米国Chips Act支援初回授与:Nvidiaの東南アジア、韓国とオランダとの連携
米国バイデン大統領が上院、下院の議論に時間を要したChips Actに署名したのが2022年8月、そして16ヶ月後、最初の助成金授与が軍需サプライヤー、BAE Systemsに対してこのほど行われている。すでに米国内での半導体製造強化に向けた各社の工場建設が開始済みであり、それぞれの助成に弾みとなる期待である。半導体関連の国際的な連携の動きが続いていく中、今週2件の動き。AI(人工知能)半導体で席巻するNvidiaのCEO、Jensen Huang氏が、製造拠点に向けてベトナム、マレーシアを訪問、もう1つは、韓国の大統領も訪れるとともに、SamsungおよびSK HynixがそれぞれオランダのASMLを訪問、具体的な連携を発表している。活況のAI半導体について、インテルがNvidiaそしてAMDに対抗する打上げを行い、以下に取り上げている。
≪米国製造強化の一方の国際連携≫
米国のCHIPS Actによる最初の助成金授与が、以下の通り行われている。
◇First CHIPS Act award of $35M goes to defense supplier in NH (12月11日付け FierceElectronics)
→半導体業界は、F-35戦闘機の部品を製造しているニューハンプシャーに拠点を置く軍需サプライヤー、BAE Systemsに対し、CHIPS Actに基づく最初の助成金$35 millionを祝った旨。この画期的な法律が超党派の投票によって可決され、バイデン大統領が2022年8月9日に署名してから16ヵ月後のこと。
◇Biden administration says New Hampshire computer chip plant the first to get funding from CHIPS law (12月11日付け The Associated Press)
→バイデン政権は月曜11日、F-15やF-35などの軍用機用半導体を製造しているニューハンプシャー州の工場で増産するため、BAEシステムズ社に$35 millionを提供すると発表した旨。
これは、昨年制定された超党派のCHIPS and Science Actによる奨励金の初回配分となるもので、米国における半導体の開発と製造を促進するために$52 billion以上が提供される旨。
これに対して、半導体関連業界団体、SEMIおよびSIAより称賛の声明が発表されている。
◇SEMI APPLAUDS ADVANCEMENT OF U.S. CHIPS AND SCIENCE ACT INCENTIVES (12月11日付け SEMI)
→グローバルなエレクトロニクス設計・製造サプライチェーンを提供する業界団体であるSEMIは本日、米国半導体業界のエコシステムを強化するための米国CHIPS and Science Act奨励金の最初の授与を称賛した旨。
「我々は、米国商務省がインセンティブを授与する際に取った思慮深いアプローチを称賛し、国内半導体サプライチェーンの弾力性を強化するインセンティブが前進したことを喜ばしく思う。」と、SEMI AmericasのPresident、Joe Stockunas氏。
◇Commerce Department Announcement Marks Milestone in CHIPS Implementation (12月11日付け SIA Latest News)
→米国・Semiconductor Industry Association(SIA:半導体産業協会)は本日、CHIPS and Science Actの一部として米国商務省が発表した最初の半導体製造インセンティブに対し、SIAのPresident and CEO、John Neuffer氏から以下の声明を発表した旨。
「本日の発表は、CHIPS and Science Actの大きな約束を果たし、米国の国家安全保障、重要なサプライチェーン、および経済を強化する道筋の重要なマイルストーンである。我々は、Raimondo長官とCHIPSプログラム・オフィスのチームが、CHIPSのインセンティブを開始するために熱心に取り組んでいることを称賛する。我々は、さらなるプロジェクトに資金が提供されることを楽しみにしており、CHIPS and Science Actが今後何年にもわたって米国の半導体生産と技術革新を再活性化することを確実にするため、商務省首脳と引き続き協力する用意がある。」
該CHIPS Actの製造インセンティブはすでに米国にて実質的に投資を行っている旨。実際、半導体エコシステムの企業は、CHIPS法が導入されて以来、アメリカ全土で数十の新規プロジェクトを発表しており、その民間投資総額は$200 billionを超えている旨。発表されたこれらのプロジェクトは、半導体エコシステムで4万人以上の雇用を創出し、米国経済全体でさらに数十万人の米国の雇用を支えることになる旨。
CHIPS Actによる助成について、米国商務省と各社との協議調整が難航している状況があらわされている。
