SamsungとTSMCの当面する動きから:折り畳み延期、事業&プロセス展開
メモリ半導体およびスマートフォンのSamsung、そしてファウンドリー事業を引っ張るTSMCに、それぞれの競合激化のなか噴出した問題あるいは停滞局面の市場を打開する動きが見られている。Samsungが先行して打ち上げた折り畳み新型スマートフォンが、画面損傷の品質問題が生じて発売が延期されている。メモリ半導体の落ち込みから、SamsungはシステムLSIでも世界一を目指す「半導体ビジョン2030」を掲げ、12年で13兆円の投資規模としている。最先端微細化をリードするTSMCは、7-nmから5-nmへという従来の展開に対して顧客が簡単に移行できるとして6-nmへの取り組みを打ち上げている。
≪局面打開に向けて≫
Samsungが他社に先行して打ち上げた、広げるとパソコンというイメージの折り畳み型スマートフォンについて、画面についての品質問題からこの4月26日に米国で予定されていた発売が延期されている。以下の事情&推移である。
◇Samsung delays Galaxy Fold phone launch over screen problems (4月23日付け Reuters)
◇Samsung retrieving all Galaxy Fold samples after defect reports: source (4月23日付け Reuters)
→本件を直接知る筋、火曜23日発。Samsung Electronicsが、最初のfoldableスマートフォン打ち上げ延期の世評打撃を受けて、reviewersに配布のGalaxy Foldサンプルすべてを回収している旨。
◇サムスン、折り畳みスマホ発売延期検討か、韓国報道 (4月23日付け 日経 電子版)
→韓国サムスン電子が画面が折り畳める新型のスマートフォンについて、米国で26日に予定する発売の延期を検討していることが22日、分かった旨。
韓国紙・韓国経済新聞が23日付朝刊の早版で報じた旨。サムスンは新製品をタブレット機能を兼用できるスマホと位置づけ、スマホ事業復調の起爆剤にする狙いがあるが、発売が延期となれば打撃は計り知れない旨。
発売延期の可能性が浮上したのは「ギャラクシーフォールド」。先週末以降、サムスンが体験用に端末を事前提供している一部の米国メディアから、使用後すぐに画面を折り畳む部分にシワや傷ができるとの報告が寄せられていた旨。
◇サムスン電子「ギャラクシーフォールド、米での発売延期…画面損傷防止策講じる」 (4月23日付け 韓国・中央日報)
→ 発売を控えてディスプレイ欠陥議論が発生した「ギャラクシーフォールド」の米国発売が結局延期された旨。サムスン電子は22日、自社のニュースルームを通じ「ギャラクシーフォールドのレビュー過程で現れた問題を点検し内部テストを追加で進めるためギャラクシーフォールドの発売を延期することに決めた旨。数週間以内に発売日程を改めて公示する」と明らかにした旨。
「回収された製品の初期検査結果、(ディスプレイ問題は)ヒンジの上下段ディスプレー露出部分の衝撃と関連するとみられる。ディスプレイ性能に問題を起こした異物が製品内部で見つかったケースもあった」と伝えた旨。また「(問題の)原因を徹底的に調査しディスプレイ損傷防止対策を講じたい。顧客がギャラクシーフォールドを最大限活用できるよう画面保護膜を含めたディスプレイ使用法と注意事項案内を強化する」と強調した旨。
◇サムスン、品質不安再び、折り畳みスマホ発売延期、画面にシワや傷、3年前には電池発火 (4月24日付け 日経)
→韓国サムスン電子のスマートフォンを巡る品質不安が再燃した旨。同社は23日、米国で26日に予定していた画面を折り畳める新型スマホの発売を延期した旨。2016年に発売した大画面スマホの電池発火問題に続いて新製品の不具合が発覚した格好で、品質管理能力が厳しく問われる事態。次世代の高速通信規格「5G」と新製品を組み合わせてスマホ市場での停滞を打開しようという焦りが招いた可能性がある旨。
サムスンは画面を折り畳めるスマホ「ギャラクシーフォールド」を26日以降、米国、欧州、韓国でそれぞれ発売する予定だった旨。「数週間後に改めて発売日を公表する」(同社)旨。
韓国では、メモリ半導体の大きな落ち込みから、国を挙げてノンメモリおよびファウンドリー事業に重点化する動きが見られている。
◇S. Korea seeks to expand presence in foundry, non-memory biz-S. Korean chipmakers look beyond memory market for growth (4月22日付け Yonhap News Agency (South Korea))
