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現下の情勢の下での動き:インド&東南アへの目、工場建設、英国業界

新型コロナウイルスによる累計感染者数は土曜18日午前10時時点、世界全体で6億7367万人に達し、1週間前から約113万人増、前週比14万人減である。
いろいろな場面での個人の判断でのマスク着用要否の議論がなお見られている。景況低迷、そして米中摩擦が引き続く中の半導体関連の現下の動きとして注目、まずは、新たな半導体サプライチェーンの構築に向けてインドそして東南アジアの国々への進出、働きかけが相次いでいる。次に、米国および中国で計画された半導体工場の建設の遅れが伝えられる一方、新たな取り組みの打ち上げが見られている。そして、英国では、何もなければ米国あるいはEUに移ると、政府の支援を求める半導体業界の切実な声である。

≪新たな局面の打開に向けて≫

インドそして東南アジアの国々に向かう動きであるが、業界団体同士の米国・Semiconductor Industry Association(SIA)とIndia Electronics and Semiconductor Association(IESA)は、先に以下の協力計画を発表している。

◇U.S. and India Semiconductor Groups Announce Initiative to Strengthen Public-Private Collaboration in Chip Ecosystem (1月31日付け SIA Latest News)
→米国半導体産業協会(SIA)とIndia Electronics and Semiconductor Association(IESA)は本日、世界の半導体エコシステムにおける両国間の協力を強化する民間部門のタスクフォースを形成する計画を共同で発表した旨。

◇U.S. and India Semiconductor Groups Announce Initiative to Strengthen Public-Private Collaboration in Chip Ecosystem (2月2日付け SEMICONDUCTOR DIGEST)

◇IESA and SIA Partner to Strengthen Public-Private Collaboration in Chip Ecosystem (2月2日付け EE Times India)
→米国半導体産業協会(SIA)とインド電子半導体協会(IESA)は、世界の半導体エコシステムにおける両国間の協力を強化する民間部門のタスクフォースを形成する計画を共同で発表した旨。

米国政府も、以下の通り、インドへのアプローチである。

◇US working with India to build diversified semiconductor ecosystem‐SIA/IESA join forces to create an IC ecosystem in India (2月13日付け DIGITIMES)
→米国政府は、工業製品の生産における中国への依存と、台湾や韓国に拠点を置く主要な半導体サプライヤーへの依存を減らそうとしており、米国は多様な半導体エコシステムのためにインドとの提携を模索している旨。

ただし、今までいくつかの障壁事例が見られたインド、アップルの以下の困難も気になるところである。

◇Apple faces obstacles in move to boost India manufacturing - FT (2月14日付け Reuters)
→Apple社が、インドでの生産を拡大しようとしているなか、困難に直面していると、Financial Timesが火曜14日、該iPhoneメーカーの事業に詳しい人物を引用して報じた旨。

インド政府の積極的なスタンスは続いている。

◇SCL Mohali Modernization to Help Advance India's Semiconductor Goals (2月16日付け EE Times India)
→電子情報技術省(MeitY)のShri Alkesh Kumar Sharma長官は、Semi-Conductor Laboratory(SCL) Mohaliを訪問、該拠点の近代化は、インドの半導体を発展させる上で重要な役割を果たすだろう、と述べた旨。

米国・SIAは、マレーシアの業界団体とも協力関係を深めている。

◇Chip industry outlook remains bright, says expert (2月14日付け The Star)
→マレーシアのペナン、ジョージタウンで行われたマレーシア半導体産業協会(MSIA)と米国・Semiconductor Industry Association(SIA)との会合で、SIAのpresident and chief executive officer、John Neuffer氏が、マレーシアは半導体の組立、テスト、パッケージングの分野でもリーダー的存在であると述べた旨。「SIAは、マレーシアと我々の産業が繁栄し、革新し、半導体を基盤としたさらに明るい未来を実現できるよう、マレーシアのカウンターパートと引き続き協力していきたいと考えている。」「1990年代には 米国は世界の半導体の37%を生産していたが、現在では10%しか生み出していない」と述べた旨。

