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米中摩擦の渦中にアップルショック、相次ぐ前年割れ&大幅下方修正

米中摩擦が膠着状態での越年、そして年初早々の予測下方修正のアップルショックに、Samsungの2年ぶりの減益はじめ落ち込みの波が相次いで押し寄せてきている現時点である。予想されるところではあるが、中国の2018年12月輸出入は前年割れとなり、また、台湾のTSMCもこの1-3月は踊り場に差し掛かって営業益2割減を予想せざるを得なくなっている。先行きが見通せない米中摩擦について、HuaweiおよびZTEへの厳しい攻勢を強める一方、関税を取り下げて中国側の譲歩を探る米国側が繰り出す駆け引きが見られている。
今後に向けた新分野の展開に向けて、敏速な打開、収拾の期待である。

≪落ち込みの中の摩擦駆け引き≫

アップルショックを受けたマイナス・インパクトが方々で沸いてきている。

中国ではアップルの下方修正を上回るiPhoneの値下げの動きである。

◇中国でiPhone異例の値下げ、強気一転、最大2割 (1月13日付け 日経 電子版)
→米アップルのスマートフォン「iPhone」が中国で値下げされた旨。京東集団など主要なネット通販サイトで11日以降、価格が1〜2割下がった旨。ブランド価値を保つため値引きと一線を画してきたアップル製品の価格引き下げは異例。同社は1〜3月の生産台数を当初計画より約10%引き下げるなど苦戦している旨。販売てこ入れが狙いとみられるが、アップルの揺らぎは電子部品など幅広い産業に影響する旨。

2年あまりぶりという中国での輸出入前年割れの統計データである。

◇中国、輸出入ともに前年割れ、2018年12月、対米貿易不振で (1月14日付け 日経 電子版)
→中国の貿易が振るわない旨。中国税関総署が14日発表した2018年12月の貿易統計(米ドル建て)によると、輸出額は前年同月比4%減の2212億ドル(約24兆円)、輸入額は同8%減の1641億ドル。輸出、輸入ともに前年同月の水準を下回るのは、2016年10月以来2年2カ月ぶり。追加関税の影響で米国との貿易が低迷したほか、景気減速で内需も弱含んでいるための旨。市場の事前予想は輸出、輸入ともプラスの伸びを見込んでおり、予想を大きく下回った旨。品目別にみると、輸出では柱の携帯電話とパソコンがともに前年割れとなり、特に携帯電話は31%減と大きく落ち込んだ。米アップルの減産などが響いたとみられる旨。

メモリ半導体の設備投資について、フラッシュメモリの供給過剰からくる依然高水準ながら弱含みの見通しである。

◇Flash Capex Projected to Decline (1月15日付け EE Times)
→IC Insights発。メモリ半導体メーカーの2019年のフラッシュメモリcapexが約$26 billionの見込み、昨年評価の$31.9 billionからは約18%減の旨。3D NANDのcapacity拡大が一息ついて投資減にも拘らず、フラッシュは3年連続$25 billion超に向かうcapexで、他のすべての半導体分野を引っ張っていく見込みの旨。

◇NAND Flash Manufacturers to Cut Capex by 2% in 2019-NAND manufacturers have taken initiatives to cut their capex due to the worsening oversupply in 2018. (1月15日付け EE Times India)

◇NAND flash chipmakers slowing down capacity expansion, says DRAMeXchange-DRAMeXchange: NAND flash vendors to ease up on capacity expansion in 2019 (1月15日付け DIGITIMES)
→DRAMeXchange発。NANDフラッシュメモリのグローバル市場は2019年も供給過剰のままであり、末端市場需要の見通しが弱含みの旨。NANDフラッシュ半導体メーカーは今年capacity拡大ペースを落とし、capex削減に動いており、ビット出力の伸びを抑制、業界内の供給過剰をならしている旨。グローバルNANDフラッシュ業界の2019年のcapex総計は$22 billionと見込まれ、2018年を約2%下回る旨。

