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成長市場に向けて相続くM&A、連携、事業移行、標準化の動き

米中「第1段階の合意」が発表され、署名待ちの一方、対中輸出が米国の期待に沿うかどうか、波乱含みの一休みの状況となっているが、市場の方は休む暇なく、新分野の成長に備える戦略的な動きが相次いでいる。IntelによるイスラエルのAI半導体startup、Habana Labsの買収、量子コンピュータにおける日米欧、およびIBMと東大、それぞれの連携、BroadcomのRFワイヤレス半導体部門売却による事業シフト、そして、Amazon, Apple, Google, およびZigbee Allianceによるsmart home製品に向けた新しいroyalty-free connectivity標準を展開&推進するworking group、Connected Home over IPプロジェクトの発表、とそれぞれの切り口で矢継ぎ早の動きとなっている。

≪タイムリーな先行目指して≫

まずは、M&A関連の動きとして、Intelが設立約3年のイスラエルのAI半導体startup、Habana Labsを約$2 billionを買収、以下の通り業界紙一斉の取り上げである。

◇Intel Acquires Habana Labs for $2bn (12月16日付け EE Times)
→Intelが、イスラエルのAI半導体startup、Habana Labsを約$2 billionで買収の旨。しかし、該AI startupのデータセンター半導体は現状の製品ラインに如何に当てはまるのか?

◇Intel scoops up Israeli artificial intelligence startup for $2B (12月16日付け SILICON VALLEY BUSINESS JOURNAL)
→Intelが月曜16日、イスラエルのartificial intelligence(AI) startup、Habana Labs Ltd.(Tel Aviv)を$2 billionで買収、同社ほかSilicon Valleyのベンチャー投資家が支援の旨。Habana Labsは、約3年前に設立以降、Intel Capital, Bessemer Ventures, Battery Ventures, Samsung CatalystおよびWalden Riverwoods Venture Capitalから約$120 millionを調達していた旨。

◇Intel Acquires Artificial Intelligence Chipmaker Habana Labs (12月16日付け SEMICONDUCTOR DIGEST)
→Intelが2024年までに$25 billionを上回ると見ているAIシリコン市場の旨。

◇Intel buys Israeli AI startup Habana Labs for $2 billion-Intel spends $2B to purchase Habana Labs, an AI chip startup (12月16日付け Reuters)
→Intelが、artificial intelligence(AI)半導体および関連ソフトウェアを開発しているイスラエルのstartup、Habana Labsを約$2 billionで買収、HabanaのAI trainingおよび推論半導体はデータセンターで用いられている旨。

◇Intel Acquires Habana Labs For $2 Billion (12月16日付け Forbes)

Appleは、イメージ処理のstartup、Spectral Edge(Cambridge, UK)を買収している。

◇Apple Buys Image Fusion Startup Spectral Edge-Apple acquires Spectral Edge, an image fusion startup (12月16日付け EE Times)
→University of East Anglia(イングランド)から2014年にスピンアウトのimage fusion startup、Spectral Edge(Cambridge, UK)が、Appleにより買収された旨。Spectral Edgeは、スマートフォンなどの機器で用いられるimage fusionソフトウェアintellectual property(IP)を専門に扱う旨。

◇Apple Acquires Image Fusion Startup-The company’s founder sells his second image processing company to Apple. (12月18日付け EE Times India)

Appleとともに「GAFA」の一角、GoogleとFacebookは、「5G」の普及に向けてそれぞれにゲーム関連企業の買収を行っている。

◇GoogleとFacebook、ゲーム会社買収で攻勢、5G視野に (12月20日付け 日経 電子版 07:15)
→米インターネット大手がゲーム関連企業の買収で攻勢をかけている旨。グーグルが19日、カナダの開発会社を買収したと発表し、フェイスブックも同日までにスペインの配信企業を傘下に収めたことを明らかにした旨。次世代通信規格「5G」の普及などを視野に、成長市場で事業基盤を強化する狙い。