シンガポールでも、欧米企業の生産増強が進むとともに、サプライチェーンの1つの核としての期待する動きである。

◇半導体生産;シンガポールで熱;欧米企業が新棟、需要回復に備え (2月17日付け 日経産業)
→世界の半導体関連企業がシンガポールで生産増強に動く旨。基板メーカーの仏ソイテックは4億ユーロ(約570億円)を投じてウエハー工場の能力を倍増し、製造装置の米アプライドマテリアルズも6億シンガポールドル(約600億円)を投じて新工場を着工した旨。半導体市況は足元で悪化が鮮明だが、中長期の需要回復に備えるほか、供給網のリスク分散に向けてもシンガポールを重視する動きが強まっている旨。

シリコンバレーも注目の模様、設計開発が主体かと思われるが、ベトナムが以下の台頭である。

◇Silicon Valley pours funding into start-ups in Vietnam, pegged as Southeast Asia’s next tech hub (2月14日付け South China Morning Post) 
→*ベトナムは2021年に233件の民間案件を通じて$2.6 billionの資金を集め、パンデミックの間にスタートアップの数が2倍になった旨。
 *政府関係者は、ホーチミン市を技術資金の引き金にすることを目指し、2030年までに同市のGDPの40%を占めるデジタル経済を目標としている旨。

次に半導体工場の建設について、現下の景況低迷そして米中摩擦のもと、米国および中国での建設遅滞模様がそれぞれ次の通りである。

◇Micron, Intel decelerate fab construction in US amid market downturn‐Is the IC market downturn leading to a fab slow down? (2月14日付け DIGITIMES)
→Intel, Micron Technologyなど半導体メーカーが、ウエハー製造拠点の建設の進捗を緩めていると、業界関係者が述べている旨。世界的にmicrochip市場が冷え込んでいるため、ウエハー工場の建設が少なくなる可能性がある旨。

◇中国半導体、工場建設遅れ;米制裁で計画に狂い;YMTCやCXMT、製造装置や人材確保に制限 (2月15日付け 日経)
→中国半導体大手の新工場建設が遅れている旨。米国による対中制裁を受け、製造装置の調達や人材の確保に支障が出ているため。長江存儲科技(YMTC)や長?存儲技術(CXMT)は新規採用の凍結などにも追い込まれた旨。
中国政府が目指す「半導体強国」の一翼を担っていた国策企業の動きが止まれば、半導体の自給率向上はさらに遠のく旨。

一方では、活気づく内容として、新たな各社の取り組みの打ち上げが以下の通り見られている。まず、Micron Technologyである。

◇Micron announces 2024 start for construction on Clay semiconductor plant‐Construction set for 2024 on chip plant in Clay, N.Y. (2月12日付け The Daily Orange (Syracuse University))
→Micron Technology社が$100 billionもの投資を計画しているプロジェクト、ニューヨーク州クレイの半導体工場が来年着工される予定。同社のExecutive Vice President、Manish Bhatia氏によると、現在、敷地の準備が進められており、2030年には操業を開始する予定の旨。

TSMCのアリゾナへの追加投資である。

◇TSMC injects a bonus $3.5B into Arizona chip fabs‐Roses are rad, violets are lame, Taiwan's playing a very long game (2月14日付け The Register)
→半導体需要、特にハイエンドおよび最先端ノードが減速しているにもかかわらず、Taiwan Semiconductor Manufacturing Co.(TSMC)は、アリゾナのfabサイトにさらに$3.5 billionを投入する計画の旨。

Texas Instrumentsのユタでの第2fabである。

◇TI plans $11B investment for second wafer fab in Lehi, Utah (2月15日付け FierceElectronics)
→Texas Instruments(TI)は、ユタ州リーハイ(Lehi, Utah)に300mmウェーハ工場をもう一つ建設し、既存の工場に隣接して、この2つを統合する計画を発表した旨。この$11 billionの投資は、ユタ州史上最大であると、同社は水曜15日に声明で述べた旨。

