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米国対中規制最終ガードレールのインパクト:Huaweiの新たな規制回避アプローチ

米国商務省がこのほど、CHIPS and Science Actによる半導体メーカーへの補助金供給に向けた国家安全保障ガードレールの最終規定を公表、生産能力制限および技術協力制限の大きく2つがあらわされている。韓国のSamsungおよびSK Hynixの中国でのメモリ半導体生産について、この制限では実質的に増産不可能という複雑な反応が見られている。次に、スマホMate 60 Proでの先端半導体がいろいろ観測を呼んでいるHuaweiについて、創業者はじめトップからのコメント&メッセージがあらわされて、米国の規制を回避する中で模索する同社のアプローチ関連の記事が見えてきている。自己完結を目指す中国の半導体関連業界の動きが、半導体設計から製造装置に拡がっていく様相もうかがえている。

長見晃の海外トピックス

≪規制下のやり方の模索≫

米国商務省が9月22日、CHIPS法補助金供給についての国家安全保障ガードレールの最終規定を公表、受け取る場合、10年間は懸念国(中国、ロシア、イラン、北朝鮮)での半導体の設備投資や実質的な増産、技術協力を制限するとしている。該ガードレール規定に違反すると受け取った補助金の返却を迫られるとのこと。本件関連の記事内容が以下の通り。

◇U.S. Issues Final Rules to Keep Chip Funds Out of China―US finalizes rules to keep tech funds, know-how out of China ―The rules, which aim to prevent chip makers from using new U.S. subsidies to benefit China, take into account the industry’s perspective. (9月22日付け The New York Times)
→米国は、中国の進出を抑える目的で、連邦政府から資金援助を受けている半導体メーカーに対して最終的な制限を設けた旨。ジーナ・ライモンド商務長官は、「Chips for Americaは基本的に国家安全保障のイニシアチブであり、これらのガードレールは、米国政府の資金を受ける企業が国家安全保障を損なわないように確かにする助けになる」と述べている旨。

◇Biden Issues China Restrictions on Companies Getting Chip Funds (9月22日付け BNN Bloomberg (Canada))
→Biden政権は金曜22日に、米国に工場を建設する連邦資金を受け取る半導体企業による中国での事業拡大に対する最終規制を発表した旨。これは、商務省が、中国の技術進歩を抑えつつ国内の半導体製造を後押しすることを意図した$100 billion以上の連邦政府援助を手渡す前の最後の規制ハードルである旨。
$39 billionの補助金と$75 billionの融資・融資保証を準備しているChips Program Officeは、その資金を獲得した企業が中国での生産量を大幅に増やしたり、物理的な製造スペースを拡大したりすることを禁止する旨。先進的な半導体については5%、28ナノメートル以上の成熟した古い技術については10%の増産に制限される旨。

◇US finalizes rules to keep China from CHIPS funds (9月24日付け Taipei Times)
→米国商務省は金曜22日、半導体製造補助金が中国や米国の国家安全保障上の懸念があるとみなされるその他の国々によって使用されるのを防ぐための最終規則を発表した旨。

韓国では、重なるタイミングで米国政府に対し善処の要請が行われている。

◇S. Korea asks for U.S.' cooperation regarding chip export controls on China (9月22日付け Yonhap News Agency)
→韓国のBang Moon-kyu産業大臣は、金曜22日にソウルで米国のDon Graves商務次官補と会談し、ワシントンの対中半導体輸出規制に関する韓国国内半導体メーカー間の懸念に対処するよう要請した旨。

韓国のSamsungおよびSK Hynixの本ガードレールに対する率直な反応である。中国・西安工場で最先端NANDを生産するSamsungからは、生産能力拡大5%以下では止めるのと同じ、という声が聞こえてきそうな受け取りではある。

◇Samsung, SK relieved by revised chip restrictions on China (9月25日付け The Korea Times)
→Samsung ElectronicsおよびSK hynixが、米国CHIPS and Science Actのガードレールに安堵のため息をついているよう。業界関係者および専門家によると、中国の半導体開発技術を制限することを目的とする該規制は、中国における先端半導体生産能力の拡大を5%以下に制限している旨。

