米中摩擦激化:全面制裁第4弾打上げ、Huawei念頭取引禁止発令
連日各種報道を賑わせている通り、決裂の事態は回避されたものの米中摩擦は激化の一途を辿り、収束への道筋、シナリオが一向に見通せなくなってきている。トランプ政権は、中国からの輸入品すべてに制裁関税を課す「第4弾」の詳細を公表、発動は6月末以降になるとしている。6月下旬に大阪で開催の20カ国・地域(G20)首脳会議での米中首脳会談の可能性が模索されている。一方、トランプ大統領が米企業について安全保障上リスクがある企業の通信機器の調達を禁じる大統領令に署名するとともに、米商務省は中国の通信機器最大手、Huaweiに対する米国製ハイテク部品などの事実上の禁輸措置を発表している。Huaweiの半導体製造部門、HiSiliconからは、米国の措置は織り込み済みとの反応もみられている。
≪拡がるインパクト拡大懸念≫
中国からの輸入品すべてに制裁関税を課す「第4弾」の公表前後の時間順序での取り出しである。
◇世界の供給網を直撃、米の対中関税第4弾、13日公表へ (5月12日付け 日経 電子版 02:00)
→トランプ米政権は13日、中国からの輸入品すべてに制裁関税を拡大する「第4弾」の詳細案を公表する旨。スマートフォンやノートパソコンなど消費者に身近なハイテク製品にも25%の関税が上乗せされる懸念がある旨。日本や韓国、台湾などアジアに広がるサプライチェーン(供給網)への影響も避けられない旨。
◇米、対中関税「第4弾」公表へ、6月に首脳会談か−中国は報復の構え、交渉継続も協議日程決まらず (5月13日付け 日経 電子版 09:37)
→トランプ米政権は13日、中国からの輸入品すべてに制裁関税を課す「第4弾」の詳細を公表する旨。10日の関税引き上げに続く追加措置で圧力を強める旨。中国は近く報復措置を打ち出す構え。米中はいずれも交渉を続ける方針で、6月下旬に大阪で開かれる20カ国・地域(G20)首脳会議での米中首脳会談の可能性も出てきたが、次の閣級協議の日程はまだ決まっていない旨。当面は対立が激化し、金融市場の動揺も続く可能性がある旨。
◇米、6月末にも対中関税第4弾、3800品目に最大25% (5月14日付け 日経 電子版 06:28)
→トランプ米政権は13日、中国への制裁関税の第4弾として、携帯電話など約3000億ドル分の同国製品に最大25%の関税を課す計画を正式表明した旨。6月下旬まで産業界の意見を聴取する予定で、発動は6月末以降になる旨。トランプ大統領は6月末に中国の習近平国家主席と会談する意向も表明。関税合戦の激化を回避するため、両国が再び対話に向かうかが焦点の旨。
◇米が「第4弾」関税発表、スマホは「もろ刃の剣」 −輸入額の1割、対中依存度は8割 (5月14日付け 日経 電子版 11:52)
→米通商代表部(USTR)が13日発表した中国への制裁関税「第4弾」は身近な消費財を一気に網羅した旨。特に大きいのがスマートフォンなど中国に依存するIT機器。スマホなどへの関税引き上げは中国の工場だけでなく、米国の消費者も打撃を受ける「もろ刃の剣」。日本の電子部品メーカーにも波及的に飛び火しかねない旨。
世界のサプライチェーンへのインパクトが懸念され、6月末にかけての動きの推移に注目である。
米国・トランプ政権が、安全保障上の懸念がある外国企業への締めつけ強化を図る動きが相次いでいる。まずは、中国6社へ輸出規制である。
◇中国6社へ輸出規制、米が対象に追加、安保上の懸念で (5月14日付け 日経)
→米商務省は13日、安全保障上の懸念がある外国企業のリストに、電子部品などを手がける中国の6社を追加したと発表、中国人民解放軍やイランとの取引に関わったと指摘しており、指定された企業は米国製品の調達が事実上困難になる旨。安保の観点から米国の技術が中国に流出するのを阻止するため、トランプ政権は輸出規制を一段と強化している旨。安保上の懸念から輸出管理法に抵触する企業を列挙した「Entity List(EL)」に中国6社(香港にも拠点を持つ4社を含む)を加えた旨。日本企業を含む企業が米国製品を指定先に輸出した場合、米政府から罰則を受ける旨。
・海上製品を扱う「台州中浮新材料科技」など2社
→米国の技術を中国人民解放軍に関係がある組織に輸出したと認定
・電子部品を手がける「深〓市天高科技」や電力機器を扱う「宇力達科技」など4社
→イランの大量破壊兵器の製造に使われる前提で米国製品の調達を試みた
ロス商務長官は声明で「米国の国益を損なう中国の軍民融合戦略は看過できない」と牽制、米国は中国への輸出規制を強める旨。商務省は2018年10月、半導体メーカーの福建省晋華集成電路(JHICC)をELに加え、米国の半導体製造装置の輸出が規制され、同社の量産計画が頓挫した旨。
トランプ大統領は、事前の予想通り、米企業が安全保障上リスクがある企業の通信機器の調達を禁じる大統領令に署名している。これまで経緯があるように、中国・Huaweiが念頭に置かれている。
◇ファーウェイ製、米企業も調達禁止、週内にも大統領令 (5月15日付け 日経 電子版 10:57)
→ロイター通信は14日、中国の通信機器最大手、華為技術(ファーウェイ)の製品を米企業が調達するのを事実上禁じる大統領令に、トランプ米大統領が今週にも署名する可能性があると報じた旨。これまでも検討してきたが、米中貿易協議の進捗をみながら発動をたびたび延期してきた旨。
◇Trump's Order Sets Stage for Banning Huawei Gear (5月15日付け EE Times)
→Donald Trump大統領が、国家非常事態を宣告する大統領令に署名、米国の会社が国家セキュリティへの脅威を与えるとみなされる会社による情報&通信技術を使うことを禁止する旨。
