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見えてきている実態:中国半導体業界、AI(人工知能)関連取り組み

米国との貿易摩擦の渦中、国家計画に則った自立化を進めている中国半導体業界、そして、現下の新規応用に必須の要素技術としてのAI(人工知能)関連の取り組みについて、いろいろな切り口での問題を孕んだ実態が見えてきている。中国のDRAM会社を率いるマネジメントを巡る動き、そして最初のフラッシュメモリ製品の品質&歩留まりについての見方、などがあらわされている。AI(人工知能)については、実際的に時間、ノウハウ、そしてたくさんのcomputerパワーを必要とする一方、アーキテクチャーはいまだ設計されておらず、ベンチマークは言うまでもない、といった見方が続いてきている。

≪試練、問題の打開に向けて≫

中国半導体業界を巡って目に入る実態からいくつか。

DRAMメーカーの構築に向けて、国有会社、Tsinghua Unigroupが中国ファウンドリー最大手、Semiconductor Manufacturing International Corp.(SMIC)のco-CEOを取り込もうとする動きが、以下の通り噂されている。

◇China Lures SMIC Co-CEO Zhao (3月26日付け EE Times)
→中国の半導体assetsの大方を支配している国有会社、Tsinghua Unigroupが、国内DRAM業界を構築する計画を生き返らせるためにSemiconductor Manufacturing International Corp.(SMIC)のco-CEOをすばやく取り込む可能性の旨。メディア報道およびEE Timesが面談した人々によると、Tsinghuaは、生き残りに苦闘している中国の駆け出しのメモリメーカーを組み合わせる新しいDRAM会社を率いるためにSMICのCo-CEO、Haijun Zhao氏の採用を狙っている旨。国内メモリ業界構築に向けた中国のmulti-billion投資にも拘らず、該事業での競争力に必要なkey intellectual property(IP)の多くが欠けている旨。EE Timesに匿名を条件に話したSMICのトップマネジメントを直接知る筋によると、co-CEO、Zhao氏の差し迫った辞任退社は"かなりのこと確認されている"旨。

◇SMIC Rift: Rare Peek into China IC Industry-6 Trends Brewing in China's Semiconductor Industry (3月26日付け EE Times)
→SMICのCo-CEO、Haijun Zhao氏について入ってきたことをまとめ上げることを決めており、噂されるZhao氏辞任は中国半導体業界の中で起ころうとしていることを見る稀な機会への門戸を開けているからである旨。以下の6つの項目の流れ。
 1. SMIC's 14-nm struggle
 2. Tsinghua Unigroup
 3. DRAM: China’s new ‘platform’
 4. Everyone wants to become a boss in China
 5. Musical chairs among a small talent pool
 6. Who is guiding China's semiconductor industry?

まさに中国半導体業界構築の核の問題であり、引き続き注目するところである。

実質的な商用メモリ製品の最初のものと理解しているが、中国・Yangtze Memory Technology(YMTC)の64-層3D NANDフラッシュ半導体についてMicronからの評価の見方があらわされている。

◇YMTC 64-layer 3D NAND flash production may fuel further market consolidation (3月26日付け DIGITIMES)
→中国のYangtze Memory Technology(YMTC)が、メモリ製品価格の引き続き低下にも拘らず、64-層3D NANDフラッシュ半導体の量産を予定通り2019年末までに開始の運び、この動きによりYMTCのグローバルリーダーとの技術gapが2年に狭まり、激しい価格競争の渦中市場統合の新しい波を生じる可能性の旨。Micronのexecutive vice president、Sumit Sadana氏は最近、同社は中国市場の3D NANDフラッシュ生産の進展をしっかり注視していると特に言及、しかし、中国メーカーは依然品質および歩留りの改善の余地が依然多くあり、製品がclientsによる要求および標準にその製品が適合するのにある時間を要するとしている旨。