昨年後半から下がり始めたDRAM価格は、この1-3月四半期には約20%の低下が見込まれている。

◇DRAM Q1 price drop expected to be around 20%-DRAMeXchange expects DRAM prices to fall 20% during Q1-The monthly contract price of 8GB DRAM modules stayed at around $60 in December, while 4GB modules are around $30, reports DRAMeXchange. (1月16日付け Electronics Weekly (UK))
→DRAMサプライヤとOEMsの第一四半期契約の話し合い、一般の落としどころが8GBモジュール価格で大体$55以下となっている旨。これは1月の前月比で少なくとも10%の低下で、2月および3月も下がり続けることを示している旨。DRAMeXchangeは、第一四半期で20%の落ち込み、サーバDRAMが最も下がると見ている旨。

◇Fall in 1Q19 DRAM prices larger-than-expected, says DRAMeXchange (1月16日付け DIGITIMES)
→DRAMeXchange発。2019年第一四半期におけるDRAM契約価格が前四半期比約20%下がる見込み、前回は15%減としていた旨。

台湾のDRAMメーカー、Nanyaも、2019年の設備投資を半減としている。

◇Nanya plans to halve capex for 2019 (1月16日付け DIGITIMES)

◇台湾半導体大手、設備投資を半減、今年、需要減に対応 (1月16日付け 日経)
→半導体メモリのDRAM大手、台湾の南亜科技(ナンヤ・テクノロジー)が15日、2019年12月期の設備投資が前期に比べ半減する見通しだと明らかにした旨。100億台湾ドル(約350億円)程度となる旨。米中貿易摩擦の影響がサーバ向けのDRAMの需要や市況に及ぶことを警戒する旨。

メモリ半導体に特に大きく依存する韓国経済でのインパクトが以下の通りである。

◇DRAM失速、サムスン震撼、データセンター・スマホ頭打ち、米中摩擦、先行き不透明 (1月16日付け 日経産業)
→半導体市場の成長が長期間続く「スーパーサイクル」を牽引してきたDRAM市場が変調を来している旨。約2年にわたって続いた価格上昇が2018年秋にストップし、直近は3カ月連続で値下がりしている旨。DRAM最大手の韓国サムスン電子が四半期として2年ぶりの減益となり、半導体製造装置の受注も減る見通し。各方面に影響が出始めている旨。

◇韓国半導体輸出9%減、12月、2年3カ月ぶり、中国向け大幅落ち込み (1月18日付け 日経)
→韓国産業通商資源省は17日、2018年12月の半導体輸出額が2年3カ月ぶりに前年同月を下回ったと発表、中国向け輸出が大幅に落ち込んだ旨。2018年12月の輸出額は前年同月比9%減の89億6000万ドル(約9750億円。中国向けの輸出は約2割減。品目別では、半導体輸出額の7割超を占め、スマートフォンやサーバのデータ保存に使われるメモリが1割減った旨。

市場の成長が踊り場を迎えて、台湾の最大手、TSMCも、1-3月四半期の利益減、そして厳しい2019年を見通さざるを得ない状況である。

◇Weak year ahead for TSMC (1月16日付け DIGITIMES)
→業界観測筋発。世界半導体ファウンドリー市場で50%超のシェアをもつTSMCの2019年売上げについて、データセンター、AIおよびIoT応用向け半導体需要増大では、AppleのiPhonesなどスマートフォン向けの需要減少のインパクトを依然帳消しにできない旨。5G-capable機器に向けた半導体需要も実質的に上がってくるのは2020年以降の様相であり、2019年はTSMCにとって悪い年になっていこうとしていると加えている旨。

◇TSMC profits rise 0.7% on year in 4Q18 (1月17日付け DIGITIMES)
→TSMCの2018年第四四半期の売上げがNT$289.77 billion、前四半期比11.3%増、前年同期比4.4%増、net incomeがNT$99.98 billion($3.24 billion)、前四半期比12.3%増、前年同期比0.7%増。

◇TSMC predicting revenue hit for Q1-TSMC forecasts Q1 revenue will fall 20% amid smartphone slump (1月18日付け The Taipei Times (Taiwan))

