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9月世界半導体販売高が7ヶ月連続前月比漸増、主要各社後半回復の見通し

米国・Semiconductor Industry Association(SIA)より月次世界半導体販売高が発表され、この9月について$44.89 billionで、前月比1.9%増、前年同月比4.5%減となっている。前月比のわずかずつの増加が3月から7ヶ月連続の一方、前年同月比は前年後半が減少続きということで、マイナス幅が縮まっている。AI(人工知能)半導体はじめ期待の好材料があり、本格回復をひたすら待つ状況が続いている。半導体主要各社の業績発表においても、足元では前年比販売高が大きくマイナスながら、前四半期比では徐々に増えている結果となっており、今後に向けた大きな期待感から発表後の株価が上昇する例が見られている。AIへの期待のみならず、Samsungはこの苦境下で大規模な投資計画を発表、市場の好反応を呼んでいる。

長見晃の海外トピックス

≪9月および第三四半期の販売高≫

米国・SIAからの今回の発表が、次の通りである。

☆☆☆↓↓↓↓↓
○9月のグローバル半導体販売高が、前月比1.9%増―2023年第三四半期のグローバル販売高が、2023年第二四半期を6.3%上回り、2022年第三四半期を4.5%下回る…11月1日付け SIA/Latest News

米国・Semiconductor Industry Association(SIA)は本日、2023年9月のグローバル半導体販売高が、2023年8月に対して1.9%増加し、2022年9月に対して4.5%減少、と発表した。2023年第三四半期の間の世界半導体販売高は$134.7 billionで、2023年第二四半期に対し6.3%の増加、2022年第三四半期に対して4.5%の減少である。月次販売高はWorld Semiconductor Trade Statistics(WSTS) organizationのまとめであり、3ヶ月移動平均で表わされている。SIAは、売上げで米国半導体業界の99%およびnon-U.S.半導体会社の約3分の2を代表している。

「9月の世界半導体販売高は前月比で7回連続の増加となり、今年中盤に半導体市場が経験したポジティブな勢いをさらに強めている。」と、SIAのpresident and CEO、John Neuffer氏。「半導体需要の長期的な見通しは依然として力強く、半導体は世界が依存する無数の製品を可能にし、将来の新しい変革的な技術を生み出す。」

地域別では、9月の販売高前月比で、Asia Pacific/All Other(3.4%), Europe(3.0%), the Americas(2.4%), およびChina(0.5%)と増加したが、Japan(-0.2%)では僅かに減少した。9月販売高前年同月比では、Europe(6.7%)では増加したが、the Americas(-2.0%), Japan(-3.6%), Asia Pacific/All Other(-5.6%)およびChina(-9.4%)では減少した。

                      【3ヶ月移動平均ベース】

市場地域
Sep 2022
Aug 2023
Sep 2023
前年同月比
前月比
========
Americas
12.03
11.51
11.79
-2.0
2.4
Europe
4.52
4.68
4.82
6.7
3.0
Japan
4.05
3.92
3.91
-3.6
-0.2
China
14.41
12.99
13.05
-9.4
0.5
Asia Pacific/All Other
11.99
10.95
11.32
-5.6
3.4
$47.00 B
$44.04 B
$44.89 B
-4.5 %
1.9 %

--------------------------------------

※9月の世界半導体販売高 地域別内訳および前年比伸び率推移の図、以下参照。
https://www.semiconductors.org/wp-content/uploads/2023/11/September-2023-GSR-table-and-graph-for-press-release.pdf
★★★↑↑↑↑↑

相次いで年間販売高史上最高を更新した2021年および2022年と比べていく形で、データの推移を見ていく。
以下、米国・SIAの月初の発表時点の販売高、そして前年同月比および前月比が示されている。
本年1月は下げ足を早める出だしとなっており、2月はそれが引き続いている。3月に、ようやく2022年5月以来の前月比増加となっている。4月は、20%台の前年比マイナスが続きながらも、3月と同様前月比で0.3%のプラスとなっており、5月は前年比同様に大きくマイナスながらも前月比では1.7%増となり$40 Billion台を1月以来のこと、回復している。そして6月、1月の販売高を上回って、本年最高となって、まだ小幅ながら4ヶ月連続の前月比増加である。7月は、昨年12月以来$43 Billion台となり、前月比増加とともに、前年同月比のマイナス幅を大きく縮めている。8月は$44 Billion台と小幅な前月比増加が続き、前年同月比は一桁%のマイナスとなったが、前年も大き目な低下であることが効いている。9月も、8月と同様の動きとなっている。今後の回復に向けて上げ足を早められるか、なお見極めを要するところである。

