業界の懸案、現時点の捉え方から;回復に向けた足取り、人材不足警鐘&対応
半導体業界はPCおよびスマホの需要低迷の中、各国・地域でのサプライチェーン強化が行われている。勢い市況回復はいつなのか、最大の関心事となるが、各社の業績発表を受けて様々な市場の反応が見られており、その中から明るい材料を探していくことになる。Samsungはじめメモリ関連が依然大きな落ち込みであるが、生成AIに向けた今後の需要増大が訴えられている。Intelは、四半期業績の持ち直しから株価の上昇が見られている。もう1つ、半導体新工場への取り組みが各国で行われる中、米国・Semiconductor Industry Association(SIA)が人材不足の問題の警鐘を鳴らす報告書を発表、2030年までに半導体業界で6万7000人不足するとして、関係方面に波紋を呼んでいる。以下、現時点のそれぞれ捉え方である。
≪今後の光明を求めて≫
況回復に向けた各社、各業界のそれぞれの足取りに以下迫っていく。
EUVリソ装置のオランダ・ASMLは、米国の対中輸出規制を受けていく中、中国向けが好調としている。旧世代型の需要であるが、今後はどうなるかがある。
◇Tech war: Dutch chip equipment giant ASML buoyed by Chinese demand ahead of new export curbs (7月21日付け South China Morning Post)
→*オランダ・ASMLが、中国向け出荷が好調で売上高が予想を上回ったことから、純売上高成長率のガイダンスを引き上げた旨。
*ASMLは、地政学的緊張の高まりと成熟した半導体に対する世界的な需要が、中国の装置購入を維持すると予想している旨。
◇ASML、ArF液浸露光装置が好調;旧世代型、中国で需要 (7月25日付け 日刊工業)
→ArF液浸露光装置の需要が好調。オランダのASMLはこのほど先端半導体の製造に不可欠なEUV露光装置について、足元の需要鈍化などを反映して2023年12月期(今期)の出荷予想を下方修正。一方、ArF液浸などEUV以外の露光装置の今期の売上高見通しを引き上げた旨。中国向けの活況が背景にある旨。ただオランダでは9月1日に半導体製造装置の新たな輸出規制が施行され、ArF液浸露光装置の中国輸出も許可申請する必要が生じる旨。今後、どの程度影響が生じるかは不透明。
Samsungが半導体売上げでTSMCに遅れをとる状況である。
◇Samsung likely to lose again to TSMC in chips revenue―Market watchers say S. Korean tech giant holds edge in foundry biz as TSMC's Arizona production is put on hold (7月23日付け The Korea Herald)
→世界最大のメモリー・半導体・メーカーであるサムスン電子は、世界経済の低迷が長引く中、グローバル半導体事業の売上げでライバルの台湾セミコンダクター・マニュファクチャリング社(TSMC)に4四半期連続で遅れをとっているよう。
SEMI発表のSiウェーハ出荷面積のデータでは、この第二四半期、4−6月は前四半期比若干ながら高まっている。
◇WORLDWIDE SILICON WAFER SHIPMENTS RISE IN Q2 2023, SEMI REPORTS (7月25日付け SEMI)
→SEMI Silicon Manufacturers Group(SMG)のシリコンウェーハ業界四半期分析。2023年第二四半期の世界のシリコンウェーハ出荷が前四半期比2.0%増の33億3,100万平方インチとなり、前年同期の37億400万平方インチから10.1%減少したと報告した旨。
※Silicon Area Shipment Trends ― Semiconductor Applications Only (単位:100万平方インチ)
1Q2022 | 2Q2022 | 3Q2022 | 4Q2022 | 1Q2023 | 2Q2023 |
3,679 | 3,704 | 3,741 | 3,589 | 3,265 | 3,331 |
OSAT業界の昨年の実績、そして今年の見通しである。
◇IDC: Worldwide Semiconductor OSAT Market Grew 5.1% YoY in 2022, Growth Expected in 2024 Due to Accumulated Advanced OSAT Demand―IDC estimates OSAT market size to drop by 13.3% year-on-year in 2023. (7月25日付け IDC)
→半導体組立・検査アウトソーシング(OSAT)業界は、2022年の市場規模が年率5.1%増の$44.5 billionに達し、安定した成長を遂げた旨。
各社の業況から、まずはTexas Instruments(TI)である。自動車以外の厳しい状況が伝わる内容である。
◇Texas Instruments’ Lukewarm Forecast Indicates Slump Will Persist―Texas Instruments' outlook points to a broader electronics slump (7月25日付け BNN Bloomberg (Canada))
→Texas Instruments社は、主要エレクトロニクス製品の需要低迷が長引いていることを示唆するような、今期業績見通しの甘さを指摘し、過去9ヵ月で最悪の株価下落に見舞われた旨。
第三四半期の売上高は$4.36 billion to $4.74 billionになると、同社は火曜25日遅くに発表、midpointがアナリスト予想平均の$4.59 billionを下回る旨。
◇Texas Instruments' 2Q23 results show confidence in 300mm wafer strategic focus (7月26日付け DIGITIMES)
