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米国に続いて欧州連合(EU)半導体法案合意、現下の各国の取り組み&動き

米国のCHIPS Actは昨年夏に成立、申請を巡ってのやりとりが見られているが、今度は、欧州連合(EU)がこのほど、域内での半導体生産の拡大に向けたEuropean Chips Actで合意に達し、現在は10%程度と我が国とほぼ同じ半導体生産の世界シェアを2030年に20%に高める目標を掲げている。官民で$47 billionを投じる体制を構築し、有力メーカーの誘致を行うとして、韓国からは"好機"との反応が見られている。
米国、EUと並行して、世界の目が注がれる台湾、米国の制裁を受けながら自立の道を探る中国、そして新たに自立した半導体エコシステムの構築を目指すインドなど、現下の各国の取り組み&動きを以下取り出している。販売高の伸びが急落したTSMCに対して、今後にも強気な見通しを示すASML、など現下の業界実態も追っている。

≪国内&域内半導体製造強化に向けて≫

半導体で世界を主導する米国も、国内での製造強化に向けてCHIPS Actの運用を図っており、現時点の状況が次の通りである。

◇US Chips Act gets 200+ Statements of Interest ‐Hundreds file statements of interest for CHIPS Act funds (4月17日付け Electronics Weekly (UK))
→1)2023年2月に最初のCHIPS for America資金調達機会を公表して以来、商務省CHIPS Program Officeは、潜在的な応募者から200件以上のStatements of Interest(SOIs)を受け取っている旨。
 2)2月に最初のCHIPS for America資金調達機会が発表されて以来、200件以上の潜在的な申請者が商務省のCHIPSプログラムオフィスに関心表明書を提出した旨。申請者には、著名なファブリケーター、レガシーチップ製造会社および化学薬品会社などが含まれている旨。

◇IRA and CHIPS Act bringing manufacturing back to the US‐US microchip manufacturing grows due to IRA, CHIPS Act (4月17日付け DIGITIMES)
→Financial Timesによると、米国政府がインフレ抑制法(IRA)とCHIPS Actを成立させた2022年、米国における半導体・クリーンテックへの投資は前年比2倍以上の$200 billionとなり、$1 billion以上のプロジェクトは2019年の4件から2022年8月以降は31件と数倍に増加している旨。

米国の進め方について、TSMCからの反発が見られている。

◇TSMC Seeks Up to $15 Billion From U.S. for Chip Plants but Objects to Conditions‐TSMC balks at US rules tied to $15B for Ariz. chip plants ‐With construction under way in Arizona, Taiwanese semiconductor maker calls some aid terms unacceptable (4月19日付け The Wall Street Journal)
→世界最大の半導体受託製造会社、TSMCが、最大$15 billionの政府資金を得るために、ワシントンが半導体工場への補助金に付けているいくつかの条件に反発している旨。
アリゾナ州の2つの半導体工場に$40 billionの投資を計画している台湾・TSMCは、工場からの利益の分配と操業に関する詳細情報の提供を要求する可能性がある規則を懸念していると、この状況に詳しい関係者が述べた旨。

さて、EUについてであるが、先端技術へのスタンスがあらわされている。

◇EU、AIなど先端技術の対外投資規制案;中国念頭、軍事転用を阻止 (4月17日付け 日経)
→欧州連合(EU)は対中国を念頭に、先端技術に関する域内企業の対外投資規制を検討する旨。人工知能(AI)や量子、バイオ技術などを想定する旨。欧州の技術が中国に渡り軍事転用されるのを防ぐ旨。対中貿易を推進する一方、安全保障に関わる技術や重要資源の確保で厳しい措置をとり、日米と歩調をあわせる旨。