次に、ファブレス半導体市場における中国の伸長が以下の通りである。米国が昨年シェア68%と依然支配的である。

◇US commands 68% of fabless market-US fabless firms still lead the world; China sees gains-The USA fabless industry had a 68% world market share last year, reports IC Insights. (3月27日付け Electronics Weekly (UK))
→IC Insightsの見方。米国のファブレス半導体会社が年間売上げの支配的なシェアを保っている一方、中国のIC設計会社は世界販売高比率を2010年の5%から昨年は13%に高めている旨。中国は2018年最も急成長の4社の地元であり、BitMain Technologies, Integrated Silicon Solution Inc., Allwinner TechnologyおよびHiSilicon Technologiesの旨。

中国における工場進出として、TSMCが立地する南京市に半導体装置メーカー、Foxsemiconが新工場の起工を行っている。

◇Foxsemicon breaks ground for new plant in Nanjing (3月26日付け DIGITIMES)
→Foxconn Groupの関連会社、半導体装置メーカー、Foxsemicon Integrated Technologyが、Nanjing, China(江蘇省南京市)で新工場siteに向けて最近起工、Foxsemiconの新工場はNanjing Pukou Economic Development Zoneに立地、そこではTSMCが16-nm以降の先端node半導体製造に向けて12-インチウェーハfabを稼働している旨。

AI(人工知能)関連の取り組みについて、神経ネットワークスに向けて展開する要素技術が挙げられている。

◇AI Silicon Sprouts in the Dark-Engineers are deep in a jungle of architecture options-AI chips take different directions (3月25日付け EE Times)
→神経ネットワークスに向けたアナログcomputing, 新規途上のメモリおよびIC実装技術, およびpruningおよびquantization技法などが、artificial intelligence(AI)およびdeep learningにおける最新の展開である旨。「どのレベルで取り組んでいる人々にも広くオープン」と、KU Leuven(ベルギー)の教授、Marian Verhelst氏。

deep-learningモデル, 枠組み, および技法を巡る動きが、シリコンの描出を上回る速さとなっている実態である。

◇AI Code Wags Hardware - Vigorously-Pioneer says self-supervising systems will be the next big thing (3月25日付け EE Times)
→強化学習のようなdeep-learningモデル, 枠組み, および技法が、シリコンでの道筋をつくりあげるよりも速く動いている旨。

◇AI Code Energetically Wagging Hardware-Deep-learning models, frameworks, and techniques like reinforcement learning are moving faster than you can carve out paths in silicon. (3月27日付け EE Times India)

神経ネットワークスをもってhard disk drives(HDDs)を監視しているHewlett-Packard Enterprise(HPE)のアプローチである。

◇AI Trolls for Data Center Woes-HPE monitors hard drives with neural networks (3月25日付け EE Times)
→Hewlett-Packard Enterprise(HPE)は、神経ネットワークスを用いて同社InfoSightサービスが監視する4 millionのhard disk drives(HDDs)のいくつかについて不良故障を予測している旨。神経ネットワークスは時間、ノウハウ、そしてたくさんのcomputerパワーを必要とする、とHPEのプロジェクトで報告しているseniorエンジニア。

◇Neural Networks to Predict Data Centre Failures-Hewlett-Packard Enterprise is using neural networks to predict failures on some of the 4 million hard disk drives that its InfoSight service monitors. (3月27日付け EE Times India)

AI-ベース製造プラットフォームの開発プロジェクトについて、Seagateより以下の通りである。

◇AI-enhanced manufacutring: Q&A with Seagate executive VP Jeffrey Nygaard-Seagate exec touts AI-enhanced manufacturing project (3月25日付け DIGITIMES)
→Seagate Technologyのexecutive vice president and head of Operations, Products, and Technology、Jeffrey Nygaard氏が、artificial intelligence(AI)-ベース製造プラットフォームの開発に向けたHewlett Packard Enterprise(HPE)およびNvidiaとのcooperative活動、Project Athenaについて話している旨。「該プロジェクトによりSeagateは、主にデータ支援に重点化するsmart製造分野に向けて推進していく。」と、このインタビューで同氏。

deep learningに向けた半導体の取り組みについて、最も関心あるアーキテクチャーはいまだ設計されておらず、ベンチマークは言うまでもないと、現時点があらわされている。