◇South Korean semiconductor firms advised to change China market strategy in face of US guardrail final rules (9月27日付け DIGITIMES)
→韓国のニュースメディアによると、バイデン政権がCHIPS法(CHIPS and Science Act)の資金配分と制限の国家安全保障上のガードレールを最終決定したため、韓国の半導体企業は中国での事業を転換し、同国の成熟ノード能力を活用して内需向け製品を狙わなければならなくなる可能性がある旨。

関連する内容が続いていく。

◇US to indefinitely extend China waiver for South Korean chipmakers, Yonhap reports―Report: US likely to extend waiver to S. Korean chipmakers (9月27日付け Reuters)
→Yonhap news agency(聯合ニュース)によると、米国はサムスン電子とSKハイニックスに対し、中国での半導体生産用装置の供給を継続することを認め、昨年認められた免除措置を無期限に延長する見通しの旨。CHIPS and Science Actに基づく制限により、両社は中国での生産能力拡大の条件を受け入れる必要があるかもしれない旨。

◇What the U.S.-China Chip War Means for a Critical American Ally―South Korea’s vital semiconductor sector depends on China. A deadline looms for how it could be affected by U.S. efforts to control China’s tech advance. (9月27日付け The New York Times)

◇US to indefinitely extend China waiver for South Korean chip makers: Yonhap (9月27日付け South China Morning Post)
→米国は、韓国の半導体メーカー、サムスン電子とSKハイニックスに対し、米国製半導体装置を中国に持ち込むためのライセンス免除を無期限に延長する見通しであると、聯合ニュースが水曜27日に報じた旨。

一方、米国政府筋の率直なコメントである。

◇China Gears Up for Chip Dumping, Ex-DoC Official Says―Nikakhtar predicts that the next targets are legacy chips and EV batteries. (9月26日付け EE Times)
→中国政府はダンピングを使って海外のハイテク産業を破壊し、乗っ取ろうとしている、と前商務省(DoC)次官、Nazak Nikakhtar氏がEE Timesに語った旨。次のターゲットは、レガシー半導体と電気自動車(EV)バッテリーである、と同氏は予測した旨。

補助金割り当ての記事が続いている。

◇US Sets Aside $500 Million in Grants for Smaller Chip Suppliers―US earmarks $500M for smaller semiconductor suppliers (9月29日付け BNN Bloomberg (Canada))
→米商務省は、中小半導体メーカーに$500 millionの政府補助金を割り当てる旨。
この資金は$300 million以下のプロジェクトに向けられ、アジアの生産ラインへの依存を減らし、電子部品の国内生産を促進することを目的としている旨。

米国の半導体輸出規制についての評論記事である。

◇Brace for New Regulations by Enhancing Supply Chain Visibility―Chipmakers need agility, visibility for US regulations ―Companies can't wait for the proposed restrictions to be finalized before acting. They must improve their channel data management now to react quickly to these potential changes. (9月27日付け Supply & Demand Chain Executive magazine)
→半導体に対する米国の輸出規制が強化される可能性は、「すべての小売拠点、価格設定および流通パートナーに関する正確でリアルタイムのチャネルデータ」へのアクセスの重要性を強調している、とModel NのHigh Tech product marketingを引っ張るChris Shrope氏が書いている旨。同氏は、現在の環境について詳述し、サプライチェーンのいくつかの要因を探り、敏捷性を開発し、そして積極的な姿勢を採用する方法を提示している旨。


次に、新型スマホでいろいろ論議&観測を呼んでいるHuaweiであるが、米国の対Huawei制裁というと思い浮かぶ同社CFO、Meng Wanzhou(孟晩舟)氏が会議の基調講演に登場している。

◇Huawei’s new AI strategy aims to transform industry―Building a non-Western ‘second choice’ for the world (9月22日付け Asia Times)
→ファーウェイのMeng Wanzhou(孟晩舟:Sabrina Meng)副会長兼輪番会長兼最高財務責任者(CFO)は、9月20日から22日にかけて上海で開催された「Huawei Connect 2023」会議の基調講演で、"数千もの産業のインテリジェント・トランスフォーメーションを加速する "ための同社の新しいコンピューティング&コミュニケーション戦略を発表した旨。オール・インテリジェンスと呼ばれるこの戦略は、同社のこれまでのオールIPはじめ融合させたもの。

