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現下の市場実態から:需要の落ち込み、DRAM減産への期待、ロシア流入、他

市場需要の落ち込みが如何に大きいか、現下の実態をあらわすデータが引き続いている。世界景気の不確実性が高まっているとして、国際通貨基金(IMF)は2023年の世界成長率の2%割れも視野に入れている。一方では、SamsungがDRAM減産を決めたのが大きな1つ、本年後半にも市場が回復するとの期待から、先行き半導体株指数の上昇が見られている。さらに実態として、制裁を加えられたはずのロシアに、米国製半導体が少なくとも1000億円が輸出され、中国経由が7割とのこと。塞ぐべき流出の穴が露呈している。市場の動きとしての注目は、インテルのPatrick Gelsinger氏がCEOとして初の中国訪問、そしてインテルのファウンドリー部門がArmと1.8nmモバイルSoCsで協力関係を組む動き、さらには生成AI関連を巡るこれまた熱い動きが引き続いている。

≪後半にも回復の熱い期待≫

半導体関連の視点で、需要の落ち込みの現況である。

◇Hammer time: PC shipments drop 29%; Samsung profits plunge 96% (4月10日付け FierceElectronics)
→メモリー半導体の過剰在庫とPCsやスマートフォンの需要減が、エレクトロニクス業界を直撃し続けている旨。

落ち込みがどの程度か、いろいろな切り口で関連する内容を取り出している。

◇台湾TSMC、4年ぶりの大幅減収;3月売上高15.4%減 (4月10日付け 日経 電子版 17:38)
→半導体大手の台湾積体電路製造(TSMC)は10日、3月の売上高が前年同月比15.4%減の約1454億台湾ドル(約6330億円)だったと発表、主力顧客の米IT企業が勢いを失い、2019年5月以来、約4年ぶりの減収となった旨。業界最有力企業の久々の大幅減収は、半導体景気の悪化を強く印象づけるものとなった旨。

◇Apple’s Mac shipments fall more than 40%, worse than major rivals (4月10日付け CNBC)
→*2023年第一四半期のApple Macの出荷台数は、前年同期比40.5%減少したと、マーケットインテリジェンスプロバイダーのIDCが発表した旨。
 *IDCのデータによると、Appleの全世界のPC市場シェアは、2022年第一四半期から2023年第一四半期にかけて、8.6%から7.2%に低下した旨。

◇パソコン世界出荷29%減 1〜3月、Appleは4割減 (4月11日付け 日経 電子版 04:47)
→米調査会社のIDCは10日までに、2023年1?3月の世界のパソコン出荷台数(速報値)が前年同期比29%減の5690万台だったと発表、過剰在庫や経済環境の悪化によるもので、減少は5四半期連続。出荷台数の上位5社では米アップルの減少幅が40.5%と最大だった旨。

◇Exports fall 19.1% as downturn continues‐NOT OUT YET: First-quarter exports contracted 19.2%, while imports fell 15.8%, both worse than a DGBAS forecast, indicating that markets have not recovered, an official said (4月12日付け Taipei Times)
→台湾・財務省が昨日発表したところによると、先月の輸出額は前年同月比19.1%減の$35.2 billionで、7ヶ月連続で減少した旨。これは、ほとんどすべての製品に対する需要が、当面回復の兆しがないまま低調に推移したためである旨。

◇DRAM、6%安;11カ月連続下落、PC向け需要弱く、大手メーカー、市況反転へ減産表明 (4月12日付け 日経)
→DRAMが一段と値下がりした旨。指標品の3月の大口取引価格は前月比6%安い旨。前月を下回るのは11カ月連続。搭載するデバイス製品の販売が個人消費の停滞で振るわず、需要家が調達を絞り込んだ旨。足元の需給を映すスポット(随時契約)価格も安い旨。大手のメモリーメーカーは減産を表明、市況反転を急いでいる旨。

