Semiconductor Portal

HOME » ブログ » インサイダーズ » 長見晃の海外トピックス

米規制に対抗、中国のMicron製品販売制限措置:米国製半導体への動き

米国の中国に対する半導体規制に、中国からの一石である。ネットワークセキュリティの審査で不合格として、米国のメモリ半導体メーカー、Micron Technologyの一部の製品について主要なインフラプロジェクトに携わる中国企業への販売を禁止するとしている。欧州や我が国などと足並みを揃える米国の規制強化に対抗する動きとみられるが、インパクトの度合いを見据えた今後の推移、双方の駆け引きに注目するところである。AppleとBroadcomの5G部品調達契約、そしてApplied Materialsのシリコンバレー研究拠点建設と、米国製の半導体の強化促進に向けた動きが並行して見られている。中国では、米国規制で課題を抱える中、対抗して前進を図る動きがあらわされる一方、米国各社には摩擦激化への辟易感もあらわれている見え方がある。

≪摩擦激化への様々なスタンス≫

中国当局によるMicronの一部製品販売禁止措置関連の記事が、以下の通りである。

◇China fails Micron's products in security review, bars some purchases‐Chinese regulator bans select Micron products following security review (5月22日付け Reuters)
→中国のサイバー空間規制当局が日曜21日、米国のメモリ半導体メーカー、Micron Technologyの製品がネットワークセキュリティの審査で不合格となり、重要インフラの運営者が同社から購入することを禁止すると発表した旨。
この決定は、ワシントンと北京の間で半導体技術をめぐる論争が起きている中で発表されたもので、中国の重要情報インフラの広範な定義によれば、電気通信から輸送および金融に至るまで幅広い分野が含まれる可能性がある旨。

◇China imposes sales restrictions on Micron as it escalates tech battle with Washington (5月22日付け CNN)
→中国は、米国の半導体メーカー、Micronに対し、主要なインフラプロジェクトに携わる中国企業への販売を禁止した旨。これは、重要な技術へのアクセスをめぐる世界トップ2の経済国の間の継続的な戦いが大きくエスカレートしたことを意味する旨。

◇China bans Micron chips for ‘severe cybersecurity risks’, drawing rebuke from Washington as tech war revs up (5月22日付け South China Morning Post)
→*米国の半導体メーカー、Micronがサイバーセキュリティ審査に不合格となり、中国の重要情報インフラ事業者への製品販売が禁止される旨。
 *この裁定により、2022年のMicronの総売上高$30.8 billionの約11%に寄与していた市場が事実上消滅することになる旨。

◇Pressure mounts on Korean chipmakers as China restricts Micron chip sales‐China imposes first ban against US memory chip maker, citing security risks (5月22日付け The Korea Herald)
→中国は、米国のメモリー半導体メーカー、マイクロン・テクノロジー社の製品がセキュリティ調査に不合格であったとして、主要なインフラ企業に対し、製品の購入を禁止している旨。
中国政府は、米国との対立が激化する中、このような重要な禁止措置を初めて取り、現地で主要な製造拠点を運営する韓国の半導体メーカーに懸念を抱かせている旨。

◇中国、米半導体マイクロンから調達禁止;輸出規制対抗か (5月22日付け 日経 電子版 11:11)
→中国当局は21日、米半導体大手、マイクロン・テクノロジーの製品が国家安全に大きなリスクを与えるとして、重要な情報インフラでの調達を停止すると発表、米国は中国を対象とする半導体規制を日本や欧州などと足並みをそろえて強化しており、中国当局には対抗する狙いがありそう。

Micronの本措置への受け止めがあらわされている。

◇Micron expects revenue impact following China ban‐China's Micron ban likely to lower chipmaker's revenue (5月22日付け Reuters)
→Micron Technologyは、中国がセキュリティ審査を受けて一部のマイクロン製品の販売禁止に動いたことを受け、売上げの減少を見込んでいる旨。最高財務責任者(CFO)のMark Murphy氏は、少なくとも "当社の総売上げの1桁台前半の%割合で影響がある "と見積もっている旨。

本措置の波紋が続いている。

◇With Micron ban, China says no to ‘de-risking’‐By banning Micron products, Beijing warns foreign technology firms not to join the West’s ‘de-risking’ plan (5月23日付け Asia Times)
→米国の半導体メーカー、マイクロン・テクノロジーは、G7諸国が世界の製造拠点からリスクを取り除くことを宣言した後、中国から制裁を受けた最初の西洋企業となった旨。中国サイバー空間管理局(Cybersecurity Review Office)は、中国の主要な国家インフラ事業者がマイクロンから製品を購入することを禁じている、と発表した旨。

