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貿易摩擦の波乱含みの渦中、各社の業績&備える動き:Samsung、TSMC

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本欄を埋めるときになって、米中閣僚級協議で部分合意に達し、10月15日に2500億ドル分の中国製品の関税率を25%から30%に引き上げる措置が先送りされている。貿易戦争の一段の激化は避けられたが、まだまだ『第1段階』の合意であり、この先予断を許さないことには変わりはない。このようになかなか決しない状況推移の中、業績発表および今後に備える先端の取り組みの動きについて、特にSamsung、TSMCに注目している。メモリ半導体の価格低下から利益を半分以下に落としているSamsungは、業界初の最先端半導体実装技術を打ち上げるとともに半導体およびディスプレイへの投資増強を逆風下で行っている。TSMCは最先端プロセス投資が展望を高めてきている。

≪底打ちから盛り返しへ≫

Samsung関連の現下の動きを時系列にあらわして、まずは同社トップを巡る政治絡みの内容である。実質的な変化はないものと思われる。

◇李在鎔サムスン電子副会長、3年で社内登記理事から退任へ (10月5日付け 韓国・中央日報)
→李在鎔(イ・ジェヨン)サムスン電子副会長(51)が社内登記理事(取締役)から退く旨。李副会長は3年前の2016年に社内理事に就任し、今月末に任期が満了する旨。サムスン電子は破棄差し戻し審を控えた李副会長を再選任しない方式で、社内登記理事再任を放棄したとみられる旨。ただ、李副会長は今後も半導体や人工知能(AI)、電装などの分野でサムスンの未来の事業を発掘するのに注力すると予想される旨。

最先端の半導体実装技術、すなわち12個のDRAMsを60,000個を上回るthrough-silicon via(TSV)でつないで従来の8-層High Bandwidth Memory(HBM) 2パッケージと同じ720μm厚に収めるもので、業界初の開発成功としている。以下の業界各紙取り上げである。

◇Samsung develops 12-layer TSV package-Samsung fits a dozen DRAMs in a TSV package-Samsung has developed 12-Layer 3D-TSV TSV chip packaging technology. (10月7日付け Electronics Weekly (UK))
→Samsung Electronicsが、60,000個を上回るthrough-silicon via(TSV) holesを用いて1つのパッケージで12個のDRAMsをつなぐ12-層3DICを提案、該chip-stackingパッケージは厚さが720 microns、8-層High Bandwidth Memory(HBM) 2パッケージと同じの旨。

◇Samsung Electronics Develops Industry's First 12-Layer 3D-TSV Chip Packaging Technology (10月7日付け SEMICONDUCTOR DIGEST)

◇サムスン電子、12段TSV技術開発…半導体パッケージも「超格差」 (10月7日付け もっと!コリア)
→サムスン電子は7日、最先端の半導体パッケージ技術である「12段3次元シリコン貫通電極(3D-TSV)」技術を業界で初めて開発に成功したと明らかにした旨。従来はワイヤ(金属線)を用いて、DRAMパッケージ内のチップなどを接続する方法が活用されてきたが、最近では速度と電力効率の高い電子移動通路(TSV)方式が拡散している旨。これはワイヤーでチップを接続する代わりに、チップの上・下段に直径が髪の毛の太さの20分の1ほどであるTSV 6万本を作って誤差なしに接続する先端パッケージング技術。
3D-TSVは電子が移動できる通路が多く、ワイヤ方式に比べて速度は8倍速く、消費電力は50%少ないことが分かった旨。
サムスン電子のペク・ホンジュ副社長は「今回の技術開発で、これまで8段に積んだHBM2のようなパッケージの厚さ(720μm)を維持しながら、D-RAMチップ12個を積むことができるようになった」とし、「これを活用して、顧客は次世代の大容量製品を製造・発売できるだろう。人工知能(AI)や自律走行など、さまざまな応用先で高性能を実現できる最尖端パッケージング技術が重要になっている。」とし、「この分野でも超格差技術でリーダーシップを継続する」と説明した旨。

◇Samsung develops 12-layer 3D-TSV (10月8日付け DIGITIMES)

Samsungの7〜9月期業績があらわされているが、現下のメモリ半導体価格はじめ厳しい状況を反映して非常に大きく利益を落とす結果となっている。しかしながら、ここ数ヶ月の底打ちの気配から半導体投資を増強する積極的な動きが見られている。

◇サムスン、7〜9月営業益56%減、半導体低迷響く (10月8日付け 日経 電子版 09:58)
→韓国サムスン電子が8日発表した2019年7〜9月期連結決算の速報値。売上高は前年同期比5.3%減の62兆ウォン(約5兆5500億円)、営業利益が同56%減の7兆7000億ウォン(約6900億円)。半導体メモリが好調で3カ月間の利益としては過去最高だった前年同期と比べて大幅減だった旨。半導体が不振で、スマートフォンも伸び悩んで補いきれなかった旨。ただ、市場では半導体価格が下げ止まりつつあり、サムスンの業績に底打ち感が出てきたとの見方もある旨。

◇Tough times for chipmakers as Samsung warns of profit drop-Samsung faces profit decline amid chip industry issues (10月8日付け Houston Chronicle/The Associated Press)
→Samsungが、利益の急激な落ち込みで投資家を引き締め、computer半導体メーカーに影響を与える厳しい期間の最新の兆候を与えている旨。

