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米中予断許さない中、7-9月四半期の戻し基調、今年の締めの予想

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Huaweiに対する制裁措置を一部緩和して米国製品の輸出を限定的に容認する動きを米国商務省が行なって、Microsoftは輸出ライセンスを認められたとのこと。まだまだ部分的で先行きが依然はっきりとは見えず、香港問題など加わって米中貿易戦争の覆いがまったく予断を許さない中、半導体関連の7-9月、第三四半期の戻し基調が鮮明になっている。それを受けて北米装置メーカーの10月世界billingsが、2018年10月以降はじめて前年比増加を示している。本年残すところ1ヶ月余り、今年の半導体サプライヤランキング予想がIC Insightsにより表わされ、メモリ半導体の落ち込みを反映、IntelがSamsungに$14.2 billionの差をつけて首位を取り戻す内容となっている。

≪重しの中の光明≫

Huaweiに対する販売ライセンスを巡る米国政府とHuaweiの応酬が次の通り見られている。一時ライセンスを90日延長しようが違いないこと、とHuaweiである。

◇The United States once again kicks the Huawei can down the road-US extends temporary sales to Huawei (11月18日付け CNN)
→米国商務省が、現在の一時licenseが月曜18日期限切れということで、アメリカの会社がHuawei Technologiesに続けて販売が行える一時general licenseをもう一度延長の旨。該包囲された中国の会社は、90日延長はほとんど差のないこととしている旨。

◇US extends licence for companies doing business with Huawei (11月18日付け SILICON VALLEY BUSINESS JOURNAL)

◇Huawei plays down impact of new U.S. license extension (11月19日付け Reuters)

◇米、ファーウェイ禁輸を継続、例外措置は90日間延長 (11月19日付け 日経 電子版 01:37)
→米商務省は18日、中国の通信機器最大手、華為技術(ファーウェイ)に対する事実上の禁輸措置を継続すると発表、そのうえで保守にかかわる限定的な取引のみ認める例外措置を90日間延長する旨。米中両政府が貿易協議で部分合意を探るなか、中国が解除を求める同社への制裁は引き続き対立の火種となりそうな旨。
商務省は、ファーウェイが既存の通信網や携帯電話の安全性を保つために必要な製品やソフトウエアに限り、米国製品の同社への輸出を認めてきた旨。こうした例外措置は18日に期限を迎えたが、さらに2020年2月16日まで延ばす旨。

◇米、ファーウェイ制裁の結論先送り、対中交渉の材料に (11月19日付け 日経 電子版 07:36)
→トランプ米政権が中国の通信機器最大手、華為技術(ファーウェイ)に課す禁輸措置の行方が不透明になっている旨。米商務省は18日、一部取引を認める例外措置を3カ月延長したが、トランプ大統領が表明した制裁緩和の結論は先送りした旨。米中両政府が進める貿易協議を左右する材料となっており、企業を翻弄する展開が続きそうな旨。

こうした中、米国政府が国家安全懸念を生じない商用半導体技術に向けた輸出ライセンスの最初の承認ということで、米国・Semiconductor Industry Association(SIA)が歓迎している。

◇U.S. approves first licenses for tech sales to Huawei-Semiconductor companies are among those granted permission to restart sales, even as the trade ban on Chinese tech giant remains in place. (11月20日付け The Washington Post)

◇SIA Statement on Licenses for Exports to Huawei (11月20日付け SIA Latest News)
→Semiconductor Industry Association(SIA)が本日、Huawei向け輸出ライセンスの承認に関して、president & CEO、John Neuffer氏からの以下のステートメントをリリースの旨。"政権の国家安全懸念を生じない商用半導体技術に向けた輸出ライセンス承認を歓迎する。これらnon-sensitive商用製品の販売は、国家安全に肝要な米国半導体業界の競争力を確かなものにする。ライセンス承認が適確そして時宜に適って引き続き進むよう希望する。"

◇Some Huawei suppliers get U.S. approval to restart sales to blacklisted firm (11月21日付け Reuters)

◇U.S. Starts Granting, Denying Some Huawei Supply Licenses (11月21日付け Bloomberg)

◇U.S. approves first licenses for tech sales to Huawei-Semiconductor companies are among those granted permission to restart sales, even as the trade ban on Chinese tech giant remains in place. (11月21日付け Washington Post)

◇Huawei will soon be able to buy from some US suppliers again-Commerce Dept. to grant, deny licenses for Huawei sales (11月21日付け CNN)
→米国商務省が水曜20日、アメリカの会社に"いくつかのライセンス"を認可、Huawei Technologiesへの販売を続けられるようにする一方、いくつかのライセンス適用は与えないと付け加えている旨。Broadcom, Google, Intel, MicrosoftおよびQualcommはすべて、該ライセンス問題についてコメントを控えている旨。

◇米、ファーウェイ制裁を一部緩和、輸出を限定容認 (11月21日付け 日経 電子版 04:30)
→米商務省が事実上の禁輸措置を課している中国の通信機器最大手、華為技術(ファーウェイ)に対し、米国製品の輸出を限定的に認める手続きを始めたことが20日、分かった旨。トランプ米大統領が6月末に制裁を一部緩和する方針を表明したが、貿易交渉の長期化や政権内の意見対立でこれまで実施が持ち越されていた旨。
中国政府やファーウェイは制裁の一部緩和ではなく、全面的な解除を求めている旨。トランプ政権による今回の決断が中国から譲歩を引き出し、貿易協議の進展を促すかどうかは不透明。
ロス商務長官が米テレビのインタビューで、ファーウェイへの輸出許可を申請してきた企業に審査結果を伝え始めたと明らかにした旨。