◇米、安保リスクある企業との取引禁止、ファーウェイ念頭 (5月16日付け 日経 電子版 05:55)
→トランプ米大統領は15日、米企業が安全保障上リスクがある企業の通信機器の調達を禁じる大統領令に署名した旨。名指しはしていないが、中国の通信機器最大手、華為技術(ファーウェイ)などが念頭にある旨。これまでは同社製品の政府調達を規制してきたが、民間企業の調達にも対象を広げて中国企業の排除を鮮明にする旨。
◇Trump moves to ban foreign telecom gear, targeting Huawei in battle with China (5月16日付け SILICON VALLEY BUSINESS JOURNAL)
◇Trump Takes Aim At Huawei, Paves Way For Ban Of Foreign Telecom Equipment-Executive order limits use of foreign telecom equipment (5月16日付け National Public Radio)
並行して、米国商務省よりHuaweiに対する米国製ハイテク部品などの事実上の禁輸措置が発表されている。
◇U.S. blacklists China's Huawei as trade dispute clouds global outlook-US imposes trade sanctions on China's Huawei (5月16日付け Reuters)
→米国Commerce Departmentが、中国のHuawei Technologiesおよび70の関係会社を、政府からのauthorizationなしに米国の会社からのコンポーネントあるいは技術の購入が禁じられるentitiesリストに追加の旨。商務長官、Wilbur Ross氏は、この処置は米国の国家セキュリティあるいは海外の政策interestsを傷つける可能性のあるやり方でforeign-owned entitiesによりアメリカの技術が用いられることを防ぐようとられている、としている旨。
◇米、ファーウェイへの輸出を事実上禁止 (5月16日付け 日経 電子版 07:23)
→米商務省は15日、中国の通信機器最大手、華為技術(ファーウェイ)に対する米国製ハイテク部品などの事実上の禁輸措置を発表した旨。米国製の電子部品に依存してきた同社の経営への打撃は避けられない旨。トランプ大統領は15日、同社を念頭に安全保障上の脅威がある外国企業から米企業が通信機器を調達するのを禁じる大統領令にも署名。同社への相次ぐ制裁措置で、米中対立が一段と激化するのは必至の旨。
◇米、中国に短期決戦迫る「最強カード」−ファーウェイに禁輸措置発令 (5月16日付け 日経 電子版 08:58)
◇ファーウェイ、世界92社から調達、制裁で打撃必至 (5月16日付け 日経 電子版 16:07)
→米商務省が15日、中国通信機器最大手の華為技術(ファーウェイ)への事実上の輸出規制を決めたことで、同社の経営への打撃は避けられない見通しの旨。同社は海外企業から670億ドル(約7兆円)前後の部品を調達、米国から年間で100億ドル規模の部品を輸入しているとされ、特に基幹部品の半導体で米企業に頼る部分が大きい旨。主力のスマートフォンや通信会社向け通信機器で今後の生産が難しくなる可能性がある旨。
◇米ファーウェイ排除、対中交渉の切り札 まとめ読み (5月17日付け 日経 電子版 06:38)
→トランプ米政権は15日、中国通信機器最大手、華為技術(ファーウェイ)に事実上の輸出禁止措置を発動、中国による貿易交渉の先延ばしを警戒し「切り札」を出した形。同社は主力のスマートフォンや通信機器の生産が難しくなる可能性がある旨。世界で年間670億ドル(約7兆円)前後の部品を購入しているが、供給メーカーの業績にも影響を及ぼしそうな旨。
米国が中国に「最強カード」を突きつけたとみられているが、Huaweiの半導体部門からは輸出禁止措置への備えはあるとの反応も見られている。
◇UPDATE 1-Huawei's HiSilicon says it has long been preparing for U.S. ban scenario-HiSilicon president says chip firm was ready for US ban (5月17日付け Reuters)
→従業員に向けた手紙の中で、HiSiliconのPresident、He Tingbo氏が、半導体設計の同社は米国の半導体製品および技術の買収を禁止されることを予想していた、としている旨。「HiSiliconが米国サプライヤなしでやっていけるなら、驚きだ。」と、Strategy AnalyticsのLinda Sui氏。
同じ半導体部門の5GモバイルSoCへの取り組みである。
◇HiSilicon keen to develop modem-integrated 5G mobile SoCs (5月16日付け DIGITIMES)
→業界筋発。Huaweiの半導体製造部門、HiSiliconが、2019年後半にKirin 985シリーズモバイルAPをリリース後、modem半導体統合の5GモバイルSoC、並びにスマートフォン用5Gミリ波ソリューションの開発を積極的に計画の旨。
この米中摩擦の激化を受けて、いろいろな切り口での反応、そして具体的な対応の動きが相次いでいる。
市場投資家筋の見方があらわされている。
◇Markets Say Most of the Bad News on Trade Is Already Out There-Investors don't expect China trade row to worsen (5月14日付け Bloomberg)
