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韓国企業の中国工場への装置導入規制緩和;メモリ市況、PC市場底打ち模様

米中摩擦そして半導体市況低迷に覆われ気分が続いているが、規制緩和そして市場底打ちという久々のキーワードを見い出している。米国政府の対中国半導体関連規制が締まる一途の中、ビジネス面はじめ後に引けない訴えを受けてか、韓国のSamsungおよびSK Hynixの中国における工場への半導体製造装置導入について特別な手続きがこのほど免除されている。台湾のTSMCについても同様の免除措置が見込まれる模様である。次に、半導体市場関連では引き続き落ち込み模様から脱せない内容が続いているが、Samsungの四半期業績およびパソコン出荷四半期データなどに底打ちの見方が相次いであらわされてきている。確かかどうかは、今後あらわれるデータに逐次注目せざるを得ないが、長いトンネルを経て明るさが見えてきた感じ方ではある。

≪予断を許さない中の光明≫

まずは米中摩擦関連であるが、今月10月はじめに半導体製造装置の対中輸出規制が新たに加えられている。

◇New curbs on chip tool exports to China are nearly finalised as the US seeks to close loopholes (10月6日付け South China Morning Post) 
→*半導体製造装置の輸出に関する規則が更新され、2022年10月に実施された制限に追加されることになり、米中関係はさらに緊張することになる旨。
 *該新規則は水曜4日、Office of Management and Budget(行政管理予算局)のウェブサイトに掲載され、ある関係筋がロイターへの投稿を確認した旨。

そんな中、韓国政府からホッとした体のコメントが示されているが、SamsungおよびSK Hynixの中国の半導体工場への製造装置導入についての米国の規制が緩和され、以下各紙の取り上げである。

◇US Lets Samsung, SK Hynix Expand Giant Chip Plants in China―US eases restrictions for Samsung, SK Hynix in China (10月9日付け BNN Bloomberg (Canada))
→米国は、サムスン電子とSKハイニックスが中国の半導体工場に製造装置を搬入する道を開き、「韓国半導体企業にとって最大の貿易問題」を解決したと、韓国大統領府経済顧問の崔尚穆(Choi Sang-mok:チェ・サンモク)氏が述べた旨。昨年10月、アメリカは中国の半導体産業に制限を課したが、韓国企業には1年間の免除が与えられた旨。

◇South Korean Chip Makers Get U.S. Waivers From China Export Rules―A government official in Seoul said the decision settled a trade issue that had threatened to impede the China operations of Samsung and SK Hynix. (10月9日付け The New York Times)

◇(LEAD) U.S. eases export controls on chip equipment for Samsung, SK factories in China (10月9日付け Yonhap News Agency (South Korea))

◇US eases export controls on chip manufacturing equipment for Samsung, SK factories in China (10月9日付け The Korea Times)

◇米半導体規制、サムスンの中国工場投資など緩和;韓国表明 (10月9日付け 日経 電子版 19:40)
→米政府による中国への半導体製造装置の導入規制を巡って、韓国大統領府は9日、「韓国企業は特別な手続きなしに装置導入が可能となった」と表明した旨。韓国半導体大手のサムスン電子とSKハイニックスは中国内の自社工場への追加投資が認められた旨。

◇Samsung, SK Hynix get indefinite waivers to ship U.S. chip equipment to their China factories (10月10日付け CNBC)
→*聯合ニュースによると、韓国のサムスンとSKハイニックスは、米国の半導体製造装置を中国工場に出荷する際、米国の個別の承認なしに無期限で出荷できるようになる旨。
 *「米国政府の決定は、半導体企業にとって最も重要な貿易問題が解決されたことを意味する」と、ソウルの崔相黙(チェ・サンモク)大統領上級秘書官(経済担当)が月曜9日にメディアに語ったと報じられている旨。
 *今回の進展は、両社が中国での半導体生産について抱いていた懸念を払拭するものであり、中国での半導体生産の一部は米国の装置に依存している旨。

◇US lets Samsung, SK Hynix expand Chinese chip plants―GO-AHEAD GIVEN: The US has relented and granted two South Korean chipmakers waivers for the importation of advanced chipmaking gear into China (10月10日付け Taipei Times)
→ジョー・バイデン米大統領の政権は、サムスン電子とSKハイニックスが中国での大規模な半導体製造事業を維持・拡大するために必要な装置を取得することを認める、と韓国政府が発表、世界の二大メモリメーカーにとって勝利の旨。