このほどのEuropean Chips Actの合意が、以下の通りである。1年余りの議論を経ての到達である。

◇EU、半導体法案で合意;世界シェア2割へ6兆円投資 (4月19日付け 日経 電子版 22:26)
→欧州連合(EU)は18日、域内での半導体生産の拡大に向けた法案の内容で合意した旨。現在は10%程度にとどまる半導体の生産シェアを2030年に20%に高める目標を掲げ、官民で430億ユーロ(約6.3兆円)を投じる体制をつくる旨。原則として禁じてきた補助金を半導体分野では認め、有力メーカーの誘致をめざす旨。

◇EU agrees Chips Act terms‐EU hopes its Chips Act will lift its semiconductor share (4月20日付け Electronics Weekly (UK))
→1)European Chips Actとして批准される前に、EU議会とEuropean Council
 2)(EC)に提出される法案の条件が最終確定の旨。条件についての議論は14ヶ月に及んだ旨。
 3)EUの半導体製造に$3.6 billionを投資することが合意された後、European Chips Actの条件が確定され、批准・採択に向かうことになった旨。民間投資から$43.7 billionを集め、10年後までにEUの半導体市場シェアを20%にすることが目的である旨。

業界各紙の取り上げが、並行して以下の通りである。

◇EU Chips Act to drive $47 billion investments in semiconductor manufacturing‐EU Chips Act will aim to double Europe’s share of the global semiconductor market from 10% to 20% by the end of the decade. (4月19日付け Computerworld)

◇Europe approves its $47 billion answer to Biden’s CHIPS Act ‐ here’s everything that’s in it (4月19日付け CNBC)
→*European Chips Actは、欧州圏が半導体の供給を確保し、自給自足を実現し、米国やアジアと技術面で競争できるようにすることを目指すものである旨。 
 *半導体は、世界的な供給不足により主要な自動車メーカーや電子機器メーカーに供給問題が発生したため、世界各国の政府にとって厄介な問題になっている旨。
 *欧州は、外国企業への依存度を下げるため、サプライチェーンをより多く管理することを求めている旨。

◇EU takes on US and Asia with US$47 billion chip subsidy plan (4月19日付け South China Morning Post)
→*EU Chips Actは、2030年までに世界の半導体生産に占めるEUの割合を20%に倍増させることを目的としており、米国のChips for America Actに続くもの。
 *現在、中国や台湾を中心としたアジアの企業が、このような半導体の製造と輸出を独占している旨。

韓国からは、ビジネス”好機”の期待の反応である。

◇EU Chips Act potential boon for Korean parts makers: ministry‐Seoul to closely monitor protectionist measures; vows full support for exporters (4月19日付け The Korea Herald)
→韓国産業省は水曜19日、欧州連合(EU)のChips Actが韓国メーカーにとって”好機”となる可能性があると指摘した旨。

SEMIから本合意歓迎の記事である。

◇SEMI Europe Applauds Provisional Agreement Reached in EU Chips Act Trilogue Negotiations (4月21日付け SEMICONDUCTOR DIGEST)
→世界のエレクトロニクス設計・製造のサプライチェーンに貢献する業界団体、SEMIは本日、欧州のマイクロエレクトロニクス産業を強化するために430億ユーロを投資するというEuropean Chips Act Trilogue交渉での暫定合意に拍手を送りたいとしている旨。欧州議会、欧州委員会および欧州理事会が、フランスのストラスブール(Strasbourg)において、この協定を締結した旨。

本合意とは別であるが、イタリアからは、半導体協力について、中国から離れて台湾に向かう動きが、取り沙汰されている。

◇Italy eyes Taiwan chip deals: sources‐ENDING CHINA COOPERATION? Italian officials told their counterparts in Taiwan that Rome might leave China’s Belt and Road Initiative, people familiar with the matter said (4月21日付け Taipei Times)
→イタリア政府関係者は、台湾との個人的な会談で、半導体に関する支援を得るために、中国との協定から撤退する可能性を示唆した、と本件に詳しい関係者が語った旨。

