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半導体市場、落ち込みの中の光明事例:Google開発者会議はじめ各社AI関連

昨年後半からのPC&スマホはじめ電子機器および半導体市場の落ち込みは、世界の各地域市場および各社の業績で依然見られているが、その中でも盛り返しが見られる、あるいはそれに向かう動きがサーバー出荷、高性能メモリ、そして中国国内の需要など期待込みながらあらわされ、今後に注目するところである。AI半導体の視点で注目しているAI関連の動きでは、アルファベットの開発者会議、Google I/Oが開催され、最新の取り組みが披露される一方、IBMが新AI「ワトソンX」を発表するなど各社の動向に引き続き目が離せない状況がある。加えて、日韓首脳会談がこのほど行われ、半導体サプライチェーンについての相互協力そして相互投資が謳われている。我が国のプレゼンス向上に向けた一端を担える今後の対応に期待するところである。

≪回復に向け新技術&新製品のつばぜり合い≫

電子機器および半導体市場の厳しい現況について、関連する内容を取り出している。

まずは、インドのスマートフォン市場から。

◇India smartphone shipment declined 16% in 1Q23, Xiaomi saw more than 40% fall (5月5日付け DIGITIMES)
→消費者需要の低迷と在庫の高止まりが続く中、インドではスマートフォンの出荷台数が過去4年間で最低となり、XiaomiとRealmeはこの四半期で2桁の落ち込みを記録した旨。

Apple社のiPhoneが支える状況である。

◇Apple’s Q2 2023 iPhone, Mac, And iPad Sales Are Evidence Why The Upcoming M3 SoC Has Been Delayed Instead Of The A17 Bionic‐Apple iPhones boost Q2 sales as M3 faces delays (5月6日付け Wccftech)
→第二四半期のAppleは、堅調なiPhoneの販売により、iPadとMacの販売減少のバランスをとることができたが、半導体の遅れは続いている旨。M3はTSMCの3ナノメートル半導体生産のために遅れているため、当面はA17 Bionic半導体に注力し続けることになる旨。

メモリ関連の厳しい状況&見方である。

◇Western Digital Corp sees weak fourth quarter on slower recovery for memory chips (5月8日付け Reuters)
→Western Digitalが、メモリー半導体の回復が遅れ、厳しい第四四半期を予想の旨。

◇More DDR4 Memory Price Reductions Incoming‐Report: DDR4 oversupply once again leading to price cuts ‐Oversupply issues continue to plague the industry (5月9日付け Tom's Hardware)
→TrendForceによると、DRAMとNANDフラッシュの価格は、現在すでに業界内で大きな値引きと生産削減が行われているにもかかわらず、今四半期にさらに値下げが行われている旨。全体として、業界では2023年第二四半期からさらに18%の割引が予想されており、これによりPCユーザーにとってはDDR4の価格がさらに安くなることが予想される旨。

米国の制裁を受ける中国の半導体市場である。

◇Tech war: China chip imports shrink as trade ties with Japan, South Korea and Taiwan weaken in the face of US restrictions (5月10日付け South China Morning Post)
→*世界の半導体市場は、昨年後半から品不足が過剰供給に転じ、中国は米国の制裁で圧迫され続けている旨。
 *中国は1月から4月にかけて、集積回路(IC)を1468億個輸入し、前年同期比21.1%減少した旨。

その中国では、脱米国化が以下の通り謳われている。

◇‘De-Americanize’: How China Is Remaking Its Chip Business‐China banks on chip independence amid US trade barriers ‐Seven months after Washington unveiled tough curbs, Chinese companies are doubling down on homegrown supply chains and drawing billions in cash from Beijing and investors. (5月11日付け The New York Times)
→米国が貿易障壁を強化する中、中国は半導体産業を見直し、国内サプライチェーンを構築しようとしている旨。「中国では現在、多くの分野でサプライチェーンの脱米国化が目標となっている。」と戦略会社、Albright Stonebridge Groupの中国担当上級副社長、Paul Triolo氏。

一方の米国、半導体輸入がむしろ増加している。

◇US Chip Imports Jump 13% as Supply Lines Shift‐US imports of semiconductors up 13% in Q1 to $15.4B (5月11日付け BNN Bloomberg (Canada))
→米国の半導体輸入額は今年1〜3月で前年同期比13%増加しており、自国の半導体需要を満たすにはまだまだ長い道のりがあることを示している旨。