◇「世界の工場」担う台湾IT総崩れ;売上高10年で最大下落 (4月13日付け 日経 電子版 12:00)
→世界のIT景気を占う台湾企業の業績が過去10年間で最大の落ち込みをみせている旨。直近3月の主要関連19社の売上高を集計したところ、前年同月比で約2割の大幅減収となった旨。半導体大手の台湾積体電路製造(TSMC)が約4年ぶりの減収となり、「iPhone」生産の主力を担う鴻海(ホンハイ)精密工業も21%の減収になるなど、総崩れの状態。

◇Tech war: China’s chip imports slump 23 per cent in the first 3 months as US trade sanctions, supply glut weigh on activity (4月13日付け South China Morning Post)
→*中国は1月から3月にかけて108.2 billion個の集積回路(IC)を輸入前年同期比22.9%減。
 *地政学的緊張と米国の対中制裁強化が如何に半導体取引の重荷になっているかを反映する貿易統計のアップデートである旨。

◇Global smartphone shipments expected to slump in 1Q23, says DIGITIMES Research (4月13日付け DIGITIMES Research)
→世界のスマートフォン出荷台数は、2022年第四四半期に3億台以上に達し、2023年第一四半期には2億6000万台程度まで落ち込むと推定され、両四半期とも前四半期比で2桁の割合で落ち込むと、DIGITIMES Researchの世界スマートフォン市場に関する最新の数字発。

随所に二桁%の落ち込みとなっており、世界景気の現在の概況が次の通りあらわされている。

◇世界景気に4つの試練、2023年2%割れも;G20結束示せず (4月14日付け 日経 電子版 19:34)
→世界景気の不確実性が高まっている旨。インフレと金融不安による信用収縮が実体経済の下押し圧力となり、途上国の過剰債務問題も火種としてくすぶる旨。国際通貨基金(IMF)は2023年の世界成長率の2%割れも視野に入れる旨。景気後退懸念を前に、20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議は結束を示せずに閉幕した旨。

なかなか加減が難しいところであるが、市場需要が増加に転じるようDRAMを"意味のあるレベル"に減産する措置をSamsungが表明して、本年下半期にもその反転を期待する内容が以下の通りである。

◇Samsung's chip production cut expected to hasten earnings recovery (4月8日付け The Korea Times)
→Samsung Electronicsは、遅くとも今年下半期には収益が着実に回復すると予想されると、国内証券アナリストが金曜7日に発表した旨。
この楽観的な見通しは、主に、メモリー半導体の製造量を "意味のあるレベル"にまで減らすという、同社の最新の決定によるものである旨。

半導体株の代表的な指数にも、そのあらわれである。

◇半導体株、市況底入れ先取り;資金集中に過熱感も (4月10日付け 日経 電子版 14:40)
→半導体株が市況底入れを先取りして上昇している旨。半導体株の代表的な指数、フィラデルフィア半導体株指数(SOX)は2022年10月の安値から約4割上がった旨。
在庫調整を進める半導体メーカーの業績はさえないものの、経験則から将来の需要回復を見込んだ資金流入が続く旨。過熱感が出始めているほか、景気後退による需要回復の遅れや米中対立などが水を差す懸念もある旨。

◇Samsung chip production cut good for the industry (4月12日付け Taipei Times)
→Samsung Electronics Coがメモリー半導体の減産を表明したことで、ライバルメーカーの株価が上昇、この動きは、業界全体の価格に打撃を与える供給過剰を緩和する可能性がある旨。Samsungは先週金曜7日に、過去10年以上で最小の利益を計上した後、”意味のあるレベル”まで生産を削減すると発表した旨。

◇「世界市場、7月以降回復」;サムスン・スマホ部門トップ (4月14日付け 日経)
→韓国サムスン電子でスマホ部門トップを務める盧泰文(ノ・テムン)氏は13日、日本経済新聞の取材に応じ、「スマートフォンの世界市場は2023年7月以降から徐々に回復に向かう」と述べた旨。