→投資家は米国および中国両方ともに通商合意を欲していると結論づけの様相、米国および欧州の株式が戻してきている旨。投資家の多くは、貿易の衝突が米国経済に重大な脅威となれば、Federal Reserveが市場のサポートに動くが、気乗りしないかも、と考えている旨。
◇Stock Investors Are Buying on the Tariff Trade War Dip (5月14日付け Fortune)
米中貿易戦争が何故出口がないのか、の見方である。
◇Why the U.S.-China trade war could be long and painful: no offramps (5月14日付け SILICON VALLEY BUSINESS JOURNAL)
→米中の物別れは、国際経済外交を研究する人々を悩ませているが、それは米国と中国の両方がいちかばちかの交渉を取引にもっていくお互いに顔を立てるものでの打開が困難なやり方で、それぞれの立場を掘り下げているように思われるからの旨。
さらに、これでは収まるはずがないと思わざるを得ない米中交渉の内幕である。
◇衝撃の対米合意案3割破棄、「習・劉」が送った105ページ (5月15日付け 日経 電子版 05:50)
→中国政府が5月初め、約5カ月間の米中貿易協議で積み上げた7分野150ページにわたる合意文書案を105ページに修正・圧縮したうえで、一方的に米側に送付していたことが分かった旨。中国指導部内で「不平等条約」に等しいと判断された法的拘束力を持つ部分などが軒並み削除・修正されていた旨。14日までに米中関係筋が明らかにした旨。
ページ数で見ても実に3割もの破棄。米側が重視してきたのは、中国による構造改革の実行を担保する法的措置。その重要合意のかなりの部分が白紙に戻ったことになる旨。世界を揺るがせた今回の米中貿易協議の事実上の破綻は、5月5日の米大統領、トランプによる唐突なツイートが発端ではなかった旨。中国側が105ページ合意案への修正を米側に通告した時点で既に決まっていた旨。
米国・Semiconductor Industry Association(SIA)より、科学技術benchmarks評価から米国が安閑としていられないという警告が発せられている。
◇Second-Place America? New Report Highlights Mounting Global Competition for Technology Leadership (5月14日付け SIA Blog)
→ビジネス、科学およびacademiaにおける米国指導者のalliance、Task Force on American Innovation(TFAI)が本日リリースしたレポート、Second Place America: Increasing Challenges to U.S. Scientific Leadership。アメリカの競争力edgeが危険な状態にあり、中国など競い合う国々がグローバル技術リーダーとして米国を上回ることを狙った大胆な手段をとっている旨。本レポートは、一連の科学技術benchmarksを評価、これらの領域でのアメリカのグローバルな地位がずり落ちてきているとしている旨。
同じくSIAより米中摩擦激化に対するステートメントが以下の通り出されている。
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〇米中間の貿易&技術緊張の激化についてSIAステートメント …5月16日付け SIA/Latest News
半導体製造、設計および研究における米国のleadershipを代表しているSemiconductor Industry Association(SIA)が本日、このところの米中間の貿易&技術緊張の激化に関して、President & CEO、John Neuffer氏からのステートメントをリリースした。
「我々は米中交渉の最近の停滞および両サイドでの緊張の激化に心配させられているが、依然お互いに利のある合意が届く範囲にあると期待している。
あまりに多くのことが世界2大経済圏が生産的な道筋を見い出せない危うさとなっている。」
「我々はsupply chain大統領令に関する展開およびDepartment of CommerceによるHuaweiをCommerceのEntity List(米国の安全保障・ 外交政策上の利益に反する顧客等のリスト)に加える切迫した動きを注視している。我々の国家のcybersecurityインフラの弾力性が国家セキュリティに非常に重要であることは認識しており、政権にはこの国のグローバルな技術リーダーシップおよび競争力を傷つけないで米国業界からのinputを取り入れて米国国家セキュリティ懸念に対応するこれら行動を完全に透明なやり方で実行するよう急ぎ求めていく。」
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中国に生産拠点をもつ各社の東南アジアなどへの移転を図る動きが見え始めている。
◇Taiwan memory module firms moving production away from China (5月13日付け DIGITIMES)
→業界筋発。台湾のメモリモジュールメーカー数社が、米国向け中国輸入製品$200 billionへの関税25%を避けるために、現地および中国での製造の間で生産ラインを緊急に改造するよう動いている旨。
◇ASEAN supply chains to develop fast as server, network equipment makers move production from China (5月13日付け DIGITIMES)