販売高
前年同月比
前月比
販売高累計
2021年 1月 
$40.01 B
13.2 %
1.0 %
2021年 2月 
$39.59 B
14.7 %
-1.0 %
2021年 3月 
$41.05 B
17.8 %
3.7 %
2021年 4月 
$41.85 B
21.7 %
1.9 %
2021年 5月 
$43.61 B
26.2 %
4.1 %
2021年 6月 
$44.53 B
29.2 %
2.1 %
2021年 7月 
$45.44 B
29.0 %
2.1 %
2021年 8月 
$47.18 B
29.7 %
3.3 %
2021年 9月 
$48.28 B
27.6 %
2.2 %
2021年10月 
$48.79 B
24.0 %
1.1 %
2021年11月 
$49.69 B
23.5 %
1.5 %
2021年12月 
$50.85 B
28.3 %
1.5 %
$540.87 B
 
2022年 1月 
$50.74 B
26.8 %
-0.2 %
2022年 2月 
$50.04 B
26.1 %
-1.4 %
2022年 3月 
$50.58 B
23.0 %
1.1 %
2022年 4月 
$50.92 B
21.1 %
0.7 %
2022年 5月 
$51.82 B
18.0 %
1.8 %
2022年 6月 
$50.82 B
13.3 %
-1.9 %
2022年 7月 
$49.01 B
7.3 %
-2.3 %
2022年 8月 
$47.36 B
0.1 %
-3.4 %
2022年 9月 
$47.00 B
-3.0 %
-0.5 %
2022年10月 
$46.86 B
-4.6 %
-0.3 %
2022年11月 
$45.48 B
-9.2 %
-2.9 %
2022年12月 
$43.40 B
-14.7 %
-4.4 %
$584.03 B
 
→史上最高更新
 
2023年 1月 
$41.33 B
-18.5 %
-5.2 %
2023年 2月 
$39.68 B
-20.7 %
-4.0 %
2023年 3月 
$39.83 B
-21.3 %
0.3 %
2023年 4月 
$39.95 B
-21.6 %
0.3 %
2023年 5月 
$40.74 B
-21.1 %
1.7 %
2023年 6月 
$41.51 B
-17.3 %
1.9 %
2023年 7月 
$43.22 B
-11.8 %
2.3 %
2023年 8月 
$44.04 B
-6.8 %
1.9 %
2023年 9月 
$44.89 B
-4.5 %
1.9 %


現下の半導体市場の反応および主要各社の業績状況を見ていく。

底は打って、持ち直しの傾向が続き、回復に向かう、と以下の通りである。

◇After a Boom and Bust, the Chip Industry Is Regaining Its Health―Chip execs see recovery beginning after recent bust cycle ―Intel, Samsung and others see a semiconductor rebound as tech demand starts to recover (11月1日付け The Wall Street Journal)
→半導体各社は、インフレと地政学的不安に絡んだ長期低迷の後、業界が間もなく回復することを期待している旨。サムスン電子、インテルおよび台湾セミコンダクタ・マニュファクチャリング社(TSMC)の幹部は、世界の業界が底を打ったと確信しており、2024年も回復が続くと予想している旨。

◇Memorychip market on way to recovery, Samsung Co says (11月1日付け Taipei Times)
→サムスン電子は、アナリストの予想を大幅に上回る第三四半期の利益を発表し、長期低迷していたメモリー半導体市場が回復に向かうと予測した旨。ブルームバーグがまとめたデータによると、同社の第三四半期の純利益は5兆5000億ウォン($4.1 billion)で、予想の2兆5200億ウォンの2倍以上だった旨。

◇Semiconductor output to increase to NT$4.9tn: ITRI (11月1日付け Taipei Times)
→台湾・工業技術研究院(ITRI)の専門家は月曜30日、台北で開催されたフォーラムで、台湾の半導体産業全体の生産額は来年、前年比14.1%増の4兆9000億台湾ドル($151.15 billion)となり、過去最高を更新する見込みであると述べた旨。

◇Rebound in HPC chip market for 2H23 anticipated, according to DIGITIMES Research―Research: Chipmakers likely to see revenue upswing in H2 (11月2日付け DIGITIMES)
→DigiTimes Researchのアナリスト、Eric Chen氏の予測によると、ノートブック/PCとサーバー市場が安定し、高性能コンピューティング(HPC)半導体の需要が高まる中、Nvidia、Advanced Micro Devices(AMD)およびIntelは2023年後半に売上げの増加が見込まれる旨。半導体メーカー各社は、AIモデルのトレーニング需要が高まるなか、GPU/CPU製品を投入している旨。

具体的に主要各社ではどうか、それぞれの持ち直し状況を、以下取り出している。


[インテル]