◇サムスン、半導体不振、営業益56%減、スマホも伸び悩む、7〜9月 (10月9日付け 日経産業)

◇サムスン、逆風下で半導体設備増強、競合に先行−中国で来春稼働 市況回復見据え (10月8日付け 日経 電子版 12:06)
→韓国サムスン電子が半導体の設備増強に動き出した旨。8日発表の2019年7〜9月期連結決算の速報値は営業利益が前年同期比で56%減ったものの、4〜6月期と比べると17%増え業績に底打ち感が出てきたため。半導体市況の回復を見越し中国の工場で生産設備の発注を始めた旨。投資に尻込みする競合に先駆けて積極投資にカジを切る旨。

半導体ファウンドリー事業でも先端ソリューションの展開である。

◇Samsung Introduces Advanced Automotive Foundry Solutions Tailored to EMEA Market at Samsung Foundry Forum 2019 Munich (10月10日付け SEMICONDUCTOR DIGEST)
→Samsung Electronics Co.がSamsung Foundry Forum(SFF) 2019 Munichにて、cutting-edgeファウンドリーソリューションの拡大portfolioを披露の旨。ファブレス会社およびファウンドリーパートナーから200人を上回る業界エキスパートを集め、16のパートナーboothsが先端ファウンドリー技術トレンドを展示、昨年に比べてともにかなり増加の数字であり、Samsung Foundryのいっそう手堅い顧客ベース並びにEurope, Middle East, and Africa(EMEA)におけるコラボ増大をあらわしている旨。

ディスプレイにおいては新技術「量子ドット(QD)有機EL」に成る次世代版に大規模な投資を行い、中国勢に対抗していくとしている。

◇Samsung to invest $11 billion in next-generation displays (10月10日付け The Japan Times)

◇次世代有機ELに1.2兆円、サムスン、中国勢と「決戦」 (10月11日付け 日経産業)
→韓国サムスン電子は10日、テレビ向けの次世代パネルの量産に13兆1000億ウォン(約1兆2000億円)投資すると発表、韓国内の既存工場の液晶パネル生産ラインを、有機ELを独自に改良した「量子ドット(QD)有機EL」と呼ぶ新型パネル向けに転換する旨。有機ELの次を模索するパネルメーカーの開発競争が新局面を迎えた旨。
韓国中部の牙山(アサン)市にある主力のパネル生産拠点、湯井(タンジョン)工場に生産設備を導入し2021年をメドに量産を始める旨。既存のガラス基板サイズが第8世代の液晶ラインを転換。自社ブランドの65インチ以上の最上位テレビに搭載して売り出す計画。

次に、TSMCについて、今年前半の低迷基調の業績から、2019年第三四半期は売上げが四半期最高を示すに至っている。業界最先端の7-nmプロセスの有効性が拡大の原動力となっている様相である。

◇TSMC EUV process delivering customer products to market in high volume-TSMC ramps up production with its 7nm EUV process (10月8日付け DIGITIMES)
→TSMCが、同社7-nm EUV-ベースプロセス技術, N7+が顧客製品をhigh volumeで市場に届けている旨。該N7+ volume生産化は史上最高速の1つの旨。2019年第二四半期にvolume生産を始めたN7+プロセスは、1年以上volume生産にある元のN7プロセスに匹敵する歩留まりである旨。

◇TSMC posts record 3Q19 revenues-TSMC sets Q3 revenue record (10月9日付け DIGITIMES)
→TSMCの2019年9月連結売上げがNT$102.17 billion($3.3 billion)、前月比3.7%減、前年同月比7.6%増。第三四半期連結販売高がNT$293.05 billion、前四半期比21.6%増、前年同期比12.6%増。TSMCの2019年第三四半期売上げは、2018年第四四半期のこれまで最高そして同社のguidance範囲、$9.1 billion to $9.2 billionを上回っている旨。

◇TSMC's Leading-Edge Fab Investments Set Stage for Sale Surge in 2H19 (10月9日付け SEMICONDUCTOR DIGEST)
→IC InsightsのSeptember Update to the 2019 McClean Reportにおける分析。TSMCの先端ウェーハfab技術への大きな投資が、同社にとってかなりうまくいく見込み、今年後半に7-nm ICsの生産立ち上がりが続く旨。

Samsungに次ぐメモリ半導体メーカー、SK Hynixを見ると、前年比94.2%減とさらに大きな利益の落ち込みとなっている。また、韓国・Cheongju(清州市) の同社拠点に向けた火力発電所建設の動きが見られている。激しく動くメモリ半導体であり、同社の今後の動きにも注目である。

◇SK hynix Q3 profit likely to plunge (10月4日付け The Korea Times)
→financial market tracker、FnGuideのレポート発。世界第2位のメモリ半導体メーカー、SK hynixの第三四半期operating profitが378.2 billion won($316 million)で、前年同期の6.47 trillion wonに対し94.2%減の見込み。昨年後半以降、SK Hynixは半導体価格および需要の引き続く低迷に見舞われている旨。