次に連携の動きであるが、ともに量子技術関連であり、まずは中国への対抗を意識した日米欧の連携である。

◇量子技術で日米欧連携、研究や人材交流、中国に対抗 (12月17日付け 日経 電子版 15:00)
→日米欧は次世代計算機の量子コンピュータをはじめとする量子技術の開発で連携する旨。産業競争力や安全保障に大きな影響を及ぼす技術だけに、共同研究や人材交流を通じて実用化を急ぐ旨。国をあげて開発に取り組む中国に対抗する旨。
日米欧の政府関係者や大学の研究者らが16〜17日に国際会議(京都市)を開いたのを機に(1)スーパーコンピュータの性能をしのぐ量子コンピュータ(2)周囲の状況を超高感度で検知する量子計測(3)重要情報の漏洩などを防ぐ量子通信・暗号――の3分野で連携する方針を確認、日米政府は近く2国間の覚書も結ぶ旨。

最先端半導体の研究開発に向けてTSMCとの提携を発表したばかりの東京大が、こんどは量子コンピュータでIBMとの連携である。

◇IBMと東大、量子コンピュータで連携、日本に設置へ (12月19日付け 日経 電子版 11:47)
→米IBMと東京大学は19日、次世代計算機の量子コンピュータの研究開発や実用化への取り組みで連携すると発表、IBMの量子コンピュータを日本国内に設置し、共同研究を通じて性能をさらに引き上げる部品の開発などで協力する旨。従来にない計算パワーをもたらす可能性を秘めた量子コンピュータの活用の動きが、日本でも本格化してきた旨。

通信用など多彩な分野をもってトップ10半導体サプライヤの上位を占めるBroadcomが、ソフトウェア事業へ傾斜する買収が見られる中、ワイヤレス半導体部門の1つの売却を図っていく動きである。

◇Broadcom Looks to Sell Unit That Could Fetch $10 Billion -Report: Broadcom may sell RF wireless chip unit-Credit Suisse helping chip maker find a buyer for its RF wireless-chip unit (12月18日付け The Wall Street Journal)
→Broadcom社が、ワイヤレス半導体部門の1つの売却を図っており、同社の半導体メーカーとしての根源からの移行を加速、近年ソフトウェア事業を買収している中の動きの旨。本件事情通によると、BroadcomはCredit Suisse Group AGとともにcellphones用フィルターをつくるワイヤレス半導体事業分野、radio-frequency(RF)部門の買い手($10 billion規模)を探している旨。

最後に標準化として、これまた「GAFA」のAmazon, Apple, Googleに無線通信規格の策定を担う業界団体、Zigbee Allianceが加わって、「Connected Home over IPプロジェクト」を立ち上げる動きが以下の通りである。

◇New Group Plans Standard for Connected Home Devices (12月19日付け EE Times)
→Amazon, Apple, Google, およびZigbee Allianceが、smart home製品の間のcompatibilityを高めるために新しいroyalty-free connectivity標準の採用を展開&推進するworking group、Connected Home over IPプロジェクトを発表の旨。2020年後半までにスペック案を完成する目標の旨。

◇Amazon・Apple・Google、「家庭の機器つなぐ」新規格 (12月19日付け 日経 電子版 04:09)
→アマゾン・ドット・コム、アップル、グーグルの米IT大手3社がインターネットにつないで使う家庭機器を対象とした共通の通信規格を作ることを決めた旨。2020年後半に技術仕様を公開する計画。規格の乱立を防ぐことにより消費者や機器を開発・製造するメーカーの利便性を高め、機器の普及を加速する旨。
3社に加え、無線通信規格の策定を担う業界団体、ジグビー・アライアンスが18日、「プロジェクトコネクテッドホーム・オーバーIP」を立ち上げると発表した旨。