◇Engineers are Deep in a Jungle of Architecture Options (3月26日付け EE Times India)
→deep learningは広範な新規半導体の取り組みを生み出しているが、最も関心あるアーキテクチャーはいまだ設計されておらず、ベンチマークは言うまでもない旨。これまでフルにあらわされてベンチマークされている新規半導体はただ1つ、GoogleのTPU(Tensor Processing Unit)であるが、pipelineはフルで技法のほんの僅かが明らかになってきている旨。

我が国政府も、AI戦略を打ち出している。

◇政府、AI人材年25万人育成へ、全大学生に初級教育 (3月27日付け 日経 電子版)
→政府が策定する「AI戦略」の全容が分かった旨。人工知能(AI)を使いこなす人材を年間25万人育てる新目標を掲げる旨。文系や理系を問わず全大学生がAIの初級教育を受けるよう大学に要請し、社会人向けの専門課程も大学に設置する旨。ビッグデータやロボットなど先端技術の急速な発達で、AI人材の不足が深刻化しており、日本の競争力強化に向け、政府が旗振り役を担う旨。

Samsungの先端DRAM、High Bandwidth Memory(HBM)も、AI用途が伸び続ける実態となっている。

◇Samsung Doubles HBM Density with Flashbolt (3月27日付け EE Times)
→Samsung Electronics Co., Ltd.が、同社High Bandwidth Memory(HBM)メモリofferingを更新、先行品の倍の密度の旨。NVIDIAのGPU Technology Conferenceで披露された“Flashbolt”は、3.2 Gbpsデータ転送速度/pinが得られる初のHBMであり、先行世代より33%高速の旨。HBMの用途として、artificial intelligence(AI)が引き続き伸びている旨。


≪市場実態PickUp≫

【米中摩擦関連】

米中貿易協議は2週連続、北京から米ワシントンと場所を変え、妥協点が模索されていく。

◇米中貿易協議は2週連続、4月3日から米国でも開催 (3月24日付け 日経 電子版)
→米ホワイトハウスは23日、閣僚級の米中貿易協議を2週連続で開催すると発表した旨。28〜29日の北京に続き、4月3日からは米ワシントンで開く旨。これまでに課した追加関税の扱いや合意事項を破ったときの罰則規定を巡って意見が対立している旨。閣僚間で集中的に議論し、首脳会談での決着に向けて妥協点を見いだせるかが焦点となる旨。

制裁関税の一部解除の可能性が取沙汰されているが、まだまだ距離感のある状況模様である。

◇米高官、対中関税「一部解除の可能性も」 (3月29日付け 日経 電子版)
→米国家経済会議(NEC)のクドロー委員長は28日、中国との貿易協議で合意できた場合、中国に課す制裁関税の一部を解除する可能性を示唆した旨。
トランプ大統領は合意後も関税をかけ続ける方針だが、すべてか一部かは明言していない旨。中国は関税の全廃を求めており、29日まで北京で開く閣僚協議でも大きな焦点となりそうな旨。

我が国では大学を通して米国の先端技術が他国に流出しないよう管理指針を見直す方針が打ち出されている。

◇米技術、大学から流出防ぐ、経産省、先端分野、中国念頭に (3月25日付け 日経 電子版)
→経済産業省は大学が他国と共同研究する際、先端技術が第三国に流出しないよう管理指針を見直す方針。米国発の技術が大学経由で中国などに渡る事態を想定したものとみられる旨。複数国と共同で研究したり、留学生を受け入れたりする場合の具体的な管理体制を示して大学に対応を促す旨。
大学の管理が必要な範囲が広がり、先端的な研究に制約が生じるとの懸念が出る可能性もある旨。

