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米中摩擦の重しの中、支える新分野の着実な台頭:2019年半導体

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2019年が終わろうとしているタイミングでこの1年の半導体業界関連の動きを振り返ってみる。$469 Billionと史上最高を記録した2018年の世界半導体販売高であるが、米中摩擦のインパクトを受けて昨年末あたりから急激に落ち込んで本年2月からは底を伺う状況が続き、8月以降徐々に戻していく経過となっている。5G、AIなど新分野を巡る活発な取り組みが販売高を大きく下支えしている見え方である。WSTS秋季予測では今年総計が12.8%減の約$409 billionと二桁の落ち込みとあらわされ、来年、2020年も5.9%増と一桁の伸びで控え目な回復の見方である。現在休戦状態の米中貿易戦争であるが、どう転ぶか依然先が見通せない状況があり、新技術、新分野の引き続く伸びへの大きな期待とともに、世界情勢に一層敏感に注目せざるを得ない本年の締めとなる。

≪2019年の動きを振り返る≫

2019年の半導体業界について本欄のタイトル、計51件を分類する形で振り返って以下示しており、次の7つに分けて数字は項目数である。

【世界半導体販売高】       12件
【激しい応酬の米中摩擦関連】   9件
【これも応酬の日韓摩擦関連】   1件
【市場低迷の波乱&敏感な反応】   7件
【新分野・新技術への取り組み】  14件
【業界の実態&構図】        8件

以下、それぞれのこの1年の概要&ポイントである。

【世界半導体販売高】 12件

米国Semiconductor Industry Association(SIA)からの定例の月次世界半導体販売高の発表を追って、以下のこの1年各月の見方となっている。史上最高を更新した2018年の世界半導体販売高の後、米中摩擦の市場抑圧を受けて販売高が急減、その後底で持ちこたえてから前月比増加が続いていく以下のタイトルが示す経過である。

1-11月累計で前年販売高越え、そこに早々のアップル・ショック」 (1月)
2018年の世界半導体販売高が$469 Billion、最高更新、12月は減少」(2月)
1月販売高、30ヶ月ぶり前年比減、3ヶ月連続前月比減、先行き要注視」 (3月)
世界半導体販売高、3ヶ月連続7%台減、今年後半の市場の戻しに期待」 (4月)
1-3月の世界半導体販売高が前四半期比15.5%減、今年後半の改善期待」 (5月)
4月の世界半導体販売高、前年比14.6%減、のしかかる米中摩擦」 (6月)
米中摩擦の中の5月半導体販売高が、5ヶ月連続減、7ヶ月ぶり前月比増」 (7月)
摩擦下の第二四半期半導体販売高、前年比14.5%減、前四半期比0.3%増」 (8月)
6ヶ月連続$32-33 billion台の半導体販売高、厳しい環境下持ちこたえ」 (9月)
8月の半導体販売高が2ヶ月連続前月比増、メモリ半導体価格も安定」 (10月)
9月の世界半導体販売高、3ヶ月連続前月比増、米中協議が進展&継続」 (11月)
4ヶ月連続前月比増加、本年販売高12.8%減&来年一桁増の予測」 (12月)

2016年後半から2年あまり史上最高を更新し続ける勢いの熱い活況が続いた半導体業界であるが、遡って販売高の推移の見方を続けると以下の通りとなる。昨年11月から販売高が前月比マイナスとなって以降、12月、今年に入って急激に落ち込む経緯があらわれているが、2月以降は$32 billion〜$33 billion台に押しとどまって、8月は$34 billion台に戻すに至っている。9月は$35 billion台半ば、そして10月は$36 billion台半ばを越えて今年最高を続けて更新している。米中摩擦の覆いはすっきり晴れる見通しが依然定まらず、市場の推移には一層目が離せないところである。

販売高
前年同月比
前月比
販売高累計
(月初SIA発表)
 
2016年 7月 
$27.08 B
-2.8 %
2.6 %
2016年 8月 
$28.03 B
0.5 %
3.5 %
2016年 9月 
$29.43 B
3.6 %
4.2 %
2016年10月 
$30.45 B
5.1 %
3.4 %
2016年11月 
$31.03 B
7.4 %
2.0 %
2016年12月 
$31.01 B
12.3 %
0.0 %
$334.2 B
 