中国・SMICの第一四半期の業績が次の通りである。

◇China’s top foundry SMIC says profits halved in first quarter, with ‘no sign’ of a full market recovery yet (5月11日付け South China Morning Post)
→*SMICの3月四半期の利益は前年同期比53.1%減の$267 million、売上高は同20.6%減となった旨。
 *上海に拠点を置く同社は、拠点の拡張を継続するものの、通期では引き続き減収を見込んでいる旨。

以上厳しい現況関連を見てきたが、何か明るい盛り返しの兆しはないかということで、取り出してみたのが以下の内容である。

僅かでも持ち直し見込みのサーバー出荷である。

◇Global server shipments to rebound slightly in 2Q23 after a double-digit decline in 1Q23, says DIGITIMES Research (5月8日付け DIGITIMES Research)
→第一四半期の世界のサーバー出荷台数は、DIGITIMES Researchの当初の予想を下回り、前四半期比で約14%減少し、400万台を割り込んだ旨。前年同期の比較ベースが低いこと、そしてブランドベンダーが新しいCPUプラットフォームを搭載したサーバーの大量出荷を開始する見込みであることから、DIGITIMES Researchの最新のサーバーレポート数値によると、2023年の第二四半期のサーバー出荷全体は1桁台前半の前四半期比成長が見込まれる旨。

底打ち脱却気配のメモリ半導体市場である。

◇Memory market emerging from slump (5月9日付け DIGITIMES)
→メモリモジュールメーカーの関係者によると、メモリ半導体市場は、サーバーおよびPCアプリケーションが回復を牽引し、低迷から脱却しつつある旨。
第一四半期は低調だったものの、第二四半期は川上企業から徐々に改善するとメモリサプライチェーンは予想している旨。

TSMCは、低迷の中、4月の売上高が3月を上回ったとしている。世界半導体販売高も、3月が2月を僅かながら上回ったと、前回示したばかりであるが、今後の推移に注目である。

◇TSMC sales stop 2-month falling streak in April (5月10日付け Focus Taiwan)
→世界最大の半導体受託製造会社、台湾積体電路製造(TSMC)が水曜10日、4月の売上高が2ヶ月の連続減少を止めたと発表、アナリストは、3月の比較対象が比較的低かったことが回復の要因であると述べている旨。
TSMCは声明の中で、4月の連結売上高がNT$147.9 billion($4.82 billion)で、17カ月ぶりの低水準となるNT$145.41 billionに落ち込んで前月から10.9%減、また世界の半導体業界の在庫調整の継続で前年同期から15.4%減だった3月から1.7%増、と述べている旨。
しかしながら、TSMCの4月の売上高は、前年同月比14.3%減であった旨。

SamsungおよびSK Hynixは、HBM3やDDR5など高性能メモリ製品に、低迷脱却の期待であるが、この後の人工知能(AI)応用にかかるところである。

◇Samsung, Hynix bet on high-value memory chips to escape slump‐SK Hynix, Samsung tap into demand for high-end chips (5月10日付け Pulse by Maeil Business Newspaper (South Korea))
→SK HynixとSamsung Electronicsは、HBM3やDDR5などの高性能メモリ製品の継続的な需要に対応し、一般的な半導体市場の低迷の影響を受けた他の製品の生産を削減している旨。人工知能のアプリケーションは、HBMとDDRの需要を牽引している旨。

厳しい業績の現況を上に示した中国・SMICであるが、中国国内の受注増が予想されている。自立完結を目指す中国の動きにも注目するところである。

◇China's SMIC foresees better Q2 on rush of domestic chip orders‐SMIC forecasts stronger Q2 with domestic chip boom ‐Supply chain reshuffles benefiting chipmaker for now, says co-CEO (5月12日付け Nikkei Asian Review (Japan))
→中国のSMIC(半導体製造国際公司)は、国内の半導体受注が第二四半期の収益を押し上げると予想している旨。共同CEOのZhao Haijun氏は、サプライチェーンの変化に伴う注文の殺到により、第二四半期の収益は最大で7%増加すると推定している旨。