さて、これも現下の実態であるが、米国製半導体のロシアへの流入関連が以下の通りである。これまで少なくとも約1000億円の規模、香港を含む中国経由が7割とされている。迂回ルートの遮断撲滅が課題となる

◇Special report: How U.S.-made chips are flowing into Russia‐Are US fabricated ICs being smuggled into Russia? ‐Shipments from Hong Kong and China jumped tenfold after invasion of Ukraine (4月12日付け Nikkei Asian Review (Japan))
→Nikkei Asiaによると、ロシアのウクライナ侵攻を受けてバイデン政権が課した制裁にもかかわらず、米国で製造されたマイクロチップの一部がロシアに輸入されている旨。
これらの半導体は、中国や香港の貿易業者を通じて販売されている旨。

◇ロシアが米半導体輸入1000億円;制裁に穴、中国経由7割 (4月12日付け 日経 電子版 04:05)
→・米国の半導体が制裁を回避してロシアに流れている
 ・日経新聞の独自分析で、約1000億円分が判明した
 ・香港を含む中国経由での流入が約7割を占める
米国メーカーの半導体が米制裁を回避してロシアに流れている旨。ロシアのウクライナ侵攻以降の輸入データを日本経済新聞が分析したところ、インテルなど米社名が記された半導体の高額取引が2300件以上あり、少なくとも7.4億ドル(約1000億円)分が流入していた旨。輸出元の4分の3は香港を含む中国だった旨。半導体の輸出規制はロシアの武器製造に歯止めをかける重要施策で、抜け穴をふさぐ追加の手立てが必要。

◇米半導体ロシア流入、なぜ制裁に穴?;専門家2氏に聞く (4月13日付け 日経 電子版 05:00)
→米国メーカーの半導体が中国などからロシアに流れている。米国は第三国経由を含めて米半導体のロシア輸出を禁止するが、サプライチェーン(供給網)管理は必ずしも機能していない。専門家は「ロシアは欧米への技術依存から脱却できていない」と話す。高機能品で高いシェアを持つ米半導体の需要は高く、迂回取引の抑制が課題だ。
・・・・・

各社の動きの現下の実態から、まずはインテル。製品の再構築関連から。

◇Intel Axes Data Center GPU Max 1350, Preps New Max 1450 for 'Different Markets'‐Intel kills data-center GPU Max 1350, develops Max 1450 ‐Out with the old, in with the new (4月10日付け Tom's Hardware)
→インテルが、同社のコンピュートGPUsのData Center GPU Maxシリーズを事実上再構築の旨。

◇Intel pulls plug on server system design division‐Blueprints flogged off to Taiwan's MiTAC (4月13日付け The Register (UK))
→インテルは、データセンター・ソリューション・グループを閉鎖する計画を発表した旨。サーバーグレードのシステムの設計とプランニングを担当するインテルの部門が、パット・ゲルシンガーCEOの俎上にのぼる最新の犠牲者となった旨。

インテルのCEO、Patrick Gelsinger氏が、CEOとして初の中国訪問、関連の内容が以下の通りである。

◇China commerce minister, Intel CEO discuss semiconductor industry chain -commerce ministry‐Intel CEO, China's commerce minister talk chips (4月11日付け Reuters)
→インテルのCEO、Patrick Gelsinger氏は、北京で中国のWang Wentao(王文涛)商務部長と会談し、安全性と安定性の維持を重点に、世界の半導体産業のサプライチェーンについて協議した旨。

◇Tech war: China still an important market for US chip giant Intel, CEO Patrick Gelsinger says in Beijing trip (4月12日付け South China Morning Post)
→*IntelのPat Gelsinger氏がCEOとして初めて中国を訪問し、「中国はインテルにとって最も重要な市場の1つ」と語った旨。
 *米国の大手半導体メーカーの同社は、中国をターゲットとしたワシントンの輸出規制を遵守するため、データセンター用GPUの新バージョンを導入すると報じられている旨。