◇Why billions of CHIPS Act dollars have not been distributed―US subsidy distribution for chip manufacturing hits snags ―The Department of Commerce said it is still in complex negotiations with chip manufacturers to ensure the federal funding is wisely spent on providing a base for new fabs and research facilities. (12月11日付け Computerworld)
→米国議会は、米国における半導体製造の "活性化 "のために数十億ドルを計上したが、個々の企業との交渉が複雑なため、現在のところ資金は分配されていない、と商務省は主張している旨。一方、紆余曲折の他の障害があり、一例として、TSMCは、熟練労働者の必要性を理由に、アリゾナ州の製造工場の完成時期を延期している旨。
以下にも示すNvidiaのAI半導体の中国への販売の問題であるが、それを抱えながらの今回のBAE Systemsへの助成授与となっている。
◇US in talks with Nvidia about AI chip sales to China - Raimondo―Raimondo: US, Nvidia discussing AI chip sales to China (12月12日付け Reuters)
→Gina Raimondo(ジーナ・ライモンド)商務長官は、米国は特定の制限付きで中国へのAI半導体の販売を許可することについてNvidiaと協議中であり、米国はファーウェイ・テクノロジーズからの半導体製造のブレークスルーを調査する予定であると述べた旨。ライモンド長官はまた、ニューハンプシャー州にあるBAEシステムズの工場への$35 millionの投資など、米国の半導体生産への投資も発表した旨。
次に、現下の半導体関連国際連携の動きについて、まずは、AI半導体のNvidiaのCEO、Jensen Huang氏のベトナム、マレーシア訪問関連である。
◇Nvidia’s CEO says Malaysia could be a hub for AI ‘manufacturing’―Jensen Huang, Nvidia’s founder and CEO, said this week he views Malaysia as a potential hub for AI manufacturing. (12月8日付け Fast Company)
→テクノロジー大手、NvidiaのCEOは金曜8日、マレーシアを人工知能(AI)「製造」の潜在的な拠点と見ていると語ったが、同社がこの東南アジアの国にAIデータセンターを設置するために地元のコングロマリットと交渉中であることは確認しなかった旨。
◇Infrastructure for the semiconductor industry in Viet Nam ready (12月8日付け Newswires)
→Viet Nam(ヴィエトナム)は、米国の半導体企業からの投資プロジェクトを受け入れるためのインフラと必要な条件の準備が整っている、とNguyen Chi Dung(グエン・チー・ディン)計画投資相。
◇Nvidia CEO aims to set up a base in Vietnam―Nvidia eyes Vietnam, Malaysia for expansion (12月10日付け Reuters)
→ベトナム政府は、半導体業界への働きかけに熱心であり、Nvidiaが同国に拠点を設ける計画であると、Jensen Huang CEOの発言を引用して伝えている旨。一方、フアンCEOはクアラルンプールで、同社がマレーシアをAI関連の活動拠点として考えていることを明らかにし、有望な現地のパートナー、YTL社を "驚異的なリーダーシップと遺産 "を持つ"驚異的な企業 "と呼んでいる旨。
◇Nvidia wants to set up chip base in Vietnam (12月12日付け Taipei Times)
→ベトナム政府がJensen Huang最高経営責任者(CEO)の発言を引用、米国の大手半導体メーカー、Nvidia社は、半導体産業を発展させるため、ベトナムに拠点を設けることを望んでいる旨。
Huang氏は、成長する半導体産業への投資を促進するために東南アジア諸国を訪問している旨。
◇米エヌビディア、ベトナム拠点検討;半導体・AI分野で (12月13日付け 日経)
→画像処理半導体(GPU)大手の米エヌビディアがベトナムで拠点開設を検討する旨。ジェンスン・フアン最高経営責任者(CEO)がこのほど、チン首相との会談で明らかにした旨。ベトナムは半導体産業の育成を進め、高い技術を持つ米国企業との連携を急いでいる旨。米越両政府の接近も追い風。
検討段階の模様であるが、今後に注目である。
次に、韓国とオランダの協力関連であるが、韓国・Yoon Suk Yeol大統領が登場する記事である、
◇Yoon says S. Korea to boost semiconductor cooperation with Netherlands, U.S., Japan: report (12月10日付け Yonhap News Agency)
→Yoon Suk Yeol(ユン・ソクヨル:尹錫烈)大統領は日曜10日、韓国はオランダ、米国および日本との半導体協力を「大幅に」強化する計画だと述べた旨。
◇S. Korea, Netherlands agree to establish 'semiconductor alliance' in summit (12月13日付け Yonhap News Agency)