次に、その他各国の現下の動き&取り組みについて、まずは台湾である。ドイツへの進出関連が、以下の通りである。

◇Will Germany settle for 28nm? TSMC's presence highlights misalignment between Berlin's semiconductor and defense policies (4月14日付け DIGITIMES)
→鉄のカーテンが崩壊して以来、Grossenhainの軍用空港は民間の役割を担うようになったが、この場所は今でも国の安全保障に貢献している旨。ドイツのSaxony州政府は、先端半導体ファウンドリーを誘致する一環として、この場所を145ヘクタールの工業団地に改造しようとしており、TSMCがその候補に挙がっている旨。

◇The German state of Saxony deepens high-tech cooperation with Taiwan; funding opportunities under 'Horizon Europe' considered (4月19日付け DIGITIMES)
→ドイツのザクセン州は、台湾との科学協力を拡大している旨。ザクセン州の科学大臣であるSebastian Gemkow氏が3日間の予定で台湾を訪問し、国立応用研究所(NARLabs)のマネージングディレクターと協力協定を締結したとのこと。

中国についてであるが、まずはブラジルとの半導体協力の接近ぶりである。

◇China Brazil agree cooperate on semiconductors geopolitical worries continue (4月14日付け Seeking Alpha)
→中国とブラジルの両政府は金曜14日、半導体分野での協力関係を含む多くの覚書に調印した旨。

◇Brazil defies US, cozies up to Chinese tech on chip building‐Brazil to collaborate with China on semiconductors (4月16日付け The Register (UK))
→1)外務大臣、北の「大きな悪いオオカミ」を恐れないと発言
 2)ブラジルは今週、かつて同盟国であったMiddle Kingdom(中国)に味方することを思いとどまらせようとした米国の努力にもかかわらず、中国のハイテク産業との関係構築に向けた最初の暫定的なステップを踏み出した旨。

中国のメモリ半導体生産の現状の一端である。

◇Fewer memories from China‐Memory production coming out of China is expected to slow ‐China’s memory production is expected to decline over the next two years. (4月18日付け Electronics Weekly (UK))
→中国国内のDRAM新興企業の混乱した不始末の後、米国の制裁にけしかけられて、中国は国内所有のDRAM生産能力を欠いている旨。Hynixは、無錫の工場で中国唯一の主要サプライヤーであるが、無錫の生産量は減少し、Hynixは次のDRAM工場に韓国を選択した旨。

中国での半導体生産がむしろ増えていくとのデータも見られている。米国の制裁下での自給自足推進が強調されている。

◇Tech war: China’s chip output shows recovery in March amid US export restrictions on advanced tools (4月18日付け South China Morning Post)
→*中国の公的統計機関が発表した新しい鉱工業生産データでは、半導体生産の減少幅が縮小、あるいは増加さえすることが示されている旨。
 *ワシントンが中国の半導体の野望を潰そうとする中、北京は国内生産量を増やすために自給自足の推進を倍加している旨。

広東省での取り組みが以下の通りである。

◇Tech war: China’s Guangdong province doubles down on semiconductor expansion with 40 new projects worth US$74 billion, says top official (4月19日付け South China Morning Post)
→*米国が中国の最先端半導体技術へのアクセスを制限する中、広東省の半導体の取り組みは、北京の半導体自給自足推進の一環である旨。
 *広東省は年間約1兆元相当の半導体を輸入しており、これは国内全体の約3分の1に相当する、と王錫副知事は指摘する旨。 

新たに自らの半導体エコシステムの構築を目指すインドであるが、人材獲得の動きが見られている。

◇Tata ropes in fomer Intel Foundry Service president for OSAT business (4月19日付け DIGITIMES)
→インドのコングロマリットであるタタは、インドが自立した半導体エコシステムの構築を目指す中で、OSAT事業と精密電子機器製造の構築を目指し、新たに設立した半導体事業のリーダーに、Intel Foundry Servicesの元責任者であるRandhir Thakur氏を採用した旨。

国内そして域内の半導体製造強化に向けた動き&取り組みの展開に、随時注目である。


コロナ対応の完全には収まりきらない状況推移に対して、直面する事態への警戒感を伴った舵取りが各国それぞれに引き続き行われている中での世界の概況について、以下日々の政治経済の動きの記事からの抽出であり、発信日で示している。