→メモリ半導体売上げの2年のhyper-growthの後、今年の市場低迷でSamsung ElectronicsおよびSK Hynixがファウンドリー事業およびnon-memory半導体市場に注目の旨。韓国のMoon Jae-in大統領は、同国の半導体輸出の強化に向けて政府と業界がメモリ半導体を越えて多角化するよう欲している旨。
トッププレイヤーたるSamsungはこれに対応、メモリ半導体のみならずシステムLSIでも世界トップを目指す「半導体ビジョン2030」を発表して、2030年までに133兆ウォン(約13兆円)を投資するとしている。
◇Samsung plans $116 billion investment in non-memory chips to challenge TSMC, Qualcomm-Samsung budgets $116B for non-memory development (4月24日付け Reuters)
→Samsung Electronicsが、メモリ半導体市場への依存を減らすためにノンメモリ技術の開発に向こう11年にわたって約$116 billionを投資する計画、artificial intelligence(AI)およびself-driving cars用のコンポーネントに進んでいく旨。該expendituresの半分以上が韓国国内research and development(R&D)に向けられる旨。
◇Samsung to invest $120 billion into logic chips by 2030-Samsung will invest 133 trillion won -- around $115 billion -- into its logic chip businesses such as processors and contract chip making by 2030 to become the market leader. (4月24日付け ZDNet)
◇サムスン電子、2030年までに13兆円投資=半導体ビジョン発表 (4月24日付け ソウル聯合ニュース)
→韓国・サムスン電子は24日、電子機器の頭脳部となるシステムLSI分野の研究開発(R&D)や生産施設拡充のため2030年までに133兆ウォン(約13兆円)を投資し、専門人材1万5000人を採用することなどを盛り込んだ「半導体ビジョン2030」を発表、半導体メモリのみならずシステムLSIでも世界トップを目指す旨。
◇半導体、12年で13兆円投資、サムスン、メモリ以外を強化 (4月25日付け 日経)
→韓国サムスン電子は24日、スマートフォンなどの記憶媒体に使うメモリ以外の半導体事業を強化する長期方針を発表した旨。2019年から2030年までの12年間に設備投資と研究開発費を合わせて133兆ウォン(約13兆円)を投資する旨。次世代の高速通信規格「5G」の時代にメモリ以外の半導体需要が増えることに対応する旨。
一方、最先端微細化でファウンドリー事業を牽引する台湾・TSMCは、7-nmから5-nmに進むとしていたロードマップを変更、顧客には移行が容易として6-nmという新たなnodeを投入する以下の取り組みである。
◇TSMC's Half-Node Shrink from 7nm to 6nm (4月23日付け EE Times)
→TSMCが、現在の7-nm nodeから顧客が簡単に移行できる見込みの新しい6-nmプロセス、N6の詳細を披露、該新nodeは、7-nmから7-nm+そして5-nmに進む同社の当初のロードマップには含まれなかった旨。
◇TSMC continues to lead tech market in nano innovation-TSMC CEO touts foundry's innovations for customers (4月23日付け Taiwan News)
→TSMCのCEO and vice chairman、C.C. Wei氏が、Silicon Valleyでの年次技術シンポジウムにて自信に満ちたメッセージ。ファウンドリーの同社は、ここ2年にわたって同氏がNano-Mass Production Innovationsと呼ぶものの業界リーダーである旨。TSMCは、nano innovationsの取り組みの一環として同社サービスのより多くにartificial intelligence(AI)技術を取り入れている旨。
◇TSMC Steps Through 7, 6, 5, Moore-TSMC details plans for 6nm, 5nm chips-Moore's law countdown delivers process, package advances (4月24日付け EE Times)