次に、AI関連の各社の取り組み&動きであるが、以下の通り、活況が続いている。

MicrosoftとAMDのAI半導体の協力は、前回も示している。

◇Microsoft, AMD join forces on AI chips: sources‐ALTERNATIVE TO NVIDIA: Microsoft is said to offer engineering resources to the chipmaker, which called artificial intelligence its ‘No. 1 strategic priority’ (5月6日付け Taipei Times)
→Microsoft社は、Advanced Micro Devices Inc(AMD)の人工知能(AI)プロセッサへの進出について、AMDと協働していると、事情に詳しい関係者が語った旨。

Nvidiaは、米国規制にかからない対応で、中国向けのAI半導体に取り組んでいる模様である。

◇China’s AI industry barely slowed by US chip export rules (5月7日付け Taipei Times)
→Nvidiaは米国の規制を満たすより遅い半導体の亜種を作り、中国のAI企業はハンディキャップを比較的小さく管理できると見ているよう。

アルファベットの開発者会議、Google I/Oが、このほど開催され、関連する内容が以下の通りである。優位を目指す多彩な取り組みが繰り広げられている。

◇Alphabet to unveil A.I. updates at Google I/O, showing off creative writing and coding capabilities (5月8日付け CNBC)
→*Googleの人工知能(AI)への多額の投資は、今週開催される年次開発者会議で披露される予定。
 *同社は、新しい汎用大型言語モデル、PaLM 2を発表する予定。
 *また、Googleは、"生成的な経験 "を持つBardとSearchの進化を発表する予定。

◇Google has unveiled its revamped search engine built on AI (5月10日付け SILICON VALLEY BUSINESS JOURNAL)
→水曜10日に開催されたアルファベットの開発者会議、Google I/Oで、同社CEOのSundar Pichai氏が人工知能(AI)に関する同社の考え方を説明、そして同社幹部が、グーグルが最新のAI進化を検索エンジンやその他のサービスに統合する計画を披露した旨。

◇Googleの生成AI、日本語含め40言語で;Gmailと連携も (5月11日付け 日経 電子版 05:26)
→米グーグルは10日、文章や画像を自動で作る生成人工知能(AI)を日本語を含む40超の言語で提供すると発表、電子メールサービスのGメールなどとの連携も強める旨。この分野では米新興企業のオープンAIが先行したが、長年にわたって研究開発を進めてきたグーグルが本腰を入れることで普及が加速しそう。

◇Google、AI生成画像に「透かし」;安全対策を発表 (5月11日付け 日経 電子版 10:15)
→米グーグルは10日、生成人工知能(AI)が作った画像などの適切な使用を促す安全対策を発表した旨。「電子透かし」として情報を埋め込むなどして、本物の写真とAIが生成した画像を区別しやすくする旨。誤情報が拡散するリスクなどをめぐり懸念が強まっていることに対応する旨。

◇Google、生成AI世界展開;Microsoft先行に危機感 (5月11日付け 日経 電子版 15:00)
→文書や画像を自動で作る生成人工知能(AI)をめぐる米テクノロジー大手の間の競争が激しくなってきた旨。グーグルは10日、生成AIの新たな基盤技術を公開し、日本語など約40の言語に対応させると発表、この分野ではマイクロソフトが先行し、グーグルは危機感を募らせているとの見方が増えていた旨。

◇Google takes aim at Samsung with first foldable phone‐Samsung confident of keeping dominant position, but Apple's foldable may spell industry upheaval (5月11日付け The Korea Herald)
→米ハイテク大手、Googleが、水曜10日にカリフォルニアで開催された年次I/O developer conferenceで、世界市場におけるサムスン電子の支配に挑戦することを目指し、同社初の折りたたみ式スマートフォン、Pixel Foldを発表した旨。

◇Google、あえてハードとソフト二刀流;AI競争優位狙う (5月12日付け 日経 電子版 00:46)
→米グーグルが10日に開いた開発者会議では、折り畳みスマートフォンやタブレットの発表が相次いだ旨。人工知能(AI)で検索やアプリの使い勝手が大きく変わる中、幅広いハードを自前でそろえる旨。投入は周回遅れ感も強いが、AI時代の多様なサービスに対応し、競合の米マイクロソフトやアップルに対抗する狙いがある旨。

