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AI分野激変模様:Nvidia売上げ3倍超&ランキング急上昇、OpenAIの激震

スーパーコンピュータおよびAI(人工知能)半導体における業界勢力図の入れ替わり模様を前回取り上げたばかりであるが、AI分野での非常に激しい変化が間髪を入れず目に入ってくる感じ方である。該分野を大きく牽引するNvidiaの第三四半期(8−10月期)業績発表が注目されていたが、売上高が過去最高の$18.12 billionを記録、前四半期比34%増、前年同期比206%増、と前年比3倍超の驚異的な伸びである。
第二四半期が$13.51 billionと過去最高を記録したばかり、前四半期比ほぼ倍増、前年同期比2倍増、とここにきてのこの急伸ぶりである。第三四半期半導体ランキングでも、10位から2位に急上昇、下支えする形である。大きく報道された生成AI「ChatGPT」のオープンAIでのトップ解任→復帰の推移の記事も、以下注目している。

長見晃の海外トピックス

≪破格の伸びっぷり≫

火曜21日のNvidiaの決算報告には、事前からの注目である。

◇What to watch for as Nvidia gets set to report Q3 earnings (11月19日付け SILICON VALLEY BUSINESS JOURNAL)
→エヌビディア・コーポレーションの最新決算が火曜21日に発表され、該四半期で最も期待される財務報告のひとつの旨。

そして当日、以下の驚きの受け止めの記事である。

◇Another revenue rocket ride for Nvidia, data center sales surge (11月21日付け FierceElectronics)
→エヌビディアの株価はこのところ急騰を続けており、同社の四半期収益がまた大きく伸びたことで、買い手の信念が実を結んだ旨。
ここ数日、市場がエヌビディアの2024年度第三四半期決算を待ち望む中、同社の株価や競合他社・同業他社の株価は上昇傾向にあり、あまり高揚感のない報告であれば、感謝祭に向けて該分野が険悪なムードに陥る可能性もあった旨。
幸いなことに、エヌビディアの第三四半期決算は、過去最高の売上高$18.12 billionを記録し、前四半期比34%増、前年同期比206%増という驚異的な伸びを示した旨。この数字はアナリスト予想を約$2 billionも上回るものだった旨。

◇Nvidia reported standout Q3 results. Investors shrugged. (11月21日付け SILICON VALLEY BUSINESS JOURNAL)
→エヌビディアの第三四半期の売上高は3倍以上に増加。収益は12倍以上に増加した旨。投資家は該株式を売却した旨。

◇Nvidia’s revenue triples as AI chip boom continues (11月21日付け CNBC)
→*エヌビディアの決算は、第四四半期の売上高と利益についてアナリストの予測を上回った旨。
 *エヌビディアのグラフィック・プロセッシング・ユニット(GPUs)に対する需要は、ジェネレーティブ人工知能(AI)の台頭により供給を上回っている旨。
 *Nvidiaは当四半期中にGH200 GPUを発表した旨。

ここ2四半期の売上高、および前四半期比および前年同期比の増加率が、次の通りである。ここにきての急増ぶりが読み取れる内容である。

売上高
前四半期比
前年同期比
第二四半期(5−7月)
$13.51 billion
88%増
101%増
第三四半期(8−10月)
$18.12 billion
34%増
206%増


同社の株価の今年の上昇ぶりがあらわされている。

◇Nvidia’s $240 Billion Rally to Test Whether Great Is Good Enough―Nvidia's rallying performance shows no signs of stopping (11月21日付け BNN Bloomberg (Canada))
→エヌビディアの株価は、同社のAIアクセラレータに対する需要が伸び続けていることと、アナリストが利益予想を引き上げたことにより、今年240%上昇した旨。モルガン・スタンレーのアナリスト、Joseph Moore氏は、「エヌビディアは、わずか数四半期でデータセンター事業を3倍成長させ、急増する需要に非常にしっかり対応し続けている」と指摘する旨。

以下の前回示したTSMCの10月売上高は、月間過去最高を記録、先端プロセスへの力強い需要が支えとしているが、Nvidia向けが大きく効いている可能性である。

◇TSMC’s sales jump 35% last month to a new monthly high (11月11日付け Taipei Times)
→台湾積電股份有限公司(TSMC、台積電)は昨日、先月の売上高が9月比で約35%急増し、月間で過去最高を記録したと発表、アナリストは同社の新しい先端半導体プロセスへの力強い需要による伸びとしている旨。
声明の中で、該世界最大の契約半導体メーカーは、先月の連結売上高が2,432億台湾ドル($7.517 billion)で、9月から34.8%増加し、前年同月比では15.7%増加したと発表した旨。