◇SK Hynix to build LNG power station to fuel its chip facility in Cheongju-SK Hynix to make energy for wafer fabs with LNG power station (10月7日付け Pulse by Maeil Business Newspaper (South Korea))
→SK Hynixが、Cheongju(清州市), South Koreaでの585-megawatt liquefied natural gas(LNG)-ベース火力発電所建設に$668 millionを投資、該地域での同社ウェーハ製造拠点に向けたエネルギーが供給される旨。同社は、2022年までに該発電所を完成予定の旨。


≪市場実態PickUp≫

【米中摩擦関連】

米中協議を前に議題について駆け引きが見られている。

◇China narrows scope for trade deal with U.S. ahead of talks-China reportedly won't discuss some key issues in US trade talks (10月7日付け BNN Bloomberg (Canada))
→中国当局が、米国との来る貿易の話し合いでいくつかの重要問題を議論から外している旨。木曜10日からの交渉で中国代表団を率いる劉鶴副首相は、提案には中国の産業政策あるいは政府補助金を含まないとしている旨。

◇The U.S.-China Relationship Is a Tangled Mess on Eve of Talks (10月8日付け Bloomberg)

協議の進展を訝って、株式急落の反応である。

◇Dow drops 300 points as optimism around US-China trade talks dims-Pessimism over US-China trade talks leads to Dow drop (10月8日付け CNBC)
→米中貿易協議を巡る悲観論が株急落を引っ張っており、Dow Jones Industrial Averageが243 points落としている旨。加えて、Nasdaq CompositeおよびS&P 500ともに1.1%の落ち込みが生じている旨。

IMFからも米中貿易戦争がグローバル経済に与える損害があらわされている。

◇Trump's Trade War Could Put Swiss-Size Dent in Global Economy, I.M.F. Warns-Trade war could cost global economy $700B by 2020, IMF warns (10月8日付け The New York Times)
→International Monetary Fund(IMF)の新しいhead、managing directorのKristalina Georgieva氏が火曜8日、アメリカの中国との貿易戦争は2020年までにグローバル経済に約$700 billionを失わせて、スイス経済全体規模に等しい損失となる旨。

またも「エンティティー・リスト(EL)」に追加あり、ウイグル人弾圧を支えたとして監視カメラで世界最大手のハイクビジョン(Hikvision)はじめ計28社が対象となっている。これも株価を下げる懸念要素の反応である。

◇Trump's updated China blacklist slams shares of chipmaker Ambarella-US adds 28 entities to trade blacklist (10月7日付け CNBC)
→Hikvisionが、Entity Listに加えられた28社の1つ。Ambarella(HDビデオ圧縮技術と画像処理技術)はまた、AlphabetおよびGoProのような米国ハイテクメーカーとのビジネスを行っている旨。

◇米、中国監視カメラ大手など禁輸、ウイグル人弾圧で制裁 (10月8日付け 日経 電子版 05:34)
→米商務省は7日、中国が新疆ウイグル自治区でイスラム教徒のウイグル族を弾圧しているとして、監視カメラで世界最大手の杭州海康威視数字技術(HIKVISION:ハイクビジョン)や政府機関など計28団体・企業に事実上の禁輸措置を課すと発表、人権問題は中国にとって敏感なテーマで、当局は同自治区での大量拘束などを否定してきた旨。中国側が米国の制裁措置に強く反発するのは必至で、10日に始まる貿易協議に影響する可能性もある旨。安全保障上で問題がある団体を列挙した「エンティティー・リスト(EL)」に9日付で追加する旨。自治区政府の公安部門など20機関のほか、監視カメラ世界首位のハイクビジョン、同2位の浙江大華技術(ダーファ・テクノロジー)、画像認識技術で知られるセンスタイムなど政府の弾圧活動を支えているとされたハイテク企業8社も対象に含めた旨。

◇NYダウ続落313ドル安、ウイグル族巡る米中対立を懸念 (10月9日付け 日経 電子版 05:20)
→8日の米株式相場は続落、ダウ工業株30種平均は前日比313ドル98セント(1.2%)安の2万6164ドル04セントで終えた旨。米政権が中国企業に対する新たな禁輸措置を発表し、米中摩擦が深刻化するとの懸念が強まった旨。
米政権が中国の複数の政府高官に対するビザ発給を制限する方針を示したことも、投資家心理の悪化につながった旨。
米商務省は7日、中国がウイグル族を弾圧していることを理由に、監視カメラ大手の杭州海康威視数字技術(ハイクビジョン)や政府機関など28団体・企業に禁輸措置を課すと発表、中国も対抗措置を取る姿勢を示し、報復合戦につながると警戒された旨。

◇米、中国「監視技術」に制裁、貿易協議前、人権問題で圧力、ハイテク8社・20機関に (10月9日付け 日経)

◇半導体関連株の上昇一服、米、中国企業に禁輸措置、連想売り拡大 (10月10日付け 日経)
→戻り歩調を強めていた世界の半導体関連株の株価上昇に一服感がでている旨。米政権が監視カメラ大手の中国企業に対して新たな禁輸措置を発表、取引がある半導体関連企業をはじめとする多くの銘柄に連想の売りが広がった旨。

