Semiconductor Portal

» ブログ » インサイダーズ » 長見晃の海外トピックス

5月の世界半導体販売高、3ヶ月連続小幅増:中国の半導体素材輸出規制

米国・Semiconductor Industry Association(SIA)より月次の世界半導体販売高が発表され、この5月について$40.7 billionと年初1月以来の$40 billion台回復、そして前月比1.7%増で3ヶ月連続の小幅な増加ながら、前年同期比では21.1%減と4ヶ月連続の20%台の落ち込みである。半導体メモリの価格がこの1年で4割安では致し方ないところ、Samsungの第二四半期業績も営業益が前年同期比96%減となっている。それでもなお、第三四半期には在庫が減ってきて回復に向かうとの予想が見られている。世界販売高が底打ちかどうか、見極めをさらに要するところである。米中摩擦について、中国がガリウムとゲルマニウムの輸出規制を発表、双方の応酬のまた新たな局面を巡る関連の動きを以下追っている。

長見晃の海外トピックス

≪5月の世界半導体販売高;米中応酬≫

米国・SIAからの今回の発表が、次の通りである。

☆☆☆↓↓↓↓↓
○5月のグローバル半導体販売高が、前月比1.7%増―5月世界半導体販売高、前年比では21.1%減 …7月6日付け SIA/Latest News

米国・Semiconductor Industry Association(SIA)は本日、2023年5月のグローバル半導体販売高が$40.7 billionで、2023年4月の$40.0 billionと比較して1.7%増、2022年5月の$51.7 billionを21.1%下回る、と発表した。月次販売高はWorld Semiconductor Trade Statistics(WSTS) organizationのまとめであり、3ヶ月移動平均で表わされている。SIAは、売上げで米国半導体業界の99%およびnon-U.S.半導体会社の約3分の2を代表している。

「2022年に比べて市場の低迷が続いているにもかかわらず、5月のグローバル半導体販売高は前月比では3ヶ月連続で上昇に転じ、今年後半の市場回復の可能性に対する楽観論に火をつけている。」と、SIAのpresident and CEO、John Neuffer氏は言う。
地域別では、5月の販売高前月比で、China(3.9%), Europe(2.0%), Asia Pacific/All Other(1.3%), Japan(0.4%), およびthe Americas(0.1%)とすべての地域にわたって控え目に増加した。5月販売高前年同月比では、Europe(5.9%)では増加したが、Japan(-5.5%), the Americas(-22.6%), Asia Pacific/All Other(-23.0%), およびChina(-29.5%)では減少した。

                        【3ヶ月移動平均ベース】

市場地域
May 2022
Apr 2023
May 2023
前年同月比
前月比
========
Americas
12.33
9.54
9.54
-22.6
0.1
Europe
4.41
4.58
4.67
5.9
2.0
Japan
4.13
3.89
3.91
-5.5
0.4
China
16.87
11.45
11.90
-29.5
3.9
Asia Pacific/All Other
13.91
10.57
10.71
-23.0
1.3
$51.65 B
$40.04 B
$40.74 B
-21.1 %
1.7 %

--------------------------------------

※5月の世界半導体販売高 地域別内訳および前年比伸び率推移の図、以下参照。
https://www.semiconductors.org/wp-content/uploads/2023/07/May-2023-GSR-table-and-graph-for-press-release.pdf
★★★↑↑↑↑↑

この発表を受けた業界各紙の取り上げ関連が、次の通りである。週末に近い発表ということで、1件止まりである。

◇Global Semiconductor Sales Increase 1.7% Month-to-Month in May (7月7日付け SEMICONDUCTOR DIGEST)

相次いで年間販売高史上最高を更新した2021年および2022年と比べていく形で、以下のデータ推移を見ていく。
以下、米国・SIAの月初の発表時点の販売高、そして前年同月比および前月比が示されている。
本年1月は下げ足を早める出だしとなっており、2月はそれが引き続いている。3月に、ようやく2022年5月以来の前月比増加となっている。4月は、20%台の前年比マイナスが続きながらも、3月と同様前月比で0.3%のプラスとなっており、5月は前年比同様に大きくマイナスながらも前月比では1.7%増となり$40 Billion台を1月以来のこと、回復している。本年後半にかけての持ち直しにつながるかどうか、なお見極めを要するところである。

