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対中規制を敷く中のBiden大統領一般教書:半導体バブル崩壊の様相例

新型コロナウイルスによる累計感染者数は土曜11日午前0時時点、世界全体で6億7254万人に達し、1週間前の朝方から約127万人増と、前週比15万人減である。なお用心を要する中、我が国では来る3月13日から、屋内外問わず個人の判断でのマスク着用要否に向かう運びである。米国Biden大統領の恒例の一般教書演説が行われ、半導体関連の下りへの米国内の歓迎の反応が見られる一方、対中国の半導体輸出規制への関係各国の対応&対策がもろ手を挙げてとはいかない事情があるだけに、様々に引き続いている。昨年後半以降急激に悪化して、半導体バブル崩壊というあらわし方も見られるが、現下の市場状況、および今後の見方について以下注目している。

≪長期的には伸びる半導体への期待≫

対中国の半導体輸出規制について、米国と日本、オランダとの政府間の協議の今後が、当面の注目である。

◇Japanese chip equipment makers closely watch new export bans on China; Canon sees limited impacts (2月3日付け DIGITIMES)
→米国政府は、日本政府およびオランダ政府と、中国への半導体装置輸出に関する新たな規制について協議していることを認めたため、大方が、この協定が日本の半導体装置メーカーにどのような影響を与えるかを推測している旨。現時点では、装置メーカーは直接的なコメントを控えているか、この協定がどのような影響を与えるかについて慎重な楽観論をあらわしている旨。

先端製造装置の輸出の扱い如何がある。

◇Tech war: China faces more US pressure on semiconductor front in 2023 amid tightened export controls backed by Japan, Netherlands (2月6日付け South China Morning Post)
→*米国は安全保障上の懸念に乗じて、中国に対してさらなる半導体輸出規制を課すよう同盟国を説得すると予想される旨。
 *オランダのASML社の特定の高度なウエハー製造装置が中国に立ち入れないようになるとの観測が広がっている旨。

このような中、Biden大統領の本年の一般教書演説が行われ、概要が次の通りである。

◇バイデン氏「対中競争勝利へ結束を」;一般教書演説 (2月8日付け 日経 電子版 12:49)
→バイデン米大統領は7日午後9時(日本時間8日午前11時)、連邦議会の上下両院合同会議で内政・外交方針を示す一般教書演説に臨んだ旨。「中国との競争に勝つには我々全員が結束しなければならない」と述べ、与野党が一致して中国に対峙すべきだと促した旨。政府債務の上限引き上げ問題でも野党・共和党に協力を求めた旨。

米国・Semiconductor Industry Association(SIA)が、半導体関連、特に昨年制定されたCHIPS and Science Actに対して、絶大な称賛の反応である。

◇President Biden Highlights Importance of CHIPS Enactment During State of the Union Address (2月7日付け SIA Latest News)
→米国・Semiconductor Industry Association(SIA)は本日、Biden大統領の一般教書演説に関するSIAのPresident and CEO、John Neuffer氏の声明を発表した旨。
「今夜の一般教書演説で、Biden大統領は、昨年の歴史的なCHIPS and Science Actの制定を強調した。これは、米国の経済、国家安全保障、および半導体サプライチェーンを大いに強化する画期的な新法である。CHIPS法が導入されて以来、半導体エコシステムの企業は熱狂的に反応し、アメリカ全土で総額数千億ドルの民間投資による新規プロジェクトを発表し、数十万人のアメリカ人の雇用を支えている。」
「我々は、バイデン大統領と議会の指導者たちのCHIPS法制定へのたゆまぬ努力を称賛し、CHIPS法が効果的、効率的、かつタイムリーに実施されるよう政権に強く要請する。そうすることで、新法のインパクトを最大化し、今後何年にもわたって米国における半導体生産とイノベーションを再活性化することができる。」
「また、米国のハイテク労働力を強化し、基礎研究とイノベーションに投資し、自由で公正な貿易と弾力的なグローバル・サプライチェーンを促進するために、ワシントンの指導者と協力することを期待している。」

◇Industry Urges Biden Administration to Maximize CHIPS Act Impact After President's Annual Address (2月9日付け GovConWire)
→米国・Semiconductor Industry Association(SIA)のpresident and CEO、John Neuffer氏は、現政権と議会指導者がCHIPS and Science Actを制定したことを称賛し、米国の国家安全保障、経済および半導体サプライチェーンの強化に役立つと述べている旨。

