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米中首脳会談を間近に控え、公聴会はじめ各社高まる一途の反対の声

対中制裁関税「第3弾」が6月15日に全面適用された中、Donald Trump米国大統領と習近平中国国家主席が6月18日、G-20大阪サミット(6月28-29日)での会談、およびその前の貿易交渉再開で合意している。米通商代表部(USTR)は6月17日からほぼすべての中国製品に制裁関税の対象を広げる「第4弾」に関して公聴会を開き、半導体業界も1つとしてHuaweiへの半導体販売継続がなぜ許可されるべきか、等々各社の訴えが展開されている。Huaweiも業績低下があらわれてきて見通しも下方修正され、制裁による予想以上の深刻な打撃となっている。Trump大統領の言う「優れた取引必要」の線に向けて、何らか歩み寄る打開に向けた落としどころへの道筋が期待されている。

≪さまざまな解決の訴え≫

米国が、対中制裁関税「第3弾」を全面適用、早々の混乱があらわれている。

◇米、対中関税「第3弾」を全面適用、米港湾は混乱も (6月15日付け 日経 電子版)
→トランプ米政権は15日、2千億ドル(約22兆円)分の中国製品に対する制裁関税「第3弾」を全面適用した旨。米国の港湾まで船で運ばれた製品すべてに25%を課す旨。制裁拡大に備えて在庫を積み増す駆け込み需要は旺盛だが、受け入れる港湾では混乱も広がる旨。17日からはほぼすべての輸入品が対象の「第4弾」関税の公聴会も始まり、長期化する米中対立に企業が翻弄されている旨。

米中首脳会談の模索が並行していたが、事態の推移を受けてか、Donald Trump米国大統領と習近平中国国家主席が、G-20大阪サミット(6月28-29日)での会談、およびその前の貿易交渉再開で合意している。関連する内容が以下の通り、株式市場も歓迎の上げを示している。

◇Trump says he and China's Xi spoke, will have 'extended meeting next week' at G-20-Xi, Trump to discuss trade at G-20 summit (6月18日付け CNBC)
→Donald Trump米国大統領とXi Jinping中国国家主席が、来週日本でのGroup of 20 summitにて会談する予定、White Houseは、両指導者が電話で話し合い、"公正で互恵的な経済関係を通して米国の農業関係者、workersおよびビジネスに向けて平等な機会を与える重要性を話し合った"と、している旨。

◇Trump and Xi Agree to Discuss Trade at Next Week's G-20 Summit in Japan -Amid tension over planned tariffs, prospect of high-level meeting spurs stock market (6月18日付け The Wall Street Journal)

◇Trump to have 'extended meeting' with Chinese leader-Trump to meet with China's Xi to discuss trade war (6月18日付け The Hill)
→Donald Trump大統領が火曜18日、中国の習近平(Xi Jinping)国家主席が来週のG-20サミット(大阪)での“extended meeting”に合意の旨。両国貿易戦争を終わらせる取引を模索する旨。

◇Chinese shares rise amid positive US-China trade development; yuan jumps-Trump, Xi meeting news boosts Asian-Pacific markets (6月19日付け CNBC/Reuters)
→Donald Trump米国大統領とXi Jinping中国国家主席が来週Group of 20 summitにて会談するという発表を受けて、水曜19日のAsian-Pacific株式市場が次の通り進展の旨。

日本・Nikkei 225(日経平均株価)
1.7%↑
香港・Hang Seng Index
2.4%↑
オーストラリア・S&P/ASX 200
1.2%↑
中国・Shanghai Composite
1%↑
韓国・Kospi
1.2%↑
インド・Sensex
0.2%↑

◇米中貿易交渉を再開へ、トランプ氏「優れた取引必要」 (6月19日付け 日経 電子版 06:16)
→トランプ米大統領は18日、中国の習近平(シー・ジンピン)国家主席と電話協議し、28〜29日に大阪で開く20カ国・地域首脳会議(G20サミット)に合わせて会談すると明らかにした旨。会談前に貿易交渉を再開する旨。トランプ氏は「優れた取引が必要」と述べて譲歩を促した旨。意見の隔たりは大きく対立緩和に向かうかは予断を許さない旨。トランプ氏は、両政府の担当者が19日から具体的な協議を再開すると説明。首脳会談の結果次第で、制裁関税の対象をほぼすべての中国製品に広げる「第4弾」の発動を先送りするかどうかは明言を避けた旨。