◇Intel chief stresses key microchip role of China (4月13日付け China Daily.com.cn)
→インテル社のCEO、Patrick Gelsinger氏が水曜12日、2021年にCEOに就任して以来、初めての訪中で、同社の持続可能な発展のための戦略における中国の重要性を強調した旨。

◇Intel's Gelsinger visits China for first time as CEO‐Intel CEO visits China; firm to shutter data center group (4月13日付け DIGITIMES)
→IntelのPat Gelsinger氏が今週、CEO就任後初めて中国を訪問、中国担当副社長のHan Zheng氏と会談した旨。

Samsung Electronicsが、FOWLP(fan out wafer level package)の取り組みを強化、関連生産ラインを日本に設置する計画としている。

◇Samsung steps up fan-out wafer-level packaging deployment (4月7日付け DIGITIMES)
→業界関係者によると、Samsung Electronicsが、ファンアウト(FO)ウェーハレベルパッケージング(WLP)分野での展開を強化し、日本に関連生産ラインを設置する計画である旨。

◇After recruiting TSMC veteran, Samsung is rumored to enter FOWLP mass production in 4Q23‐Report: Samsung to kick off FOWLP volume production in Q4 (4月11日付け DIGITIMES)
→Samsung ElectronicsのDS(デバイスソリューション)部門が、2023年第四四半期からファンアウト・ウェハーレベル・パッケージ(FOWLP)を量産に正式導入すると噂されている旨。

最後に、最先端リソグラフィのASMLであるが、2-nmのfab tool R&Dについて台湾政府に補助金申請を行ったとの記事である。

◇ASML applies for 2nm fab tool R&D subsidies in Taiwan, report says (4月10日付け DIGITIMES)
→ASMLは、2nmウェハーの光学測定装置の開発・生産資金として、台湾の経済部に研究開発(R&D)補助金を申請した、と台湾のTechNewsが不特定の政府筋の話を引用して報じた旨。


コロナ対応の完全には収まりきらない状況推移に対して、直面する事態への警戒感を伴った舵取りが各国それぞれに引き続き行われている中での世界の概況について、以下日々の政治経済の動きの記事からの抽出であり、発信日で示している。

□4月11日(火)

卸売物価の伸び鈍化を好感など概して上げ基調にあったが、一部に利上げ警戒感があらわれて最後に下げた今週の米国株式市場である。

◇NYダウ続伸、101ドル高;景気敏感株に買い (日経 電子版 05:38)
→10日の米株式市場でダウ工業株30種平均は3日続伸し、前営業日の6日に比べ101ドル23セント(0.3%)高の3万3586ドル52セントで終えた旨。前週末発表の3月の米雇用統計を受け、米景気悪化への過度な懸念が和らいだ旨。景気敏感株に買いが入り、ダウ平均を支えた旨。一方、ハイテク株は売りが優勢となり、相場の重荷となった旨。

中国そして米国ともに、消費者物価上昇の伸びの鈍化があらわされている。

◇中国消費者物価、3月0.7%上昇;2カ月連続伸び鈍化 (日経 電子版 11:05)
→中国国家統計局が11日発表した2023年3月の消費者物価指数(CPI)は前年同月比0.7%上がった旨。上昇率は2月から0.3ポイント縮小し、2カ月連続で鈍化した旨。国際商品市況の原油安を反映して、ガソリンなど交通燃料が下落に転じた旨。
耐久消費財やサービスなどの価格も伸び悩んだ旨。

□4月12日(水)

◇NYダウ続伸、98ドル高;建機や消費関連に買い入る (日経 電子版 06:06)
→11日の米株式市場でダウ工業株30種平均は4日続伸し、前日比98ドル27セント(0.3%)高の3万3684ドル79セントで終えた旨。米景気の先行き不安が後退し、景気敏感株の上昇がダウ平均を押し上げた旨。半面、主力のハイテク株には売りが目立ち、相場の重荷となった旨。