→韓国とオランダは、水曜13日に行われた二国間首脳会談で、半導体などの最先端分野で緊密な産業提携を結ぶことに合意した旨。Yoon Suk Yeol(ユン・ソクヨル:尹錫烈)大統領とオランダのMark Rutte(マーク・ルッテ)首相は、尹大統領のオランダ訪問中にハーグで行われた首脳会談で、「半導体同盟」を成文化した共同声明を採択した旨。
◇Yoon vows full support for S. Korea-Netherlands chip cooperation (12月13日付け Yonhap News Agency)
→Yoon Suk Yeol(ユン・ソクヨル:尹錫烈)韓国大統領は火曜12日(現地時間)、オランダの半導体製造装置メーカー、ASMLの本社を訪問し、韓国とオランダの半導体協力を全面的に支援することを約束した旨。
SamsungそしてSK Hynixと、EUVリソグラフィ装置を主導するオランダ・ASMLとの具体的な連携が、以下の通りあらわされている。
◇Samsung, ASML agree to build W1tr research fab for chip equipment in Korea―Samsung, SK Hynix seek ties with ASML to boost chip gear ―SK hynix inks separate partnership to co-develop energy-efficient chip manufacturing technology (12月12日付け The Korea Herald (Seoul))
→1)サムスン電子とSKグループは、最先端半導体の製造に必要な極端紫外線(EUV)フォトリソグラフィ装置の唯一のメーカーであるASML社との提携を期待して、オランダにあるASML社の半導体拠点を訪問した旨。サムスン電子の李在鎔(イ・ジェヨン)会長とSKグループの車泰源(チェ・テウォン)会長の代表団は、半導体業界のリーダーであるASMとNXPセミコンダクターズとも会談する予定の旨。
2)サムスン電子とオランダの半導体製造装置サプライヤーASMLは火曜12日、次世代の極端紫外線(EUV)フォトリソグラフィ装置を使った「超ミクロ」レベルの半導体製造技術開発のため、約1兆ウォン($762 million)を共同投資して韓国に研究施設を建設することで合意した旨。
韓国産業省によると、SKハイニックスもまた、半導体製造にEUVを使用する際のエネルギー消費を最小限に抑えることを目的とした、環境に優しい技術の開発でASMLと協力することで合意した旨。
◇Samsung, ASML to invest W1 trillion to build research fab in Korea―SK hynix, Dutch firm to jointly develop eco-friendly, energy-saving tech (12月13日付け The Korea Times)
→サムスン電子とASMLは、極端紫外線(EUV)装置を使った最先端の半導体製造技術を開発するため、1兆ウォン(約$762 million)を共同投資して韓国に研究工場を建設することで合意した旨。
また、韓国の大手半導体メーカーであるSKハイニックスも、EUV装置を使用して半導体製造におけるエネルギー損失を削減する技術を共同開発する契約を該オランダ企業と締結した旨。
◇ASML, Samsung to spend US$760m to build S Korea plant (12月14日付け Taipei Times)
→ASMLホールディングNVとサムスン電子は共同で1兆ウォン($760 million)を投じ、最先端の半導体加工技術を開発する韓国工場を建設する旨。
これら協力&連携関係の今後の推移&展開に注目である。
コロナ「5類」移行とはいえ、インフルエンザが加わり一層用心怠りなくの現状と言えるかと思うが、コロナ前に戻る舵取りがそれぞれに行われている中での世界の概況について、以下日々の政治経済の動きの記事からの抽出であり、発信日で示している。
□12月12日(火)
年初来高値更新で始まって、米連邦準備理事会(FRB)の利上げ見送りから中日に初の3万7000ドル突破、連日更新と相成った今週の米国株式市場である。
◇NYダウ157ドル高、年初来高値更新;FOMC控え様子見も (日経 電子版 07:56)
→11日の米株式市場でダウ工業株30種平均は3営業日続伸し、前週末比157ドル06セント(0.43%)高の3万6404ドル93セントで終えた旨。2022年1月以来の高値をつけた旨。米連邦準備理事会(FRB)が2024年前半にも利下げに転じるとの観測が引き続き投資家心理を支えた旨。もっとも、週内に相次ぐ重要イベントを控えて様子見姿勢が強く、伸び悩む場面もあった旨。
米国が、ものづくりで中国を回避しようとしても、難しい状況があらわされている。
◇U.S. Companies Are Finding It Hard to Avoid China―US still relying on China despite diversification ―Data show that the two countries remain intertwined despite American efforts to diversify supply chains (The Wall Street Journal)