いろいろ対抗する動きが錯綜しているが、Nvidia対抗に向けたSamsungのAI半導体である。

◇Is it wishful thinking for Samsung to outpace Nvidia in AI server processors?(5月8日付け DIGITIMES)
→初めてのこと、Samsung Electronicsは最近、自社のAIサーバープロセッサがNvidiaを上回ることを露骨に公表したが、業界観測筋は、主要顧客を敵とみなすことは、Samsungのファウンドリ事業にとって致命傷になりかねないとしている旨。

そのNvidiaの関連内容である。

◇Nvidiaが先行投資する6大分野;AIの次の成長の種は (5月8日付け 日経 電子版 02:00)
→浮き沈みの激しい半導体業界では新たな成長の種をいち早く見つけることが、勝ち残りの鍵となる旨。米エヌビディアは最近では暗号資産(仮想通貨)のマイニング(採掘)の需要をつかみ、今は生成AI(人工知能)の波に乗ろうとしている旨。では同社は次に何が来るとにらんでいるのだろうか。同社が投資・提携する企業をCBインサイツが分析すると、AIを含めて6つの分野が浮かび上がった旨。
 ・AI&機械学習(ML)
 ・自動運転
 ・クラウド&データインフラ
 ・デジタルツイン(仮想空間に現実のモノや空間を再現する技術)
 ・ヘルスケア
 ・量子コンピューティング&ハイパフォーマンスコンピューティング(HPC)

◇Nvidia places additional orders requiring TSMC CoWoS‐Sources: Nvidia orders more AI chips with TSMC's CoWoS (5月11日付け DIGITIMES)
→Nvidiaは、Taiwan Semiconductor Manufacturing Co.(TSMC)から、人工知能(AI)半導体用に10,000枚追加でチップ・オン・ウェハ・オン・サブストレート(CoWoS)のサポートを受けていると伝えられている旨。

Metaより、生成型AI搭載の広告ツールが披露されている。

◇Meta is testing out some new generative AI-powered ad tools (5月11日付け SILICON VALLEY BUSINESS JOURNAL)
→Metaが木曜11日、CEOのMark Zuckerberg氏がこの技術に力を入れると述べてから3ヶ月後に、新しい生成型AI搭載の広告ツールをいくつか披露した旨。
AI Sandboxと名付けられたMetaの新しいツール群は、広告の背景画像やテキストを自動生成し、特定のスポットの広告サイズを調整することができる旨。

話題のChatGPT関連の動きから。

◇ChatGPT creator OpenAI is asking startups to remove 'GPT' from their names (5月10日付け SILICON VALLEY BUSINESS JOURNAL)
→ChatGPTの開発元であるOpenAIが、社名に「GPT」というフレーズを使用している新興企業に対し、GPTを削除するか、「強制措置」に直面するよう求める文書を送っている旨。
インドに拠点を置くSiteGPTとイタリアに拠点を置くRecapioGPTの少なくとも2つの新興企業は、このような手紙を受け取ったことをTwitterで公言し、会社名からGPTを削除することで対応する予定であると述べている旨。両社ともOpenAIのソフトウェアを使ってビジネスを展開している旨。

◇伊藤忠商事、全社員にChatGPT 生活サービスを創出‐【イブニングスクープ】 (5月11日付け 日経 電子版 18:00)
→伊藤忠商事は6月をメドに社内業務で生成人工知能(AI)「ChatGPT(チャットGPT)」を導入する旨。専門組織を立ち上げ、情報漏洩の防止や正答率を高めるための知見を蓄積。最適な商品のお薦め機能やサービス内容の自動照会など消費者向け事業への活用を検討する旨。生成AIの活用が広がるなか、いち早くビジネスに落とし込み需要を取り込む旨。

Googleに対抗、そしてChatGPTを意識したIBMの取り組みが以下の通りである。

◇米IBM、新AI「ワトソンX」発表;企業ニーズに対応 (5月10日付け 日経 電子版 04:52)
→米IBMは9日、法人顧客向けの人工知能(AI)「ワトソンX」を発表、処理能力の精度やデータの管理能力を高め、企業が安心して使えるように工夫した旨。米オープンAIが開発した対話型AI「ChatGPT」の登場を受けて、企業の間で高まっているAI導入ニーズに対応する旨。