◇Texas Instruments brings $11 billion investment and jobs to Utah with new plant‐TI plans Utah wafer fab with $11B investment (2月15日付け KTVX-TV (Salt Lake City))
→Texas Instruments(TI)は、Lehi, Utahに、既存のウェハ工場に隣接して新しいウェハ製造拠点を建設している旨。同社は該拠点に向けて$11 billionを予算化、300mmシリコンウェーハを製造し、800人の雇用を創出する旨。

台湾・UMCは、三重県での新棟の検討である。

◇台湾UMC、三重に投資5000億円規模;半導体新製造棟を検討 (2月16日付け 日刊工業)
→半導体受託製造(ファウンドリー)世界大手の台湾・聯華電子(UMC)が三重県桑名市の既存工場内に新しい製造棟を建設する方向で検討していることが分かった旨。2025年以降に稼働を開始し、総投資額は5000億円規模に上る可能性がある旨。半導体市況は景気減速やコロナ特需の反動減で低迷するが、品不足の続く車載用などの需要は底堅い旨。激化する米中対立や台湾海峡を巡るリスクも日本に投資する背中を押す旨。

そして、英国業界では、同国政府の支援を求める切実な反応が以下の通りである。

◇British semiconductor bosses threaten to move overseas as U.S. and EU splurge on chips (2月13日付け CNBC)
→*英国の半導体企業は、一部の半導体企業が海外移転を余儀なくされるのではないかという懸念から、政府に補助金を懇願している旨。
 *米国とEUは、国内の半導体生産を促進する目的で数十億ドル規模のパッケージを発表しており、業界幹部は、英国に同様の戦略がないため、国の競争力が損なわれていると懸念している旨。
 *Rishi Sunak首相の政権は、政情不安のために遅れている半導体戦略の公表を迫られている旨。

◇Chipmakers threaten to defect to US, EU if UK doesn't get its semiconductor plans sorted‐Where's the Brexit bonus? (2月14日付け The Register)
→英国の半導体メーカーは、英国政府が行動を共にし、待望の半導体戦略を発表しないなら、事業を米国または欧州に移すと迫っている旨。
Pragmatic Semiconductor、IQE、およびParagrafなどいくつかの英国半導体新興企業のCEOsは、英国政府がこの地域の半導体産業に資金を提供する計画を打ち出せなかったことに不満を表明したと、CNBCが月曜13日に報じている旨。

それぞれの今後の進展&推移にも注目を要するところである。


コロナ対応の完全には収まりきらない状況推移に対して、直面する事態への警戒感を伴った舵取りが各国それぞれに引き続き行われている中での世界の概況について、以下日々の政治経済の動きの記事からの抽出であり、発信日で示している。

□2月13日(月)

中国偵察気球から謎の飛行物体まで、米軍の撃墜の1件が、台湾、中国にも広がっており、我が国でもこの事態への対応が議論されている。

◇[FT]台湾、中国軍の気球が頻繁に飛来;侵攻の懸念深まる (日経 電子版 16:39)
→台湾はここ数年で領空に飛来した中国軍の気球を数十回確認した旨。従来知られていた回数よりはるかに多く、中国が台湾侵攻に向けて準備しているとの懸念が強まりそう。
台湾のある高官は「極めて頻繁に飛んでくる。前回はほんの数週間前だ」と語った旨。この問題について説明を受けた別の関係者は、そうした領空侵犯は平均して月に1回起きていると述べた旨。

◇中国「米国の気球、領空侵入10回超」;米国は否定 (日経 電子版 23:19)
→中国外務省の汪文斌副報道局長は13日の記者会見で、2022年の1年間で、米国の気球が10回あまり中国の領空に侵入したと主張した旨。
汪氏は「米国がまずやるべきは反省することだ。(中国を)中傷して泥を塗ることではない」と批判した旨。米国の気球が今後も中国の領空に飛んできた場合「必要な手段をとる権利を留保している」として撃墜も辞さない考えを示した旨。