販売高
前年同月比
前月比
2021年 1月 
$40.01 B
13.2 %
1.0 %
2021年 2月 
$39.59 B
14.7 %
-1.0 %
2021年 3月 
$41.05 B
17.8 %
3.7 %
2021年 4月 
$41.85 B
21.7 %
1.9 %
2021年 5月 
$43.61 B
26.2 %
4.1 %
2021年 6月 
$44.53 B
29.2 %
2.1 %
2021年 7月 
$45.44 B
29.0 %
2.1 %
2021年 8月 
$47.18 B
29.7 %
3.3 %
2021年 9月 
$48.28 B
27.6 %
2.2 %
2021年10月 
$48.79 B
24.0 %
1.1 %
2021年11月 
$49.69 B
23.5 %
1.5 %
2021年12月 
$50.85 B
28.3 %
1.5 %
$540.87 B
 
2022年 1月 
$50.74 B
26.8 %
-0.2 %
2022年 2月 
$50.04 B
26.1 %
-1.4 %
2022年 3月 
$50.58 B
23.0 %
1.1 %
2022年 4月 
$50.92 B
21.1 %
0.7 %
2022年 5月 
$51.82 B
18.0 %
1.8 %
2022年 6月 
$50.82 B
13.3 %
-1.9 %
2022年 7月 
$49.01 B
7.3 %
-2.3 %
2022年 8月 
$47.36 B
0.1 %
-3.4 %
2022年 9月 
$47.00 B
-3.0 %
-0.5 %
2022年10月 
$46.86 B
-4.6 %
-0.3 %
2022年11月 
$45.48 B
-9.2 %
-2.9 %
2022年12月 
$43.40 B
-14.7 %
-4.4 %
$584.03 B
 
→史上最高更新
 
2023年 1月 
$41.33 B
-18.5 %
-5.2 %
2023年 2月 
$39.68 B
-20.7 %
-4.0 %
2023年 3月 
$39.83 B
-21.3 %
0.3 %
2023年 4月 
$39.95 B
-21.6 %
0.3 %
2023年 5月 
$40.74 B
-21.1 %
1.7 %


半導体市場の現況関連について、以下取り出している。大きな落ち込みを確認する内容が大方である。

◇Revenue in sector retreats for 5th consecutive quarter (7月3日付け DIGITIMES)
→半導体の売上高が5四半期連続で減少したのは、20年以上前の測定開始以来初めてのこと、とOmdia発。米国の第一四半期の売上高は$120.5 billionで、2022年の最終四半期から9%減少した旨。

Samsungの第二四半期業績について、以下の通りである。本年後半の持ち直しの期待が引き続きあらわされている。

◇Samsung Profit Beats As Memory Chip Sector Recovers From Trough―Samsung profit hit 14-year low; analysts see Q3 rebound (7月6日付け BNN Bloomberg (Canada))
→サムスン電子の第二四半期の利益は前年同期比95.7%減少し、2009年以来の低水準となったが、アナリストは第三四半期の回復を予想している旨。SK証券のアナリスト、Han Dong-hee氏は、"メモリー半導体の在庫減少は第三四半期から本格化するだろう "と語る旨。

◇Samsung Electronics to bounce back in 3rd quarter: analysts―Tech giant's Q2 profit plunges 95.7% to 14-year low amid chip downturn (7月7日付け The Korea Times (Seoul))

◇サムスン営業益96%減;4〜6月、半導体不況が長期化 (7月7日付け 日経 電子版 09:49)
→韓国サムスン電子が7日発表した2023年4〜6月期の連結決算速報値で、売上高は前年同期比同22%減の60兆ウォン、営業利益は6000億ウォン(約660億円)と同96%減。主力の半導体メモリーに市況回復の兆しは見えず、同部門の不振が全体の収益を押し下げた旨。

半導体メモリの価格の現況、そして日本製半導体装置の本年の予測が、以下の通りである。

◇半導体メモリー、1年で4割安;各社減産でも価格上向かず (7月7日付け 日経 電子版 19:37)
→半導体メモリーの市況回復が遅れている旨。スマートフォンの買い替え需要の低迷などでメモリー製品の主要価格は1年前から4割以上下落した旨。半導体メーカーは生産調整を急ぐが、過剰在庫の解消には時間がかかる見通し。
韓国サムスン電子が7日発表した2023年4〜6月期決算は連結営業利益が前年同期比96%の大幅減となり、市況が1〜3月に底打ちしたという楽観論を打ち消した旨。