米国国内の半導体製造強化を目指すCHIPS Actに対し、対中国の輸出規制という重しがかかって、中国における半導体関連ビジネス比率の高い各国各社には非常に難しい対応が迫られている。

韓国からは、何らかの免除を求める動きが伝えられている。

◇Samsung, SK hynix executives seek waiver from CHIPS Act in U.S.‐Sources: Samsung, SK Hynix want CHIPS Act waiver (2月7日付け Pulse by Maeil Business Newspaper (South Korea))
→Samsung ElectronicsとSK Hynixが、2022年にJoe Biden大統領が承認した米国CHIPS and Science Actの免除を求めるロビー活動を展開していると、情報筋が報じている旨。半導体は韓国の対外出荷の20%を占めており、輸出規制が韓国経済に影響を与える可能性があると分析している旨。

中国発の率直な言い分、見方である。

◇Tech war: starved of chips, China’s bid to topple US as No 1 economy faces ‘unprecedented’ pressure (2月8日付け South China Morning Post) 
→*米国の技術封じ込めにより、一部の国際機関は、中国が世界一の経済大国になるという予測を、完全とは言わないまでも、遅らせるようになった旨。
 *中国のデジタル経済は国内総生産(GDP)の39.8%を占めているが、今後の成長を支えるにはハイエンドの半導体チップが必要である旨。

◇Tech war: Chinese factories fret over potential Japanese chip equipment ban, swarm second-hand dealers with enquiries (2月8日付け South China Morning Post) 
→*日本が、半導体製造装置の輸出規制を強化する米国の要請に同意したと報じられた後、中国の工場は最悪の事態に備えつつある旨。
 *日米両国はまだ合意の詳細を公式に発表していないが、ニコンや東京エレクトロンなどのサプライヤーに影響を与える可能性がある旨。

我が国でもそのまま規制に従えない状況がうかがえている。

◇Japan may opt for milder chip-equipment curbs on China than U.S, says lawmaker (2月8日付け Reuters)
→日本の与党有力議員が水曜8日にロイター通信に語ったところによると、日本は中国での半導体製造装置販売について、輸出抑制で合意していても、米国が実施するよりも穏やかな制限を選ぶ可能性があるとのこと。

Chips Actの運用について、今後の予定があらわされている。

◇US DoC sets out stages for spending Chips Act money‐US Commerce Department will consider CHIPS Act funding (2月9日付け Electronics Weekly (UK))
→米国商務省が、Chips Actの資金提供の段階と申請プロセスの詳細を発表していく旨。2月下旬には、商用の最先端、現行、および成熟したノードfab拠点に対するNotice of Funding Opportunityを発表する予定の旨。

中国からインドに生産拠点を移す韓国での動きである。

◇Samsung, LG shift away from China toward India as production base (2月9日付け The Korea Herald)
→韓国のハイテク大手は、米中対立を取り巻く不透明感が残ることによるダメージを軽減し、世界第5位の経済大国にさらに食い込もうと、生産拠点を中国からインドにシフトしている旨。

米国半導体関連業界の複雑なスタンスが、次の通りである。

◇先端半導体の対中禁輸、米産業界の的は日本とオランダ (2月10日付け 日経 電子版 02:00)
→米国の働きかけで日本とオランダも、先端半導体に関する対中輸出制限に加わらざるを得なくなった旨。今回のターゲットは半導体製造装置で、世界大手の東京エレクトロンとオランダ・ASMLが影響を受けそう。米バイデン政権の意向だけでなく、米半導体業界がこうなるよう強く要請していた旨。

中国のSMICは、先端は避けて、投資水準は維持するとしている。

◇SMIC、高水準の投資維持;今期、対中規制の先端分野避け (2月10日付け 日経)
→中国の半導体受託生産最大手、中芯国際集成電路製造(SMIC)は9日、2023年12月期の投資額について前期並みの高水準を維持すると発表、米国が半導体分野の対中規制を強化しているため、習近平(シー・ジンピン)指導部の支援を受けて高水準の投資で生産能力の拡大を急ぐ旨。
前期の投資額は$6.35 billion(約8300億円)で、前の期に比べ約4割増え過去最高だった旨。