◇Micron gauges the damage after China’s sales ban, as South Korean firms stand to fill its void (5月23日付け South China Morning Post) 
→*中国が重要情報構造をどのように定義するかによって、禁止令がマイクロンに与える影響は変わってくると、Micronの最高財務責任者(CFO)のMark Murphy氏は言う旨。
 *マイクロン製品がなければ、中国企業はサムスンやSKハイニックスのような韓国の半導体メーカーに目を向ける可能性が高い、とアナリストは述べている旨。

◇Will China's ban on Micron benefit Samsung, SK hynix? (5月23日付け The Korea Times)
→Samsung ElectronicsおよびSK hynixという韓国のメモリー半導体メーカーは、中国による米国Micron Technologyへの制裁措置が発動されたことで、短期的には中国市場でのMicron Technologyの不在から利益を得ることができる旨。しかし、月曜22日業界の専門家によると、北京の措置は中国の半導体メーカーにも利益をもたらすため、今回の進展は長期的には彼らにとって有利にはならないと見込まれる旨。

◇中国、米半導体規制に対抗;マイクロンをインフラ調達から排除;「国家安全のため」主張;メモリー国産化に自信 (5月23日付け 日経)
→中国当局は21日、米半導体大手、マイクロン・テクノロジーの製品が国家安全に大きなリスクを与えるとして、重要な情報インフラでの調達を禁止すると発表、米国などが日本や欧州と進める対中規制の強化への対抗とみられる旨。中国の標的がほかの半導体企業に拡大することを懸念する声もある旨。

米国規制に対抗する中国の業界での動き関連である。

◇Why are Huawei, SMIC taking different approaches against US curbs? (5月19日付け DIGITIMES)
→中国のハイテク大手、Huaweiと半導体ファウンドリーのトップ、SMICが、米国の半導体規制に対して異なるアプローチをとっているよう。前者は14nmプロセス以上の半導体の電子設計自動化(EDA)ツールの開発に成功したと発表したばかりだが、後者は自社のウェブサイトで14nmプロセス技術をサービスリストから静かに削除した旨。この2つの中国のハイテク企業は、最近の行動を通じてどのようなメッセージを送っているのだろうか。また、実際のところどうなのだろうか。

◇China's memory industry resisting impact of US trade sanctions (5月25日付け DIGITIMES)
→米国政府による中国半導体業界への規制強化は、現地メモリ業界の発展に大きな課題を投げかけている旨。しかし、政府からの強力な資金援助、現地の半導体装置製品の利用、およびIPOsによる資金調達などにより、中国の現地業界は米国の制裁に抵抗して前進している旨。

一方、米国政府および業界のいろいろ読み取れる動き関連である。

◇White House says China's actions on Micron won't torpedo relations (5月24日付け Reuters)
→米中の関係はマイクロン禁止を無事に切り抜ける、とホワイトハウスが発表の旨。

◇US lawmaker demands action against Chinese chip firm CXMT after Micron (5月24日付け South China Morning Post)
→*ホワイトハウスは、携帯電話やサーバーに不可欠なメモリー半導体のメーカーであるマイクロンを巡っては、商務省が中国と『直接関与』していると述べた旨。
 *Gallagher議員(共和党)は声明で、「米国は(中華人民共和国)に対し、自国の企業や同盟国に対する経済的強制を容認しないことを明確にする必要がある」と述べている旨。

半導体規制を巡って米中会談、半導体連携を巡って日米会談、と経済閣僚のコンタクトが行われている。

◇米中、経済閣僚が会談;半導体規制巡り討議 (5月26日付け 日経 電子版 09:36)
→米国のレモンド商務長官と中国の王文濤商務相が25日、ワシントンで会談した旨。米中それぞれの商務省が発表した旨。2月に偵察気球問題が起きて以降、途絶えていた閣僚級の対話が再開した旨。中国政府が21日に発表した米半導体大手、マイクロン・テクノロジーへの措置などを巡り討議した旨。