そして孟晩舟氏の父親でHuawei創業者、任正非(Ren Zhengfei)氏が、新たな路線を打ち上げている。

◇Tech war: Huawei founder Ren is betting on the firm’s alternative ecosystems to combat impact of US sanctions (9月22日付け South China Morning Post)
→*HarmonyOSはモバイルとInternet-of-Things(IoT)のOSで、EulerOSはエンタープライズ・サーバー向けに設計されたLinuxディストリビューションである旨。
 *Huawei Technologiesのfounder and chief executive、Ren Zhengfei氏の発言は、ファーウェイが最近発表したスマートフォン、Mate 60 Proに対する愛国的熱狂の波の中で浮上した旨。

トップの登場とともに、Huaweiの新たな取り組み関連が続いている。

◇Tech war: Huawei unveils slew of new products but keeps quiet on breakthrough Mate 60 Pro and chip inside (9月25日付け South China Morning Post)
→*ファーウェイは新しい高級スマートフォン「Mate 60 Rs」を予告し、ゴールドをあしらった新しいスマートウォッチを発表した旨。
 *深センに本社を置くファーウェイは、同社のスマートフォンMate 60 Proを支える強力な半導体の構成についてはノーコメントを貫いている旨。

◇ファーウェイ、EV新ブランド;中国自動車大手と (9月28日付け 日経)
→中国通信機器大手の華為技術(ファーウェイ)が電気自動車(EV)のラインアップを拡充する旨。11月下旬に中国自動車大手の奇瑞汽車と共同運営するEV新ブランド「LUXEED(智界、ルクシード)」を発売。既存ブランドでも12月に新車種を投入する旨。米政府の制裁が続くなか、車関連事業を収益源に育てる旨。

一方、Mate 60 Proについては、言及を控えている対応である。

◇Huawei showcase plays down controversial phone (9月26日付け Taipei Times)
→華為技術有限公司(ファーウェイ)は昨日、コンシューマー向け新製品を大々的に紹介する場で、物議を醸したMate 60スマートフォンシリーズについてはほとんど触れなかった旨。深センに本社を置く同社は、需要に応じてスマートフォンの生産台数を増やすと、コンシューマー部門のチーフであるRichard Yu(余承東)は述べ、そのサージを引き起こしたハンドセットの名前を出していない旨。

Samsungが、Huaweiとの関係について述べている。

◇Samsung Electronics denies business ties with Huawei―Samsung Electronics refutes reports of Huawei ties after 2020 sanctions (9月26日付け JoongAng Daily (South Korea))
→サムスン電子は、中国メーカー、Huaweiが販売する携帯電話に同社の半導体の一部が搭載されているとの報道を受け、2020年の米国制裁後にHuaweiと取引したことはないと弁明した旨。

Huaweiを取り巻く現時点である。

◇ファーウェイ新スマホが火種;米、追加制裁の可能性;5G並み、7ナノ半導体搭載の見方 (9月26日付け 日経)
→中国通信機器大手の華為技術(ファーウェイ)が米国の制裁下で半導体の技術開発を進めている旨。8月以降に発売したスマートフォンの新機種で、回路線幅が7ナノメートルの高性能な半導体を実用化したとみられる旨。ただ量産化などに課題が残り、米国が一段の制裁に踏み込む可能性も出ている旨。
ファーウェイを巡っては2018年ごろから米中の対立が続いてきた旨。7ナノ半導体は新たな火種となり、米中の応酬は今後一段と強まる可能性がある旨。

自己完結を図る中国の半導体業界、製造装置の売上げ増加があらわされている。

◇China’s chip equipment firms see revenue surge as Beijing seeks semiconductor self-reliance (9月28日付け CNBC)
→*木曜28日に発表された調査結果によると、中国の大手半導体装置メーカーの上半期の売上が急増した旨。
 *半導体は、スマートフォンから人工衛星まで、あらゆるものに搭載される重要な部品であり、米中間の広範な技術競争に巻き込まれている旨。
 *中国は、国内半導体産業の自立を目指し、外資系半導体企業からの脱却を図るため、国内半導体産業の強化に目を向けている旨。

米国の規制を遵守する対応、そして回避する対応、それぞれやり方の模索が続く流れは必至であり、引き続き注目するところである。


コロナ「5類」移行とはいえ、用心怠りなくの現状と言えるかと思うが、コロナ前に戻る舵取りがそれぞれに行われている中での世界の概況について、以下日々の政治経済の動きの記事からの抽出であり、発信日で示している。