次に、昨年後半以降急激に悪化した半導体市場の端的な状況をいくつか取り出している。

半導体バブル崩壊という表現も見られる現況である。

◇Semiconductor world in for a rough ride as chip bubble bursts‐Slacking demand, chip glut puts pressure on chip outfits ‐Just don't expect foundry spending to stop anytime soon (2月4日付け The Register (UK))
→市場に溢れる半導体と不透明な世界経済が、直近ではサムスンとSKハイニックスに代表される一連の期待外れの業績報告を引き起こした旨。個人消費の落ち込みにより、DRAMとNANDフラッシュの在庫が積み上がり、インテル、AMDおよびクアルコムの業績を圧迫している旨。

象徴的な例として、DRAM価格の急激な落ち込み関連である。

◇DRAM、下げ幅拡大、1月1割安、生産調整もなお余剰、大口価格 (2月7日付け 日経)
→半導体メモリーの値下がり幅が拡大、代表品種でデータの一時保存に使うDRAMは1月の大口取引価格が前月から1割弱下落した旨。NAND型フラッシュメモリーは前四半期比で2割ほど安い旨。搭載するパソコン(PC)やスマートフォンなどの販売減で余剰感が強まっている旨。メモリーメーカーは生産調整を進めているが、需要の落ち込みに追いつけず、さらなる安値提示につながった旨。

◇When will the DRAM industry see spring swallows re-appear?‐DRAM contract prices are expected to fall 30%-40% this year (2月8日付け DIGITIMES)
→2022年に40%以上急落したDRAM価格は、2023年には携帯電話やノートPCのメインストリーム向けが通年で比較的不透明であることから、さらに30〜40%下落する可能性がある旨。

韓国と台湾における輸出の落ち込みについて、次の通りである。

◇半導体の雄、韓国と台湾で続く輸出減;回復期待も危うく (2月8日付け 日経 電子版 14:58)
→半導体の主要生産地である韓国と台湾で輸出が落ち込んでいる旨。半導体の需要低迷が響き、韓国は1月までに4カ月連続、台湾は5カ月連続で輸出が前年割れとなった旨。主要半導体企業の2022年10〜12月期決算では、メモリーを中心に赤字に転落する企業も目立つ旨。市況回復には想定以上に時間がかかるとの見方も出ている旨。

我が国の電子部品の現時点である。

◇電子部品6社が下方修正;スマホ・PC振るわず;村田製など8社、今期19%減益;生産調整急ぐ (2月8日付け 日経)
→電子部品各社の業績に急ブレーキがかかっている旨。大手8社の2023年3月期の純利益は合計で前期比19%減の7820億円と3年ぶりの減益となる見通し。6社が業績を下方修正し、直近予想から計2495億円下振れした旨。スマートフォンやパソコンの需要が想定より落ち込む旨。在庫水準の高止まりを受けて各社は生産調整に動いている旨。

この市況低迷はいつ持ち直すのか。半導体市場で繰り返されている成長材料の台頭への期待があらわされている。

◇Despite Short-Term Cyclical Downturn, Global Semiconductor Market's Long-Term Outlook is Strong (2月8日付け SIA Blog)
→先週発表されたグローバル半導体販売高データから、2022年の業界は大きな浮き沈みを経験したことがわかった旨。2022年の半導体販売高は過去最高の年間合計に達したが、下半期における減速が、成長を大幅に抑制した旨。年末のデータを深く掘り下げると、このパターンがいかに半導体業界の予測可能なサイクルと一致しているか、そしてなぜ現在の短期的な落ち込みが、この基盤技術の長期的な成長見込みが非常に有望であるという現実を変えるものではないのかが明らかになる旨。

上述の中国・SMICは、本年前半はまだ底との見方である。

◇China's biggest foundry SMIC sees profits fall by one-fourth on waning demand for electronic gadgets (2月8日付け South China Morning Post)
→*SMICが電子機器需要の低迷について先に警告した後、12月四半期の利益が前年同期比26%以上減の$425.5 millionとなった旨。
 *SMICは通年の売上高が34%増加したが、世界の半導体業界は2023年前半もサイクルの底にあると予想する旨。

半導体の戦略的重要性に目が向けられた発端となったあの半導体の不足は、どうなったか。現況および今後の見方である。

◇Is the chip shortage over?‐Analysts see chip inventory on upswing in most areas‐As the world eases out of the pandemic, supplies are replenishing ‐ but demand is down. Will the semiconductor sector return in 2023 (2月9日付け TechRepublic)
→Gartnerのアナリスト、Gaurav Gupta氏は、ほとんどの半導体カテゴリーは在庫不足から回復したが、メモリ市場など一部の分野は依然として制約があると述べている旨。グローバルprofessionalサービス会社、Genpactのvice president for global supply chain、John Waite氏によれば、家電製品の需要減退により、バックログは解消され、非メモリ半導体の不足は今年中に緩和されるだろうとのこと。