Huaweiの日本からの部品調達額が米国からを上回ると、Huawei会長(No.2)のコメントが見られている。

◇ファーウェイ、日本から部品1.1兆円調達、2019年5割増 (11月21日付け 日経 電子版 22:06)
→中国通信機器最大手の華為技術(ファーウェイ)の経営ナンバー2の梁華会長は21日、都内で記者会見し、2019年の日本企業からの部品調達額が前年より5割多い1兆1千億円になるとの見通しを示した旨。米国に代わり、日本が最大の部品調達先となる見込み。米政府が同社に制裁を科し米企業との取引が制限されるなか、同社は日本企業との連携に活路を求める旨。

米国上院の一部からはライセンス発行を止めるよう求める動きである。

◇U.S. senators urge Trump administration to halt Huawei license approvals-Senators call for stop on Huawei license approvals (11月21日付け Reuters)
→上院議員15人がTrump政権に対し、Huawei Technologiesは国家安全への脅威があるとして、同社とビジネスを行うアメリカの会社へのライセンス発行を中止するよう求めた旨。Donald Trump宛てのletterにて該超党派グループは、商務省のライセンスは"Huaweiが米国テレコム・インフラおよび国家セキュリティにより広範に重大な脅威を引き続き起こす"ことを可能にする、としている旨。

このほど米国政府からライセンスを受けた先は明らかにされていないが、Microsoftは認められたとしている。

◇Microsoft granted license to export 'mass-market' software to Huawei (11月22日付け Reuters)
→Microsoft社が木曜21日、米国政府からのソフトウェアをHuawei Technologies Co Ltd.に輸出するライセンスを認められた旨。

米中そしてHuaweiを巡る動きは依然混沌としているが、7-9月、第三四半期の半導体関連の市場は以下の通り明るい兆しが見えてきている。

◇Subdued Seasonal Upturn . . . But Better Times Ahead (11月14日付け SEMI)
→2019年第三四半期のグローバルelectronic機器販売高が、2018年第三四半期に対して0.3%増の見積もりの旨。

◇世界の半導体10社、増益転換、データ拠点の需要回復、7-9月、5G商用化も追い風 (11月16日付け 日経)
→世界の半導体メーカーの業績が復調してきた旨。14日までに2019年7-9月期決算を発表した大手10社の純利益は前の四半期と比べて4四半期ぶりに増益に転じた旨。IT大手によるデータセンター投資が回復基調で、半導体市況に底入れ機運が高まっている旨。次世代通信規格「5G」の商用化も追い風。ただ米中貿易戦争など不透明要因も多く、慎重な見方も根強い旨。

世界の上場企業となると、減益が続いているが、半導体の戻しへの期待もあらわされている。

◇世界の上場企業、減益続く、7〜9月、製造業が不振 (11月17日付け 日経 電子版 22:15)
→世界の上場企業の業績が悪化している旨。世界約1万8000社の2019年7〜9月期の純利益は前年同期比8%減。減益は4四半期連続。世界景気の減速を背景に、米欧日など幅広い地域で製造業を中心に業績が落ち込んだ旨。株式市場では半導体の需要回復が見込めるなどとして先行きの底入れ期待が強いが、米中貿易協議など不透明要素が多く予断を許さない旨。

DRAM価格も落ち幅が鈍化、第三四半期販売高が伸びを取り戻している。

◇Q4 DRAM ASP only trending down 5% QoQ-DRAMeXchange: Q4 DRAM ASP down just 5% on quarter (11月18日付け Electronics Weekly (UK))
→DRAMeXchange発。第四四半期のDRAM契約ASPは前四半期比5%の低下となっている一方、数量は前四半期比かなり伸びている旨。

◇Global DRAM sector ends three quarters of recession-DRAM sector climbs out of recession, TrendForce reports (11月19日付け The Taipei Times (Taiwan))
→TrendForce発。3四半期連続の低迷状態を経て、世界DRAM業界が2019年第三四半期の間に伸びのパターンを取り戻している旨。半導体在庫の減少および米国の関税を避けることを狙った先買い受注で、該四半期においてDRAM需要が復活している、と特に言及の旨。

◇IC sector output rises 5.1% in Q3 on new launches-Ministry reports 5.1% gain in Taiwan's Q3 IC sector output (11月18日付け The Taipei Times (Taiwan)/Channel NewsAsia)
→台湾・Ministry of Economic Affairs発。台湾の半導体業界の第三四半期の間の生産額が、前年同期比5.1%増の約$13 billion。2019年1-9月累計では前年同期比2.8%減。

◇ITRI raises chip industry forecast-Taiwan's ITRI increases chip industry forecast 1% to $86.88B (11月19日付け The Taipei Times (Taiwan))
→台湾・Industrial Technology Research Institute(ITRI, 工研院)が、現地半導体業界の今年の生産額がNT$2.65 trillion($86.88 billion)、昨年のNT$2.61 trillionから約1%増、と予測を上方修正の旨。該予測は、第三四半期に該生産額が4%増のNT$721.7 billionとなって2四半期連続の前年比減少に終止符、プラス領域に回帰したことからきている旨。

◇Global DRAM revenues increase 4% in 3Q19, says DRAMeXchange (11月20日付け DIGITIMES)
→DRAMeXchange発。グローバルDRAM市場販売高が、3四半期の前四半期比減少を経て、2019年第三四半期に前四半期比4.1%増の$15.45 billionとなった旨。DRAMサプライヤのビット販売高合計が第三四半期に急速に立ち上がっている旨。