◇日本製半導体装置、今年度23%減収;需要低迷長引く (7月7日付け 日経)
→日本半導体製造装置協会(SEAJ)は6日、日本製の半導体装置の売上高が2023年度は前年度比23%減の3兆201億円になるとの予測を発表、2023年1月時点では前年度比5%減としていたが、半導体の需要低迷が長引いていることから大幅に下方修正した旨。

世界情勢と照らしながら、世界半導体販売高の推移に引き続き注目である。

米中摩擦関連であるが、ブリンケン米国務長官に続いてイエレン米財務長官の訪中が行われている。

◇米財務長官6日から訪中へ;閣僚級の対話継続目指す (7月3日付け 日経 電子版 09:00)
→イエレン米財務長官が6〜9日の日程で中国を訪問する旨。米中間にまたがる懸案は経済分野でも多く、まずは閣僚級で継続的に直接対話できるチャンネルを増やして関係の安定につなげる狙いがある旨。
バイデン米政権は米中首脳会談の再開を模索しており、ブリンケン米国務長官に続く重要閣僚の訪中はその前さばきとなりそう。

◇Treasury Secretary Yellen departs for China amid rising trade tensions (7月5日付け FierceElectronics)
→Janet Yellen米財務長官が今週、中国政府高官との会談に臨むなか、近年の米中貿易関係はかつてないほど緊迫しているよう。半導体や関連技術をめぐる米中貿易関係は徐々に悪化している旨。

その最中であるが、中国が半導体素材のガリウムとゲルマニウムの輸出規制を行うと発表、以下の関連記事が続いていく。

◇中国、半導体素材ガリウムとゲルマニウム輸出規制へ (7月3日付け 日経 電子版 22:31)
→中国商務省と税関総署は3日、半導体などの素材になるガリウム関連の製品を輸出規制の対象にすると発表、ゲルマニウム関連も許可制とする旨。8月1日から中国の輸出業者は当局の許可がない限り輸出できなくなる旨。米国が主導して先端半導体の輸出など対中規制を強めてきたことへの対抗措置とみられる旨。

米国・ITCが、中国のGaNの会社、Innoscience社(広東省珠海[Zhuhai]市)の調査を始めている。米中双方の対抗の新たな連鎖の予感である。

◇Chinese ‘GaN’ semiconductor technology pioneer Innoscience dragged into IP dispute in US (7月4日付け South China Morning Post)
→*USITC(United States International Trade Commission)は、米国の競合企業との知的財産権(IP)紛争を受け、Innoscience社に対する調査を開始した旨。
 *GaN技術は、半導体の革新に関してシリコンに代わる有望な技術として浮上しており、より小さなサイズで効率向上を提供している旨。

◇US says it opposes export controls by China on metals, will consult allies―US reacts to Chinese export controls on chip metals (7月5日付け Reuters)
→米国は、中国が8月1日からガリウムとゲルマニウムの輸出規制を発表したことを受け、サプライチェーンを強化するために同盟国と協議する予定である旨。TSMCは、同社の半導体生産が該規制で影響を受けると見ていない旨。

我が国の反応&対応である。

◇日欧、半導体の需給共有で覚書――中国の半導体素材輸出規制「日本への影響を精査」 経産相 (7月5日付け 日経)
→西村康稔経済産業相は4日の閣議後の記者会見で、中国政府が半導体素材に関連する製品などの輸出規制を発表したことを受け、「日本にどういう影響があるか精査している」と述べた旨。中国政府に意図や運用方針を今後確認し、国際ルールに基づき対応する考えを示した旨。

◇China says it told the U.S. and Europe about the export controls in advance (7月6日付け CNBC)
→*中国商務省は木曜6日、今週の輸出禁止措置をアメリカとヨーロッパに事前に伝えたと発表した旨。
 *中国は「輸出管理対話チャンネル」を通じて行ったと、商務部のスポークスマンであるShu Jueting氏が北京語で語り、CNBCが訳した旨。
 *同省はまだ輸出許可の申請を受けていない旨。

TSMCは、該規制の直接の影響はないとしている。

◇TSMC foresees no direct impact on production from China's metal export curbs (7月6日付け Reuters)