→テキサス・インスツルメンツ(TI)は7月25日、2023年第二四半期決算を発表、該IDMの売上高は$4.53 billion、純利益は$1.72 billionとなった旨。第二四半期の売上高は前四半期比で3%増加したものの、自動車を除くTIの全エンド市場が低迷したため、前年同期比で13%減少した旨。2023年第三四半期について、TIは$4.36 - $4.74 billionの売上を見込んでいる旨。
Samsungは、厳しい落ち込みが続く内容であり、今年後半の需要回復見込みが訴えられている。
◇Samsung reports 95% drop in profit, but expects global demand to recover in second half of the year―Samsung sees Q2 profit fall 95%, but remains optimistic (7月26日付け CNBC)
→1)サムスン電子は、メモリー半導体の需要低迷が続く中、第二四半期の利益が前年同期比で95%減少したと発表したが、2023年後半には需要が回復すると見込んでいる旨。サムスンはまた、ゲート・オール・アラウンド(GAA)・トランジスタ・アーキテクチャーの「3Dスタッキング」を検討していると報じられている旨。
2)*サムスンは木曜27日、メモリー半導体の需要低迷が続き、第二四半期の利益が95%減少したと発表した旨。
*サムスンは決算報告書の中で、「今年後半には世界的な需要が徐々に回復し、コンポーネント事業が牽引する形で収益が改善すると予想される」と述べた旨。
*しかし、マクロ経済的なリスクが継続することで、回復が困難になる可能性がある旨。
*サムスンは、スマートフォンやコンピューターなどの消費者向け機器に搭載されているダイナミック・ランダム・アクセス・メモリー(DRAM)・半導体の世界最大のメーカーである旨。
◇サムスン、4〜6月の半導体赤字4800億円;メモリー不振 (7月27日付け 日経 電子版 10:36)
→韓国サムスン電子が27日発表した2023年4〜6月期の事業別業績で、半導体部門の売上高は前年同期比48%減の14兆7300億ウォン、営業損益は4兆3600億ウォン(約4800億円)の赤字(前年同期は9兆9800億ウォンの黒字)。同部門の赤字は2四半期連続。大手全社の減産にもかかわらず、半導体メモリーの在庫解消に時間がかかっている旨。
SK Hynixは、第二四半期での改善、AI需要の寄与が以下の通りあらわされている。
◇SK Hynix posts narrower second-quarter loss amid robust AI demand, sees chip recovery―SK Hynix posts Q2 loss, sees AI demand lifting chips (7月26日付け CNBC)
→1)SK Hynixの第二四半期の損失は$2.24 billionで、第一四半期の損失より縮小、メモリー半導体のAI需要により改善が見込まれる旨。ダイナミックランダムアクセスメモリ(DRAM)半導体の平均価格は第一四半期に比べて第二四半期は上昇し、DRAM関連の売上げを押し上げる要因となったと同社は述べている旨。
2)*SKハイニックスは25日、メモリー半導体需要が低迷する中、第二四半期の営業損失を2兆8800億ウォン($2.24 billion)と発表した旨。
*これは、第1四半期の3兆4000億韓国ウォンより赤字幅が縮小している旨。
*SKハイニックスは、旺盛な人工知能(AI)需要を背景に、低迷するメモリー半導体市場は回復基調にあると述べた旨。
*第二四半期の売上高は7兆3,000億韓国ウォンと、第一四半期の5兆800億韓国ウォンから44%増加した旨。
◇SK Hynix says memory chip recovery has begun, flags robust AI demand (7月26日付け Reuters)
◇South Korean chip heavyweight Hynix’s revenue beats estimates as artificial intelligence lifts memory demand (7月26日付け South China Morning Post)
→*アップルとNvidia向けの韓国サプライヤーは、ストレージを大量に消費するAIアプリケーションを強化するため、同社のハイエンドDRAMチップの売上が今年2倍以上になると予想している旨。
*6月期の売上高は7兆3,100億ウォン($5.7 billion)で、前年同期の約半分だったが、平均予想の6兆500億ウォンを大きく上回った旨。
巨大IT関連では、Googleの持ち株会社、米アルファベットのネット広告の復調である。
◇アルファベット、6四半期ぶり最終増益;ネット広告復調 (7月26日付け 日経 電子版 09:43)
→米グーグルの持ち株会社、米アルファベットが25日に発表した2023年4〜6月期決算は、売上高が前年同期比7%増の$74.64 billion(約10兆5200億円)、純利益は同15%増の$18.368 billion、最終増益は6四半期ぶり。主力のインターネット広告事業の持ち直したことが寄与した旨。
自動車関連の需要好調、STMicroelectronicsでの売上げ増加である。
◇STMicroelectronics 2Q Earnings, Revenue Rose on Automotive Boost―Automotive drove STMicro's profit, revenue up in Q2 (7月27日付け The Wall Street Journal)
→STMicroelectronicsは、自動車関連事業の好調を受け、第二四半期の純利益と売上高が増加したと発表した旨。第三四半期の売上高は約$4.38 billionで、好調を見込んでいる旨。
台湾・UMCは落ち込み継続が次の通りである。