◇DRAM trend looks healthy through Q1: Micron CEO-Micron CEO sees "healthy demand trends" in DRAM market (11月22日付け The Taipei Times (Taiwan))
→Micron TechnologyのCEO、Sanjay Mehrotra氏は、artificial intelligence(AI), internet of things(IoT)などの応用がDRAMsの使用を高めていくとしている旨。「calendarの2020年第一四半期の先を見ると、すべての末端市場においてDRAMに向けた健全な需要の流れが見える。DRAM業界および生産元では依然余剰在庫があるが、急速に減ってきている。」

米国・Semiconductor Industry Association(SIA)による月次世界半導体販売高でも、7-9月の増加基調がはっきりあらわれている。

2019年 1月 
$35.47 B
-5.7 %
-7.2 %
2019年 2月 
$32.86 B
-10.6 %
-7.3 %
2019年 3月 
$32.28 B
-13.0 %
-1.8 %
2019年 4月 
$32.13 B
-14.6 %
-0.4 %
2019年 5月 
$33.06 B
-14.6 %
1.9 %
2019年 6月 
$32.72 B
-16.8 %
-0.9 %
2019年 7月 
$33.37 B
-15.5 %
1.7 %
2019年 8月 
$34.20 B
-15.9 %
2.5 %
2019年 9月 
$35.57 B
-14.6 %
3.4 %


半導体の戻しを受けて、北米半導体装置メーカーの10月世界billingsが、昨年10月以降はじめての前年比増加を示している。

◇North American Semiconductor Equipment Industry Posts October 2019 Billings (11月19日付け SEMI)

◇North American Semiconductor Equipment Industry Posts October 2019 Billings (11月20日付け SEMICONDUCTOR DIGEST)
→SEMIのOctober Equipment Market DataSubscription(EMDS) Billings Report。北米半導体装置メーカーの2019年10月世界billingsが$2.11 billion(3ヶ月平均ベース)、前月、2019年9月の最終レベル、$1.96 billionを7.7%上回り、前年同月、2018年10月の$2.03 billionを3.9%上回る旨。「北米装置メーカーの月次billingsが、2018年10月以降はじめて前年比増加となり、昨年12月以降最高のレベルにある。」と、SEMIのpresident and CEO、Ajit Manocha氏。「装置billingsはメモリ在庫縮小および最先端装置へのファウンドリー投資の力強さで加速している。」

Billings
Year-Over-Year
(3ヶ月平均)
May 2019
$2,065.2
-23.6%
June 2019
$2.026.1
-18.4%
July 2019
$2,031.9
-14.6%
August 2019
$2,001.8
-10.5%
September 2019 (final)
$1,959.1
-5.7%
October (prelim)
$2,109.1
3.9%

  [Source: SEMI (www.semi.org), November2019]

◇North American semi equipment industry billings climb to 14-month high-SEMI: Oct. billings for IC gear reach $2.11B (11月20日付け DIGITIMES)

今年も残り少なく、今年を締める予想データが示されていくが、IC Insightsより2019年半導体サプライヤ・トップ15が以下の通りである。
なにより長年の首位の座をSamsungに明け渡しているIntelであるが、メモリ半導体が大きく落ち込んだ今年を反映して、Intelが年間販売高$69.8 billion、Samsungが$55.6 billionと、$14.2 billionもの差をつけて王座を取り戻しており、Samsungは2位、という読みになっている。

◇Intel to Reclaim Number One Semiconductor Supplier Ranking in 2019-Sony tops among only three top-15 semiconductor suppliers to show growth this year. (11月18日付け IC Insights)

◇Intel to Reclaim Number One Semiconductor Supplier Ranking in 2019 (11月18日付け SEMICONDUCTOR DIGEST)
→今月後半リリースのIC Insights' November Update to the 2019 McClean Reportでの2019年半導体サプライヤ・トップ15(ファウンドリー含む)予想。トップ15の半導体販売高合計:

2018年2019年
$369.348 billion
$314.893 billion
15%減


◇Intel to Reclaim No. 1 Semiconductor Supplier Ranking in 2019 (11月18日付け EPS News)

◇Intel to regain crown; Sony grows the fastest-IC Insights: Intel overtakes Samsung in 2019 sales-All of the top-15 companies are expected to have sales of at least $7.0 billion in this year, the same number of companies as in 2018. (11月19日付け Electronics Weekly (UK))
→IC Insightsの見積もり評価。今年の半導体販売高でIntelが$69.8 billionの予測の一方、Samsung Electronicsはメモリ半導体の価格低下で29%減の$55.6 billionの旨。トップ15ベンダーによる半導体販売高が2018年に比べて15%減の$314.9 billionとなり、Sony, TSMCおよびMediaTekだけが昨年から販売高が増える旨。

◇Samsung to lose No. 1 semiconductor supplier rank to Intel in 2019: report (11月19日付け The Investor (South Korea))


≪市場実態PickUp≫

【Trump大統領のApple訪問】

米中貿易戦争への対応が問われる中、Trump大統領がAppleのAustin拠点を訪れている。間近に迫っている「iPhone」などへの追加関税を免れたいAppleに対し、免除の可能性を仄めかす大統領と、何とも政治的な駆け引きが垣間見える以下の内容である。

◇White House confirms Trump's visit to Austin with Apple CEO Tim Cook (11月18日付け SILICON VALLEY BUSINESS JOURNAL)
→Trump大統領が、Mac Pro computersが作られているAppleのAustin拠点を訪問、AppleのCEO、Tim Cook氏および経済officialsトップ数人同行の旨。