◇Intel revenue down YoY, but beats forecast as outlook brightens (10月27日付け FierceElectronics)
→インテルの第三四半期の売上高は、3四半期連続でアナリスト予想を上回り、同社の復活が順調に進んでいるというシナリオを後押しし、7四半期連続で売上高が減少したという事実から注目をそらす結果となった旨。
2023年度第三四半期の売上高は $14.2 billion弱となり、予想の$13.5 billion前後を大きく上回り、ほとんどの市場で前四半期比増収となったが、前年同期の$15.3 billionからは減少した旨。純利益は$297 millionの黒字であったが、前年同期比では苦しく、2022年第三四半期後では約$1 billionであった旨。


[Samsung]

◇Samsung Profit Beats Estimates in Sign of Chip Recovery (10月30日付け BNN Bloomberg (Canada))

◇Samsung expects memory chip demand to improve, as operating profit beats expectations (10月31日付け CNBC)
→*サムスンは、第三四半期の営業利益が前年同期比77.6%減となったものの、予想を上回った旨。
 *前年同期比では減少したものの、同四半期の営業利益は第二四半期比で262.6%急増し、メモリー半導体の供給過剰が底を打ちそうな兆しを見せている旨。
 *サムスンは、スマートフォンやコンピューターなどの消費者向け機器に搭載されるダイナミック・ランダム・アクセス・メモリー(DRAM)半導体の世界最大のメーカーである旨。

◇サムスン7〜9月期、半導体で赤字4100億円;減産で改善 (10月31日付け 日経 電子版 10:40)
→韓国サムスン電子が31日発表した2023年7〜9月期の事業別業績で、半導体部門の売上高は前年同期比29%減の16兆4400億ウォン、営業損益は3兆7500億ウォン(約4100億円)の赤字(前年同期は5兆1200億ウォンの黒字)。半導体メモリー大手各社の減産が奏功し、製品価格が底を打ったことから、4〜6月期の赤字額(4兆3600億ウォン)からは改善した旨。

◇Samsung to boost AI chip production in 2024―Samsung to focus on AI chips in 2024 amid recovery (10月31日付け The Korea Times (Seoul))
→サムスン電子は、AI半導体の需要が続く中、来年は広帯域メモリ(HBM)の生産を増強する計画。同社の第三四半期の営業損失は縮小し、情報筋によれば、サムスンはグーグルの来年のスマートフォン、Pixel 9向けTensor G4チップセットの受注を確保した旨。

◇Samsung Electronics gains momentum in foundry with Google G4 chipset (10月31日付け Pulse by Maeil Business Newspaper (South Korea))

強気の投資計画である。

◇サムスン、半導体不況も設備投資6兆円;2023年も過去最大 (10月31日付け 日経 電子版 16:47)
→韓国サムスン電子の2023年の設備投資額が53兆7000億ウォン(約6兆円)規模になることが31日わかった旨。これまで過去最大だった前年を1%上回る旨。競合各社が巨額赤字に耐えかねて投資を大幅に絞る中でも、サムスンは事業拡大に向けた投資を緩めていない旨。

◇Samsung Electronics to raise NAND prices in 2024―Samsung plans to up NAND prices, lower production in profitability bid (11月1日付け Pulse by Maeil Business Newspaper (South Korea))
→メモリー半導体メーカーのサムスン電子は、2024年の第二四半期まで、NANDの価格を四半期ごとに20%ずつ引き上げる戦略を立てた旨。この動きは、NAND価格を安定させることで、来年前半の市場を好転させようというもの。


[Qualcomm]

◇Qualcomm gives strong forecast, signaling chip slump recovery (11月1日付け CNBC)
→クアルコムが水曜1日に発表した第四四半期決算は、前年同期比で大幅な減少にもかかわらず、売上高と利益で予想を上回り、今四半期の見通しも好調であった旨。

◇Qualcomm Signals Optimism Despite Sales, Profit Fall―Qualcomm issues upbeat forecast after down quarter (11月1日付け The Wall Street Journal)
→クアルコムの第四四半期決算は減収減益となったが、携帯電話用半導体メーカーの同社は今四半期の見通しを明るいものとし、スマートフォン市場における最近の困難が薄れつつある可能性を示唆した旨。
クアルコムの株価は、ウォール街の予想を上回る見通しを含む決算を受けて、時間外取引で3.7%上昇した旨。

◇米クアルコム44%減益;2023年9月期、スマホ半導体が減少 (11月2日付け 日経 電子版 06:58)
→米半導体大手クアルコムが1日発表した2023年9月期通期決算は、売上高が前の期比19%減の$35.82 billion(約5兆4000億円)、純利益は44%減の$7.232 billion。スマートフォン用半導体の減少が響いた旨。2023年10〜12月期の売上高は前年同期比3%減の$9.1 billionから同5%増の$9.9 billionを見込む旨。