→業界筋発。台湾のサーバ、ワイヤレスネットワーキング通信機器およびdesktopマザーボードのメーカーが、生産ラインの中国から東南アジアあるいは台湾への移転を踏み上げている旨。中国からの輸入製品$200 billionへの関税を米国が5月10日から10%から25%に上げており、急激な関税の上昇の打撃を受けることから急いでいる旨。
◇リコー、中国からタイへ生産移管、米国向け複合機 (5月15日付け 日経 電子版)
→リコーは今夏にも米国向け複合機の生産を中国からタイへ全面移管する旨。トランプ米政権が発表した中国への制裁関税「第4弾」の対象に複合機が含まれるため、タイへの生産移管で影響を抑える旨。米中の関税合戦が収束する見通しが立たないなか、ほかの複合機大手も中国外への移管を検討しており、企業戦略への影響が広がってきた旨。
日頃目を通している米国サイト、SmartBrief on Business & Politics
支持する 40%
支持しない 52%
お互いに身を削りかねない先行きを孕んでおり、我が国はじめ各国へもインパクト懸念が増してきているだけに、何らかの形での早期収束を願いながらの、引き続き注目である。
≪市場実態PickUp≫
【第一四半期半導体サプライヤランキング】
IC Insightsより、2019年第一四半期半導体サプライヤランキングがあらわされている。昨年末からの半導体市場の急降下を見てきているが、昨年の第四四半期にランキング首位がSamsungからインテルに替わり、この第一四半期では次の通り差を拡げる動きとなっている。メモリ半導体の価格低下の程合いを改めて知らされている。
2018年第一四半期 2019年第一四半期 前年同期比
インテル 15,832M$ 15,799M$ 0%
Samsung 19,401M$ 12,867M$ -34%
◇Intel Recaptures Number One Quarterly Semi Supplier Ranking from Samsung -After surpassing Samsung in 4Q18, Intel further extends its lead in 1Q19. (5月16日付け IC Insights)
→IC InsightsのMay Update to the 2019 McClean Reportより、2019年第一四半期のIC業界市場業況について。
◇Intel regains No.1 slot-IC Insights: Intel will be the top semi vendor in 2019 (5月17日付け Electronics Weekly (UK))
→IC Insightsの予測。Intelが今年、年間売上げによる世界No.1半導体サプライヤの地位を回復、2年Samsung Electronicsに明け渡した王冠を取り戻す旨。Samsungの販売高は2017年および2018年とメモリ半導体ラインが高めたが、メモリの価格低下で2019年の売上げが急減の旨。細かくは、Intelは2017年第二四半期にSamsungに首位の座を譲った後、2018年第四四半期にNo.1半導体サプライヤとしてSamsungに替わっている旨。
・2019年第一四半期半導体サプライヤランキング
⇒https://static.electronicsweekly.com/wp-content/uploads/2019/05/17080132/BE383F27-270A-4AF9-A028-DC5E3C67B2CA.jpeg
【インテル関連】
上記の通りランキング首位を奪還したインテルであるが、10-nmプロセッサについては歯切れの悪い以下の内容が見られている。
◇Exclusive: Intel Engineering Chief Discusses Plans to Speed Chip Making-Intel engineering exec hastens chip R&D, manufacturing -Dr. Venkata Renduchintala outlined how the chip giant plans to becomes nimbler and less 'monolithic' following years of manufacturing stumbles. (5月12日付け TheStreet)
→Intelのengineering chief、Venkata Renduchintala氏は、10-nm半導体での苦難克服を図って、IC設計および製造のプロセスを早めている旨。
「10-nmの診断結果を実際に自分のものにして、10-nmのスムースな立ち上げおよび7-nmおよびそれに続く技術の完璧な立ち上げを確かにするよう、その経験から出てくる積極的な習得をきちんと行うことを確実にするのにたくさんの仕事をしたと思う。」と同氏。
◇Intel Gives Moore's Law A Makeover (5月13日付け The Next Platform)
→Intelの10-nmプロセッサを引き出す苦闘により、同社は重大な自己省察を強いられている旨。そして、そこでの学識経験者はMoore's Lawについてあきらめていない一方、Intelは過去におけるとまったく同様にそれに頼ろうとしていない旨。
一方、New Mexico州の工場ではグローバル製造ネットワークに向けた人員増強が行われている。
◇Intel plans to add hundreds of jobs in Rio Rancho-Intel plans to hire workers for fab in N.M. (5月14日付け The Business Journals/Albuquerque, N.M.)