◇Apple breaks ground on $1B Austin campus, welcomes Trump (11月20日付け SILICON VALLEY BUSINESS JOURNAL)
→Apple社が水曜20日、$1 billion Austin, Texasキャンパスを起工、Donald Trump大統領の近くのApple製造hub訪問と同時の発表の旨。

◇Trump floats tariff exclusions for Apple at Texas manufacturing plant (11月21日付け SILICON VALLEY BUSINESS JOURNAL)
→Donald Trump大統領が水曜20日、中国は米国との貿易取引を獲得するに十分な譲歩をまだ行っていないとし、Mac Pro computersを組み立てるTexas工場を回りながら、Appleを来る関税roundでの免除の可能性を示唆している旨。

◇Trump wants Apple to be involved in 5G infrastructure building in U.S.-Trump asks Apple CEO Tim Cook about developing 5G infrastructure (11月21日付け Reuters)
→Donald Trump大統領が木曜21日、Apple社のChief Executive Officer(CEO)、Tim Cook氏に対し、米国での5Gワイヤレスネットワークスに向けたテレコム・インフラ開発支援を求めた旨。

◇Apple、瀬戸際のトランプ氏懐柔、迫る追加関税 (11月21日付け 日経 電子版 11:00)
→米アップルが対中制裁関税の拡大回避に躍起になっている旨。20日にはティム・クック最高経営責任者(CEO)が米テキサス州の工場でトランプ大統領を迎え、米国での雇用創出の実績などをアピールした旨。主力の「iPhone」などへの追加関税の発動は12月中旬に迫る旨。瀬戸際での撤回に向けて懐柔を図っている旨。

【韓国の土壇場の動き】

日韓の軍事情報包括保護協定(GSOMIA)について期限の数時間前になって韓国から失効回避の発表が行われたが、文在寅韓国大統領はシリコンウェーハ工場のオープニングに同日出席の模様である。

◇日韓GSOMIAの失効、回避へ、韓国が日本に通告 (11月22日付け 日経 電子版 17:32)
→23日午前0時に効力を失う日韓の軍事情報包括保護協定(GSOMIA:General Security of Military Information Agreement)を巡り、韓国政府が終了させない方針を日本政府に通告した旨。韓国は協定延長の条件として日本に輸出管理の厳格化の撤回を求めており、両政府間で輸出管理をめぐる協議に向けて調整に入っている旨。

◇Moon emboldened by new corporate investment in chip material production-President of S. Korea lauds new silicon wafer plant (11月22日付け The Korea Herald (Seoul)/Yonhap News Agency)
→文在寅(Moon Jae-in)韓国大統領が、MEMC Koreaのシリコンウェーハ工場(Cheonan, Korea[大韓民国忠清南道天安市])にオープニングに出席、半導体業界に向けたシリコンウェーハの輸入への依存を減らしていく旨。
MEMC Koreaは台湾・GlobalWafersの子会社。

【Intel関連】

上記の通り、今年の半導体サプライヤNo.1の座復帰が予想されるIntelの現下の動きで2点。依然続くPC CPU出荷遅延への改めての陳謝、そして人材活用における多様性への対応である。

◇Intel apologizes, again, for chip shortages and shipment delays (11月20日付け SILICON VALLEY BUSINESS JOURNAL)
→Intel社のExecutive Vice President、Michelle Johnston Holthaus氏がSecurities and Exchange Commissionに宛てた手紙にて、同社が製品不足(PC CPU出荷遅延)について顧客およびパートナーに対しもう1度謝罪する、としている旨。

◇Intel says chip supply for personal computers remains tight-Intel: PC chip supplies still short, turns to foundries (11月20日付け Reuters)
→Intelが、PCs用同社半導体が依然供給不足とし、乏しいデバイス生産についてファウンドリーへの発注を増やしていくと付け加えの旨。「最近のPC CPU出荷遅延がビジネスに与えているインパクトを心よりお詫びし、続けての連携に感謝する。」と、顧客およびパートナーへの手紙にてIntelのMichelle Johnston Holthaus氏。

◇Intel says it will only hire law firms that meet diversity requirements (11月21日付け SILICON VALLEY BUSINESS JOURNAL)
→Intelは、社外counselに毎年$300 million以上充てており、まもなくdiversity(人種・国籍・性・年齢は問わずに人材活用する「人材と働き方の多様化(多様性)」)に深いcommitmentをもつlaw firmsだけとしていく旨。

【スーパーコン・TOP500】

もうこの時期かという実感もあるが、年2回発表されるスーパーコン性能・TOP500の発表、そしてSupercomputing 2019 conference(11月17-22日:Colorado Convention Center)での各社取り組みである。

この秋のスーパーコンのTOP500そしてGreen500について、以下抽出である。

◇China Extends Lead in Number of TOP500 Supercomputers, US Holds on to Performance Advantage (11月18日付け TOP500)
→2019年11月TOP500リストよりトップ10:

1. 
Summit米国IBM
2. 
Sierra米国IBM / NVIDIA / Mellanox
3. 
Sunway TaihuLight中国NRCPC
4. 
Tianhe-2A中国NUDT
5. 
Frontera米国Dell EMC
6. 
Piz DaintスイスCray/HPE
7. 
Trinity米国Cray/HPE
8. 
AI Bridging Cloud Infrastructure (ABCI)日本富士通
9. 
SuperMUC-NGドイツLenovo
10. 
Lassen米国IBM / NVIDIA / Mellanox