ほぼすべての中国製品に制裁関税の対象を広げる「第4弾」がちらつかされていることで、米通商代表部(USTR)が公聴会を開催、関連業界から悪影響、逆効果が訴えられている。米国Semiconductor Industry Association(SIA)からも証言が行われている。

◇Businesses plead to stop more China tariffs. They expect to be ignored (6月18日付け SILICON VALLEY BUSINESS JOURNAL)
→Trump政権が追加$300 billion相当の中国製品に対する関税を課さないよう説得しようと、いらだつビジネスownersが7日を過ごしている旨。大方は失望に備えている旨。ただ施行されていく関税に対する証言が行われたこれまで数回の公聴会を経て、多くのビジネスリーダーたちは懸念にも拘らずDonald Trump大統領がしたいことをするという考え方に忍従してきている旨。

◇対中関税第4弾の公聴会開始、米企業、適用除外求める (6月18日付け 日経 電子版 05:00)
→米通商代表部(USTR)は17日、中国製品に課す制裁関税「第4弾」の公聴会を始めた旨。初日は家電量販店や衣料品などを扱う企業の代表者が出席。
コスト上昇による悪影響が企業や消費者に及ぶと指摘し、自社が扱う製品に関税を適用しないよう求めた旨。USTRは7月上旬に意見公募を締め切り、トランプ大統領が最終判断する旨。

◇Tariffs to harm U.S. semiconductor sector: testimony-SIA: Tariffs on Chinese imports would hurt US companies (6月19日付け Xinhua News Agency (China))
→Semiconductor Industry Association(SIA)のexecutiveがOffice of the US Trade Representative(USTR)開催の公聴会にて証言、半導体およびIT製品に対して提案されている米国関税は、中国の業界よりも大きな損害をアメリカのメーカーに与えていく旨。「key consumer IT製品への関税が取り入れられると、米国IT業界にとっての経済的結果は大きな打撃を受けていくものになる。」と、SIAのdirector of global policy、Devi Keller氏。

◇対中関税公聴会、米HP「知財侵害対策に逆効果」 (6月19日付け 日経 電子版 06:49)
→米通商代表部(USTR)は18日、ほぼすべての中国製品に制裁関税の対象を広げる「第4弾」に関して2日目の公聴会を開いた旨。米HPはプリンターのインクやトナーに関税を課せば値上がりし、格安の模造品が有利になると指摘した旨。米政権が進める知的財産侵害の対策には「逆効果だ」と警告した旨。USTRは17日から公聴会を始め、2日目の18日はアルミニウムや印刷物、半導体、薬品などを扱う企業や業界団体の代表者が出席、それぞれ関税のもたらす悪影響を指摘し、自社製品に関税をかけないよう訴えた旨。

このような中、米国はHuaweiに加える格好で中国のスーパーコンピュータ大手に対して米国製品の輸出を禁ずる動きに出ている。以下の≪市場実態PickUp≫でも【スパコンTOP500】にて、現下の米中の拮抗ぶりがあらわされている。

◇米、中国スパコン大手を禁輸対象に、ハイテク圧力強化 (6月21日付け 日経 電子版 22:50)
→米商務省は21日、安全保障上懸念のある外国企業のリストに、中国政府の基幹システムを手掛けるスーパーコンピューター大手を追加すると明らかにした旨。米国製品の輸出を事実上禁じる旨。米国は5月に華為技術(ファーウェイ)も禁輸対象に加えるなど中国企業への圧力を強めている旨。米中ハイテク覇権争いが一段と激しくなりそうな旨。24日付で「エンティティー・リスト(EL)」に加えるのは、中国政府系のスパコン大手、曙光信息産業のほか、米半導体大手、アドバンスト・マイクロ・デバイス(AMD)と合弁を組むグループ会社など計5社。対象者に米国から製品を出荷したり、米国製品を他国から再輸出したりする場合は米商務省の許可が必要となり、申請は原則却下される旨。

昨年10月に行われたペンス副大統領の反中国演説は、以下の≪グローバル雑学王≫でも先立って注目したところであるが、このほど予定されていた同氏の演説が中止されている。刺激を避ける敏感なスタンスが伝わってくる。

◇ペンス米副大統領が中国演説中止、順調な首脳協議受け (6月22日付け ロイター 03:43)
→ペンス米副大統領が中国政策に関する演説を中止したことが、米政府当局者の話で分かった旨。米中首脳会談を来週に控え、緊張激化を回避したいとの思惑が働いた模様。ペンス氏は昨年10月の講演で中国の政策を手厳しく批判した経緯がある旨。