半導体需給の動きに随時、一層細かい注目を要している。


コロナ対応の完全には収まりきらない状況推移に対して、直面する事態への警戒感を伴った舵取りが各国それぞれに引き続き行われている中での世界の概況について、以下日々の政治経済の動きの記事からの抽出であり、発信日で示している。

□2月5日(日)

中国偵察気球から謎の飛行物体まで、米軍の撃墜で始まって終わった今週である。

◇米中、高まる偶発リスク;米軍が中国偵察気球を撃墜 (日経 電子版 22:11)
→オースティン米国防長官は4日の声明で、米軍が南部サウスカロライナ州沖の大西洋上空で中国の偵察気球を撃墜したと発表、中国外務省は「強烈な不満と抗議」を表明し、対抗措置を示唆した旨。米中対立に拍車がかかるだけでなく、小型無人機(ドローン)などの技術革新もあいまって、偶発的な衝突リスクが高まる可能性がある旨。

□2月7日(火)

米連邦準備理事会(FRB)からの発言、そして景気自体堅調を受けて、以下の通り上げ下げの今週の米国株式市場である。、

◇NYダウ小幅続落34ドル安;早期利上げ停止観測の後退で (日経 電子版 06:30)
→6日の米株式市場でダウ工業株30種平均は小幅に3日続落し、前週末比34ドル99セント(0.1%)安の3万3891ドル02セントで終えた旨。労働市場の需給逼迫を背景に米連邦準備理事会(FRB)による早期の利上げ停止や年後半の利下げ転換の観測が後退し、売りが出た旨。半面、米景気の強さに着目した買いが相場を支えた旨。

英国そしてロシアの苦しい現況である。

◇ブレグジット3年、シティー苦境;IPO調達額は過去最低 (日経 電子版 18:06)
→英国の欧州連合(EU)離脱から1月末で3年が経過した旨。英国の新規株式公開(IPO)の資金調達額は2022年に過去最低となり、欧州の金融センターとしての地位が低下している旨。EUに対抗して打ち出した金融規制の緩和策にも批判が出ている中で、EUは金融取引のシェアを伸ばそうと攻勢をかける旨。

◇ロシア財政一段と悪化、支出6割増;戦費や原油価格下落 (日経 電子版 19:49)
→ロシアの財政が一段と悪化している旨。2023年1月の財政収支は1兆7600億ルーブル(約3.3兆円)の赤字となった旨。赤字額は歳入を上回る旨。原油相場の下落で石油収入が減少し、欧米諸国からの経済制裁の影響が顕在化した旨。長期化するウクライナ侵攻に伴う戦費拡大をまかないきれなくなっている旨。

□2月8日(水)

厳しい対立の一方、貿易額は最高更新という米国と中国の関係である。

◇米中貿易、4年ぶり過去最高;日用品・食品など依存高く (日経 電子版 00:37)
→米国の中国とのモノの貿易額が2022年に4年ぶりに過去最高を更新した旨。米商務省が7日発表した貿易統計によると輸出入の合計額は$690.5 billion(約91兆円)で、最も多かった2018年を上回った旨。米国は玩具などの日用品、中国は大豆などの食品関連で輸入が増えており、相互依存はなお高い旨。

◇NYダウ反発、265ドル高;FRB議長発言受け買い直し (日経 電子版 07:18)
→7日の米株式市場でダウ工業株30種平均は4営業日ぶりに反発し、前日比265ドル67セント(0.8%)高の3万4156ドル69セントで終えた旨。パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長の7日のインタビューが警戒していたほどタカ派寄りではなかったと受け止められ、買い直しが優勢となった旨。

米国株式市場が敏感に反応するFRBからの発言である。

◇FRB議長、インフレ鈍化「かなりの時間」;雇用統計受け (日経 電子版 07:20)
→米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長は7日、労働市場や物価の指標で強い数字が続けば「市場で織り込まれているよりも政策金利を引き上げなければならないかもしれない」と話した旨。今後の金融政策はデータ次第で判断するという従来通りの姿勢を強調した旨。

□2月9日(木)