◇韓国、サムスンの中国投資「容認」;米半導体規制巡り表明 (10月11日付け 日経)
→米政府による中国への半導体製造装置の導入規制を巡って、韓国大統領府は9日、「韓国企業は特別な手続きなしに装置導入が可能となった」と表明した旨。韓国半導体大手のサムスン電子とSKハイニックスは中国内の自社工場への追加投資が認められた旨。
韓国大統領府の経済首席秘書官によると、米当局がサムスンとSKを「検証済みユーザー」に指定し、米国製装置の輸出を包括的に許可する対象とした旨。韓国2社は特別な申請なしに中国での増産投資が可能になる旨。

韓国は今後、米国への同調を広く迫られるとの見方である。

◇What’s behind Samsung, SK Hynix chip war waivers?―US grants Korean chipmakers indefinite waiver on certain tech export bans, an exception that may allow them to dominate China’s chip markets (10月11日付け Asia Times)
→韓国のハイテク企業は、アメリカ当局の許可を得ることなく、アメリカの半導体製造ツールを中国の工場に出荷することができるようになり、ソウルをワシントンのより広い対中ハイテク戦争に同調させることを目的としている輸出禁止の譲歩である旨。

米国商務省の発表が後であったのか、次の通りである。

◇対中半導体規制を無期限猶予;米政府、サムスン・SKに (10月14日付け 日経 電子版 01:21)
→米商務省は13日、韓国サムスン電子とSKハイニックスに半導体製造装置を両社の中国拠点に輸出する許可を与えると発表、米国は両社に対し、2022年10月に導入した中国への輸出規制を1年間猶予していた旨。今回の措置で無期限になる旨。

台湾のTSMCについても、中国における半導体製造装置についての米国の規制が取り払われる、と以下の通りあらわされてきている。

◇US Extends TSMC’s Waiver for Advanced Chipmaking Gear in China (10月12日付け BNN Bloomberg (Canada))

◇TSMC expects permanent U.S. approval to supply chip tools to its China factory―TSMC seeks permanent waiver for US chipmaking tools (10月13日付け Reuters)
→台湾積体電路製造股份有限公司(TSMC)は、米国から中国での貿易制裁を免除する延長許可を得ており、検証されたエンドユーザー・プログラムを通じて恒久的な認可を得る見込みである旨。TSMCはまた、日本の新施設で6ナノメーターの半導体を製造する計画を発表した、と日経は報じている旨。

現下の米中摩擦関連でいくつか。米国の対外投資規制について、米国・SIAがメンバー企業などのパブリックコメントを以下の通りまとめている。ビジネス面はじめ率直な反応があらわされている。

◇SIA sees “chilling effect” of proposed US investment restrictions in China (10月10日付け FierceElectronics)
→最近、米国のほぼすべての半導体メーカーを代表し、その他多くの世界的な半導体メーカーを代表している米国・Semiconductor Industry Association(SIA)が、米国財務省による将来の対外投資規制に関する規則策定プロセスについて、詳細なパブリックコメントを提出した旨。27ページに及ぶコメントの中で、SIAは特に鋭い懸念を表明している: 「これらの規制は、その意図する範囲よりもはるかに広い範囲で、米国企業に不利益をもたらすというのが現実である。」
米国財務省が提案した中国投資規制は、米国以外の企業との公平な競争条件や投資冷え込みを懸念する米国の半導体メーカーから鋭い懸念を引き出した旨。