◇TSMC October revenues up 34.8% q-o-q (11月14日付け Electronics Weekly (UK))
→TSMCの10月の売上高は$7.8 billionで、2023年9月の売上高$5.6 billionから34.8%増加し、2022年10月の売上高$6.5 billionから15.7%増加した旨。2023年1月から10月までの売上高は合計$57.26 billionで、2022年同期の売上高$59 billionに比べ3.7%減。

Omdiaより、第三四半期半導体売上げのデータが、以下の通り示されている。AI需要が引っ張る全体状況の中、サプライヤ・ランキングで昨年の10位から今年2位に急浮上しているNvidiaの伸びっぷりが突出している。前年同期比(YoY)に示すように、低迷する市場環境を1社で大きく支える様相である。

◇Omdia: AI Demand Leads Semiconductor Revenue Growth, But Other Segments Improving, Too (11月21日付け SEMICONDUCTOR DIGEST)
→Omdiaの最新Competitive Landscape Trackerによると、継続するAI需要に牽引され、半導体業界全体が3Q23に2Q23比8.4%増の$139bnとなった旨。同業界は、これまで5四半期連続で減少していたが、これで2四半期連続で増加している旨。
「半導体業界の伸びはAI需要だけによるものではなく、他の半導体分野にも広がっている。」と、OmdiaのPrincipal Analyst、Cliff Leimbach氏。「上位15社のうち14社が、3Q23に半導体売上げの前四半期増を経験しており、追跡した126社のうち80社(63%)が第3四半期に売上げを伸ばしている。」

≪Top-10 Market Share≫ (金額:USM$)

3Q223Q23Company
3Q22
2Q23
3Q23
QoQ
YoY
RankRank
売上げ
売上げ
売上げ
1
1
Intel
14,851
12,263
13,321
8.6%
-10.3%
10
2
NVIDIA
4.641
10,124
11.966
18.2%
157.8%
2
3
Samsung
14,600
9,871
10,742
8.8%
-26.4%
3
4
Qualcomm
9,904
7,174
7,374
2.8%
-25.5%
5
5
Broadcom
6,948
6,862
7,246
5.8%
4.3%
4
6
SK Hynix
7.967
5,330
6,702
25.7%
-15.9%
7
7
AMD
5,503
5,308
5.715
7.7%
3.9%
11
8
Apple
4,395
3,650
4,510
23.8%
2.8%
12
9
STMicro
4.321
4,326
4,431
2.4%
2.5%
13
10
Infineon
4,044
4.430
4,494
1.4%
11.1%
TOP10
77,174
69,338
76,509
10,3%
-0.9%
All Others
68,689
58,874
62,486
6.1%
-9.0%
Total Semi
145,863
128,212
138,995
8.4%
-4.7%

                                (Source: Omdia)


日米株式市場への波及インパクトが謳われている。

◇最高益NVIDIA、時価総額1年で3倍;日米株式市場に波及 (11月22日付け 日経 電子版 11:54)
→米エヌビディアが生成AI(人工知能)を動かすのに使う半導体で成長している旨。時価総額は$1.24 trillion(183兆円)と1年で約3倍に急伸した旨。AIブームに乗るハイテク株が日米株式相場全体に波及する構図が強まっている旨。
「エヌビディアは本質的にAIファウンドリー(受託製造会社)」。ジェンスン・ファン最高経営責任者(CEO)は21日に開いた決算説明会でこう宣言した旨。

ここまで伸びても株価の反応は下落と、わからないもの。次へと飽くことのない要求ではある。

◇NVIDIA、純利益14倍も株安;成長期待のジレンマ (11月25日付け 日経 電子版 04:00)
→米半導体エヌビディアの成長に投資家の過剰な期待が集まっている旨。2023年8〜10月期の決算は純利益が約14倍で過去最高を更新したが、22日の米株式市場で株価は約2%下落した旨。生成AI(人工知能)を動かすのに使う半導体で急拡大してきたが、市場はさらに次のサプライズを求めるジレンマがある旨。