◇NYダウ反落207ドル安;FRB高官発言で売り広がる (日経 電子版 06:32)
→8日の米株式市場でダウ工業株30種平均は反落し、前日比207ドル68セント(0.6%)安の3万3949ドル01セントで終えた旨。米連邦準備理事会(FRB)高官の発言がタカ派寄りと受け止められ、米利上げの早期停止観測や年内の利下げ期待が後退した旨。ヘルスケア以外の幅広い業種で売りが優勢になった旨。

□2月10日(金)

◇NYダウ続落、249ドル安;長期金利上昇が重荷 (日経 電子版 07:27)
→9日の米株式市場でダウ工業株30種平均は続落し、前日比249ドル13セント(0.7%)安の3万3699ドル88セントで終えた旨。米長期金利が上昇し、相対的な割高感が意識されやすい高PER(株価収益率)銘柄を中心に売りが優勢だった旨。来週に重要な米経済指標の発表を控え、持ち高調整の売りも出やすかった旨。

米中最前線の不安を抱かざるを得ない実態である。

◇‘It just rang’: In crises, US-China hotline goes unanswered (FierceElectronics)
→空軍のF22が米国を横断した中国の巨大気球を撃墜してから数時間以内に、Lloyd Austin国防長官は特別危機管理回線を通じて中国側と連絡を取り、事態の説明と緊張緩和のための素早い軍トップ同士の話し合いを目指した旨。しかし、Austin氏の努力は土曜4日、中国国防相、Wei Fenghe氏が回線に乗ることを拒否したため失敗に終わった、と国防総省は発表している旨。

□2月11日(土)

◇NYダウ反発、169ドル高;医薬や石油株に買い (日経 電子版 06:50)
→10日の米株式市場でダウ工業株30種平均は3営業日ぶりに反発し、前日比169ドル39セント(0.5%)高の3万3869ドル27セントで終えた旨。労働市場の強さを背景に米連邦準備理事会(FRB)の利上げ停止など政策転換が遅れるとの見方から、朝方は売りが先行した旨。ただ、米景気自体は堅調とあって売り込む動きは限られた旨。ダウ平均の構成銘柄で比重が大きいヘルスケアなどディフェンシブ株が買われ、指数を押し上げた旨。

◇米軍、アラスカ上空で飛行物体を撃墜;国籍は不明 (日経 電子版 08:02)
→米国家安全保障会議(NSC)のカービー戦略広報調整官は10日の記者会見で、米軍が同日午後に米アラスカ州の上空を飛行していた物体を撃ち落としたと明らかにした旨。どこから飛来してきたかは現時点で不明で、バイデン大統領が民間航空機への脅威となるおそれがあると判断して撃墜を指示した旨。


≪市場実態PickUp≫

【2022年世界半導体販売高】

米国・Semiconductor Industry Association(SIA)から、2月3日に2022年世界半導体販売高が2021年に続いて最高を更新という発表が行われたが、現下の急激な市況悪化で盛り上がりに欠けるのは致し方無いところである。本年、2023年は4%減との見方が出てきている。

◇'22 saw record chip sales, but '23 is expected to drop 4% (2月6日付け FierceElectronics)
→世界半導体販売高は、2022年通年では3.2%増加したとはいえ、2022年後半は世界的に厳しい状況であった旨。実際、2022年通年では$583 billionと過去最高の年間販売高を記録した旨。しかし、2022年第四四半期は厳しく、前年同期比で約15%減、第三四半期比で約8%減、第四四半期の販売高は、全世界で$130 billionであった旨。
車載用ICsは2022年の世界の半導体販売高の明るい話題であり、メモリ半導体が減少する中でも、2023年まで好調を維持すると予想される旨。業界関係者は、2023年の半導体販売高高は全体で4%減少すると予測しているが、該業界は循環的であり、それでも2030年には販売高$1 trillionを突破する勢いである旨。

◇Global Semiconductor Sales Increase 3.2% in 2022 Despite Second-Half Slowdown (2月6日付け SEMICONDUCTOR DIGEST)

◇2022 semi sales grew 3.2%‐SIA: Chip sales reached $573.5B in 2022, a 3.2% increase ‐Semiconductor sales increased 3.2% from 2021's $555.9 billion to reach a record $573.5 billion in 2022, says the SIA. (2月7日付け Electronics Weekly (UK))