◇SIA Weighs in on Potential Outbound Investment Regime (10月10日付け SIA Blog)
→SIA は長年にわたり、商業革新、製造、雇用および重要技術における米国の継続的なリーダーシップを不当に害することなく、国家安全保障を守る政策を支持してきた旨。
この姿勢に基づき、SIA は最近、財務省が 8月13日に発表した対外投資プログラムの開発・実施に関す る事前提案公告(ANPRM: Advance Notice of Proposed Rulemaking)に対し、詳細なパブリックコメントを提出した旨。
 ◎財務省は、対外投資規制を、10月7日の輸出規制、CHIPS法の「ガードレール」条項、ワッセナー・アレンジメント加盟国が特定したデュアルユース品目など、半導体産業に影響を与える既存の規則と調和させるよう努めるべきである。これにより、米国の産業界にとって明確性が促進され、予測可能性が高まる。
 ◎一部の同盟国は独自の対外審査メカニズムを有しているが、ほとんどの主要半導体生産地域は同様の制度を導入していない。我々は、このことが米国企業にとって不公平な競争条件となり、国際競争力を低下させることを懸念している。我々は、政権が同盟国やパートナーと協力して、これらの規則を多国間協定にするよう強く要望する。
 ◎懸念国にある既存の米国子会社に対する継続的な支援は、事業の継続性を確保し、サプライチェーンの途絶を回避するために、「例外的取引」の範疇に含まれなければならない。この例外は、設備立ち上げのための資本支出、既存半導体施設のツールアップグレード、および原材料の購入に明示的に適用されるべきである。

一方、中国のRISC-Vコミュニティでは、米国の規制を意に介さない模様である。

◇China’s RISC-V community shrugs off US lawmaker threats to impose curbs on open-source chip standard (10月12日付け South China Morning Post)  
→中国のRISC-Vコミュニティは、オープンソースの半導体設計技術への中国本土のアクセスを制限する米国の潜在的な動きをほとんど無視しており、中国の専門家たちは、そのような行動がもたらすであろう影響を軽視している旨。

対する米国政府は、AI技術に対する規制強化にさらに乗り出す構えであり、今後に注目である。

◇Exclusive: Biden eyes adding AI chip curbs to Chinese companies abroad―Reports: US aims to close China's AI chip access loophole (10月13日付け Reuters)
→報道によると、ジョー・バイデン大統領は、中国企業が海外子会社を通じて米国企業からAI半導体を入手できる抜け穴をふさぐため、AI技術に対する規制強化を検討している旨。米国が輸出規制の隙間を埋め、すべての取引を取り締まるのは難しいというのが専門家の意見。

次に、半導体市場関連であるが、盛り返し、底打ちの兆候として、まずは、TSMCの第三四半期業績についてである。

◇TSMC Q3 sales up over 13% from Q2―Weaker Taiwan dollar helps boost TSMC sales by more than 13% in Q3 (10月7日付け Focus Taiwan)
→世界最大の受託半導体メーカー、台湾積体電路製造(TSMC)の第三四半期の売上高は、台湾ドル安が収益を押し上げる要因のひとつであるとアナリストが指摘するなか、前年同期比で13%以上増加した旨。
TSMCの7月から9月までの連結売上高は、同社による販売高データによると、5,467億3,000万台湾ドル($17.07 billion)で、前年同期比13.7%増となった旨。

◇TSMC slump offset by AI demand―Allaying concerns: Demand for chips by AI data centers is spurring some of the growth offsetting TSMC’s previous losses from earlier in the year (10月7日付け Taipei Times)
→台湾積体電路製造股份有限公司(TSMC、台積電)の第三四半期の売上高減少は、人工知能(AI)プレーヤーからの需要がスマートフォンやノートパソコンのチップ販売の低迷を相殺したため、予測よりも減少した旨。
アップル社やエヌビディア社向けの主要半導体メーカーであるTSMCの7-9月期売上高はNT$546.7 billion($16.97 billion)だったとブルームバーグが報じた旨。

グローバルPC市場においても、底を越えたとの受け止めである。

◇Global PC Shipments Decline Again in the Third Quarter of 2023 Amid Signs of Market Improvement, According to IDC Tracker (10月9日付け IDC)
→International Data Corporation(IDC)のWorldwide Quarterly Personal Computing Device Trackerの速報結果。2023年第三四半期(3Q23)もPC出荷台数の減少スパイラルは続き、世界全体のPC出荷台数は前年同期比7.6%減の6,820万台となった旨。需要と世界経済は依然として低迷しているものの、PC出荷台数は過去2四半期とも増加しており、年間減少率は鈍化し、市場は谷底を越えたことを示している旨。