→米国企業は中国の製造分野へのエクスポージャーを減らし、代わりにメキシコ、ベトナムおよびインドネシアに目を向けようとしてきた旨。しかしデータによれば、東南アジアやメキシコから米国に出荷される製品のかなりの部分は中国資本の工場で製造されており、米国企業が中国の製造業者やサプライチェーンから切り離すのは難しくなっている旨。
米国の消費者物価指数(CPI)が、予想通りの鈍化を示している。
◇Inflation slowed to a 3.1% annual rate in November―Consumer inflation ticked upward in Nov. (CNBC)
→1)11月の米国の消費者物価は前月比0.1%上昇し、10月の横ばいから加速した旨。労働統計局によれば、前年同月比は3.1%の上昇で、前月発表の3.2%から若干の低下となった旨。食品とエネルギーコストを除いたコアCPIは前月比0.3%増、前年同月比4%増となった旨。
2)*インフレ指標として注目される消費者物価指数(CPI)は、11月に0.1%上昇し、前年同月比では3.1%上昇した旨。
*変動の大きい食品とエネルギー価格を除いたコアCPIは前月比0.3%上昇、前年同月比4%上昇した旨。
*ガソリンは6%、重油は2.7%低下と、エネルギー価格が2.3%低下したため、インフレが抑制された旨。食品価格は0.2%上昇した旨。
□12月13日(水)
◇米消費者物価、11月3.1%上昇;市場予想通り鈍化 (日経 電子版 05:58)
→米労働省が12日発表した11月の消費者物価指数(CPI)は、前年同月比の上昇率が3.1%となった旨。市場予想通り、10月の3.2%から鈍った旨。インフレ率の低下ペースは緩やかで、物価目標の2%に戻る道のりは長い旨。
◇NYダウ173ドル高;インフレ鈍化好感、ハイテク上昇 (日経 電子版 06:55)
→12日の米株式市場でダウ工業株30種平均は4日続伸し、前日比173ドル01セント(0.47%)高の3万6577ドル94セントで終えた旨。連日で2022年1月以来の高値となった旨。朝発表の11月の消費者物価指数(CPI)はほぼ市場予想通りの内容となり、インフレの鈍化が続いていると受け止められた旨。景気が大幅に悪化することなく、利上げ局面が終わりそうだという見方が株式相場を支えた旨。
Nvidiaのベトナム訪問を上に示しているが、中国との板挟みの同国の実態である。
◇習近平氏、ベトナムに「踏み絵」;日米との接近牽制 (日経 電子版 18:45)
→中国の習近平(シー・ジンピン)国家主席は6年ぶりとなるベトナム訪問で同国首脳と会い、両国関係の深化で合意した旨。ベトナムと日米の接近を警戒し、対中関係を優先するよう「踏み絵」を迫った旨。ベトナムは南シナ海を巡り中国と対立しており、対中一辺倒の外交にならないよう腐心している旨。
□12月14日(木)
COP28が閉幕、以下の通りあらわされる合意である。
◇COP28、曖昧な「歴史的合意」;気温上昇余地あと0.4度 (日経 電子版 05:00)
→第28回国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP28)は「化石燃料からの脱却」を成果文書に盛り込む「歴史的な合意」(欧米メディア)を得て閉幕した旨。だが化石燃料の大幅削減への道筋は曖昧。2015年のパリ協定は産業革命前からの気温上昇を1.5度に抑える目標をかかげ、上昇幅はすでに1.1度に達する旨。今回の合意に実効性を持たせられるかが試される旨。
◇FRB、3会合連続利上げ見送り;来年は利下げ3回分を予想 (日経 電子版 07:06)
→米連邦準備理事会(FRB)は13日開いた米連邦公開市場委員会(FOMC)で、政策金利を3会合連続で据え置いた旨。参加者は同時に公表した経済見通しで2024年に3回分の利下げを予想した旨。記者会見したパウエル議長は追加利上げの議論ではなく「いつ金融引き締めを縮小するかを話し合った」と明かした旨。
◇NYダウ、初の3万7000ドル突破;金利急低下・円142円台 (日経 電子版 07:34)
→13日の米株式市場でダウ工業株30種平均は5日続伸し、前日比512ドル(1.4%)高の3万7090ドル24セントと1年11カ月ぶりに史上最高値を更新した旨。3万7000ドル台に乗せるのは初めて。米連邦準備理事会(FRB)が2024年に3回の利下げを実施する予想を示し、過度な引き締め維持で景気が急減速するとの懸念が薄れた旨。
□12月15日(金)
◇NYダウ連日高値、158ドル高;利下げ期待で買い優勢 (日経 電子版 06:34)
→14日の米株式市場でダウ工業株30種平均は6日続伸し、前日比158ドル(0.4%)高の3万7248ドルで引けた旨。連日で史上最高値を更新した旨。早期かつ大幅な利下げへの期待の高まりに加え、朝方発表の小売売上高が消費の強さを映したことで買いが優勢となった旨。米長期金利は低下した旨。
□12月16日(土)
◇15日のNY市場は続伸 (diamond.jp 07:34)
→15日のNY市場は続伸。ダウ平均は56.81ドル高の37,305.16ドル、ナスダックは52.36ポイント高の14,813.92で取引を終了した旨。NY連銀のウィリアムズ総裁が早期利下げを否定したため、寄り付き後、下落。その後、アトランタ連銀のボスティック総裁が来年下半期の利下げを予想していると発言すると、上昇に転じた旨。
≪市場実態PickUp≫
【インテルのAI半導体】
