Ada GPU, presumably a downgraded replacement for the RTX 6000 Ada in China―Purpose of Nvidia's RTX 5880 Ada GPU remains somewhat unclear―Nvidia's latest professional drivers list RTX 5880 Ada Generation (12月7日付け Tom's Hardware)
→Nvidiaは、最新の米国輸出規制により、高性能AD102ベースのグラフィックカードを中国に出荷できなくなったため、RTX 5880 Adaは、中国市場向けに特別に調整されたRTX 6000 Adaの縮小版であると論理的に推測される旨。しかし、Nvidiaはこの件についてコメントしていないため、そうではないかもしれない旨。


【AMDの新型AI半導体】

Nvidiaを追う形で、AMDが、新型AI半導体「MI300」を、以下の通り発表している。高価なNvidiaへの代替が訴求され、具体的な引き合いがあらわれている。

◇AMD CEO Debuts Nvidia Chip Rival, Gives Eye-Popping Forecast―AMD aims to accelerate AI, challenge Nvidia (12月6日付け BNN Bloomberg (Canada))
→アドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)はAIアクセラレーター半導体のMI300シリーズをデビューさせ、リサ・スーCEOはAI半導体市場が2027年までに$400 billionを超えると予測した旨。マイクロソフト、メタおよびOpenAIは、Instinct MI300XをNvidiaのプロセッサの代替品として採用する予定の旨。

◇米AMD、新型AI半導体を発表;「市場成長、年70%に」 (12月7日付け 日経 電子版 10:22)
→米アドバンスト・マイクロ・デバイス(AMD)は6日、人工知能(AI)向け半導体の新製品を発表、生成AI向けに画像処理半導体(GPU)の処理能力を高め、同分野で独走する米エヌビディアを追う旨。データセンター向けAI半導体市場が従来見込んだ年率50%を大きく上回って成長し、今後4年は年70%の伸びが続くとの見通しも示した旨。

◇AMDが新AI半導体;先行エヌビディアを追走 (12月8日付け 日経)
→米アドバンスト・マイクロ・デバイス(AMD)は6日、人工知能(AI)向け半導体の新製品を発表、生成AI向けに画像処理半導体(GPU)の処理能力を高め、同分野で独走する米エヌビディアを追う旨。

◇AMD debuts new chip with eye to rival Nvidia product (12月8日付け Taipei Times)
→アドバンスト・マイクロ・デバイセズ社(AMD)は水曜6日、エヌビディア社(Nvidia Corp)が支配する急成長中の市場を狙い、人工知能(AI)ソフトウェアをライバル製品よりも高速に実行できるとする新しいアクセラレーター・半導体を発表した旨。同社はカリフォルニア州サンノゼで開催されたイベントで、「MI300」と呼ばれる待望のラインナップを発表、AMDのリサ・スー最高経営責任者(CEO)はまた、AI半導体産業の規模について、今後4年間で$400 billion以上に達する可能性があると、目を見張るような見通しを示した旨。

AMDの発表を受けての同社株価の反応である。

◇AMD launches new AI microchip with hopes of challenging Nvidia (12月6日付け SILICON VALLEY BUSINESS JOURNAL)
→アドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)社が最新のマイクロチップを発表した翌日、同社の株価は木曜7日の取引開始直後に6%近く上昇している旨。AMDのリサ・スー最高経営責任者(CEO)は、新マイクロチップ、MI300Xを"業界最先端のAIアクセラレーター"と呼んでいる旨。


【連携関連】

IntelとSiemensの先端半導体製造についての協業、および東芝とロームのパワー半導体の共同生産が、それぞれ以下の通り発表されている。

◇Intel, Siemens to collaborate on improving manufacturing, energy efficiency―Intel, Siemens partner on advanced chipmaking (12月4日付け Reuters)
→インテルとシーメンスは、先端半導体製造に焦点を当て、業務効率と持続可能性の両方を実現することを目的とした3年間の協業を発表した旨。「インテルは事業拡大で大きな計画を持っているが、天然資源の効率とネット・ゼロへのコミットメントに最大限の注意を払いながら、それを確実に実行したい。」と、インテルのグローバル・オペレーション・チーフのKeyvan Esfarjani(キーヴァン・エスファルジャニ)氏は語った旨。

◇Intel, Siemens announce manufacturing collaboration (12月4日付け SILICON VALLEY BUSINESS JOURNAL)
→ハイテク大手2社が、エネルギー使用と製造効率を改善する方法を模索する旨。

◇Siemens and Intel to Collaborate on Advanced Semiconductor Manufacturing (12月4日付け SEMICONDUCTOR DIGEST)
→テクノロジーカンパニーであるシーメンスAGと世界最大級の半導体企業であるインテル コーポレーションは、マイクロエレクトロニクス製造のデジタル化と持続可能性の推進に関する協力覚書を締結した旨。両社は、将来の製造努力の推進、工場運営とサイバーセキュリティの進化および弾力性のあるグローバルな産業エコシステムの支援に注力する旨。

◇Intel and Siemens team up for advanced semiconductor manufacturing (12月5日付け DIGITIMES)

◇Toshiba to invest in Rohm's new power chip plant in Japan's Miyazaki -sources (12月7日付け Reuters)
→情報筋 東芝がロームのパワー半導体工場(宮崎)への投資を計画

◇東芝とローム、パワー半導体共同生産を発表;補助金活用 (12月8日付け 日経 電子版 11:40)
→東芝とロームは8日、パワー半導体の共同生産を始めると発表、事業総額は3883億円で、経済産業省が最大で1294億円を補助する旨。パワー半導体は電気自動車(EV)や産業機器の省エネルギー性能を高めるために欠かせず、各国で需要が高まっている旨。生産規模を拡大し、コスト競争力を高める旨。

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