いつまでどこまで伸びが続くか、今後の推移に注目するところである。

AI需要の急伸に目を見晴らされる中、激しく揺れた生成AI「ChatGPT」のオープンAIでのトップ解任→復帰の顛末である。

解任が報じられたのが、金曜17日であり、以下前回示している。

AIの業界図の更新模様に触れてきたが、本欄を締める時点で、生成AI「ChatGPT」のオープンAIでのトップ解任&交替が目に入っている。

◇Sam Altman fired as CEO of OpenAI (11月17日付け SILICON VALLEY BUSINESS JOURNAL)
→サム・アルトマンがOpenAIを共同設立してから8年、同社の取締役会は金曜17日、シリコンバレーで有名な起業家である同氏を最高経営責任者(CEO)から解任し、暫定CEOを任命した旨。
OpenAIは、急成長している人工知能(AI)分野のリーダー的存在であり、世界で最も価値のある非上場企業のひとつであると広く見られており、現在のCTOであるMira Muratiが暫定CEOに就任すると発表した旨。

◇米OpenAI、アルトマンCEOが退社へ;事実上の解任か (11月18日付け 日経 電子版 08:57)
→生成AI(人工知能)「ChatGPT」を手掛ける米新興オープンAIは17日、サム・アルトマン最高経営責任者(CEO)が退任すると発表、現在、最高技術責任者(CTO)のミラ・ムラティ氏が暫定CEOに就く旨。新たなCEOの人選も進める旨。事実上の解任とみられ、アルトマン氏は退社する旨。

週明け月曜20日、週末の間の慌ただしい動きを伝えている。

◇Ousted OpenAI head Sam Altman to lead Microsoft’s new AI team (11月20日付け CNBC)
→*OpenAIの取締役会は17日金曜深夜、アルトマン氏を解任し、暫定的に技術責任者のミラ・ムラーティ氏と交代させると発表した旨。
 *そして日曜19日の夜遅く、OpenAIは人工知能(AI)企業の経営者として元Twitch CEOのEmmett Shear(エメット・シアー)氏を迎え入れると発表した旨。
 *そしてそのわずか数時間後、Nadella(ナデラ)氏はアルトマン氏とGreg Brockman氏をマイクロソフトのチームに吸収すると発表し、話はまた新たな展開を見せた旨。

◇Chaos mounts at OpenAI as employees revolt, board member expresses regret (11月20日付け SILICON VALLEY BUSINESS JOURNAL)
→OpenAIの従業員のほぼ全員が、サム・アルトマン氏を追放する決定を下した取締役会が辞任しないのであれば、退職すると書簡に署名した一方、取締役会のメンバーの一人は、自分の投票に対して公に遺憾の意を表明した旨。

アルトマン氏を巡る入り組んだ動きである。

◇OpenAIの投資家、アルトマン氏のCEO復帰を画策 (11月20日付け 日経 電子版 02:17)
→米新興オープンAIのサム・アルトマン最高経営責任者(CEO)が17日に突如解任された問題で、投資家が同氏をCEOに復帰させようと動いていることが分かった旨。技術者が追随して離れ、組織が内部崩壊を起こすことを危惧している旨。経営をめぐる混乱は、急成長する同社のガバナンス(組織統治)の危うさも浮き彫りにしている旨。

◇元OpenAIのアルトマン氏ら、Microsoft入社へ (11月20日付け 日経 電子版 18:18)
→米マイクロソフトのサティア・ナデラ最高経営責任者(CEO)は19日、米新興企業、オープンAIのCEOを解任されたサム・アルトマン氏がマイクロソフトに入社すると明らかにした旨。同社に新設する人工知能(AI)の先進的な研究チームを率いる旨。ナデラ氏が19日深夜(米西部時間)にX(旧ツイッター)への投稿で明らかにした旨。

◇Microsoft snaps up Altman, other ex-OpenAI employees (11月21日付け Taipei Times)
→マイクロソフト社のSatya Nadella(サティア・ナデラ)最高経営責任者(CEO)は昨日、ChatGPTのベンチャー企業、OpenAI(OAI)の共同設立者が解雇された数日後、同社のサム・アルトマン氏と彼のチームの他のメンバーの雇用を発表した旨。

揺れるオープンAIの一方で、公開されて1年をこの30日に迎える「ChatGPT」の活用状況の記事が見られている。

◇ChatGPT、1年で職場変革;日清食品は営業部門で6割活用 (11月20日付け 日経 電子版 02:00)
→生成AI(人工知能)「ChatGPT」が2022年11月30日に公開されて1年。最高経営責任者(CEO)を務めたサム・アルトマン氏の退任で開発元の米オープンAIは揺れているが、生成AIは企業の現場に着実に浸透する旨。日清食品の営業部門では社員の6割が活用し、日本の長年の課題だった生産性向上が新たな段階を迎えている旨。