◇UMC forecasts utilization rate to fall to 65%―INVENTORY DRAG: The outlook for wafer demand in the third quarter is uncertain, given prolonged inventory correction in the supply chain, its CEO said (7月27日付け Taipei Times)
→世界第3位の受託半導体メーカーであるユナイテッド・マイクロエレクトロニクス社(UMC、聯電)は昨日、在庫主導の業界不振により第二四半期の純利益が過去8四半期で最も低い水準に落ち込んだことを受け、今四半期の工場稼働率がさらに65%程度まで落ち込むとの見通しを示した旨。
巨大ITのメタでも、ネット広告底入れの兆しである。
◇メタ増益、Threads収益化焦点;ネット広告底入れの兆し (7月27日付け 日経 電子版 11:19)
→インターネット広告に底入れの兆しが出てきた旨。26日までに2023年4?6月期決算を発表した米アルファベット(米グーグル持ち株会社)と米メタの2強はそろって増益を確保した旨。景況感の改善が追い風だが、回復力は限定的。人工知能(AI)の進化が競争の構図を変えるとの見方もある旨。
台湾のIT関連は、PCでの苦戦が続いている。
◇台湾IT、パソコン受託など苦戦;上場19社、6月19.8%減収 (7月27日付け 日経産業)
→世界のIT大手にデジタル製品を供給する台湾主要メーカーの業績が一段と厳しくなった旨。上場IT、19社の6月の売上高合計は前年同月比2割の大幅減収。中国経済の減速などを背景にパソコンやスマートフォンの需要回復が遅れ、台湾勢が得意とする電子機器の受託製造サービス(EMS)の苦戦が目立つ旨。
Intelは、2四半期にわたる赤字の後、第二四半期には黒字に転換、今後の見通しも予想を上回ることから、株価が急上昇している。
◇Intel jumps 7% as it returns to profitability after two quarters of losses―Intel is back in the black, leans into AI (7月27日付け CNBC)
→1)インテルは2四半期にわたる赤字の後、第二四半期には黒字に転換し、第三四半期の見通しではアナリストの予想を上回っている旨。パット・ゲルシンガー最高経営責任者(CEO)は、「我々が製造するすべての製品にAIを組み込む」計画としている旨。
2)*インテルは木曜27日、第二四半期決算を発表し、2四半期連続の赤字から黒字転換を示した旨。
*同社は予想を上回る好調な見通しを発表した旨。
*株価は長期取引で急上昇した旨。
◇Intel's stock surges after better-than-expected Q2 results (7月27日付け SILICON VALLEY BUSINESS JOURNAL)
→インテルの売上は急落したが、業績はウォール街の予想を上回った旨。同社のパット・ゲルシンガー最高経営責任者(CEO)は、同社の第二四半期決算が予想を上回ったことをアピールした旨。
◇Intel CEO: ‘We’re going to build AI into every platform we build’―Intel is about to launch Meteor Lake, its first chip with an onboard neural processor. It’s just the start. (7月27日付け The Verge)
車載半導体が引っ張って、好調なルネサスエレクトロニクスの業績内容である。
◇ルネサス、純利益77%増、1〜6月、車載半導体の販売増 (7月28日付け 日経)
→ルネサスエレクトロニクスが27日発表した2023年1〜6月期連結決算(国際会計基準)は、売上高にあたる売上収益が前年同期比1%増の7280億円、純利益が同77%増の1958億円。車載向けに高単価半導体の販売が伸びて採算が改善した旨。ドル建て取引が多く為替の円安が進んだことも利益を押し上げた旨。
好不調まだら模様の状況であるが、主力市場分野の復調そしてAI半導体の台頭に引き続き注目である。
次に、半導体業界における人材不足について、米国・SIAとOxford Economics社による次の報告書が発表されている。
◇America Faces Significant Shortage of Tech Workers in Semiconductor Industry and Throughout U.S. Economy―An estimated 67,000 jobs for technicians, computer scientists, engineers in semiconductor industry―and 1.4 million such jobs across the U.S. economy−risk going unfilled by 2030, according to new SIA/Oxford Economics study (7月25日付け SIA Latest News)
→米国・Semiconductor Industry Association(SIA)は本日、Oxford Economics社との提携により、米国が技術者、コンピュータ科学者、およびエンジニアの大幅な不足に直面しており、2030年までに半導体産業でこれらの労働者が6万7000人不足し、米国経済全体で140万人の差が生じると予測する調査結果を発表した旨。"Chipping Away: Chipping Away: Assessing and Addressing the Labor Market Gap Facing the U.S. Semiconductor Industry "と題されたこの報告書は、人材ギャップを解消し、全米の半導体企業がすでに実施している人材育成イニシアチブを補完するための一連の政策提言も行っている旨。
2030年までに半導体産業で熟練労働者が6万7000人不足すると警告する指摘に特に注目が集まって、業界各紙の以下取り上げである。