□9月25日(月)

我が国の経済対策、半導体の国産化支援が挙げられている。

◇岸田首相「賃上げ・投資で好循環」;半導体の国産化支援―物価高対策は出口見えず (日経 電子版 21:08)
→岸田文雄首相は25日、10月にまとめる経済対策で半導体など重要物資の国内投資を促進する減税制度を創設すると正式に表明した旨。年収が一定額を超えると手取りが減る「年収の壁」を巡っては、1人当たり最大50万円を支給する制度を設けると説明した旨。

□9月26日(火)

金融引き締め長期化、米国政府機関の閉鎖などへの警戒から、上げ下げが続いてほぼ4カ月ぶりの安値で締めた今週の米国株式市場である。

◇NYダウ反発、43ドル高;金融引き締め長期化に警戒 (日経 電子版 06:11)
→25日の米株式市場でダウ工業株30種平均は5営業日ぶりに反発し、前週末比43ドル04セント(0.12%)高の3万4006ドル88セントで終えた旨。前週に下げが続いた後で、一部の銘柄には値ごろ感からの買いが入り、指数を支えた旨。一方、米連邦準備理事会(FRB)の金融引き締めが長期化することへの警戒は根強く、指数は下げて推移する場面もあった旨。

円の下落が続き、150円をうかがう水準となっている。

◇円下落、一時1ドル149円台に (日経 電子版 15:08)
→26日の東京外国為替市場で円が対ドルで下落し、一時1ドル=149円台を付けた旨。2022年10月以来11カ月ぶりの円安・ドル高水準。25日の米債券市場で米長期金利が一時4.54%と16年ぶり高水準に上昇し、幅広い通貨に対してドル買いが膨らんだ旨。

□9月27日(水)

◇NYダウ反落、388ドル安;金利上昇や政府機関閉鎖を警戒 (日経 電子版 06:13)
→26日の米株式市場でダウ工業株30種平均は反落、前日比388ドル00セント(1.14%)安の3万3618ドル88セントで終えた旨。6月6日以来の安値。米長期金利が上昇し、株式の相対的な割高感が意識されたことが重荷となった旨。政府機関が一部閉鎖になるリスクも投資家心理の悪化につながり、ダウ平均は430ドル強安となる場面があった旨。

□9月28日(木)

◇NYダウ続落、68ドル安;米長期金利の上昇が重荷 (日経 電子版 06:05)
→27日の米株式市場でダウ工業株30種平均は続落し、前日比68ドル61セント(0.20%)安の3万3550ドル27セントで終えた旨。米長期金利が一段と上昇し、株式相場の重荷となった旨。下げ幅は一時300ドルを超えた旨。金利の上昇が一服すると、株式への売りも一巡。ダウ平均は次第に下げ幅を縮めた旨。

差し迫った米国の政府機関の閉鎖の可能性を巡る懸念である。

◇米政府閉鎖迫る期限;金利急上昇、財政運営に市場疑念 (日経 電子版 09:47)
→米国の政府機関の閉鎖が現実味を帯びてきた。新たな会計年度が始まる10月1日までに米連邦議会が予算案をまとめられない公算が大きくなったためだ。金融市場では財政運営の混乱を警戒して長期金利の上昇に拍車がかかり、格付け会社も警鐘を鳴らしている。行政サービスの停滞が長引けば経済成長率の低下など深刻な影響が広がる。3つの焦点をまとめた。
 ・市場はなぜ警戒?
 ・閉鎖で何が起きる?
 ・今後のシナリオは?

中国では大型連休入り、経済動向には引き続きの注目である。

◇中国29日から大型連休、コト消費偏重、日本旅行「人気」 (日経 電子版 11:37)
→中国で29日から8日間の大型連休が始まる旨。中秋節と国慶節(建国記念日)の連休が重なったため例年より長く、旅行業界にとってかき入れ時となる旨。レジャーなどコト消費は回復基調だが、「ゼロコロナ」政策終了後の景気回復は鈍く、節約志向も強まる旨。大型連休の動向は中国の消費の先行きを占うことになる旨。

□9月29日(金)