オープンAIの社員の取締役会に総退陣を迫る動きが、20日のうちに見られている。

◇OpenAIの社員9割、退社も辞さず;取締役会に総退陣迫る (11月21日付け 日経 電子版 06:57)
→米オープンAIの社員らは20日、取締役会(理事会)に総退陣を求め、解任したサム・アルトマン氏らを復帰させなければ、自分たちもそろって退社すると迫る文書を提出した旨。770人いる社員のうち、すでに9割超にあたる約730人が署名した旨。人工知能(AI)の有望企業をめぐる混乱は社員の「反乱」という重大な局面に発展しはじめた旨。

◇OpenAI、経営正常化遠く;Microsoftが「漁夫の利」か (11月21日付け 日経 電子版 18:37)
→生成AI(人工知能)「ChatGPT」を開発した米オープンAIの経営をめぐる混乱が続いている旨。社員が経営刷新を求める署名活動を始め、9割超が賛意を示したことが20日に分かった旨。生成AIが社会に急速に浸透するなか、同社を支援してきた米マイクロソフトの立場が強まるとの見方が出てきた旨。

火曜21日、オープンAIの取締役会がアルトマン氏のCEO復帰に向けて動いている。

◇OpenAI理事会、アルトマン氏の復帰を協議;米報道 (11月22日付け 日経 電子版 09:40)
→米新興企業オープンAIの理事会(企業の取締役会に相当)が21日、解任したサム・アルトマン元最高経営責任者(CEO)と復帰を視野に協議を始めた旨。解任に票を投じた共同創業者イリヤ・サツキバー氏は20日、「深く後悔している」と投稿し復帰支持に姿勢を転換している旨。復帰に向けては残る3人の理事の意向が焦点となる旨。

そして、CEO復帰が以下の通り発表されている。

◇Sam Altman to return as OpenAI CEO with new board (11月22日付け SILICON VALLEY BUSINESS JOURNAL)
→急な更迭から4日後、OpenAIの共同設立者であるサム・アルトマンが、元セールスフォース共同CEOと元米国財務長官を含む新たな役員会とともに、CEOとして復帰することで合意した旨。
「我々は、サム・アルトマンがBret Taylor (会長), Larry Summers(元財務長官), およびAdam D'Angeloからなる新役員とともに、CEOとしてOpenAIに復帰することで基本合意に達した。詳細については、現在共同で検討中。辛抱していただき、本当に感謝」とOpenAIは発表した旨。

◇OpenAI、アルトマン元CEO復帰;「お家騒動」収束へ (11月22日付け 日経 電子版 18:28)
→対話型AI(人工知能)「ChatGPT」を開発した米オープンAIは21日、最高経営責任者(CEO)を解任されたサム・アルトマン氏の復帰で関係者が基本合意したと発表、生成AIブームを代表する新興企業の「お家騒動」は4日半で収束に向かうことになった旨。

シリコンバレーへの本件のインパクトがあらわされている。

◇What you need to know of OpenAI's Bay Area investors (11月22日付け SILICON VALLEY BUSINESS JOURNAL)
→OpenAI LLCは、共同設立者兼CEOのサム・アルトマンの解雇と再雇用という、かなり混乱した1週間を過ごした旨。
このリーダーシップの問題は、サンフランシスコを拠点とする新興企業で何が起きているのかについて、シリコンバレーのベンチャーキャピタルの一部から大きな懸念を引き起こした旨。

あまりにも急拡大ゆえの波乱要素を多分に含むと思われるAI関連およびAI半導体の展開に一層の注目である。


コロナ「5類」移行とはいえ、インフルエンザが加わり一層用心怠りなくの現状と言えるかと思うが、コロナ前に戻る舵取りがそれぞれに行われている中での世界の概況について、以下日々の政治経済の動きの記事からの抽出であり、発信日で示している。

□11月20日(月)