◇Semiconductor industry warns of significant worker shortfall by 2030 (7月25日付け SILICON VALLEY BUSINESS JOURNAL)
→米国・Semiconductor Industry Association(SIA)は、この10年間が終わる前に、米国は該産業界で67,000人の労働者不足に直面するだろうと警告している旨。
◇Chip Industry Sees Labor Shortages Threatening US Expansion Plan―US chip growth at risk from 67K too few skilled workers (7月25日付け BNN Bloomberg (Canada))
→米国・Semiconductor Industry Association(SIA)およびOxford Economicsの調査によると、米国では2030年に67,000人の熟練半導体従業員不足、必要なものの約58%が埋まらない見込みである旨。米国のCHIPS法補助金は、より多くの企業に半導体工場の建設を促しているが、国内の学校は、必要な数のエンジニア、コンピュータ科学者および技能者を輩出する軌道に乗っていない旨。
◇U.S. will be short 67,000 chip workers by 2030, industry group says (7月25日付け Reuters)
◇Chip Industry Sees Labor Shortages Threatening US Expansion Plan―Based on graduation rates, many jobs could be hard to fill―Biden administration is trying to foster domestic chipmaking (7月25日付け Bloomberg)
◇US to face shortage of 67,000 chip industry workers by 2030: study―Job shortage will include computer scientists, engineers, technicians (7月25日付け Fox Business)
◇U.S. Chip Industry Labor Shortfall Could Reach 67,000 Workers by 2030―Country will be roughly 67,000 workers short of requirements by 2030, says industry report. (7月25日付け Tom’s Hardware)
◇SIA: Projected 67,000 shortfall in semiconductor workers by 2030 (7月26日付け Electronics360)
◇SIA: US semiconductor industry facing skills crisis―US electronics firms will lack 67,000 skilled workers by the year 2030, says a study by the Semiconductor Industry Association (SIA). (7月26日付け Evertiq)
◇US could be short 67,000 chip workers by 2030, study finds (7月26日付け Taipei Times)
このような問題認識に対して、打開を図る動き、取り組みが見られている。
◇Arm launches Semiconductor Education Alliance to fight the world’s tech talent shortage―Arm takes on tech talent gap with education initiative (7月26日付け VentureBeat)
→Armは、半導体産業における世界的な熟練労働者不足に対処するため、半導体教育アライアンスを主導している旨。ケイデンス・デザイン・システムズ社、STマイクロエレクトロニクス社、シノプシス社など、産業界と研究分野のパートナーは、教育とトレーニングの加速を目指している旨。
米国のサプライチェーン強化に対して、台湾からの厳しい見方である。
◇Acer founder says US can not compete with Taiwan on chips―US outmatched by Taiwan on chips, Acer founder says ―US unable to replicate Taiwan’s chip formula after supply chains moved away (7月26日付け Taiwan News)
→Acer創業者のStan Shih氏は、重要なサプライチェーンがなければ、米国は台湾の半導体方式を再現するのに苦労するだろうと述べている旨。シー氏は、同社が台北市のスーチョー大学(Soochow University)やアリゾナ州に拠点を置くThunderbird School of Global Managementと協力し、労働者の訓練や人材の育成をグローバルに進めていると述べた旨。
新しい教育アライアンスの取り組みもあらわされている。
◇New Education Alliance Aims to Strengthen Future Talent Pools―The new alliance will encourage upskilling the existing workforce. (7月27日付け EE Times)
→人材育成は現在、半導体業界の最大の関心事の一つである旨。誰もがこう問いかけているようだ: 設計の複雑さと製造の両方の観点から、半導体の高騰する需要を満たすためには、それを実現するために必要な将来の労働力を確保する必要があるのだろうか?