→Intelが、Rio Rancho, N.M.のウェーハfabキャンパスにて2018年の間に168 positionsを加えた後、今年300人を上回る採用を行なう旨。「該Rio Rancho siteは、引き続きIntelのグローバル製造ネットワークの重要な部分であり、billions of devicesおよびsmart, connected worldのインフラを安全に動かしつなぐIntelの対応能力に重要となる半導体製品を製造している。」と、Rio Rancho Site Manager、Katie Prouty氏がステートメントにて。
【Samsung関連】
ランキング首位を明け渡したとされるSamsungであるが、まず、車載用半導体に向けた安全標準の認証取得である。
◇Samsung receives safety certificate for car semiconductors-Samsung has received the ISO 26262 Certification from TUV Rheinland for functional safety in its product development process for automotive semiconductors. (5月13日付け ZDNet)
→TUV Rheinland(テュフ・ラインランド:技術、安全、証明サービス に関する世界第7位の認証機関:ドイツ・ケルンに本部)が、Samsung Electronicsに対し車載用半導体およびelectronicsの機能性安全標準、ISO 26262を遵守と認定の旨。
5Gミリ波向けモジュールの量産が開始されている。
◇Samsung enters AiP module production for 5G mmWave-Sources: Samsung kicks off AiP module production for 5G (5月13日付け DIGITIMES)
→業界筋発。Samsung Electro-Mechanics(SEMCO)が、5Gワイヤレス通信用向けミリ波antenna-in-package(AiP)モジュールの量産を開始の旨。
3-nmの世界に向けてgate-all-around(GAA)トランジスタ技術への取り組みが以下の通りである。
◇Samsung Preps 3nm Chips to Improve Smartphone Battery Life (5月14日付け PC Magazine)
◇Samsung Plans Aggressive Rollout of Next-Gen Transistors-Samsung readies tech for 3nm GAA transistors (5月15日付け EE Times)
→Samsung Foundryが、同社3-nm gate-all-around(GAA)トランジスタ技術に向けたprocess design kit(PDK)を提示、2020年後半の間にリスク生産に入り、2021年に量産化の旨。該3-nm GAAプロセスからは、同社7-nm半導体に比べて使用エネルギーが50%小さい半導体が得られ、スマートフォンの電池寿命を延ばす旨。
◇Samsung's 3nm process targeted at chips for cloud-Samsung Electronics has shared the process design kit behind its 3nm chip process while showcasing a new cloud program for clients to design their chips. (5月15日付け ZDNet)
◇Samsung details 3nm gate-all-around technology (5月16日付け DIGITIMES)
【プロセッサ脆弱性】
極めて深刻なCPU脆弱性「Spectre」と「Meltdown」の問題が表面化したのが昨年はじめであるが、インテルの半導体について新たな脆弱性はじめ現時点の問題があらわされている。
◇New secret-spilling flaw affects almost every Intel chip since 2011-Zombieland bug targets Intel chips (5月14日付け TechCrunch)
→Zombielandと呼ぶ新しい脆弱性のside-channelが、Intel半導体を標的とし、ハッカーたちが有害codeの注入ではなく設計欠陥を探索できる旨。もし探索されれば、そのバグが2011年以降のほとんどどのIntel半導体からも敏感な情報を盗むのに使われる可能性の旨。
◇Intel reveals flaw in chips that makes them vulnerable to hackers (5月15日付け SILICON VALLEY BUSINESS JOURNAL)
→Intelが、攻撃者へのデータの漏洩につながる可能性がある同社半導体における脆弱性を披露、昨年初めて表面化した半導体設計における新しい欠陥からくるリスクをはっきり示している旨。
政府も敏感になっている該問題を巡る現状である。