◇「SC19」で発表:「富岳」プロトタイプ、スパコン消費電力性能で世界1位 (11月19日付け EE Times Japan)
→富士通は2019年11月18日、同社と理化学研究所が共同で開発を進めるスーパーコンピュータ「富岳」のプロトタイプが、スパコンの消費電力性能を示すランキング「Green500」で世界1位を獲得した、と発表の旨。

Supercomputing 2019 conferenceについて、以下それぞれに興味深い、中には奇抜なものも、いずれにせよ各社の取り組みを示している。

◇Intel Xe GPUs are here with Ponte Vecchio launched at SC19-Intel launches GPUs with the Xe architecture-The chip giant is calling the Xe a GPU revolution. (11月18日付け ZDNet)
→IntelがSupercomputing 2019 conference(11月17-22日:Colorado Convention Center)にて、同社Xeアーキテクチャー・ベースのgraphics processing units(GPUs)を披露、該Ponte Vecchio GPUラインは、データセンターにおけるartificial intelligence(AI)および高性能computing workloadsを目指している旨。

◇Nvidia and Microsoft launch Azure supercomputing instance (11月18日付け VentureBeat)
→NvidiaがMicrosoftのAzureと連携、cloudでのsupercomputingに向けた内覧でNDv2事例を投入の旨。該事例は、cloudによりdeep learningを考慮に入れて設計された最大800個のNvidia Tesla V100半導体を供給できる旨。
NvidiaのCEO、Jensen Huang氏が本日、Denverでのsupercomputing conference、SC19の舞台上で該ニュースを分配の旨。Nvidiaはまた本日、supercomputers向けArm-ベースサーバを各社が作り出すためのreference設計プラットフォームをリリース、高性能computingあるいは大規模AIシミュレーションが行える旨。

◇AMD showcases Epyc HPC, cloud momentum at SC19-AMD touts Epyc cloud instances from AWS, Microsoft Azure -At the SC19 conference, AMD will announce new AWS and Microsoft Azure instances based on the Epyc processor, as well as other second-gen Epyc wins. (11月18日付け ZDNet)
→いくつかの大きなHPC milestonesを見つけて1年、AMDが今週、high-performance computing市場における最新の推進力を披露の旨。
SC19 conferenceにて同社は、EpycプロセッサベースのAWSおよびMicrosoft Azureからの新しいcloud事例、並びに他のEpyc winsおよびROCmソフトウェアversion 3.0の打ち上げを発表の旨。AMDはまた、TOP500に加わった最初のEpycプロセッサ-ベース・システムも発表の旨。

◇Intel, Lenovo, and others launch Project Everyscale council to advance exascale computing-Project Everyscale aims to boost exascale computing tech (11月18日付け VentureBeat)
→Lenovo Group, Intelおよび高性能computingにおけるacademicリーダーたちが、exascale computing技術を進める協力活動、Project Everyscaleを支えている旨。「Intelと協働、exascale技術の設計および普及をすべてのユーザに向けて推進する革新ロードマップを展開するためにHPCの最大namesおよび最も明るい知性の持ち主のいくつかを今や持ち合わせている。」と、Lenovoのデータセンターグループ、general manager、Scott Tease氏。

◇Cerebras Unveils First Installation of Its AI Supercomputer at Argonne National Labs-Argonne will use the CS-1 to help discover cancer therapies and understand colliding blackholes-At 67 centimeters tall, the Cerebras Systems CS-1 offers three times the performance of a Google TPU2 system that takes up 29 times as much space. (11月19日付け IEEE Spectrum)
→Supercomputing 2019(Denver, Colo.)にて、Cerebras Systems(San Francisco)が、世界最大の半導体搭載のコンピュータ、CS-1を披露、数100kilowattsを消費するGPU-ベースcomputers数100racks相当のmachine learning capabilitiesをもつが、それ自体は標準rackの3分の1に過ぎず約17 kW消費の旨。
(注)Cerebras SystemsのAI専用巨大チップ、性能もモンスター級 (10月7日付け YAHOO JAPANニュース)
 …スタートアップ企業Cerebras Systemsは、人工知能(AI)向けに最適化したチップ「Cerebras Wafer Scale Engine」(WSE)を発表、同社によると、これは1兆を超えるトランジスタ数を誇る業界初のチップの旨。WSEのサイズは4万6225平方ミリで、これは最も大きなGPUの56.7倍に相当する。

◇The Cerebras CS-1 computes deep learning AI problems by being bigger, bigger, and bigger than any other chip-Cerebras offers CS-1 computer for AI, deep learning (11月19日付け TechCrunch)
→Cerebrasが、artificial intelligence(AI)およびdeep learning応用に向けて該startupのWafer Scale Engine半導体ベースのCS-1 computerを投入の旨。Argonne National LaboratoryがCS-1の最初の顧客であり、医療リサーチに用いられる旨。

◇Nvidia Fulfils Promise to Support Arm (11月22日付け EE Times India)
→Nvidiaが、Supercomputing 2019(Denver)にて発表。同社はGPU-accelerated Arm-ベース・サーバ向けreference設計プラットフォームを投入の旨。Arm, Ampere, Cray, 富士通, HPE, およびMarvellがすべて、もちろんsupercomputingなど多彩な応用に向けて該サーバを構築しようとしている旨。

【SiCウェーハ供給合意】

パワー半導体の小型化、低消費電力化、高効率化で大きな可能性を孕んだsilicon carbide(SiC)半導体であるが、STMicroelectronicsが、CreeとのSiCウェーハ供給合意について金額を以下の通り当初の今年始めから倍増、延長させている。