◇台湾半導体受託TSMC、成長踊り場、1〜3月営業益2割減、アップル不振で需要減、米中摩擦、懸念強く (1月18日付け 日経)
→半導体の受託生産世界最大手、台湾積体電路製造(TSMC)の成長が踊り場を迎えている旨。17日、2019年1〜3月期の営業利益が前年同期比2割超減るとの見通しを明らかにした旨。米アップルのスマートフォンの販売不振や仮想通貨向けの需要減が響く旨。今期の設備投資計画も下方修正、2019年の半導体景気に対し厳しい見方が広がりそうな旨。

今後の展開、成り行きを大きく左右する米中摩擦について、現下の動きである。

まず、中国が立ち上げを図っているメモリ半導体の生産であるが、先行するTsinghua Unigroupの3D NANDメモリについて後工程の量産が始まっている。

◇Unigroup starts mass production of 3D NAND backend lines (1月14日付け DIGITIMES)
→中国・Tsinghua Unigroupが再投資したメモリbackendサービス関連会社、Unimos Microelectronicsが最近、3D NANDメモリ半導体実装&テストラインの量産を開始、健全なメモリ&ストレージecosystemsの構築に向けて大きな一歩を刻んでいる旨。Unimos Microelectronicsは、元々は台湾・ChipMos Technologiesの完全子会社、ChipMos (Shanghai)から2018年7月に社名を変更したもの、Unigroupが2017年6月に48% stakeを買収して該合弁の最大株主になっている旨。

次に、米国政府の動き。中国のテレコム大手、HuaweiおよびZTEに対する米国コンポーネント製品の輸出を禁止する法制化が進められている。続いてDRAMメーカーへの装置も照準になっているとともに、中国側の反発の反応である。

◇US ponders bill outlawing sales to ZTE and Huawei-Bill before Congress would prohibit chip sales to ZTE and Huawei (1月17日付け Electronics Weekly (UK))
→米国政府が、HuaweiおよびZTEへのコンポーネント供給を禁ずる法案を票決予定、この動きに続いて、中国の大望を抱くDRAMメーカー、Fujian Jin Huaへのコンポーネントおよび装置の供給禁止が控えている旨。

◇China calls proposed U.S. legislation against Huawei, ZTE 'hysteria' (1月17日付け Reuters)

◇U.S. Lawmakers Propose Ban on Chip Sales to Huawei, ZTE (1月18日付け EE Times)
→米国lawmakersの超党派グループが、米国輸出管理法の侵害に向けて米国の半導体などコンポーネントの中国のテレコムメーカー、HuaweiおよびZTEへの輸出を禁ずる法制化を導入の旨。

知財関連盗用について、米国政府がHuaweiを捜査している以下の内容である。

◇U.S. investigating Huawei for alleged trade secret theft: WSJ (1月17日付け Reuters)

◇米当局、ファーウェイを捜査か、米メディア報道 −企業秘密を盗んだ容疑で、近く起訴も (1月17日付け 日経 電子版)
→米ウォール・ストリート・ジャーナル紙(電子版)は16日、米政府が中国通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)を米企業の企業秘密を盗んだ疑いで本格捜査していると報じた旨。近日中に起訴する可能性もある旨。関係者の話によると、米当局は2014年に米携帯3位のTモバイルUSがファーウェイに企業秘密を盗まれたと主張して民事訴訟を起こした案件に高い関心を寄せている旨。ファーウェイが盗んだとされるのは、Tモバイルが独自で開発した携帯端末の品質管理ロボット「タッピー」に関連する企業秘密。

その一方、米国政府内では制裁関税を取り下げて中国側の譲歩を引き出すアプローチも以下の通り浮上している。

◇U.S. Debates Lifting China Tariffs to Hasten Trade Deal, Calm Markets -New tactic under discussion would be aimed at giving Beijing incentives to make long-term concessions (1月17日付け THE WALL STREET JOURNAL)

◇Trump team weighs surprise tariff cut in hopes of securing China trade deal (The Washington Post)