協議を前に、楽観、悲観入り混じる以下の内容である。

◇Trump Green-Lights Some Sales to Huawei-US to allow firms to supply nonsensitive goods to Huawei (10月9日付け The New York Times)
→米国が、いくつかのアメリカの会社に対しHuaweiにnonsensitive製品を供給するライセンスを与える見込み、Donald Trump大統領が先週ライセンス承認に許可を与えている旨。

◇Hopes are dim as US and China resume high-stakes trade talks-US-China trade talks resume amid uncertainty (10月9日付け The Associated Press)
→米中貿易協議の第13ラウンドが木曜10日始まる運び、しかし前回より良い結果が得られる楽観論はほとんどない旨。「両者の間の敵対性および不信用の現状レベルがあるとすれば、持続性のある広範な取引を交渉する可能性はまったく道遠しに思われる。」と、Cornell Universityのエコノミスト、Eswar Prasad氏。

中国からは、製造業の賃金上昇停滞が伝えられている。

◇中国製造業の賃上げ停滞、8割超が手取り横ばい (10月9日付け 日経 電子版 21:11)
→中国製造業の賃金上昇が停滞してきた旨。江蘇省や上海市での日本経済新聞の聞き取り調査では、37社のうち8割を超す企業で手取り月収が前年並みにとどまる旨。景気減速に伴う残業や休日出勤の減少が響いている旨。
採用を絞っている企業も4割に上った旨。民間調査では賃金上昇が見込みにくいと転職を控える動きが広がる旨。消費減速の要因である所得伸び悩みを裏付ける旨。

このようにして迎えた米中協議であるが、中国の輸入拡大が効いたか双方『第1段階』の合意に落ち着いて、10月15日に控えた中国製品の関税率引き上げが先送りされている。まだまだ予断は許されないが、当面の対立激化は避けられたということで引き続きの注目を要するところである。

◇Day 1 of U.S.-China trade talks ends with hopes for limited deal-US, China resume trade talks with lowered expectations (10月10日付け Reuters)
→米中が木曜10日、2ヶ月を上回る時間を置いた貿易協議の初日を終了、business groupsはより厳しい貿易戦争を緩和、来週予定の米国関税踏み上げを遅らせる楽観論を述べている旨。

◇米中が閣僚級協議、トランプ氏「よい交渉だった」 (10月11日付け 日経 電子版 05:13)
→米中両国は10日、ワシントンで2カ月半ぶりの閣僚級協議を開始した旨。
米政権は15日に2500億ドル分の中国製品の関税率を25%から30%に上げると主張するが、中国は大豆などの輸入拡大を提案して関税上げの回避を求める旨。トランプ米大統領は10日、ホワイトハウスで記者団に対し、同日の協議について「非常にうまくいった。とてもよい交渉だった」と語った旨。

◇U.S. and China may be headed for mini-deal on trade this week (10月11日付け SILICON VALLEY BUSINESS JOURNAL)
→米国商工会議所official発。米国と中国は、Donald Trump大統領が予定している今月施行の関税引き上げを防ぎ、中国の通貨管理方法を巡る規則を定める限定された貿易合意を今週発表する可能性の旨。

◇US agrees limited trade deal with China (10月11日付け SILICON VALLEY BUSINESS JOURNAL)

◇米、15日の対中関税上げ延期、農産品や為替で部分合意 (10月12日付け 日経 電子版 04:52)
→米中両政府は11日、貿易問題で閣僚級協議を開き、農産品や為替など特定分野で部分的に合意した旨。中国が米農産品の輸入を増やすほか、通貨政策の透明性を高める旨。これを受け、トランプ政権は10月15日に予定していた中国製品への制裁関税の引き上げを先送りすると表明、貿易戦争が一段と激しくなる事態はひとまず回避した旨。
トランプ大統領は11日、ホワイトハウスで閣僚級協議に参加した中国の劉鶴(リュウ・ハァ)副首相と会談し「重大な『第1段階』の合意に達した」と述べた旨。

◇NYダウ319ドル高、米中貿易協議の合意受け (10月12日付け 日経 電子版 05:27)
→11日の米株式相場は3日続伸、ダウ工業株30種平均は前日比319ドル92セント(1.2%)高の2万6816ドル59セントで終えた旨。米メディアが11日午後、米中貿易協議で複数の項目で合意したようだと報じた旨。貿易摩擦が緩和に向かうことを好感した買いが膨らんだ旨。

◇米中貿易、景気懸念で一時休戦、構造問題先送り (10月12日付け 日経 電子版 20:19)
→米中両国は中国が米国産農産品の輸入を拡大する一方、米国が制裁関税の引き上げを見送ることで合意した旨。関税合戦の悪化は回避したが、実態は農業や通貨など切りやすいカードだけを切った「小粒合意」。中国の産業補助金の見直しなど構造問題は棚上げしたままで、制裁関税を完全撤廃する貿易戦争の終結はみえない旨。

【日韓摩擦関連】

我が国の韓国に対する半導体材料の輸出規制が強化されてこの11日で100日が経過。世界貿易機関(WTO)への提訴が行われ、双方の協議がジュネーブで開催されたが、従来の主張で平行線を辿っている模様である。

◇対立解消見えず、韓国は国産化に総力=日本の輸出規制強化100日 (10月10日付け 韓国・聯合ニュース 14:20)
→日本が7月に半導体・ディスプレー材料3品目の対韓輸出規制を強化してから、11日で100日になる旨。

