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米国の圧力による奔走、翻弄:対中規制、Chips Act、Entity List

新型コロナウイルスによる累計感染者数は金曜10日午後2時時点、世界全体で6億7657万人に達し、ほぼ1週間前から約84万人増、前週比11万人減である。我が国では、この3月13日からマスクの着用を個人の判断に委ねる政府方針である。米国が主導する動きが相次いでいるなか、圧力を受ける関係国において奔走する、あるいは翻弄される事態が見られている。半導体輸出はじめ中国に対する規制への同調を求められるオランダ、韓国、そして我が国。申請対応を始めたばかりで、具体的な要件をめぐって確認のやりとりが見られる米国Chips Act。そして、米国がEntity Listの対象企業を拡大、米国企業の一大中国顧客が追加ということで、落ち着かない事態に。いずれも関係各社のビジネス、事業への非常に大きな影響が予想される内容である。

≪諸刃の剣の正念場≫

まずは、米国の中国に対する規制について、関係する内容を取り出している。

米国に対峙する中国側のトップの改めてのスタンスがあらわされている。

◇Tech war: China doubles down on ‘whole nation’ approach to chip self-sufficiency as US tightens export controls (3月3日付け South China Morning Post)
→*習近平国家主席の経済最高補佐官である劉鶴(Liu He)氏は、半導体産業は「国家安全保障と...中国式の近代化」にとって重要であると述べた旨。
 *劉氏は、中国の半導体人材不足を解消するための政策のもと、中国は外国の専門家に"平等な国内待遇"を提供すると強調した旨。

米政権は、NvidiaのHuaweiに対する技術関連販売の阻止に向かう動きである。

◇Exclusive: Nvidia's plans for sales to Huawei imperiled if U.S. tightens Huawei curbs-draft‐Will Nvidia be barred from selling chips to Huawei? (3月6日付け Reuters)
→バイデン政権は、NvidiaがHuawei Technologiesにmicrochipsを供給することを禁止するかどうかを思案していると、米国政府の請負業者が作成した報告書の草案を引用してReutersが報じている旨。半導体設計の同社の広報担当者は、この連邦文書に関するコメントを拒否している旨。

◇Nvidia’s plans to sell to Huawei at risk on new curbs‐US RESTRICTIONS: A proposed amendment would ‘likely have a high economic impact’ on the company, based on plans to sell technology to Huawei, a report said (3月6日付け Taipei Times)
→米国の半導体メーカー、Nvidia社が中国のHuawei Technologies Co(華為)に技術を販売する計画は、米国政府がブラックリストに掲載された企業への出荷をさらに制限する提案を進めれば、阻止されることが米国政府の契約者による報告書の草稿で明らかになった旨。

関連として、ドイツでもHuaweiおよびZTEを締め出す動きである。

◇Germany set to ban China's Huawei, ZTE from parts of 5G networks -source‐Germany may require telecoms to strip ZTE, Huawei gear from 5G networks (3月7日付け Reuters)
→ドイツは、通信事業者が中国企業HuaweiとZTEが製造した特定の部品を5Gネットワークに使用することを禁止する計画であると政府関係者が述べ、セキュリティ上の懸念に対処するための重要な動きとなる可能性の旨。

中国の半導体輸入急減の状況である。

◇Tech war: China’s chip imports slump 27 per cent in the first 2 months of 2023 as US sanctions bite (3月7日付け South China Morning Post)
*中国の1月と2月のチップ輸入量は676億個に減少、輸入額は31%減の$47.8 billionに急減した旨。
*中国の半導体産業は、米国の規制が強化される中、圧力に直面しているが、その他の製造活動は、ゼロ・コビッドの終了後、回復している旨。

中国・SMICでも、製造装置起因の量産化の遅れが取り沙汰されている。

◇SMIC postpones mass production due to delivery delay of bottleneck machines (3月7日付け DIGITIMES)
→SMICは、投資家向け対話型プラットフォーム、P5Wにおいて、量産化の遅れ、特にボトルネックマシンの納入に関する質問を受けた旨。

規制を受ける中国の半導体業界の実態の一面があらわされている。

◇China’s chip sector needs more than state funding‐US PRESSURE: The country needs to rethink how it can innovate in the chip sector, rather than continuing to emulate existing tech from abroad, industry experts said (3月7日付け Taipei Times)
→中国は、米国の輸出規制を克服するため、チ半導体分野の支援に向けて資金を投入する予定だが、中国企業がイノベーションを妨げ、バリューチェーンの下位に追いやられるサイクルから脱却できない限り、資金でできることは限られていると業界関係者は述べている旨。

中国に対する半導体関連輸出規制について、オランダは米国に協調していく、としている。中国からは、折り返しの反発である。

◇Dutch to restrict semiconductor tech exports to China, joining US effort (3月8日付け Reuters)