米国が求めている中国・ファーウェイ製品の排除について、欧州連合(EU)は加盟国一律排除を見送っている。

◇EU、ファーウェイ製品の一律排除見送り、5Gで勧告−加盟国に対応委ねる、監視は強化 (3月26日付け 日経 電子版)
→欧州連合(EU)の欧州委員会は26日、EU域内で整備する次世代通信規格「5G」を巡って、中国通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)など中国企業の製品を採用するかの判断を加盟国に委ねる「勧告」を公表した旨。米国は欧州に同社製品の排除を求めていたが、EUとして一律で除外するのは見送り、5Gのセキュリティー問題の監視強化に向けて加盟国間の連携を求めた旨。

一方、英国の機関の報告書ではファーウェイ製品の新たな問題が指摘され、判断への影響の可能性を感じさせている。

◇ファーウェイ製品「新たな技術上の問題」、英報告書 (3月28日付け 日経 電子版)
→英情報当局傘下の諮問機関、英国家サイバーセキュリティーセンター(NCSC)が28日、中国の通信機器最大手、華為技術(ファーウェイ)製品の安全性に関する年次報告書を公表し「さらなる技術上の重大問題が見つかった」と指摘した旨。2018年版で挙げた欠陥の修正に「進展がほとんどない」とも批判した旨。英政府は次世代通信規格「5G」への参入の是非を検討中で、その判断に影響する可能性がある旨。

米国の制裁の影響があらわれている中国メーカーの昨年業績である。最初に制裁を受けたZTEの決算発表である。

◇中国ZTEの前期、最終赤字1100億円 米制裁響く (3月27日付け 日経 電子版)
→中国通信機器大手の中興通訊(ZTE)が27日発表した2018年12月期の決算。
売上高が21%減の855億元、最終損益が69億元(約1100億円)の赤字、2017年12月期の45億元の黒字から一転、大幅な赤字に転落した旨。米国からの制裁で半導体の調達ができなくなり、一時的に業務停止に追い込まれたほか、制裁解除のための罰金10億ドル(約1100億円)も響いた旨。

ZTEのほかにファーウェイはじめ米国からの制裁が及んでいく今後である。

◇米標的の中国4社減速、通信機器や監視カメラ (3月28日付け 日経)
→米中摩擦の爪痕が中国のハイテク企業に広がっている旨。通信機器大手の中興通訊(ZTE)は27日発表した2018年12月期決算が最終赤字に転落し、監視カメラ大手など米国がZTEと同様に排除対象に挙げた3社も成長が鈍化した旨。米中のハイテク覇権争いは長期化する見通しで、日本など他国の産業にも影響が広がりそうな旨。米国は2018年8月に成立した「2019年度国防権限法」で、2019年8月以降に中国5社からの米政府機関の製品調達を禁じ、2020年8月からは5社の製品を使う企業との取引も打ち切る旨。実際の適用はこれからだが、すでに4社の成長が減速している旨。5社はZTEと中国通信機器最大手の華為技術(ファーウェイ)、監視カメラで世界シェア首位の杭州海康威視数字技術(ハイクビジョン)と2位の浙江大華技術(ダーファ・テクノロジー)、警察や軍で使う特定用途無線で世界シェア首位の海能達通信(ハイテラ)の旨。

注目のファーウェイ、昨年は大きく伸びて過去最高の売上げ、利益となっている。

◇ファーウェイ、18年は過去最高益 19%増収 (3月29日付け 日経 電子版)
→中国通信機器最大手、華為技術(ファーウェイ)が29日発表した2018年12月期の通期決算は、売上高が前の期比19.5%増の7212億元(約11兆9000億円)、純利益は同25.1%増の593億元で、いずれも過去最高を更新した旨。

しかしながら、2018年の携帯通信インフラ市場データでは、ファーウェイは2位に順位を落とし、次世代「5G」では4位。米国が関係各国に求めているファーウェイ製品の排除の影響があらわれ始めている。