大きなマイナスにも拘らず株価上昇、と力強い予測がマジックと謳われている。

◇Qualcomm’s stock surges on strong forecast despite revenue drop of 24%(11月2日付け FierceElectronics)
→クアルコムは水曜1日に発表された最新の決算報告で、いくつかのマジックを成功させることができた旨。クアルコムの第四四半期の売上高は前年同期比24%減、純利益は48%減となったが、その翌日、同社の株価は6%上昇、前回の予想に対して今回が力強い予測および業績内容のためのよう。2023年通年の株価は9%上昇する旨。


[AMD]

AI GPU半導体の売上げ規模の期待が、具体的にあらわされている。

◇AMD gives soft fourth-quarter guidance, but expects to sell $2 billion of AI chips next year (10月31日付け CNBC)
→*AMDは火曜31日に第三四半期決算を発表した旨。
 *同社は、ジェネレーティブAIモデルの訓練と導入に必要なハイエンド・グラフィックス・プロセッシング・ユニット(GPUs)を製造できる数少ない半導体メーカーのひとつ。
 *AMDによると、AI GPUの売上は2024年に$2 billionを超える可能性がある旨。

◇AMD forecasts $2 billion sales of AI chips, helping shares rebound (10月31日付け Reuters)

◇AMD stock jumps more than 9% on strong 2024 AI chip projections (11月1日付け CNBC)
→*AMDの株価は、同社のデータセンター向けGPU事業について2024年に明るい見通しを発表したことで、水曜1日に急騰した旨。
 *同社は、人工知能(AI)の多くで必要とされるハイパワーGPUsを製造できる数少ない企業の一つである旨。
 *AI半導体事業の好調な将来性は、2023年第四四半期の売上げ予想を引き下げたことに対する投資家の懸念を払拭した旨。


[Mediatek]

◇MediaTek says sales growth to return―MediaTek expects revenue growth this quarter and into 2024 ―MORE AI FUNCTIONS: The firm’s CEO said that generative AI features are ‘a must-have capability,’ with increased capabilities to provide strong growth opportunities (10月28日付け The Taipei Times (Taiwan))
→世界最大の5Gスマートフォン半導体設計のメディアテック〈聯發科)は昨日、今四半期の売上高は最高で年率17%の成長率に戻ると予想し、特にスマートフォン関連でチャネル在庫が改善していることから、その勢いは来年全体にも及ぶと述べた旨。

できるだけ早い本格的回復への期待を込めて、業況および販売高の推移に引き続き注目である。


コロナ「5類」移行とはいえ、インフルエンザが加わり一層用心怠りなくの現状と言えるかと思うが、コロナ前に戻る舵取りがそれぞれに行われている中での世界の概況について、以下日々の政治経済の動きの記事からの抽出であり、発信日で示している。

□10月31日(火)

金融引き締め長期化懸念、利上げ警戒が和らいで、連日の上げが続いた今週の米国株式市場である。

◇NYダウ511ドル高;IT株に買い、「売られすぎ」反動も (日経 電子版 07:23)
→30日の米株式市場でダウ工業株30種平均は4営業日ぶりに反発し、前週末比511ドル37セント(1.57%)高の3万2928ドル96セントで終えた旨。1日の上げ幅としては6月2日(701ドル高)以来の大きさとなった旨。前週末のダウ平均は3月以来の安値で終えており、「売られすぎ」との見方から買いが入った旨。

中国は、経済の懸念材料が続いている。

◇中国、10月製造業景況感が悪化;再び50割れ (日経 電子版 11:01)
→中国国家統計局が31日発表した2023年10月の製造業購買担当者景気指数(PMI)は49.5。前月より0.7ポイント低く、2カ月ぶりに好調・不調の境目である50を下回った旨。生産や新規受注の指数が悪化した旨。

□11月 1日(水)

◇NYダウ続伸、123ドル高;金利据え置き見越した買い入る (日経 電子版 05:56)
→10月31日の米株式市場でダウ工業株30種平均は続伸し、前日比123ドル91セント(0.37%)高の3万3052ドル87セントで終えた旨。11月1日午後に米連邦公開市場委員会(FOMC)の結果公表を控え、景気敏感株などに持ち高調整の買いが続いた旨。ダウ平均は前週末におよそ7カ月ぶりの安値を付けていたため、売り持ち高を減らすための買いが入りやすかった旨。

米中首脳会談、難題山積の中での半導体関連に注目である。

◇米中、11月中旬首脳会談「原則合意」;米西部で1年ぶり (日経 電子版 07:41)
→米政府高官は10月31日、11月中旬にバイデン米大統領と中国の習近平(シー・ジンピン)国家主席が対面会談することで原則合意したと明らかにした旨。米西部カリフォルニア州サンフランシスコで開く国際会議にあわせて実施する計画で、議題など詰めの調整に入った旨。対面の協議が実現すれば2022年11月以来、1年ぶりになる旨。