◇The U.S. imposed semiconductor export controls on China. Now a key EU nation is set to follow suit‐The Netherlands joins the US in blocking IC gear to China (3月9日付け CNBC)
→半導体製造のための高度なリソグラフィ・システムの重要なサプライヤーであるASMLの本拠地、オランダは、中国への輸出規制を課すことで米国と協調している旨。中国外務省の報道官、Mao Ning氏はAP通信に対し、米国とオランダは "中国から発展の権利を奪おうとしている "と述べた旨。

◇China criticizes Dutch plan to curb access to chip tools (3月9日付け The Associated Press)

◇Dutch respond to US-China policy with own plan to curb semiconductor tech exports (3月9日付け South China Morning Post)
→*米国は、中国の高度なチップ製造能力を阻害する制限を採用させるため、オランダ政府および日本政府と数カ月にわたって協議を行ってきた旨。
 *オランダの貿易大臣が国会に宛てた書簡によると、該ルールは夏前に導入されるとのこと。

◇オランダ、半導体技術の輸出規制強化を発表;米と足並み (3月9日付け 日経 電子版 10:50)
→オランダ政府は8日、先端半導体装置の分野で新たな輸出規制を計画していると明らかにした旨。夏前の導入を目指す旨。軍事利用など安全保障上の懸念から、米国の中国に対する半導体輸出規制に呼応する形。

◇Netherlands to curb ASML gear exports‐‘FINANCIAL OUTLOOK UNAFFECTED’: The proposed curbs on chipmaking tool exporters came after the Dutch prime minister met with Joe Biden in January (3月10日付け Taipei Times)
→オランダ政府は水曜8日、先進的なプロセッサー半導体を製造する機械装置の輸出に追加制限を課すことを計画していると発表し、中国がこうした半導体の製造に使用する材料へのアクセスを制限することを目的とする米国の動きに加わった旨。

韓国、そして我が国も、米国との足並み如何が問われているのは、このところ本欄で記している通りである。

次に、米国政府から申請手続きが示されたChips Act関連である。

韓国では、対応を巡って政府、業界が動いているが、あまりもの要件に辟易という様相が見られている。

◇Trade minister, chipmakers to hold meeting on US CHIPS Act (3月6日付け The Korea Herald)
→韓国通商産業エネルギー省のAhn Duk-geun(アン・ドクグン:安徳根)長官は、サムスン電子やSKハイニックスを含む主要半導体企業の関係者と火曜7日に会談し、米国のCHIPS法への対策とその要件について話し合うと、月曜6日に同省は発表した旨。

◇South Korea Says U.S. Chips Act Subsidies Have Too Many Requirements‐S. Korea questions long list of rules to qualify for CHIPS Act subsidies ‐Trade ministry says ‘unusual conditions’ will make investment in U.S. difficult (3月7日付け The Wall Street Journal)
→米国のチップス法は、世界最大の半導体メーカーの前に数十億ドルの補助金をぶら下げているが、韓国は、あまりにも多くのひも付きがあると言っている旨。

ここで関連として、欧州でもChips Actの取り組みが改めてあらわされている。

◇How the EU Chips Act Could Build "Innovation Capacity" in Europe ‐Imec’s Jo De Boeck explains (3月8日付け IEEE Spectrum)
→欧州委員会(EC)は、世界の半導体生産に占める欧州の割合を、現在の10%から2030年までに20%に引き上げることを望んでいる旨。そのために、欧州委員会は、European Chips Actを通じて、430億ユーロ以上の公的および民間投資を行う計画を進めている旨。

韓国の対応が、以下の通り引き続いている。

◇Trade minister leaves for US for talks on Chips Act (3月8日付け The Korea Times)
→米国のChips Actが韓国の半導体メーカーに与える悪影響への懸念が高まる中、韓国の通商部長が会談のため水曜8日に米国に出発した旨。

◇Samsung faces dilemma on tough U.S. chip subsidy rules‐China investment ban, fear of technology leaks complicate choice of accepting aid (3月9日付け Nikkei Asian Review (Japan))
→Samsung Electronicsにとって、バイデン政権が提示した米国での半導体工場建設への補助金を受けることは、簡単な選択ではない旨。というのも、この補助金には、受給者が"超過利益"を米国政府と共有するルールなどの縛りがあるから。

◇米の半導体補助金に厳しい条件;サムスン、情報流出を懸念(アジアVIEW) (3月9日付け 日経)
→半導体の国内生産を促す米政府の補助金を巡り、韓国サムスン電子が困惑している旨。米政府が2月28日に提示した支給条件で、技術協力や超過利益の返納、雇用制約、米国産の建材活用などを求められているため。米政府は中国での半導体投資を禁じたうえで追加制限を課す格好で、サムスンは補助金申請に二の足を踏んでいる旨。