◇日米、半導体連携で行程表;経産相が米商務長官と会談 (5月27日付け 日経 電子版 05:19)
→西村康稔経済産業相と米国のレモンド商務長官は26日(日本時間27日未明)、米中西部ミシガン州デトロイトで会談した旨。同日公表した共同声明には、経済安全保障に欠かせない半導体分野で技術協力を深める行程表を策定することを盛り込んだ旨。

Micronの1件を受けて、米国から報復の動きである。

◇US lawmaker demands action against Chinese chip firm CXMT after Micron‐Lawmaker urges trade limits on Chinese chip company (5月23日付け Reuters)
→ウィスコンシン州選出のMike Gallagher議員(共和党)は、中国がMicron Technologyの一部のチップの販売を阻止したことを受け、Changxin Memory Technologies(CXMT)を米国企業との取引を禁止するリストに追加するよう商務省に求めている旨。政府文書によると、中国は最近の国家安全保障の見直しの前に、すでにマイクロン製半導体の購入を縮小していた旨。

◇China was reducing Micron chip purchases years before ban (5月24日付け Reuters)

◇US Must Widen China Chip Curbs in Micron Response, Lawmaker Says (5月23日付け BNN Bloomberg (Canada))

◇China ban on Micron Technology spurs call for retaliation from U.S. lawmaker (5月24日付け SILICON VALLEY BUSINESS JOURNAL)
→中国は、Micron Industries社の製品が "深刻なネットワーク・セキュリティ・リスク"を抱えているとして、その輸入を禁止している旨。米国はどのように反応しているのか。

規制応酬はもうけっこう、と米国半導体メーカーの率直なところがあらわされている。

◇Chipmakers exhausted by escalating US-China trade tensions‐Nvidia, Intel look to defuse US-China tension with dialogue (5月26日付け DIGITIMES)
→米中間の貿易摩擦の激化はチップメーカーに負担をかけており、IntelやNvidiaなどの大企業は最近、事態を打開したいとの意向を示している旨。
米国は中国の半導体製造業に対して一連の輸出禁止措置を発表しており、多くの米国企業はもう十分だと考え、中国と米国の緊張を緩和するために発言している旨。

次に、米国製の半導体の強化促進を図る動きから。

まずは、Applied Materialsのシリコンバレーでの研究開発施設の建設であり、Harris副大統領も駆けつけている。

◇Applied Materials to Build $4 Billion Chip Research Facility in Silicon Valley‐Applied Materials investing $4B in Calif. chip facility ‐Aim is to speed development of advanced semiconductors (5月22日付け The Wall Street Journal)
→Applied Materialsが、シリコンバレーに研究施設を建設し、半導体メーカーと大学とのコラボレーションを促進することで、シリコンバレーの半導体製造業界の活性化を図る計画の旨。同社は7年間で$4 billionを投資し、カリフォルニア州サニーベールの拠点で2,000人規模の雇用を創出する予定。

◇Silicon Valley, Cradle of Computer Chips, Gains Big New Research Center (5月22日付け The New York Times)

◇Vice President Harris hails Silicon Valley's semiconductor industry during visit to Applied Materials (5月22日付け SILICON VALLEY BUSINESS JOURNAL)
→Kamala Harris米副大統領が月曜22日、シリコンバレーに飛び、Applied Materials社のキャンパスで、同社が発表したばかりの$4 billionの研究開発(R&D)施設の建設計画を祝うイベントに出席した旨。

AppleとBroadcomが、米国で製造の5G半導体コンポーネントの複数年契約に以下の通り契約している。

◇Apple extends Broadcom partnership for US-made 5G chip components (5月23日付け FierceElectronics)
→Appleは、5G無線コンポーネントと最先端の周波数コンポーネントについて、Broadcomと数十億ドル規模の複数年契約を結んだことを発表した旨。
5Gコンポーネントのうち、FBAR(Film Bulk Acoustic Resonator)フィルターは、Broadcomが拠点を持つコロラド州フォートコリンズなどの米国の製造拠点で設計・製造されると、Appleは火曜日未明に声明で述べている旨。

◇Apple partners with Broadcom to build 5G components in the United States‐Broadcom wins Apple deal to make 5G components in US (5月23日付け TechCrunch)
→Appleが、Broadcomが米国の拠点で5Gコンポーネントを設計・製造するために、数十億ドル規模の契約を結んだと発表した旨。Broadcomは、Appleに5Gの無線周波数と無線接続コンポーネントを提供することに合意した旨。