□11月 2日(木)

経済堅調と評される米国ながら、製造業景況感の低迷基調である。

◇10月米製造業景況感、21年ぶり12カ月連続「不況」水準 (日経 電子版 02:59)
→米サプライマネジメント協会(ISM)が1日発表した10月の米製造業景況感指数は前月から2.3ポイント下落し、46.7となった旨。好不況の分かれ目となる50を12カ月連続で下回り、ダウ・ジョーンズがまとめた市場予想の49.2にも届かなかった旨。

◇FRB、2会合連続で利上げ見送り;追加引き上げ否定せず (日経 電子版 04:38)
→米連邦準備理事会(FRB)は1日開いた米連邦公開市場委員会(FOMC)で政策金利を据え置いた旨。2022年3月のゼロ金利解除後で初めて2会合連続で利上げを見送った旨。景気を冷やしすぎずに物価を鈍化させる金利の適正水準について、時間をかけて見極める必要があると判断した旨。

◇NYダウ続伸、221ドル高;引き締め長期化への懸念薄れる (日経 電子版 06:09)
→1日の米株式市場でダウ工業株30種平均は3日続伸し、前日比221ドル71セント(0.67%)高の3万3274ドル58セントで終えた旨。米連邦準備理事会(FRB)は1日まで開いた米連邦公開市場委員会(FOMC)で政策金利を据え置いた旨。金融引き締めの長期化に対する過度な警戒がいったん薄れ、買いが入った旨。

□11月 3日(金)

◇NYダウ続伸、564ドル高;金利低下で5カ月ぶり上げ幅 (日経 電子版 06:07)
→2日の米株式市場でダウ工業株30種平均は4日続伸し、前日比564ドル50セント(1.69%)高の3万3839ドル08セントで終えた旨。朝発表の米経済指標が賃金インフレの鈍化を示し、米金融引き締めが長引くとの警戒感が和らいだ旨。米長期金利が低下し、株式の相対的な割高感が薄れたとみた買いを誘った旨。1日の上げ幅としては6月上旬以来、5カ月ぶりの大きさとなった旨。

◇中国、外資の直接投資が初のマイナスに;7〜9月 (日経 電子版 21:20)
→外資企業の中国投資が一段と細っている旨。7〜9月は初めて、工場新設など新規投資分が撤退や事業縮小に伴う資本の回収分を下回った旨。先端半導体を巡る米中対立や中国でのスパイ摘発強化への懸念から、投資の抑制が広がる旨。外資離れは中国の技術革新のペースを鈍らせ、中長期の経済成長に影を落としかねない旨。

□11月 4日(土)

◇NYダウ5日続伸、222ドル高;利上げ警戒和らぐ (日経 電子版 05:59)
→3日の米株式市場でダウ工業株30種平均は5日続伸、前日比222ドル24セント(0.65%)高の3万4061ドル32セントと、9月下旬以来の高値で終えた旨。3日朝発表の10月の米雇用統計で非農業部門の雇用者数が市場予想を下回り、米連邦準備理事会(FRB)の金融引き締めが長引くことへの警戒が和らいだ旨。米長期金利の低下が続き、株式の相対的な割高感が薄れた旨。


≪市場実態PickUp≫

【AI関連】

安全確実なAI関連の開発、運用をと、米国・Biden大統領の大統領令はじめ、引き締めを図る、あるいは求める動きが以下の通り続いている。

◇Biden signs sweeping executive order on artificial intelligence (10月29日付け SILICON VALLEY BUSINESS JOURNAL)
→ジョー・バイデン大統領は月曜30日、ホワイトハウスが人工知能(AI)をより安全でセキュアなものにすることを期待する大統領令に署名した旨。

◇Biden issues U.S.′ first AI executive order, requiring safety assessments, civil rights guidance, research on labor market impact―Biden signs first AI executive order (10月30日付け CNBC)
→1)ジョー・バイデン大統領は本日、AIに関する初の大統領令を発表し、規制当局がAI技術への取り組みを強化するなか、連邦政府機関に同技術のリスク軽減を求め、開発者に安全性テストの実施義務などを課した旨。ホワイトハウスの Bruce Reed(ブルース・リード)副主席補佐官は、「この命令には、AIの安全性、セキュリティ、および信頼性に関して、世界のどの政府もこれまでにとったことのない強力な一連の行動が含まれる」と述べた旨。
 2)*ジョー・バイデン米大統領は、人工知能に関する新たな大統領令を発表した旨。
  *これは米国政府初の措置であり、新たな安全性評価、公平性と公民権に関するガイダンスおよびAIが労働市場に与える影響に関する調査を求めている旨。
  *この命令は、ホワイトハウスが以前に大手AI企業から確保した自発的な約束に基づくもので、この技術に関する初の大きな拘束力のある政府行動となる旨。