□4月18日(火)

経済指標の改善そして景気懸念による比較的小幅な上げ下げで、大手ハイテクの見極め待ちの様相となった、今週の米国株式市場である。

◇NYダウ反発、100ドル高;指標改善で景気敏感株に買い (日経 電子版 05:51)
→17日の米株式市場でダウ工業株30種平均は反発し、前週末比100ドル71セント(0.3%)高の3万3987ドル18セントで終えた旨。米経済指標の改善を受けて景気の先行き不安が和らいだ旨。半面、主力企業の決算発表を控えて買いの勢いは乏しく、ダウ平均の上値は重かった旨。

中国の1〜3月GDPが発表されている。盛り返しているが、2023年5%前後の成長率が目標設定された中での注目である。

◇中国GDP4.5%増;1〜3月実質、ゼロコロナ終了で加速 (日経 電子版 11:36)
→中国国家統計局が18日発表した2023年1〜3月の国内総生産(GDP)は、物価の変動を調整した実質で前年同期比4.5%増えた旨。2022年10〜12月の2.9%増から加速した旨。新型コロナウイルスを封じ込める「ゼロコロナ」政策が終わり、外食や旅行などサービス消費が持ち直した旨。不動産開発や自動車販売は成長の足を引っ張った旨。

□4月19日(水)

◇NYダウ小幅反落、10ドル安;ゴールドマンやJ&Jが下落 (日経 電子版 07:20)
→18日の米株式市場でダウ工業株30種平均は小幅に反落し、前日比10ドル55セント安の3万3976ドル63セントで終えた旨。決算発表を受け、金融のゴールドマン・サックスと医薬・日用品のジョンソン・エンド・ジョンソンが下落し、指数を押し下げた旨。個別で値動きが出る銘柄はあったものの、相場全体の方向感は乏しかった旨。

人口で中国を抜くインド、いろいろな切り口で今後一層目が離せない関連指標の推移である。

◇インドの人口、中国抜き世界最多に;国連推計 (日経 電子版 23:05)
→国連人口基金(UNFPA)は19日、インドの人口が2023年半ばに中国を抜いて世界最多になるとするデータを公表、インドは14億2860万人、中国は14億2570万人と推計しており、インドが約290万人上回る旨。医療水準の改善などで増加が続くインドと、少子高齢化で人口減に転じた中国との差が鮮明となった旨。

□4月20日(木)

◇NYダウ続落、79ドル安;金融引き締め観測が重荷 (日経 電子版 06:09)
→19日の米株式市場でダウ工業株30種平均は続落し、前日比79ドル62セント(0.2%)安の3万3897ドル01セントで終えた旨。米主要企業の決算発表が本格化するなか、来週にかけて相次ぐ大手企業の発表内容を見極めたい雰囲気が強く、積極的な売買が手控えられた旨。英国のインフレ指標が市場予想を上回り、インフレ圧力の根強さを背景に欧米の中央銀行の金融引き締めが続くとの観測も株式相場の重荷となった旨。

□4月21日(金)

◇NYダウ3日続落、110ドル安;企業業績や景気悪化を懸念 (日経 電子版 05:44)
→20日の米株式市場でダウ工業株30種平均は3日続落し、前日比110ドル39セント(0.3%)安の3万3786ドル62セントで終えた旨。電気自動車のテスラなど主要企業が減益決算を発表し、企業業績への不透明感が強まった旨。米連邦準備理事会(FRB)の利上げが続き、米景気を冷やすとの観測も投資家心理の重荷だった旨。

我が国の高水準の消費者物価が続いている。

◇消費者物価、3月3.1%上昇;電気代抑制でも高水準続く (日経 電子版 10:23)
→総務省が21日発表した3月の消費者物価指数(CPI、2020年=100)は変動の大きい生鮮食品を除く総合指数が104.1となり、前年同月比で3.1%の上昇、政府による電気・ガス料金の抑制の一方で、食料品を中心に生活必需品の値上がりが続き、伸び率は前月と横ばいだった旨。19カ月連続のプラスで、高水準の上昇幅が続いている旨。