各社・各機関の米中摩擦、特にHuaweiに対する販売禁止措置について、エスカレートを避けるとともに緩和に向けた流れ、動きを切に願う声が引き続いている。

◇SEMI, 600 Other Companies Urge Trump Administration to Resolve US-Sino Trade Dispute (6月13日付け SEMI)
→SEMIが660の他の各社&団体とともに、新たな関税を課して中国との貿易係争をエスカレートさせないよう、そして打開策を交渉するよう本日letterでTrump政権に督促の旨。該letterは、Office of the United States Trade Representative(USTR)が来週公聴会を準備しており、半導体製造で用いられる製品を含んだ中国製品$300 billion相当に25%の関税を検討していることからきている旨。

◇Winbond reports uptick in demand-Winbond continues work on $11B fab, citing uptick in demand (6月15日付け The Taipei Times (Taiwan))
→Winbondのchairman、Arthur Chiao氏。米中貿易係争は短期的なものとして、同社には計画に大きな変化はない旨。

Intel、Qualcomm、Xilinx、Micronなど米国半導体メーカーからの働きかけである。

◇U.S. chipmakers quietly lobby to ease Huawei ban (6月16日付け Reuters)
→本件事情通筋発。QualcommおよびIntelなどHuawei向け米国半導体サプライヤが、Huaweiに対する販売禁止措置の緩和を米国政府に控え目に働きかけており、Huawei自身は政府働きかけを避けている旨。

◇Report: Intel and Xilinx are lobbying regulators to continue selling to Huawei (6月17日付け SILICON VALLEY BUSINESS JOURNAL)
→unnamed筋引用、Reuters発。主要半導体メーカー、Intel社, Xilinx社およびQualcomm社が、ブラックリストに載った中国のテレコム大手、Huaweiへのコンポーネント販売継続をCapitol Hillに静かに働きかけている旨。
5月後半に、Intel(Santa Clara)およびXilinx(San Jose)からの代表が米国商務省当局と会って、Huaweiへの半導体販売継続がなぜ許可されるべきか、議論の旨。

◇US ban takes toll on Huawei and its US memory and storage suppliers, IHS says-US companies reportedly lobby for relief from Huawei ban (6月17日付け DIGITIMES)
→IHS Markitが特に言及、アメリカのハイテクメーカーに対するHuawei Technologiesとのビジネスの米国政府による禁止措置が、Micron TechnologyおよびWestern Digitalなどのサプライヤに強い影響を与えている旨。Reuters発、Intel, QualcommおよびXilinxが制限削減に向けて商務省に控え目に働きかけている旨。

◇“ファーウェイ・ショック”直撃、半導体、戦略見直し (6月19日付け 日刊工業)
→世界の半導体大手は“華為技術(ファーウェイ)・ショック”で事業戦略の見直しを迫られている旨。米マイクロン・テクノロジーは広島工場(広島県東広島市)への投資計画を見直し、米ウエスタンデジタル(WD)もファーウェイとの取引を中止した旨。米国政府による中国通信機器最大手への輸出禁止措置は、スマートフォンや通信装置に使う半導体の需要も減少させ、各社のビジネスを大きく揺さぶっている旨。

PCメーカーからの反対の声である。

◇Dell, HP, Microsoft, Intel oppose proposed tariffs on laptops, tablets (6月20日付け Reuters)
→Dell Technologies社, HP社, Microsoft社およびIntel社が水曜19日、関税対象の中国製品の中でlaptop computersおよびタブレットを含めるDonald Trump米国大統領の提案に反対する旨。

アップルは、中国生産のうち15〜30%を海外に移転するようサプライチェーンに働きかけるとともに、制裁関税はライバルを利するものとして「第4弾」での対象除外を要望している。前回は除外された経緯がある。

◇Apple explores moving 15-30% of production capacity from China: Nikkei (6月19日付け Reuters)

◇アップル、中国への生産集中を回避、取引先に検討要請 (6月19日付け 日経 電子版)
→米アップルが主要取引先に対し、iPhoneなどの中国での集中生産を回避するよう要請したことが、19日分かった旨。アップル向けの中国生産のうち15〜30%を海外に移転するよう検討を促した旨。アップル製品の9割超は中国で生産され、調達額は10兆円を超える旨。