◇NYダウ反発、116ドル高;ハイテク・景気敏感株に買い (日経 電子版 05:44)
→28日の米株式市場でダウ工業株30種平均は3営業日ぶりに反発し、前日比116ドル07セント(0.34%)高の3万3666ドル34セントで終えた旨。米長期金利が朝方にほぼ16年ぶりの高水準を付けた後、午後にかけて低下した旨。米原油先物相場も反落し、金利上昇と原油高への過度な警戒が和らいだ旨。ダウ平均は前日にほぼ4カ月ぶりの安値で終え、ハイテク株や景気敏感株などに値ごろ感からの買いが入った旨。

□9月30日(土)

◇NYダウ反落、158ドル安;政府機関の閉鎖懸念が重荷 (日経 電子版 06:33)
→29日の米株式市場でダウ工業株30種平均は反落し、前日比158ドル84セント(0.47%)安の3万3507ドル50セントで終えた旨。ほぼ4カ月ぶりの安値。朝方に発表された物価指標が市場の想定の範囲にとどまり、買いが先行した旨。買い一巡後は米政府機関の一部閉鎖のリスクが意識された旨。高水準の米政策金利が長く維持されるとの見方も根強く、相場の重荷になった旨。


≪市場実態PickUp≫

【Nvidia関連】

第二四半期の販売高ランキングでのNvidiaの急伸ぶりが、以下の通りである。ファブレス半導体では首位に、半導体全体では、インテル、Samsungに次ぐ第3位に急浮上との見方である。業界低迷の現状の中だけに、一層浮きだつAI半導体の活況をうかがい知るところである。

◇NVIDIA Overtakes Qualcomm as Leader in Global IC Design Business (9月21日付け Telecom Lead (India))

◇Nvidia Surpasses Qualcomm as World’s Biggest Fabless Chip Designer―Nvidia tops Qualcomm in Q2 chip design revenue ―Nvidia's earnings in Q2 surpassed Qualcomm's revenue. (9月22日付け Tom's Hardware)
→TrendForceのレポートによると、世界的なAI需要に後押しされたエヌビディアの四半期売上げは前四半期比12.5%増の$38.1 billionに急増、この四半期決算により、同半導体設計企業はこれまでランキング首位だったクアルコムを抜いた旨。

◇NVIDIAが躍進、半導体メーカーの業績に好転の兆し (9月29日付け 日経XTECH[クロステック])
→2023年第二四半期(4〜6月)の半導体メーカー各社の売上高合計額は$124.316 billion(約18兆4000億円)で、前の四半期比3.8%増。前四半期比で増加となったのは、6四半期ぶり。この増分のうち半分以上を占めたのが米NVIDIA。同社は2023年第二四半期の売上高ランキングで3位となり、前年同期から6つ順位を上げた旨。AI(人工知能)コンピューティング向けGPU(画像処理半導体)需要の拡大を背景に、大きく躍進した旨。

売上高
前年同期比
1. インテル
$122.63 billion
-17.5%
2. サムスン電子
$94.50
-53.4
3. Nvidia
$78.99
+51.7

(出典:オムディアの資料を基に日経クロステックが作成)


Nvidiaの現下のビジネス連携関連の動きを、以下に示している。

◇Getty made an AI generator that only trained on its licensed images―Nvidia powers Getty's AI-based image generator ―Generative AI by Getty Images harnesses Getty’s vast licensed library of images. (9月25日付け The Verge)
→Getty Imagesはエヌビディアと提携し、ウェブサイトとAPIを通じてAIが生成した画像を利用できるようにし、今年後半にはブランド向けのツールのテストを開始する予定。NvidiaのEdifyモデルを活用したGenerative AI by Getty Imagesツールの画像は、著作権、ディープフェイク、その他の潜在的な問題を回避するために、同社のライセンスライブラリから生成され、AIが生成した画像をツールのトレーニングに使用した場合、ゲッティはクリエイターに報酬を支払う旨。

◇Getty Images gets into the generative AI race with its own image platform (9月26日付け Digiday)
→ジェネレーティブAIの新興企業に投資し、別の企業を訴えた後、Getty Imagesは独自のAI画像ジェネレーターでAI競争に参入した旨。月曜25日に発表されたこのプラットフォームは、ゲッティ イメージズが保有する膨大な画像を基に学習され、AIコンピューティング大手のNvidiaとの提携により開発された旨。