◇Google, IBM unveil new AI plans as competitive tension increases (5月11日付け FierceElectronics)
→GoogleはNvidia H100 GPUを搭載したAIスーパーコンピュータ「A3」を発表し、IBMはWatsonを復活させ、独自の新しいAI計画を盛り込んだ旨。
Google、Microsoft、AWSといったクラウドジャイアントの間では、AIバトルロイヤルが形成されつつあり、そして、AIへの賭けを増やしているIBMも忘れてはならない旨。今週、GoogleとIBMが主催する別々のカンファレンスで発表された内容は、これらの大企業がこの戦いに向けてシステムや製品の兵器をどれほど強化しているかを示している旨。

日米両政府とも、AI関連についての動きが、以下の通りである。

◇岸田首相、AI戦略会議の設置表明;6月までに中間集約‐活用やリスク議論 (5月9日付け 日経 電子版 23:30)
→岸田文雄首相は9日、人工知能(AI)を巡る課題について政府関係者と有識者らで議論する「AI戦略会議」を立ち上げると表明、戦略会議は6月までに「中間とりまとめ」を策定し、経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)に反映する予定。

◇「AIのポテンシャル最大化を」;岸田首相、有識者会議で (5月11日付け 日経 電子版 11:18)
→政府は11日、人工知能(AI)の活用に向けた政府方針について有識者と議論する「AI戦略会議」の初会合を首相官邸で開いた旨。岸田文雄首相は「ポテンシャルの最大化とリスク対応に向け検討を早急に進めてほしい」と呼びかけた旨。

◇OpenAI CEO Sam Altman to testify at Senate hearing on artificial intelligence (5月10日付け SILICON VALLEY BUSINESS JOURNAL)
→OpenAI社のCEO、Sam Altman氏が、来週、米国上院の委員会で人工知能(AI)について証言する予定の旨。
上院院内総務のCharles E. Schumer(D-N.Y.)氏は、技術革新を抑制することなく、潜在的なAIリスクに対処する法案を作成することが目標であると述べている旨。

市況浮揚と合わせ、AI関連には引き続きの注目である。


コロナ「5類」移行とはいえ、用心怠りなくの現状と言えるかと思うが、コロナ前に戻る舵取りがそれぞれに行われている中での世界の概況について、以下日々の政治経済の動きの記事からの抽出であり、発信日で示している。

□5月7日(日)

日韓首脳会談が、今度はソウルで行われ、新時代の切り開きが謳われている。

◇日韓、関係改善が軌道に;岸田首相「安保協力を強化」‐尹大統領は「歴史より未来の協力」 (日経 電子版 23:58)
→岸田文雄首相は7日、ソウルの韓国大統領府で尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領と1時間45分ほど会談、日韓関係について「改善の動きが軌道に乗った」との認識で一致した旨。核・ミサイルの開発を加速する北朝鮮に対抗するため、安全保障協力を深める方針も確認した旨。

□5月8日(月)

我が国でコロナ「5類」移行となり、経済押し上げへの期待である。一方、警戒感も伴っている。

◇「アフターコロナ」高まる期待;経済押し上げ4.2兆円 (日経 電子版 05:00)
→・「5類」移行で社会・経済活動が活性化
 ・実質GDPを0.75%押し上げるとの試算も
 ・回復持続には再流行に備えた医療確保がカギ
新型コロナウイルスの感染症法上の位置づけが8日に「5類」に移行した旨。3年にわたって続いた多方面の制約が解除され、社会は本格的な「アフターコロナ」を迎える旨。特に需要が落ち込んだ飲食、旅行業で恩恵が大きい旨。

◇「コロナと共生」本格化;5類移行で戻る日常、続く警戒 (日経 電子版 10:34)
→新型コロナウイルスの感染症法上の位置づけが8日、季節性インフルエンザと同じ「5類」に移行した旨。政府が求めてきた待機要請などの感染対策は個人や企業の自主判断に変わった旨。経済や社会がコロナ前の日常風景に戻ろうとする一方で、「コロナとの共生」を警戒する声も残る旨。

◇岸田首相「尹氏と日韓新時代切り開く」;人的交流を促進 (日経 電子版 13:12)
→岸田文雄首相は8日午前、韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領との7日の首脳会談を踏まえ「信頼関係をさらに強化して、尹氏と力を合わせて新しい時代を切り開きたい」と述べた旨。訪問先のソウルで記者団に語った旨。


□5月9日(火)