◇米IT大手3社「つながる家電」通信統一、AIスピーカー、連携しやすく、消費者、選択肢広がる (12月20日付け 日経)
→米IT大手のアマゾン・ドット・コム、アップル、グーグルが、あらゆるモノがネットにつながる「IoT」の家庭機器向けの共通の通信方式づくりに乗り出す旨。各社のプラットフォームが乗り入れることで、機器メーカーの枠組みを超えて連携しやすくなる旨。消費者は家電を買う際の選択肢が増え、新たなサービスなども生まれやすくなる旨。
米IT大手3社と、無線通信規格の策定を担う業界団体のジグビー・アライアンスが18日、規格づくりを主導する「プロジェクトコネクテッドホーム・オーバーIP」を立ち上げると発表、2020年後半に技術の仕様を公開する旨。

◇Setting Standards for the Connected Home (12月20日付け EE Times India)

それぞれの成長が期待の分野について、今後の展開と各社&連携のタイムリーな取り組みの推移に注目していくことになる。


≪市場実態PickUp≫

【米中摩擦関連】

米中「第1段階の合意」が打ち上げられた直後の受け取りである。

◇Tariff Reprieve Granted for Consumer Electronics (12月13日付け EE Times)
→Trump政権がスマートフォン、コンピュータなどconsumer electronicsなど中国製品$156 billionへの15%関税賦課を遅らせたため、electronics業界は短期の猶予を喜んでいる旨。この動きはholiday-related consumer販売高を高めるかもしれないが、electronicsコンポーネントなど別の中国輸入品$250 billionへの25%関税は依然ある旨。さらに別の輸入品$120 billionについての15%関税は半分に削減の旨。

◇U.S. economy shakes free of recession fears in striking turnaround since August-2020 recession now considered unlikely-Measured growth is expected because of lower interest rates and more certainty after resolutions to some of Trump's trade disputes (12月15日付け The Washington Post)
→最新予測によると、貿易の緊張が緩和、利率が低く留まる見込みで、米国経済が2020年に後退局面に入っていく危険が引いてきている旨。

米国の対中輸出、中国の産業補助金など立ち塞がる問題への見方が続いている。

◇中国、22兆円の対米輸入増は高い壁、内需鈍く−第1段階合意、未達なら米は関税再発動 (12月15日付け 日経 電子版 23:00)
→米中両国が13日発表した貿易交渉の「第1段階の合意」は、中国による米国製品の大量購入が柱。米政権は中国が今後2年で輸入を計2000億ドル(約22兆円)増やすと主張するが、内需の伸びが鈍る中国にはハードルが高い旨。未達なら関税再発動のリスクもある旨。米国の供給能力にも限界があり、二大経済大国の「管理貿易」は市場メカニズムもゆがめかねない旨。

◇中国の産業補助金5年で倍増、2018年、上場企業に2.4兆円 (12月16日付け 日経 電子版 23:00)
→中国の産業補助金が増え続けている旨。中国本土の上場企業では、2018年の政府補助金が約2兆4千億円と5年でほぼ倍増、2019年も約15%の伸びで推移する旨。国内産業の育成や雇用の維持を目的に、自動車や電機大手への支給が目立つ旨。米中両国は貿易交渉で「第1段階の合意」に達したが、補助金の撤廃など中国の構造問題をめぐる今後の協議は難航しそうな旨。

◇米通商代表「対中輸出は2年で倍増」、第1段階合意で明言 (12月16日付け 日経 電子版 06:06)
→米通商代表部(USTR)のライトハイザー代表は15日放映のCBSテレビのインタビューで、中国との「第1段階の合意」により、米国のモノの対中輸出が2年後に倍増すると明言、合意文書について翻訳作業などが残っているとしつつも「(中身の議論は)完全に終わった」と指摘し、署名まで内容が覆ることはないと強調した旨。

米国の一層技術輸出を制限する取り組みの一方で、anti-Huawei推進には米国各社の反発がみられる状況である。

◇Exclusive: U.S. finalizing rules to limit sensitive tech exports to China, others-US reportedly to release rules limiting exports of sensitive tech to China (12月17日付け Reuters)
→Reutersが見た文書。Trump政権が、米国業界への恩恵の中で中国など対抗相手への洗練された技術の輸出を制限する厳密な規則一式を最終的に固めている旨。