◇Can The Hardware Supply Chain Remain Secure?-Keeping the hardware supply chain secure (5月15日付け Semiconductor Engineering)
→computerハードウェアにおけるセキュリティ脆弱性の出来事が、半導体業界を苛立たせており、次の設計欠陥がいつあらわれるかと思わせている旨。「政府は、半導体を通してのデータpassingについて盗み聞きできるハードウェアTrojansを非常に気にしている。」と、Rambusのハードウェアセキュリティ製品manager、Ben Levine氏。
【2019年世界半導体売上げ予測】
International Data Corp.(IDC)が、今年の世界半導体売上げについて7.2%減と大きな落ち込みを予測している。現下の市場低迷がここでもインパクトとしてあらわされているが、来年は回復し、その後も伸びるとの現時点の見込みである。
◇After Three Consecutive Years of Growth, IDC Forecasts Worldwide Semiconductor Revenue to Decline by 7.2% in 2019 (5月15日付け IDC)
◇IDC forecasts over 7% global decline in 2019 semiconductor revenue-IDC: 2019's chip revenue fall to be followed by growth (5月15日付け Reuters)
→International Data Corp.(IDC)の予測。グローバルmicrochips販売高が、今年は2018年に対して7.2%減、2020年には回復、そして2%のcompound annual growth rate(CAGR)で2023年には最大$524 billionになる旨。「現状の市場低迷は、特に中国中心の広範な需要弱含みおよび車載、携帯電話およびcloudインフラなど主要市場のいくつかでの過剰在庫の摂取により引っ張られている。」と、IDCのprogram vice president of Semiconductors、Mario Morales氏がステートメントにて。
◇Analysts Duel on Chip Slump Projections (5月16日付け EE Times)
→International Data Corp.(IDC)が水曜15日のpress statementにて、今年のグローバル半導体販売高が2018年の$474 billionに対して$440 billionに達する見込み、今年は3年の伸長の後の低下となる旨。2019年についてロジック分野が1%増の$319 billionの一方、DRAMおよびNANDは2019年および2020年と減少する見込みの旨。
◇Worldwide semiconductor revenues to decline 7.2% in 2019, says IDC (5月17日付け DIGITIMES)
【中国半導体業界の現時点】
中国半導体業界の実態はなかなかつかみかねるところがあるが、台湾の業界紙、DIGITIMESが特集を組んで現時点をあらわしている。メモリ&ファウンドリー事業、IC設計、IC実装&テスト、半導体製造装置と分けて示してあり、最後は韓国と台湾の競合を取り上げている。改めてアジアの重みというものを感じる以下の内容である。
◇Asian Edge: China to focus on memory and foundry businesses? (5月13日付け DIGITIMES)
→中国は現時点、30ほどの半導体fabsが建設中、グローバル半導体業界での最も積極的な投資計画である旨。中国のメモリ業界が当初は重要成長牽引役の色合いであったが、米国が中国DRAMメーカー、JHICCに対する輸出を禁止、勢いを失っている旨。他方、中国のウェーハファウンドリー分野は引き続き拡がっており、少なくとも13の現地fabsが該分野でのビジネスopportunitiesに注目している旨。
◇Asian Edge: The role of Chinese IC designers in worldwide supply chain-China rises in IC design business (5月14日付け DIGITIMES)
→中国がIC設計で台湾と肩を並べてきている一方、日本および韓国より上にある旨。IC Insightsの評価では、2018年の世界IC設計業界は$109.5 billionの規模、中国がそのうち$20.2 billionを占めている旨。
◇Asian Edge: The big advance of the Chinese IC packaging and testing industry (5月15日付け DIGITIMES)
→グローバルIC実装&テスト市場は、2018年で$28 billionの規模、トップ10プレイヤーのシェアが84%、トップ10のうち3社が中国メーカー。中国の半導体業界における4分野のうち、実装&テストが世界水準に最も近い技術をもつものの旨。Jiangsu Changjiangに加わってTongfu MicroelectronicsおよびTianshui Huatian Technologyがトップ10入り、これら3社で20%を上回る世界受注獲得の旨。