◇What are Gallium and Germanium? China curbs exports of metals critical to chips and other tech (7月6日付け CNBC)
→*欧米との技術競争が過熱するなか、中国は電子機器や半導体の製造に欠かせない2つのニッチ金属、ゲルマニウムとガリウムの輸出を制限している旨。
 *ゲルマニウムは光ファイバー製品や暗視ゴーグルに使われ、ガリウムは半導体の重要な材料である旨。
 *業界団体、Critical Raw Materials Allianceによれば、中国は世界のゲルマニウムの60%、ガリウムの80%を生産している旨。
 *しかし、アナリストによれば、これらの金属の供給源は他にもあり、代替材料も使用可能であるため、今回の規制の影響は限定的である旨。

◇Chipmaking export curbs just a start: China adviser―TIT FOR TAT: If countries continue to impose restrictions targeting China’s high-tech sector, the countermeasures would ‘escalate,’ a former Chinese commerce official said (7月6日付け Taipei Times)
→イエレン米財務長官が北京を訪問する前日、中国が米国との技術摩擦を激化させる中、半導体の製造に使われるガリウムやゲルマニウムといった金属に対する中国の輸出規制は「始まりに過ぎない」と、影響力のある貿易政策アドバイザーが昨日述べた旨。

◇欧州、重要鉱物の供給網再編;EV需要増で、脱中国依存にかじ (7月6日付け 日経産業)
→欧州が電気自動車(EV)に使う重要鉱物のサプライチェーン(供給網)の再構築に動き始めた旨。ポルトガルで初の大型リチウム鉱山の開発計画が前進したほか、欧州連合(EU)は調達先拡大へアフリカとの連携を強める旨。米中対立が激化する中、脱中国依存を進める狙いがある旨。

◇中国、半導体素材輸出許可制へ;「数量制限や禁止ではない」 (7月7日付け 日経)
→中国商務省の束?報道官は6日の記者会見で、8月1日から適用する半導体素材の輸出許可制をめぐり「輸出の数量制限や禁止ではない」と語った旨。輸出業者からの申請内容が国家安全などに照らして問題がないと判断すれば、輸出を許可すると強調した旨。ただ「現時点で申請は受け取っていない」とも述べた旨。

◇Tech war: US opposes China’s metal export controls, saying they justify supply chain moves (7月7日付け South China Morning Post) 
→*北京のゲルマニウム・ガリウム輸出規制は「サプライチェーン多様化の必要性を強調するもの」と米商務省が発表の旨。
 *中国商務省によると、北京は米国と欧州連合(EU)にこの決定を事前に通知していた旨。

◇TSMC unfazed by Chinese controls―closely monitored: The long-term impacts of the restrictions on pricing and supply in the international market would be watched closely, minister Wang said (7月7日付け Taipei Times)
→台湾積電股?有限公司(TSMC、台積電)は昨日、半導体の製造に不可欠な2種類のレアメタルに対する中国の最新の輸出規制によって、同社の生産に直接的な影響はないと予想していると述べた旨。

米国の対中国規制に関わる動きもいくつか、以下の通りである。

◇US and Netherlands set to hit China’s chip makers with one-two punch (6月30日付け South China Morning Post)
→*オランダ政府は金曜30日に、ASMLのセカンドベスト製品ラインのトップ層に対するライセンス要件を伴う新しい規制を発表する予定である旨。
 *米国が計画している規則では、SMICが運営するファブを含む約半数の中国拠点への装置輸出にライセンスが必要となる旨。

◇米、クラウドサービスで中国企業の利用制限検討;米報道 (7月5日付け 日経 電子版 11:23)
→米紙ウォール・ストリート・ジャーナルは4日、バイデン米政権が中国企業を対象にクラウドコンピューティングサービスの利用制限を設ける準備を進めていると報じた旨。米中対立が激しくなる中、中国への人工知能(AI)技術の移転を防ぐ狙いがあるとみられる旨。報道によると、米国企業が中国企業に対し高度なAI半導体を使用するクラウドサービスを提供する際、米政府の許可を得る必要が出てくる旨。米アマゾン・ウェブ・サービス(AWS)やマイクロソフトなどが対象となるとみられる旨。
米商務省は今後数週間以内にこの措置を発表する予定の旨。

◇先端半導体装置の輸出が許可制に;増す企業の事務負担 (7月5日付け 日経 電子版 11:00)
→先端半導体の製造装置23品目の輸出管理を定めた経済産業省の省令が7月23日に施行される旨。外為法に基づく省令の改正版で、特定国・地域への輸出が事実上難しくなる旨。