◇Microsoft technology chief says supply of Nvidia’s AI chips is improving―Microsoft tech chief: Nvidia GPU supply shortages easing (9月27日付け CNBC)
→マイクロソフトのKevin Scott(ケビン・スコット)最高技術責任者(CTO)は、Nvidiaグラフィックス・プロセッシング・ユニット(GPU)の供給は「毎週良くなっており、この先、悪いニュースよりも良いニュースの方が多くなる」と述べた旨。Nvidiaは、2024年まで四半期ごとに供給を増やすことを検討していると述べている旨。


【Amazon関連】

2つの動き、まずは、人工知能(AI)の米国新興企業、Anthropic社にAmazonの出資である。

◇Amazon to invest up to $4 billion in Anthropic, a rival to ChatGPT developer OpenAI (9月25日付け CNBC)
→*Eコマース大手のアマゾンは月曜25日、人工知能(AI)企業のAnthropic社に最大$4 billionを投資し、同社の少数株主となると発表した旨。
 *この動きは、アマゾンがマイクロソフトやアルファベットのグーグルといったライバルに遅れを取らないよう、AIを積極的に推進していることを強調するもの。
 *両社は月曜25日、ジェネレーティブAIを発展させるために戦略的協力関係を結ぶと発表し、該新興企業はアマゾン・ウェブ・サービス(AWS)を主要クラウド・プロバイダーとして選択した旨。

◇Amazon to invest up to $4 billion in San Francisco-based Anthropic (9月25日付け SILICON VALLEY BUSINESS JOURNAL)
→サンフランシスコを拠点とするAnthropicは、OpenAIのChatGPTと競合するAIモデルとチャットボットの構築を目指し、Amazon.comのおかげですでにかなりの資金を獲得している旨。

◇Amazon、生成AI新興に5900億円出資;Microsoftに対抗 (9月25日付け 日経 電子版 17:20)
→米アマゾン・ドット・コムは25日、人工知能(AI)開発の米新興企業アンソロピック(Anthropic)と戦略提携し、最大$4 billion(約5940億円)を出資すると発表、文章や画像を自動でつくる生成AIのサービス展開を強化し、米オープンAIに出資する米マイクロソフトに対抗する旨。

次に、 米国の連邦取引委員会(FTC)と17の州が、ネット通販で独禁法違反の疑いとして、Amazonを提訴、と以下の取り上げである。

◇Amazon used market power to warp prices of goods across the internet, FTC alleges―FTC, 17 states file antitrust lawsuit against Amazon ―The FTC filed an antitrust lawsuit in federal court in Washington state, backed by the attorneys general of 17 states, including two Republicans. (9月26日付け NBC News)
→米連邦取引委員会(FTC)と17の州は、アマゾンが他の電子商取引サイトの価格を吊り上げる反競争的慣行を行っているとして訴訟を起こした旨。シアトルに本社を置く該巨大eコマース企業に対する訴訟は、ワシントン州西部地区連邦地方裁判所に提出された旨。

◇FTC Sues Amazon, Alleging Illegal Online-Marketplace Monopoly―High-stakes case pits the e-commerce giant against agency chair Lina Khan’s aggressive antitrust stance (9月26日付け The Wall Street Journal)

◇Amazon sued by FTC and 17 states over allegations it inflates online prices and overcharges sellers (9月26日付け The Associated Press)

◇米FTC、Amazonを提訴 ネット通販で独禁法違反の疑い (9月27日付け 日経 電子版 07:08)
→・米FTCがアマゾンを独占禁止法違反の疑いで提訴
 ・プラットフォーマーの地位乱用し競争阻害と主張
 ・アマゾンは全面的に争う姿勢。株価は4%安
米連邦取引委員会(FTC)は26日、米アマゾン・ドット・コムを反トラスト法(独占禁止法)に違反した疑いで提訴した旨。

◇Amazon、「祖業」ネット通販に足かせ;FTCが提訴 (9月27日付け 日経 電子版 06:16)
→米アマゾン・ドット・コムがインターネット通販で築いた牙城に米連邦取引委員会(FTC)が切り込んだ旨。FTCが反トラスト法(独占禁止法)違反の疑いで同社を提訴したことは、ネット通販最大手の地位を生かして収益力を高めてきたアマゾンのビジネスモデルに足かせとなる可能性がある旨。


【インテル関連】

インテルのVPU(Vision Processing Unit)(AIプロセッサ)、Movidius 3700VCおよびAI PC向けで注目のIntel Core Ultra(コードネーム:Meteor Lake)について、以下の記事である。