2017年 1月 
$30.63 B
13.9 %
-1.2 %
2017年 2月 
$30.39 B
16.5 %
-0.8 %
2017年 3月 
$30.88 B
18.1 %
1.6 %
2017年 4月 
$31.30 B
20.9 %
1.3 %
2017年 5月 
$31.93 B
22.6 %
1.9 %
2017年 6月 
$32.64 B
23.7 %
2.0 %
2017年 7月 
$33.65 B
24.0 %
3.1 %
2017年 8月 
$34.96 B
23.9 %
4.0 %
2017年 9月 
$35.95 B
22.2 %
2.8 %
2017年10月 
$37.09 B
21.9 %
3.2 %
2017年11月 
$37.69 B
21.5 %
1.6 %
2017年12月 
$37.99 B
22.5 %
0.8 %
$405.1 B
 
2018年 1月 
$37.59 B
22.7 %
-1.0 %
2018年 2月 
$36.75 B
21.0 %
-2.2 %
2018年 3月 
$37.02 B
20.0 %
0.7 %
2018年 4月 
$37.59 B
20.2 %
1.4 %
2018年 5月 
$38.72 B
21.0 %
3.0 %
2018年 6月 
$39.31 B
20.5 %
1.5 %
2018年 7月 
$39.49 B
17.4 %
0.4 %
2018年 8月 
$40.16 B
14.9 %
1.7 %
2018年 9月 
$40.91 B
13.8 %
2.0 %
2018年10月 
$41.81 B
12.7 %
1.0 %
($389.35 B)
2018年11月 
$41.37 B
9.8 %
-1.1 %
2018年12月 
$38.22 B
0.6 %
-7.0 %
$468.94 B
 
2019年 1月 
$35.47 B
-5.7 %
-7.2 %
2019年 2月 
$32.86 B
-10.6 %
-7.3 %
2019年 3月 
$32.28 B
-13.0 %
-1.8 %
2019年 4月 
$32.13 B
-14.6 %
-0.4 %
2019年 5月 
$33.06 B
-14.6 %
1.9 %
2019年 6月 
$32.72 B
-16.8 %
-0.9 %
2019年 7月 
$33.37 B
-15.5 %
1.7 %
2019年 8月 
$34.20 B
-15.9 %
2.5 %
2019年 9月 
$35.57 B
-14.6 %
3.4 %
2019年10月 
$36.59 B
-13.1 %
2.9 %
($338.25 B)
(…前年同期比13.1%減)

SIAの2019年10月データから地域別の販売高比率を示すと次の通りである。
前年同月と比較しているが、本年の前年比販売高急減の中、中国はじめアジアが全体比率を高める一方、米国が落とす見え方となっている。

2018年10月
2019年10月
Americas
23.3%
19.6%
Europe
8.6%
9.2%
Japan
8.1%
8.4%
China
34.4%
35.6%
Asia Pacific/All Other
25.6%
27.1%


半導体市場での我が国の現時点の位置づけは、上記の地域分類では最低のままで経過、改めて感じ入るところである。

【激しい応酬の米中摩擦関連】 9件

米中摩擦の膠着が年始めから続く中、5月には対中国全面制裁「第4弾」が打ち上げられるとともにHuaweiの「エンティティ・リスト」入りに立ち至っている。その後も応酬&膠着が続いて現在に至るが、「部分合意」を来年始めに控えて休戦状態となっている。根本打開には障壁が大き過ぎて、切羽詰まってくる時点で決裂回避という事態が繰り返されている。引き続き推移に注目せざるを得ないところである。

米中貿易摩擦渦中の一方、目を引く国際特許出願およびスパコン関連」 (3月)
決裂は回避へ、米中協議とともに目が離せない最先端微細化の動き」 (5月)
米中摩擦激化:全面制裁第4弾打上げ、Huawei念頭取引禁止発令」 (5月)
米中摩擦激化:Huawei拒否の広がり&米国の90日猶予の波紋&余波」(5月)
Huaweiを巡る各国各社各機関の様々なスタンス、中国から切り札も」 (6月)
米中摩擦の渦中、Huawei取引禁止を巡るスタンスおよびインパクト」 (6月)
米中首脳会談を間近に控え、公聴会はじめ各社高まる一途の反対の声」 (6月)
Huawei、スパコンなど引き続くインパクトの中、米中首脳会談への期待」 (7月)
米中、日韓摩擦下の各社業績発表、米中提携、今後への読み」 (8月)

【これも応酬の日韓摩擦関連】 1件

我が国と韓国の間の摩擦の中の1つとして半導体材料についての韓国への輸出管理の厳格化が挙げられている。レジストについては緩和するという動きが見られたばかりである。今年は半導体の輸出減で大きく苦しんでいる韓国であり、今後の展開に注目していくことになる。