◇Cree and ST Double Value of SiC Agreement to $500M (11月19日付け EE Times)
→CreeとSTMicroelectronicsが、現状のmulti-year, long-term silicon carbide(SiC)ウェーハ供給合意を$500 millionを上回る規模に拡大&延長の旨。該延長合意は、向こう数年にわたるSTMicroelectronicsへのCreeの先端150mm silicon carbide bareおよびepitaxialウェーハ供給について今年始めに発表された当初の合意の額の倍になっている旨。

◇Cree and STMicro extend SiC wafer supply agreement-Cree, STMicro expand SiC wafer supply agreement to $500M -Cree and STMicroelectronics are to expand and extend an existing multi-year, long-term silicon carbide (SiC) wafer supply agreement to more than $500 million. (11月19日付け New Electronics)
→STMicroelectronicsが、Creeとのsilicon carbide(SiC)ウェーハ供給合意を$500 millionに倍増、1月に発表された取り引きを延長&改定の旨。該新合意は"SiC史上最大の材料取り引き"と、CreeのCEO、Gregg Lowe氏。

◇Exclusive: Cree CEO on 'the largest materials deal in the history of silicon carbide' (11月19日付け The Business Journals/Raleigh/Durham, N.C.)

◇Cree and STMicroelectronics Expand and Extend Existing Silicon Carbide Wafer Supply Agreement (11月20日付け SEMICONDUCTOR DIGEST)

◇Cree and STMicroelectronics expand silicon carbide wafer supply agreement (11月21日付け DIGITIMES)

【2件の注目M&A】

あまりにも大きい米国・GAFA、中国・BATHに対し、日本での対抗の動きとして注目のヤフーとLINEの統合合意が発表されている。

◇ヤフーとLINE、統合合意18日発表 (11月17日付け 日経 電子版 22:30)
→検索サービス「ヤフー」を展開するZホールディングス(HD)とLINEは経営統合する計画について18日に正式発表する方針を固めた旨。同日中に両社が都内で記者会見を開く予定。検索サービスから対話アプリ、ネット通販、金融まで幅広い事業を手がける1億人規模のデジタル基盤が誕生する旨。アジアで、米中のメガプラットフォーマーの対抗軸を目指す旨。

◇How SoftBank Plans to Create an Internet Giant to Take on Google (at Least in Japan)-SoftBank to combine Yahoo Japan, Line to create Google rival (11月18日付け Fortune/Bloomberg)
→SoftBank Group社が、傘下のYahoo Japanインターネット事業をLine社と結びつける計画、該messagingサービスを$11.5 billionと評価する取り引きの旨。SoftBankと韓国のNaver社が、Lineをprivateにし、それからLineとYahoo Japanを新しい合弁にする旨。該取り引きは株主の承認を必要とし、2020年10月までに完了予定の旨。

◇「世界のテック巨人に危機感」、ヤフー・LINE統合 (11月18日付け 日経 電子版 22:15)
→ネットサービス「ヤフー」を展開するZホールディングス(HD)とLINEは18日、2020年10月に経営統合することで基本合意したと発表、ネット企業としては日本最大となり、米国の「GAFA」や中国のIT大手に対抗する旨。
IT業界はデータ収集を巡る競争が繰り広げられる旨。今回の水平統合はグローバル競争で出遅れた両社が国内のデータ獲得競争で優位に立ち、世界に本格的に挑む一歩となる旨。

Xeroxが、富士フイルムとの合弁、富士ゼロックスの株式を売却、合弁を解消してすぐさま、パソコン・プリンター大手、HPの買収に向かって動いていったが、その顛末如何に?

HPの役員会は、総額3兆円超の評価は低過ぎるとして、以下の通り拒絶している。今後の交渉には応ずるスタンスである。

◇HP rejects takeover offer from Xerox-HP turns down $33.5B buyout bid from Xerox (11月17日付け The Associated Press)
→HPの役員会が、Xeroxからの$33.5 billion cash-and-stockの買収提示を拒絶、HPを低く見ているとし、一緒になったとき負債を負う懸念があるとしている旨。

◇HP board unanimously rejects Xerox offer (11月17日付け SILICON VALLEY BUSINESS JOURNAL)
→HPの役員会が、ライバルのXeroxからの$22-a-share入札を全会一致で拒絶、一方、2社が一緒になる可能性には門戸を開いている旨。

◇HP、ゼロックスの買収提案を拒否、交渉に含みも (11月18日付け 日経 電子版 08:11)
→米パソコン・プリンター大手、HPは17日、米事務機器大手、ゼロックスによる買収提案を拒否したと発表、ゼロックスが今月5日に提示した総額3兆円超での買収案を「評価が低すぎる」として取締役会で拒否を決議した旨。条件次第で交渉に含みを残しており、提案を拒否されたゼロックスは買収条件を引き上げるか、別の生き残り策を探ることになる旨。

これに対し、Xeroxは敵対買収もやぶさかでなしと最後通牒を突きつけている。

◇Xerox threatens to go hostile in HP takeover bid (11月21日付け SILICON VALLEY BUSINESS JOURNAL)
→来週までに"友好的な合体"の追求に合意しなければ入札を敵対的なものに変えると迫って、XeroxがPCおよびプリンターメーカー、HP買収に向けて最後通牒を与えている旨。

◇Xerox gives HP an ultimatum to reconsider acquisition, threatening to take its case to shareholders-Xerox eyes hostile takeover of HP (11月21日付け CNBC)