□4月22日(土)

◇NYダウ小反発、22ドル高;大手ハイテク決算見極め (日経 電子版 06:03)
→21日の米株式市場でダウ工業株30種平均は4日ぶりに小幅に反発し、前日比22ドル34セント(0.1%)高の3万3808ドル96セントで終えた旨。2023年1〜3月期決算を発表した日用品のプロクター・アンド・ギャンブル(P&G)が上げ、ダウ平均を下支えした旨。もっとも、来週の大手ハイテク企業の決算発表を見極めようと相場全体は方向感を欠く展開だった旨。


≪市場実態PickUp≫

【TSMCの業績関連】

半導体市場の急激な悪化が、TSMCの第一四半期の伸び小幅となってあらわれ、本年2023年12月期は減収の可能性があらわされている。世界の半導体総崩れ、との表し方も見られているが、関連内容が以下の通りである。

◇TSMC Q1 earnings seen down 5% y/y, Q2 also looks tough‐Analysis: TSMC to report 5% net profit dip in Q1 (4月18日付け Reuters)
→*アナリストは、第一四半期の利益を前年同期比4.7%減の1,925億Tドルと予想
 *第一1四半期の純収入は前年同期比3.6%増、予想の下限を達成
 *逆風は第二四半期も継続すると見られるが、第三四半期には改善する可能性
 *TSMCは台湾と中国の緊張による地政学的リスクに直面している
 *第一四半期決算説明会を木曜日0600GMTに開催予定
TSMCは、第一四半期の純利益が5%減少し、$6.3 billionを記録する可能性が高いとアナリストは予測している旨。「一般的に閑散期となる第2四半期を前にして、TSMCの四半期ベースの売上げは、主要顧客の注文削減による在庫調整で圧迫されるだろう」 とCapital Investment TrustのAlex Huang氏。

◇台湾TSMC、1〜3月2%増益;半導体市況が急速に悪化 (4月20日付け 日経 電子版 14:46)
→半導体世界大手の台湾積体電路製造(TSMC)は20日、2023年1〜3月期の純利益が前年同期比2.1%増の2069億台湾ドル(約9100億円)だったと発表、売上高も同3.6%増の5086億台湾ドルと小幅な伸びにとどまった旨。半導体需要が急減し、過去3年間の好業績から一転した旨。
売上高は、1月に公表した会社予想(5126億〜5372億台湾ドル)の下限に届かなかった旨。

◇世界の半導体総崩れ;台湾TSMC、23年12月期は減収予想 (4月20日付け 日経 電子版 21:20)
→世界で半導体需要が急減し、各社は総崩れの様相。業界最大手の台湾積体電路製造(TSMC)は20日、2023年1〜3月期の純利益が前年同期比で2%増にとどまったと発表、通期は減収となる見込み。韓国サムスン電子も大幅に利益を落としている旨。半導体は景気の先行指標とされ、足元の需要は今後半年間の景気を映す旨。世界経済の先行きにも不安材料を与える結果となった旨。

◇TSMC’s Tough Quarter Complicates Its U.S. Chip Ambitions‐Company’s outlook is reminder that the chip slump will last for a while (4月20日付け The Wall Street Journal)

◇TSMC forecasts 16% sales tumble in Q2, signaling tech sector slowdown‐TSMC sees a sales drop in Q2 outlook (4月21日付け Insider Intelligence)
→TSMCは、ハイテク分野の減速や、CHIPS Actに基づく半導体補助金をめぐる米国との交渉の中で、第二四半期の売上げが16%減少すると予測している旨。TSMCによれば、業界の在庫は依然として高く、第三四半期まで正常化する見込みはないとのこと。