◇US tech groups rebuff Trump’s new anti-Huawei push (12月17日付け SILICON VALLEY BUSINESS JOURNAL)
→米国ハイテク各社が、competition lawsを破るのではという懸念の渦中でいくつかの中国の会社からの供給を止めるよう誓わせるTrump政権の要求を撥ねつけの旨。

米中対応の前に、弾劾訴追対応が控えるトランプ大統領でもある。

◇トランプ米大統領を弾劾訴追、下院で決議案可決 (12月19日付け 日経 電子版 10:29)
→米下院本会議は18日、トランプ大統領を「ウクライナ疑惑」で弾劾訴追する決議案を可決した旨。トランプ氏は激しく反発しており、2020年大統領選をにらみ野党・民主党との対立が一段と激しくなる旨。

迎えた週末、足元でのトランプ大統領と習近平国家主席の電話協議でのやりとりがあらわされている。覆いが数ある中での今後の進展&推移に注目である。

◇米中首脳が電話協議、トランプ氏「中国が大量購入開始」 (12月21日付け 日経 電子版 01:34)
→トランプ米大統領は20日、中国の習近平(シー・ジンピン)国家主席と電話で協議したと発表、このほど貿易交渉で達した「第1段階の合意」に関して「とても良い話し合いを持った」としている旨。合意文書の正式署名はまだ調整中としつつも「既に中国が農産品などの大量購入を始めた」と成果をアピールした旨。

◇習氏「内政干渉やめよ」、トランプ氏にクギ、電話協議で −第1段階合意は「両国にプラス」 (12月21日付け 日経 電子版 02:56)
→中国国営の新華社は21日、習近平(シー・ジンピン)国家主席とトランプ米大統領が20日夜に電話協議をしたと伝え、習氏は米中が第1段階の合意に達したことを「中米と世界の繁栄にプラスだ」と歓迎した旨。そのうえで台湾、香港、新疆ウイグル、チベットの4つの名前を挙げて「米国の最近の否定的な言動は内政干渉だ」と強く批判した旨。

【年末年始好転の兆し】

SEMIのグローバルfab装置投資について、今年後半分の予測が上方修正されている。

◇Global Fab Equipment Spending Rebounds in Second Half of 2019 with Stronger 2020 Projected (12月16日付け SEMICONDUCTOR DIGEST)
→SEMIのWorld Fab Forecastにて。弱含みの今年前半の後、後半は増大するメモリ投資が力強く、2019年グローバルfab装置spendingの見通しが$56.6 billionに上方修正の旨。

◇Global fab equipment spending rebounds in 2H19, says SEMI-SEMI: IC gear spending rebounds in 2019's 2nd half (12月17日付け DIGITIMES)
→SEMIの見積もり。メモリ半導体生産への投資が後半に急増、2019年の製造装置世界expendituresが$56.6 billionに増加の旨。該改定figureは2018年に対しfab装置投資7%減となる一方、SEMIは前回2019年は18%減と予測していた旨。

DRAM価格の下げ止まりが見え始めている。

◇DRAM contract prices to stop falling in 1Q20, says DRAMeXchange-DRAMeXchange: Q1 to see end of falling DRAM contract prices (12月16日付け DIGITIMES)
→DRAMeXchange発。DRAM spot市場価格が戻し始めており、市場感情が強まってきている一方、buyersは在庫水準を進んで上げようとしている旨。

◇DRAM spot prices rebound, boding well for S. Korean chipmakers (12月18日付け Yonhap News Agency)
→DRAMeXchange、水曜18日発。DRAM半導体spot市場価格が今月戻し始め、収益改善に向けて韓国半導体メーカーには良い兆候の旨。該categoryのbenchmark価格、8-gigabit DDR4 DRAMのspot価格が、火曜17日時点で$3.02に達し、12月5日の今年の底値、$2.73から10%を上回る上昇の旨。