◇米財務長官、対中関税の取り下げ主張、米報道 (1月18日付け 日経 電子版)
→米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(電子版)は17日、ムニューシン(Steven Mnuchin)財務長官が中国に課している制裁関税の取り下げを政権内で主張していると報じた旨。好材料を与えて株式市場を安定させたり、中国から譲歩を引き出したりする狙い。米中協議の責任者を務める米通商代表部(USTR)のライトハイザー(Robert E. Lighthizer)氏は反対している旨。

土曜19日晩のテレビ放送、NHKスペシャル「アメリカVS.中国 …“未来の覇権”争いが始まった 」を見て、AIなどの先端技術を駆使する「自動運転」や、インターネットに続く革命的な技術「ブロックチェーン」などでの中国の驚くばかりの規模の取り組み、そして米国防衛筋の官民あげて推進する中国のアプローチに対する危機意識、などなど改めて認識したところである。


≪市場実態PickUp≫

【Consumer Electronics Show(CES)関連】

Consumer Electronics Show(CES) 2019(1月8日〜11日:Las Vegas)の余韻がいくつか引き続いている。インテルに対抗して打ち上げられたAMDの7-nm半導体が、以下の受け取りを呼んでいる。

◇Will Headless Intel Woo AMD's Lisa Su?-The cost of such a leadership void is high for any company. It's even more critical at a $62.8 billion company. (1月14日付け EE Times)
→先週のLas VegasでのConsumer Electronics Show(CES)。今回は、まだ新しいCEOを指名していないIntelは、最も切望される月曜夜の基調講演をLGに明け渡す一方、AMDのCEO、Lisa Su氏は水曜の朝、以下の圧倒する基調講演を行った旨。
 ・3つの異なる市場、notebook, desktopおよびデータセンターに向けたAMDのプロセッサをプレゼン、すべて7-nmプロセスnodeでの設計&製造
 ・該7-nm半導体の最初のものが来月手に入るようになる
 ・対照的に、IntelはCES記者発表にて10-nm PCプロセッサを披露

◇AMD to Drop 7nm Bombs at CES-AMD CEO Lisa Su made some huge announcements at CES 2019, including the first 7nm gaming GPU ready to take on its competitors market this year… (1月14日付け EE Times India)

◇Intel Wants Lisa Su as its New CEO?-Even those who don't buy the Intel-AMD rumor are open to the suggestion that Intel wants Lisa Su more than it wants AMD... (1月16日付け EE Times India)

CEA-Letiによるスマート電池パックへの注目である。

◇Three-in-One Battery Pack Debuts in EV Space (1月14日付け EE Times)
→奇妙にも誰も考えなかったこと、CEA-Leti(Grenoble, France)が先週のConsumer Electronics show(CES)にて、新しいthree-in-one電池pack、すなわちbattery management systems(BMS)、充電器およびインバータを直接電池packに統合したものを披露の旨。

◇Smart Battery Gears Up for E-Mobility-CEA-Leti demonstrated its new 3-in-1 battery pack, with switching, charging and BMS features - directly accesses individual battery cells at all times. (1月17日付け EE Times India)

1年前とは打って変わったNvidiaを取り巻く状況があらわされている。

◇Nvidia refocuses on PC graphics competition-Nvidia gets back to its knitting in PC graphics cards (1月16日付け DIGITIMES)
→1)Advanced Micro Devices(AMD)およびIntelからのPCグラフィックスカード市場における新たな対抗に直面、Nvidiaが、gamingなど高解像応用に向けてPCsに入るgraphics processing units(GPUs)ビジネスを取り戻そうとしている旨。近年同社は仮想通貨市場から恩恵を得ている一方、artificial intelligence(AI)およびautomated drivingにも対応しているが、仮想通貨市場はここ数ヶ月落ち込んでいる旨。
 2)昨年のCESでは、Nvidiaはartificial intelligence(AI)およびautonomous drivingをすいぶん謳っていたが、CES 2019 pre-showでは、NvidiaのCEO、Jen-Hsun Huang氏の重点は明らかに同社最新PC GPUsに切り替わり、グラフィックスカード市場での競合増大を映し出して、もはや同社のleadershipが当然と思えないことを示している旨。