債務上限問題不透明、景況感悪化などから、5日間通して下げた今週の米国株式市場である。

◇NYダウ反落、55ドル安;銀行の融資厳格化が重荷に (日経 電子版 05:55)
→8日の米株式市場でダウ工業株30種平均は反落し、前週末比55ドル69セント(0.2%)安の3万3618ドル69セントで終えた旨。米連邦準備理事会(FRB)の調査で米銀行の貸し出し態度が厳しくなっていることが分かり、企業活動の悪化につながるとの懸念が出た旨。半面、経営不安に揺れる地域銀行株への買い戻しは米株相場を支えた旨。

□5月10日(水)

◇NYダウ56ドル安;CPI控え様子見、債務上限問題は重荷 (日経 電子版 05:40)
→9日の米株式市場でダウ工業株30種平均は続落し、前日比56ドル88セント(0.2%)安の3万3561ドル81セントで終えた旨。10日に4月の米消費者物価指数(CPI)の発表を控え、投資家の様子見姿勢が強かった旨。米地域銀行株の不安定な値動きに加え、米政府の債務上限問題などへの警戒は相場の重荷だった旨。

米国連邦政府債務の上限引き上げの問題が、合意に至らない現時点である。

◇米債務上限問題、進展なく;大統領・下院議長12日再協議 (日経 電子版 06:47)
→バイデン米大統領は9日、連邦政府債務の上限引き上げを巡り、下院で多数派を握る野党・共和党のマッカーシー下院議長とホワイトハウスで会談した旨。債務不履行(デフォルト)回避に向けた引き上げの合意には至らなかった旨。デフォルトの可能性がある6月1日まで残り3週間となり、市場では警戒感が高まっている旨。

広島G7を来週に控えて、岸田首相の臨むスタンスである。

◇岸田首相「中国に責任求め対話」;台湾の安定へG7結束 (日経 電子版 20:41)
→岸田文雄首相は日本経済新聞とのインタビューで「中国に責任ある行動を求める。
対話を通じて建設的で安定的な関係を構築する」と語った旨。台湾海峡の平和と安定に向け、主要7カ国(G7)などと認識を共有しながら外交努力を続けると強調した旨。

□5月11日(木)

◇NYダウ3日続落、30ドル安;債務上限問題に不透明感 (日経 電子版 07:21)
→10日の米株式市場でダウ工業株30種平均は3日続落し、前日比30ドル48セント(0.1%)安の3万3531ドル33セントで終えた旨。米債務上限問題を巡る不透明感が根強く、株式相場の重荷となった旨。米連邦準備理事会(FRB)の金融引き締め長期化への警戒もあり、ダウ平均の下げ幅は300ドルを超える場面があった旨。

□5月12日(金)

◇NYダウ続落221ドル安;地銀経営不安やディズニー株安で (日経 電子版 05:48)
→11日の米株式市場でダウ工業株30種平均は4日続落し、前日比221ドル82セント(0.7%)安の3万3309ドル51セントで終えた旨。米地域銀行の経営不安が改めて意識されたのが相場を押し下げた旨。前日に四半期決算を発表した映画・娯楽のウォルト・ディズニーが大幅に下落したのも投資家心理を冷やし、ダウ平均の下げ幅は一時400ドルを超えた旨。

□5月13日(土)

◇NYダウ小幅続落、8ドル安;米消費者の景況感が悪化 (日経 電子版 06:09)
→12日の米株式市場でダウ工業株30種平均は小幅に5日続落し、前日比8ドル89セント(0.02%)安の3万3300ドル62セントで終えた旨。米消費者の景況感悪化を示す指標を受け、米景気の先行き懸念から売りが優勢になった旨。米連邦政府の債務上限を巡る不透明感も株式の買い手控えにつながった旨。ただ、ダウ平均は前日までの4日間で360ドルあまり下落した後で主力銘柄の一角には押し目買いも入りやすく、取引終了にかけて下げ渋った旨。


≪市場実態PickUp≫

【韓国関連】

上記にもあるが、日韓首脳会談が行われ、半導体の協力関連が以下の通りあらわされている。

◇日韓、米同盟戦略に呼応;北朝鮮ミサイル対応で連携――半導体供給網で協力;宇宙・AIなど研究推進 (5月8日付け 日経)
→韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領は7日の共同記者会見で「韓国の半導体メーカーと日本の優秀な素材・装置メーカーがともに半導体サプライチェーン(供給網)を構築できるよう協力する」と語った旨。経済協力の機運も高まりつつある旨。