来年の世界半導体販売高の予想が続いており、10%増と2019年の落ち込みを依然埋めきれない見方が次の通りである。

◇After the biggest fall for 18 years, it’s all going to get better, says SI-Firm forecasts 10% growth for semi sales in 2020 (12月18日付け Electronics Weekly (UK))
→Semiconductor Intelligence(SI)のBill Jewell氏が2020年半導体販売高についての市場予知で最も楽観的、今年から10%増と予想する一方、他は8.5%以下の伸びを予測している旨。Jewell氏は、2019年半導体販売高が2018年を約12% to 15%下回り、2001年の2000年からの32%以来最大の落ち込み、と特に言及の旨。

Micron Technologyの業績について、今四半期で底打ちとなり2020年は回復との展望である。Huaweiへの供給ライセンスも米国政府から受けたとのこと。

◇Micron calls a bottom for its yearlong struggle, and the stock rises (12月19日付け Market Watch)
→Micron Technology社が、今四半期が荒れた期間の"底"になると予測、同社株価が水曜18日上昇の旨。

◇Micron signals recovery in 2020, says received supply licenses for Huawei (12月19日付け Reuters)

北米半導体装置メーカーの月次世界billingsデータが発表され、この11月について2ヶ月連続の前月比および前年同月比増加となっている。

◇North American Semiconductor Equipment Industry Posts November 2019 Billings(12月20日付け SEMICONDUCTOR DIGEST)
→SEMIのNovember Equipment Market Data Subscription(EMDS) Billings Report。北米半導体装置メーカーの2019年11月世界billingsが$2.12 billion(3ヶ月平均ベース)、2019年10月の最終レベル、$2.08 billionを1.9%上回り、前年同月、2018年11月の$1.94 billionを9.1%上回る旨。ここ6ヶ月の推移(金額:USM$):
               Billings      Year-Over-Year
              (3ヶ月平均)
  June 2019         $2.026.1       -18.4%
  July 2019         $2,031.9       -14.6%
  August 2019        $2,001.8       -10.5%
  September 2019      $1,959.1       -5.7%
  October (final)       $2,080.8       2.5%
  November (prelim)     $2,121.1        9.1%
            [Source: SEMI (www.semi.org), December2019]

【Nvidia関連】

米国半導体メーカー、Nvidiaによるcomputer networking製品のMellanox Technologiesの$6.8 billion買収提案の件、無条件のEU antitrust承認およびメキシコからの承認が得られている。

◇U.S. chipmaker Nvidia offers no concessions to EU to ease through $6.8 billion Mellanox deal-Nvidia makes no EU concessions for $6.8B Mellanox purchase (12月13日付け Reuters)
→Nvidiaが、Mellanox Technologies(InfiniBandおよびEthernet技術を用いるcomputer networking製品のイスラエル&アメリカmultinationalサプライヤ)の$6.8 billion買収提案に向けたantitrust regulatoryプロセスの間で、European Union(EU)に対しまだ何ら譲歩を提示していない旨。
European Commission(EC)は、今週木曜19日までにNvidiaとして最大の該取り引きの通過について決定を行う予定の旨。

◇Exclusive: Nvidia to win unconditional EU okay for $6.8 billion Mellanox buy - sources-Report: EU sets no conditions for Nvidia's $6.8B Mellanox buy (12月18日付け Reuters)
→本件事情通、水曜18日発。米国半導体メーカー、Nvidiaが、Mellanox Technologiesの$6.8 billion買収について無条件のEU antitrust承認を勝ち取る運びの旨。

◇Nvidia, Mellanox Technologies win EU approval for $6.8 billion deal-EU approves Nvidia's $6.8B acquisition of Mellanox (12月19日付け Reuters)
→木曜19日のregulatory filingにて、半導体会社、Mellanox Technologiesが、半導体メーカー、Nvidiaによる$6.8 billionでの買収提案についてEU antitrustおよびメキシコから承認を受けた旨。