□2月14日(火)

◇北米、飛行物体の撃墜相次ぐ;偵察気球と特徴異なる (日経 電子版 04:16)
→米軍は4日に中国の偵察気球を撃墜したのに続き、10〜12日に3日連続で飛行物体を撃ち落とした旨。2月だけで計4件にのぼり、国防総省高官はレーダー監視の強化が探知力の向上につながったと説明した旨。10日以降の飛行物体は国籍や飛行目的などが不明で、米軍は分析を急ぐ方針。

物価指数が上振れしてインフレ圧力が根強い一方、景気への楽観も見られて上げ下げ交互の今週の米国株式市場である。

◇NYダウ続伸、376ドル高;インフレ鈍化への期待で (日経 電子版 06:24)
→13日の米株式市場でダウ工業株30種平均は続伸し、前週末比376ドル66セント(1.1%)高の3万4245ドル93セントと1カ月ぶりの高値で終えた旨。市場の関心は14日に発表される1月の米消費者物価指数(CPI)に集まっている旨。午前の取引では様子見ムードが強まり上値が重くなる場面もあったが、インフレ鈍化が示されるとの期待がじわりと高まり、ハイテク株を中心に買われた旨。

我が国の2022年のGDP、後半の消費回復が寄与する内容である。

◇2022年成長率1.1%、消費持ち直す;2021年からは減速 (日経 電子版 10:55)
→内閣府が14日発表した国内総生産(GDP)速報値によると、2022年の実質経済成長率は1.1%。個人消費や設備投資などが全体を押し上げた旨。新型コロナウイルス禍当初の2020年の大幅な落ち込みからの反動もあった2021年(2.1%)に比べると伸びが鈍化した旨。

□2月15日(水)

◇NYダウ反落、156ドル安;CPI上振れが重荷 (日経 電子版 07:26)
→14日の米株式市場でダウ工業株30種平均は3営業日ぶりに反落し、前日比156ドル66セント(0.5%)安の3万4089ドル27セントで終えた旨。朝方に発表された1月の米消費者物価指数(CPI)の上昇率が市場予想を上回った旨。インフレ高止まりで、米連邦準備理事会(FRB)による利上げ継続の観測が強まった旨。長期金利が上昇したのも株式相場の重荷だった旨。

我が国でのインバウンド需要の回復維持に向けて、今後の受け皿如何の課題である。

◇訪日客進む正常化、1月150万人;消費年2兆円上積みも (日経 電子版 17:13)
→新型コロナウイルス禍で沈んだ訪日外国人(インバウンド)消費が回復軌道に入った旨。1月の訪日客数は149.7万人で、コロナ前の2019年1月比で56%の水準、中国本土以外からの訪日客に限れば76%にまで回復した旨。順調に推移すれば、2015年並みの年2000万人台が視野に入る旨。小売りや観光関連の消費復活が成長の支え役となる旨。受け皿を整えるうえで、人手不足が最大の課題。

□2月16日(木)

◇NYダウ小反発、38ドル高;米景気への楽観広がる (日経 電子版 06:59)
→15日の米株式市場でダウ工業株30種平均は反発し、前日比38ドル78セント(0.1%)高の3万4128ドル05セントで終えた旨。15日朝発表の1月の米小売売上高が個人消費の堅調を示し、米連邦準備理事会(FRB)の利上げが続くとの観測から売りが先行した旨。その後は米景気自体は強いとの楽観から買いが入り、ダウ平均は下げ幅を縮小。引け間際に上げに転じた旨。

我が国の1月の貿易赤字が、遡れる範囲で単月最大を記録している。

◇貿易赤字最大の3.4兆円;1月、対中輸出停滞や円安響く (日経 電子版 10:52)
→財務省が16日発表した1月の貿易統計速報。輸出額から輸入額を差し引いた貿易収支は3兆4966億円の赤字、単月として比較可能な1979年以降で最大の赤字となった旨。円安と資源高で輸入が増えた旨。中国向けの輸出の停滞も響いた旨。
2022年8月の2兆8248億円の赤字を上回り、赤字は18カ月連続。2015年2月まで32カ月続けて赤字になったとき以来の長さ。
輸入は前年同月比17.8%増の10兆477億円、輸出は同3.5%増の6兆5511億円。