【2022年半導体関連データ】

半導体販売高に引き続いて、2022年の半導体関連データから、まずは、半導体購入のトップ10である。パソコン、スマホの需要急減ぶりがあらわれる内容である。

◇Top 10 semiconductor buyers cut chip spending by 7.6% in 2022‐Gartner: 2022 saw a 7.6% drop in spending among the top IC vendors ‐The top 10 global original equipment manufacturers (OEMs) decreased their chip spending by 7.6% and accounted for 37.2% of the total market in 2022, according to preliminary results by Gartner. (2月6日付け New Electronics)

◇Gartner、2022年の電子機器メーカー上位10社による半導体消費は7.6%減少したと発表‐PCおよびスマートフォンの需要減退、半導体チップ供給の改善、メモリ価格下落が半導体消費に影響 (2月6日付け ガートナージャパン)
→ガートナージャパン株式会社は、2022年の主要電子機器メーカーによる半導体消費に関する調査結果(速報値)を発表、上位10社の半導体購入額は前年比7.6%減となり、世界の半導体消費全体の37.2%を占めた旨。2022年は、世界的なインフレや景気後退などの影響により、PC/スマートフォンの需要が急激に弱まった結果、主要電子機器メーカーの生産が減少した旨。
※2022年の世界の電子機器メーカー上位10社による半導体消費 (速報値、デザインTAMベース)

2022年消費高
2022年シェア
21〜22成長率
1 Apple
67,056 USM$
11.1%
-2.6%
2 Samsung Electronics
46,065
7.7
2.2
3 Lenovo
21,031
3.5
-17.2
4 Dell Technologies
18,304
3
-12.7
5 BBK Electronics
18,082
3
-17.1
6 Xiaomi
14,602
2.4
-11.3
7 Huawei
12,075
2
-19.4
8 HP Inc.
11,291
1.9
-18.9
9 Sony
7,975
1.3
16.5
10 Hon Hai Precision
7,531
1.3
-6.2
その他
377,680
62.8
7.1
半導体市場全体
601,694
100
1.1


次に、シリコンウェーハの出荷であるが、出荷面積および売上げともに過去最高となっている。

◇WORLDWIDE SILICON WAFER SHIPMENTS AND REVENUE SET NEW RECORDS IN 2022, SEMI REPORTS (2月7日付け SEMI)
→SEMI Silicon Manufacturers Group(SMG)のシリコンウェーハ業界の年末分析。2022年の世界のシリコンウェーハ出荷量が過去最高を更新し、3.9%増の14,713 million square inches(MSI)、ウェーハ売上げは同期間に9.5%増の$13.8 billionになった旨。
  ※Annual Silicon Industry Trends

MSI
$B
2012
9,031
8.7
2013
9,067
7.5
2014
10,098
7.6
2015
10,434
7.2
2016
10,738
7.2
2017
11,810
8.7
2018
12,732
11.4
2019
11,810
11.2
2020
12,407
11.2
2021
14,165
12.6
2022
14,713
13.8

◇Worldwide silicon wafer shipments and revenue set new records in 2022, says SEMI‐SEMI SMG: Wafer shipments, revenue hit all-time highs in '22 (2月10日付け DIGITIMES)
→2022年の世界のシリコンウェーハ出荷量は3.9%増で過去最高を記録、売上高は9.5%増の$13.8 billionで、これも過去最高だった、とSEMI Silicon Manufacturers Group(SMG)が報告している旨。SEMI SMGのチーフで、OkmeticのチーフコマーシャルオフィサーでもあるAnna-Riikka Vuorikari-Antikainen氏は、「シリコンの出荷量は過去10年のうち9年で増加しており、シリコンは重要な半導体産業における中心的役割を果たすことを証明している」と述べている旨。


【「ChatGPT」関連】

文章・画像の「生成AI」の米国スタートアップ、Open AIによる「ChatGPT」について、マイクロソフト出資の動きに対抗、Googleの危機感を孕んだ一連の動き、など以下の通り関連の内容が相次いでいる。

◇Why the ChatGPT AI Chatbot Is Blowing Everyone's Mind‐This artificial intelligence bot can answer questions and write essays and program computers. Now you can pay to use it. (2月4日付け CNET)
→新しいAIボットが登場。ChatGPTは、人工知能(AI)に興味がなくても、注目したほうがいいであろう。このツールは、OpenAIと呼ばれる人工知能の有力企業が開発したもので、自然言語のプロンプトを入力することができる。ChatGPTは、やや堅苦しいものの、会話に近い応答を提供する。ボットは対話の糸を記憶し、以前の質問と回答から次の回答を導き出す。また、インターネット上の膨大な情報から答えを導き出す。