今後に注目するところである。

CHIPS Actでの米国での半導体製造について、次の評論が見られている。

◇How manufacturing chips in the US could make smartphones more expensive‐Opinion: CHIPS Act may raise the overall prices of CE devices (3月9日付け CNBC)
→*$54 billion CHIPS Actは、企業に米国で半導体を作らせるためのものだが、この法律で半導体を安くすることはできない旨。
 *Taiwan Semiconductor Manufacturing Company(TSMC)は投資家に対し、米国の半導体工場は台湾の同じ工場よりはるかにコストがかかると語っている旨。
 *iPhoneからSamsung GalaxyおよびGoogle Pixelまで、半導体は組み込みコストの大きな部分を占めているが、スマートフォンメーカーは消費者価格への転嫁を制限する方法を持っている旨。

最後に、米国商務省が発行する貿易上の取引制限リスト、Entity Listであるが、中国のサーバ・サプライヤ、Inspur社がこのほど加えられるということで、以下の通り波紋を呼んでいる。

◇Tech war: US decision to add AI server firm Inspur to its trade black list will hinder China’s computing power (3月3日付け South China Morning Post)
→*Inspur社がEntity Listに登録されたことにより、山東省に拠点を置く同社は、米国のサプライヤーから主要部品を調達することがますます困難になることが予想される旨。
 *Inspurは、BGI、Loongsonとともに米国商務省のEntity Listに追加された28の中国企業のうちの1つ。

◇US adds Inspur ‐ friend to Intel, IBM, Cisco and hyperscalers to export ban list‐Commerce Dept. adds China's Inspur Group to US entity list ‐Loongson, China’s most advanced chipmaker and a desktop contender, also added to entity list (3月6日付け The Register (UK))
→米国商務省は先週、米国の企業&機関がライセンスを取得しなければ取引できない中国企業のリストにInspur Groupを追加、この動きは、米国のハイテク企業にとって大きな問題を引き起こす可能性がある旨。

◇Nvidia, AMD grapple with latest U.S. curbs on China's Inspur‐What do US trade restrictions on China's Inspur mean for Nvidia, AMD? (3月7日付け Reuters)
→Nvidia 社, Advanced Micro Devices(AMD)社などのハイテク企業は、先週、中国のInspur Group Ltdが米国の輸出ブラックリストに追加されたことを受け、同社への販売を停止しなければならないかどうかを判断するために奔走している旨。

◇Nvidia, AMD grapple with latest US curbs on China’s Inspur (3月8日付け South China Morning Post)
→*Inspur Groupは、クラウドコンピューティングを支えるデータセンターで使用されるサーバーのサプライヤーとして世界第3位の規模を誇っている旨。
 *半導体業界関係者やそのアドバイザーによると、各社はInspurの子会社への供給を停止しなければならないかどうかを見極めようとしている旨。

米中摩擦のまたぞろ激化、そして関係各国各社を巻き込む新たな局面を感じるところである。


コロナ対応の完全には収まりきらない状況推移に対して、直面する事態への警戒感を伴った舵取りが各国それぞれに引き続き行われている中での世界の概況について、以下日々の政治経済の動きの記事からの抽出であり、発信日で示している。

□3月5日(日)

中国で全人代が開催され、習近平国家主席の未曽有の三期目入りである。

◇China sets this year’s economic growth target at ‘around 5%’ (Associated Press NEWS)
→中国政府は、習近平国家主席の企業や社会に対する統制を強化する立法府の議会が日曜5日に開かれる中、苦境にある経済を消費者主導で復活させる計画を発表した旨。
経済トップの李克強首相は、何百万人もの人々が家に閉じこもり、抗議行動を引き起こしたアンチウイルス規制の終了を受けて、今年の成長目標を"5%前後"とした旨。世界第2位の経済大国の昨年の成長率は3%に落ち込み、少なくとも1970年代以降で2番目に低い水準となった旨。

◇中国、成長目標5%に下げ 景気回復優先で改革先送り (日経 電子版 23:16)
→中国で年に1度の重要会議、全国人民代表大会(全人代、国会に相当)が5日、北京で開幕、李克強首相は2023年の実質経済成長率の目標を"5%前後"と定め、2年連続で引き下げた旨。財政の拡張などで景気の回復を最優先課題に据える一方、少子高齢化などの問題に対応する構造改革には具体的な言及がなく、事実上の先送りとなる恐れがある旨。

□3月6日(月)