◇Asian Edge: The outlook of Chinese semiconductor equipment market-Analysis: China's purchases of IC gear to decline in 2019 (5月16日付け DIGITIMES)
→中国と米国の間の引き続く貿易係争から、今年の中国の半導体装置spendingが2018年の$12.2 billionから$11.96 billionに減少していく、とこの分析記事が特に言及の旨。結果として、台湾が2019年装置spendingを$11.4 billionに上げて、韓国および中国に近づく旨。
◇Asian Edge: Competition between Korea and Taiwan in semiconductor (5月17日付け DIGITIMES)
→Samsungはウェーハファウンドリー分野ではTSMCよりずっと小さいシェアであるが、メモリおよびExynosシリーズAP生産における経験から構築されたSamsungの技術はほかのどの大手プレーヤーと同じように良好の旨。
≪グローバル雑学王−567≫
「世界3大投資家」と称される1人、ジム・ロジャーズ(Jim Rogers)による驚愕の未来予測の書、
『お金の流れで読む 日本と世界の未来 −世界的投資家は予見する』
(ジム・ロジャーズ 著 大野 和基 訳:PHP新書 1172) …2019年1月29日 第一版第一刷
も今回が読み納め、今後に向けて来るべき新しい経済の姿を考えながらの締めとなる。著者の結論的には、今の時代、インターネットとAI、ブロックチェーンが信じられないほど重要な位置を占めており、我々は、こうした変化の時代を柔軟に乗り切っていかなくてはならない、としている。「ブロックチェーン」とは、台帳情報の共有で連携するシステムの新たな形、あるいは分散型台帳技術、または、分散型ネットワーク、とネットの辞書にある。新しいテクノロジーについていけない高齢者にならないよう、未来のお金と経済の形に飛び込める覚悟を新たにしているところである。少なくとも以下の著者の経験にある、北京へ行ってアイスクリームを買おうとした時の決済が順調に行えるように。
第六章 未来のお金と経済の形
[訳者記]
・AI(人工知能)に代表されるテクノロジーの進化が、経済、そしてお金の流れを変えてゆくのは間違いない
→とりわけフィンテックやキャッシュレス経済
・「お金」を巡る状況はここ数年で大きく変化
→仮想通貨やそれを支えるブロックチェーン技術の台頭など
・本章では、来るべき新しい経済の姿を考える
◎AIで消える産業、伸びる産業
フィンテックにより、金融業界は激変するだろう
〓ゴールドマン・サックスのトレーダーが600人から2人に減った理由
・2018年6月21日、私は、AIを使った上場投資信託(ETF:Exchange Traded Funds)、「ロジャーズ・AI・グローバル・マクロ・ETF(BIKR)」を立ち上げ、会長に就任
→うまくいくかどうかは、正直まだわからない
→コンピュータのシステムが、我々が思うくらい優れていれば、きっとうまくいく
→私の持つすべてをAIに分け与えた後、自分の代わりに投資をさせる
→いずれ――私が生きている間はまだだろうが、その後は――AIが人間に取って代わる日が来るのではないだろうか
・金融業界でも、AIは人間より優秀だと言われており、すでに人員カットが進んでいる
→ゴールドマン・サックスの例
…2000年、ニューヨーク本社の現物株式取引部門に配属されていたトレーダーは600人
…2017年にはわずか2人に
・AIやブロックチェーン技術により、いま存在している銀行は消えるだろう
→いま銀行が果たしている機能はすべてインターネットに移行
→新しいテクノロジーについていけない老人たちだけがリアル店舗を訪れるということ
〓古いビジネスが淘汰される時代は、新しいビジネスが生まれるチャンス
・歴史的に見て、古いビジネスが淘汰される時というのは新しいビジネスが生まれるチャンスでもある
→伸びる産業というのは、例えば技術者が携わる分野
→新しい産業として絶好の例が、アマゾン、フェイスブックやグーグルなど
・もしAIが投資に有効であるなら、ほとんどの投資会社はAIに取って代わられる
→逆に、自分でリサーチをしてAIが見逃すものを見つけることができる人にとっては大きなチャンスがある
→例えば、ETFの中に入っていない株
・ETFは株のバスケットのようなもの、市場全体に投資することで一度に複数の株を買うのと同じ効果
→しかし、ETFからこぼれている株も多くある
〓ETFは賢い投資先か否か
・ETFは、実はまだ30年ほどしか歴史がない新しい金融商品
→1990年にカナダのトロント証券取引所に上場された「TIPS35」が世界初のETFと言われる
→いまはずいぶん多くの投資がETFに集中している状態
→世界的な経済不安が続く昨今、少ない元手で始められるETFに人気が集中するのも仕方ない
・ただ、多くの投資がETFに集中している状態は今後いったん下げ相場の局面が来ればETFに破壊的な影響が出るということも意味する