アリゾナ州で新工場を建設しているTSMCであるが、地元の大学との連携が発表されている。
◇ASU-TSMC Partnership Will Focus on Student Support, Recruitment, Faculty Research (7月28日付け SEMICONDUCTOR DIGEST)
→アリゾナ州立大学(ASU)と台湾積体電路製造股份有限公司(TSMC)は本日、学生支援、トレーニング&リクルートおよび教員の研究プロジェクトに焦点を当てたパートナーシップ協定を発表した旨。
我が国でも熊本はじめ同様の人材開発強化を図る動きが見られている。「グローバルな協調と競争」が強みの原点である半導体業界、今後の推移&進捗に注目するところである。
コロナ「5類」移行とはいえ、用心怠りなくの現状と言えるかと思うが、コロナ前に戻る舵取りがそれぞれに行われている中での世界の概況について、以下日々の政治経済の動きの記事からの抽出であり、発信日で示している。
□7月25日(火)
いつまで日々連続して上昇するか、結局36年半ぶりの13連騰と、以下に示す経過の今週の米国株式市場である。
◇NYダウ183ドル高;6年5カ月ぶり11連騰、好決算を期待 (日経 電子版 06:33)
→24日の米株式市場でダウ工業株30種平均が前週末比183ドル(0.5%)高の3万5411ドルで引け、11営業日連続で上昇した旨。11連騰は2017年2月以来、約6年5カ月ぶり。終値では22年2月以来の高値を付けた旨。企業決算や米景気に対する警戒感が和らぎ、投資家のマネーが株式に流入しやすい状況が続いている旨。
景気減速リスクがなお強いとして、慎重なIMFの経済見通しである。
◇世界景気減速リスクなお強く;IMF予測、2023〜2024年3%成長 (日経 電子版 22:00)
→国際通貨基金(IMF)は25日、四半期に1度の経済見通しを公表、世界経済は2023〜2024年を通して3.0%の低い成長を見込む旨。足元まで堅調だった景気は、高インフレや金融引き締めの長期化が下押し圧力となる懸念が強い旨。
□7月26日(水)
我が国の人口動態が以下の状況に至っている、と改めての認識である。
◇日本人、全都道府県で初の減少;外国人299万人が底支え―人口動態調査 (日経 電子版 05:00)
→・日本人の人口は80万人減り、減少幅は調査開始以来最大に
・東京は2年連続で減少、沖縄県も初めて減った
・外国人は全都道府県で増加、経済や社会の担い手に
人口減が進む日本で外国人の重みが増している旨。2023年1月1日時点の日本人人口は1973年の調査以降初めて全都道府県で前年より減った旨。出生率が高い沖縄も初めて減少に転じた旨。外国人の人口は過去最多の299万人に増え、経済や社会の担い手として日本を底支えしている旨。
◇NYダウ26ドル高、6年5カ月ぶり12連騰;企業業績が支え (日経 電子版 06:10)
→25日の米株式市場でダウ工業株30種平均が12営業日連続で上昇、12連騰は2017年2月以来、6年5カ月ぶり。本格化している米企業の2023年4〜6月期決算で市場予想を上回るケースが相次ぎ、米景気が急激な落ち込みを回避する軟着陸を期待した投資家の買いが続いている旨。
□7月27日(木)
米国の商務省と国防総省が協力して投資先を選び、半導体を強化するとしている。経済安全保障の視点の高まりを反映している。
◇米商務省・国防総省、安保軸に投資先選別;半導体を強化 (日経 電子版 04:50)
→米国の商務省と国防総省は26日、安全保障に直結する半導体産業の生産基盤を強化するため協力すると発表、サプライチェーン(供給網)の構築や防衛関連技術の開発への貢献が期待できる企業を選別し、補助金などで優先的に支援するよう調整する旨。ウクライナ紛争で弱さが露呈した防衛産業の再建につなげる旨。
◇NYダウ、36年半ぶり13連騰;米景気の軟着陸に期待 (日経 電子版 07:30)
→26日の米株式市場でダウ工業株30種平均が13営業日連続で上昇し、1987年1月以来36年半ぶりの連騰記録となった旨。米連邦準備理事会(FRB)は同日に政策金利を22年ぶりの高さに引き上げたが、パウエル議長が経済の強さや金融システムの安定に自信をみせたこともあり、市場参加者は景気が大幅な冷え込みを回避する「軟着陸」への期待を強めた旨。
米国の第二四半期のGDPが、予想を上回る伸び、株価連騰を支える空気を盛り上げた可能性である。
◇GDP grew at a 2.4% pace in the second quarter, topping expectations despite recession calls ―US GDP clocks in a 2.4% annual gain in Q2 (CNBC)
→1)米国の第二四半期のGDPは、個人消費、政府支出および在庫の増加などにより、年率2.4%の増加となった旨。2.4%という数字は予想を上回り、民間国内投資が5.7%増、設備投資が10.8%増、構造物が9.7%増および国防費が2.5%増となるなど、広範な経済成長を示した旨。
2)*第二四半期の国内総生産(GDP)は年率換算で2.4%増となり、予想の2%増を上回った旨。