韓国が元徴用工問題で動きを見せて、日韓関係改善方向の歩みとなり、半導体材料の韓国向け輸出管理の厳格化解除が協議されようとしている。

◇政府、韓国向け輸出管理 厳格化解除へ2国間協議 (日経 電子版 17:23)
→経済産業省は6日、韓国向け輸出管理の厳格化解除に向けて韓国との協議を進めると発表した旨。2019年7月、当時の安倍政権が軍事転用リスクのある素材を韓国に輸出する際の優遇策の見直しを決めた旨。経産省は「2019年7月以前の状態に戻すべく、2国間の協議を速やかに行っていく」と説明した旨。
政府は2019年に半導体生産に不可欠な「フッ化水素」や「レジスト(感光剤)」、有機ELパネルの保護部材に使う「フッ化ポリイミド」の3品目で輸出案件ごとに個別審査を求める対象にしていた旨。それ以前は企業が一度許可を取れば一定期間、個別審査なしで輸出できる「包括許可制度」を使うことができた旨。

◇日韓首脳会談、3月中で調整;尹大統領が来日へ (日経 電子版 20:16)
→日韓両政府は3月中に岸田文雄首相と尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領の首脳会談を日本で開く調整に入った旨。韓国政府が元徴用工問題の解決策を発表したのを踏まえ、両国の関係改善を進める旨。

□3月7日(火)

◇日韓半導体、政治に翻弄;輸出管理協議へ;韓国で一部国産化 (日経)
→日本政府は6日、韓国への輸出管理の緩和に向けて協議を始めると発表、2019年7月の厳格化から3年8カ月、韓国では半導体の関連部材の国産化によって一部で代替が進む品目もある旨。販売が減った日本企業、代替調達を迫られた韓国企業。政治に翻弄された日韓の半導体産業は関係改善に期待を寄せる旨。

中国全人代にて、半導体重視の人選の動き、次の通りである。

◇中国全人代、米規制対象企業から100人規模;半導体重視 (日経 電子版 02:24)
→・全人代代表や助言機関委員 共産党指導部との近さ示す
 ・今回は米規制対象企業の経営者らが100人規模で選出
 ・半導体、資源分野目立つ 米国に頼らぬ成長の狙いにじむ
中国で5日に開幕した全国人民代表大会(全人代、国会に相当)の代表や助言機関の委員に、米国の規制対象企業のトップらが100人規模で選ばれた旨。中国経済を牽引してきたネット大手の創業者は退き、半導体や資源を重視する姿勢が鮮明になった旨。習近平(シー・ジンピン)指導部は米国に対抗する独自のサプライチェーン(供給網)構築を急ぐ旨。
 ※全人代代表を出した半導体・ハイテク関連企業、いずれも米国の規制対象
  政府系研究機関などが出資する中科寒武紀科技(カンブリコン)
  半導体受託生産最大手、中芯国際集成電路製造(SMIC)
  画像認識大手、商湯集団(センスタイム)
  音声認識大手、科大訊飛(アイフライテック)

利上げ再加速への警戒から、昨年11月上旬来の安値をつけてところに、シリコンバレー銀行の破綻でさらに下げて締めた、今週の米国株式市場である。

◇NYダウ小幅続伸、40ドル高;Apple株上昇が支え (日経 電子版 06:30)
→6日の米株式市場でダウ工業株30種平均は4日続伸し、前週末比40ドル47セント(0.1%)高の3万3431ドル44セントで終えた旨。アナリストが買いを推奨したスマートフォンのアップルが上昇し、相場を支えた旨。ただ、7-8日にパウエル米連邦準備理事会(FRB)議長の議会証言を控えて様子見ムードが強く、買いの勢いは弱かった旨。長期金利上昇も重荷だった旨。

◇中国が統制強化へ;治安・金融・ハイテクを共産党直轄に (日経 電子版 20:10)
→中国は治安維持や金融監督、ハイテク部門を共産党の直轄とする組織改革を実施する旨。将来の台湾統一と米国との対決をにらみ、党による統治を厳格化して指導力を強める旨。台湾有事で想定される西側諸国の経済制裁に耐えられるよう半導体サプライチェーン(供給網)や金融システムを整備し、国内の情報統制を強化する旨。

□3月8日(水)

◇NYダウ反落、574ドル安;2年金利は15年ぶり5%台 (日経 電子版 07:32)
→7日の米株式市場でダウ工業株30種平均は5営業日ぶりに反落し、前日比574ドル(1.7%)安の3万2856ドルで取引を終えた旨。米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長が同日の議会証言で利上げに積極的な「タカ派」姿勢を示し、中長期的な景気悪化への懸念が強まった旨。