【GlobalFoundriesによるIBM提訴】

元をただせばAMDの半導体製造部門が分離して発足したGlobalFoundriesであるが、2015年にIBMの半導体製造部門を買収、という経緯である。そのGlobalFoundriesが、インテルとの違法な開示、そしてラピダスとの企業秘密の共有についてIBMを提訴している。関連記事、以下の通りである。

◇GlobalFoundries Files Lawsuit Against IBM (4月19日付け SEMICONDUCTOR DIGEST)
→GlobalFoundriesは本日、IBMを企業秘密の不正流用で提訴した旨。訴状では、IBMが2015年にマイクロエレクトロニクス事業をGFに売却した後、元半導体製造会社がGFの機密IPと企業秘密を違法に開示したと主張している旨。

◇GlobalFoundries Sues IBM For Giving Chip Secrets to Intel, Rapidus‐IBM says GlobalFoundries accusations are meritless. (4月19日付け Tom's Hardware)

◇GlobalFoundries sues IBM, says secrets shared with Japan's Rapidus‐GlobalFoundries sues IBM over IP, trade secrets ‐U.S. chip manufacturer also alleges illegal IP disclosures to Intel (4月20日付け Nikkei Asian Review (Japan)/Reuters)
→GlobalFoundries社は、Intel社とのIPの違法な開示と日本のRapidus社との企業秘密の共有と称してIBM社を訴えている旨。GFは損害賠償、補償および差し止めを求め、IBMが自社のエンジニアを引き抜いたと非難しているが、IBMはこれら主張には何のメリットもないとしている旨。

◇米半導体製造大手、IBMを提訴;ラピダスへの技術共有で (4月20日付け 日経 電子版 05:17)
→米半導体受託製造大手のグローバルファウンドリーズ(GF)は19日、知的財産と企業秘密を不正に利用したとして米IBMを提訴したと発表、GFは2015年にIBMの半導体部門を買収したが、IBMがその後も提携する日本のラピダスと米インテルに技術を開示したとしている旨。日本の先端半導体戦略に影響が及ぶ可能性がある旨。

◇ラピダスとIBMの蜜月に横やり;米半導体製造が提訴 (4月20日付け 日経 電子版 17:42)
→先端半導体の国産化戦略に思わぬ横やりが入った旨。米半導体受託製造大手のグローバルファウンドリーズ(GF)は19日、知的財産と営業秘密を不正に利用したとして米IBMを提訴したと発表。日本のラピダスはIBMから供与された技術をもとに、国内で先端品を再び量産する筋書きを描く旨。日米の半導体連携に影を落とす可能性もある旨。


【ASMLの業績関連】

世界で唯一、EUVリソグラフィー装置を製造するオランダのASMLについて、TSMCからの受注が減るとの記事が次の通りである。

◇ASML reportedly sees first big EUV equipment order cut from TSMC‐Report: TSMC slashes EUV equipment orders (4月17日付け DIGITIMES)
→ASMLは、最大の顧客であるTSMCからのEUV装置の受注が初めて減少したと報じられており、市場関係者は、この受注を40%以上削減するか、あるいはオランダの該サプライヤーからの出荷を遅延させると推測している旨。

一方、ASMLの業績は予想を上回る好調が続いて、今後は中国でのビジネスが支えていくと、以下の通りである。今後に注目である。

◇ASML beats estimates but sees some chipmaker caution‐ASML's net profit in Q1 outpaces expectations (4月19日付け Reuters)
→*第一四半期の純利益は約3倍増となる旨。
 *受注量は減少したが、受注残高は38 blnユーロを超える旨。
 *今後9ヶ月間、中国での販売が好調に推移すると見られる旨。
ASML Holding NVは、半導体製造装置に対する旺盛な需要が続いていることから、水曜19日に第一四半期の業績予想を上回ったが、顧客の間で警戒感があることを指摘した旨。