◇Apple warns Trump tariffs would hurt its competitiveness (6月20日付け SILICON VALLEY BUSINESS JOURNAL)
→Appleが警告、中国から米国へのiPhonesはじめ同社flagship製品の輸入に対する関税提案は、海外のライバルに有利に働いて片側に不公平な利益となり、アメリカ経済への同社のmultibillion-dollarの寄与を弱らせる旨。

◇アップル「競争相手を有利に」、対中関税第4弾で意見書 (6月21日付け 日経 電子版 02:32)
→トランプ米政権が検討を進める第4弾の対中制裁関税に対し、米アップルが米通商代表部(USTR)に意見書を提出したことが20日、明らかになった旨。アップルは原案に含まれるスマートフォンなどへの制裁関税について「アップルの競争力を損ない、世界の競争相手を有利にするものだ」と述べ、対象から除外するよう要望した旨。

現下の焦点のHuaweiについて、業績の急激な悪化とともに先行きの下方修正が以下の通りである。

◇Huawei smartphone sales hit amid US curbs-Huawei plans to cut output by $30B after US ban (6月17日付け BBC)
→Huaweiのfounder、Ren Zhengfei氏が、先月のスマートフォン販売高の40%急降下に対し、年間outputを$30 billionほど減らす旨。Huaweiは今時点、2019年売上げが約$100 billion、前回見通しの約$125 billionから下がる、と予測の旨。

◇ファーウェイ、スマホ海外販売4割減、減産4000万台 −米制裁で (6月17日付け 日経 電子版 20:00)
→中国通信機器最大手、華為技術(ファーウェイ)は17日、米国による制裁の影響で今後2年間は売上高が計画比で計約300億ドル(約3兆3千億円)減るとの見通しを明らかにした旨。主力のスマートフォンの世界販売は2019年に2割減となり、特に海外販売が4割減と大きく落ち込み、年間4000万台の減産が見込まれる旨。多くの部品を米国や日本など海外に依存しており今後、世界のサプライチェーン(供給網)にも大きな影響を与える旨。

◇ファーウェイ業績見通し下方修正、「米制裁が予想以上に打撃」 (6月18日付け ロイター)
→中国通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)の任正非(Ren Zhengfei)最高経営責任者(CEO)は17日、米国による制裁が予想以上に効いていると認めた上で、今年と来年の売上高見通しを約1000億ドルに下方修正した旨。これまでは今年の売上高が1250億〜1300億ドルと約20%増加すると見込んでおり、米制裁による売り上げへの影響が300億ドル相当に達すると判断した旨。昨年の実績は19.5%増の約1040億ドル(7212億元)。

米国はHuaweiの排除を欧州にも働きかけているが、それには組しない動きが見られている。

◇5G、欧州で商用化続々、基地局、ファーウェイ存在感、ボーダフォンも一部採用 (6月17日付け 日経産業)
→欧州各国で次世代通信「5G」の商用化が相次いでいる旨。英国では携帯最大手、EE(British Telecommunications[BT]傘下)がロンドンなどでサービスを始めたほか、ボーダフォン・グループも7月に予定する旨。通信インフラの一部には、中国の通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)を採用する企業が少なくない旨。米国は排除を各国に働きかけるが、欧州ではすでに同社製品による5Gが動き出している旨。

◇ハンガリー、ファーウェイを脅威と見なす根拠ない=閣僚 (6月21日付け ロイター)
→ハンガリーのパルコビチ技術革新・技術相は20日、同国は中国の通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)が安全保障上の脅威であることを示す証拠は得ていないと述べ、同社を他社と同様に扱う考えを示した旨。米国をはじめとする一部の欧米諸国はファーウェイ製の機器が情報収集活動に使われる可能性について警戒感をあらわにしてきた旨。ファーウェイは情報活動への関与を否定している旨。米政府は特に、ハンガリーとポーランドにおけるファーウェイの事業拡大を問題視している旨。

ドイツは、Huaweiには念押しのスタンスとなっている。

◇独経済相、ファーウェイCEOと会談、5Gの安全基準クリア求める (6月21日付け ロイター)
→ドイツのアルトマイヤー経済相は21日、国内の第5世代(5G)移動通信網整備を巡り、中国の通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)が安全基準を満たすことを求めると述べた旨。

台湾のIC design housesにはHuaweiからの発注増が見込まれている。

◇Taiwan IC design houses to see Huawei orders ramp up-Sources: US Huawei ban bodes well for Taiwan IC design firms (6月21日付け DIGITIMES)
→業界筋発。Huawei TechnologiesはQualcommなどアメリカ半導体ベンダーへの依存を減らす必要があり、台湾のIC design housesには2019年後半の間利益を被りそうな要因の旨。MediaTekなど台湾の半導体サプライヤは、その包囲された中国メーカーからより多くの発注を得ていく、と特に言及の旨。