FRB議長の発言が、米国株式市場に波紋を与えている。

◇FRB、異例の利上げ再加速示唆;収まらぬインフレ誤算 (日経 電子版 15:00)
→米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長は7日、米連邦議会上院での証言で、いったん縮小した利上げ幅を再び拡大する可能性を示唆した旨。最終的に到達する政策金利の水準についても「従来の予想を引き上げる可能性は十分にある」と述べた旨。利上げ開始から1年たっても米経済は底堅く、インフレ圧力が収まらない旨。誤算続きのFRBは終着点を見通せずにいる旨。

◇Fed's Powell: No call made yet on size of March rate rise‐Powell: Fed yet to settle on size of next rate hike (Reuters)
→米連邦準備制度理事会(FRB)のJerome Powell議長は、次回の利上げの規模はまだ決まっていないと発言した旨。同議長は、下院金融サービス委員会で証言し、「我々は3月の会合について何も決定していない、追加データを見るまで決定するつもりはない」と述べた旨。同氏の最近の発言は、FRBが当局の予想よりも高い利上げを必要とする可能性があることを示唆している旨。

□3月9日(木)

◇NYダウ続落、58ドル安;FRB利上げ再加速を警戒 (日経 電子版 06:57)
→8日の米株式市場でダウ工業株30種平均は続落し、前日比58ドル06セント(0.2%)安の3万2798ドル40セントで終えた旨。前日に大幅に下げた反動でハイテクや景気敏感株などには押し目買いが入ったが、米連邦準備理事会(FRB)の利上げ再加速を警戒して買いの勢いは弱かった旨。ダウ平均で比重が大きいヘルスケアやエネルギー株が下げ、指数の重荷となった旨。

米国が、日韓と協力拡大の動きである、

◇米国、日韓と安保協力拡大検討 核抑止強化へ新枠組み案 (日経 電子版 16:00)
→米政府は元徴用工問題で歩み寄った日本と韓国に3カ国による安全保障協力の拡大を検討するよう働きかける方針。北朝鮮や中国を抑止するため、米国の核を含む戦力で同盟国を守る「拡大抑止」の強化を話し合う新しい枠組みを設ける案が浮上する旨。

□3月10日(金)

◇NYダウ続落、543ドル安;銀行株安が重荷 (日経 電子版 06:38)
→9日の米株式市場でダウ工業株30種平均は3日続落し、前日比543ドル54セント(1.7%)安の3万2254ドル86セントで終えた旨。昨年11月上旬以来およそ4カ月ぶり安値。米連邦準備理事会(FRB)の利上げ再加速への懸念が高まるなか、10日には2月の米雇用統計の発表を控える旨。予想を上回る内容への警戒から、株売りが出た旨。一部地銀株が急落し、金融株を中心に相場の重荷となった面がある旨。

□3月11日(土)

◇米就業者数、2月31.1万人増;失業率は3.6%に上昇 (日経 電子版 00:04)
→米労働省が10日発表した2月の雇用統計によると、非農業部門の就業者数は前月から31万1000人増えた旨。伸びは20万人強の市場予想を上回った旨。失業率は半世紀ぶり低水準となった1月の3.4%から3.6%に上昇した旨。米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長はデータ次第で利上げペースを再加速する可能性に言及している旨。

◇NYダウ345ドル安;シリコンバレー銀破綻でリスク回避 (日経 電子版 07:06)
→10日の米株式市場でダウ工業株30種平均は4日続落し、前日比345ドル22セント(1.1%)安の3万1909ドル64セントで終えた旨。週間の下げ幅は1481ドルと、2022年6月中旬以来の大きさとなった旨。米中堅金融SVBファイナンシャル・グループの傘下銀行が10日、経営破綻した旨。金融システム全体に波及することへの警戒感から、金融株を中心に売りが膨らんだ旨。

◇米シリコンバレー銀行が経営破綻;リーマン危機後で最大 (日経 電子版 07:30)
→・テック企業への融資で著名なシリコンバレーバンクが破綻
 ・米連邦預金保険公社(FDIC)が管財人になり預金保護を発動
 ・FRBの利上げで金利が上昇。保有債券の含み損が膨らんだ


≪市場実態PickUp≫

【ArmのIPO関連】

半導体設計の英国・Armが、米国・ニューヨークで新規株式公開(IPO)を行ったのを受けて、以下の波紋および今後の見通しがあらわされている。

FCA regulator blamed for Arm’s decision to shun London listing‐FCA faces criticism over Arm US listing decision (3月3日付け Financial Times)
→英国の半導体メーカー、Armがロンドンではなくニューヨークで新規株式公開(IPO)を行ったことで、UK Financial Conduct Authority(英国金融行動監視機構:FCA)が政府および民間セクターからの批判にさらされている旨。関係者によると、"関連者間取引"の報告に関する負担の大きい英国の規則が、同社の決断を後押ししたとのこと。