◇Intel製AIプロセッサ搭載の14.4型2in1 PC「Surface Laptop Studio 2」が10月3日発売;33万6380円から (9月22日付け ITmedia)
→Microsoftは9月21日(米国太平洋夏時間)、新型の2in1ノートPC「Surface Laptop Studio 2」を発表、日本では10月3日に発売される予定で、直販サイト(Microsoft Store)では、既に販売予約を受け付けている旨。個人向けモデルの直販価格(税込み)は33万6380円から58万2870円となる旨。

◇Intel and nimble AI: smaller models can run on an AI PC (9月23日付け FierceElectronics)
→*Intel Core Ultra(コードネーム:Meteor Lake)は来る12月14日に出荷され、同社によれば、過去40年間で最大のクライアント・アーキテクチャーの転換を意味する旨。3つのプロセッサーを搭載:CPU、GPUおよびNPUの3つのプロセッサを搭載し、AI PCや将来の多くのクライアントデバイスの基礎となる旨。また、インテルが「nimble AI(軽快なAI)」と呼ぶものを実現する旨。
 *Gadi Singer氏はインテルに40年間在籍している。同氏の最初のプロジェクトのひとつは、1985年にさかのぼる386プロセッサーだった。 同氏は、少なくともインテルにおいては、ことわざで言うところの "すべてを見た男 "に近い。現在、インテル研究所の副社長兼創発AI研究ディレクターとして、同氏はAIについていくつかのことを語っている。
  「AIは未来だ......AIの最先端技術では、大規模な多次元配列が定義されているが、現在では軽快なモデルも出現している。」と、同氏はFierce Electronicsのインタビューに答えている。・・・・・

◇Green Processing: How Intel's Meteor Lake Champions Sustainability―Intel's Meteor Lake designed for sustainability (9月23日付け Forbes)
→インテルの最新の中央演算処理装置(CPU)、Meteor Lakeは、インテル4プロセスとチップレットベースの設計を採用し、さらに持続可能性のための革新的な技術も取り入れている旨。「インテルは、先駆的なリファレンス・デザインを通じて、お客様がサステナビリティを体現するPCsを作り上げられるよう支援し、より環境に優しく調和のとれた未来のために、テクノロジーとエコロジーの思慮深さを融合させている。」と、インテルのVice President, Client Computing Group and GM Client Platform & Systems、Gokul V Subramaniam氏は述べている旨。

◇AI on PCs will be 'hugely transformative,' given some assumptions: Hamblen (9月25日付け FierceElectronics)
→インテルの第3回イノベーション・イベントでは、該半導体の巨人が開発者向けに複数の分野の取り組みを紹介したが、AI PCとニューラル・プロセッシング・ユニットを搭載したCore Ultra(Meteor Lake)半導体は、私にとって際立っていた。・・・・・

次項のEU半導体業界にも関わるが、インテルのアイルランド新Fabの取り組みである。
上記のIntel Core Ultra製造へのEUV使用など、今後の展開があらわされている。

◇Intel’s New Fab in Ireland Begins High-Volume Production of Intel 4 Technology (9月29日付け SEMICONDUCTOR DIGEST)
→インテルは本日、極端紫外線(EUV)技術を用いたインテル 4 テクノロジーの到来と、欧州における量産製造(HVM)でのEUVの初使用を祝った旨。この重要な瞬間の到来は、AI PCへの道を開くインテルの次期Intel Core Ultraプロセッサー(コードネーム:Meteor Lake)や、2024年に登場し、インテル3プロセス・ノードで製造される次世代インテルXeonプロセッサーなどの製品の未来を切り開くものである旨。


【EU半導体業界】

欧州半導体法、European Chips Actが今週発効、改めてその目的が示されている。

◇Europe's Bid To Become A Semiconductor Superpower―European Chips Act signals Europe's chip leadership ambitions (9月23日付け Forbes)
→世界的な技術競争が激化しており、そして、欧州は取り残されることを望んでいない旨。今週、待望のEuropean Chips Actが発効した旨。この大胆な立法パッケージは、欧州の半導体サプライチェーンを強化し、この重要な分野における欧州の国際競争力を高めることを目的としている旨。