◇Global PC shipments drop 9% in third quarter―PICKUP: After falling for eight straight quarters, the PC market’s decline appears to have bottomed out as corporate and consumer demand recovers, an analyst said (10月11日付け Taipei Times)

Samsungの第三四半期業績発表においても、半導体メモリ価格の下げ止まり、業績の底打ち、とあらわされている。

◇Samsung expected to report 80% profit plunge as losses mount at chip business―Chip sector to weigh on Samsung's Q3 profits, 80% dip expected (10月10日付け CNBC)
→*アナリスト予想によると、サムスン電子の第三四半期の収益は80%近く急落する見込み。
 *アナリストは、サムスンのキャッシュカウの典型である半導体事業が、第三四半期に3兆ウォン($2.2 billion)以上の損失を計上すると見ている旨。
 *メモリ半導体の価格は、供給過剰とスマートフォンやノートパソコンなどの最終製品の需要低下による供給過剰のため、今年劇的に下落した旨。

◇サムスン営業利益78%減;7〜9月、半導体苦境は底打ちか (10月11日付け 日経 電子版 09:17)
→韓国サムスン電子が11日発表した2023年7〜9月期の連結決算速報値で、営業利益は2兆4000億ウォン(約2650億円)と前年同期と比べて78%減だった旨。主力の半導体メモリーの価格が下げ止まったことで前四半期比では3.6倍の増益となり、業績は底打ちしたもよう。
売上高は前年同期比13%減の67兆ウォン、前四半期比では12%増と、売上高も回復に転じた旨。

本格回復はいまだながら、業績は底打ち、と入り混じった受け止め加減ではある。

◇サムスン半導体、回復遠く 7〜9月の赤字4000億円;需要低迷/受託拡大に時間;メモリー市況は底打ち (10月12日付け 日経)
→韓国サムスン電子の業績が底を打った旨。2023年7〜9月期の連結営業利益は前四半期比3.5倍の2兆4000億ウォン(約2650億円)と最悪期を脱した旨。ただ半導体部門の赤字は解消されていない旨。メモリー不振だけでなく、受託生産で台湾積体電路製造(TSMC)に大きく引き離されており、V字回復は見通せないまま。11日に発表した7〜9月期の売上高は67兆ウォンと前四半期比12%増え、1年半ぶりにプラスに転じた旨。

第四四半期、すでに今入っているが、メモリ半導体価格が上がるとの見方である。

◇Chip market observed to rebound next year: Industry―Analysts: NAND segment to drive rebound in chip market (10月12日付け Pulse by Maeil Business Newspaper (South Korea))
→市場アナリストが、NANDフラッシュ・メモリー・半導体とダイナミック・ランダム・アクセス・メモリー(DRAM)の需要が回復し、2024年の初めに半導体産業が回復する、と予測している旨。KB証券のKim Dong-won(キム・ドンウォン)氏は「第四四半期にはDRAMとNANDの同時価格上昇が予想され、この傾向は2021年第三四半期以来2年ぶりとなる」と述べた旨。

◇Q4 DRAM Contract Prices Set to Rise, With Estimated Quarterly Increase of 3-8%, Says TrendForce (10月13日付け SEMICONDUCTOR DIGEST)
→TrendForceのレポートによると、第四四半期からDRAMとNANDフラッシュの価格が普遍的に上昇する旨。例えば、DRAMの価格は四半期ごとに約3〜8%上昇すると予測されている旨。この上昇の勢いが持続するかどうかは、サプライヤーの減産維持の着実さと、汎用サーバー市場が重要な決定要因である実需の復活の程度にかかっている旨。

台湾市場でも、プラスに転じる、そしてAIがU字回復を牽引、と今後に向けた見方である。

◇台湾、情報機器など好調;9月;輸出額13カ月ぶりプラス (10月12日付け 日経)
→台湾の財政部(財政省)は11日、9月の輸出額が前年同月比3.4%増の$38.8 billion(約5兆7000億円)だったと発表、サーバー関連など情報通信機器の輸出が好調で、13カ月ぶりに前年同月比でプラスに転じた旨。

◇AI to drive U-shaped recovery―UPSWING: Global inventory challenges would fade in the second half of the year, making way for next-generation products that would draw customers, an analyst said (10月13日付け Taipei Times)
→DBS銀行(星展銀行)が昨日発表したところによると、台湾経済は人工知能(AI)関連製品やサービスに対する旺盛な需要を背景に輸出が再開し、今四半期からU字型に回復する旨。