こじれる日韓の応酬&摩擦、フッ化水素、DRAM価格など影響高まる一途」 (7月)

【市場低迷の波乱&敏感な反応】 7件

世界の政治経済情勢、特に米中貿易摩擦のインパクトを受けながらに推移した半導体業界の本年を如実に浮きだたせる以下の項目内容である。波乱含みの中、後半の戻しを誘うよう注力する市場の動きがあらわされている。

年初早々の激動&注目:Samsung業績、続アップル衝撃、インテル技術」 (1月)
米中摩擦の渦中にアップルショック、相次ぐ前年割れ&大幅下方修正」 (1月)
渦巻く波乱要因、高まる警戒局面:Huawei起訴、急激な業績悪化」 (2月)
メモリ市場後退のなか、新たな展開に賭けて今年後半に戻す期待も」 (3月)
貿易摩擦が覆う市場後退懸念が増す一途、半導体業界&各社の対応」 (8月)
貿易摩擦の波乱含みの渦中、各社の業績&備える動き:Samsung、TSMC」 (10月)
米中予断許さない中、7-9月四半期の戻し基調、今年の締めの予想」 (11月)

【新分野・新技術への取り組み】 14件

年末年初から落ち込んだ半導体販売高を支えて後半には増加基調に運んだのは、5G、AIはじめ新分野・新技術への活発な取り組みと手早い成果である。
下記の通り、取り上げた件数の多さになによりあらわれているところである。次の【業界の実態&構図】に入れているが、Googleの"量子超越"達成の量子コンピュータ開発マシンは、実現化の時間軸を大きく引き寄せていることで各方面に波紋を呼んで注目するところである。

中国の減速鮮明の中、新技術・新分野への活発な取り組み&問題提起」 (1月)
米中摩擦、中国減速の渦中、新分野・新技術に臨む各様のスタンス」 (2月)
新技術・新製品アップデート…ISSCC:折り畳みスマホ:5G半導体」 (2月)
5G端末&ビジネスの熱い競い合い、Mobile World Congress(MWC)」 (3月)
5G、AIを巡る取り組み&業界模様、各々Apple、Nvidia対抗の動きも」 (4月)
SamsungとTSMCの当面する動きから:折り畳み延期、事業&プロセス展開」 (4月)
摩擦の渦中、今後への対応…SEMICON West、インテル実装ロードマップ」 (7月)
貿易摩擦の渦中、スマホ&新市場拡大に向けたM&A、新分野への備え」 (7月)
AIはじめ新技術&新製品の熱い取り組み&打ち上げ:Hot Chipsなど」 (8月)
新型iPhone、低価格戦略への反応の一方、5Gの取り組みの高まる熱気」 (9月)
市場に変革の波を巻き起こす「5G」、摩擦の中の各社の取り組み&実態」 (9月)
新分野、最先端技術、新製品に臨む各社活発な取り組み&打ち上げ」 (9月)
新応用分野と微細化の相乗効果、半導体市場を盛り返す大きな期待」 (10月)
新分野への一層の傾斜&期待:IEDM 2019、SEMICON Japan 2019」 (12月)

【業界の実態&構図】 8件

米中摩擦のインパクトおよび5G、AIをはじめとする台頭が、半導体業界にも激しい変化を引き起こしており、そしてもう1つ、米中のIT巨人、すなわち米国・GAFA(Google・Apple・Facebook・Amazon)および中国・BATH(Baidu:Alibaba:Tencent:Huawei)それぞれ各様の風圧が見舞い&見舞われたこの1年と感じている。生々しいキーワードも入ってくる以下それぞれの取り上げである。

見えてきている実態:中国半導体業界、AI(人工知能)関連取り組み」 (4月)
5G半導体を巡る業界構図激変の一方、活発な最先端微細化の取り組み」 (4月)
最先端技術&新分野最前線での軋轢:特許侵害、機密盗用、情報管理」 (9月)
ハイテクbehemothsを巡る注目:Google"量子超越"、Facebook公聴会」 (10月)
米中追加関税の段階的撤廃の応酬の中、狭間の台湾・TSMCの躍動模様」 (11月)
米中IT巨人の戦略展開の渦中、半導体分野のそれぞれ備える動き」 (11月)
台湾に向かう半導体関連の動き:事業売却、最先端連携、5G対応開発」 (12月)
成長市場に向けて相続くM&A、連携、事業移行、標準化の動き」 (12月)