*個人消費が堅調で、非住宅固定投資、政府支出および在庫の増加が寄与した旨。
*商務省のインフレ率は2.6%上昇し、第一四半期の4.1%上昇から低下、予想の3.2%上昇を大きく下回った旨。
□7月28日(金)
◇NYダウ14連騰ならず;米金利上昇、利益確定の売り (日経 電子版 07:58)
→27日の米株式市場でダウ工業株30種平均は前日比237ドル(0.7%)安の3万5282ドルで引け、14営業日ぶりに下落した旨。米金利の上昇を材料に株式を売る動きが出た旨。前日まで36年ぶりとなる13連騰をしており、高値警戒感から利益確定狙いの売りも出やすかった旨。
14連騰になれば1897年以来、126年ぶりの記録になっていた旨。
□7月29日(土)
◇NYダウ反発、176ドル高;利上げ継続への警戒和らぐ (日経 電子版 05:56)
→28日の米株式市場でダウ工業株30種平均は反発し、前日比176ドル57セント(0.5%)高の3万5459ドル29セントで終えた旨。同日発表の経済指標がインフレ圧力の高まりを示さなかった旨。米連邦準備理事会(FRB)の利上げが継続するとの懸念が和らぎ、買いが優勢となった旨。
≪市場実態PickUp≫
【インテル関連】
上記の通り、第二四半期の業績盛り返しが見られるインテルであるが、現下の技術的な連携&取り組みから以下の通りである。
◇Intel, Asustek team up on development of NUC mini-PCs (7月22日付け Taipei Times)
→半導体大手、インテル社(Intel Corp)とPCブランドのアスーステック・コンピュータ社(Asustek Computer Inc、華碩)は、新世代のミニPCs、Next Unit of Computing(NUC)ラインの製造、販売およびサポートで提携することで合意した旨。
◇Intel Seeks To Win Over AI Developers With Open-Source Reference Kits―Intel touts open-source reference kits for AI developers (7月24日付け CRN (US))
→半導体大手、インテルは、同社のoneAPIプラットフォーム上に構築されたオープンソースのリファレンスキットによって、AIコンピューティング分野でライバルのNvidiaに対抗する勢いを得ようとしており、プロプライエタリな環境の制約を克服することで、「より速く、より低コストで」モデルをトレーニングできる旨。
◇Intel, Ericsson to work together on custom 5G chip (7月25日付け Reuters)
◇Ericsson to use Intel 18A for 5G SoCs―Ericsson's 5G SoC will leverage Intel's 18A process ―Ericsson is to use Intel’s 18A process to make 5G SoCs. (7月26日付け Electronics Weekly (UK))
→Ericssonは、インテルの次期18Aプロセスノードを使用したカスタム5Gシステムオンチップ(SoC)についてインテルと提携している旨。インテルによると、18Aテクノロジーは2年以内に完成する予定。
【TSMC関連】
アリゾナ工場の人材手当からくる遅れが、以下あらわされている。
◇TSMC's Arizona plant delayed into 2025 amid worker shortage (7月21日付け FierceElectronics)
→世界最大の半導体メーカーであるTSMCは、同社初の米国工場であるアリゾナ新工場の装置設備設置に十分な熟練労働者を見つけるのに苦労しており、TSMCのMark Liu会長によると、同工場の開設は2025年に遅れることになる旨。同社は第二四半期決算報告の中で、アリゾナの新工場での重要な製造装置を設置するための作業員が不足していると述べた旨。
今後の核となる3-nm半導体の見通しである。
◇TSMC: 3nm Chips for Smartphones and HPCs Coming This Year―TSMC says it's on track to ship 3nm-class nodes this year (7月21日付け AnandTech)
→TSMCは昨年末にN3(3nmクラス)プロセス技術による半導体の量産を正式に開始したが、今四半期にはついに最初の売上げウェハーを出荷する予定。アナリストや投資家との直近の決算説明会で同社は、3nm製品の需要は安定しており、スマートフォンや高性能アプリケーション向けの設計が今年後半に多数入ってくると述べた旨。さらに、N3E製造ノードは今年後半の量産に向けて順調に進んでいる旨。
台湾での先端半導体実装工場への投資計画が発表されている。
◇TSMC to invest $2.9 billion in advanced chip packaging plant in Taiwan―TSMC bets on AI boom with planned $2.9B plant investment (7月25日付け CNBC)