製造業の利益が非製造業を15年ぶりに逆転した我が国である。

◇製造業の利益、非製造業を15年ぶり逆転;円安や生産回復 (日経 電子版 22:04)
→製造業の純利益が15年ぶりに非製造業を逆転した旨。2023年4〜9月期は11兆6425億円と前年同期から12%増え、非製造業(8%増の11兆5652億円)を上回った旨。同期間での逆転は2008年以来になる旨。対ドルで7円程度の円安進行や供給網改善による生産回復、値上げが下支えした旨。中国の景気減速など不透明要因は多く、今の増益ペースが続くかが焦点になる旨。

□11月21日(火)

感謝祭のお休みをはさんで、前半3日上げ下げが交互、最後上げて締めた今週の米国株式市場である。

◇NYダウ続伸、203ドル高;AIへの期待でMicrosoft最高値 (日経 電子版 06:41)
→20日の米株式市場でダウ工業株30種平均は続伸、前週末比203ドル76セント(0.58%)高の3万5151ドル04セントと8月中旬以来の高値で終えた旨。個別の材料を手掛かりに買われた銘柄が相場を支えた旨。中でもマイクロソフトが午後に上げ幅を広げて上場来高値を更新し、ダウ平均の上昇を牽引した旨。

□11月22日(水)

◇NYダウ3日ぶり反落、62ドル安;FOMC議事要旨も重荷に (日経 電子版 06:42)
→21日の米株式市場でダウ工業株30種平均は3営業日ぶりに反落し、前日比62ドル75セント(0.17%)安の3万5088ドル29セントで終えた旨。前日に8月中旬以来の高値を付けていたため、ハイテク株などに利益確定売りが出た旨。21日夕に発表する半導体のエヌビディアの決算内容を見極めたいと、積極的な買いを手控える動きも広がった旨。

□11月23日(木)

Nvidiaは別格として、米国企業の先行き懸念が以下の通りである。

◇米国企業、業績悪化の懸念拭えず;前四半期は4%増益も (日経 電子版 05:25)
→米国の大手企業の2023年7〜9月期など前四半期の決算が出そろった旨。主要500社の純利益は前年同期から4%増え、4四半期ぶりに増益に転じた旨。テクノロジー大手でコスト削減が進み、なお堅調な消費も収益を支えた旨。一方、金利高など逆風下で先行き懸念は強く、業績見通しを引き下げた企業が多かった旨。

◇NYダウ反発で184ドル高;利上げ終了観測、テック株上昇 (日経 電子版 07:33)
→22日の米株式市場でダウ工業株30種平均は反発し、前日比184ドル74セント(0.52%)高の3万5273ドル03セントで終えた旨。8月中旬以来の高値。米連邦準備理事会(FRB)の追加利上げ観測の後退が株式相場を支えた旨。米長期金利がこのところ水準を切り下げ、株式の相対的な割高感が薄れたとみた買いが優勢だった旨。

□11月25日(土)

◇NYダウ続伸117ドル高;消費株牽引、ナスダックは反落 (日経 電子版 06:41)
→24日の米株式市場でダウ工業株30種平均は続伸し、前営業日の22日に比べ117ドル12セント(0.33%)高の3万5390ドル15セントで終えた旨。8月上旬以来の高値。米連邦準備理事会(FRB)による利上げ局面が終了したとの見方が引き続き相場を支えた旨。もっとも、感謝祭の祝日の翌日で短縮取引となり、積極的な売買は手控えられ、上げ幅は限られた旨。


≪市場実態PickUp≫

【BroadcomのVMware買収】

Broadcomによるクラウドコンピューティングと仮想化のIT企業、VMwareの買収が、米国時間22日、完了したと発表されている。中国当局の承認を得て、やっと完了、VMwareは、今後は「VMware by Broadcom」のブランドでBroadcomが事業を運営するとされている。史上最大といわれるハイテク合併の最終段階の状況である。

◇Down to the wire: Broadcom, VMware megadeal doesn't get chopped by China (11月21日付け FierceElectronics)
→・ブロードコムとVMware、中国当局から合併の条件付き承認を取得
 ・取引は今週中に完了する予定
 ・この取引が Broadcom に与える影響について、アナリストが意見を述べた。
いよいよ大詰め、Broadcom と VMware は、中国当局から規制当局の承認を得た後、長らく懸案となっていた合併契約を今週中に完了させる予定の旨。

◇VMware ends run as public company, officially becomes part of Broadcom (11月21日付け SILICON VALLEY BUSINESS JOURNAL)
→ブロードコムは$69 billionを投じてVMwareの買収を完了し、史上最大のハイテク合併となった旨。

◇Broadcom closes $69 billion VMware deal after China approval―Broadcom officially closes $69B VMware deal (11月22日付け Reuters)
→ブロードコムは、クラウド・コンピューティング企業、VMwareの$69 billionの買収を完了した旨。「今月初めに行われた中国の習近平国家主席とジョー・バイデン米国大統領の会談後のムードの改善は、残っていた神経を落ち着かせるのに役立った」と、AJ Bellの財務分析責任者、Danni Hewson氏。

◇VMware Stockholders Will Get a Windfall in Broadcom Merger (11月22日付け Barron News-Shield (Wis.))