依然蓋を開けてみないとわからない予断を許さない情勢続きであるが、中国でのテレビ映画放送で以下「風向きが変わったか」との話題である。その通りの歩み寄りとなるかどうか。

◇トランプ・習電話協議で風向き変化?「抗米」映画から一転、米中兵士のロマンス映画放映 (6月19日付け 毎日新聞 20:06)
→米中首脳による18日の電話協議から一夜明けた19日、中国中央テレビ(CCTV)の映画専門チャンネルが、日中戦争での米中兵士の協力と恋を描いた映画を急きょ放映し、国内で「風向きが変わったか」と話題になっている旨。同じチャンネルは5月に米中の貿易戦争が深刻さを増した後、朝鮮戦争を題材とした「抗米」映画を集中放送していた旨。


≪市場実態PickUp≫

【2018年国籍別半導体販売高】

IC Insightsより、昨年2018年のグローバル半導体販売高のheadquartersがある国籍別比率データがあらわされている。米国が52%と圧倒的なシェア、対して我が国は7%、改めての極端な推移を感じ取っている。

◇U.S. Companies Dominate Worldwide IC Marketshare-China and Taiwan companies register double-digit shares in the fabless segment but very low shares of the IDM IC segment. (6月18日付け IC Insights)

◇US companies dominate 2018 IC sales, says IC Insights-IC Insights: 2018 chip sales led by American firms (6月19日付け DIGITIMES)
→IC Insights評価。米国にheadquartersをもつ半導体メーカーが、昨年のグローバル半導体販売高の52%を占めた旨。韓国の半導体メーカーが27%の旨。続いて、日本 7%、欧州 6%、台湾 6%、中国。

◇U.S. Firms Still Dominate Chip Market Share (6月20日付け EE Times)

【Samsungの非メモリの取り組み】

前回、Samsungのファウンドリー事業部門、Samsung Foundryが、AMDに続いてこんどはInfineonと連携、対応の幅を広げている、とあらわしたばかりであるが、またまた、CPU供給不足に悩むインテルからのアプローチが以下の通りである。TSMCでない点、注目である。

◇Samsung to produce Intel's 14m Rocket Lake CPUs to ease shortage-Intel reportedly will have Samsung make 14nm Rocket Lake CPUs-Firms are are 'final stages' of negotiating a deal (6月18日付け The Inquirer (U.K.))
→Intelが、PC市場を引き続き悩ませているCPU不足を緩和すべく、ある14-nm生産の肩代わりでSamsungを誘い込みの旨。韓国のwebsite、SeDailyは、IntelとSamsungが交渉取引の"最終段階"にあると報じており、2020年末にmini-PCsに向けられているIntelの14-nm Rocket Lake CPUsの量産が始められる旨。

◇A Big Boost for Samsung's Foundry Business-Why Did Intel Choose Samsung Electronics as Its Foundry Service Provider Instead of TSMC? (6月18日付け Business Korea)
→昨年からcentral processing units(CPUs)供給不足に苦しんでいるIntelが、ファウンドリーサービスプロバイダーとして世界最大のファウンドリーメーカー、TSMCではなくSamsung Electronicsを選択の旨。エキスパート筋は、Qualcomm, NVIDIAおよびIBMに次いでこのほどもう1つmega customerを獲得のSamsung Electronicsは、2030年までに世界最大のnon-memory半導体メーカーになれるとしている旨。

Samsungの非メモリへの体質強化にファウンドリー連携そしてM&Aが挙がってくる様相である。

◇Samsung's system chip head says M&As needed for non-memory goal-Samsung exec sees non-memory growth coming through M&A (6月18日付け The Korea Herald (Seoul))
→Samsung Electronicsのsystem LSI事業、presidentを務めるKang In-yup氏。同社は、mergers and acquisitions(M&As)によるnon-memory半導体事業の拡大にオープンである旨。「この分野でトッププレーヤーになるのに組織的成長に期待するのは不可能。」と同氏。