インテルのドイツ工場、労働者不足など問題直面である。上記のアイルランド新Fab含め、今後の局面打開に注目である。

◇Intel facing worker shortage for German chip plant―Report: Intel's plan for plant in Germany has hit obstacles ―Chip giant says it's still in the 'planning and design phase' (9月27日付け The Register (UK))
→インテルは、"シリコン・ジャンクション "と呼ばれる水製造施設を建設するため、ドイツで約$11 billion の政府補助金を獲得したが、労働者不足が報告されるなど、問題が次々と浮上している旨。「現在、マグデブルク工場の計画・設計段階だが、すでに強い関心が寄せられている。」と、これに対してインテルは述べている旨。

EUの対中国&ロシアのスタンスの一端が、次の通りである。

◇EU leaders brace for energy transition (9月27日付け DIGITIMES)
→EUは再生可能エネルギーを増やし、中国からのリチウム電池への依存を減らす方向で動いている旨。報道によれば、EU首脳は来月スペインで会合を開き、ロシアからのガスの使用を止めた際に直面した課題について話し合う旨。


【TSMC関連】

最先端の取り組みはいろいろな観測が流れがちではあるが、TSMCの2-nmについて次の記事が目に止まっている。

◇TSMC may delay 2nm to 2026―Reported delay in TSMC's 2-nm process may open door for Intel―TSMC could be putting back its 2nm process until 2026, says the Taiwanese news source TechNews, which means Intel has a better chance to overtake it. (9月29日付け Electronics Weekly (UK))
→台湾半導体製造(Taiwan Semiconductor Manufacturing Co., Ltd.:TSMC)が2026年まで2nmプロセスへの取り組みを遅らせなければならないかもしれないとの報道があり、2nmプロセスへの競争は逼迫している可能性がある旨。インテルは、18Aプロセスと呼ばれる同社の2nmバージョンは、2025年の生産に向けて来年後半までに「製造準備が整う」と述べている旨。

TSMCが引っ張る三次元実装(3D IC)の最新の取り組み状況である。

◇TSMC Announces Breakthrough Set to Redefine the Future of 3D IC―New 3Dblox 2.0 and 3DFabric Alliance Achievements Detailed at 2023 OIP Ecosystem Forum (9月28日付け Yahoo! Finance)

◇TSMC Announces Breakthrough Set to Redefine the Future of 3D IC (9月29日付け SEMICONDUCTOR DIGEST)
→TSMCは本日、TSMC 2023 Open Innovation Platform(OIP)エコシステム・フォーラムにおいて、新しい3Dblox 2.0オープンスタンダードと、OIP 3DFabricアライアンスの主な成果を発表した旨。3Dblox 2.0は、設計効率の大幅な向上を目指す初期の3D IC設計機能を特徴とし、3DFabricアライアンスはメモリ、基板、テスト、製造、およびパッケージングの統合を引き続き推進する旨。


【注目の市場データ】

中国の半導体装置の国産化率への言及が見られている。

◇China doubles localization rate for chipmaking equipment, reportedly over 40% (9月22日付け DIGITIMES)
→米国が中国の半導体開発を減速させる封じ込め策を取る中、中国は半導体装置の国産化率を40%以上に高めたと報じられている旨。

車載ディスプレイ市場でも中国メーカーが急伸、とのデータである。

◇Omdia: Manufacturers from China Have Increased Their Dominance in the Auto Display Market, Holding a 45% Market Share in 1H23 (9月25日付け SEMICONDUCTOR DIGEST)
→2023年上半期、中国企業が車載ディスプレイ市場のトップサプライヤーに浮上し、テレビやスマートフォンのディスプレイ市場でも支配的だったディスプレイ産業における支配力を拡大している旨。OmdiaのAutomotive Display Intelligence Serviceによると、中国企業は市場シェアの45.3%を占めており、10年前の7.1%から大幅に増加している旨。

果たして信じられるか、メモリ半導体の底打ちの感触である。

◇半導体メモリー販売、最悪期脱す;価格は下げ止まり (9月26日付け 日経 電子版 16:56)
→世界の半導体メモリー販売が最悪期を脱した旨。韓国のサムスン電子など大手メモリーメーカーの減産で余剰感が後退、相場下落に歯止めがかかった旨。在庫水準はなお高くメーカーは一段の減産を打ち出すが、能力増強の動きもあり、需給が均衡に向かうかは不透明。

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