・ETFは急成長していると同時に同じくらいの勢いで縮小しつつある
→特に2004年以降、世界中でETP(Exchange Traded Product:上場投資商品)の数は増え続けているが、2008年からその多くが清算されている
→まだ歴史の浅い商品であるだけに、不安定な要素が多い
〓これから投資を始めるならETF以外の株を
・賢い投資家はいま、ETFに入っていない企業を探している
→不景気になると、みなが売ろうとするので、ETFに含まれているものが一番価格が下落
・もしあなたがこれから投資を始めようというなら、やはりETFに含まれていない個別株を見つけるようにアドバイスする
→もし私が若い投資家であれば、ETFに含まれていない株から始めると言っているだけのこと
・AIの時代だからこそ、AIにできないことを探す。それが成功への近道になる
◎お金の形が変われば、経済も変わる
キャッシュレス経済を推進する政府の思惑を警戒せよ
〓キャッシュレス経済が塗り替える勢力図
・インターネットとAIは、金融や投資の分野だけでなく、我々のありとあらゆる常識をすっかり塗り替えてしまった
→私の娘たちの子どもたちは、銀行どころか郵便局にも医者にも行くことがないだろう。通貨もなくなる
→将来、金銭のやり取りはすべてコンピュータを介して行われるようになる
・世界の中でも、特に韓国や中国、北欧のスカンジナビア諸国ではキャッシュレス化が著しく進んでいる
→最近、北京へ行ってアイスクリームを買おうとした時のこと
→決済をするアプリをインストールしていなかったために私はアイスクリームの代金を支払うことができなかった
→最終的に店員はアイスクリームを無料でくれた
・中国都市部におけるモバイル決済の利用率は、実に98.3%
〓キャッシュレス経済と各国の思惑
・政府は一刻も早く物理的な金をなくしたいと思っている
→紙幣の印刷や貨幣の製造には莫大なコストがかかる
・金銭のやり取りがすべてコンピュータで行われるようになったら、政府は私たちの行動をすべて把握できるようになる
→最終的に、政府は自前の仮想通貨を作って、それを使えと国民に強要することになるだろう
・世界大恐慌が大きな影響を及ぼした1930年代、イギリスの定めたスターリングブロックによって世界はブロック経済へ舵を切ることに
→政府の発行するポンドだけで商取引をせざるを得なくなった
〓これから投資するなら仮想通貨ではなくブロックチェーン
・仮想通貨といえば、日本政府は2016年、世界の中でもいち早くビットコインを貨幣として認定した
→私自身は、ビットコインはバブルであると思っている
→適正価格が、私にはわからない
→かのウォーレン・バフェット(Warren Edward Buffett)も、「ビットコインは投資というよりギャンブルで、利益を生むことはない」と言い切っている
・歴史上に起きた多くのバブルと同じ推移を辿っている
→ビットコインがすぐに消えると思うのは、それが理由
・ブロックチェーンは仮想通貨とはまったく異なる新技術で、前途有望
→社会に大変革をもたらすことになる
・ブロックチェーンがまず導入されるのは、金融業界
→多くの銀行が駆逐される
→コンピュータは人間よりもはるかに早く、効果的に多くの業務をこなすことができる
〓ブロックチェーンで伸びる国はどこだ
・ブロックチェーン産業により、特にアフリカは大きな躍進を遂げる
→つい最近まで電話がなかったが、昨今、アフリカでは一気にスマートフォンが普及
→ブロックチェーンはアフリカで、金融だけではなく、輸送業など多くの産業も乗っ取ってしまうに違いない
・アフリカ以上に早く変化が現れるのが、東アジア
→日本やアメリカが経たプロセスをすっ飛ばし、まっすぐブロックチェーンに向かうだろう
・個人的には、現在は投資するに値するAI・ブロックチェーン関連の銘柄を探している段階
→IBMもアリババも、すでにブロックチェーンに参入、サムスンも
→私が探しているのは、ブロックチェーンが会社全体の経営に大きな影響をもたらすような、中小規模の銘柄
〓2010年代後半は「AIとブロックチェーンの時代」
・最近では、フィンテックによる世界初の銀行、「ITF」が香港に本店を構える見通し
→私も出資者の一人。30才そこそこの青年の腕にかかっている
・コンピュータ黎明期の頃は、何十、何百というコンピュータ会社があったが、どれも知名度の低い会社ばかり
→フィンテックも同じ。世界に何十万とあるが、どれが勝利を収めるか、私にはわからない
・今の時代、インターネットとAI、ブロックチェーンは信じられないほど重要な位置を占めている
→我々は、こうした変化の時代を柔軟に乗り切っていかなくてはならない
≪おわりに≫
〓思い込みから自らを解き放て
・私は、より多くの本を読み、その膨大な知識の蓄積を一つに集約することで歴史を学んでいた
・人間には、誰しも思い込みや先入観というもの
→さまざまな本を読んで、異なる視点を学ばなければならない
・歴史書を山ほど読むことも大切だが、それを実際の経験に結びつけることも同じくらい重要かも
〓変化は恐れるものではなく、楽しむもの
・いま、私たちの世界は大変化のただ中にある
→それを恐れるだけでなく、実際に訪れ、あなた自身の目で見てほしい
→きっと楽しく心躍る経験となるだろう
・本書が、あなたの未来への一歩に役立つ一冊となれば幸い