≪市場実態PickUp≫

【米中摩擦関連】

トランプ大統領と習近平国家主席の電話協議の後、週明けに中国側から859品目の輸入関税の1月1日からの引き下げが発表され、積極的に市場を開放して中国国内の消費者を支援していくスタンスが打ち出されている。

◇China to lower import tariffs on frozen pork, avocados from January 1-China to cut tariffs on more than 850 imports (12月23日付け Reuters)
→中国が、食料、multicomponent半導体、木材&紙製品、および喘息&糖尿病の薬など850を上回る輸入製品の関税を1月1日に下げる旨。あるIT製品について関税を7月1日に下げる旨。

◇After truce with U.S., China cuts tariffs on many global imports (12月23日付け SILICON VALLEY BUSINESS JOURNAL)
→中国が月曜23日、世界中から輸入されているある範囲の製品について1月1日から関税を下げ、米国との貿易休戦が中国経済に対する圧力を何らか和らげている中、国内の消費者の支援に向かっていく旨。

◇China to adjust import tariffs for some products starting Jan. 1 (12月23日付け Xinhua News Agency (China))

◇中国、859品目関税下げ、豚肉やオレンジジュース (12月23日付け 日経 電子版 11:43)
→中国国務院(政府)は23日、2020年1月1日から冷凍豚肉やオレンジジュースなど859品目の輸入関税を引き下げると発表、米中の貿易協議が第1段階の合意に達したことを受け、中国が積極的に市場を開放する姿勢をアピールする狙いがある旨。国内の製造業の支援もにらみ、関連の部品などの関税も引き下げ、半導体検査装置や高圧タービン、自動変速機などが対象の旨。

米国側が求める大豆の対中輸出も増える見え方となっている。

◇米国産大豆、11月の対中輸出2倍に、貿易協議進展で (12月27日付け 日経 電子版 02:30)
→米国産大豆の中国への輸出が急増している旨。中国の税関当局によると、米国からの大豆輸入量は11月に256万トンとなり、10月の114万トンの2倍超に増えた旨。中国の米国産大豆の輸入は昨年後半にほぼゼロまで落ち込んだが、米中貿易交渉の進展を受けて中国が輸入を増やしている可能性がある旨。

米国株式市場の今年の締めに注目であるが、米中摩擦の緩和方向を好感、以下の活況を呈している。

◇Tech stocks boost Nasdaq past 9,000 for the first time ever (12月26日付け SILICON VALLEY BUSINESS JOURNAL)
→最も引っ張っているのは、Apple, Microsoft, Amazonおよび半導体関連株の旨。

◇Nasdaq tops 9,000 on boosts from Amazon, trade optimism-US stock indexes close at record highs (12月26日付け Reuters)
→3つの主要米国株式指数が木曜26日最高記録で締め、Amazonでの力強いholiday販売高および米中貿易についての楽観的見方に反応の旨。Nasdaq compositeが初めて9,000を越え、10回連続最高の締めの旨。

◇Apple stock hits all-time high and could keep growing, analysts say (12月27日付け SILICON VALLEY BUSINESS JOURNAL)
→Zacks Equity Research発。consumer electronics大手、Apple社(Cupertino)が、Microsoft社およびVisa社とともにDow Jones stocks of the yearのトップ3の1つであった旨。

【2019年の総括】

いろいろな切り口であらわされているが、まずは、熱い展開が続いた人工知能(AI)分野の2019年について、AI acceleratorハードウェア関連の重要イベント・トップ5である。

◇5 Pivotal Events in AI Chips in 2019-Acquisitions, Markets and Startups Galore (12月22日付け EE Times)
→2020年以降に引き続き広まっていくAI acceleratorハードウェア分野における重要イベント・トップ5:
 ・AI Comes to Tiny Edge Devices
  …7月のTinyMLグループ初回会合は、発生期にある業界分野、超低電力デバイスにおけるAI向けソフトウェア&ハードウェアの出現を記した旨。
 ・Groq Reveals its Hand
  …最も熱く期待されているstartupsの1つ、Groqが、今秋そのアーキテクチャーの詳細をいくつか示した旨。
 ・Microsoft offers GraphCore
  …Microsoftが、GraphcoreのIPU(Intelligence Processing Unit)半導体開発で2年間協働しており、今やAzureの一部として顧客に提示の旨。
 ・MLPerf Inference Scores
  …11月に、AI推論に向けたbenchmarkスコアの第1ラウンドが、業界のよく知られるAI benchmarking機関, MLPerfによりリリースされた旨。
 ・Intel acquires Habana Labs
  …12月16日付け記事のこと、IntelがHabana Labsを$2 billionで買収、Intelの前のデータセンターAI半導体startup, Nervanaの運命が噂になっている旨。Nervanaはちょうど2週前にtraining & 推論半導体を披露したばかり、多くはHabana買収をNervanaのハードウェア性能が万事良くなかった兆候と捉えている旨。