→TSMCが、Silicon Valley conferenceにてプロセスロードマップを次の通り披露。
N5 5-nmプロセス …先月risk生産
N5Pプロセス …2020年中にrisk生産
N6 6-nm node …来年第一四半期にrisk生産
「唯一言えるのは、TSMCは顧客の5-nmへの移行は鈍く、そこでコストsaverとして6-nmを提示している。」と、The Linley GroupのMike Demler氏。
◇TSMC Introduces 6nm process-The Taiwanese foundry is unexpectedly adding a node that provides significant performance gain without having to redesign (4月25日付け EE Times India)
Samsung、TSMCとくると、やはり気になるIntelであるが、以下の現下の状況が見られている。
◇Powerful 9th Generation Intel Core CPUs Are Coming to Laptops-Intel debuts next-gen Core Mobile processors (4月23日付け PC Magazine)
→Intelが、gaming notebooksおよびhigh-end laptop computersに向けたH-series Coreプロセッサの最新ラインの半導体を投入、また、desktop PCsに向けた第9世代Coreプロセッサも披露の旨。
◇Intel launches 9th Gen Core mobile processors (4月23日付け VentureBeat)
◇Intel Won't Comment on Purported Roadmap Leak (4月25日付け EE Times)
→Intelが、同社の10-nm desktop CPUsは2022年以降と示す、リークされた技術ロードマップとされるものへのコメントを控えている旨。オランダのIT news website、Tweakersが火曜23日、このIntel client CPUロードマップを出している旨。
以下に、Intelの直近業績を示しているが、10-nmへの取り組みが依然当面の焦点となっている。
≪市場実態PickUp≫
【米中摩擦関連】
中国に対するハイテク技術を巡る産業スパイ活動の取り締まり強化が、米国側から改めて発せられている。
◇米、中国の産業スパイ監視強化、GE元技術者ら起訴−司法省「国ぐるみの窃盗」と非難 (4月24日付け 日経 電子版)
→米国が中国の産業スパイ活動への取り締まりを強化している旨。米司法省は23日、米ゼネラル・エレクトリック(GE)の企業秘密を盗んだ罪で元技術者らを起訴したと発表、さらに「世界第2位の経済大国が国ぐるみの窃盗に関わっている」と、中国政府の関与も指摘した旨。ハイテク技術を巡る米中の競争が激しくなるなか、中国が関わる不正行為を重点的に監視するトランプ政権の方針が改めて浮き彫りになった旨。
「5G」ネットワークについての中国・Huaweiに対するスタンスであるが、徹底的な排除を求める米国に対し、英国は参入一部容認に向かっている。
◇Has the UK Cleared Huawei for 5G Networks? (4月25日付け EE Times)
→公式には発表されていないけれども、英国政府がHuaweiの5Gネットワークのnon-core parts用装置供給への道筋を開けているという報道でもちきりになっている旨。
◇英、5Gでファーウェイ参入を一部容認へ、携帯会社に配慮 (4月25日付け 日経 電子版)
→英国政府は次世代通信規格「5G」のネットワークについて、中国の通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)の参入を限定的に認める方針。英携帯大手はすでに同社製品を使用しており、全てを交換すればコストがかさむ上、5Gの整備が遅れるとの判断があったとみられる旨。ただ、安全保障上の理由から全面的な排除を求める米国とは溝が生まれかねない旨。英メディアが24日に一斉に報じた旨。
【インテルの業績関連】
5G handsetsに向けたmodem半導体生産計画の断念を発表、データセンター需要への重点を強めるとしたばかりのインテルであるが、以下の通り市場の逆風に見舞われて通期販売高予測の下方修正を行っている。今年は半導体サプライヤランキングNo.1への返り咲きが予想されている同社であるだけに、今後に引き続き注目するところである。
◇Intel Cuts 2019 Sales Forecast (4月26日付け EE Times)