→1)台湾積体電路製造股份有限公司(Taiwan Semiconductor Manufacturing Co.:TSMC)は、AI半導体の需要が伸び続ける中、台湾の半導体実装工場に$2.9 billionの投資を計画している旨。C.C.Wei最高経営責任者(CEO)は、同社の先端実装能力は来年、今年の2倍になると見込んでいる旨。
2)*TSMCは人工知能(AI)ブームに乗じるため、台湾の先端半導体実装工場に約900億台湾ドル(約$2.87 billion)を投資する計画。
*台湾の中央通信社の報道によると、この投資は「AI市場の急成長」に端を発しており、「TSMCの先端実装に対する需要の急増」を牽引している旨。
*この投資により、地元で約1,500人の雇用が創出される見込みの旨。
◇Taiwan’s TSMC to invest $2.9 billion in new plant as demand for AI chips soars (7月25日付け CNN)
◇TSMC、台湾中部に4000億円新工場;生成AI需要に対応 (7月25日付け 日経 電子版 16:12)
→半導体世界大手の台湾積体電路製造(TSMC)は、高性能半導体の生産に必要な特殊工程「先端パッケージング」の新工場を台湾中部の苗栗県に新設する旨。投資額は約900億台湾ドル(約4000億円)を見込む旨。生成AI(人工知能)向けの需要増に対応する旨。
◇TSMC expanding packaging at Tongluo―RIDING THE AI WAVE: The chipmaker is experiencing difficulty supplying advanced chip packaging capacity thanks to robust demand for artificial intelligence chips (7月26日付け Taipei Times)
「台湾に根を下ろす」決意が、改めて表明されている。
◇Chip giant TSMC determined to 'keep roots in Taiwan': CEO―TSMC CEO says chipmaker to remain loyal to Taiwan (7月28日付け Yahoo/Agence France-Presse)
→半導体大手のTSMCは、世界最先端のマイクロチップの開発に向け、金曜28日に台湾北部に大規模な拠点を立ち上げ、「台湾に根を下ろす」決意を固めたと述べた旨。
【HBM(High Band Memory)の取り組み】
Micronより、24GbのDRAM半導体をTSV(Through Silicon Via)で8個重ねたという24GB HBM3 Gen2メモリが発表されている。AI(人工知能)需要を引っ張っていく期待である。
◇Micron Delivers Industry’s Fastest, Highest-Capacity HBM to Advance Generative AI Innovation (7月26日付け SEMICONDUCTOR DIGEST)
→Micron Technology社は本日、現在出荷中のHBM3ソリューションと比較して最大50%向上した、1.2TB/秒を超える帯域幅と9.2Gb/秒を超えるピン速度を備えた業界初の8-high 24GB HBM3 Gen2メモリのサンプル出荷を開始したと発表した旨。
マイクロンのHBM3 Gen2は、前世代と比較してワット当たり性能が2.5倍向上しており、人工知能(AI)データセンターの重要な指標である性能、容量および電力効率において新記録を打ち立てた旨。これらのマイクロンの改善により、GPT-4以降のような大規模な言語モデルのトレーニング時間が短縮され、AI推論のための効率的なインフラ利用が実現し、優れた総所有コスト(TCO)が実現する旨。
◇Micron Publishes Updated DRAM Roadmap: 32 Gb DDR5 DRAMs, GDDR7, HBMNext―Micron outlines DRAM plans for AI demands through 2026 (7月27日付け AnandTech)
→マイクロンは昨日、初のHBM3メモリ製品を発表したほか、AI顧客向けに今後数年間のDRAMロードマップを発表した旨。
◇Micron delivers fast, high- capacity HBM advancing generative AI innovation―Micron advances generative AI with HBM3 Gen2 memory (7月27日付け New Electronics)
→1)マイクロン・テクノロジーは、AIデータセンターの性能と効率に関する記録として、eight-highの24ギガビットHBM3 Gen2 メモリをサンプル出荷する旨。この高帯域幅メモリ(HBM)は、毎秒1.2テラバイトの帯域幅を提供する旨。