◇SoftBank's Arm aims to raise at least $8 billion in U.S. IPO, sources say‐Sources: Arm's IPO could reach $8B or more (3月6日付け Reuters)
→ソフトバンクグループは、Armの新規株式公開(IPO)に向けて4つの銀行を挙げたと報じられている、とReutersが伝えている旨。情報筋によると、ArmのIPO登録は間もなく行われる可能性があり、$8 billion以上の値がつく可能性がある提案されたIPOにおけるArmの価値は$50 billion以上になり得る旨。

◇英アーム、IPOで1兆円調達か;ロイター報道 (3月7日付け 日経 電子版 00:47)
→ソフトバンクグループ(SBG)が英半導体設計、アームの新規株式公開(IPO)で少なくとも80億ドル(約1兆1千億円)を調達する計画を持っていることがわかった旨。
ロイター通信が6日、関係者の話として報じた旨。アームは4月以降の米国での単独上場を目指しており、大型IPOへの注目が高まっている旨。


【インテル関連】

インテルを巡るさまざまな動きが、これまた相次いで見られ、以下取り出している。特には、最後のTSMCに対するプロセス競争力を高める進捗に注目するところである。

◇Intel Scraps Rialto Bridge GPU, Next Server GPU Will Be Falcon Shores In 2025‐Intel ditches Rialto Bridge GPU, shifts focus to Falcon Shores GPU for 2025 (3月4日付け AnandTech)
→金曜3日の午後、Intelは、同社のAccelerated Computing Systems and Graphicsグループ(AXG)の暫定GM、Jeff McVeigh氏による書簡を発表、その中で同氏は、IntelのサーバーGPU製品ラインアップと顧客の採用状況について簡単な最新情報を提供している旨。しかし、それ以上に重要なのは、IntelのサーバーGPUロードマップの最新情報を提供したことであり、それはちょっとした爆弾発言である旨。
つまり、Intelは、HPCクラスのRialto Bridge GPUを含む、今後1年半の間にリリースする予定だった複数のサーバーGPU製品をキャンセルし、Falcon Shoresに全面的に取り組むことになった旨。

◇インテル、脳腫瘍をAI解析;「連合学習」で精度3割向上 (3月5日付け 日経 電子版 22:34)
→米インテルは人工知能(AI)の新たな活用により、脳腫瘍の検出精度を従来より3割高めた旨。世界71の医療機関などと連携したうえで、データを特定の場所に集めず分散した状態でAIに学習させる「連合学習」と呼ばれる先端技術を採り入れた旨。患者のプライバシーやセキュリティーに配慮しつつ希少な悪性脳腫瘍の治療に役立つ旨。他の疾病の診断や治療でも広がりそう。

◇Intel and SK Hynix Show Two Paths for Flash Memory’s Future Intel is densifying bits while SK Hynix is stacking layers (3月6日付け IEEE Spectrum)
→データストレージの需要が爆発的に増加する中、半導体メーカーはメモリ半導体の密度を高めつつ、ビットあたりのコストを削減しようと競い合っている旨。インテルとSKハイニックスは、2月下旬にサンフランシスコで開催された第70回IEEE国際固体回路会議(ISSCC:2月19−23日)で、より大容量で安価な固体メモリドライブの実現を示唆する2つの重要な進歩を発表した旨。

◇Intel Wants $5 Billion More in German Subsidies for a Chip Plant‐Report: Intel seeks more funds from Germany to support wafer fab plans (3月7日付け BNN Bloomberg (Canada))
→インテル社は、ドイツ東部での半導体製造コンプレックスを進めるために、ドイツ政府から40億ユーロから50億ユーロの追加補助金を求めていると、この件に詳しい関係者が述べている旨。

◇Intel Engineer Outs Panther Lake Architecture on LinkedIn‐Could Be 50% More Efficient Than Alder Lake (3月7日付け Tom's Hardware)
→インテルのエンジニアは、同社の統合グラフィックユニットとCPUアーキテクチャ、Panther Lakeについて、自身のLinkedInのプロフィールでコードネームを公開し、一時的に情報を漏らした旨。

◇Intel launches new Agilex 7 FPGAs for network solutions‐Intel debuts Agilex 7 FPGAs for use in speedy networks (3月8日付け DIGITIMES)
→Intelが、高速ネットワークやデータセンターでのアプリケーション向けに、F-Tile技術を搭載したAgilex 7フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGAs)を発表した旨。

◇Intel and Merck fund sustainable semi manufacturing‐Intel teams up with Merck to fund sustainable IC production‐Merck and Intel are funding an academic research programme aimed at enabling more sustainable semiconductor manufacturing. (3月9日付け Electronics Weekly (UK))
→IntelとMerckは、学術界における持続可能な半導体製造の研究に資金を提供するために協力している旨。「材料やプロセス技術の研究開発から大量生産に至るまで、新しい基本的な洞察、方法論およびツールが必要とされると、インテルのDavid Nessim氏。