車載には元々入れ込んでいる、とQualcommからのアピールである。

◇Q'comm Exec: ‘Automotive Changed Our DNA’-Qualcomm touts its automotive expertise (1月17日付け EE Times)
→Qualcommは地政学によりNXP Semiconductorsを買収する使命は結局果たせなかったが、同社は車載electronicsにおいて競合できることを示すのに懸命になっている旨。「Qualcommでは、2002年にGeneral Motors向けにmodem半導体の供給を始めて以降、車載-重点の会社であると思っている。」と、Qualcommの車載事業、製品&プログラム管理、senior vice president、Nakul Duggal氏。

◇Automotive Changed Qualcomm's DNA-Nakul Duggal, Qualcomm senior vice president, sat down with EE Times at CES to discuss Qualcomm's automotive business. (1月18日付け EE Times India)

新分野が多彩に台頭する時代の渦中にあって、存在感を高めるCESの感じられ方となっている。

◇CES、総合技術で存在感、節目にみえた見本市の盛衰 (1月18日付け 日経 電子版)
→米ラスベガスで8〜11日(現地時間)開催された北米最大の家電IT見本市「CES」。情報技術の最新トレンドを年初に占う場として注目されるが、競合する見本市が最近、相次ぎ開催の見直しを表明。技術見本市としての存在感を一層印象づける節目の年となった旨。

【SEMI ISS 2019関連】

上記のCESと同様、SEMI Industry Strategy Symposium(ISS)(2019年1月6-9日:HALF MOON BAY, Calif.)でも激動の新時代が謳われ、余韻が続くところがある。

◇Washington, Wall Street Squeeze Semis-Trade group aims to launch think tanks, investment funds-SEMI CEO looks to find a way through current troubles (1月11日付け EE Times)
→SEMIのCEO、Ajit Manocha氏がannual Industry Strategy Symposiumにて、米中貿易戦争およびそれによるsupply chain問題に向けた業界戦略を計画するいくつかのthink-tankセッションの初回を招集の旨。「この業界で40年、かくも同時に多くのdisruptionsは見たことがない。」と、インタビューで同氏。

◇Rethinking The Next Semiconductor Roadmap-The semiconductor industry needs to think differently and find roads Ahead to growth. Trade group SEMI aims to launch think tanks, investment funds... (1月17日付け EE Times India)

講演&パネル討議の中から、インテルはじめ注目内容が以下の通りである。

◇Despite uncertainty, long-term semiconductor market outlook remains bright (1月14日付け ELECTROIQ)
→SEMI Industry Strategy Symposium(ISS)(2019年1月6-9日:HALF MOON BAY, Calif.)の第1日基調講演および経済の流れ&市場展望プレゼンについて。開幕基調講演にてIntelの製造およびOperations、senior vice president and general manager、Anne Kelleher氏は、データの非常に大きな伸びを指摘、fabsでは毎日5 billionを上回るセンサデータpointsを集めている旨。

◇The Next Semiconductor Revolution-Four industry experts talk about what's changing, how quickly, and where the limits are with AI.-What's next in semiconductor tech (1月15日付け Semiconductor Engineering)
→先週のSEMI Industry Strategy Symposium(ISS)(2019年1月6-9日:HALF MOON BAY, Calif.)でのパネルセッションにて、業界エキスパート4名がartificial intelligence(AI)の使用など半導体における次世代技術について話し合い。「生態系が我々がそれから習う必要がある例」と、業界史上最初のmicroprocessor(MPU)を設計したFederico Faggin氏。

技術的な注目内容がまとめられている。

◇Foldables, DRAMs, and Other Puzzles-Multi-array chip envisioned to “reprogram” human tissues-Foldable smartphones require unfolding fat wallets-Preventing mainstream DRAMs from falling over-DRAMs gearing up for 12-high stacks-Quantum researchers need help in the fridge (1月17日付け EE Times)
→先週のSEMI Industry Strategy Symposium(ISS)(2019年1月6-9日:HALF MOON BAY, Calif.)での技術講演ハイライトから。foldableスマートフォン, rollableディスプレイおよび次世代DRAMsに向けた大きな課題にエンジニアは直面、しかしながら、新しい部類のヘルスケア機器および3D半導体stacksに向けたopportunitiesもある旨。