◇米消費者物価5.0%上昇;3月、9カ月連続で鈍化 (日経 電子版 23:18)
→米労働省が12日発表した3月の消費者物価指数(CPI)は前年同月比の上昇率が5.0%となり、9カ月連続で鈍化した旨。5.1%の市場予想を下回った旨。今後は金融不安を受けた米銀による融資の厳格化も企業活動を冷やし、物価の下げ圧力になりうる旨。

□4月13日(木)

◇NYダウ反落38ドル安;金融不安による景気懸念くすぶる (日経 電子版 06:11)
→12日の米株式市場でダウ工業株30種平均は5営業日ぶりに反落し、前日比38ドル29セント(0.1%)安の3万3646ドル50セントで終えた旨。午後公表の米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨(3月21〜22日開催分)で、金融不安の経済への悪影響が改めて意識され、相場の重荷となった旨。ただ、今後本格化する主力企業の決算発表を見極めたいとの雰囲気も強く、相場は総じて方向感を欠いた旨。

□4月14日(金)

◇NYダウ反発、383ドル高;卸売物価の伸び鈍化を好感 (日経 電子版 05:38)
→13日の米株式市場でダウ工業株30種平均は反発し、前日比383ドル19セント(1.1%)高の3万4029ドル69セントと、2月半ば以来の高値で終えた旨。同日発表の3月の米卸売物価指数(PPI)がインフレ鈍化を示し、米連邦準備理事会(FRB)の利上げ打ち止めが近いとの見方につながった旨。インフレ懸念と利上げ観測の後退を受け、ハイテク株や消費関連株が買われた旨。

□4月15日(土)

◇NYダウ反落、143ドル安;一段の利上げに警戒感 (日経 電子版 05:54)
→14日の米株式市場でダウ工業株30種平均は反落し、前日比143ドル22セント(0.4%)安の3万3886ドル47セントで終えた旨。朝方に米連邦準備理事会(FRB)のウォラー理事が一段の利上げに前向きな姿勢を示した旨。利上げ長期化により景気が冷えるとの警戒から、幅広い銘柄に売りが出た旨。同日発表の決算が好調だった銀行株の一角には買いが入った旨。


≪市場実態PickUp≫

【Intel FoundryとArmの協業】

Intel Foundry Services(IFS)とArmが、インテル 18A(1.8nm)プロセスモバイルSoCsとの表し方も見られる次世代先端&多世代協定を発表ということで、以下の取り上げである。

◇Intel will likely make your next phone’s chip (4月12日付け PC World)
→インテルとArmが製造契約を結び、おそらくArmの携帯電話用プロセッサがインテルのファブ作られることになる旨。

◇Intel Foundry and Arm to Collaborate on 1.8nm Mobile SoCs‐Intel and Arm will optimize mobile cores for Intel's 18A node. (4月12日付け Tom's Hardware)

◇Intel will likely make your next phone’s chip‐Intel and Arm signed a manufacturing deal that will probably see Arm phone processors made at Intel's fabs. (4月12日付け PCWorld)

◇Intel Foundry and Arm Announce Multigeneration Collaboration on Leading-Edge SoC Design‐Collaboration to bring chip designers a powerful combination of Arm core and Intel angstrom-era process technology advancements. (4月12日付け Intel)
→Intel Foundry Services(IFS)とArm社は、本日、半導体設計者がインテル 18Aプロセスで低消費電力コンピュート・システムオンチップ(SoC)を構築できるようにするための多世代協定を発表した旨。

◇Intel Foundry and Arm Announce Multigeneration Collaboration on Leading-Edge SoC Design (4月12日付け SEMICONDUCTOR DIGEST)
→Intel Foundry Services(IFS)とArmが本日、半導体設計者がインテル18Aプロセスで低消費電力コンピュートsystem-on-chips(SoCs)を構築できるようにするための多世代契約を発表した旨。この協業は、まずモバイルSoCの設計に焦点を当てるが、自動車、Internet of Things(IoT)、データセンター、航空宇宙および政府関連アプリケーションへの設計拡張の可能性もある旨。