◇Google CEO issues rallying cry in internal memo: All hands on deck to test ChatGPT competitor Bard (2月6日付け CNBC)
→*GoogleのCEO、Sundar Pichai氏は、CNBCが閲覧した全社メモの中で、AIチャットボット「Bard」のテストに"社内ハッカソン(ハック[hack]とマラソン[marathon]を組み合わせた造語とされ、プログラマーや設計者などのソフトウェア開発の関係者が、短期間に集中的に開発作業を行うイベント)の精神で"全社員を必要とすることを社員に伝えた旨。
 *Pichai氏はまた、同社がまもなく、同じ基礎となるLaMDA技術に基づくAPIをテストするために、開発者や企業の参加を開始すると述べた旨。
 *グーグルは、マイクロソフトが支援するOpenAIのチャットボットで、昨年の発売後に世間を騒がせたChatGPTに対する答えを出すよう、社員や投資家からの圧力に直面していた旨。

◇Google has unveiled its ChatGPT rival and is promising its will offer AI-powered search 'soon' (2月6日付け SILICON VALLEY BUSINESS JOURNAL)
→グーグルのCEO、Sundar Pichai氏が月曜6日、人工知能ツールを一般に公開し、検索サービスに取り入れる予定であると述べた旨。グーグルは先週、Pichai氏が約束したAIツールの一般公開を実行に移している旨。

◇All you need to know about ChatGPT, the A.I. chatbot that's got the world talking and tech giants clashing (2月8日付け CNBC)
→*AIスタートアップのOpenAIが開発した人工知能チャットボット「ChatGPT」が、学校、企業の役員室およびソーシャルメディアなどで話題になっている旨。
 *このツールは、ユーザーからの文字入力を受けて、ウィリアム・シェイクスピア風の詩から子供の誕生日パーティーをどうするかというアドバイスまで、人間らしい応答を返すことができる旨。
 *また、世界最大級のテック企業であるグーグルとマイクロソフトの緊迫した衝突を引き起こしたのもこのツール。

◇Microsoft、検索に対話AI;「ChatGPT」開発企業と組み (2月8日付け 日経 電子版 08:54)
→米マイクロソフトは7日、検索エンジン「Bing」に対話のできる人工知能(AI)を搭載すると発表、「ChatGPT(チャットGPT)」を開発した米オープンAIの技術を使い、知りたい内容に対して自然な文章で回答する旨。米グーグルが圧倒的なシェアを持つ検索エンジンの競争を変える狙いで、7日から順次利用できるようにする旨。

◇Google、ChatGPT対抗の対話AIで誤り;株価9%下落 (2月9日付け 日経 電子版 09:31)
→米グーグルは8日、人工知能(AI)の活用に関する説明会を仏パリで開いた旨。米オープンAIのChatGPT(チャットGPT)に対抗する対話AIサービスなどについて説明したが、同日には新サービスによる説明に誤りがあったことが発覚して株価が大幅に下落した旨。発展途上の技術に対する過剰な期待と不安が交錯している旨。

◇AI、対話型検索で身近に;マイクロソフト・グーグル導入へ;自然な文章で回答、正確性や差別に懸念も (2月9日付け 日経)
→人工知能(AI)が暮らしに身近になってきた旨。米マイクロソフトは7日、インターネットの検索エンジンに人間が書くような文章で回答する機能を組み込むと発表、対話型のAIの技術を応用する旨。米グーグルも近く導入する旨。ネットの情報が膨大になるなか、必要な情報を早く得られるようにすることを目指す旨。正確性や差別的な情報の拡散には課題も残る旨。

◇ChatGPTが鳴らした号砲;Google創業者復帰の危機感 (2月10日付け 日経 電子版 05:00)
→人工知能(AI)のチャットボット(自動会話プログラム)「ChatGPT」はAIの世界を一変させてしまったよう。つい3カ月前まで、AIがデタラメな文章を出力するのはタブーとされていた旨。しかしChatGPTの登場以降、人々はAIの過ちに突然寛容になり、チャットボットAIが一気に社会に受け入れられようとしている旨。