米中双方応酬の推移にも、目が離せないところである。


コロナ「5類」移行とはいえ、用心怠りなくの現状と言えるかと思うが、コロナ前に戻る舵取りがそれぞれに行われている中での世界の概況について、以下日々の政治経済の動きの記事からの抽出であり、発信日で示している。

□7月3日(月)

東京株式市場、日経平均がバブル後高値を上回っている。

◇日経平均バブル後高値;日銀短観受け設備投資関連に買い (日経 電子版 18:12)
→3日の東京株式市場で日経平均株価が反発し、前営業日比564円29銭(1.7%)高の3万3753円33銭とバブル経済崩壊後の高値を上回った旨。日銀が3日に発表した6月の全国企業短期経済観測調査(短観)で大企業製造業の景況感を示す業況判断指数(DI)が7四半期ぶりに改善し、機械など景気敏感株に買いが広がった旨。

□7月4日(火)

今週は、4日が独立記念日の休日、金融引き締め長期化への警戒で大方下げた今週の米国株式市場である。

◇NYダウ3日続伸、10ドル高;テスラは販売好調で7%高 (日経 電子版 05:47)
→3日の米株式市場でダウ工業株30種平均は小幅に3日続伸し、前週末比10ドル87セント(0.03%)高の3万4418ドル47セントで終えた旨。昨年12月上旬以来、約7カ月ぶり高値だった旨。増配を発表した金融のゴールドマン・サックスやJPモルガン・チェースなどが上昇し、ダウ平均を支えた旨。一方、ハイテク株の一角などに利益確定売りが出て、ダウ平均は下げる場面もあった旨。3日は独立記念日の祝日の前日で13時までの短縮取引だった旨。積極的な売買を控える市場参加者が多く、方向感は乏しかった旨。

気になる中国関連の政治経済の動き関連である。

◇上海協力機構にイラン正式加盟;ベラルーシは覚書に署名 (日経 電子版 23:21)
→中国とロシアが主導する地域協力組織「上海協力機構(SCO)」は4日、オンライン形式で首脳会議を開き、イランの正式加盟を承認した旨。議長国インドのモディ首相はベラルーシが正式加盟に向けた覚書に署名すると明らかにした旨。
イランの正式加盟により、SCOは同国と中ロ、中央アジア4カ国、インド、パキスタンの9カ国体制となる旨。

□7月5日(水)

◇中国・人民元、15年半ぶり安値に迫る;金融緩和の足かせ (日経 電子版 20:00)
→中国の通貨、人民元が2007年末以来、約15年半ぶり安値に迫っている旨。米国の継続的な利上げで、米中金利逆転が新常態(ニューノーマル)となったことが主因。景気刺激を図る中国の一段の金融緩和は通貨安を誘発しかねない旨。人民元安が金融政策の足かせとなっている旨。

□7月6日(木)

◇NYダウ反落、129ドル安;世界景気の先行きに不透明感 (日経 電子版 05:47)
→5日の米株式市場でダウ工業株30種平均は4営業日ぶりに反落し、前営業日の3日に比べ129ドル83セント(0.4%)安の3万4288ドル64セントで終えた旨。5日発表の中国と欧州の経済指標の悪化を受け、世界景気の先行き不透明感が強まった旨。米連邦準備理事会(FRB)による利上げ継続の観測も株式相場の重荷となった旨。

中国経済の先行きにも、目が離せないところである。

◇中国経済、2023年5.5%成長予測;現地エコノミスト調査 (日経 電子版 16:01)
→日本経済新聞社と日経QUICKニュースがまとめた中国エコノミスト調査によると、中国の2023年の実質国内総生産(GDP)伸び率の平均値は5.5%だった旨。先行きへの見方は割れており、景気回復のもたつきに失望が広がる反面、政府による本格的なてこ入れ策に期待が高まる旨。

□7月7日(金)

◇NYダウ続落、366ドル安;金融引き締め長期化に警戒 (日経 電子版 05:45)
→6日の米株式市場でダウ工業株30種平均は続落し、前日比366ドル38セント(1.1%)安の3万3922ドル26セントで終えた旨。6日発表の米雇用指標が市場予想を大幅に上回った旨。労働需給の引き締まり感が強いなか、米連邦準備理事会(FRB)の金融引き締めが長期化するとの観測から売りが出た旨。

□7月8日(土)