◇日韓半導体「双方向の投資が重要」;西村経産相 (5月9日付け 日経 電子版 11:42)
→西村康稔経済産業相は9日の閣議後の記者会見で、日韓の半導体供給網づくりに関し「双方向で投資が行われるなど両国に互いにメリットがあることが重要だ」と述べた旨。経済安全保障上の重要課題である半導体の安定供給へ連携を深める必要性を指摘した旨。

Samsungより、我が国における連携強化の動きである。

◇サムスン、日本に半導体開発拠点;素材・装置企業と研究 (5月14日付け 日経 電子版 00:23)
→韓国サムスン電子が日本に半導体開発拠点を新設する旨。300億円超を投じ、横浜市内に先端半導体デバイスの試作ラインを整備する旨。日本政府の補助金も活用する方向で調整しており、日本の素材や製造装置メーカーとの共同研究を進める旨。韓国トップ企業の拠点進出で日韓半導体産業の連携強化に一段と弾みがつく旨。

韓国の向こう10年の半導体優位に向けた計画が発表されている。

◇Korea unveils 10-year blueprint for chip supremacy‐S. Korea sets sights on chip dominance with 10-year plan ‐Samsung, SK join public-private consultative body to spur innovation on advanced chips (5月9日付け The Korea Herald (Seoul))
→韓国は、研究開発(R&D)と投資を通じて、今後10年間で先進的なメモリー半導体、ロジック半導体および先端実装を開発する計画を発表した旨。SamsungとSK Hynixは、政府と民間分野の協力を促進するため、科学省が主導して新たに設立された協議グループの一員となる旨。


【TSMC関連】

電気自動車(EV)分野でのプレゼンス強化を図るTSMCである。

◇TSMC growing presence in EV sector (5月5日付け DIGITIMES)
→業界関係者によると、TSMCはエコシステム・パートナーの支援を受けながら、急速に拡大する電気自動車(EV)市場での地位強化に努めている旨。

昨年のTSMC販売高について、メモリを除く販売高世界シェアが30%に至っているとのこと。

◇TSMC accounts for 30% of global IC industry sales, excluding memory chips‐TSMC grew IC industry sales market share in 2022 (5月6日付け Focus Taiwan)
→6月6日のTSMCの年次総会に先立って同社株主にリリースされた報告。TSMCは、メモリ半導体を除く世界のIC業界の総売上高の30%を2022年に獲得し、2021年の26%から増加したと旨。先進技術(7ナノメートルプロセス以降)に起因する売上げは、2021年と比較して50%から53%に増加した旨。
TSMCの2022年連結販売高はNT$2.26 trillion($73.86 billion)、前年比42.6%増、13年連続の増加。

三次元実装の新たな取り組みが、次の通りである。

◇3D chip stacking tech competition intensifying (5月9日付け DIGITIMES)
→TSMCはこのほど、3D半導体stackingをコスト効率よく実現するSoIC(System on Integrated Chips)ソリューションのマイクロバンプバージョン、SoIC-Pを発表、TSMCは、SoIC-Pが現在SoIC-Xとして知られている既存のハイパフォーマンス・コンピューティング(HPC)アプリケーション向けのバンプレス・ソリューションを補完するものであり、としている旨。
半導体パッケージングおよびテスト分野の業界関係者によると、SoIC-Pはインテルの3D FoverosへのTSMCの対応である旨。


【Samsung対TSMC】

SamsungのTSMCを意識した5カ年計画、そして第2世代3-nmプロセス開発について、以下あらわされている。

◇Samsung CEO hints at supercomputers on the way (5月7日付け The Korea Herald)
→Samsung Electronicsの半導体事業を統括する共同CEO、Kyung Kye-hyun氏は、メモリー半導体を中心としたスーパーコンピューターを開発し、台湾のファウンドリーライバル、TSMCに追いつくための同社の5カ年計画を発表した旨。