→Intel(Santa Clara, Calif.)の第一四半期販売高および第二四半期予測が、Wall Streetの予想を下回る一方、同社executivesは今年後半に同社最初の10-nm製品を打ち上げる予定を繰り返し述べた旨。
◇Intel cuts forecast as China data center sales remain weak-Lower sales for data center chips dampen Intel's outlook (4月26日付け Reuters)
→Intelが木曜25日、同社full-year売上げ予測を下方修正($71.5 billionから$69 billionへ)、そして伸びを引っ張っているデータセンター事業の第一四半期販売高がアナリスト評価を下回った旨。
◇インテルにデータセンターの逆風、5G撤退で注力も不振 (4月26日付け 日経 電子版)
→米インテルの停滞が目立ってきた旨。25日に2019年通期の売上高予想を3%引き下げると発表、成長を牽引してきたデータセンター向けCPUの販売が減少に転じるため。次世代通信規格「5G」をめぐるスマートフォン向け通信半導体の競争から降り、得意分野に集中すると決めた同社だが、むしろ主力事業の先行きへの警戒感が広がっている旨。
「中国で(経済環境の)逆風が強まり、顧客がIT投資にいっそう慎重になっている」。25日の決算会見。ボブ・スワン最高経営責任者(CEO)は通期の売上高見通しを690億ドル(約7兆7千億円、従来予想は715億ドル)に下方修正した理由をこう説明した旨。
【Huawei関連】
Huawei傘下の半導体設計会社、HiSilicon Technologyの手掛ける最新スマートフォン用半導体が、Appleと肩を並べる性能を持っている、との調査が見られている。
◇ファーウェイ半導体、アップル並みの最先端性能 (4月24日付け 日経 電子版)
→中国通信機器最大手の華為技術(ファーウェイ)が最新スマートフォン向けに独自に設計した半導体が、米アップルの「iPhone」用と並ぶ世界最先端の性能を持つことが分かった旨。ファーウェイは次世代通信規格「5G」向けのスマホ用半導体を外販する意向も示しており、この市場を牽引してきた米半導体大手、クアルコムと二大勢力を形成する可能性が出てきた旨。
ファーウェイの半導体は2004年設立の完全子会社、海思半導体(ハイシリコン)が手がける旨。同社は半導体の回路設計と販売に専念し、実際のチップ製造は台湾企業などに外注する「ファブレス」の事業形態をとる旨。ハイテク調査会社、テカナリエ(東京・中央)はファーウェイが2018年に発売した高級スマホ「Mate20Pro」を分解し、アップルの「iPhoneXS」と比べた旨。
Samsungのスマートフォン不具合を冒頭に示したが、Huaweiの「5G」での台頭が1つとして影響しているのでは、との見方である。
◇ファーウェイ台頭に危機感、5G競争戦略に影響も (4月24日付け 日経)
→韓国サムスン電子は新型のスマートフォンを同国では高速通信規格「5G」の専用端末として販売する計画だった旨。5Gと新製品をセットで打ち出し、スマホ市場を巡る米アップルや中国華為技術(ファーウェイ)との競争で優位に立ちたいとの思惑があったとみられる旨。今年中盤に折り畳みスマホの発売を計画するなど、サムスンを猛追するファーウェイへの危機感がかえって今回の不具合を引き起こしたとの指摘もある旨。
【元IBMの300-mm fab】
ON Semiconductorが、GlobalFoundriesからEast Fishkill, N.Y.の300-mmウェーハfab拠点を買収する最終合意に達している。IBMがほんの数年前にGlobalFoundriesに譲渡しているfabであり、長年にわたりIBMの半導体拠点というイメージが定着していただけに時間の経過を改めて振り返るところがある。
◇GF Sells Ex-IBM Fab to ON Semi-$430M deal starts ON Semi's multi-year shift to 300-mm wafers, 45-/65-nm nodes (4月22日付け EE Times)
→該前IBM fabからの多彩なGlobalFoundriesのプロセスおよび顧客の譲渡が、2022年まで行われる旨。ON Semiconductorは、該fabでの約1,300人を維持、2022年12月の完了予定の譲渡期間においてパワーなどの半導体プロセスを立ち上げていく旨。
◇ON Semiconductor: How GlobalFoundries sale could impact region-ON Semiconductor to purchase GlobalFoundries fab (4月22日付け Poughkeepsie Journal (N.Y.))