≪グローバル雑学王−594≫

部分合意間近との言い方もあるもののいまだ先行きがはっきりとしない米中貿易戦争であるが、ファーウェイに対してアメリカが躍起になる背景を、

『ファーウェイと米中5G戦争』
 (近藤 大介 著:講談社+α新書 711−2 C) …2019年7月18日第一刷発行

より2回に分けて見ていく2回目である。米中貿易戦争の開戦が2018年7月、その前2018年4月にファーウェイに次ぐ中国第2の通信機器メーカー、ZTE(中興通訊)に対してアメリカ商務省は、違法な製品輸出があったとしてすべてのアメリカ企業との取引を7年間禁じ、同社は破綻寸前に追い込まれたが割合早く解除された経緯がある。これは、ファーウェイを引きずり出す呼び水ではないか、著者の分析があらわされている。第二次世界大戦後のアメリカとイギリスによる世界全体の通信を監視する壮大な計画に端を発して、今後に向けた米中の世界覇権に向けたせめぎ合いの現時点を改めて認識するところである。


第3章 中国の「5G制覇」に怯えたアメリカ …2分の2

■貿易戦争を加速させる「軍事強硬派」
・2018年3月22日から23日にかけて、トランプ大統領が対中貿易戦争を「宣戦布告」
 →米中貿易戦争は、2017年1月に就任したトランプ大統領が、中国への巨額の貿易赤字に激怒したことから始まった
・習近平政権としては、トランプ新政権と友好な関係を築きたかった
 →習近平主席は、2017年11月、トランプ大統領を「国賓以上の待遇」で北京に招待、アメリカ製品など購入の「ウルトラ・ビッグ・プレゼント」
 →ところが「通商強硬派」のトランプ大統領に対し、周囲の「軍事強硬派」から突き上げ
  →実際、2018年7月6日に「開戦」
*****≪米中貿易戦争の追加制裁関税の経緯≫
・4段階の追加関税措置、第2段階までは実施された
[第1段階の関税措置]
…2018年7月6日、総額340億ドル(約3兆7000億円)の中国製品を対象、25%の追加関税を課した
 →自動車、産業用ロボットなど818品目
 →不公正貿易に対する一方的な制裁を認めた米通商法301条に基づく措置
…一方の中国、報復措置として米国と同規模(340億ドル)の米国製品に25%の関税を上乗せ
 →大豆や自動車など545品目が対象
[第2段階の関税措置]
…2018年8月23日、160億ドル(約1兆8000億円)に相当する中国からの輸入品に25%の追加関税を発動
 →半導体や化学品など279品目
 →第1段階の制裁関税と合わせて、中国からの輸入額全体の1割に相当する規模に
…中国もただちに160億ドル相当の米国製品に25%の追加関税
 →自動車や古紙など333品目が対象
[第3段階の関税措置]
…2018年9月24日、約2000億ドル(約22兆円)相当の中国製品に10%の追加関税を課す対中制裁関税を発表
 →家具や家電など5745品目
…中国も600億ドル(約6兆7000億円)相当の米国製品に5〜10%を上乗せする報復関税を即日発表
…米中両国は2018年12月1日の首脳会談で、米国が中国への追加関税を猶予すると決定
 →米側は90日以内(2019年3月1日)の期限設定
…2019年5月10日に25%に引き上げ
[第4段階の関税措置]
…第3段階を発動すれば計2500億ドルと中国からの年間輸入総額(約5000億ドル)の半分に制裁関税を課すことに
…残る2670億ドル分についても、トランプは2018年9月17日、中国が報復すれば追加関税を「ただちに」進めると強調、税率には触れず
*****
・第3段で、中国が追加関税率を「減速」した理由
 →第1:貿易不均衡のせい …追加関税をかけようがなかった
 →第2:「返り血」を浴びるのが怖かったから
     …2018年夏以降の、米中貿易戦争による中国経済の落ち込みは、中国政府が当初予測していたよりも激しかった
・こうした事態を打開するため、米中閣僚級貿易協議が開かれた
  →2018年5月3日、4日の北京会合に始まり、2019年5月9日、10日のワシントン会合が11回目
 →アメリカ側の実質的な中心人物は、ライトハイザーUSTR代表になりつつある
 →一方の中国側、習近平主席の中学時代の同級生で経済学者の劉鶴副首相が代表
・この米中閣僚級貿易協議の分岐点
 →2018年5月19日に発表された共同声明を巡る双方の諍い
・中国側はアメリカとの貿易協議を、2つに分けて考えていた
 →1つは、単純な米中間の貿易不均衡問題
 →もう1つは、中国政府がハイテク産業に巨額の補助金を出すなどして、国家ぐるみでハイテク産業を保護している、もしくは指示、監視するなどしてハイテク産業を牛耳っているという「軍事強硬派」の主張
・2019年3月に全国人民代表大会で、外国企業や外国投資者の知的財産権の保護を保障した外商投資法を、2020年1月から施行することを決めたが、これが妥協できるギリギリの線
 →2つの問題を切り離し、前者でアメリカ側に大幅に譲歩することで、後者の問題は「継続協議」にして、玉虫色の決着を図ろうとした
・これに、政権内の「軍事強硬派」、および超党派の連邦議会強硬派から、猛反発
 →トランプ大統領は態度を一変、5月29日に「共同声明を拒否する」と発表
・中国側からすれば、まさに寝耳に水
 →6月3日に北京で行われた第3回米中閣僚級貿易協議に合わせて、アメリカのDRAM最大手、マイクロン・テクノロジーの中国事務所を強制捜査
→完全な「見せしめ行為」
・以後、「軍事強硬派」の勢いが増し、協議の議題が当初の貿易不均衡問題から、8つにも膨れ上がってしまった
 →1) 米中貿易の不均衡
  2) 中国におけるアメリカ企業の強制的技術移転
  3) 中国における知的財産権の強力な保護と執行
  4) 中国におけるアメリカ企業への関税・非関税障壁
  5) 中国によるアメリカ商用資産へのサイバー攻撃
  6) 中国政府の補助金と国有企業を含む市場を歪める強制力
  7) 中国向けアメリカ製品・サービス・農産物への障壁・関税
  8) 米中貿易における通貨の役割
・この貿易戦争の拡大と長期化が、ファーウェイを巡るハイテク覇権戦争に拍車