◇Samsung’s second-generation 3nm chips 22% faster than 4nm chips‐Samsung to top 4nm chip speed with its next-gen 3nm (5月9日付け Pulse by Maeil Business Newspaper (South Korea))
→Samsung Electronicsは、2024年にリリース予定の第2世代3ナノメートルプロセスを、現在の4nmプロセスの速度より22%高速化すると謳っている旨。チップサイズは第1世代より21%減少し、効率は4nmの性能より34%向上する、とSamsungは述べている旨。

対して、最先端は自らと、Samsungの計画を一蹴するTSMCである。

◇TSMC says new chips to be world’s most advanced‐‘NO DOUBT’: The company’s remarks followed a report that Samsung was planning to overtake TSMC as the world’s No. 1 chipmaker with a technology of its own (5月12日付け Taipei Times)
→Taiwan Semiconductor Manufacturing Co(TSMC, 台積電)が昨日、同社の2ナノメートルプロセス技術が2025年に導入されれば、世界で最も進んだファウンドリ技術になると自信を示し、同社の技術リーダーとしての地位を追い越そうとするSamsung Electronics Coの計画を一蹴した旨。


【Infineon関連】

ドイツのInfineonについて、SiC連携はじめ以下の取り組みが続いて見られている。

◇NuCurrent, Infineon Cozy Up to Expand NFC Use Cases‐Preferred partnership intends to bolster near-field communication. (5月9日付け EE Times)
→NuCurrentとInfineonの好ましいパートナーシップは、携帯電話による非接触型ワイヤレス・スマートロックの実現など、近距離無線通信(NFC)の使用例を増やすことを目的としている、とNuCurrentの事業開発担当上級副社長、Tim Tumilty氏は述べている旨。

◇Infineon Inks SiC Supply Agreement with SICC (5月9日付け EE Times India)
→Infineon Technologies AGは、同社の炭化ケイ素(SiC)材料サプライヤー基盤を多様化し、さらに競争力のあるSiCソースを確保するため、中国のSiCサプライヤー、SICCと契約を締結した旨。

◇Infineon to hire more in Korea as power chip demand set to surge‐Report: Infineon wants to grow its S. Korea workforce 1.5x by 2030 (5月11日付け Pulse by Maeil Business Newspaper (South Korea))
→Infineon Technologies Koreaは、2030年までに韓国で1.5倍の従業員を採用し、キャリア初心者を2倍に増やし、より多くの中堅の経験者を採用する予定の旨。

◇Infineon and Foxconn hook up on SiC‐Infineon partners with Foxconn for EV SiC development‐Infineon and Foxconn aim to establish a long-term partnership in EVs with an MoU focussing on SiC development. (5月12日付け Electronics Weekly (UK))
→InfineonとFoxconnが、電気自動車(EV)市場に対するより広範な戦略の一環として、炭化ケイ素(SiC)技術で提携する旨。覚書(MoU)では、車載用充電器、コンバータおよびインバータに関する協力計画を詳しく説明している旨。


【中国メーカー関連】

米国の制裁を受ける中、国内自立の需要を増やす動きを上記しているが、中国の半導体メーカーへの補助金の状況があらわされている。

◇China gave 190 chip firms US$1.75 billion in subsidies in 2022 as it seeks semiconductor self-sufficiency (5月7日付け South China Morning Post)
→*中国最大の半導体メーカーであるSMICは、$282.1 millionという最大の補助金受給者でもあり、長引くハイテク戦争の中で国の優先順位を示している旨。
 *その他、AppleのサプライヤーであるWingtech Technologyや装置メーカーのNaura Technologyなどが上位を占めているが、中には$30,000という少額を受け取った企業もある旨。

Huaweiの現下の取り組みの一端が、以下示されている。

◇Huawei introduces “4T” technologies for clean, sustainable energy solution‐Huawei touts "ubiquitous green power" for energy development in Africa (5月10日付け Vanguard (Nigeria))
→先週ヨハネスブルグ(Johannesburg)で開催されたばかりのAfrica Solar Show 2023の傍らで、Huawei Sub Saharan Africaのプレジデント、Leo Chen氏が、グローバルなカーボンニュートラル、エネルギーセキュリティ、および商業価値の追求が、新しい国際エネルギー産業の急速な発展を促進していると述べた旨。
Huaweiの‘4T’技術…WatT, HeaT, BatTery, and BiT‘4D’の方向性…Decarbonisation, Digitalisation, Decentralisation, and Democratisation

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