◇Intel touts Arm partnership as it looks to expand foundry opportunities (4月13日付け SILICON VALLEY BUSINESS JOURNAL)
→Intelが、Arm Ltd.に注目、受託半導体製造の取り組みで優位に立つ旨。同社CEOのPat Gelsinger氏は、「IntelとArmのコラボレーションは、ファウンドリー事業、IFSの市場機会を拡大することになる」と述べた旨。

◇Intel Foundry and Arm announce multigeneration SoC design collaboration‐Intel Foundry teams up with Arm for SoC designs (4月13日付け New Electronics)
→ArmがIntel Foundry Servicesと協力、ArmのモバイルIPをIntel 18Aファブリケーション技術で最適化し、まずはモバイルシステムオンチップ(SoC)の設計に注力する計画。この合意は、IntelがスマートフォンやタブレットPCに使用されるArmの半導体の生産を開始することを意味する可能性がある旨。

◇英アームの半導体技術使用、米インテルが受託生産 (4月14日付け 日経)
→米インテルは12日、受託生産部門が英半導体設計アームと協業し、同社の技術を使ったスマートフォンなど向けの半導体をインテルの工場で造れるようにすると発表、すでに米クアルコムやアマゾン・ウェブ・サービス(AWS)から生産受託を決めており、モバイルの先端分野での受け皿を広くして工場の競争力を高める狙い。

本件、論評記事が見られている。

◇Intel’s foundry bet might split the market in three (4月14日付け Taipei Times)
→インテル社がカスタムチップ製造業界に参入する大胆な計画は、台湾積体電路製造(TSMC)の支配に対抗し、最先端製造の供給を促進することを目的としている旨。
その代わり、この動きは市場を3つに分け、該米国の巨大企業が真ん中から抜け出せなくなる可能性が高い旨。
最高経営責任者のPat Gelsinger氏は2年前、インテルの製造工場(ファブ)を外部顧客に開放する意向を表明し、アリゾナ州の2つの新拠点に$20 billionを投資した旨。


【生成AI関連】

生成AIを巡る目まぐるしい動きの推移にまずは注目せざるを得ないということで、引き続き以下の通りである。

◇生成AIの事業活用、有望6分野;設計時間を9割短縮 (4月10日付け 日経 電子版 02:00)
→プログラムから画像、人間のような声まで全く新たなコンテンツを生成する生成AI(人工知能)を事業で活用する動きが広がっている旨。インフラ施設を設計する時間を最大90%短縮するなど、大幅な効率化を実現する旨。設計や新材料の探索、調達の計画立案など特に有望な6分野の用途を紹介する旨。
 ・建物の設計
 ・製造業&製品の設計
 ・インフラの設計
 ・材料探索
 ・自動運転車用の合成データ
 ・調達

◇「ChatGPT」CEO来日、個人データ保護「政府に協力」 (4月10日付け 日経 電子版 16:43)
→対話型の人工知能(AI)、「ChatGPT(チャットGPT)」を開発した米新興オープンAIのサム・アルトマン(Sam Altman)最高経営責任者(CEO)が来日し、10日に岸田文雄首相らと面会した旨。欧米では個人データの扱いなどを巡ってチャットGPTの警戒論が高まっている旨。アルトマン氏は課題への対処で日本政府と連携する意向を示した旨。

◇中国、生成AIに審査義務;「国家分裂の扇動」など禁止 (4月11日付け 日経 電子版 17:19)
→中国政府は11日、精緻な文章や画像などを作り出す生成AI(人工知能)の規制案を発表した旨。社会主義体制の転覆や国家の分裂などを扇動する内容を禁止し、当局による事前審査を義務付ける旨。生成AIを含めてネット世論の統制を強化する旨。