米中摩擦インパクトの中、解体の激変に見舞われたelectronics supply chain分野である。

◇Supply Chain 2019: Breakups, Boycotts, and ‘a Whole Lotta’ Tariffs (12月23日付け EE Times)
→1年のうちにelectronics supply chainでは、達成にかつて何十年かかったレベルのdisruption(破壊的変容)が見られた旨。1990年代は該channelにおける熱狂的なM&A活動で知られるが、2019年は解体で記されるであろう旨。以下の注目内容:
 Texas Instruments and the channel
 Global distributors and the ECIA(Electronic Components Industry
 Association)
 WPG attempts takeover of WT Microelectronics
 Trade, tariffs, and boycotts
 U.S. manufacturing contracts
 Yageo buys Kemet

IoTおよびembeddedシステム分野での大きなインパクトの動き・トップ5である。

◇5 Pivotal Events in IoT and Embedded (12月26日付け EE Times)
→IoTおよびembeddedシステムの世界にインパクトを与えている2019年の重要イベント・トップ5:
 The rebirth of ultra-wideband(UWB)
 Everyone wants connectivity
 Arm now allows some customization
 Security goes open source
 RISC-V gaining traction

2019年のアジアの株式市場での時価総額増加額ランキングがあらわされている。アリババ集団が首位、TSMCが3位、Samsungが4位につけている。

◇時価総額増加ランキング、アリババがアジア首位 −2019年、スマホ決済・5Gに期待 (12月25日付け 日経 電子版 19:23)
→米中摩擦が逆風となるなか、アジアの株式市場でキャッシュを着実に稼ぐ企業に資金が流入している旨。2019年に時価総額を増やしたアジア企業をランキングしたところ、中国の電子商取引(EC)最大手のアリババ集団が増加額で首位となった旨。スマートフォン決済や物流網を深化させて業績を拡大。香港市場に重複上場して投資家の成長期待をひき付けた旨。韓国サムスン電子なども上位に入った。2020年も企業の選別が進みそうな旨。
≪アジア企業の2019年時価総額増加額ランキング≫
 1. アリババ集団
 2. 貴州芽台酒
 3. TSMC
 4. サムスン電子
 5. テンセント(騰訊)

◇Alibaba becomes most valuable Asian company as market cap tops $500bn-2019 gains make Alibaba the most valuable firm in Asia -Samsung and TSMC surged in 2019; Indian automakers and SE Asian airlines slumped (12月26日付け Nikkei Asian Review (Japan))

【2020年の展望】

これもいろいろな切り口。大きな比率を占める韓国での半導体業界が2020年は回復に向かうと見る予測である。

◇Recovery of chip industry to boost Korean stock market in 2020: global IBs-Investment banks see chip industry rebound boosting stocks (12月22日付け The Korea Herald (Seoul))
→世界investment banks(IBs)予測。メモリ半導体により力強い需要が見えてきて、ソウル株式市場価格に利点が生じ、2020年の韓国半導体業界は回復に向かっていく旨。Kospi benchmarkが、2019年の平均2,100 pointsに対し来年は平均2,300 pointsの取引になりそう、と該banksは予測している旨。

electronic製品について2020年の注目キーワードである。

◇Five 2020 Predictions for Components (12月23日付け EE Times)
→来る年に向けてelectronic製品の間での注目、以下についての予測。
 LiDAR sensors in vehicles
 MicroLEDs
 5G chipsets
 Haptic technologies in VR/AR
 Lithium-sulfur batteries