◇生成AI開発の行動規範、G7が合意へ;「電子透かし」推奨 (10月30日付け 日経 電子版 02:00)
→主要7カ国(G7)は生成AI(人工知能)のリスクへの対応策を示した「行動規範」について合意する旨。30日にも内容を公表する旨。生成AIでつくったコンテンツを識別する「電子透かし」の導入を推奨することなどを盛り込む旨。偽情報や権利侵害を防ぐためAI開発者に順守を求める旨。

◇生成AI対応で「著作権法改正を」;新聞協会―コンテンツへのタダ乗り防止 (10月30日付け 日経 電子版 16:00)
→日本新聞協会は30日、生成AI(人工知能)に関する「基本的な考え方」を公表、著作権法を見直し、生成AIが報道コンテンツを学習することを権利者が拒否できるようにするか、コンテンツ利用時に許諾を得る仕組みが必要という考えを示した旨。

◇米AI政策高官、「関連企業に顧客管理を義務化」;安保懸念 (10月31日付け 日経 電子版 15:05)
→米ホワイトハウスで人工知能(AI)規制を担当する政府高官は30日、日本経済新聞のインタビューに応じた旨。高度なAIを扱う企業に対し、今後、顧客管理を義務付ける方針を示した旨。安全保障上、懸念がある国に高度なAIサービスが流れ、悪用されるリスクに備える旨。

◇AI悪用阻止へ情報共有;研究者間で枠組み構築;英でサミット、日米欧中が参加 (11月2日付け 日経)
→日米欧や中国など28カ国が参加して人工知能(AI)の安全性を議論する国際会議「AI安全サミット」が1日、ロンドン近郊で開幕、高性能AIがテロなどに悪用される重大リスクを阻止するため、研究者間の情報共有の枠組みを構築する旨。AI企業の首脳らも参加し、官民で安全確保への役割を話し合う旨。


【AppleのM3半導体】

Appleのパソコン、Macに向けた新しい3-nmプロセスSoC、M3ラインが、月曜30日夜間に行われたという発表会で、以下の通り示されている。M3半導体の関連内容の取り出しである。

◇Apple's New M3 Chips Power Refreshed iMac, MacBook Pro 14 and 16 (11月30日付け CNET)
→*M3、M3 Pro、M3 Maxは最大の機能強化をもたらすが、MacBookの新色スペースブラックもかなりエレガントなアップグレード。
 *最も注目すべき点は、一般的な速度向上と最適化に加え、アップルがiPhone 15 ProとMaxのA17 Pro半導体で展開したいくつかの進歩を受け継いでいること。これらの半導体は同じ3nmプロセスを使用しており、アップルはより小さなダイに設計することを選択した旨(同じサイズのダイを使用し、より多くのものを詰め込むことも可能だった)。プロセスが小さいということは、一般的に、全体としてより速く、より電力効率が高いということ。

◇Apple announces new M3 chips and cuts the price of the entry-level MacBook Pro―Apple introduces 3 new M3 chips for iMac, MacBook Pro (10月31日付け CNBC)
→1)アップルは、MacBook ProとiMac用の新しいM3半導体ラインでMacのラインナップを一新する旨。M3、M3 ProおよびM3 Max半導体は、より多くのコアと3ナノメートルプロセスを特徴としている旨。
 2)アップルは月曜30日に行われた異例の夜間発表会で、新しいPC半導体、MacBook Proラップトップ、そしてiMacの新モデルを発表した旨。

◇Apple、新型MacBook Proなど発表;新半導体M3搭載 (10月31日付け 日経 電子版 12:38)
→米アップルは30日、ノートパソコン「MacBook Pro」シリーズやデスクトップパソコン「iMac」などの新製品を11月7日に発売すると発表、価格は1299ドル(日本での価格は税込みで19万8800円)から。省電力・高性能の半導体「M3」シリーズを搭載し、人工知能(AI)開発やゲーム、動画編集に使いやすい旨。

◇Appleの「M3」は何が進化した?3分で分かるスペック比較 (10月31日付け PC Watch)
→Appleは30日(米国時間)、新型の「MacBook Pro」(14インチと16インチ)、そして「iMac 24インチ」を発表した。これら3機種に共通して搭載されるのが「M3」シリーズのプロセッサとなる。
「M3」シリーズの最も注目すべき特徴は、GPUではなくCPUにあり、「Dynamic Caching」と呼ばれる新しい技術を導入した。
「M3」シリーズの製造プロセスは3-nm、TSMCの最先端、トランジスタ数が次の通り。
 M3       250億個
 M3 Pro    370億個
 M3 Max    920億個