◇Intel puts TSMC on notice with step towards Angstrom era chips‐Intel enters Angstrom-era nodes, catching up with TSMC ‐Intel 20A and 18A nodes finalised, chips due early next year. (3月10日付け PC Gamer)
→Intelが、Taiwan Semiconductor Manufacturing Co.(TSMC)との競争力を高める20Aおよび18Aプロセスノードを開発したと報告している旨。これらのノードは2024年に生産が開始される予定。


【Samsung関連】

非常に厳しい現下のメモリ市場、社内設計力の強化、そして人材採用と、以下の内容&動きである。

◇Samsung’s global DRAM market share inched up; revenue plummeted in Q4 (3月3日付け The Korea Herald)
→世界の半導体メーカーが深刻な市場低迷に苦しむ中、サムスン電子は売上げが激減しながらも市場シェアを維持したことが、水曜1日のデータで明らかになった旨。
市場追跡会社、TrendForceによると、2022年第四四半期の世界DRAM売上高は、前四半期比32.5%減少し、世界が大きな金融危機に見舞われた2008年の最終四半期の36%と同様の減少を示している旨。

◇Samsung Electronics seeks to develop its own CPU core to improve optimization‐Report: Samsung ponders custom CPUs for handsets, PCs (3月6日付け Pulse by Maeil Business Newspaper (South Korea))
→Samsung Electronicsが、スマートフォンやPCs用のカスタムCPUsを開発するための社内チームを集めていると、業界筋が述べている旨。この動きは、Armへの依存度を下げたいというSamsungの意向が背景にあると言われている旨。

◇Samsung's chip inventory up 77% last year amid slump (3月7日付け The Korea Times)
→世界最大のメモリーチップメーカー、サムスン電子は、世界的な半導体需要の低迷を受け、同社の半導体製造部門が保有する在庫が昨年76.6%増加したことを、年次報告書で明らかにした旨。

◇Samsung scouts experts from TSMC, Apple, Qualcomm‐Samsung recruits microchip experts from rivals (3月9日付け The Korea Times (Seoul))
→Samsung Electronicsが、Apple、QualcommおよびTaiwan Semiconductor Manufacturing Co.(TSMC)などから従業員を採用し、シリコンファウンドリー事業を強化しようとしている旨。そのような採用の1つとして、Samsungは、TSMCに19年間勤務し、ICパッケージング技術のスペシャリストであるLin Jing-Cheng氏を採用した旨。

◇Ex-TSMC engineer joins Samsung’s chip packaging team (3月9日付け The Korea Herald)


【TSMC関連】

本年の採用規模、昨年のアップル売上げ比率、現下のfab稼働率、そして次の工場立地選定など、以下の通りである。

◇Taiwan's TSMC to Recruit 6,000 Engineers in 2023 (3月3日付け US News & World Report)
→世界最大の受託半導体メーカー、台湾積体電路製造(TSMC)の土曜4日のステートメント。同社は、2023年に6,000人以上の新規スタッフを採用する予定の旨。

◇TSMC sales from largest client (Apple) up over 30% in 2022 (3月3日付け Focus Taiwan)
→台湾積体電路製造(TSMC)が金曜3日に発表した財務データによると、同社最大の顧客、アップルからの売上収益は2022年に前年比30%以上増加した旨。

◇Global chipmaking giant TSMC plans to hire 6,000 employees this year‐TSMC to add 6,000+ employees in 2023 (3月6日付け Reuters)
→半導体大手、TSMCが、半導体需要の広範な減速にもかかわらず、今年中に6,000人以上の雇用を増やす予定の旨。
世界最大の受託生産半導体メーカー、TSMCは、新竹市、台中市、台南市および高雄市など、本拠地の台湾全域で新しいエンジニアと生産ラインのオペレーターを募集していることが、月曜6日に確認された旨。

◇TSMC keeps fab utilization rate at 70% or higher‐Sources: TSMC maintains Q1 fab utilization rate at 70% (3月9日付け DIGITIMES)
→TSMCの2023年第一四半期のファブ稼働率は、7nmおよび6nm半導体の受注が急速に減速していることが足を引っ張っているが、ファブツールメーカーの関係者によれば、ファブ全体の稼働率は70%以上に保つことができている旨。