リスク要因が増えて強まる現下の情勢の中、市場&市況の推移に逐次注目を要するところである。


コロナ「5類」移行とはいえ、インフルエンザが加わり一層用心怠りなくの現状と言えるかと思うが、コロナ前に戻る舵取りがそれぞれに行われている中での世界の概況について、以下日々の政治経済の動きの記事からの抽出であり、発信日で示している。

□10月10日(火)

前半は上げ基調ながら、中東情勢が加わって上値が重い締めとなった今週の米国株式市場である。

◇NYダウ続伸、197ドル高;追加利上げへの警戒感和らぐ (日経 電子版 05:58)
→9日の米株式市場でダウ工業株30種平均は続伸し、前週末比197ドル07セント(0.58%)高の3万3604ドル65セントで終えた旨。中東地域での戦闘が激化したのを受けて朝方は売りが先行したが、その後上昇に転じた旨。米連邦準備理事会(FRB)による追加利上げなど、金融引き締めが長期化することへの過度な警戒感が後退し、投資家の買いを誘った旨。

IMFも、世界経済の成長率予測を下方修正している。

◇2024年の世界経済、成長率3%割れ;深まる停滞感 (日経 電子版 17:57)
→国際通貨基金(IMF)は10日、四半期に1度の経済見通しを公表、中国やユーロ圏の減速を反映し、2024年の世界の実質経済成長率を2.9%とした旨。7月の予測から0.1ポイントの下方修正となる旨。世界貿易の低迷など低成長の影が色濃くなっており、IMFは5年後の成長率も3%前後にとどまると予測する旨。

□10月11日(水)

中東情勢が、地政学リスクをさらに高める現状である。

◇中東、高まる地政学リスク;ガザ完全封鎖で地上戦の恐れ (日経 電子版 01:24)
→イスラエルは10日、パレスチナ自治区ガザを実効支配するイスラム組織ハマスに対する本格的な報復攻撃に乗り出した旨。ハマスの拠点など1300カ所以上を空爆し、ガザの完全封鎖を宣言した旨。中東和平の実現がさらに遠のき、地域の融和に向けた動きが逆戻りしかねない旨。

◇NYダウ3日続伸、134ドル高;中東情勢警戒で伸び悩む (日経 電子版 05:41)
→10日の米株式市場でダウ工業株30種平均は3営業日続伸し、前日比134ドル65セント(0.40%)高の3万3739ドル30セントで終えた旨。米連邦準備理事会(FRB)の追加利上げ観測が後退したとの受け止めから米長期金利が大幅に低下。株式の相対的な割高感が和らいだことが買いを誘った旨。自律反発を期待した買いも入ったが、中東情勢を巡る地政学リスクへの警戒感から次第に伸び悩んだ旨。

□10月12日(木)

欧州経済へのアラームが、以下の通りあらわされている。

◇欧州経済、マイナス成長の恐れ;消費不発でドイツ混迷 (日経 電子版 04:00)
→欧州経済の失速が鮮明になってきた旨。ドイツやフランスなどのユーロ圏は7〜9月期に再びマイナス成長に転落した恐れがある旨。長引くインフレや急激な利上げで個人消費の回復が遅れており、企業の生産活動も冷え込む旨。ドイツ経済は2023年の実質成長率がマイナス0.6%と景気後退が一段と深刻になる見通し。

◇NYダウ続伸65ドル高;金利低下、CPI控え様子見も (日経 電子版 06:35)
→11日の米株式市場でダウ工業株30種平均は4日続伸し、前日比65ドル57セント(0.19%)高の3万3804ドル87セントで終えた旨。朝発表の9月の米卸売物価指数(PPI)は市場予想を上回ったものの、前月から伸びが鈍化した旨。米長期金利が連日で低下し、株式相場の支えとなった旨。ただ、12日に9月の米消費者物価指数(CPI)の発表を控えて様子見姿勢も強く、ダウ平均は下げる場面もあった旨。