5Gは、2020年の半導体需要を引っ張るのかどうか。4Gまでとは違うのではないか、と5点の提起である。

◇Will 5G Technology Save the Semiconductor Industry in 2020?-Read 5 predictions for the 5G rollout in 2020 and its impacts on the semiconductors industry now. (12月23日付け EIN Newsdesk)
→ワイヤレスネットワークスの各新世代は半導体製品の需要を引っ張る支えになっているが、第5世代ではいくつか重大な相違があり、5Gが2020年以降で異なるかもしれない以下の5点に注目の旨。
 1. Whose 5G Ecosystem is It Anyway?
 2. Who Will Manufacture the Chips and Network Infrastructure for 5G?
 3. The Rollout Strategy for 5G Networks in the USA in 2020
 4. Basestation Challenges and Opportunities that are Unique to 5G Networks
 5. IoT and Ultra-Reliable Low Latency Communications(URLLC)

Imagination Technologiesの見る2020年である。

◇Imagination's predications for 2020-Imagination Technologies makes predictions for 2020 (12月24日付け New Electronics)
→Imagination Technologiesが、来年の間に起きることの一連の予測を提示、artificial intelligence(AI)が2020年もkey topicである一方、robotaxisの最初の運用などの流れが見えてくる旨。

【CES 2020】

新年早々恒例のConsumer Electronics Show(CES) 2020(1月7-10日:Las Vegas)での新技術・新製品の打ち上げ予定があらわされ、インテルとMediaTekより次の通りである。

◇Intel to intro innovative thermal design for notebooks (12月25日付け DIGITIMES)
→上流supply chain筋発。Intelが来るCES 2020(1月7-10日:Las Vegas)にて、新しいthermalモジュール設計を発表する予定、notebooksの熱放散を25-30%高められ、多くのbrandsもまたCESの間に該革新を用いる製品を披露する運びの旨。

◇MediaTek to showcase Dimensity 800 5G SoC at CES 2020 (12月26日付け DIGITIMES)
→MediaTekが、来るCES 2020(1月7-10日:Las Vegas)にて同社2番目のsub-6 GHz 5G SoC, コード名Dimensity 800を披露、2020年第二四半期に該半導体を渡し始める運びの旨。

◇MediaTek's new 5G chip due in Q2-MediaTek will launch another 5G chip in Q2 -‘MARKET TRENDS’:The company's second 5G SoC, whose specifications are to be revealed next month, aims to take on Qualcomm's Snapdragon 765 family (12月26日付け The Taipei Times (Taiwan))
→MediaTekが、2020年第二四半期の間に2つ目の5G system-on-a-chip(SoC)デバイスを提示、mid-range to high-tierスマートフォン向けの旨。同社は以前に、premium phones向けにDimensity 1000 5G SoCを投入の旨。

【GAFA関連】

米国・GAFA(Google・Apple・Facebook・Amazon)の動きは引き続き目が離せないところ。それぞれに半導体の自前設計が進みつつあるが、ものづくりはどうするのか、Samsungの計画と照らして投げかける見方である。

◇Behind Samsung's $116 Billion Bid for Chip Supremacy-Analysis: Samsung to spend $116B to be No. 1 in chips (12月23日付け Bloomberg (tiered subscription model))
→ハイテク大手が、artificial intelligence(AI) tasksからサーバ性能およびモバイル電池寿命まですべての最適化に向けて次の通り自前の半導体設計を増やしている旨。
 Google  → Tensor Processing Unit
 Apple  → A13 Bionic
 Amazon.com → Graviton2
しかしながら、どこにも欠けているのは夢見ている新しい半導体をつくる工場である旨。
Samsung Electronics Co.はというと、彼らの事業に向けて10年に及ぶ$116 billionもの推進を計画しており、半導体小型化の次のステップ、extreme ultraviolet lithography(EUV)プロセスに大きく投資している旨。

Facebookの特許取得が次の通り。プライバシーは大丈夫か、まず浮かんでくるところがある。

◇Facebook secures patent to track users' TV viewing with microphones, cameras, GPS (12月24日付け SILICON VALLEY BUSINESS JOURNAL)
→Facebook社が火曜24日、ユーザがTVおよびstreamingサービスで観ているものを追い、ユーザデータの残りとの相関をとり、ある場合には機器のマイクロフォン、カメラあるいはGPSを用いてユーザが観ているものを示すオーディオ、画像、ビデオあるいは位置データを捉えるという特許を獲得の旨。

Appleが、中国のsupply chainメーカーとの関係を深め、出荷増&自らの負担軽減を図る動きである。

◇Apple reportedly to deepen cooperation with China supply chain makers (12月25日付け DIGITIMES)
→台湾のhandset supply chainメーカー発。Appleが、中国のsupply chainメーカーとの協力関係を深めており、中国向け出荷を立ち上げるだけでなくさらに同社のオーバーヘッドを減らしてもいる旨。