◇Tech Talks Highlight Top Trends-Engineers face big challenges delivering foldable smartphones, rollable displays and next generation DRAMs. However, they also have opportunities to deliver new classes of health care devices and 3D chip stacks. (1月18日付け EE Times India)

【Apple対Q'comm特許係争】

これも長らくの応酬が続くApple対Qualcommの特許licensing紛争であるが、San Jose地裁での対決が以下の通りあらわされている。practicesの正しさを主張するQualcommに対し、具体的な内訳数字から不当性をあげつらうAppleのやりとりとなっている。

◇Apple Testifies in Q'comm Patent Case-Watershed meeting spawned Project Antique (1月11日付け EE Times)
→QualcommとAppleが金曜11日、特許を巡って続いている係争でSan Jose地裁にて対決の旨。Appleのexecutiveが、QualcommのロイヤリティはiPhoneの1台当たり$10を上回ったと示した旨。

◇Apple Reveals Qualcomm Patent Fees-iPhone maker rejected 5% handset royalties (1月14日付け EE Times)
→antitrust訴訟でSAN JOSE, Calif.にて証言したAppleのchief operating officer(COO)、Jeff Williams氏。Qualcommは、スマートフォン当たり5%のロイヤリティ、約$12〜$20に加えて大きな“CDMA tax”を課している旨。「他の誰にも比べて我々の見方ではFRAND(Fair, Reasonable And Non-Discriminatory:公平、妥当かつ 差別のない)ライセンスではなく、Qualcommは他のだれよりも多く求めている。」

◇Apple's $1 Billion Baseband Deal-Qualcomm's CEO testifies in antitrust case (1月14日付け EE Times)
→Qualcommは、cellular modem商談獲得に向けて2011年に3年契約$1 billionをAppleに支払った旨。QualcommのCEO、Steve Mollenkopf氏は、同社を相手取って米国Federal Trade Commission(FTC)が起こしたantitrust訴訟において、金曜11日後半の証言でその驚くほどのfigureに特に言及の旨。該figureは、その日の証言からの2つの衝撃的な数字の1つであり、その日の前半にAppleの購買headがQualcommのhandsetロイヤリティをiPhoneの1台当たり$10より低くするようにした該取引をあらわしている旨。

◇Irwin Jacobs Defends Qualcomm Licensing-Testimony spans CDMA, 3G, and LTE eras (1月16日付け EE Times)
→米国・Federal Trade Commission(FTC)が、Qualcommでの五指に余る特許licensing紛争を問題視の旨。Qualcommのco-founder、Irwin Jacobs氏が、同社のstoryを話し、practicesの正しさを主張の旨。FTCのantitrustエキスパートは、Qualcommの“no license, no chips”政策を引き合いにしている旨。

【MicronとIntelの合弁】

Micron Technologyが、Intelとともに2006年に設立したフラッシュメモリの合弁、IM Flashについて、昨秋予告の通りMicronがIntelのownershipを買い取ると発表されている。3D XPointという新技術も共同で展開してきており、今後の方向性に注目である。

◇Micron to scoop up Intel portion of IM Flash for $1.5 billion-Intel to exit joint venture with Micron at a time of its choosing in the next six to twelve months.-Micron to spend $1.5B to buy Intel's stake in IM Flash JV (1月15日付け ZDNet)
→Micron Technologyが、Intelとともに2006年に設立した合弁、IM FlashにおけるIntelのownershipを$1.5 billion in cashを買収する旨。該取引で、IM FlashにおけるIntelのnoncontrolling interest(非支配株主持分)は終わりとなる旨。

◇Micron exercises call option to acquire remaining stake in IM Flash (1月15日付け DIGITIMES)
→Micron Technologyが、Intelとの合弁、IM Flash TechnologiesにおけるIntelの利権を買収する権利を行使すると発表、Micronは2018年10月、該行使の意向を明らかにしていた旨。

【トップサプライヤのシェア】

2018年と2008年、この10年の開きの間での半導体トップサプライヤのシェアデータをIC Insightsがまとめている。業界統合が進んできた何10年間での直近10年ではあるが、寡占の一層の高まりを改めて感じるものがある。