予想を上回る米国の9月のインフレ率である。

◇Consumer prices rose 0.4% in September, more than expected―US consumer price index up 0.4% for Sept. (CNBC)
→米国の9月の消費者物価指数(CPI)は、前月比0.4%上昇、前年同月比3.7%上昇と、市場が予想していた0.3%の上昇をわずかに上回ったが、これは主に住宅費の上昇によるものだった旨。コア・インフレ率も8月に比べ0.3%上昇した旨。

◇US inflation higher than expected in September (Financial Times)

◇This Inflation Report Won’t Let the Fed Declare Victory―The consumer-price index highlights the risk that inflation is settling out at 3%, above the Federal Reserve’s 2% target (The Wall Street Journal)

□10月13日(金)

◇NYダウ反落173ドル安;長期金利上昇、利益確定売りも (日経 電子版 06:12)
→12日の米株式市場でダウ工業株30種平均は5営業日ぶりに反落し、前日比173ドル73セント(0.51%)安の3万3631ドル14セントで終えた旨。朝方発表の9月の米消費者物価指数(CPI)の前年同月比の上昇率が市場予想を上回った旨。米長期金利が上昇し、株式の相対的な割高感を意識した売りが出た旨。午後に長期金利が一段と上昇した場面では、ダウ平均の下げ幅は一時340ドルを超えた旨。

□10月14日(土)

◇NYダウ反発、39ドル高;金融株高が支えも上値重く (日経 電子版 06:13)
→13日の米株式市場でダウ工業株30種平均は小幅に反発し、前日比39ドル15セント(0.11%)高の3万3670ドル29セントで終えた旨。朝発表の四半期決算が好感された金融株などを中心に買いが入った旨。一方、中東情勢を巡る緊張が一段と高まっており、株式相場全体の重荷となった旨。


≪市場実態PickUp≫

【ロシア関連】

ロシアのスーパーコンピュータおよび半導体の量産の取り組みが、以下の通りあらわされている。中国同様、先端技術輸出規制が課されているはずであるが、一層の実態把握を要するところである。

◇Russia Plans to Use Banned Nvidia H100 GPUs to Build Top 10 Supercomputers―Is Russia building 10 supercomputers using Nvidia GPUs? ―Plan hinges on ability to obtain the accelerator hardware. (10月8日付け Tom's Hardware)
→ロシアは、2030年までにそれぞれ最大15,000個のNvidia H100 GPUsを使用したスーパーコンピューターを10台構築し、スーパーコンピューターの能力を拡大する計画だと報じられている旨。Nvidiaはアメリカの企業であり、アメリカはロシアとの間に技術的な制約がある旨。現在、世界トップ500のスーパーコンピューターのうち、アメリカが150、中国が134であるのに対し、ロシアは7を保有している旨。

◇Russia Aims to Mass Produce 28nm Chips by 2027, 14nm by 2030―Report: Russian domestic chip plan targets 28nm by 2027 ―Russia has ambitious semiconductor plans. (10月11日付け Tom's Hardware)
→ロシアは4年以内に28ナノメートル、10年以内に14ナノメートルの半導体を量産する計画だとCnewsが報じている旨。同政府は、2030年までのマイクロエレクトロニクス開発のために$38.43 billionの投資を計画している旨。


【Samsung関連】

AI半導体、そして先端微細化半導体へのSamsungの覇権争いに向けた取り組みが、以下に示す通りである。

◇Samsung accelerates efforts to lead AI chip market―Tech giant unveils new processor for text-to-image AI generation on smartphones (10月6日付け The Korea Times)
→Samsung Electronics社が、人工知能(AI)およびChatGPTの出現とともに半導体業界が拡大する中、半導体製造における競争力を示す一連の発表を行った旨。木曜5日(現地時間)、シリコンバレーで開催されたSamsung System LSI Tech Dayイベントにて、Samsung ElectronicsのPark Yong-in社長兼Head of System LSIが講演の旨。

◇Samsung Elec to launch HBM4 in 2025 to win war in AI sector―The Korean tech giant is developing the sixth-gen HBM model while planning to supply fifth-gen HBM3E samples (10月10日付け Korea Economic Daily)
→世界トップのメモリー・半導体・メーカーであるサムスン電子は、急成長する人工知能(AI)半導体分野で激化する覇権争いに勝つため、2025年に第6世代の最高性能High Bandwidth Memory4(HBM4) DRAM半導体の投入を目指している、と同社幹部が火曜10日に語った旨。