【東芝関連】

日本産業パートナーズ(JIP)が率いる東芝買収に向けた投資コンソーシアムに関係する動きが、以下の通り見られている。今後の進展に注目である。

◇Toshiba bidder JIP set to win banks' backing for $10.6 bln loan -Bloomberg News‐Bloomberg: Banks in Japan to lend $10.6B for Toshiba buy (2月7日付け Reuters)
→Bloomberg Newsによると、日本の大手銀行は、日本産業パートナーズ(JIP)が率いる東芝買収に向けた投資コンソーシアムに$10.6 billionを融資すると報じられている旨。オリックスとロームなどが、この買収案に参加する20社である旨。

◇Toshiba's Bidder Set to Win Commitments for $10.6 Billion Loan‐Banks have agreed to issue loan commitment letters this week‐Securing financing support is crucial to any Toshiba takeover (2月7日付け Bloomberg)

◇Toshiba confirms JIP offer that sources say is backed by $10.6 billion in loans‐JIP solidifies offer to buy Toshiba for $15.2B (2月9日付け Reuters)
→日本産業パートナーズ(JIP)は、東芝を$15.2 billionで買収することで合意し、日本の銀行はJIPが主導する投資コンソーシアムに$10.6 billionを融資した旨。この買収には運転資金として$1.5 billionが含まれている旨。

◇JIP makes $15.2bn bid for Toshiba‐Japan Industrial Partners (JIP) finally submitted its bid for Toshiba earlier today. (2月9日付け Electronics Weekly (UK))

◇東芝買収に1.2兆円融資確約;金融機関、経営監視が条件 (2月9日付け 日経 電子版 17:15)
→日本産業パートナーズ(JIP)を中心とした連合が9日、東芝に買収の最終提案を出した旨。買収案の前提となっていた金融機関からの融資確約を得た旨。JIPが2022年11月上旬に買収提案してから3カ月。買収後の経営体制への不安もあり、東芝の経営を監視する仕組みを盛り込むなど、金融機関は総額1兆2000億円にも及ぶ巨額融資の決断に慎重を期した旨。

◇東芝買収を最終提案;JIPなど日本連合、2兆円規模‐銀行が融資確約 (2月9日付け 日経 電子版 08:30)
→日本産業パートナーズ(JIP)などの連合が9日、東芝に買収の最終提案を提出したことがわかった旨。買収案の前提となっていた金融機関からの融資で、三井住友銀行などから確約を得た旨。買収額は2兆円規模となる見通し。東芝は提案を受け、取締役会で買収を受け入れるかの議論に入る旨。最初の買収提案から2年近くがたち、東芝の再編は大詰めを迎える旨。


【Arm関連】

Armの親会社、ソフトバンクグループの四半期決算発表を挟んで、Armの新規株式公開(IPO)計画を巡るスタンスが以下あらわされている。

◇SoftBank Q3 seen under pressure from tech weakness, Arm IPO eyed‐All eyes on SoftBank's Arm IPO in Q3 report (2月3日付け Reuters)
→ソフトバンク・グループのArm子会社の新規株式公開計画は、該グループが火曜7日に発表する第三四半期報告後に打撃を受ける可能性がある旨。アナリストは、同社の収益が技術評価額の継続的な下落を反映すると予想している旨。

◇ソフトバンクG最終赤字7800億円、10〜12月;投資低調 (2月7日付け 日経 電子版 19:40)
→ソフトバンクグループ(SBG)が7日発表した2022年10〜12月期連結決算(国際会計基準)は、最終損益が7834億円の赤字(前年同期は290億円の黒字)だった旨。最終赤字は2四半期ぶり。人工知能(AI)関連の新興企業に投資するビジョン・ファンドの苦戦が続いた旨。投資をほぼ停止する一方、保有株売却などで資金を捻出し、負債返済や自社株買いを優先している旨。

◇Arm CEO says firm fully committed to a market listing this year‐Arm will go forward with its IPO this year, CEO says (2月7日付け Reuters)
→ArmのCEO、Rene Haas氏が、ソフトバンク子会社の同社の第三四半期の売上高が28%増の$746 millionに達したことを理由に、同社は今年中に新規株式公開(IPO)を果たすと明言の旨。同氏はインタビューで、「(IPOの)計画は実はかなり順調に進んでおり、現在進行中」と述べた旨。

◇Arm CEO says firm fully committed to a stock market listing this year (2月8日付け South China Morning Post) 
→*Armの第三四半期の売上高は28%増の$746 millionで、ソフトバンクの数少ない成長分野の一つである旨。
 *同社CEO、Haas氏の戦略の一環として、データセンター・サーバーなど他の市場への参入を加速している旨。

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