◇Semiconductor leaders' marketshares surge over the past 10 years (1月15日付け ELECTROIQ)
→IC Insightsが今月後半発行、The McClean Report 2019より、世界大手半導体サプライヤのここ10年での市場シェアが次の通り大きく増大の旨。

2008年
2018年
市場規模
$265.2 billion
$514.0 billion
トップ5比率
33%
47%
トップ10比率
45%
60%
トップ25比率
68%
79%
トップ50比率
82%
89%

◇Semi leaders grab more share-The top 5 semiconductor suppliers accounted for 47% of the world's semiconductor sales in 2018, an increase of 14 percentage points from 10 years earlier, reports IC Insights-IC Insights: Top 5 semi vendors held 47% of 2018 sales (1月15日付け Electronics Weekly (UK))
→2018年で最も大きく伸びたサプライヤ・トップ7のうち、4社がメモリ半導体事業でNanya Technology, SK Hynix, Micron TechnologyおよびSamsung Electronicsである旨。

◇Semiconductor leaders see combined market share swell (1月16日付け DIGITIMES)


≪グローバル雑学王−550≫

「チャック」と子供の頃確かに呼んでいたファスナーであるが、ジーンズのズボンはじめ随所で目にするYKKマーク。この会社を興した吉田忠雄の生きざまを、

『日本人だけが知らない本当は世界でいちばん人気の国・日本』
 (ケント・ギルバート 著:SB新書 443) …2018年8月15日 初版第1刷発行

より辿っていく。先行するアメリカに品質で勝つと総力挙げて挑むくだりは、我が半導体業界の経緯によく通じる味わいがある。関係するすべての成功が、結局は自分の成功にも跳ね返ってくる、との「善の循環」の哲学が重く伝わってくる。


第二章 義理
 ―――誉れ高き「和の心」 …その1

□「善の循環」で思いやりを世界へ届ける
 ―――吉田忠雄

〓「世界一のファスナー」を生み出したものづくり精神
・日本が誇るファスナーの世界ブランド、YKK
 →ファスナー業界で、国内市場では95%、世界でも45%超のダントツ1位のシェア
 →世界2位、3位のシェアはわずか7-8%ずつ
・ファスナーは1891年、アメリカ人のホイットコム・ジャドソン(Whitcomb L. Judson)が、編み上げ靴のひもを結ぶのが面倒で発明したのが起源とのこと
 →日本には洋行帰りの紳士たちが、ファスナーつきの財布をお土産として日本に持ち帰ったよう
・日本ではファスナーのことを「チャック」と呼ぶ場合も
 →もともと財布の別名である巾着の「ちゃく」からとった造語
・YKKの創業者、吉田忠雄
 →1908年、富山県魚津生まれ
 →母は吉田の性格を、「ゴンボの末まで知りたがる子」と表現
 →いろいろなことに興味を持ち、その理由や原因を知り尽くさないと気が済まない、いわば探求心の強い子だった

〓「あきらめないからこそ、道は開ける」
・20才のとき、「東京へ行って、大きな商売をしたい」という、夢の第一歩である東京行き
 →中国陶器やファスナー、食料品の輸出入を手がける古谷商店(日本橋)へ
 →満州事変の戦火が拡大、さらに、世界恐慌のあおりで、会社が倒産
・1934年、吉田はサンエス商会という会社をおこし、輸入品など他社がつくったファスナーを販売する仕事を開始
 →YKKの前身
 →当時のファスナーは品質が悪く、半分以上は不良品で返品される有様
・吉田は他社の施設を譲り受けるなどして、製造、加工など一連の工程を内製化、ファスナーの品質を向上させようとした
 →吉田が働き過ぎて病気になって入院したときも、戦争で兵隊として徴兵されたときも、二人の兄は会社を支えてくれた
 →吉田には、周囲の人々の協力と兄弟の団結という素晴らしい強みが常に
・1938年2月、生産性の向上を図るため、吉田は東京市江戸川区に新工場を開設、本格的な自社製造に着手
 →戦後の1953年になるとYKKの商標使用を開始
 →社名をYKK株式会社に変更したのは1994年のこと
・多くの名言の中に、「あきらめないからこそ、道は開ける」
 →まさに吉田の歩いてきた人生