◇ASML Holding forecasts better-than-expected Q2 sales (4月20日付け Taipei Times)
→ASML Holding NVは昨日、半導体業界の低迷に悩むクライアントがいる中、同社の半導体製造機に対する需要が好調なことから、第二四半期の売上高が予想を上回るとの見通しを示した旨。
オランダの同社は声明で、今四半期の売上高は65億から70億ユーロ($7.1 billion to $7.7 billion)に増加すると発表した旨。

◇Chipmaking tool firms expect boom in China sales despite export rules‐Lam, ASML upbeat about chipmaking tool sales in China (4月20日付け Reuters)
→半導体製造用のツールを製造する2社、Lam ResearchおよびASML Holdings NVは、最先端半導体の製造に使用される装置に対する米国の輸出規制にもかかわらず、今年後半には中国への販売が急増する見込みであると述べた旨。


【Samsung関連】

インテルのファウンドリー部門とArmとの連携について、Samsungへのインパクトが取り沙汰である。

◇Will Intel’s partnership with Arm give Samsung, TSMC a run for their money?‐The collaboration represents Intel’s attempt to regain its former glory as a semiconductor powerhouse (4月14日付け Hankyoreh)
→インテルが新たなパートナーである半導体チップ設計会社、アームとともにファウンドリー市場に参入したことで、ファウンドリー事業者第2位のサムスン電子に起こりうる影響について疑問の声が上がっている旨。

Samsungの12インチ工場稼働率が上昇、それも5nm/4nmプロセスの安定が支え、と今後の推移に注目である。

◇Samsung sees 12-inch fab capacity utilization rise to 90% on stable 5/4nm process yields‐12-inch fab capacity utilization jumps at Samsung in Q2 (4月18日付け DIGITIMES)
→Samsung Electronicsは、第二四半期の12インチウェーハ工場の稼働率が、前四半期と比較して10ポイント上昇し、90%に達する見込み。5nm/4nmプロセスの安定した性能と、それに伴う顧客からの注文の増加が、この伸びの背景にある、と業界関係者は述べている旨。

これも注目、GPUsにむけての取り組みである。

◇Samsung soliciting Chinese GPU talent; Exynos 2400 will determine the victor‐Samsung looks to GPU talent in China for it Exynos 2400 (4月19日付け DIGITIMES)
→Samsung Electronicsは、GPUsに向けて研究開発ノウハウを中国に求め、Exynosシリーズを強化することを期待していると伝えられている旨。最新のモバイルAPであるExynos 2400は、今年中に発売される予定の旨。


【生成AI関連の動き】

IT大手各社、そしてElon Musk氏、主要スタートアップなど、日々目まぐるしい動きを逐次取り出して、以下の通りである。

◇Google CEO Sundar Pichai warns society to brace for impact of A.I. acceleration, says ‘it’s not for a company to decide’ (4月17日付け CNBC)
→*日曜16日に放送されたCBSの「60 Minutes」とのインタビューで、GoogleのCEO、Sundar Pichai氏は、AIが急速に進歩することに対して社会が準備できていないことを示唆した旨。
 *Pichai氏は、AIの進化をガードする法律は、「企業が単独で決めることではない」と述べた旨。
 *同氏は、AIが "あらゆる企業のあらゆる製品 "に影響を及ぼすと警告している旨。

◇New Microsoft AI chip no threat to Nvidia, but growing LLM needs drive custom silicon‐Microsoft to join the custom AI chip fray (4月18日付け VentureBeat)
→Microsoftが独自に開発した人工知能半導体、Athenaは、早ければ2024年にOpenAIでの利用を開始する可能性があるが、AI半導体のリーダーであるNvidiaは、Microsoftの動きによって脅かされることはないと見られている旨。アナリストのJack Gold氏は、「ニーズが拡大し、用途の多様性も拡大する中で、Microsoftや他のハイパースケーラーが、独自のアーキテクチャや最適化されたアルゴリズムに対応したAI半導体の最適化版を追求することは重要」と指摘している旨。