2)マイクロン・テクノロジーは、1.2TB/秒を超える帯域幅と9.2Gb/秒を超えるピン速度を備えた業界初の8-high 24GB HBM3 Gen2メモリのサンプリングを開始した旨。業界標準のパッケージ寸法で8-high cubeを実現の旨。
SamsungおよびSK Hynixも、同様に対抗する取り組みである。
◇Samsung and SK Hynix to expand packaging capacity for HBM―Sources: Samsung, SK Hynix aim to boost HBM packaging (7月26日付け DIGITIMES)
→情報筋によると、SamsungとSK Hynixは、広帯域幅メモリ(HBM)実装能力を拡大することで、HBMでの競争を目指している旨。スルーシリコン・ビア(TSV)実装プロセスのコストが、この動きを後押ししていると見られている旨。
【中国市場関連】
米国の輸出規制を受ける中での中国側の対応状況である。
◇Tech war: China’s chip reality imitates the drama it inspired as US silicon curtain draws near (7月22日付け South China Morning Post)
→*米国とその同盟国が中国への半導体輸出規制をエスカレートさせる中、北京は計算された報復措置で対応せざるを得なくなっている旨。
*中国国内半導体産業で見られる重要な変化は、川上と川下のプレーヤー間の連携緊密化である旨。
米国に足並みを揃える規制に踏み切った我が国に対する中国側の反発である。
◇半導体規制で日本に反発=対抗措置を示唆―中国 (7月24日付け 時事通信ニュース)
→中国外務省の毛寧副報道局長は24日の記者会見で、日本政府が半導体の輸出規制を強化したことを受け、「日本は中国の懸念を無視した。遺憾であり不満だ」と強く反発した旨。その上で、「当方の利益を断固として守る」と対抗措置を示唆した旨。
◇Japan enacts chip export controls at US behest―Tokyo puts semiconductor equipment export controls in effect as some push back against alignment with US-led sanctions on China (7月25日付け Asia Times)
ロシアへの半導体輸出が取り沙汰される記事内容である。
◇Exporting Chips To Russia―Opinion: Tracing chip exports to Russia can be interesting exercise (7月27日付け Electronics Weekly (UK))
→誰がロシアに最も半導体を送っているかは誰もが知っている--Vlad(ウラド)の「永遠の友人」である習近平だ--が、予告なしに、ロシアへのIC輸出第2位を想像する人は多くないだろう。・・・・・
Huaweiが、SMICと協力、5Gモバイル半導体の取り組みを再開するとのこと。
◇Huawei to restart 5G mobile chip output as early as this year―Huawei looks to revive its mobile chip output with SMIC ―Chinese tech giant lost access to global chipmaking partners in 2020 (7月27日付け Nikkei Asian Review (Japan))
→Huawei Technologiesは、半導体メーカーのSemiconductor Manufacturing International Co.(SMIC)社と協力し、5Gモバイル半導体事業を再開する旨。該中国のハイテク企業は3年前、米国の技術とグローバル・サプライヤーへのアクセスを失った旨。
【ドイツ政府の支援】
欧州半導体法の適用先でまず挙がってくるドイツであるが、ドイツ政府の支援対応が以下の通り示されている。TSMCとの話し合いがこれまで取り上げられているが、拍車がかかるかどうかに注目である。
◇Germany Confirms Off-Budget Fund to Support $22 Billion Chip Aid―Germany aims to support local chip production with $22B fund (7月25日付け BNN Bloomberg (Canada))
→ドイツ経済省によると、該政府は今後数年間、地元での半導体生産の発展を支援するため、約200億ユーロ($22 billion)相当の援助を準備している旨。
◇ドイツ政府、半導体工場誘致に3兆円;TSMCとも交渉 (7月26日付け 日経 電子版 01:26)
→ドイツ政府は半導体企業の工場を国内に誘致するため、今後数年間で約200億ユーロ(約3兆1200億円)の公的資金を投入する旨。ドイツ経済・気候省が25日、明らかにした旨。欧州連合(EU)が設定した430億ユーロの投資枠の半分近くを引き受ける旨。