AI半導体で席巻するNvidia、打ち上げで先行するAMDに対抗して、最大手、インテルが木曜14日、以下の通りAI半導体の取り組みを発表している。今後の市場の反応に注目である。
◇Intel dives deeper into AI with new mobile and server processors (12月14日付け FierceElectronics)
→インテルは木曜14日、AI半導体の分野で強力な競争相手であることを示すための「AI Everywhere」キャンペーンを開始した旨。 パット・ゲルシンガー最高経営責任者(CEO)とトップ・エグゼクティブは、同社がAI PCsや小型モバイル・デバイスだけでなく、巨大なデータセンター全体でAIのトレーニングや推論を行う顧客を支援できると主張した旨。ゲルシンガー氏は、AIが爆発的に成長するデータセンターを支援するため、第5世代Xeonプロセッサーを発表した旨。このニュースは、新しいAI PCコンセプトの一部であるモバイル向けCore Ultraプロセッサーの発表と対をなすもので、インテルはこのプロセッサーを搭載したノートパソコンやultrathinsを出荷している企業の名前を挙げた旨。
◇Intel CEO attacks Nvidia on AI: 'The entire industry is motivated to eliminate the CUDA market'―Reframing the AI framework, away from CUDA and toward more open standards. (12月14日付け Tom's Hardware)
→インテルのパット・ゲルシンガー最高経営責任者(CEO)は、インテル・コア・ウルトラおよび第5世代Xeonデータセンター・半導体をニューヨークで発表した際、AIには学習よりも推論技術の方が重要になると主張し、NvidiaのCUDA(Compute Unified Device Architecture:クーダ)技術を非難した旨。
◇Intel unveils new AI chip to compete with Nvidia and AMD―Intel's AI chip looks to take on Nvidia, AMD (12月15日付け CNBC)
→1)インテルが、AI半導体、Gaudi3を発表し、NvidiaのH100が支配する市場に照準を合わせ、Advanced Micro Devices(AMD)の次期MI300Xに先んじた旨。インテルはまた、ウィンドウズPCやノートPCおよびPCs向けに作られたCore Ultra半導体や、第5世代の新しいXeonサーバー半導体も発表したが、これらはすべてAI向けに特化したもの。
2)*インテルは木曜14日、ジェネレーティブAIソフトウェア用半導体、Gaudi3を含む新しいコンピュータ半導体を発表した旨。
*インテルはまた、ウィンドウズ・ラップトップやPCs向けに設計されたコア・ウルトラ・半導体や、新しい第5世代Xeonサーバー・半導体も発表した旨。
*インテルのサーバーおよびPC用プロセッサーには、AIプログラムをより高速に実行するために使用できるNPUs(ニューラルプロセッシングユニット)と呼ばれるAI専用部品が含まれている旨。
【米国の対中国規制関連】
Nvidiaの中国向けAI半導体が懸念となっている米国商務省である。
◇Nvidia talks to U.S. about its new AI chips for China (12月11日付け SILICON VALLEY BUSINESS JOURNAL)
→Gina Raimondo(ジーナ・ライモンド)米商務長官は、サンタクララを拠点とする半導体企業、Nvidiaが中国向けに開発している3つの新しい人工知能(AI)アクセラレータに注目していると述べた旨。
中国・Huaweiのスマートフォン搭載の先端プロセッサ半導体も、米国商務省にとって懸念材料。さらに別件も以下の通り見られている。
◇Raimondo Vows ‘Strongest Possible’ Action on Huawei’s Chip Breakthrough (12月11日付け BNN Bloomberg (Canada))
→Raimondo米国商務長官の発言は、中国のファーウェイ・テクノロジーズ社が比較的先進的なプロセッサを搭載したスマートフォンを開発し、驚くべき成功を収めたことを受けたものである旨。米国からブラックリストに載せられている同社は、パートナーのセミコンダクター・マニュファクチャリング・インターナショナル社(SMIC)と協力してプロセッサを製造した旨。この「Mate Pro 60」は8月に発売され、アップル社の「iPhone」に対抗して顧客を獲得、Huaweiの生産能力が予想以上に洗練されていることを示している旨。
◇Huawei chip again: 5nm breakthrough or inventory?―Some say Huawei shouldn’t have kept premium chips 3 years; others say replicating old chips isn’t worthwhile (12月15日付け Asia Times)
→ファーウェイ・テクノロジーズ(華為技術)の麒麟(きりん)5ナノメータ・半導体が新型ノートパソコンに採用されたことで、米国から制裁を受けた同社が新たな技術的ブレークスルーを達成したのか、それとも台湾製の在庫を使っただけなのかについて、ネット上で新たな議論が巻き起こっている旨。