中国・蘇州でのNvidiaのGPU Technology Conference(GTC)にて、次世代車載SoCのプレゼンである。

◇Newest Nvidia AV SoC boasts ‘7x Xavier Performance’-The company will also make its AI models for autonomous vehicles available to developers. (12月19日付け EE Times)
→NvidiaのGPU Technology Conference(GTC)(Suzhou, China:江蘇省蘇州市)にて、同社のCEO、Jensen Huang氏が、同社車載portfolioにおける次世代SoC、Drive AGX Orinを紹介の旨。

【SiC gate driver】

Maxim Integrated(San Jose, CA)が、広く産業用市場に向けた高効率電源用のsilicon carbide(SiC) isolated gate driverを打ち上げている。他より電力損失が30%低い謳い文句である。

◇Improving Energy Efficiency with a SiC Isolated Gate Driver-Maxim debuts a SiC isolated gate driver for energy efficiency (12月18日付け EE Times)
→1)Maxim Integratedが、産業用市場に向けた高効率電源で用いるsilicon carbide(SiC) isolated gate driverを投入、該新デバイスは、競合ソリューションに比べて電力損失が30%低く、carbon footprintが30%低い旨。
 2)Maxim Integratedが、high-power/high-voltageシステム設計用のMAX22701E isolated gate driverを投入、silicon carbide(SiC)技術で製造された該デバイスは、データfarms, 電気自動車, エネルギーストレージシステム, high-power/high-efficiency電源, motor drives, solar power invertersおよび無停電電源(uninterruptible power supplies)向けの旨。

◇Improving Efficiency with SiC Isolated Gate Drivers-Using silicon carbide gate drivers can reduce energy loss by 30 percent while maximizing system uptime. (12月20日付け EE Times India)

【最先端プロセス関連】

TSMCの5-nmプロセスは2020年high-volume生産化と、IEDMでのプレゼンである。

◇TSMC's 5-Nanometer Process on Track for First Half of 2020-Devices are 15 percent faster, 30 percent more energy efficient (12月13日付け IEEE Spectrum)
→TSMCのsenior director of advanced technology、Geoffrey Yeap氏が水曜11日、IEEE International Electron Device Meeting(IEDM)にて。TSMCの5-nanometerプロセス、N5は、2020年前半の間にhigh-volume生産化の運びの旨。

Broadcomの最先端スイッチ半導体が、TSMCの7-nmプロセス製造のもと性能&規模のアピールである。

◇Broadcom Ships 25.6Tbps Switch on Single 7nm Chip-Broadcom debuts Ethernet switch chip capable of 25.6Tbps (12月16日付け EE Times)
→Broadcomが、Tomahawk 4 Ethernetスイッチ半導体を投入、25.6 terabits per secondでのデータ伝送が可能の旨。該monolithic半導体は、31 billion個のトランジスタがあり、TSMCが7-nanometerプロセスで製造の旨。

◇Broadcom Ships Tomahawk 4 for Hyperscale Networks-The monolithic chip delivers 64 ports of 400GbE switching and routing for hyperscale networks. (12月18日付け EE Times India)

【SamsungのBaidu対応】

韓国・Samsung Electronicsが、中国・Baiduの最先端AI半導体の生産対応を行うとのこと、両社提携は初めてとある。Samsungの14-nmプロセス&I-Cube(interposed-cube)実装技術による来年始めの出来栄えに注目である。

◇Samsung to make Baidu's new AI chips-Baidu's Kunlun AI chips will be produced by Samsung-It's the first time the two companies have partnered. (12月18日付け ZDNet)
→Baiduが、自社Kunlun cloud-to-edge artificial intelligence(AI)半導体をSamsung Electronicsにより来年量産化の旨。BaiduのXPU neuralプロセッサアーキテクチャーを用いる該Kunlun AI半導体は、Samsungの14-nmプロセスでの製造、SamsungのI-Cube(interposed-cube)実装技術が入る旨。