◇Galaxy S24 reportedly to use APs from both Samsung and Qualcomm (10月11日付け DIGITIMES)

◇Samsung Electronics secures new order for 3nm high-performance server chips―Samsung marking wins in chip development, orders (10月11日付け Pulse by Maeil Business Newspaper (South Korea))
→サムスン電子は、同社の3ナノメーター・サーバー・半導体について米国企業と契約を結んだと発表した旨。サムスン電子はまた、自社製およびクアルコム製アプリケーション・プロセッサー(AP)を搭載したスマートフォン「ギャラクシーS24」を来年発売する予定であり、2025年には広帯域メモリー4(HBM4) DRAM半導体を発表する予定であるとしている旨。

2-nmについて、TSMCに挑む現状である。

◇Samsung takes on TSMC with advanced 2-nanometer fabrication push―Samsung advances 2nm production rivalry with TSMC, reports say (10月12日付け DIGITIMES)
→サムスン電子がTSMC(台湾積体電路製造)と対決しており、最近の兆候では、サムスンは2ナノメートル製造領域での研究開発(R&D)努力を強化しており、単に3ナノメートル生産を拡大するのではなく、最先端技術を採用することに重点を置いて、サムスンが衝突し支配的なTSMCに挑むことで、逆転の可能性に向けた立ち位置を狙っている旨。


【AMDのM&A】

AMDが、オープンソースの人工知能(AI)ソフトウェア・スタートアップ、Nod.AI(Santa Clara, CA)を買収している。Nvidiaへの対抗が、ここでも意識されている。

◇AMD acquires Nod.ai to fuel AI model optimization (10月10日付け FierceElectronics)
→AMDは、以前から機械学習(ML)プロジェクトで協業しているオープンソースソフトウェア企業、Nod.aiの買収に合意した旨。半導体大手、AMDは、AIハードウェアおよびソフトウェアの市場において、より良いポジションを確保しようとしている旨。AMDによるNod.aiの買収は、AI競争においてソフトウェアと最適化がいかに最前線に来ているかを反映している旨。

◇AMD to acquire AI software startup in effort to catch Nvidia (10月10日付け Reuters)

◇AMD Acquires AI Software Company Nod.ai to Bolster Open Source Portfolio―AMD doubles down on open source AI software. (10月10日付け Tom's Hardware)

◇AMD to acquire AI software startup as it seeks to catch up with Nvidia (10月10日付け CNBC)
→*AMDは火曜10日に、オープンソースの人工知能ソフトウェア・スタートアップであるNod.AIを買収すると発表した旨。
 *Nod.AIあるいはNodラボは、「未来のAIシステム」のためのオープンソース技術を構築しており、主に強化学習、試行錯誤によって動作するAI手法を専門としている旨。
 *AMDの広報担当者がCNBCに語ったところによると、買収は今四半期中に完了する予定の旨。

◇AMD aims to expand AI software with Nod.ai buy (10月11日付け DIGITIMES)
→アドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)は、オープンソースのAIソフトウェア企業、Nod.aiを買収することで合意した旨。AMDの人工知能グループのシニア バイス プレジデント、Vamsi Boppana氏によると、この買収の狙いは、Instinctデータセンター・アクセラレーターやRyzen AIセントラル・プロセッシング・ユニット(CPUs)など、「AMDハードウェア向けにチューニングされた高性能AIモデルを、AI顧客が容易に導入できるようにすること」の旨。

◇AMD、AIソフト開発新興を買収;NVIDIAに対抗 (10月11日付け 日経 電子版 07:22)
→米半導体大手アドバンスト・マイクロ・デバイス(AMD)は10日、人工知能(AI)関連スタートアップのノッド・エーアイ(Nod.ai)(Santa Clara, CA)を買収すると発表、金額は明らかにしていない旨。AMDは自社の半導体とノッド・エーアイのソフトを組み合わせ、AIの処理を高速化する旨。AI半導体で先行する米エヌビディアに対抗する旨。