◇Apple unveils new chips designed to power speedier Mac computers (11月1日付け Taipei Times)
→アップル社は月曜30日、自社製マック・プロセッサー・ラインの第3世代を発表し、全体的なパフォーマンスとグラフィック性能を大幅に向上させたM3半導体を展開した旨。

◇The 3 big ways the Apple M3 chips will change Mac gaming forever―Opinion: Apple's M3 chip will level up Mac gaming ―Apple's latest reveals were huge (11月1日付け techradar)
→アップルがリリースした3ナノメートルプロセスのシステムオンチップ(SoCs)「M3」ラインは、ゲームのあらゆる側面を処理することで、Macのゲームを変える可能性があるとComputing Staff WriterのAllisa James氏は書いており、これはM1およびM2で達成された性能を超えていると指摘している旨。Apple M3、Apple M3 ProおよびApple M3 Maxには、Dynamic Cachingと呼ばれるグラフィック・プロセッシング・ユニット(GPU)のブーストが搭載されており、アップルによれば効率性が向上している旨。


【Western Digital】

Kioxiaとの合併案が不調に終わったWestern Digitalが、フラッシュメモリー事業部門を分離していく動きが、以下あらわされている。SanDisk買収以前に戻る感じ方である。

◇Western Digital to Break up, Separating Hard-Drive Business From Flash-Memory Unit―Western Digital to spin off flash-memory business (10月30日付け The Wall Street Journal)
→ウエスタンデジタルは、キオクシアとの合併案が不調に終わった数日後、同社をハードディスクドライブ事業とフラッシュメモリー事業に分割する計画を発表した旨。この動きは、ウエスタンデジタルを2016年のサンディスク買収以前の中核事業に戻すもの。

◇Western Digital Announces Plan to Split HDD and Flash Divisions Into Two Companies―In the wake of a failed Kioxia merger, WD has decided to break up with itself. (10月30日付け Tom's Hardware)

◇Western Digital investors cheered its plan to spin-off its flash unit (10月30日付け SILICON VALLEY BUSINESS JOURNAL)
→ハードディスク・メーカーはこのほど、サンディスクを買収して得たフラッシュ部門を分社化する計画。

◇米WD、メモリー事業分離;キオクシアとの「交渉終了」 (10月30日付け 日経 電子版 22:12)
→米半導体大手のウエスタンデジタル(WD)は30日、データ記憶に使うNAND型フラッシュメモリー事業を分離すると発表した旨。WDは半導体メモリー事業と旧東芝メモリのキオクシアホールディングスとの統合について10月中の合意を目指して交渉を進めてきた旨。韓国SKハイニックスの同意が得られず最終局面で頓挫していたことから、メモリー事業の分離を決めた旨。

◇キオクシア、成長戦略描き直し;WDとの統合交渉白紙 (10月30日付け 日刊工業)
→半導体メモリー大手のキオクシアホールディングス(旧東芝メモリ)と同業で協業先の米ウエスタンデジタル(WD)との経営統合交渉が打ち切られた旨。キオクシアは今後、単独での経営の立て直しに挑む旨。東芝から分離した際に描いていた新規株式公開(IPO)も視野に入れる旨。だが、市況の悪化が続く中、新たな成長路線を敷き直し、巨額の投資を続けるのは容易ではない旨。

◇米WD、半導体メモリー事業分離;来年下期にも;キオクシアとの統合頓挫で (10月31日付け 日経)


【中国業界関連】

米国の規制下にあるYangtze Memory Technologies(YMTC)が、232層の3D QLC NANDフラッシュメモリを発売、と一種驚きの内容である。

◇China's Blacklisted YMTC Ships World-Leading 232-Layer 3D QLC NAND―Sources: YMTC's 3D QLC NAND memory touts 232 layers, highest density ―TechInsights finds bleeding-edge 3D QLC NAND-based SSD. (10月31日付け Tom's Hardware)
→中国のYangtze Memory Technologies(YMTC)が、232層のアクティブ層を持つ3D QLC NANDメモリの出荷を静かに開始したことが、TechInsightsの調べで分かった旨。この新しい3D NANDメモリーは、業界最高の記録密度とXtacking 3.0アーキテクチャによる極めて高い性能を誇っている旨。

◇China’s YMTC makes the world’s most advanced 3D NAND memory chip (10月31日付け Techwire Asia)
→*TechInsightsは、世界で最も先進的な3D NANDメモリー半導体をコンシューマーデバイスで発見、中国のYMTCの躍進は驚き。
 *YMTCの232層QLC 3D NANDダイは、2023年7月に発売されたZhiTai Ti600 1TB SSDで発見された旨。
 *米中半導体戦争は引き続き中国有利に傾いている旨。