◇NYダウ続落、187ドル安;利上げ長期化への警戒残る (日経 電子版 05:46)
→7日の米株式市場でダウ工業株30種平均は3日続落し、前日比187ドル38セント(0.6%)安の3万3734ドル88セントで終えた旨。朝方発表の6月の米雇用統計で雇用者数の増加幅は縮小したものの、時給の伸びは鈍らなかった旨。前日に高まっていた米連邦準備理事会(FRB)による金融引き締めへの過度な警戒が解けず、株売りが一段と広がった旨。


≪市場実態PickUp≫

【日欧の協力】

我が国とEUが、安全保障分野で新たな協力の枠組みを創設、半導体が以下の通り取り上げられている。欧州域内への日本メーカー誘致が1つとなっている。

◇日本とEU、安保で新協力枠組み;首脳会談の声明案 (7月3日付け 日経 電子版 05:00)
→・13日に開く日本・EU首脳会談の共同声明原案が判明
 ・中国を念頭に安全保障分野で新たな枠組みを創設
 ・アジアの安保にEUが関わるという強いメッセージに
日本と欧州連合(EU)が13日の首脳会談でまとめる共同声明の原案が2日判明した旨。安全保障分野で新たな協力枠組みを創設し、東アジアの海洋の安全確保やサイバー攻撃対策などに共同で取り組む方針を明記した旨。

◇ブルトン欧州委員、半導体域内生産「日本企業と交渉」 (7月3日付け 日経 電子版 14:14)
→欧州連合(EU)のティエリ・ブルトン欧州委員(域内市場担当)は3日、都内で日本経済新聞のインタビューに応じた旨。半導体の欧州域内生産を増やすため、日本の半導体メーカーと誘致に向けた話し合いをしているかと聞くと「もちろんだ」と明言。日本メーカーに工場新設などを働きかけていることを明らかにした旨。

◇EU and Japan look to partner on A.I. and chips as China ‘de-risking’ strategy continues―EU looks to Japan for semiconductor, AI partnerships (7月3日付け CNBC)
→1)中国への依存度を下げようとするEUは、人工知能や半導体といった重要な分野で日本との提携を模索していると、EUの技術責任者であるティエリー・ブルトン氏は語る旨。EUはまた、自国の半導体産業を強化する方法を調査している旨。
 2)*欧州連合(EU)は、人工知能のような主要技術について、日本とより緊密な協力関係を築きたいと、EUの域内industry chief、Thierry Breton氏は述べた旨。
  *ブルトン氏は月曜3日に日本政府と会談、人工知能が「非常に重要な」議題になると、日曜2日にツイッターに投稿されたビデオで語った旨。
  *EUは中国からの「脱リスク」を目指しており、その戦略の一環として、テクノロジーをめぐる同盟国との関係を深めている旨。

◇日本とEU、半導体連携強化で覚書締結へ…供給網混乱回避へ早期警戒メカニズム構築 (7月3日付け 讀賣新聞オンライン)
→日本と欧州連合(EU)は、半導体分野での連携を強化する覚書を締結する旨。関連物資の不足によるサプライチェーン(供給網)の混乱回避に向け、迅速に情報共有する「早期警戒メカニズム」の構築が柱。中国との先端技術競争でカギを握る半導体分野でのネットワークを拡大し、経済安全保障の強化を図る狙いがある旨。複数の日本政府関係者が明らかにした旨。

◇日欧、半導体の需給共有で覚書;人材育成も連携 (7月5日付け 日経)
→西村康稔経済産業相と欧州連合(EU)のブルトン欧州委員(域内市場担当)は4日、都内で半導体分野の協力に向けた覚書を交わした旨。半導体のサプライチェーン(供給網)の安定化に向けて、需給情報の共有などを始める旨。最先端品の開発に向けて、研究や人材育成などで連携する旨。
半導体の供給網は災害などに脆弱。パンデミック(世界的大流行)などが起こった際に、素早く情報を共有する「早期警戒メカニズム」を速やかに導入する旨。日欧での在庫の融通などを検討する材料にする旨。


【各国の半導体の取り組みから】

カナダの半導体業界についてである。

◇Canada’s semiconductor industry seeks renaissance from AI, shifting geopolitics―Canada growing its chip industry, drawing investors (7月3日付け The Globe and Mail (Toronto) )
→カナダの半導体業界ではルネッサンスが進行中で、人工知能(AI)、量子コンピューティングおよび電気自動車のハードウェアの未来を構築するために、各社が数億ドルの投資を集めている旨。