◇通信インフラシェア、ファーウェイ2位に転落 (3月29日付け 日経 電子版)
→2018年の携帯通信インフラの世界シェア(英調査会社IHSマークイットまとめ)で中国の通信機器最大手、華為技術(ファーウェイ)が2位に順位を落とし、スウェーデンのエリクソンが2年ぶりに首位を奪還したことがわかった旨。次世代通信規格「5G」に限ると、ファーウェイは4位だった旨。トランプ米政権によるファーウェイ製品の排除が通信インフラ市場の勢力図にも影響を及ぼし始めた旨。

【市場急減関連】

WSTSによる昨年後半からのグローバル半導体市場の急減模様である。

◇Semiconductor market decline in 2019-Report: Q4 2018 market weakness extends into Q1 2019 (3月25日付け New Electronics)
→World Semiconductor Trade Statistics(WSTS)発。グローバル半導体市場は2018年に13.7%伸びたが、3Qから4Qで8.2%減と弱含みで終わっている旨。毎年半導体予測を見直してWSTS最終データに照らしているSemiconductor Intelligenceは、2019年第一四半期がさらに弱くなると述べている旨。

この市場模様の中、TSMCは、本年第二四半期からのノンメモリIC市場の回復を見込んでいる。

◇Recovery to take place in non-memory IC market starting 2Q19, says TSMC chairman-TSMC's advanced packaging to yield nearly $3B in revenue (3月26日付け DIGITIMES)
→TSMCのChairman、Mark Liu氏。先端実装が2019年売上げで約$3 billionを占める旨。加えて、ノンメモリ半導体市場が第二四半期から需要が高まっていく旨。

DRAMのスポット価格の低下が、以下の通りとなっている。

◇DRAM、価格1割安、スポット前月比、供給過剰感広がる (3月28日付け 日経)
→DRAMのスポット(随時契約)価格が下落している旨。指標となるDDR4型の4ギガビット品は、3月下旬時点で1個2.48ドル前後。1カ月前と比べ1割ほど安い旨。DDR3型の4ギガビット品も同1割下がり1個2.04ドル前後となっている旨。
DRAM市場全体で供給過剰感が広がっている旨。CPU不足でパソコン出荷が遅れ、DRAMの調達意欲が鈍い旨。需要を牽引してきたサーバも「先行き不透明な米中貿易摩擦などを受け、投資が鈍っている」(メモリーメーカー)旨。

2017年、2018年の熱い活況から今年は22%減に急転と、IHS MarkitのDRAM市場の見方である。

◇DRAM Market to Shrink Substantially in 2019, IHS Markit Reveals-Despite market challenges, Samsung continued to lead in unit shipment volume (3月27日付け IHS Markit)

◇DRAM Market Projected to Decline 22% (3月28日付け EE Times)
→IHS Markit発。average selling prices(ASPs)低下および弱含みの需要が、今年第三四半期までDRAM市場を悩ます見込み、2年連続の熱い活況から2019年は実質的減少につながっていく旨。DRAM市場は今年$77 billionほどに留まり、2018年から22%減と見ている旨。対照的に、昨年のDRAM市場は39%増、2017年はなんと76%であった旨。

MOSFETの価格にも下げの圧力が加わっている。

◇MOSFET prices come under downward pressure-Sources: Demand slowdown hits MOSFET pricing (3月29日付け DIGITIMES)
→業界筋発。昨年は上昇していたmetal-oxide-semiconductor field-effect transistors(MOSFETs)の価格が、需要の低迷からいまや下方圧力に直面している旨。Infineon Technologiesが車載MOSFETs需要が低下としていると、特に言及の旨。

【SK Hynix関連】

メモリ半導体市場の急減に直面している1社、SK Hynixの市場に臨むスタンスである。

◇SK hynix chief vows to strengthen fundamentals, raise chip yield rate-SK Hynix CEO wants to raise chip yield rate, cut costs (3月22日付け The Korea Herald (Seoul))
→SK HynixのCEO、Lee Seok-hee氏が市場状態の悪化に対して、半導体歩留りを上げ生産コストを減らして同社の根本的な競争力を強化していく旨。