□2月17日(金)

◇NYダウ反落、431ドル安;卸売物価上昇で利上げ継続懸念 (日経 電子版 06:35)
→16日の米株式市場でダウ工業株30種平均は反落し、前日比431ドル20セント(1.3%)安の3万3696ドル85セントで終えた旨。朝方発表の1月の米卸売物価指数(PPI)が市場予想以上に上昇したのを受け、早期の米利上げ休止観測が後退し株売りが優勢となった旨。米連邦準備理事会(FRB)高官による一段の利上げに積極的な発言も株式相場の重荷となった旨。

□2月18日(土)

◇NYダウ反発、129ドル高;ディフェンシブ銘柄に買い (日経 電子版 06:35)
→17日の米株式市場でダウ工業株30種平均は反発し、前日比129ドル84セント(0.4%)高の3万3826ドル69セントで終えた旨。今週発表の米物価指標がインフレ圧力の根強さを示し、米連邦準備理事会(FRB)による早期の利上げ休止観測が後退したことからハイテク株を中心に売りが先行した旨。


≪市場実態PickUp≫

【米国の対中半導体輸出規制】

我が国は米国に従うスタンスと伝えられているが、次の論評が見られている。

◇半導体の輸出規制は的を絞り予見性高く(社説) (2月12日付け 日経)
→政府は先端半導体の輸出や技術供与について中国を念頭に置いた新規制導入の検討を始めた。米国の要請を受けた動きで、ミサイルの精密誘導など国防に直結する半導体の戦略的価値を考慮すれば、一定の規制はやむを得まい。他方で規制の範囲が広すぎたり、曖昧だったりすることで、国内半導体産業が必要以上の打撃を被る事態は避けないといけない。必要最小限の範囲に的を絞った、予見可能性の高い規制をどうつくるか、政府の能力が問われる。・・・・・

中国の半導体業界団体、CSIAより、真っ向反対する表明である。

◇China chip trade group warns US pact with Japan, Netherlands to tighten semiconductor export controls threatens global industry and free trade (2月15日付け South China Morning Post)
→*中国半導体産業協会(CSIA)は、国内市場をグローバルな技術革新から排除するような行為に反対していると述べた旨。
 *米国、日本およびオランダが、中国に対して半導体輸出規制を強化することで合意したと報じられてから約2週間後のこの反応である旨。

◇中国半導体業界、米蘭日の輸出規制反対;「世界の消費者に損害」 (2月16日付け 日経)
→中国の半導体企業で構成する業界団体、中国半導体行業協会(CSIA)は15日、米国がオランダ、日本に同調を呼びかけている先端半導体の対中輸出規制について「現実になれば、中国の半導体産業に深刻な被害を与え、世界の消費者に損害をもたらすだろう」として反対する声明文を発表した旨。

オランダ・ASMLの該規制インパクトの見方である。

◇ASML expects no earnings impact of China export curbs (2月16日付け Taipei Times)
→オランダの半導体製造装置サプライヤー、ASML Holding NVは、昨日発表した年次報告書の中で、中国への新たな輸出規制が今年の収益に影響を与えるとは考えていないことを明らかにした旨。

ソニーの半導体部門の影響の見方である。

◇Sony chip unit sees limited impact from recent export curbs to China‐Sony Semiconductor CEO does not expect to feel export controls (2月16日付け Reuters)
→Sony Group社の半導体部門には、米国、日本およびオランダによる中国への半導体輸出抑制の影響は限定的である、とSony Semiconductor Solutions最高経営責任者、Terushi Shimizu氏が述べた旨。