◇日韓が11日にWTO協議、輸出管理で対立、解決見えず (10月10日付け 日経 電子版 09:30)
→日韓両政府は10日、世界貿易機関(WTO)への提訴を巡り、11日にジュネーブで協議を始めると発表、韓国は日本の半導体材料に対する輸出管理の厳格化がWTO協定に違反するとして訴えている旨。日韓の主張は対立しており、協議の期限内では解決せずに第一審にあたる紛争処理小委員会(パネル)での審理に移る公算が大きい旨。

◇初回の日韓WTO協議は平行線、次回開催には合意 (10月12日付け 日経 電子版 04:46)
→日本と韓国は11日、日本による半導体材料の対韓輸出の厳格化を巡って、世界貿易機関(WTO)本部で初回の協議を開催、日韓はそれぞれ従来の主張を繰り返し、議論は平行線をたどった旨。韓国は次回協議の開催を要請し、日本は受け入れた旨。ただ、解決の糸口は見通せず、日韓の通商紛争はWTOの第1審での審理に移る公算が大きい旨。

【IT巨人関連】

IT巨人、いわゆる「GAFA」への風当たりが強まる中、世界中で税金の網をくぐり抜けているとして、経済協力開発機構(OECD)がデジタル課税の枠組み案を以下の通り提示、審議を経て国際的なコンセンサスを図りたいとしている。

◇Fines: Big Government's Stealth Tax on Big Tech (10月7日付け EE Times)
→米国ハイテクメーカーが、あまりに成功し過ぎて世界中でstealth taxに直面の旨。

◇デジタル課税、売上高で各国に税収配分、OECDが新案公表へ (10月7日付け 日経 電子版 02:00)
→グローバルに事業を展開する企業への適切な課税に向け、経済協力開発機構(OECD)によるデジタル課税の枠組み案が分かった旨。国別の売上高の割合に基づいて各国に利益への課税権を持たせる旨。新しい枠組みはITをはじめすべてのグローバル企業を対象とし、事業展開の実態に合わせた課税をめざす旨。
OECDは枠組み案を9日に公表し、17日から米国で開かれる20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議に報告する旨。G20は2020年1月の大筋合意に向けて詰めの議論を後押しする旨。

◇Silicon Valley is losing its war against paying tax on big-tech revenues-Tech companies, multinationals face bigger tax bills under OECD overhaul (10月9日付け Business Insider)
→国際税制標準を定めるOrganization for Economic Cooperation and Development(OECD)が水曜9日、Google, Facebook, およびAmazonなどハイテク大手にずっと大きな税金を求める税制の非常に大きな総点検の概要を説明の旨。

◇OECD takes aim at tech giants with plan to shake up global tax (10月9日付け SILICON VALLEY BUSINESS JOURNAL)

◇グローバル企業、税収を各国配分、OECD案公表 (10月9日付け 日経 電子版 18:48)
→経済のデジタル化に対応してグローバル企業に適切な課税をするため、経済協力開発機構(OECD)は9日、新たな国際課税の枠組み案を公表、利益のうち一部にかかる税を、その企業の国別の売上高に応じて各国で分け合う旨。拠点の有無にかかわらず、各国が課税できる仕組み。拠点ではなく消費地を起点とする法人税の仕組みの採用は、国際課税の大きな転換点となる旨。OECDは11月21日からフランスで企業関係者や専門家などを集めた公聴会を開く旨。そのうえで議論に参加する134カ国・地域で2020年1月に大筋合意し、2020年末までに詳細も含めた最終合意を目指す旨。

◇Global plan would close tax havens to tech giants (10月10日付け SILICON VALLEY BUSINESS JOURNAL)
→ディジタル税をひらりとかわす人、注意すること:国際的指導者が、Apple, FacebookおよびAmazonなど大型multinational会社が国々の間で利益を移して税金を免れるのを防ぐ計画を進めている旨。ディジタル経済への課税を如何に行うか、グローバルな戦いを段階的に縮小する活動の旨。

もう1つ、Appleについて香港での抗議活動で使われたとするmappingアプリ、HKmap.liveを中国国家メディアの攻撃を受け、取り除く結果となっている。

◇China state media take aim at Apple over Hong Kong map app (10月9日付け SILICON VALLEY BUSINESS JOURNAL)
→中国国家メディアが、香港の抗議者たちが使ったとしてmappingアプリについてAppleを攻撃の旨。

◇Chinese anger over Hong Kong ensnared 3 big US businesses this week - and critics say they bent to Beijing-US companies caught in crosshairs of Hong Kong protests (10月10日付け CNBC)
→Apple, ActivisionおよびNBAが、中国を怒らせる香港反政府抗議活動に関する出来事を巡って苦境に陥っている旨。

◇Apple removes app that tracked Hong Kong police (10月10日付け SILICON VALLEY BUSINESS JOURNAL)
→Appleが水曜9日遅く、香港の抗議活動者たちが警察の追尾を可能にするアプリ、HKmap.liveをApp Storeから取り除いた旨。