〓「失敗」は「原点帰り」である
・サンエス商会の当時、日本のファスナーメーカーは、手作業で生産
 →経験を積んだ熟練工による手作業が必要不可欠
 →1日当たり生産できるファスナーの本数は80〜100本程度
・世の中がだんだんと戦時体制へ向かっていくうち、国内でのファスナーの販売が事実上不可能に
 →輸出も数量制限、高い関税がアメリカ向けに
 →吉田は欧州、中米、南米への販路を求めて奔走
・1941年には輸出自体が禁止、軍需産業への転換を余儀なく
 →厳しい状況下でも、吉田は銅に代わる金属での新しいファスナーづくりを模索
 →ファスナーをアルミ製にしたのは、YKKが世界で初めて
・1945年3月、東京の工場が消失、富山県魚津市への工場疎開を余儀なく
 →吉田は、常に努力と工夫を怠らず、前進をやめない人

〓アメリカに「質」で勝つ
・再建した工場にも活気、吉田工業株式会社がつくったファスナーは国内では優良品として通用するまでに
 →一方、高品質で、かつ安価なアメリカ製ファスナー
 →日本製は職人の手作業によるものに対して、アメリカ製はすべて機械で製造されている
・生き残るにはアメリカ製の機械を輸入するしかない
 →霞が関に通いつめ、ついに、1950年、ようやく機械の輸入許可を得た
・期待に違わなかったアメリカ製の機械、チェーンマシン(自動植えつけ機)
 →吉田はこのチェーンマシンを100台も、国内の精密機械メーカーに発注
 →1951年、第1陣の国産マシン30台導入
 →同年10月には月産100万本を突破、早くもファスナー生産日本一の座を獲得
・量産体制を整えた吉田の次なる一手は、一貫生産体制の確立
 →やがて国内市場を独占、さらに、本格的に海外進出、YKKという会社とその製品は、海外でも高い評価を受けるまでに
・ファスナーメーカーが、紡績やアルミ合金の製造まで行うことに、社内外から批判や反対の声も
 →「消費者に申し分のない品質のファスナーを安定して提供するには、ファスナーに最も適した材料を原料からつくるべき」と吉田
・吉田の言葉に「『もう紙1枚』のすすめ」
 →「もうこれ以上できない」ところで、もう紙1枚分の厚さの努力を上乗せ
 →素晴らしい実力と人格の形成へ

〓青函トンネル、明石海峡大橋にも使われるファスナー
・黒部工場が操業を始めたころから、ファスナーの新製品が次々と発売
 →ハイサッシ(床面から天井の高さまであるサッシ)の製造にも乗り出し
  →建築ブームを見込んだのが奏功
・1975年ごろには、ファスナーの精密性、耐蝕性、強度を高めることによって用途の開拓が進んだ
 →機能性を高めた代表格、「水密・気密ファスナー」
 →青函トンネルの工事で使用されたパイプ状の樋(とい)
 →明石海峡大橋で雨どいの一部として採用
・電磁波を遮断する「電磁波シールドファスナー」など、特殊な機能を持つ ファスナーも開発

〓「善の循環」に基づく思いやり経営
・YKKは、どのようにして世界No.1の会社に?
 →生産工場そのものをブラックボックス化、独自の技術やノウハウと、製 品のクオリティを守ったからこそ
 →1200件以上の要素、技術が詰まっている
・思い返せば、あの日、きっかけはアメリカ人がくれたもの
 →「日本は戦争には負けたが、産業ではアメリカに勝ちたい」という思いが、吉田にあったのでは
・吉田が考え出した言葉、「善の循環」
 →小学校のとき、「鉄鋼王」アンドリュー・カーネギーの伝記から学んだ
 …Andrew Carnegie:アメリカの偉大な実業家、文化や教育などの発展にも力を注いだ
 →自分だけが成功するのではなく、関係するすべての人が成功することが、結局は自分の成功にも跳ね返ってくる

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