◇ChatGPT開発のOpenAI、バグ発見者に最大270万円 (4月12日付け 日経 電子版 12:10)
→対話型の人工知能(AI)、ChatGPT(チャットGPT)を開発した米新興オープンAIは11日、AIのシステムに脆弱性を見つけた人に最大で報奨金2万ドル(約267万円)を支払うと発表、AIの安全性に対する懸念が世界中で広がる中、外部に広く募ることで弱点を見つけ出し、サイバー攻撃や機能の寸断に備える狙いがある旨。

Amazonも参入、ビッグな顔ぶれの揃い踏みである。

◇Amazon、生成AI参入;自社クラウド経由で提供 (4月14日付け 日経 電子版 06:39)
→米アマゾン・ドット・コムは13日、ネットワーク経由で情報システム機能を使えるクラウドコンピューティングを通じ、文章などを自動でつくる生成人工知能(AI)を提供すると発表、クラウドを通じた生成AIの提供は米マイクロソフトや米グーグルも準備する旨。業界最大手のアマゾンの参入で、生成AIの利用環境の整備が世界で進む旨。

◇AI Industry Responds to Call for Pause on AI Development‐The paper calls for a 6-month pause on the training of AI systems. (4月14日付け EE Times)
→AI業界は、AI学者やハイテク業界の主要人物が署名したFuture of Life Instituteの公開書簡に応じ、該書簡はGPT-4より強力なAIシステムの訓練を6ヶ月間休止するよう求めている旨。

◇クラウド3強、主戦場は生成AI;忍び寄る下克上の足音 (4月14日付け 日経 電子版 08:28)
→IT市場を牽引してきたクラウドコンピューティングの分野で、文章や画像などを自動的に作る生成人工知能(AI)が新たな競争軸として浮上してきた旨。最大手の米アマゾン・ドット・コムが13日に参入を発表し、「3強」の戦略が出そろった旨。ただ、新興勢の伸長も目立ち、意外な企業が覇権を握る下克上の可能性もある旨。

【CHIPS Act関連】

米国CHIPS Actの補助金申請、そして欧州版CHIPS Actへの対応を巡る韓国、そしてTSMCの動きを取り出している。

◇'US should ease subsidy requirements for semiconductors and EVs' (4月8日付け The Korea Times)
→Yoon Suk Yeol(ユン・ソクヨル:尹錫烈)大統領が4月末にワシントンを公式訪問するのを前に、米国は韓米間の相互利益を高めるために半導体と電気自動車(EV)への補助金要件を緩和すべきだと、シンクタンクが提言している旨。

◇TSMC talking to US about CHIPS Act 'guidance' amid subsidy concerns (4月10日付け Reuters)
→台湾の半導体メーカー、TSMCが月曜10日、米国の半導体製造を後押しするために作られた法律で、補助金基準に関する懸念を呼び起こしている”ガイダンス”についてワシントンとやりとりしていると述べた旨。

◇TSMC talking to US about CHIPS Act 'guidance' amid subsidy concerns‐TSMC converses with US on subsidy CHIPS Act 'guidance' (4月10日付け Reuters)
→Taiwan Semiconductor Manufacturing Co.(TSMC)が声明で、「CHIPS ACTのガイダンスについて米国政府とやりとりしていることを確認できる」と述べている旨。

◇TSMC wants to cash its US CHIPS but seems unhappy with the red tape‐Could it be the profit sharing, China ban, or demands for trade secrets? (4月11日付け The Register)
→TSMCは、米国のCHIPS法補助金の機会について、少なくとも何らかの懸念を表明した最新のファウンドリ事業者である旨。

◇Possible Huge SubsidiesTSMC Moves to Preoccupy EU Market Eyeing EU Semiconductor Act (4月11日付け Business Korea)
→台湾のTSMCは、半導体メーカーに約60兆ウォンの補助金を与えるEU版America's Chips Actの成立が秒読みとなり、EU市場を先取りする有利なポジションを確保している旨。