中国の国策ファンドが、新しい中国DRAMメーカーに大型融資、入り込む感じ方があるが、進展に注目である。

◇Chinese Memory Maker Gets $2 Billion Govt Fund Infusion―DRAM maker Changxin Xinqiao awarded $2B from Chinese fund ―Changxin Xinqiao has received funding from the China Integrated Circuit Industry Investment Fund (11月1日付け Tom's Hardware)
→ロイター通信によると、中国集積回路産業投資基金(ビッグ・ファンド)が、中国の新しいDRAMメーカーである長信新橋(Changxin Xinqiao)に約145億6000万円(約$1.99 billion)を投資した旨。長信新橋の経営者は趙倫(Zhao Lun)氏で、同氏は長信メモリーテクノロジーズ(CXMT)の総経理でもあり、従って、両社は提携している可能性がある旨。

◇中国国策メモリー8000億円調達;半導体自給率向上狙う (11月2日付け 日経)
→中国政府が主導する総投資額1500億元(約3兆円)の半導体工場の建設計画が前進する旨。このほど工場の運営会社が国策ファンドなどから約8000億円調達した旨。増資で財務体質を強固にし、工場を建設する旨。米国が中国への半導体規制を強める中、中国政府は自国で供給網の構築を急ぐ旨。
中国の調査会社によると安徽省合肥市を本拠地とする半導体会社、長?新橋存儲技術(長?新橋)が390億元(約8000億円)を調達したことが明らかになった旨。主な出資者は中国の半導体関連の国策ファンドである国家集成電路産業投資基金(大基金)で、長?新橋への出資比率は33%となる旨。


【LLM関連】

非常に巨大なデータセットとディープラーニング(DL)技術を用いて構築された言語モデル、大規模言語モデル(Large Language Models、LLM)を巡る動きが、NvidiaのNeMoはじめ相次いでいる。当面の進展に引き続き注目である。

◇Nvidia Trains LLM on Chip Design (10月30日付け EE Times)
→Nvidiaは、半導体設計に関する一般的な質問への回答、バグドキュメントの要約、およびEDAツール用スクリプトの作成など、半導体設計に関連するタスクで半導体設計者を支援するために、NeMo大規模言語モデル(LLM)を内部データで訓練した旨。
Nvidiaのチーフ・サイエンティストであるBill Dally(ビル・ダリー)氏は、ChipNeMoと名付けられたこのLLMを、本日開催されたInternational Conference on Computer-Aided Designの基調講演で発表した旨。

◇Nvidia’s NeMo taps generative AI in designing semiconductor chips―Nvidia demos generative AI assist in chip design (10月30日付け VentureBeat)
→Nvidiaのエンジニアたちが、新たに発表された論文の中で、内部データを使用して半導体設計の生産性を向上させるために生成AIをどのように使用できるかを検討した旨。該チームは、ソフトウェアを最適化することで人間の設計者を支援するために、ChipNeMoと呼ばれるカスタム大規模言語モデル(LLM)を開発した旨。

◇Unlocking The Power Of Edge Computing With Large Language Models―Viewpoint: LLMs have a place on edge devices ―Training and inferencing at the edge enables AI applications with low latency, enhanced privacy, and the ability to function offline. (10月30日付け Semiconductor Engineering)
→Expedera社のvice president of marketing、Paul Karazuba氏は、エッジデバイスに大規模な言語モデル(LLMs)を展開することで、スケーラビリティ、データセキュリティおよび低遅延といった利点が得られると書いている旨。カラズバ氏は、エネルギー効率、互換性およびリソースの制約など、課題が存在することは認めている旨。

◇Chinese AI start-up Baichuan claims to beat Anthropic, OpenAI with model that can process 350,000 Chinese characters (10月31日付け South China Morning Post)
→*北京に本社を置くBaichuanによると、大規模言語モデル(LLM)の最新バージョンは、海外の競合他社よりも大きな「コンテキストウィンドウ」を備えている旨。
 *同社はまた、回答の質や長文の理解度において、同社のモデルはAnthropic社のClaude 2を凌ぐとしている旨。

◇Neuchips Demos Recommendation Accelerator for LLM Inference―The Taiwanese AI accelerator maker has demo’d Llama2-7B inference at 240 tokens/second on a four-chip PCIe card. (11月2日付け EE Times)
→台湾のAIアクセラレーターメーカーであるNeuchipsは、もともとレコメンデーションワークロード向けに設計されたAIアクセラレーター半導体でLLM推論をターゲットにしていると、同社の新CEOであるKen Lau氏がEE Timesに語った旨。前CEOのYounLong Lin氏は現在、同社の会長。

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