【各社業績発表から】

米国の規制圧力を受ける中国・SMICであるが、2022年は過去最高の売上げを記録、しかし今年は一転減収の見通しである。

◇China's biggest chipmaker SMIC posts record 2022 revenue but warns of a tough year ahead (2月10日付け CNBC)
→*中国最大の半導体メーカーであるSMICは、米国の制裁が続いているにもかかわらず、2022年に過去最高の売上げを計上した旨。
 *しかし、半導体業界の低迷を考慮し、今後より困難な年になると警告している旨。
 *SMICは中国で最も重要な半導体企業の1つ。
 *しかし、2020年に米国の貿易ブラックリストに入れられ旨。

◇SMIC、4期ぶり減収;今期見通し、需要回復に時間 (2月11日付け 日経)
→中国の半導体受託生産最大手、中芯国際集成電路製造(SMIC)の趙海軍・共同最高経営責任者(CEO)は10日、2023年12月期の売上高が「前期に比べ10%台前半の減収になる可能性がある」と述べた旨。過去最高となった前期から一転し、4期ぶりの減収となる旨。「スマートフォンや家電業界の回復には時間がかかる」との見方を示した旨。

TSMCの1月売上げは、1月最高と好調を維持、しかし2月からは弱まる可能性と以下の見方である。

◇TSMC revenue up 16.2%, unfazed by corrections‐DOWNTURN FORECAST: Revenue grew to NT$200.05 billion last month, making it TSMC's best January ever, but revenue could dip by up to 16 percent this quarter (2月11日付け Taipei Times)
→TSMCが昨日、先月の売上げが16.2%増のNT$200.05 billion($6.64 billion)になったと報告、世界最大の契約半導体メーカーでiPhoneの単独半導体サプライヤーの同社が、四半期に及ぶサプライチェーンの在庫修正にも動じないことを示している旨。
先月の売上高は、1月の業績としては同社史上最高、前月比では、12月のNT$192.56 billionから3.9%増加した旨。
しかし、TSMCはサプライチェーンの修正サイクルと無縁ではなく、今月から月次売上げが弱くなる可能性がある旨。同社は、前四半期の$19.93 billionに対し、今四半期は16〜12%減の$16.7 billion to $17.5 billionになると予測している旨。

GlobalFoundriesは、景況低迷のなか、2022年は記録的な好調の業績、ただし今四半期からは減速との警告である。

◇GlobalFoundries delivers record revenue despite sector turmoil (2月14日付け FierceElectronics)
→GlobalFoundriesは、2022年第四四半期の売上高が前年同期比14%増の$2.1 billion21億ドルと同四半期最高となり、同四半期のコンセンサス予想、$2.08 billionを上回った旨。2022年通年では、同社の売上高は23%増の$8.1 billion強となった旨。

◇GF warns of slowdown in 1Q23 after record 2022‐GlobalFoundries expects a less rosy Q1 (2月16日付け DIGITIMES)
→GlobalFoundriesが、2022年に記録的な粗利と純利益を達成したにもかかわらず、2023年の第一四半期に減速すると警告している旨。


【中国半導体関連】

YMTCが、中国装置メーカーへの発注を減らしているとのこと。

◇YMTC slashes equipment orders amid US sanctions, market headwinds (2月10日付け South China Morning Post)
→*YMTCは、中国のウェハーファブ用製造装置メーカー、Naura Technologyへの発注を最大70%削減している旨。
 *中国の半導体産業に対する米国の輸出規制が強化され、世界のメモリ場が減速する中で、この注文の取り消しが行われた旨。

Arm Chinaにおけるレイオフである。

◇Arm China lays off 14% of staff‐Report: Arm China trims headcount, mainly in R&D ‐Arm China, the jv Arm has with Chinese investors, has laid off 90-95 employees citing a challenging business outlook, says Reuters. (2月14日付け Electronics Weekly (UK))
→Arm Chinaが、従業員の14%をレイオフしているとロイターが報じており、離職者の総数は90〜95人であると指摘している旨。レイオフのほとんどは、同社の研究開発(R&D)部門で行われた旨。