◇米アップル、香港で地図アプリのダウンロードを停止−共産党からの批判が影響か (10月10日付け 日経 電子版 15:40)
→米アップルは10日、スマートフォン「iPhone」の地図アプリ「HKマップ ライブ」のダウンロードを停止した旨。中国共産党が、香港のデモ隊が抗議活動を行う上で、同アプリを悪用していると批判していた旨。アップルは停止の理由をアプリ運営者に対し「香港の法執行機関や住民を危険にさらす方法でアプリが使われていることが分かったため」と説明した旨。

◇Apple faces China crunch as profits and values clash (10月11日付け SILICON VALLEY BUSINESS JOURNAL)
→Appleのchief executive、Tim Cook氏がスタッフに手紙を送り、警察の所在、交通障害および抗議デモの場所についてユーザがリアルタイム情報を不特定に供給できる香港での"恵み深い"アプリを禁止した理由を説明の旨。「技術はよかれあしかれ使われ得る。」と、HKMap.liveがApp Storeから取り除かれた後で同氏。

【Arm関連】

Arm TechCon 2019(10月8-10日, San Jose Convention Center)開催に合わせて、Armが主導するAutonomous Vehicle Computing Consortium社(AVCC)の打ち上げはじめ関連する動きが以下の通り続いている。

◇More Data, More Processing, More Chips-Arm CEO discusses heterogeneous computing, IC packaging -Arm's CEO examines the impact of an explosion of data at the edge, 5G and heterogeneous architectures. (10月7日付け Semiconductor Engineering)
→ArmのCEO、Simon Segars氏。5G cellular通信およびedge computingへの業界の移行が、半導体intellectual property(IP), 先端半導体実装およびICセキュリティに劇的な変化をもたらしている旨。「Armコアは元のcellphonesにおいてheterogeneous半導体に置かれた。」と特に言及の旨。

◇Arm unveils consortium for autonomous vehicle computing-Arm: Consortium to seek solutions to AV issues (10月8日付け VentureBeat)
→Armのsenior vice president of automotive and embedded、Dipti Vachani氏が、Arm TechCon 2019 conference(San Jose, California)での基調講演にて、Autonomous Vehicle Computing Consortiumを発表、該新コンソーシアムは、AVsに関連する安全性およびcomputing問題に向けてソリューションを見い出すためにArm, General Motors, Toyota, Continentalなど業界leadersからのノウハウをテコ入れする旨。

◇Arm-led Group to Set APIs for AV Hardware (10月10日付け EE Times)
→今週のArm TechCon(Santa Clara)にて、Bosch, Continental, Denso, General Motors, Nvidia, NXP SemiconductorsおよびToyotaなど車載およびハイテク会社のグループが、新たに打ち上げられたArm-主導のAutonomous Vehicle Computing Consortium社(AVCC)への支援を宣言の旨。

◇Arm Responds to RISC-V, and More (10月11日付け EE Times)
→今年のArm Techconでのビッグニュースは、Cortex Mに向けた顧客カスタマイズinstructionsに同社instruction setを開放していること。ArmのCEO、Simon Segars氏が、開幕基調講演で該変化を発表の旨。

◇Arm and Green Hills Software collaborate on functional safety solutions-Arm teams with Green Hills Software for functional safety (10月11日付け New Electronics)
→Armの新しいFunctional Safety Partnership Programには、Green Hills Softwareとのコラボが含まれ、1997年以降Armのアーキテクチャーで協働の旨。機能安全性は、avionics, 車載, 産業及び鉄道応用向けの重要embeddedシステムで非常に重要な要素となる旨。

◇GLOBALFOUNDRIES brings enhanced security to 22FDX platform for connected systems-Arm, GlobalFoundries enhance security for 22FDX platform (10月11日付け New Electronics)
→specialtyファウンドリー、GLOBALFOUNDRIES(GF)がArmと協働、cellular IoT応用向けにFD-SOIベースのGFの22FDXプラットフォームでの安全確実なsystem-on-chip(SoC)ソリューションを提示の旨。

【Micronのインド開発センター】

Micron Technologyが、インド・Hyderabadにグローバル開発センターをオープンさせている。同社のグローバル拠点のトップの一角を担う期待があらわされている。

◇Micron Opens Global Development Center in India (10月6日付け EE Times)
→Micron Technologyが先週、Hyderabad, Indiaのkeyグローバル開発センターを正式オープン、向こう2-3年にわたって最大2,000人を採用する計画の旨。該イベントにて、Micronのpresident and chief executive officer(CEO)、Sanjay Mehrotra氏は、Micronグローバルのトップ3-4拠点の1つとなるようHyderabadが該開発センターに向けて人材と環境の最善の組み合わせを提示、としている旨。インドにおける人材の多様性がartificial intelligence(AI), machine learning(ML)およびemergingメモリにおけるブレイクスルーを引っ張ると期待の旨。

◇Micron Inaugurates New Facility in India-The company says its new facility in Hyderabad will become one of its top 3-4 sites globally. Separately, Microchip expanded in Chennai... (10月8日付け EE Times India)

【M&A関連】

M&A(企業の合併と買収)の現下の動きから、まずは不調に終わった1件。

◇AMS Takeover Bid of Osram fails (10月4日付け EE Times)
→センサspecialist、AMS AGが、Osram Light AGの$4.9 billion事業継承入札について失敗に終わった旨。