TSMCの創業者、Morris Chang氏が、国家安全保障と技術的リーダーシップが優先する現状を説いている。

◇TSMC founder: Globalisation in technology takes backseat to national priorities―TSMC founder: Globalization secondary to national security (7月4日付け Reuters)
→Taiwan Semiconductor Manufacturing Co.(TSMC)の創業者であるMorris Chang氏は、半導体分野ではグローバル化よりも国家安全保障問題と技術的リーダーシップが優先されると語る旨。Chang氏によると、2010年代以降、各国はグローバル化から離れ始め、現在の米中関係は協力よりも競争を優先している旨。

韓国のAI半導体への取り組み、メモリ席巻から優位に立てるとしている。

◇South Korea wants to be a top A.I. hub ― its memory chip dominance could be an advantage―South Korea aims to be an AI powerhouse by 2027 (7月6日付け CNBC)
→1)メモリー半導体市場で優位に立つ韓国は、4年以内に人工知能のハブになることを目指している旨。SKハイニックスとサムスン電子はAIの研究開発(R&D)に投資しており、サムスンは国内に半導体拠点を計画している旨。
 2)*「韓国は、AI半導体など急成長している有望な分野で突出したプレーヤーになることを目指している」と、韓国のJong-ho Lee科学・情報通信技術相はCNBCに語った旨。
  *韓国はメモリー半導体で優位に立っており、人工知能のエコシステムもしっかりしているため、世界のAI半導体競争で優位に立てる可能性がある旨。
  *韓国はメモリー半導体市場を支配しており、国内企業のサムスン電子とSKハイニックスが市場全体の70%近いシェアを占めている旨。

スペインの取り組み、Broadcomがそのプロジェクトに投資している。

◇Broadcom to invest in a $1 billion EU-funded chip programme in Spain―Broadcom is investing in Spain's chip industry (7月7日付け Reuters)
→Broadcomは、スペインの半導体エコシステム構築に向けてEUが出資するプログラムにするために$1 billion規模のプロジェクトに投資する予定の旨。スペイン政府は、半導体産業への補助金として $13 billionを確保している旨。

EUとベルギー政府のImecへの投資である。

◇EU and Belgium invest $1.6 billion in chip technology firm Imec―Imec draws $1.6B investment from EU, Belgium for clean room site (7月7日付け Reuters)
→欧州連合(EU)とベルギーのregional Flemish(フランドル地方)政府は、ベルギーの半導体チップ技術企業、Imecに15億ユーロ($1.6 billion)を投資すると、フランドル地方政府が金曜7日に発表した旨。


【アップルVision Proの生産縮小】

この6月始めに披露されたばかりの米国アップル社の新しい拡張現実(AR)ゴーグル型ヘッドセット、Vision Proについて、複雑さとパーソナライゼーションの課題とのこと、初期生産目標が削減されている。

◇Report: Apple makes production adjustments on Vision Pro headsets (7月3日付け SILICON VALLEY BUSINESS JOURNAL)
→2023年6月5日、Cupertinoのアップル本社で開催されたApple World Wide Developers Conferenceで、AppleのCEO、Tim Cook氏がApple Vision Proヘッドセットを披露。
アップルは、製品設計の複雑さとサプライチェーンの問題を理由に、複合現実感ヘッドセット、Vision Proの生産予測を縮小するよう。

◇Apple、ゴーグル型端末の生産見通しを下方修正;FT報道 (7月4日付け 日経 電子版 05:17)
→米アップルが、2024年に発売するゴーグル型端末「Vision Pro」の生産計画を引き下げることが分かった旨。英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)が3日、関係者の話として報じた旨。デザインや製造工程の複雑さが理由で、廉価版の発売も延期が見込まれる旨。

◇Chinese Apple Vision Pro suppliers stay largely quiet on report-Apple has slashed initial production target (7月5日付け South China Morning Post) 
→*アップルは複雑な設計上の問題により、ヘッドセットの初期生産目標を削減したと報じられている旨。
 *中国がアップル・ヘッドセットの製造拠点になることが決まり、該米ハイテク大手による10年ぶりの大型新製品への期待が高まっている旨。