◇Baidu and Samsung Electronics Ready for Production of Leading-Edge AI Chip for Early Next Year (12月18日付け SEMICONDUCTOR DIGEST)

◇Baidu, Samsung team up for AI chips (12月19日付け DIGITIMES)
→BaiduとSamsung Electronics共同発表、Baiduの最初のcloud-to-edge AI accelerator, Baidu Kunlunの開発が完了、来年量産される旨。
Baidu Kunlun半導体は、cloud, edge, およびAIに向けた地元産のneuralプロセッサアーキテクチャー、Baiduの先端XPU、並びにI-Cube(interposer-cube)パッケージソリューションを伴ったSamsungの14-nmプロセス技術に立ってつくられている旨。


≪グローバル雑学王−598≫

米国の巨大IT企業「GAFA」の揺さぶられる拡大に煽られる様相が日々高まっていく一方、中国では「BATH」が対峙してその一角を占めるファーウェイという構図であるが、『世界経済のブロック化』が進んでいく危険性を孕んだ実態を、

『ファーウェイと米中5G戦争』
 (近藤 大介 著:講談社+α新書 711−2 C) …2019年7月18日第一刷発行

より2回に分けて見ていく2回目である。「GAFA」vs.「BATH」に続いて、中国とロシアの接近ぶり、そしてインド、東南アジア、アフリカなど米国と中国の陣取り合戦の直近の動きがまとめられ、米中が引っ張っていく世界経済のブロック分けとそれぞれへの双方の戦略的アプローチに改めての注目である。


第5章 米中「経済ブロック化」の行方 …2分の2

■GAFAとBATHに二分される世界
・ハイテク覇権戦争における米中の2大市場
 →それぞれのホームグラウンドを縄張りとして囲いつつある
 →「GAFA」vs.「BATH」の構図で見ると鮮明
・アメリカ市場における「BATH」の状況
 →バイドゥ
  …2005年5月にNASDAQ市場に上場したものの、ほとんど何もできていない
  …自動運転の開発、米中覇権戦争の煽りを受けて停滞
 →アリババ
  …2019年9月、創業者の馬雲(Jack Ma)会長が引退
  …アメリカ市場から完全撤退する可能性
 →テンセント
  …そもそもアメリカでは上場していない
 →ファーウェイ
  …これまで述べてきた通り、アメリカ市場から撤退を余儀なく
・中国市場における「GAFA」の状況
 →グーグル
  …2010年3月、「検索の自由が保障されない」として、中国市場から撤退
  …「もしグーグルがあのまま中国に居続けていたら、我々はグーグルに頼り切って、今回の5G戦争を戦えなかっただろう」(ある中国の関係者)
 →アマゾン
  …2004年、EC(電子商取引)サイト買収で中国市場に参入、2018年のシェアはわずか0.6%
  …2019年4月18日、ついに中国市場からの撤退を発表
 →フェイスブック
  …そもそも中国国内で禁止されている
 →アップル
  …iPhoneを中国で生産、追加関税第4弾でアメリカに輸出の場合、25%かかる可能性
   →6月19日、中国生産の15〜30%を他国に分散していく計画
  …性能はiPhoneより上で、価格は半額といった中国産スマホが、続々登場
  …いまの中国人がスマホを選ぶ最大の基準は、カメラ機能
  …いつのまにか中国の都市部では、iPhoneを手にしていると「ダサい」と見られる時代に
  …不人気から事実上の撤退に追い込まれたサムスンの二の舞となることも予想
・この先、IT産業以外でも、米中双方の排斥運動が激化していくことも
 →アメリカではすでに、第2次世界大戦後の「赤狩り(マッカーシズム)」が再来する気配さえ
 →一方の中国、2019年夏現在では、アメリカ製品の大規模な排斥運動は起きていない
・「中国国内からアメリカの有力企業を数社、締め出しただけで、ニューヨーク株式市場が暴落するのは間違いない」(前出の中国の関係者)
 →「中国政府にとって第一優先的に保護すべきは、国内の民営企業であることは明白」