IoT推進で、Dialog Semiconductor(英国)がCreative Chips(ドイツ)を以下の通り買収している。

◇Dialog Continues IoT Push, Acquires Creative Chips for $80m (10月7日付け EE Times)
→Dialog Semiconductorが、internet of things(IoT) portfolioを強化する買収戦略を継続、本日、mixed signal IC developer、Creative Chips GmbHを$80mのcash支払い、加えて2020年および2021年の売上げ目標次第で$23 millionの条件で買収する意向を発表の旨。Frankfurtに近いBingenに本社、Dresdenにデザインセンターを加えているCreative Chipsは、産業および建設自動化システムメーカーに産業Ethernetなどmixed-signal製品の広範なportfolioを供給するファブレス半導体会社の旨。該買収により、Dialogのportfolioにindustrial IoT(IIoT)製品が加わる旨。

◇Dialog Semiconductor acquires Germany's Creative Chips-Dialog Semi purchases Creative Chips for IoT devices (10月7日付け Reuters)
→Dialog Semiconductor(英国)が、Creative Chips(ドイツ)を$80 millionプラス最大$23 millionを加える含みで買収に合意、該取引は今四半期の間に完了予定の旨。該買収により、Dialogはinternet of things(IoT)機器に向けた低電力connectivityが強化される旨。

高周波MEMS技術に向けて、Qorvo(米国)がCavendish Kinetics社(CK)(San Jose, CA)を買収している。

◇Qorvo Buys Cavendish Kinetics Outright-Qorvo acquires Cavendish Kinetics for RF MEMS tech (10月7日付け EE Times)
→RF specialist、Qorvo(米国)が、とりわけ5G handsetsのアンテナtuning応用向け高性能RF MEMS技術のプロバイダー、Cavendish Kinetics社(CK)(San Jose, CA)を買収の旨。この動きは、Qorvoの市場ポテンシャルを拡げるだけでなく、同社が1つの特定顧客、Appleに過剰依存という見られ方を和らげるのに役立つ旨。CKは、Qorvoがすでにかなり出資したprivately-held会社の旨。思い起こすにQorvoは、2015年にRFMDがTriQuintと合併して形成の旨。


≪グローバル雑学王−588≫

「巨竜」、ファーウェイの「帝国」の全貌について、巨大なタワマン社宅群、超豪華出張社員用ホテル、そしてカリスマ創業者、任正非CEOの横顔と前回見てきたが、

『ファーウェイと米中5G戦争』
 (近藤 大介 著:講談社+α新書 711−2 C) …2019年7月18日第一刷発行

より、4回に分けての2回目は、途上国の通信インフラ整備に端を発し世界最大の通信機器メーカーとなるファーウェイの発展経過、焦点のキーワード、5Gについて同社専門家とのQ&A、そして5万人が一度に食事可能な社員食堂、とそれぞれに興味深い内容である。米国が標的として取引禁止など乗り出さざるを得ないほどの技術の先進性そして拡大規模というものを、だんだんと知らされている。


第1章 「ファーウェイ帝国」の全貌 …4分の2

■途上国の通信インフラ整備から発展
・創業10年近く経った1996年、初めての海外進出に、ソ連崩壊後のロシアを選んだ
 →1998年に中央アジア、1999年にラテンアメリカ、2000年にアフリカ、2001年に中東……と、世界に進出
 →発展途上国の通信インフラ整備で、大きく発展を遂げていった
・2005年前後から、フランス、イギリス、オランダ、ドイツで、通信分野の受注や契約
 →特に、BT(British Terecom)と契約を交わしたことで、弾み
・ファーウェイ・ジャパンを設立したのも2005年
 →わずか20人で始め、いまでは7ヵ所で1050人もの社員、うち75%が日本での採用
・アメリカでは、1993年にシリコンバレーに半導体チップの研究所、1999年にダラスにも研究所
 →2002年、発展させる形で子会社、フューチャーウェイを設立
・2010年代に入ると、アメリカで逆風
 →2012年10月、下院情報特別委員会の報告書
 →「ファーウェイとZTEは、『スパイ企業』扱いに」
 →アメリカ企業に対して、2社との取引を控えるよう要請
・2015年、ファーウェイは、通信基地局やルータ、モデム、スイッチなど通信機器分野で、世界最大のメーカーに
・ファーウェイの現在の主な事業は、4分野
 →第1:通信事業者向けの通信基地局建設や機器の販売
  第2:一般企業向けの通信システムサービス
  第3:一般消費者向けのスマートフォンやパソコンの販売
  第4:クラウド事業
 →2018年の基地局の世界売上高、ファーウェイは2位、シェア26.0%
 →スマートフォン、2019年第一四半期世界出荷台数シェア、ファーウェイは2位、17%
・2018年の国際特許出願件数(WIPO[世界知的所有権機関]発表)
 →ファーウェイは5405件、ダントツ
・前述の「基本法」において、「売上げの10%を研究開発費に回すことを保証する」(第26条)と制定
 →2018年は売上げの14.1%、1015億元(約1.6兆円)
  …世界5位:トヨタの1.5倍以上
 →ファーウェイが出願した特許の多くが、5G関連
・ファーウェイの2018年売上高、19.5%増の7212億元(約11.3兆円)
 →純利益が25.1%増の593億元(約9310億円)、ともに過去最高
 →中国国内での売上げが51.6%、海外とほぼ半分
 →個人と法人もほぼ半々
・ファーウェイの会長職は輪番制
 →3人の副会長が順番に、任期はわずか6ヶ月
・絶対的な権限を持っているのは、創業者の任正非CEO
 →その意思を実行しているのが、長女の孟晩舟副会長兼CFO(最高財務責任者)
・任正非CEOは、中国が1978年に改革開放政策を始めて以降、最も成功を収めた中国人企業経営者
 →「BATH」…バイドゥ、アリババ、テンセント、ファーウェイ
  →米国・「GAFA」に対抗