次世代enterprise SSDの高速化の取り組みである。

◇SK hynix demonstrates 30% faster solution for next-generation enterprise SSD (3月25日付け The Korea Herald (Seoul))
→最近のSilicon ValleyでのOpen Compute Project Summitにて、SK Hynixが、artificial intelligence(AI)応用をサポートするhyperscaleデータセンターに向けてデータ処理速度を30%高める同社solid-state drives(SSDs)についての方法の開発を報告の旨。

韓国・ソウルの近く、Yonginの同社の新しい半導体clusterへの投資である。

◇SK hynix to invest $1 bil. for chip ecosystem in Yongin (3月28日付け The Korea Times)
→SK hynixが木曜28日、ソウル近くの新しい半導体clusterに入る同社連携firmsとの成長共有計画の一環として1.22 trillion won($1.07 billion)を投資する旨。

【Apple 対 Qualcomm】

4月半ばにはまた新たな攻防を控えているAppleとQualcommの特許侵害係争であるが、米国際貿易委員会(ITC)の裁判官がApple製品の一部輸入停止を勧告する動きが見られている。

◇アップル製品の一部輸入停止を勧告、米ITC裁判官 (3月27日付け 日経 電子版)
→米半導体大手、クアルコムが特許侵害を理由に米アップル製品の米国への輸入を差し止めるよう米国際貿易委員会(ITC)に申し立てていた問題で、調査を担当した裁判官がクアルコムの主張の一部を認めたことが26日、明らかになった旨。アップルの特定の製品について輸入停止を命じるべきだと勧告している旨。正式決定にはまだ時間がかかる見通しだが、アップルにとって打撃となる恐れがある旨。

このITCの数個にわたる裁定を受けては、AppleとQualcomm、それぞれが自前の受け取りで勝利宣言する様相となっている。

◇Apple, Qualcomm Split Decisions at ITC (3月27日付け EE Times)
→QualcommとAppleが、米国・International Trade Commission(ITC)が火曜26日行った数個の裁定を分割して、それぞれに勝利宣言の旨。

【はやくも6G】

「5G」で中国とゴタゴタするより次の「6G」に真っ先に取り組んで圧倒的主導権をとるべきということか、米国トランプ大統領のtweetが発せられている。産学の6G原案づくりにもまた新たな注目である。

◇6G Kicks Off with Trump Tweets, FCC Action, and a Summit (3月24日付け EE Times)
→ここ数週間6Gへの関心に弾みがついており、米国Donald Trump大統領がアメリカの会社はそれに向けた活動を踏み上げなければならないとtweet、さらに高まっている旨。こんどFederal Communications Commission(FCC)は95 GHz〜3 THzの周波数使用に向けた実験的licensesの新カテゴリーを作成、そして今週業界とacademiaが6Gが如何なるものか共同ビジョンの原案づくりでフィンランドのskiリゾートにて最初のcollaborative活動を精密に立てるために会合をもつ旨。

◇Trump Tweets Kicks Off 6G (3月26日付け EE Times India)


≪グローバル雑学王−560≫

「世界3大投資家」と称される1人、ジム・ロジャーズ(Jim Rogers)が、大いなる可能性を秘めた日本に焦点を当てた予見の後半を、

『お金の流れで読む 日本と世界の未来 −世界的投資家は予見する』
 (ジム・ロジャーズ 著 大野 和基 訳:PHP新書 1172) …2019年1月29日 第一版第一刷

より読み進めていく。これから伸びていくとして投資の対象に挙がっているのが、海外からの観光客が増える一途ということでツーリズム(観光業)、担い手さえあれば明るい未来の農業、そして日本に来たがる外国人学生はじめ大きな需要が見込める教育ビジネスである。日本人ならではの3つの強みとして、クオリティへの探求心、類まれなる国民性および貯蓄率の高さがあるとして、自分が総理大臣になったら、(1)大幅な歳出カット、(2)関税引き下げと国境の開放、および(3)移民の受け入れ(ただし慎重に)に取り組むとしている。平成から元号が間近に変わる現時点、我が国を一層の伸長路線に大きく切り替える処方箋を目にする思いで、一案としてじっくり反芻している。