買収完了後の状況が示されている。

◇VMware CEO exits as Broadcom lays out how company looks post merger (11月23日付け SILICON VALLEY BUSINESS JOURNAL)
→VMwareが正式にサンノゼに本社を置くBroadcom社の傘下に入ったことで、VMwareは4つのパートに分割されるなど、大きな変化が起きている旨。


【TSMC関連】

先端プロセス需要が引っ張って、回復の足取りの稼働率である。

◇TSMC capacity utilization may rebound to 80% in 1H24 on rising demand for advanced processes―TSMC's capacity utilization expected to rebound in H1 (11月20日付け DIGITIMES)
→台湾積体電路製造股份有限公司(TSMC)は、先端プロセスへの需要増加の恩恵を受け、来年前半には稼働率が80%に回復すると予想される旨。

TSMCが、主要半導体製造拠点を東アジアに置く可能性が浮上、3-nm半導体を熊本で製造する検討が、以下の通り取り沙汰されている。

◇TSMC Weighs Third Japan Chip Plant With Cutting-Edge 3nm Tech―TSMC considers 3nm process fab in Japan, its third factory there (11月21日付け BNN Bloomberg (Canada))
→台湾積体電路製造股份有限公司(Taiwan Semiconductor Manufacturing Co.Ltd.:TSMC)は、東アジアを世界の主要な半導体製造拠点にする可能性があり、高度な3ナノメートル半導体を製造する第3の工場を日本に建設することを検討している、と本件事情通の人々発。
Nvidia社やApple社のお抱え半導体メーカーであるTSMCは、日本南部の熊本県にコードネーム「TSMC Fab-23 Phase 3」と呼ばれる第3工場の建設を検討していることをサプライチェーン・パートナーに伝えた、と該情報は公開されていないため、名前は伏せている人々発。

◇TSMCが熊本に第3工場検討、先端半導体生産も;米報道 (11月21日付け 日経 電子版 19:24)
→米ブルームバーグ通信は21日、半導体世界大手の台湾積体電路製造(TSMC)が熊本県に第3工場の建設を検討していると報じた旨。回路線幅3ナノメートルの先端半導体の生産を視野に入れている旨。

◇TSMC mulls next-gen chip fab in Japan―COMPELLING ADVANTAGES: Japan’s expertise in raw materials for semiconductors and machinery makes the country attractive for TSMC’s expansion, an expert said (11月22日付け Taipei Times)
→Taiwan Semiconductor Manufacturing Co(TSMC、台積電)は、高度な3ナノメートル半導体を製造する第3の工場を日本に建設することを検討しており、この東アジアの国を主要グローバル半導体製造ハブにしていく可能性、と本件に詳しい関係者が語った旨。


【米国CHIPS法関連】

米国の国内半導体製造強化に向けたCHIPS法による支援は、主要半導体メーカーの前工程がこれまで主体となっているが、今後に向けた後工程、すなわち先端実装に約$3 Billionを充てる計画が発表されている。

◇US Launches $3 Billion Effort to Boost Advanced Chip Packaging―Commerce Dept. to boost chip packaging with $3B program (11月20日付け BNN Bloomberg (Canada))
→米国商務省は、国産半導体パッケージングの開発を奨励するために$3 billionを投資する計画を発表した旨。この資金は、研究開発(R&D)に割り当てられたChips and Science Actの資金から調達される旨。

◇CHIPS for America Releases Vision for Approximately $3 Billion National Advanced Packaging Manufacturing Program (11月20日付け SEMICONDUCTOR DIGEST)
→本日、バイデン-ハリス政権は、最先端半導体製造の重要技術である先端パッケージングの米国の能力を高める構想を発表した旨。Morgan State University(Baltimore, Maryland)での演説で、標準技術担当商務次官 兼 国立標準技術研究所(NIST)所長のLaurie E. Locascio(ローリー・E・ロカシオ)氏は、商務省のCHIPS for Americaプログラムの製造奨励策と研究開発努力から米国がどのような恩恵を受けるかを説明した旨。特に、先進パッケージング製造プログラム(National Advanced Packaging Manufacturing Program)に対する約$3 billionの資金は、先進パッケージングにおける米国のリーダーシップを促進するために使用される旨。