米国の規制が中国に対してどの程度効果があるのか、そして、中国のある半導体設計会社の実態が以下の通りである。規制実施の難しさがあらわされている。
◇US updated semi export control to have little effort in stopping China semi development, says DIGITIMES Research (12月11日付け DIGITIMES Research)
→DIGITIMES Researchの米国半導体輸出制裁に関する最新レポートによると、2022年10月に中国の半導体業界発展を阻止することを目的とした輸出制限を課すと発表したのに続いて、米国政府は、2023年10月に高性能半導体および先端半導体製造装置(SME)輸出抑制の拡大を含む、中国の半導体業界に向けた複数の新しい措置を発表している旨。
◇China chip firm powered by US tech and money avoids Biden's crackdown―Sources: China's Brite Semiconductor gets funds, tech from US companies (12月13日付け Reuters)
→中国のある半導体設計会社は、米国の制裁を受けている中国のトップ・半導体・メーカーに一部所有されているが、米国のソフトウェアを購入しており、ワシントンが北京の半導体産業に対するアメリカの支援を阻止することを意図した新しい規則を適用することの難しさを強調している旨。
ロイターの調査によると、同社の声明、規制当局への提出書類、入札および人民解放軍(PLA)の研究者や研究機関による学術論文によると、該Brite Semiconductor社は、少なくとも6つの中国軍事サプライヤーに半導体設計サービスを提供している旨。
【米国New York州のR&Dセンター】
IBM、マイクロンなどとNew York州が連携、Albanyでの次世代半導体研究開発(R&D)センターの設立が、以下の通り発表されている。
◇New York Joins IBM, Micron in $10 Billion Chip Research Complex―N.Y., chip companies investing $10B in chip research site ―Planned facility to include advanced chip-making equipment made by ASML (12月11日付け The Wall Street Journal)
→ニューヨーク州は、IBMおよびマイクロンと提携し、アルバニー大学近くに$10 billion規模の半導体研究施設を建設、ASMLの先端半導体製造装置を用いる計画の旨。非営利団体NYクリエイツが該アルバニー・ナノテク・コンプレックスの建設を監督する旨。
◇New York Gov. Kathy Hochul announces $10 billion partnership at Albany NanoTech complex (12月11日付け WXXI News)
◇Governor Hochul Announces $10B Partnership On Next-Generation Semiconductor Research and Development Center (12月11日付け SEMICONDUCTOR DIGEST)
→Kathy Hochul(キャシー・ホーチュル)New York州知事は本日、IBM、マイクロン、アプライドマテリアルズ(AMAT)、東京エレクトロンなど半導体業界のリーダーと$10 billionのパートナーシップを結び、NY CREATESのアルバニー・ナノテク・コンプレックスに次世代半導体研究開発(R&D)センターを設立することを発表した旨。このパートナーシップは、世界で最も複雑で強力な半導体のR&Dを支援する最先端の高NA極端紫外線(EUV)リソグラフィセンター(北米初で唯一の公営高NA EUVセンター)の建設に資金を提供する旨。
New York州では、次の法制化が行われようとしている。
◇米NY州、「競合への転職禁止」違法に;来年にも成立 (12月12日付け 日経 電子版 03:19)
→従業員の競合先への転職を企業が阻むことを禁じる法律が来年にも米ニューヨーク州で成立する見通しとなった旨。もともと企業の知的財産や企業秘密を守るために州が転職制限を認めてきたが、従業員にとって転職や増収の機会を阻む不利なルールだとして反対の声があがっていた旨。
【SEMICON Japan 2023】
SEMICON Japan 2023(12月13−15日:東京ビッグサイト)にて、SEMIからの恒例の世界半導体製造装置売上高の予測である。本年の落ち込みから回復に転じて、2025年には過去最高を更新するとの見方となっている。
◇GLOBAL TOTAL SEMICONDUCTOR EQUIPMENT SALES FORECAST TO REACH RECORD $124 BILLION IN 2025, SEMI REPORTS (12月11日付け SEMI)