→ON Semiconductorが、GlobalFoundriesからEast Fishkill, N.Y.の300-mmウェーハfab拠点を$430 millionで買収する最終合意に達した旨。該fabのownershipを、IBMがほんの数年前にGlobalFoundriesに譲渡している旨。
◇Could ON Semiconductor be GlobalFoundries' White Knight? (4月22日付け 3D InCites)
◇$430 million sale of East Fishkill plant a 'win-win' for GlobalFoundries and ON Semi, analysts say (4月23日付け Albany Business Review)
→該取引により、GlobalFoundriesはhigh-volume製造を最適化できる一方、East Fishkill工場をさらに追加投資を図っていくownerに託される旨。
◇Globalfoundries, On Semi agree to transfer ownership of 300mm fab in New York (4月23日付け DIGITIMES)
【SK Hynixによる買収】
上に示した通り、韓国の半導体業界は、メモリ半導体が落ち込む中、ノンメモリおよびファウンドリーへの傾斜を強めているが、SK Hynixが、MagnaChip Semiconductorのファウンドリー事業および製造ラインの買収を検討する動きが見られている。
◇SK Hynix eyeing part of MagnaChip Semiconductor- source-SK Hynix could purchase MagnaChip Semiconductor (4月22日付け Reuters)
→業界筋発。韓国・SK Hynixが、MagnaChip Semiconductorのファウンドリー事業および製造ラインの買収を検討している旨。世界のメモリ半導体メーカーの間でSamsung Electronicsに次ぐ2位のSK Hynixは、ロジック半導体の開発増強を図っている旨。
◇Chip industry closely watching SK hynix's decision on MagnaChip bid (4月23日付け The Korea Herald (Seoul))
→韓国の半導体製造業界、火曜23日発。該業界は、以前SK hynixが持っていたMagnaChipのファウンドリー事業および製造ラインに向けた入札の成り行きをしっかり見詰めている旨。
【引き続く市場低下】
毎月の北米半導体装置メーカー世界billingsが更新され、この3月について以下の通り昨年暮れからの落ち込みが続く結果となっている。
◇North American Semiconductor Equipment Industry Posts March 2019 Billings (4月23日付け SEMI)
→SEMIのMarch Equipment Market Data Subscription(EMDS) Billings Report発。北米半導体装置メーカーの2019年3月の世界billingsが$1.83 billion(3ヶ月平均ベース)、前月2019年2月の最終レベル、$1.87 billionを1.9%下回り、前年同月、2018年3月の$2.43 billionを24.6%下回る旨。ここ半年の推移(金額:MUS$):
Billings | Year-Over-Year | |
(3ヶ月平均) | ||
September 2018 | $2,078.6 | 1.2% |
October 2018 | $2,029.2 | 0.5% |
November 2018 | $1,943.6 | -5.3% |
December 2018 | $2,104.0 | -12.3% |
January 2019 | $1,896.3 | -20.0% |