◇Apple Strikes Multibillion-Dollar Supply Deal With Broadcom‐Multiyear agreement with chip maker includes U.S.-made components (5月23日付け The Wall Street Journal)

◇Apple enters multibillion-dollar mobile chip deal with Broadcom (5月23日付け SILICON VALLEY BUSINESS JOURNAL)
→この契約の一環として、BroadcomはApple向けに5G無線周波数および無線接続コンポーネントを開発することになる旨。

◇Apple and Broadcom sign multi-year deal to develop made-in-USA chips (5月24日付け DIGITIMES)
→アジア製の半導体からの多角化を図るために、アップルはブロードコムとmulti-billion-dollarの複数年契約を結び、ブロードコムが米国製の半導体を開発するのを支援すると発表した旨。

◇Apple、米国製造の5G部品調達契約;ブロードコムと (5月24日付け 日経 電子版 09:44)
→米アップルは23日、米ブロードコムと複数年にわたり、高速通信規格「5G」関連の通信部品の開発などで数十億ドル規模の契約を結んだと発表、ブロードコムの複数の米国拠点で設計・製造する旨。アップルは2021年に、5年間で米国に$430 billion(約60兆円)を投資する方針を明らかにしており、今回の契約はその一環となる旨。米国への投資拡大を強調する狙い。

米国および中国それぞれに対抗措置の応酬がある中、半導体製造の強化をそれぞれに図っていく状況&道筋の推移に引き続き注目である。


コロナ「5類」移行とはいえ、用心怠りなくの現状と言えるかと思うが、コロナ前に戻る舵取りがそれぞれに行われている中での世界の概況について、以下日々の政治経済の動きの記事からの抽出であり、発信日で示している。

□5月23日(火)

債務上限問題の停滞する状況から前4日は下げて、妥結の期待から最後の1日上げた今週の米国株式市場である。

◇NYダウ続落、140ドル安;債務上限巡る協議控え様子見も (日経 電子版 05:54)
→22日の米株式市場でダウ工業株30種平均は続落し、前週末比140ドル05セント(0.4%)安の3万3286ドル58セントで終えた旨。米連邦準備理事会(FRB)高官が相次いで金融引き締めの継続に前向きな発言をしたことで、引き締め長期化による景気悪化への警戒が広がった旨。

□5月24日(水)

◇NYダウ3日続落、231ドル安;米債務上限交渉に進展なく (日経 電子版 05:35)
→23日の米株式市場でダウ工業株30種平均は3日続落し、前日比231ドル07セント(0.7%)安の3万3055ドル51セントで終えた旨。米連邦政府の債務上限問題を巡る政府と野党・共和党の協議に特段の進展がみられず、交渉難航を懸念した投資家がリスク回避姿勢を強めた旨。

□5月25日(木)

◇NYダウ4日続落、255ドル安;債務上限問題の交渉停滞で (日経 電子版 06:03)
→24日の米株式市場でダウ工業株30種平均は4日続落し、前日比255ドル59セント(0.8%)安の3万2799ドル92セントで終えた旨。この4営業日で合計735ドル下げ、3月29日以来の安値を付けた旨。米連邦政府の債務上限問題を巡る政府と野党・共和党の交渉に進展がみられず、先行き不安が広がった旨。高インフレの継続に対する警戒感から欧州株式相場が下落したのも米株の重荷だった旨。

□5月26日(金)

◇NYダウ5日続落、35ドル安;債務上限問題が重荷に (日経 電子版 05:55)
→25日の米株式市場でダウ工業株30種平均は5日続落し、前日比35ドル27セント(0.1%)安の3万2764ドル65セントで終えた旨。3月29日以来、およそ2カ月ぶりの安値。米連邦政府の債務上限問題を巡る不透明感が引き続き重荷となった旨。半面、ダウ平均の構成銘柄ではないが、画像処理半導体(GPU)のエヌビディアが急騰し、ハイテク関連銘柄に買いが入り、ダウ平均を下支えした旨。

円安も、半年ぶりの140円台下落である。

◇円安再加速、対ドルで140円台に下落;半年ぶり (日経 電子版 07:28)
→・半年ぶりに1ドル140円台まで円安進む
 ・日米の金利差背景に円売りの勢い増す
 ・日銀の植田総裁、緩和継続に強い意思
円安が再び加速している旨。25日のニューヨーク外国為替市場で円は対ドルで下落し、一時1ドル=140円台前半を付ける場面があった旨。140円台まで円安が進むのは、2022年11月以来半年ぶりとなる旨。