◇CHIPS for America Releases Vision for Approximately $3 Billion National Advanced Packaging Manufacturing Program―Biden-Harris administration outlines how the program will boost U.S. advanced packaging capabilities for semiconductors. (11月20日付け NIST)

◇CHIPS for America Releases Vision for Approximately $3 Billion National Advanced Packaging Manufacturing Program (11月20日付け SEMICONDUCTOR DIGEST)
→本日、Biden-Harris政権は、最先端半導体製造の重要技術である先端パッケージングにおける米国の能力を高める構想を発表した旨。
特に、国家先端パッケージング製造プログラムに対する約$3 Billionの資金は、先端パッケージングにおける米国のリーダーシップを推進するために使用される旨。

米国CHIPS法の現状について、中国発の見方である。

◇New semiconductor factories are rising in US, but billions in Chips Act money has yet to flow (11月20日付け South China Morning Post)
→*半導体メーカー各社は、アメリカ企業が中国との「21世紀の競争に勝つ」ための連邦政府による$52 billionの優遇措置を待っている旨。
 *業界専門家の間でも、資金提供のペースが遅くていらいらしているのか、それとも単に当局が大規模な新プログラムに慎重なだけなのか、意見が分かれている旨。


【Rapidus関連】

米国・IBMおよび欧州・imecとの技術提携が発表されているRapidusが、このほどフランスのLetiおよび東大と協力、2-nm、さらには今後10年までに1-nmのプロセス技術を目指す取り組みである。

◇Rapidus to Develop 1nm Process Technology With Leti and the University of Tokyo―Report: Rapidus targets 2030s for 1nm chip production ―Rapidus aims to produce chips on 1nm production node in 2030s. (11月17日付け Tom's Hardware)
→報道によると、RapidusはLetiおよび東京大学と協力し、2027年に2ナノメートル半導体、そして今後10年までに1ナノメートルのプロセス技術をつくることを目指している旨。レティは、新しいトランジスタ構造に関する半導体の専門知識を提供すると言われている旨。

◇Rapidus, University of Tokyo plan 1-nm chip tech with French partner―Cross-border tie-up seen ensuring stable supply chains for next-gen products (11月17日付け Nikkei Asian Review (Japan))


【東芝関連】

東芝が、臨時株主総会を開催、株式非公開化が以下の通り決議されている。日本産業パートナーズ(JIP)傘下での再生を目指す取り組みがスタートする。

◇東芝、「決められない経営」で迷走8年;22日臨時総会 (11月22日付け 日経 電子版 05:00)
→・臨時株主総会で株式非公開化を決議
 ・74年前の上場時は「サラリーマンの憧れの的」
 ・会計不祥事後の8年間は統治不全による悪循環
東芝が22日、臨時株主総会で株式非公開化を決議する旨。74年前の上場時は「サラリーマンの憧れの的」、1980年代には「日本のハイテク産業の象徴」などといわれたが、会計不祥事後の8年間は統治不全による悪循環が続いた旨。

◇東芝、上場廃止へ;臨時総会で株式併合など議案承認 (11月22日付け 日経 電子版 11:00)
→東芝は22日、臨時株主総会を開き、株式の非公開化に向けた株式併合や定款変更などの議案を諮り賛成多数で承認された旨。日本産業パートナーズ(JIP)と国内企業によるTOB(株式公開買い付け)に応募しなかった株主の株式を強制的に買い取り、東芝は12月20日に東京証券取引所への株式上場が廃止になる旨。

◇東芝、出資20社と再生探る;ロームやスズキなど連携が鍵 (11月22日付け 日経 電子版 19:09)
→東芝は22日、都内で臨時株主総会を開き、株式非公開化に向けた株式併合などの議案が承認された旨。12月20日に東京証券取引所への株式上場が廃止となり、日本産業パートナーズ(JIP)傘下で再生を目指す旨。東芝買収に参加した20社超の出資企業との連携策が復活の鍵を握る旨。安定した株主のもと事業戦略を立て直す環境がようやく整う旨。

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