February 2019 (final) | $1,868.1 | -22.7% |
March (prelim) | $1,832.4 | -24.6% |
[Source: SEMI (www.semi.org), April 2019]
◇Semiconductor Equipment Slide Worsens (4月24日付け EE Times)
◇Semiconductor equipment billings register another sequential drop (4月24日付け DIGITIMES)
IC Insightsより、今年のメモリ市場および半導体市場全体の予想があらわされている。
◇Volatile DRAM and flash memory cycles weigh on IC market growth-IC Insights: DRAM, flash volatility may weigh on semi market (4月26日付け New Electronics)
→IC Insightsの予測。メモリ半導体市場における揮発性が、今年の間の半導体市場の広がりにマイナスのインパクトとなりそうな旨。2019年のメモリ市場売上げ全体が2019年は24%減となって、IC市場の伸びが9%減と見ている旨。
≪グローバル雑学王−564≫
「世界3大投資家」と称される1人、ジム・ロジャーズ(Jim Rogers)による驚愕の未来予測の書、
『お金の流れで読む 日本と世界の未来−世界的投資家は予見する』
(ジム・ロジャーズ 著 大野 和基 訳:PHP新書 1172) …2019年1月29日 第一版第一刷
より、世界の覇権国に最も近い国という見方が展開されていく後半である。
とはいうものの、中国の弱みはどこか、出生率、格差、など挙げられている。台湾の今後はいずれ本当にゆっくりと一つの国になるだろうという見方。台湾・ホンハイのシャープ買収劇が言及されているが、ホンハイの総帥で中国寄りの、Terry Gou氏が、湾総統選への出馬を正式表明したばかりである。米中貿易戦争は愚の骨頂と断じる一方、中国の強さについてずっと考え続けている著者である。
第三章 中国――世界の覇権国に最も近い国 ―――後半
◎チャイナ・リスクはどこにあるか
巨人のアキレス腱を探せ
〓低下を続ける出生率
・中国の弱み、まず出生率の低さ
→1979年から実施された「一人っ子政策」の影響
→男の子ばかり望む親が増えて人口の男女比がアンバランスに
→高齢者人口が膨れ上がる一方で労働力人口が不足
→2016年、子どもを二人産むことが合法になったが、とりわけ中流階級の多くは子ども二人を望んでいない
・日本と同様、アジア諸国は移民を嫌うという傾向
→将来人口減少を引き起こし、大きな問題を引き起こす可能性
〓広がる格差
・さらには、地方と都市との大きな格差も問題
→社会保障が異なり、それが両者の格差を広げているとも
・中国政府はいま、地方を助けるべくありとあらゆることを実行
→政府が手を差し伸べ、地方の生活水準を向上させ、消費を刺激する政策を取らなければならない
〓急激に増えた借金は危険信号
・ここ数年で増え続けている借金も、大きな問題
→2008年終盤に政府が大規模経済対策を発表して以来、誰もが競って借金をする状況が続いている
→かつてこれほど大きな借金を抱えた歴史がないので、中国はその処理の仕方を知らない
→国家だけではない、企業や自治体の借金も膨れ上がり、いずれ倒産、破産する企業や都市、地方が出てくるだろう
・対して日本やアメリカ、その他いくつかの資本主義国
→銀行の国有化や企業救済など、まるで「社会主義化」したような政策を打ち出している
・日本には、頭がいい、有能な人から取り上げた金を無駄遣いするゾンビ企業・銀行が、いまだに蔓延っている
→バブル崩壊後、日本が「失われた十年」を経験したのはそのせい
→それが「失われたニ十年」に延び、いまは「失われた三十年」に突入
・リーマンショック後のアメリカでも同じことが起きた
→結果、アメリカは有史上最大の債務国と成り果てた