【米国NSTC理事会選出】

米国・SIAより、National Semiconductor Technology Center(NSTC)の理事会選出を歓迎する声明が発表されている。米国・CHIPS and Science Actを推進、特に研究開発(R&D)の中軸となっていく見え方である。

◇SIA Welcomes Selection of National Semiconductor Technology Center Leadership (10月11日付け SIA Latest News)
→米国・Semiconductor Industry Association(SIA)は本日、米国の半導体研究開発(R&D)を促進するために2022年のCHIPS and Science Actによって設立された重要な組織、National Semiconductor Technology Center(NSTC)の理事会選出を歓迎するSIA President and CEO、John Neuffer氏の以下の声明を発表した旨。独立した選考委員会が今年6月に招集され、NSTCの指導者を特定し任命した旨。
「NSTC の最初の評議員会が選出されたことを歓迎する。この評議員会は、広範かつ多様な知識と経験を持つ著名なグループであり、国内の半導体研究とイノベーションを推進する上で大きな財産となる。本日の発表は、CHIPS and Science Actの重要な研究開発(R&D)条項を迅速かつ効果的に実施するための重要な一歩である。NSTCの理事会、幹部、スタッフ、およびライモンド長官をはじめとする商務省の指導者らと協力し、CHIPS and Science Actが米国の経済、国家安全保障および技術競争力に最大限の利益をもたらすよう尽力していきたい。」

◇SIA Welcomes Selection of National Semiconductor Technology Center Leadership (10月11日付け SEMICONDUCTOR DIGEST)


【AI(人工知能)関連】

AI搭載パソコン、生成AI検索、1年サイクルの製品導入、といずれも成り行きに注目させられる中、最後には「NVIDIAのGPUサーバーが確保できない」と悲鳴が聞こえてくる、活況からくるいろいろ慌ただしい出現模様のAI関連の動きが見られている。

◇米HP、AI搭載パソコン発売か;CEOが示唆;来年にも (10月7日付け 日経)
→米HPは5日、カリフォルニア州パロアルトの本社で製品イベント「HPイマジン」を開いた旨。エンリケ・ロレス最高経営責任者(CEO)は「人工知能(AI)はパソコンのカテゴリーを再定義する」と強調し、AI機能を使いやすくするパソコンの製品展開に含みを持たせた旨。

◇Google announces new generative AI search capabilities for doctors (10月9日付け CNBC)
→*Google Cloudは月曜9日、臨床医がさまざまなデータソースから情報に素早くアクセスできるよう、人工知能(AI)を活用した新しい検索機能を発表した旨。
 *医師や看護師にとって、情報は複数のシステムや形式にまたがって保存されていることが多いため、情報を見つけるのは困難な場合があり、グーグルの新ツールにより、すべてが1か所に集約される旨。
 *この新機能は、グーグルのVertex AI Searchプラットフォームを通じて、医療機関やライフサイエンス機関に提供される旨。
 *同社は、医療従事者の貴重な時間とエネルギーを節約するのに役立つとしている旨。

◇Nvidia May Move to Yearly GPU Architecture Releases―Road map: Nvidia accelerating GPU architecture development, releases ―Nvidia's Blackwell set to arrive in 2024, its successor to hit the market in 2025. (10月10日付け Tom's Hardware)
→Nvidiaは、人工知能(AI)およびハイパフォーマンス・コンピューティング(HPC)ハードウェアにおけるリーダーシップを維持するために、新しいGPUアーキテクチャの開発を加速し、実質的に製品導入の1年サイクルに戻す計画である、と投資家向けに発表されたロードマップおよびSemiAnalysisがさらに詳しく説明している旨。その結果、NvidiaのBlackwellが2024年に登場し、2025年には新アーキテクチャに引き継がれることになる旨。

◇「NVIDIAのGPUサーバーが確保できない」AI企業が悲鳴 (10月12日付け 日経 電子版 05:00)
→生成AI(人工知能)ブームが過熱する現在、基盤となる大規模言語モデル(LLM)の開発に必要なAI用GPU(画像処理半導体)インフラの確保が難しくなっている旨。特にパブリッククラウドを利用するユーザーがLLM開発に適したGPUサーバーのインスタンス(サーバー上の実行環境)を確保できない状態が続いており、LLMを開発する国内企業が悲鳴をあげている旨。

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