■5Gの専門家に訊く
・ファーウェイ本社内F区の本部ビルにある「5Gパーク」
 →サプライヤ・マーケティング部の5Gの専門家とのQ&A
――5G時代をどう捉えているか?
 →2015年から5Gコアチップの開発を開始
 →2019年を『5G商用化元年』と捉え、1月に子会社、ハイシリコン(海思半導体)が、『Balong5000』を発表
 →現在、世界15万ヵ所以上に5G基地局を建設中
――5Gでは、提携企業とどのような開発を行っているのか?
 →『5G+8K』の開発をBOE(京東方科技集団)と共同
  …1993年に北京で創業した世界最大の液晶パネル製造企業
  →110インチの世界最大8Kテレビを開発
 →5Gを使ったVR(仮想現実)とAR(拡張現実)の世界でも世界で先行
  →日本のロボット事業の先駆者、川崎重工とも提携
 →5Gを駆使した養殖場を、ノルウェーのサーモン養殖場で始めたところ大成功
  →魚一匹一匹の体温や様子を仔細にAIが読み取り、必要な時に必要な場所に必要な量のエサを与えられる
――5G基地局に関してはどうか?
 →材料を徹底的に見直して軽量化、ケーブルの要らないマイクロ通信、かつ4G基地局の5G化成功
  →容量は、わずか20キロ、リュックサックでも持ち運べる
 →世界中で"ファーウェイの魔法使い"と言われている
――5Gを使ったIoT(物のインターネット)についてはどうか?
 →モデムチップ(モジュール)1個当たりの価格が10ドルだったのを、3ドル以下に
  →IoTの急速な普及が可能に
 →ハイシリコンは昨年10月、海外の技術に頼らないモバイル端末向けのAIチップ『Ascend(昇騰)310』を発表、今年量産
 →今年1月に発表したサーバ用チップ『Kunpeng(鯤鵬)920』
  →7-nmプロセス、32TB/チップ
――5月にアメリカがファーウェイを「エンティティ・リスト」(制裁対象リスト)に、今後、グーグルのOSアンドロイドや、アームのCPUが使えなくなる可能性
 →アメリカがいくら我々を包囲しようとしても、5Gには大きな影響は出ない
  →世界の5Gは、ファーウェイがいないと立ち行かない
 →グーグルのアンドロイド、もし今後更新されなくなっても、OSはオープンソース、引き続き使える
  →問題になるのは、海外向けのGメール、ユーチューブ、グーグルマップなどアプリの部分
  →EUなどの使用者が離れていってしまうことを懸念
  →中国国内は、グーグルのアプリを入れていないので影響ない
 →アームに関しては、今後の更新分は受けられなくなる可能性
  →自身で代替できるよう準備してきた
 →中国の14億市場はまったく問題ない
  →ファーウェイは中国国内の5G整備だけで大忙し
  →下半期に中国国内で5Gスマートフォン『Mate X』も発売
   …2万元(約31.4万円)以上の高価格帯になるが、必ずや人気を博すと自信
 →現在、アンドロイドの代わりになる独自のOS『鴻蒙(ホンメン)』を開発中、2019年秋に発表予定
・専門家は別れ際、耳元でぼそっと
 →「いまの状況はまだ最悪の事態でない。これから米中両国が本気で対立していったら、世界は大変なことになる」

■5万人が一度に食事可能
・ファーウェイ社内を歩いていて気づくこと
 →任正非CEOの経営哲学や思想が、各所に根づいている
・例えば、ランチタイムを非常に重視
 →5万人の社員全員が一度にランチを取れるようにしている
・F区にある社員食堂の1階
 →巨大なフロアは世界の地名で仕切り
  →ボルチモア、トロント、ワルシャワ、モスクワ、バーレーン、……
 →この社員食堂だけで6000人分を賄っていることに
 →支払いはスマホ決済か社員証を翳す
・特に充実している南米のワイン
 →こんな「都市伝説」:
  …今世紀に入って南米で通信システム事業に参入、資金がなく、通信機器と、彼らの特産品、ワインや牛肉などとを物々交換することに
・ファーウェイ名物の「5万人ランチ」は、実に壮観
 →まるで大学の学食にいるかのよう、「90後(ジウリンホウ)」(1990年代生まれ)の社員たち
・アメリカとの騒動以降、中国人社員の離職率はものすごく低い
 →唯一の欠点は、外国人のいい人材を確保しにくくなったこと(ファーウェイ中堅幹部)

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