◇Apple to have limited in-store rollout of its Vision Pro mixed reality headset (7月7日付け SILICON VALLEY BUSINESS JOURNAL)
→新しい拡張現実(AR)デバイスであるアップルのVision Proヘッドセットが、2023年6月5日、カリフォルニア州クパチーノのアップル本社で開催されたアップル世界開発者会議で披露された旨。報道によると、アップルのこの注目度の高いハイテク新製品には、複雑さとパーソナライゼーションの課題があり、それが問題になっている旨。


【MetaのThreads】

FacebookとInstagramを所有するMetaが、ツイッターに対抗するサービス、Threadsを開始、1日で登録が3000万人に達したとのこと。ツイッターからは、人材引き抜きおよび企業秘密盗用の非難が見られている。

◇As Twitter struggles under Elon Musk's ownership, Meta is launching an alternative (7月5日付け SILICON VALLEY BUSINESS JOURNAL)
→FacebookとInstagramを所有するMetaは、リアルタイムのデジタル会話でTwitterに対抗する「Threads」と呼ばれる新しいアプリを予告した旨。メタ社は木曜6日に、インスタグラムの上に構築されたツイッターそっくりのアプリを発表する予定の旨。

◇Twitter threatens legal action against Meta over Threads (7月6日付け SILICON VALLEY BUSINESS JOURNAL)
→イーロン・マスク氏のツイッターは、ソーシャルメディア大手のMetaがツイッターの競合を作るために従業員を引き抜いたと非難している旨。

◇Meta has launched Twitter rival Threads, snags 30M signups in hours (7月6日付け SILICON VALLEY BUSINESS JOURNAL)
→Meta Platforms社は7月5日、TwitterのライバルとなるThreadsをリリースした旨。 このマイクロブログのライバルは、MetaのInstagram購読者を出発点として、組み込みのユーザーベースを持っている旨。
メタ社のマーク・ザッカーバーグ最高経営責任者(CEO)は、ツイッターのライバルであるスレッズを "インターネットの未来を形作ることができると我々が信じているオープンで相互運用可能なソーシャルネットワーク "と両立可能にするよう取り組んでいると述べている旨。

◇メタの新アプリ「Threads」を体験;炎上対策を意識か (7月6日付け 日経 電子版 11:35)
→米メタのツイッター対抗サービス「Threads(スレッズ)」が6日朝始まり、記者が早速使ってみた。画像・動画共有アプリ「インスタグラム」と連携させるのが特徴で、投稿できる文字数は500字とツイッターの3倍以上だ。特に目新しい機能などは見当たらないが、ツイッターで問題になる炎上や誹謗中傷を意識しているとみられ、いいねの数や特定のコメントを非表示にできる機能もあった。・・・・・

◇Twitter、メタが企業秘密盗んだと非難;Threads公開で (7月7日付け 日経 電子版 07:09)
→ツイッターを運営するX社は5日、ツイッターと類似する短文投稿サービス「Threads」を開始した米メタに対し、企業秘密を盗んだとして非難する書簡を送っていたことがわかった旨。米複数メディアが報じた旨。スレッズは公開から約1日で登録が3000万人に達した旨。X社の弁護士は法的措置も示唆した旨。


【日本でのfab建設】

台湾の半導体受託生産大手、力晶積成電子製造(パワーチップ)とベンチャーキャピタル(VC)大手、SBIホールディングスが、12インチ工場を日本に建設するという合意を発表、今後に注目である。

◇Taiwan’s Powerchip Teams Up With SBI to Build Japan Foundry―Powerchip Semiconductor, SBI constructing a foundry in Japan (7月5日付け BNN Bloomberg (Canada))

◇SBI、台湾半導体の力晶と提携;国内に半導体工場設置へ (7月5日付け 日経 電子版 15:18)
→SBIホールディングス(VC大手)は5日、台湾の半導体受託生産大手である力晶積成電子製造(パワーチップ)と提携すると発表、自動車や産業機器に使う半導体の生産拠点を今後設けるため、両社が出資する準備会社をつくることで基本合意した旨。立地や事業計画の策定を本格化させる旨。具体的に稼働を始める時期については明言を避けた旨。

◇Powerchip and SBI to jointly build a fab in Japan (7月6日付け Taipei Times)
→パワーチップ・セミコンダクター・マニュファクチャリング(力積電)は、SBIホールディングスと共同で、自動車や人工知能(AI)アプリケーション向け半導体を製造する12インチ工場を日本に建設することで合意したと昨日発表した旨。

ご意見・ご感想