第一章 大いなる可能性を秘めた日本 ―――後半

◎日本に投資するなら、観光、農業、教育
 日本で「これから伸びる産業」とその理由

〓インバウンド投資はまだまだ伸びる
・今後、日本において投資すべき産業は何?
 →私はツーリズム(観光業)を真っ先に挙げたい
  →個人的には、日本のツーリズム――観光、ホテルや古民家に投資したいと思っている
・近隣諸国、特に中国人にとっては日本は魅力的な観光地
 →ベトナムも約9300万人の人口、その多くが日本に行きたがっている
・日本は、20年前、いや10年前でさえも、ほとんどの旅行客にとって旅先の候補の中に入っていなかった
 →状況はかなり変わりつつあり、私のクレジットカードも使えるところがある

〓農業分野は可能性の山
・もう1つ、投資したい産業→農業
 →担い手さえ見つければ、日本の農業には明るい未来が待っている。競争がない業界だから
 →低賃金で働いてくれる外国人を日本に入れない限り、農業は大きな成長産業にはならないだろう
・日本の農業の問題は、政府によって保護され過ぎているという点に
 →日本米の価格は、かつては世界市場の5〜6倍
  →他国に輸出することができない
 →日本人による「国産米信仰」は、少々度が過ぎるというもの
  →多くの国民は「日本米は特別で、高価なのは当然のこと」と思い込んでいるのではないか
・しかし、状況は少しずつ改善されてもいる
 →2016年、農地法が改正されて、農業への参入の壁がだいぶ低くなった
・日本の主要企業は、昔からある大企業がほとんど
 →投資のリスクは低いが、リターンも少ない
・私が投資をする場合は、ツーリズム、古民家、そして農業
 →まだ上を目指す余地がある

〓教育ビジネスにも活路あり
・日本に来たがる外国人学生はたくさんいる。積極的にたくさん受け入れるようにすればいい
 →韓国や中国の子どもと話すと、「大学に入学できない」と言う
 →大学の数が少なく競争率が非常に高い
・世界の共通語、英語で授業をしなければならない
 →英語で外国人に講義をしている大学が増えている
・介護産業にも未来があるとよく言われるが、日本が将来他の国と競争する時の助けにはならないだろう

◎日本再興への道
  日本人が持つ三つの強みと、日本経済への三つの処方箋

・私が考える日本の強み、主に3つ、以下の(1)〜(3)

〓日本の強み(1)クオリティへの探求心
・まず1つ目は、日本の最大の強み、クオリティ(品質)
 →日本ほどクオリティに対して「抑えがたい欲望」を持っている国は他に思いつかない
 →その姿勢こそが、日本を偉大な国にした
・第二次世界大戦後、世界と戦う力をつけるために、日本はクオリティを高めるしかなかった
 →そして日本は見事な経済成長を遂げた
 →いま、世界で最も優れているものは何でも日本にある

〓アメリカ人が仰天した日本のモノづくり
・1950年代、世界最大のアルミニウム会社、アメリカのアルコアでのエピソード
 →アメリカの従業員たちが思う「史上最高品質」は、日本人にとっての「普通」だった
・1965年当時、ゼネラル・モーターズ(GM)の取締役会に経営コンサルタントたちがやってきて、「日本人がアメリカにやってくる」と警告
 →しかしアメリカ人の役員はまるで相手にしなかった
 →その44年後、GMは倒産
 →日本車がアメリカにやってくることをもっと懸念すべきだった
・ホンダが1950〜60年代にオートバイを持ってアメリカに乗り込んできた時のことを、私はよく覚えている
 →ハーレーダビッドソン乗りの輩は、ホンダを嘲り笑っていた
 →いまではホンダが世界最大のオートバイメーカーに