□5月27日(土)

◇NYダウ反発、328ドル高;債務上限問題の妥結に期待 (日経 電子版 05:42)
→26日の米株式市場でダウ工業株30種平均は6営業日ぶりに反発し、前日比328ドル69セント(1.0%)高の3万3093ドル34セントで終えた旨。米政府の債務上限問題を巡る協議が進展していることへの期待から、買いが優勢だった旨。朝発表の経済指標が米経済の底堅さを示したことも、相場を支えた旨。

債務上限問題の土壇場に注目である。

◇米財務長官、債務上限Xデー「6月5日に」;1日から変更 (日経 電子版 07:45)
→イエレン米財務長官は26日、米政府債務の上限問題を巡って連邦議会指導部にあてた書簡を公表、政府の資金繰りが行き詰まる「Xデー」について「6月5日までに上限を引き上げたり、停止したりしなかった場合」とした旨。従来は最短で1日だと警告していたが、後ろにずらした旨。


≪市場実態PickUp≫

【経済産業省からの先端半導体の輸出規制関連公布】

先端半導体の輸出規制について、経済産業省より製造装置など23品目を対象に加える省令改正の公布が行われ、中国および台湾でのあらわされ方とともに以下の通りである。

◇先端半導体の輸出規制、7月23日施行;経産省が省令改正 (5月23日付け 日経 電子版 13:38)
→経済産業省は23日、外為法に基づく貨物等省令の改正を公布、先端半導体の製造装置など23品目を輸出管理の規制対象に加える旨。2カ月の周知期間を経て、7月23日に施行する見通しとなった旨。米国が先端半導体の製造装置などで中国向けの輸出を厳しく制限しており、日本も足並みをそろえる旨。

◇Tech war: China slams Japan’s semiconductor technology export controls (5月23日付け South China Morning Post) 
→*中国商務省が、日本の動きは輸出規制の乱用であり、自由貿易ルールから著しく逸脱していると指摘
 *東京は火曜23日、23種類の半導体製造装置を含む輸出規制リストの詳細を発表した旨。

◇Japan to restrict the export of advanced chip manufacturing equipment from July 23‐Report: Japan sets July deadline to curb advanced chip equipment exports (5月23日付け DIGITIMES)
→日本経済新聞の報道によると、日本の経済産業省(METI)は本日(5月23日)、外国為替及び外国貿易法の改正を発表し、輸出規制品目に先端半導体製造装置など23品目を追加した旨。この改正は、2ヶ月の周知期間を経て、7月23日に施行される旨。


【Nvidiaの四半期売上げ大幅増】

人工知能(AI)半導体の熱い活況でNvidiaの四半期売上げ予想が、大幅増となって、以下の業界各紙の取り上げである。

◇Nvidia stock jumps nearly 30% after blowout second-quarter forecast (5月24日付け SILICON VALLEY BUSINESS JOURNAL)
→CEOのJensen Huang氏率いるNvidiaは、第二四半期の売上げ予測でアナリストの予想を打ち破った旨。Nvidiaの幹部は、第二四半期の売上高が$11 billionになると予想し、該サンタクララ企業にとって記録的な四半期となることを明らかにした旨。

◇Nvidia (NVDA) on Track for Record $219 Billion Surge in Market Value‐Nvidia closes in on a $1T market value (5月25日付け BNN Bloomberg (Canada))
→人工知能(AI)とアクセラレーション・コンピューティングの需要が、データセンター・インフラを中心にNvidiaの成長を牽引しており、同社の市場価値は$1 trillionに近づいている旨。Nvidiaは、2024年度第二四半期の売上高が$11 billionに達し、年間売上高成長率が60%に達すると予想している旨。

◇Wall Street analysts saw a 'Big Bang' moment for AI in Nvidia's bullish forecast (5月25日付け SILICON VALLEY BUSINESS JOURNAL)
→Nvidiaは、第二四半期の売上を$11 billionと予想し、これは2020年の通期売上げを上回るとした旨。ウォール街の投資家やアナリストは、NvidiaのAI関連半導体の販売に関する強気の見通しに唖然とし、感激した旨。

◇Nvidia expects strong 2Q23 performance thanks to surging AI demand (5月25日付け DIGITIMES)
→AIハイプのおかげでコンシューマー関連事業が急落したものの、Nvidiaはデータセンター事業で力強い前四半期比の伸びを報告し、第二四半期の業績について非常に楽観的な見方を示している旨。