・「破産なき資本主義は地獄なきキリスト教」
→地獄に送るべき人間を放置しておくと、この世は地獄そのものになる
・スウェーデンは1990年代初頭、アメリカと同じような不動産バブルで経済破綻を経験
→政府は過剰な救済措置を取らなかった
→いまやスウェーデン経済の健全さは世界屈指
〓中国経済への箴言
・いまの段階では、中国の経済は保護されすぎていると言わざるを得ない
→この15年間で株式市場はかなりオープンになったが、それでも他の国にはまったく追いついていない
・また、国内に多くの金が閉じ込められているのも大きな問題
→中国では、国外に金を持ち出すのが非常に難しい
→だから、不動産を買う以外に使い道がない
・少子化や地方と都市の格差、借金という課題よりもまず先に中国が解決すべきは、この閉鎖された経済だろう
→中国経済は、政府に操作されている部分が多過ぎる
→人民元という国の通貨が管理通貨
◎「もう一つの中華経済圏」台湾・マカオ
大国に振り回されるか、独自の道をゆくか
〓台湾は「併合」されるのか
・両者ともに「中国と台湾は一つの国」という見解は一致、いずれ本当にゆっくりと一つの国になるだろう
→いまは飛行機でも船でも、中国と台湾間の行き来は自由
→変化は着実に起きている
・最終的には、みなが中国の台湾併合を受け入れることになるだろうと思う
→ここ30年の変化を見ればそう言うことができる
〓ホンハイの買収劇はシャープV字回復後もますます盛んに
・台湾のホンハイが、2016年4月にシャープを買収、V字回復させた
→アメリカの企業もヨーロッパの企業も彼らは買収
・これからは中華系の企業が買収の役目を負うのだろう
〓100年後、マカオの地位は下落する
・中国の特別自治区、マカオの「カジノ依存経済」は苦戦を強いられている
→中国や他の地域が新たにカジノをオープンすれば、さらなる打撃に
→日本、韓国、北朝鮮、シンガポールと、マカオの競争相手がどんどん増えていく
・日本という国は品質では世界一、日本のカジノも品質が高いものになるだろう
→それによって、近隣諸国のカジノはいくつか倒産するかもしれない
◎米中覇権戦争の勝者は
中国のファンダメンタルズは強いが、米ドルは上げ相場を続けるだろう
〓貿易戦争は愚の骨頂
・2018年7月6日、米中両国は互いの製品の輸入関税を引き上げた
→これは実に愚かな措置
→どの国にとってもマイナスになる
・歴史を振り返れば、貿易戦争がプラスに働くことなどないとわかる
→昨今の金融市場、日本も中国もアメリカも、すべての国で物価が上がっている
・米中の株式市場には、もちろん貿易戦争以外の要素も大いに関わっている
→紙幣増刷や減税など、多くのことが同時に
・経済危機というのは、一日二日で起こるものではない
→経済に実際に影響が与えられるまでには、長い時間がかかるもの
・危機というのは、誰も気づかないようなところで初動が起き、それが雪だるま式に大きくなっていく
→リーマンショックなど、どの下げ相場も誰もが知らないところで始まり、最終的に多くの国が破綻している
〓これから10年、米ドルは上げ相場を続ける
・歴史的に見て、世界で唯一の「安全な避難先」は米ドル
→経済が悪化すればするほど、ドル買いをする人はますます増える
・他の通貨が米ドルに取って代わるとすれば、私が思いつくのは唯一、人民元
→いつの日か人民元が米ドルを凌駕する時が来るかも
→元はいまのところ売買ができないので、このままでは基軸通貨になることは夢のまた夢
・アメリカという国は、軍事面でも経済面でも大きくなりすぎ、また地政学的にも拡大しすぎた
→アメリカに取って代わる国、中国が最も近い位置にいるが、まだアメリカに代わって覇権を握る時期ではないだろう
〓歴史上、三たび繁栄を極めたのは中国だけ
・歴史上、三度も繁栄の頂点を極めた国は、私の知る限り中国しかない
→何十年も、何世紀も底辺を味わったあと、好転、実に驚異的な国
・中国の強さは、どこにあるのだろう
→中国哲学とは何か関係がありそう
→昔から教育、とりわけ技術に重きを置く国
→儒教では教師と学者が特に尊ばれている
・中国文化の中に身を置きながら、私はずっと中国の強さを考え続けている