≪グローバル雑学王−599≫

米中の摩擦、対立、そして最終決戦の行き着くところは台湾になると、

『ファーウェイと米中5G戦争』
 (近藤 大介 著:講談社+α新書 711−2 C) …2019年7月18日第一刷発行

より2回にわたって台湾の生命線の重みに迫っていく1回目である。まずは、iPhoneはじめ電子機器受託製造で2018年期で約18.3兆円の売上高に達している台湾のホンハイ(鴻海精密工業、Foxconn)およびそのトップ、郭台銘(Terry Gou)会長について、中国での生産活動に先鞭をつけいまも100万人規模の中国人従業員を雇用する取り組みの経緯が示されている。ファーウェイの任正非CEOとは「老朋友」(旧い友人)の仲、1990年代に深センに隣り合わせの工場となって以来のつながりとのこと。郭台銘会長は、2020年1月の台湾総統選挙への出馬を目指していたが、本書の発行後まもなくこの9月半ばに出馬を断念しており、以下それ以前の表し方となっている。次回と合わせて、ファーウェイの製品は"中国と台湾の合作"という実態に改めて迫っていく。


第6章 米中の「最終決戦場」台湾 …2分の1

■鴻海会長の台湾総統選挙出馬表明
・深センにて、ポツリとタクシーの運転手:
 →「道の東側にファーウェイ。一方、道の西側には、ホンハイ(鴻海精密工業、Foxconn)。」
 →「同じ業界の会社で、道一つ隔てただけというのに、まるで世界が違う。」
・巨大なファーウェイ本社の向かいに、「ファーウェイ帝国」の2倍にあたる10万人の社員を擁する「ホンハイ帝国」
 →道路の東側は、まるで欧米の大学のキャンパスのように青々とした緑、その中に豪華な館が点在
 →一方の西側は、巨大で殺風景な巨大工場群
・この位置関係は、ファーウェイとホンハイが、兄弟のような関係にあることをも示していた
 →「ホンハイ帝国」に君臨する郭台銘(Terry Gou)会長は、毎年新年になると、この地へやって来る
・「媽祖のお告げによって、私は立候補を決意した……」
 →2019年4月17日、世界最大のEMS(電子機器受託製造サービス)企業、ホンハイの郭台銘会長が、2020年1月の台湾総統選挙に、国民党候補として出馬すると表明
 ※「媽祖」…中国人が沿岸地域で古代から祀ってきた「航海の無事を守る女神」
・郭会長は、ファーウェイの任正非CEOの「老朋友」(旧い友人)として知られる
 →1988年、当時無名のホンハイは、中国の経済特区・深センに工場を出した
 →二人の「老板」(社長)は、1990年代になってファーウェイがホンハイの隣に工場を建てて以降知り合い、意気投合
 →任CEOが深謀遠慮の哲学者タイプなのに対し、郭会長は即物的で直感の人
 →二人とも赤貧の中から身を興し、ファイト精神に溢れ、勃勃たる野心
・郭会長は、1950年10月18日、台北市の中心部から7キロほど南西、板橋(現在の新北市中心部)の生まれ
 →郭台銘は1974年、10人の工員を雇って鴻海プラスチック(後の鴻海精密工業)を創業
 →創業時は白黒テレビのチャンネルのつまみ部分の下請け工場
 ※「鴻海」→「鴻飛千里、海納百川」(鴻は千里を飛び、海は百川を納める)
・転機が訪れたのは、創業15年目の1988年
 →中国の小平は、台湾企業を中国大陸に呼び込もうとした
 →台湾企業に自戒が求められる中、それを破って中国大陸に進出した台湾企業第1号が、ホンハイ
・ホンハイは、深セン北郊の一等地・龍崗に工場を提供され、以後、中国で安価な製品を作ってアメリカなどに輸出するという「三角ビジネス」で、大躍進
 →1990年代後半から、世界の名だたるメーカーのパソコンを作り始め、2004年に世界一のEMS企業に
 →2016年にはシャープを買収、日本でも名を馳せた
・ホンハイは中国では、富士康科技集団という社名で展開
 →39都市に工場や拠点、最大時には約150万人もの中国人従業員を雇用
 →2019年夏現在は、100万人程度、なお中国最大規模の民営企業
・ホンハイの2018年12月期連結決算
 →売上高が前年比12%増の5兆2938億台湾ドル(約18.3兆円)
 →純利益は前年比7%減の1290億台湾ドル(約4450億円)
・4月に総統選挙出馬を表明して以降は、「台湾川普」(台湾のトランプ)というニックネームに