→SEMIは本日、SEMICON Japan 2023で発表した「年末半導体製造装置総予測-OEMの視点」において、半導体製造装置メーカーによる2023年の世界半導体製造装置売上高が、2022年の業界最高記録$107.4 billionから6.1%縮小し、$100 billionに達すると予測している旨。半導体製造装置の成長は2024年に再開し、2025年には前工程と後工程の両セグメントに支えられ、売上高は過去最高の$124 billionに達すると予測される旨。
◇Global Total Semiconductor Equipment Sales Forecast to Reach Record $124 Billion in 2025, SEMI Reports (12月12日付け SEMICONDUCTOR DIGEST)
→SEMIは本日、SEMICON Japan 2023で発表した「年末半導体製造装置総予測―OEMの視点」において、半導体製造装置メーカーによる2023年の世界半導体製造装置売上高が、2022年の業界最高記録$107.4 billionから6.1%縮小し、$100 billionに達すると予測している旨。半導体製造装置の成長は2024年に再開、2025年には前工程と後工程の両セグメントに支えられ、売上高は新たな最高の$124 billionに達すると予測される旨。
◇2023 sales of semi manufacturing equipment down 6.1% y-o-y―SEMI: Semiconductor manufacturing equipment sales down 6.1% this year (12月12日付け Electronics Weekly (UK))
→SEMIは本日、SEMICON Japan 2023で発表した「Year-End Total Semiconductor Equipment Forecast ― OEM Perspective(年末半導体製造装置予測-OEMの視点)」において、original equipment manufacturers(OEMs)による半導体製造装置総売上高が2023年には$100 billionに達し、2022年の業界記録$107.4 billionから6.1%縮小すると予測している旨。
我が国内での各社の取り組み関連が、以下の通りである。
◇Rapidus confident Japan can close '20-year' gap with global chip leaders―Rapidus sees chip market transitioning, giving Japan an opening ―Chairman of chipmaker says shift in tech trends is opportunity for newcomers (12月13日付け Nikkei Asian Review (Japan))
→日本政府が支援する半導体メーカーのラピダスは、日本の半導体産業がライバルに20年も遅れをとっているにもかかわらず、超先端半導体の生産競争でTSMCやインテルに追いつけると確信している旨。
◇マイクロン「最先端品、2025年から」;広島で開発・生産 (12月13日付け 日経 電子版 16:23)
→米マイクロン・テクノロジーは2025年から広島県の工場で最先端メモリーを生産する旨。13日に都内で始まった展示会「セミコン・ジャパン」で日本法人トップのJoshua Lee(ジョシュア・リー)氏が明らかにした旨。同氏は「(先端の露光技術である)EUVを日本に導入する最初の半導体企業となる」と話した旨。
◇TSMC-Sony venture calls for more chip suppliers to invest in Japan―Operator of Kumamoto factory says construction is making 'steady progress'―TSMC-Sony JV calls for Japanese suppliers to return home (12月14日付け Nikkei Asian Review (Japan))
→台湾セミコンダクター・マニュファクチャリング社(TSMC)、ソニーグループおよびトヨタ自動車のデンソーの合弁会社であるジャパン・アドバンスト・セミコンダクター・マニュファクチャリング社(JASM)は、世界的な半導体市場における日本の取り組みを後押しするため、日本のサプライヤーに国内での投資を求めている旨。
【AI関連】
引き続き相次ぐ発表、動きが見られているAI関連。まずは、AMDの次期AI半導体である。3D実装&統合技術の駆使をうかがわせている。
◇AMD’s Next GPU Is a 3D-Integrated Superchip ―The MI300 makes 13 pieces of silicon behave as one chip (12月6日付け IEEE Spectrum)
→AMDは本日開催された「AMD Advancing AI」イベントで、次期AIアクセラレーター半導体、Instinct MI300のを公開、それは前例のない3D統合の偉業である旨。
Windows 12そしてAI PCなど新たなキーワードの予感であるが、以下の噂の取り沙汰である。
◇Windows 12 and the coming AI chip war―A Windows release planned for next year may be the catalyst for a new wave of desktop chips with AI processing capabilities. (12月8日付け Computerworld)