同社の時価総額が、以下の躍進である。

◇NVIDIA、時価総額世界6位に;AI半導体で急成長 (5月25日付け 日経 電子版 13:28)
→米半導体大手、エヌビディアが、時価総額で世界6位に躍り出た旨。牽引役は、世界シェアの8割を握る人工知能(AI)向け半導体。24日発表した2023年2〜4月期決算は市場予想を上回り、株価は1年で2倍近くになった旨。大手テック企業はAI半導体の自社開発に乗り出し、競争激化も待ち構える旨。

◇Nvidia rides generative AI rocket to rising data center revenue (5月25日付け FierceElectronics)
→NvidiaのCEO、Jensen Huang氏によれば、Generative AIは急速に加速コンピューティング・プラットフォームのキラーアプリとなり、10年にわたる世界中のデータセンターのアップグレード・サイクルの原動力となり、まだその初期段階に過ぎないとのこと。
今週、Nvidiaが2023年第一四半期の業績を発表した翌朝、Nvidiaの株価が25%も跳ね上がったのも頷ける旨。

◇Nvidia’s blowout earnings lift AMD while other chipmakers such as Intel fall (5月25日付け CNBC)
→*Nvidiaの株価パフォーマンスは、一部の名前には恩恵があるが、木曜25日の取引ではIntelなどの従来のCPUメーカーの株価を下げた旨。
 *NvidiaとIntelを含む半導体メーカー名のETFバスケットであるVanEck Semiconductor Indexは、木曜日の午前中の取引で上昇した旨。
 *しかし、Nvidiaのような従来のGPU強者への方向転換の可能性は、IntelのようなCPU指向の企業を犠牲にすることになるかもしれない旨。

◇The A.I. chip boom is pushing Nvidia toward $1 trillion, but it won’t help Intel and AMD (5月25日付け CNBC)
→*Nvidiaが今四半期の売上高を$11 billionと案内し、アナリスト予想の$7.15 billionを吹き飛ばした理由は、AI半導体に対するデータセンター需要であった旨。
 *売上高が増加しているのは、Nvidiaが製造する、Google、MicrosoftおよびOpenAIのようなAIアプリケーションを動かすグラフィックプロセッサ(GPUs)の需要が急増しているため。
 *NvidiaのCEO、Jensen Huang氏は、CNBCとのインタビューで、「数百万個のCPUsの代わりに、数百万個のGPUsに接続された、より少ないCPUsを持つことになる。」と述べている旨。

米国株式市場の下支えとしてあらわされるほどである。

◇NYダウ5日続落、35ドル安;債務上限問題が重荷に (5月26日付け 日経 電子版 05:55)
→25日の米株式市場でダウ工業株30種平均は5日続落し、前日比35ドル27セント(0.1%)安の3万2764ドル65セントで終えた旨。3月29日以来、およそ2カ月ぶりの安値。米連邦政府の債務上限問題を巡る不透明感が引き続き重荷となった旨。半面、ダウ平均の構成銘柄ではないが、画像処理半導体(GPU)のエヌビディアが急騰し、ハイテク関連銘柄に買いが入り、ダウ平均を下支えした旨。

Nvidiaの発注でTSMCの5-nmの稼働率がほぼ満杯とのこと。

◇Nvidia rush orders lifting TSMC 5nm fab utilization‐Report: TSMC's 5nm fab utilization rates rise on Nvidia orders (5月26日付け DIGITIMES)
→Taiwan Semiconductor Manufacturing Co.(TSMC)は、Nvidiaからの急ぎの注文が殺到したため、5ナノメートルプロセスプラットフォームの稼働率がほぼ満杯に達した、と情報筋から報告されている旨。この注文は、NvidiaのH100とA100、および中国向けの縮小版H800とA800のためのものであると言われている旨。


【生成AI、ChatGPT関連】

今週も、活発な動きが相次いでおり、順次目につく範囲取り出して、以下の通りである。上記のNvidiaの活況にも相通ずるところである。

◇「富岳」で和製生成AI;東工大や富士通、2023年度中に (5月22日付け 日経 電子版 16:03)
→東京工業大学や富士通などは22日、スーパーコンピューター「富岳」を使って2023年度中に高度な生成人工知能(AI)を開発すると発表、日本語を中心とした基盤技術を構築し、2024年度から国内企業などに無償で提供する旨。米オープンAIの「ChatGPT」などが世界で注目を集める中、日本の産学が連携して自前技術で対抗する旨。