◇Google CEO warns against rush to AI‐SEARCH WARS: Bing might replace Google as the default search engine on Samsung phones, putting at risk US$3 billion in annual revenue for Alphabet, a news report said (4月18日付け Taipei Times)
→Alphabet社とGoogleの最高経営責任者、Sundar Pichai氏が、日曜16日に放送されたインタビューで、人工知能(AI)技術の導入の推進は、潜在的な有害作用を避けるためにしっかりと規制されなければならないと述べた旨。

◇マスク氏、独自AI「TruthGPT」開発へ;ChatGPT対抗で (4月18日付け 日経 電子版 12:47)
→米起業家のイーロン・マスク氏は独自の人工知能(AI)を開発すると表明、17日に公開された米FOXニュースのインタビューで明らかにした旨。開発で先行する米グーグルと、対話型のAI「ChatGPT(チャットGPT)」を開発した米新興オープンAIを念頭に、「遅いスタートだが第3の選択肢をつくろうと思っている」と話した旨。
スタートアップや米巨大テック企業に加えマスク氏の参入でAIの開発競争がさらに加熱する可能性もある旨。

◇New chip on the block: Broadcom's Jericho3-AI can connect up to 32,000 GPU chips‐Broadcom targets AI networks with Jericho3-AI chip ‐「The new chip can wire together supercomputers for artificial intelligence networks. (4月19日付け Interesting Engineering)
→Broadcomは、人工知能(AI)の熱狂の中で Jericho3-AI半導体を発表し、その高性能と32,000個ものGPU半導体をまとめてつなげられることをアピールしている旨。Jericho3-AIは、市場をリードするNvidiaの半導体、InfiniBandと競合するように設計されている旨。

◇ChatGPTのOpenAI社長、AIのルール決め「全員参加を」 (4月19日付け 日経 電子版 08:19)
→対話型の人工知能(AI)「ChatGPT(チャットGPT)」を開発した米新興オープンAIの共同創業者兼社長のグレッグ・ブロックマン氏は18日、カナダのバンクーバーで開かれた「TED(Technology, Entertainment, Design)2023」で講演、「AIを正しく理解し、ルールを決めていくためにはすべての人の参加が必要で、リテラシー(知識や判断力)を高めなければいけない」と呼びかけた旨。

◇Alphabet merges AI groups amid bid to regain lost ground in AI fight (4月20日付け SILICON VALLEY BUSINESS JOURNAL)
→AlphabetがDeepMindとGoogle Brainを1つのチームに統合する計画は、マイクロソフトなど他のハイテク大手とのAI争いに追いつくための取り組みの一環。

◇Google、AIの研究体制を再編;DeepMindと統合 (4月21日付け 日経 電子版 05:48)
→米グーグルは20日、人工知能(AI)の研究体制を再編すると発表、2014年に買収し、「アルファ碁」の開発などで知られる英ディープマインドと組織を統合する旨。対話AI「Chat(チャット)GPT」の登場などでAIをめぐる競争が激しくなるなか、組織を一本化することで開発や実用化を加速する旨。

◇Entity List Chinese AI chip company rules out working on ChatGPT-like products‐AI startup Cambricon won't develop ChatGPT-like products (4月21日付け DIGITIMES)
→中国に拠点を置く人工知能(AI)半導体のスタートアップ、Cambricon Technologiesは、ChatGPTや同様のプロジェクト向けのAI最終製品の開発には取り組まないと述べている旨。Cambriconは12月に米国商務省のEntity Listに掲載されたが、同社は米国の制裁が同社の主力製品や研究に影響を与えることはないとしている旨。

◇マイクロソフト社長「生成AI、開発の手ゆるめず」 (4月21日付け 日経 電子版 23:12)
→米IT大手マイクロソフトのブラッド・スミス社長は21日、日本経済新聞の取材に応じた旨。提携する米オープンAIが開発した「ChatGPT」などの生成人工知能(AI)について、「開発を遅らせるのではなく、(安全確保のための)ガードレールをつくる仕事を急がなければならない」と事業展開を続ける姿勢を示した旨。

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