→1年以上前から、マイクロソフトの定評あるオペレーティング・システムの次のメジャー・リリースであるウィンドウズ12が、早ければ2024年に登場するかもしれないという噂を耳にしてきた旨。いつものように、マイクロソフトはこれらの噂を肯定も否定もしない旨。そのため、インテルの最高財務責任者(CFO)であるDavid Zinsner(デビッド・ジンスナー)氏が最近、新しいPC(ひいてはプロセッサー)の売上を牽引するようなWindowsのリリースが来年に予定されていることをほのめかしたとき、舌が巻き始めた旨。
売上げの本格回復に向けて、AI需要に賭けるTSMC、とあらわされている。
◇TSMC bets on AI chips for revival of growth in semiconductor demand (12月8日付け Network World)
→Nvidiaとそのパートナーは、新しいGPUのリードタイムは最大52週間であるとしており、AIの売上げポテンシャルに依然楽観的である旨。
11月の売上は7.5%減少したものの、台湾積体電路製造(TSMC)は、AI需要が増加し、次世代iPhoneの開発が進むにつれて、半導体需要がまもなく回復すると確信している旨。
TSMCの月間売上高は$6.6 billion(2,060億台湾ドル)で、前月比7.5%減。
マイクロソフトがAI半導体研究所を公開、インテルから引き抜いた専門家が計画を主導した、としている。
◇MicrosoftがAI半導体研究所公開、インテル出身者が主導 (12月11日付け 日経 電子版 02:00)
→米マイクロソフトが対話型AI(人工知能)「ChatGPT」の動作に最適化した半導体の開発にこぎ着けた旨。米インテルから引き抜いた専門家が計画を主導した旨。自社のデータセンターに組み込んで処理性能やコストを改善し、生成AI分野での競争優位を固める構え。
台湾・TSMCと連携、5ナノ品を製造の旨。
◇マイクロソフト、AI半導体研究所を公開;インテル出身者主導、ハード一体開発で競争力 (12月12日付け 日経)
→米マイクロソフトが対話型AI(人工知能)「ChatGPT」の動作に最適化した半導体の開発にこぎ着けた旨。米インテルから引き抜いた専門家が計画を主導した旨。自社のデータセンターに組み込んで処理性能やコストを改善し、生成AI分野での競争優位を固める構え。
開発を主導したのはインテルに30年近く在籍し、2017年にマイクロソフトに転じたインド系の女性技術者、ラニ・ボーカー(Rani Borkar)氏。半導体分野の国際的な業界団体であるグローバル・セミコンダクター・アライアンス(GSA)で要職を務めるなど、業界の重鎮的な存在。
米国の規制で抑制されている中国のAI半導体の取り組みの状況である。
◇China tries for AI ICs―Report: China's AI chip progress slowed by US bans (12月12日付け Electronics Weekly (UK))
→1)アリババ(Alibaba)、バイドゥ(Baidu)、テンセント(Tencent)およびハイシリコン(HiSilicon)を筆頭とする多くの中国企業がAI ICsを世に送り出そうとしているが、EDA、半導体製造装置および人材の供給に対する米国の制限によって競争力が阻害されている可能性が高い、とTrendForceは報じている旨。
2)TrendForceによると、複数の中国企業がAI半導体を開発しようとしているが、米国の輸出規制が競争力を阻害している旨。HiSilicon、Tencent、BaiduおよびAlibabaが半導体開発をリードしているが、TrendForceは中国の先端プロセスへの野望には長期的な課題があると予想している旨。
【先端品での応酬】
最先端微細化で圧倒的にリードするTSMC、追いかけるSamsungであるが、Samsungが値下げ攻勢をかけているという報道の中、TSMCは品質重視を強調、応酬の様相が見られている。
◇TSMC banking on quality as Samsung said to cut chip pricing―TSMC points to quality amid Samsung's price cut reports (12月13日付け Focus Taiwan)
→サムスン電子が半導体価格の引き下げを検討していると報じられるなか、台湾積体電路製造股份有限公司(TSMC)は価格よりも製品品質重視を強調している旨。両社は2025年に2ナノメートルプロセスの半導体生産を開始することを視野に入れている旨。
◇TSMC banking on quality as Samsung cuts prices―BIGGEST PLAYER: TSMC dominated the global pure-play foundry market with a 57.9% share in the third quarter, ahead of Samsung in second with a 12.4% share (12月14日付け Taipei Times)
→台湾セミコンダクター・マニュファクチャリング社(TSMC、台積電)は昨日、ライバルのサムスン電子がまだ開発中の先端技術を使った半導体の将来市場で大きなシェアを獲得するために値下げを行っているという報道に対し、同社の顧客は価格よりも品質を優先していると述べた旨。