◇Intel and Microsoft collaborate to advance AI for Windows 11 PCs‐Intel bringing advanced AI features to PCs with Microsoft (5月24日付け DIGITIMES)
→インテルとマイクロソフトは、Windows 11向けPCプロセッサ「Meteor Lake」の人工知能機能を下調べしている旨。また、インテルは、10ナノメートルSuperFinテクノロジー上の最新のAgilex 7 M-Series Field-programmable Gate Arrays(FPGAs)の柔軟性と拡張性をアピールしている旨。

◇Windowsに対話型AI搭載、デモ公開;コピペで文書要約 (5月24日付け 日経 電子版 11:00)
→米マイクロソフトがパソコンの基本ソフト(OS)「ウィンドウズ11」に対話型人工知能(AI)の搭載を始める旨。23日に開いた開発者会議のデモでは、メイン画面の右側にAIとやりとりする画面を置き、議事録の要約やイラストの作成・共有といった作業を一括して依頼する様子を公開した旨。

◇Microsoft、ChatGPTと検索融合;最新の情報を回答 (5月24日付け 日経 電子版 06:57)
→米マイクロソフト(MS)は23日、提携する米新興オープンAIが開発する対話型人工知能(AI)「ChatGPT」にMSの検索エンジン「Bing(ビング)」を搭載すると発表、ChatGPTは2021年9月までの情報がベースになっているが、ウェブ検索の情報を使い、より最新の情報を回答できるようになる旨。

◇マイクロソフト、AI経済圏;ウィンドウズにチャットGPT技術;対グーグルで外部と連携 (5月25日付け 日経)
→米マイクロソフト(MS)は23日に開いた開発者会議で対話型人工知能(AI)「ChatGPT」を開発する米新興オープンAIとのさらなる技術連携を発表、基本ソフト(OS)「ウィンドウズ」全体にAIを導入し、米グーグルに対抗する旨。

◇OpenAI、ChatGPTアプリ日本で提供;AI安全対策も公募 (5月26日付け 日経 電子版 08:18)
→米新興企業のオープンAIは25日、対話型AI(人工知能)「ChatGPT」のiPhone用アプリを日本を含む30カ国以上で新たに始めたと発表、AIを安全に使えるようにするための対策や試案を公募し、優れたアイデアには10万ドル(約1400万円)を拠出するプロジェクトも打ち出した旨。

◇Global semiconductor market may rebound early on strong AI chip demand‐AI demand lifts global semiconductor industry (5月26日付け Pulse by Maeil Business Newspaper (South Korea))
→Generative artificial intelligence(AI)とaccelerated computingの需要が世界の半導体市場を牽引している、とアナリストが述べている旨。NvidiaとAdvanced Micro Devices(AMD)はグラフィックス・プロセッシング・ユニット(GPUs)でリードし、SamsungとSK Hynixはメモリー半導体で利益を上げている旨。


【TOP500はじめスーパーコンピュータ関連】

恒例の世界最速スーパーコンピュータリスト、Top 500が発表され、注目トップ10および各社スパコン関連の動きを以下に示す。唯一大台性能の米国製フロンティアが3連覇、我が国の富岳が2位を維持している。

◇AMD Now Powers 121 of the World's Fastest Supercomputers‐AMD silicon is behind 121 of top supercomputer systems ‐AMD's silicon churns out the flops. (5月22日付け Tom's Hardware)
→Advanced Micro Devices(AMD)は、世界最速スーパーコンピュータリスト、Top 500のうち121台に搭載され、唯一の完全認定エクサスケール級スーパーコンピュータであるFrontierでトップの座を占めている旨。また、AMDはGreen 500のリストで最も優れたシステム10台のうち7台に搭載されている旨。

◇Nvidia and Bristol University build Arm-based supercomputer‐Nvidia, U. of Bristol tout green supercomputer ‐NVIDIA today announced a supercomputer built on its Arm-based Grace CPU. (5月22日付け Electronics Weekly (UK))
→Nvidiaと Bristol大学は、NvidiaのArmベースのGrace CPUを活用したスーパーコンピュータを開発し、世界の非加速型スーパーコンピュータの中で、より環境に優しいトップ3にランクインした旨。Isambard 3は、270キロワット以下の消費電力で約2.7ペタフロップスのFP64性能に達する旨。