◎本新書発行後の事態であるが、郭台銘氏は台湾総統選挙出馬を断念している
→◇総統選、一騎打ちへ 鴻海創業者は断念 台湾 (2019年9月18日付け 朝日新聞DIGITAL)
 →来年1月の台湾総統選について、鴻海(ホンハイ)精密工業の創業者、郭台銘氏(68)が16日、不出馬を表明した。野党国民党の公認候補を決める予備選で敗れた後、無所属での立候補を模索したが断念した。民進党の現職・蔡英文総統(63)と、国民党の韓国瑜・高雄市長(62)による2大政党対決となる。

■米中対立の狭間で
・台湾では、日本の植民地支配を経て、1945年以降は国民党政権が長期にわたって続いた
 →2000年に下野。代わって「台湾独立」を綱領に掲げる民進党の陳水扁政権が発足
 →馬英九首席率いる国民党が2008年に政権を奪還
 →2016年5月に再び民進党の蔡英文政権に
 →2020年1月に次期総統選挙
・台湾は、米中貿易戦争とハイテク覇権戦争に翻弄
 →「中国大陸からアメリカへ輸出している10大企業のうち、8社が台湾企業」(元台湾経済部長)
 →中でも最大がホンハイ、2018年の中国の全貿易額の4.1%を占める
・「トランプ政権とも習近平政権とも親しい自分が台湾総統になって、米中対立の緩和に一肌脱ごうと思い立った」と、郭会長本人
 →2017年7月、郭会長はトランプ大統領の目の前で、「ウィスコンシン州に100億米ドルを投資して、8K液晶パネル工場を建てる」と発表
 →2018年6月28日、ウィスコンシン州の8K液晶パネル工場の着工式、トランプ大統領もわざわざ参列
 →だが、翌週の7月6日、米中貿易戦争が「開戦」
 →2019年1月30日、ウィスコンシン工場計画の見直しを発表
 →トランプ大統領が噛みついて、2月1日、郭会長に直接、電話をかけて説得
 →「やはり当初の予定通り進めることにした」と述べることに
・おそらくこの頃、郭台銘会長は、次期総統選挙への出馬を最終決断したものと思われる
 →「一国の主」となることで、ホンハイの安寧を図ろうとしたのだろう

■習近平と郭台銘、任正非の「仲」
・一方、習近平主席にとっても、知己である郭会長の出馬は吉報
 →習近平は、1985年から2002年まで、台湾と海峡を挟む福建省に勤めていて、多くの台湾人士と面識、郭会長もその1人
・郭会長は2014年の春節明けの2月18日、北京の釣魚台国賓館(ちょうぎょだいこくひんかん)に、習近平主席を訪問
 →中国共産党の「老朋友」、連戦国民党名誉主席も同席
 →習主席が郭会長に期待していたのは、「中台間の架け橋」としての役割
 →実際、この時の三者会談が下地となって、翌2015年11月、習主席と馬英九総統という中台トップ同士が、1949年の分断以降初めての歴史的会談が実現
・だがその後、台湾には、2016年5月に独立を志向する蔡英文政権が発足、2018年7月には米中貿易戦争が勃発
 →習近平政権としては、中国からアメリカへの最大の輸出企業であるホンハイを中国に繋ぎ止め、味方につけておくことが、戦略上絶対的に重要
・習近平主席と任正非CEOの関係
 →習主席が敬愛し、目標にするのは「建国の父」毛沢東
 →それに対し任CEOは、「改革開放の総設計師」小平を地で行く経営者
・任CEOは、これまで北京の指導者が誰であろうと、共産党政権から距離を置こうとしてきた
 →確かに深センに来てみると、街に習近平主席の写真も共産党のスローガンも掲げられておらず、「中国であって中国でない」雰囲気
・深セン気質を物語るエピソード:2016年10月、李克強首相が深センを代表する起業家80人余りと懇談
 →李首相が「今後政府にどんな支援を望むか?」と質問
 →その返答として「お願いですから私たちを放っておいてください。それが一番、政府に望むことです。」
・それでも現在のファーウェイは、中国政府といわば二人三脚に
 →第1:5Gが社会そのものを変革するため、政府と企業が一体になって進めていく
 →第2:トランプ政権から強烈に叩かれているのは、ファーウェイであり中国だから

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