■中ロの「準同盟」関係
・今後、特に5Gに関して、どう米中に「色分け」されていくのだろうか?
 →中国は「世界最大の発展途上国」を自任、是が非でも取りたいのは、発展途上国の地域
  …ロシア、中央アジア、東欧、アフリカ、中東、南米、そして東南アジアとインド
・2013年3月に自らの政権を発足させて以降、習近平主席はロシアを、中国にとって最重要国家に据えてきた
 →中ロ両首脳は、「年に5回の首脳会談」を約束
 →アメリカとの長期にわたる対立も止む無しと決断した習近平主席、2019年6月5日から7日まで、就任以来8度目となるロシア公式訪問
 →中ロ両首脳は、いくらアメリカが世界ナンバー1の超大国とは言え、ナンバー2の中国とナンバー3のロシアが組めば、十分対抗していけると踏んだ
・2019年6月5日に行われた中ロ国交樹立70周年記念式典
 →同日、クレムリン宮殿で行われた首脳会談の共同声明はかなりの長文
・中ロは、「科学技術イノベーション年」を定め、近未来の宇宙開発まで二人三脚で進めると謳った
 →中ロの貿易額は2018年に初めて1000億ドルを突破したが、早くも2000億ドルの目標が掲げられた
・そんな中でひと際大きな拍手
 →ファーウェイの郭平副会長兼輪番会長と、ロシア最大の電信会社、MTS(モバイル・テレシステムズ)のアレクセイ・コーニャCEOが登壇
 →ロシアの5Gにおける両社の協力を内外に示した

■米中陣取り合戦
・第1回中国・中東欧国家博覧会・国際消費品博覧会
 →2019年6月8日から12日まで、浙江省の寧波にて
 →2012年から毎年、「16+1」(中欧東欧16ヵ国と中国)の首脳会談
 →広域経済圏「一帯一路」の重要拠点の位置づけ
・習近平主席は6月中旬、さらに「ユーラシア大陸を味方につける旅」、キルギスおよびタジキスタン
 →中国は他にも、6月27日から29日まで、湖南省の省都・長沙で、第1回中国・アフリカ経済貿易博覧会を開催
・アフリカ最大の貿易相手国は、2018年まで10年連続で中国
 →アフリカでは「チャイナフリカ」(チャイナ+アフリカ)という造語も生まれているほど
・次に重要なのは、13億の巨大市場、インド
 →「インドは必ずやアメリカ側ではなく中国の側につくだろう」と前出の中国の関係者
  →第1:中国とインドの経済は相互補完的
   第2:モディ政権が、親米外交ではなく自主外交を展開
   第3:インドが根深い賄賂社会…1980年代の中国に似たところ
 →2018年のインドの携帯電話販売台数は3.3億台
  →1位、3位、4位の中国勢で46%を占める
・ASEAN(東南アジア諸国連合)についても、中国は自国の経済ブロック圏に組み込み
 →4月25日から27日、習近平主席が北京で主催した「第2回『一帯一路』国際協力サミット・フォーラム」
  →ASEAN10ヵ国のトップがずらり
  →ファーウェイの5G攻勢の格好の場
 →5月31日から6月2日までシンガポールで開催、アジア安全保障会議
  →シンガポールのリー・シェンロン首相:
   「アメリカはファーウェイの脅威について、もっと控え目に語るべき。中国の台頭を受け入れなければならない」
・第3段階の米中経済ブロック化が加速していけば、最終段階にあるのは米中の局地的な軍事衝突
 →南シナ海、台湾海峡、東シナ海の3ヵ所がホットスポット…いずれも日本の近海
 →今後最も米中の「熱い戦い」が展開されることが予想
  →2020年1月に総統選挙を控えた台湾

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