Tsinghua Unigroupが、成都のGlobalFoundriesの工場を買収するとの噂である。

◇Tsinghua Unigroup rumored to take over GlobalFoundries' wafer fab in Chengdu, China‐Report: Tsinghua Unigroup assume control of GF's Chengdu-based fab (2月14日付け DIGITIMES)
→業界の噂では、Tsinghua Unigroupが中国・成都(Chengdu)にあるGlobalFoundries(GF)の12インチウェーハ工場を買収する可能性があるとされていた旨。その代わりに、成都市政府がTsinghua Unigroupに出資することになる旨。

ASMLの中国在住の元従業員によるデータの"不正流用"が、以下の通り取り沙汰されている。

◇ASML says ex-China employee misappropriated data relating to its critical chip technology (2月15日付け CNBC)
→*ASMLは水曜15日に、同社の独自技術に関連するデータの"不正流用"を最近発見したと発表した旨。
 *オランダのASMLは、この不正流用疑惑が同社の事業にとって重要であるとは考えていないと述べている旨。
 *このセキュリティ事件は、ASMLとオランダ政府にとって敏感な時期に発生した旨。
 *ASMLとオランダ政府は、米国と中国の技術覇権争いの渦中に巻き込まれている旨。

◇ASML stolen data came from repository: sources‐CHINESE WORKER: Sources said data was taken from a tool allowing for ‘common access to a single repository of all product-related knowledge, data and processes’ (2月17日付け Taipei Times)
→世界的な半導体産業の重要な歯車であるASML Holding NVの中国在住の元従業員が、同社が機械装置の技術情報を保存するために使用しているソフトウェアシステムからデータを盗んだ疑いがあると、事情を知る関係者が水曜15日に語った旨。


【韓国におけるAI(人工知能)関連】

韓国のスタートアップの取り組みである。

◇Exclusive: South Korea aims to join AI race as startup Rebellions launches new chip‐Report: Rebellions startup offers an AI chip (2月13日付け Reuters)
→Rebellionsが、AI半導体、ATOMを開発、韓国のスタートアップの同社はNvidiaの人工知能(AI)コンポーネントに対抗できるとしている旨。Nvidiaは、AI半導体技術で業界をリードしている旨。

Samsungモバイル事業部門からは、AI連携の可能性が示されている。

◇Samsung mobile chief hints at extending AI partnerships (2月14日付け The Korea Herald)
→サムスン電子のRoh Tae-moon(盧泰文)社長兼モバイル事業部長が、同社のスマートフォン向けに新しい人工知能(AI)技術を開発するため、グローバルIT企業との提携の可能性を示唆した旨。

韓国政府のAIへの入れ込みがあらわされている。

◇South Korea boosts its AI chip industry with $642M amid ChatGPT frenzy‐S. Korea puts $642M into AI (2月16日付け TechCrunch)
→韓国の科学情報通信省は、ChatGPTのような技術が定着し始める中、高度な人工知能(AI)半導体の開発に$642 million以上の資金を提供している旨。韓国は、5Gとメタバースにも重点を置くデジタル戦略予算の大部分をAIが占めると見ている旨。


【巨大ITのカスタム半導体】

製造はTSMCに託すものと思われるが、以下特にGoogleについて自前設計の取り組みの現時点である。

◇Playing Catch-Up With AWS, Google Makes Progress With Data Center Chips (2月13日付け The Information)

◇Google hands over design to TSMC as big tech chip war heats up‐Google and AWS farm out server chips to TSMC‐Big tech firms including Amazon, Apple, increasingly producing  chips in-house (2月14日付け Taiwan News)
→Amazon Web Services、AppleおよびGoogleは、クラウドベースのサーバーに使用される半導体の製造をTaiwan Semiconductor Manufacturing Co.(TSMC)に求めている旨。TSMCで試行されているグーグルの初期カスタム設計は、"Maple"と呼ばれている旨。

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