【中国のMicron調査】

中国サイバースペース管理局が中国におけるMicronの製品についてセキュリティ上の調査を開始するという件であるが、影響そして波紋が以下の通り取り沙汰されている。同じメモリ分野の韓国勢には、むしろ利するとの見方もあらわされている。

◇Micron chip imports face scrutiny in China in likely retaliation for U.S. export controls (4月10日付け SILICON VALLEY BUSINESS JOURNAL)
→半導体をめぐる米国と中国の間の緊張はエスカレートし続けており、Micronが、半導体の輸入に関する中国の調査の最新のターゲットとなっている旨。

◇China's probe into Micron may benefit Samsung and SK Hynix (4月10日付け DIGITIMES)
→中国サイバースペース管理局は3月31日、「重要な情報インフラのサプライチェーンの安全性を守る」という理由で、中国における Micronの製品について調査を開始したと発表した旨。この動きは、ワシントンが中国の発展を技術的・戦略的に抑制していることに対する北京の報復と見られている旨。
アナリストはマイクロンの影響について様々な見解を示しているが、多くのアナリストは、この調査がSamsung ElectronicsやSK Hynixなど、Micronの中国における韓国の競合他社に利益をもたらすかもしれないという考えを共有している旨。

◇With China's cybersecurity review of Micron, what kind of warning is it sending?‐Will China's cybersecurity review of Micron lead to more probes? (4月10日付け DIGITIMES)
→中国は、同国内で販売されているMicron Technologyのメモリ製品について、サイバーセキュリティの審査を開始した旨。中国で初めてこの審査を受ける外国半導体企業となり、同社の事業見通しに暗い影を落としている旨。

◇ANALYSIS:China's Micron probe unlikely to affect Samsung, SK (4月10日付け The Korea Times)
→北京は最近Micron Technologyに対するサイバーセキュリティ調査を開始することを決定したため、Samsung ElectronicsおよびSKを新しいサイバーセキュリティ調査の対象とする懸念があるが、中国の半導体自給率向上の取り組みに韓国企業が継続して大きく貢献していることから、両社に対して明らかな報復措置を取る可能性は低い、と政府関係者は述べている旨。


【半導体業界データから】

米国の対中規制から、中国向け半導体装置の輸出額の減少ぶりである。

◇US, Japanese, and Dutch semiconductor equipment export values to China dropped; more substantial strategies demanded by expert (4月7日付け DIGITIMES)
→日本経済新聞が日本の半導体業界の幹部を引用して報じたように、2022年第四四半期の日本の中国向け半導体装置の輸出額は前年同期比16%減少し、同時期の米国とオランダはそれぞれ同50%と44%減少している旨。一方、中国以外の国への半導体装置の輸出額は増加しており、日本は26%、米国は10%の伸びを示した旨。

本年の我が国シリコン(単結晶)の生産量、以下の通り、横這い見込みである。

◇半導体シリコンの生産 横ばい;業界団体調べ、2023年の国内 (4月11日付け 日経産業)
→新金属協会(東京・港)は半導体に使うシリコン(単結晶)の2023年の国内生産量が、2022年から横ばいの1万1360トンになりそうだと発表、半導体市場の落ち込みで出荷が鈍化しているが、年後半の需要回復を見込む旨。

昨年の半導体製造装置の世界販売額が、過去最高に達した、とSEMIの発表である。

◇Global Semiconductor Equipment Billings Reach Industry Record $107.6 Billion in 2022, SEMI Reports (4月13日付け SEMICONDUCTOR DIGEST)
→世界のエレクトロニクス設計・製造サプライチェーンを代表する業界団体、SEMIが、2022年の半導体製造装置の世界販売額が2021年の$102.6 billionから5%増の$107.6 billionと過去最高に達したと本日発表した旨。このデータは、世界半導体製造装置市場統計(WWSEMS)報告書で利用可能の旨。

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