■ZTE叩き早期決着の真相
・2018年4月16日、アメリカ商務省は、ファーウェイに次ぐ中国第2位(世界4位)の通信機器メーカー、ZTE(中興通訊)を血祭りに
 →イランや北朝鮮に製品を違法に輸出
 →すべてのアメリカ企業に対して、ZTEと取引することを7年間禁じた
・ZTEは、深セン市政府が経営する国有企業
 →2017年の売上高1088億元(約1.7兆円)、従業員数約9万1000人
・全米で4位につけていたZTEのスマートフォン
 →全世界で販売停止に追い込まれた
 →市場では早くも「ZTE倒産説」まで囁かれ始めた
・だがZTE問題は、意外に早く解決
 →ロス商務長官は6月7日、「ZTEに過去最高の罰金を科して、制裁を解除する」と発表
 →13日には正式に制裁を解除
・解除の条件対応で、中国の国有銀行が国有企業を助けるという構造は、何も変わっていなかった
 →30日以内に行われることになっていた14人の経営陣交代は、やはり儀礼的なもの
・トランプ政権が、あっさりとZTEを許してしまったのはなぜなのか?
 →第1:「通商強硬派」のトランプ大統領の関心が薄かった
   →習近平主席がトランプ大統領に電話。実際の目的は、アメリカ側の条件に従うからZTE問題を早く解決してほしいと懇願すること
 →第2:そもそも「ZTE叩き」は、ZTEの約7倍もの規模を誇る「本命」ファーウェイを叩くための「予行演習」だったのではないか
 →第3:ZTEとアメリカ商務省との「司法取引」の疑い
   →アメリカ側が本当に欲しかったのは、イランとの不正取引などに関するファーウェイの内部情報
・「ファーウェイ vs. ZTE」の「30年戦争」
 →両社は創業時期も同じ1980年代半ば、本社も同じ広東省深セン市にある最大のライバル企業
・「ファーウェイ潰し」を目論むトランプ政権が、ファーウェイをライバル視するZTEを利用したという構図が描ける

■戦後秩序への挑戦者
・第2次世界大戦後の世界秩序を形作ったのは、表向きはプレトンウッズ体制
 →戦後の国際秩序を定め、アメリカドルを基軸とした固定為替相場制、国際通貨基金(IMF)や世界銀行(IBRD:International Bank for Reconstruction and Development)の設立など
・だがもう1つ、戦後の情報通信システムを支配する秩序も、アメリカが中心に
 →「UKUSA協定」…UKとUSAの協定という意味
 →俗称は「ファイブ・アイズ」(5つの目)
・イギリスとアメリカ、両国は戦後の1946年に、両国以外の世界全体の通信を監視する壮大な計画を立ち上げ
 →1948年にカナダ、1956年にオーストラリアとニュージーランドが加わり、「ファイブ・アイズ」に
・21世紀に入ると、インターネットが発達したことで、監視システムもさらに大規模に
 →アメリカが「司令塔」となって、「ファイブ・アイズ」で世界中の通信情報を傍受するシステムを作り上げた
 →20世紀後半の冷戦中の主敵はソ連
 →冷戦崩壊後は、アルカイダなどのテロリスト集団に
・21世紀に入ると、にわかに新たな強敵出現
 →社会主義市場経済を掲げて台頭する中国
 →5G時代を迎えて、中国はファーウェイを前面に押し立てて、一気にアメリカの通信システム覇権を崩しに来たと捉えた
・「ファイブ・アイズ」のファーウェイを巡る主な決定や発表
 →まさに第2次世界大戦後の秩序維持に必死になっていることがわかる
・こうした動きに呼応、トランプ政権の「軍事強硬派」筆頭のペンス副大統領は2018年10月4日、ワシントンのハドソン研究所で、「米中新冷戦」ののろしを上げる演説
 →41分にわたり、中国を非難し続けた
・中国も、こうしたアメリカの「ファーウェイ包囲網」に手をこまねいていたわけではない
 →例えば、アメリカ最大の半導体設計メーカーのクアルコムは2016年10月、オランダ最大の車載半導体メーカーのNXPセミコンダクターズを、440億ドル(約4.8兆円)で買収することで基本合意
 →ところがこの買収に、中国だけが難色を示した
  →2018年7月26日にクアルコムは「買収断念」を発表
・クアルコムは2015年2月にも、中国国内で独占禁止法違反を咎められ、60億8800万元(約1050億円)もの罰金支払い
 →中国はこの頃から「クアルコム潰し」に走っていた
・アメリカは、貿易戦争だけでなく、ハイテク覇権戦争でも、中国側に「通牒」を突きつけていた
 →本気度を示すため、米中首脳会談の直後に、孟晩舟副会長の逮捕劇を演出したとも言える
・スノーデン氏が暴露した、アメリカによる全世界への違法盗聴行為
 →盗聴はベルリン中心部にある米国大使館で、NSA(米国家安全保障局)やCIA(米中央情報局)の職員が担っていた
 →同じような通信の傍受は2010年時点でパリやローマなど欧州の19ヵ所を含む世界約80ヵ所で行われていたという

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