〓価格競争に走ってはいけない
・日本人はどういう理由であるにせよ、高品質について学び、価格競争についても学び、アメリカの産業をいくつも破壊
 →アルミ、鉄鋼、オートバイ、自動車――ありとあらゆる産業を
・低価格にして長続きした会社は、歴史的に見て存在しない
 →消費者は、概して高品質の製品を欲しがるもの
・ホンダやトヨタ、ソニーを貧困層が最初に買ったのは、誰もが品質が高いということがわかっていたから
 →品質を落として低価格に走れば、最終的には必ず消えることになる
 →もっと低価格のものが出てきて、価格競争に追いつけなくなる

〓かの大英帝国も価格競争によって敗れた
・1830年代、大英帝国は前代未聞の驚くべき経済成長を経験
 →それから20〜30年後、イギリスの王座を颯爽と奪っていったのがアメリカ
・歴史は、常にこのように動く。どこかで安く作ると、必ずそれよりも安く作るところが出てくるもの
 →日本も、世界一の品質に対するプライドをもう一度取り戻すべき

〓日本の強み(2)類まれなる国民性
・日本は国全体が機能している、というのが2つ目の大きな強み
 →日本人がみな非常にまじめに働いている
・私が初めて日本を訪れたのは、1980年代のこと
 →どんな要望を出しても、日本人の返答は必ず「はい」
 →「それはできない」と否定する前に、やります、できます、と答えてくれる
 →世界基準で考えたら、信じられないこと
・働くことへの真摯な姿勢は、世界中の成功している起業家がみな持っているもの
 →「実行し、そして成功させる」という姿勢

〓日本の強み(3)貯蓄率の高さ
・日本のもう1つの強みは、日本人の貯蓄率の高さ
 →投資するためには貯蓄が必要であることは、経済の基本
 →実体経済の原則では、貯蓄=投資に
 →経済が成長するために必要な資本は、投資によって増える
・資本主義より優れたシステムを思いついた人は、いまのところ誰もいない
・日本では資本主義のせいでかつてないほど格差が広がっていると言われるが、それは本当か?
 →長期的な視点で見れば、格差はむしろ縮まっていると言える
・日本人の貯蓄率は、恐らく世界一だろう
 →戦後の日本では投資に注がれ、うまくいった
・残念ながら、現在の日本ではアメリカやイギリスと比べると、積極的に投資が行われていない
 →多くの日本人は金を日本から持ち出して、もっといいリターンが得られる国へ持っていってしまった
 →世界の資産が西欧諸国からアジアに移っているいま、日本だけがアジアの中でぽつんと取り残されているように思えて仕方ない

〓もし私が日本の総理大臣になったなら
・もしなったら、真っ先に着手する3つ
(1)チェーンソーで歳出を大幅カット
・2018年、日本の一般会計の歳出(政府が使う金の予算)は約98兆円、新規国債発行を除く歳入は約65兆円
 →私なら日本の歳出を思い切り削減
(2)関税引き下げと国境の開放
・日本は戦後、世界各国との貿易によって経済復興を遂げた「貿易立国」なのだから、保護主義に走っても何もいいことはない
(3)移民の受け入れ(ただし慎重に)
・少子高齢化の日本を救うには移民を受け入れる以外に方法はない
 →受け入れ方には慎重を期する必要がある

・さらに、もう1点、日本は、エンジニア育成に国費をもっと投じる必要
 →現在中国では、日本の15倍ほどの人数のエンジニアを輩出、国力の源泉に
 →中国でエンジニアになると、将来の成功は保証されたようなもの、好循環が生まれている
・肝心なのは「エンジニアで成功すると、財を成せる」と若者たちに知らしめること
 →そのために、教育が必要に
・日本、韓国、中国――どこも自国独自の教育を施している
 →ほとんどのプロパガンダは事実をねじ曲げている

〓もし私がいま40歳の日本人ならば……
・私が40代の日本人だったらどうだろう
 →考えるのは、農場を買うこと
 →古民家のチェーン事業を始めるのもいい
 →外国人の働き手を確保すべく、教育事業にも着手
・これから逆風にさらされる日本で生きていくには、海外と関わることが絶対必要条件に
 →いまのうちから日本、ひいては東アジアを取り巻く各国の情勢に目を向けてもらいたい

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