◇TSMCが呼ぶ資金需要;九州地銀、台湾との連携競う‐シリコンアイランド (3月9日付け 日経 電子版 16:00)
→半導体受託生産の世界最大手、台湾積体電路製造(TSMC)の熊本進出で、九州の地銀が台湾の金融機関や貿易当局との連携を深めている旨。ふくおかフィナンシャルグループ(FG)は9日、提携する台湾の金融グループと共同で半導体産業のセミナーを熊本市内で開いた旨。肥後銀行も台湾の銀行からの案件獲得や組織再編を進める旨。TSMCに関連する資金需要の獲得競争が激しさを増してきた旨。

◇Taiwan’s TSMC still considers building fab in Europe‐TSMC says it still has its eyes set on a European-based fab ‐Company rejects media reports about plans for factory in Singapore (3月10日付け Taiwan News)
→Taiwan Semiconductor Manufacturing Co. (TSMC)が、金曜日(3月10日)、ヨーロッパでの工場設立をまだ検討していると述べ、シンガポールに目を向けているとの報道を否定した旨。


【韓国半導体市場関連】

Samsungについては上記に示しており、ここでは、SK HynixなどSKグループ関連、そして韓国の半導体在庫およびメモリ価格の現状について、以下の通りである。

◇Chip inventory hits 26-year high‐Samsung, SK under greater pressure to join US-led chip value chain (3月6日付け The Korea Herald)
→韓国の半導体在庫が26年ぶりの高水準に達していることが、日曜5日のデータで明らかに、経済不安定性の渦中、同国の主要輸出品、半導体の需要低迷で打撃を受けている旨。
韓国統計庁がまとめたデータによると、韓国内の半導体メーカーが生産した半導体の在庫と販売の比率は、1月に265.7%となり、1997年3月の288.7%以来の高さを記録した旨。半導体の輸出も、2月には前年同月比42.5%減の$5.69 billionに急降下した旨。

◇SK Inc. materials to acquire U.S. de-carbonization technology developer 8 Rivers‐SK targets clean energy with 8 Rivers buy (3月7日付け Pulse by Maeil Business Newspaper (South Korea))
→韓国のSKグループ傘下の先端材料部門であるSK Inc. materials Co.が、革新的なcarbon capture, utilization, and storage(CCUS:炭素回収・利用・貯蔵)技術を開発する米国の8 Rivers社を$300 millionで買収、世界のクリーンエネルギー分野での存在感を高める動きの旨。

◇SK hynix developing NAND flash with more than 300 layers‐SK Hynix targets 300+ layers in latest NAND flash memory offering (3月8日付け JoongAng Daily (South Korea))
→SK hynixは、昨年238層のサンプルを発表した後、300層以上のNANDフラッシュメモリーを開発している旨。
同社は、2月にサンフランシスコで開催された国際固体回路会議(Isscc)にて、300層以上の1テラバイトNANDフラッシュメモリの開発に関する研究成果を発表した旨。

◇半導体、メモリー不況鮮明;データ増も価格3割急落‐技術革新も下げ圧力 (3月10日付け 日経 電子版 02:00)
→記憶に必要な半導体メモリーの市況悪化に拍車がかかっている旨。韓国SKハイニックスなどメモリー大手各社は2022年10〜12月期に相次ぎ赤字に転落した旨。スマートフォンの需要鈍化などで半導体在庫が積み上がり、価格の押し下げ圧力が続いている旨。右肩あがりにデータ量が増える中で半導体市場も安定成長を続けるとの見立てもあったが、周期的な市況の悪化を克服できずにいる旨。


【米印半導体MoU】

米国商務省のGina M. Raimondo 長官がインド・New Delhiを訪問、両国間の半導体技術協力の覚書(MoU)を交わしている。中国との対立激化の渦中で、成長する次の大国、インドとの半導体製造面での関係&進捗に今後の注目である。

◇India, US to sign memorandum of understanding on semiconductors (3月9日付け Reuters)

◇MoU on semiconductors will help India play bigger role in electronics supply chain: U.S.‐Air India-Boeing deal will create "tremendous number of jobs" in the US: Raimondo (3月10日付け The Hindu (India))
→Air IndiaがBoeing社製航空機220機の購入を決定したことで、米国で"途方もない数の雇用"が創出されると、Gina M. Raimondo 商務長官が木曜9日に述べた旨。
インドと米国の商業対話が再開される前日、New Delhiでメディアを前にした発言で、訪印関係者は、両国が"エレクトロニクス・サプライチェーン"において主導的役割を果たすというインドの願望を支援する半導体に関するMoUに署名することを明らかにした旨。

◇US to boost chip collaboration, help India play larger role in global supply chain‐US and India will work together on microchip tech (3月10日付け DIGITIMES)
→Gina Raimondo米商務長官によると、インドと米国は半導体技術における協力のための覚書(MoU)に署名する旨。エレクトロニクスのサプライチェーンを強化することが、この取り組みの目標の一つである旨。

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