◇Frontier Remains As Sole Exaflop Machine And Retains Top Spot, Improving Upon Its Previous HPL Score (5月22日付け TOP5oo)
→第61回TOP500では、オークリッジ国立研究所(ORNL)のFrontierシステムが、真のエクサスケールマシンとして唯一リスト入りしていることが明らかになった旨。Frontierは、2022年6月から2022年11月にかけて停滞していたHPLスコアを
1.02Eflop/sから1.194Eflop/sに向上させ、このリストで驚異的なスコアを更新することができた旨。
トップ10システム:

1 Frontier
1.194 Eflop/s
2 Fugaku
442 Pflop/s
3 LUMI
309.1 Pflop/s
4 Leonardo
238.7 Pflop/s
5 Summit
148.8 Pflop/s
6 Sierra
94.6 Pflop/s
7 Sunway TaihuLight
93 Pflop/s
8 Perlmutter
64.6 Pflop/s
9 Selene
63.4 Pflop/s
10 Tianhe-2A (Milky Way-2A)
61.4 Pflop/s


◇スパコン、米国製フロンティアが3連覇;富岳は2位維持 (5月22日付け 日経 電子版 16:00)
→世界のスーパーコンピューターの計算速度を競う最新のランキングで、米国の「フロンティア」が2022年5月と11月に続き、3期連続で首位だった旨。理化学研究所と富士通が開発した「富岳」は2位を維持した旨。米国はフロンティアに近い計算能力を持つ新たな機種の開発を進めるなど、開発競争は激しさを増している旨。

◇NVIDIA、量子とスパコン連携;ドイツ研究所と (5月22日付け 日経 電子版 15:00)
→米半導体大手のエヌビディアとドイツのユーリッヒ研究所は21日、量子コンピューターとスーパーコンピューターを連携させる共同研究機関を立ち上げると発表、次世代の超高速計算機として期待が集まる量子コンピューターはエラーなどの課題も多く、スパコンと組み合わせた「ハイブリッド型」で実用化を急ぐ旨。
ドイツ西部にあるユーリッヒ・スーパーコンピューティングセンターに立ち上げる旨。エヌビディアは量子コンピューターと従来型のコンピューターの運用を統合できる開発基盤を持っており、この機能を使ってドイツの研究所が持つスパコンに量子技術を組み合わせる旨。エヌビディアの画像処理半導体(GPU)も活用する旨。

◇IBM launches $100m partnership to develop 100,000-qubit quantum-centric supercomputer‐IBM partners with universities on supercomputer effort (5月23日付け New Electronics)
→IBMは、シカゴ大学および東京大学の研究者と$100 millionのパートナーシップを結び、10万量子ビットのシステムを持つ量子中心スーパーコンピュータを構築する旨。
この10年間のイニシアチブは、気候変動や持続可能性といった世界的な問題に対処するためのハイパフォーマンス・コンピューティング(HPC)を推進することを目的としている旨。


【MicronのDRAM展開】

中国からの製品販売禁止措置を上で取り上げたMicronであるが、次世代最先端DRAMの台湾そして我が国での生産化が以下の通りあらわされている。韓国勢との対比に引き続き注目である。

◇Micron makes chip pledge to Taiwan‐REASSURANCE: The company, which installed new equipment in its Taichung plant, said that it would produce 1-gamma nanometers node DRAMs in Taiwan in 2025 (5月22日付け Taipei Times)
→米国のメモリー半導体サプライヤー、Micron Technology社は金曜19日、2025年に台湾で最先端のDRAMの独占生産を開始すると発表した旨。
Micronは、最先端の1ガンマプロセスノードDRAMを使用した半導体を、世界中のどの生産拠点よりも早く、台湾で量産すると発表した旨。

◇米マイクロン、次世代DRAM製品を日本で生産;2026年に (5月23日付け 日刊工業)
→米マイクロン・テクノロジーは22日、日本と台湾で導入を計画するEUV(極端紫外線)技術に関連し、次世代のDRAM製品の生産開始時期について台湾で2025年、日本では2026年とする計画を表明した旨。日本政府の支援を受け、同社が広島工場に5000億円を充てる大型投資は専用施設を新設せず、既存もしくは建設中の施設にEUV装置を2025年に導入する方針。

ご意見・ご感想