【スパコンTOP500】

年2回春秋注目のスーパーコンピュータ処理性能ランキング「TOP500」が、「International Supercomputing Conference 2019(ISC 2019)」において6月17日(独時間)、53回目となる2019年6月版が発表されている。今回、1993年の開始以来、初めてペタフロップスの性能を備えるシステムのみがTOP500にランクインしている。現在、TOP500に名を連ねるには、最低でも1.022ペタフロップスの性能が必要とのこと。米中ハイテク技術摩擦を象徴するデータの1つであるが、今回は米国が首位を維持している。

◇スパコン世界ランク、米3連覇、日本は「ABCI」8位が最高 (6月17日付け 産経新聞)
→スーパーコンピュータの計算速度の世界ランキング「TOP500」が17日発表され、米国が3連覇を果たした旨。日本からは産業技術総合研究所の「AI橋渡しクラウド(AI Bridging Cloud Infrastructure:ABCI)」(千葉県柏市)が前回から順位を1つ落として8位に入った旨。
トップ10および我が国関連、以下の通り。1位から3位はいずれも昨年11月の前回発表と同じ。10位以内に入った新機種は5位の米テキサス大の「フロンテラ」のみ。

(1)米オークリッジ国立研究所「サミット」
14京8600兆回
(2)米ローレンスリバモア国立研究所「シエラ」
9京4640兆回
(3)中国・無錫スパコンセンター「神威太湖之光」
9京3014兆回
(4)中国・広州スパコンセンター「天河2A」
6京1444兆回
(5)米テキサス大学「フロンテラ」
2京3516兆回
(6)スイス・国立スパコンセンター「ピーツ・ダイント」
2京1230兆回
(7)米ロスアラモス国立研究所「トリニティー」
2京 158兆回
(8)産業技術総合研究所「AI橋渡しクラウド(ABCI)」
1京9880兆回
(9)独ライプニッツ研究センター「スーパーMUC-NG」
1京9476兆回
(10)米ローレンスリバモア国立研究所「ラッセン」
1京8200兆回
(16)東京大・筑波大「オークフォレスト・パックス」
1京3554兆回
(20)理化学研究所「京」
1京 510兆回

※計算速度は、1秒間の浮動小数点計算回数、京は1兆の1万倍

◇TOP500 Becomes a Petaflop Club for Supercomputers (6月17日付け TOP500 Supercomputers Sites)
→スーパーコンピュータTOP500の該53版、該リスト26年の歴史を刻む旨。初めてのこと、500システムすべてでHigh Performance Linpack(HPL)ベンチマークにて1 petaflop以上となっている旨。
エネルギー効率でのGreen500からトップ5:

1. Shoubu system B
17.6 gigaflops/watt
2. NvidiaのDGX SaturnV Voltaシステム
15.1 gigaflops/watt
3. Summit
14.7 gigaflops/watt
4. AI Bridging Cloud Infrastructure(ABCI)
14.4 gigaflops/watt
5. MareNostrum P9 CTE cluster
14.1 gigaflops/watt

【AI半導体】

AI関連半導体の打ち上げが続いており、Renesas Electronicsからの低電力AI acceleratorが次の通り。

◇AI accelerator achieves both CNN processing speeds and reduced power consumption-Renesas debuts low-power AI accelerator with faster speeds (6月14日付け New Electronics)
→Renesas Electronicsが、convolutional neural network(CNN)データ処理を早める一方、電力消費の少ないartificial intelligence(AI) accelerator半導体を提示、該半導体はprocessing-in-memoryアーキテクチャー搭載の旨。

Habana Labs(イスラエル)の1,650 images/secの処理が行えるというAI Training半導体である。

◇Habana Debuts Record-Breaking AI Training Chip-Habana unveils an AI training chip with faster processing (6月17日付け EE Times)
→Habana Labs(Tel-Aviv, Israel)が、Gaudi AI training半導体を投入、1,650 images/secの処理が行える旨。該半導体は、RoCE(remote direct memory access over Converged Ethernet)通信技術を使用の旨。

◇Record-Breaking AI Training Chip Debuted by Habana-Habana Labs chip claims industry-best throughput on ResNet-50 training, includes on-chip RoCE communications for scalability (6月18日付け EE Times India)

Xilinxが、同社adaptive compute accelerationプラットフォームに向けたAIコアを出荷している。

◇Xilinx ships its Versal AI Core, Versal Prime, key parts of its adaptive compute acceleration platform-Xilinx offers Versal AI Core, Versal Prime devices-Versal is Xilinx's effort to rewrite compute for artificial intelligence and machine learning. (6月18日付け ZDNet)
→XilinxからのVersal AI CoreおよびVersal Primeプロセッサが現在、artificial intelligence(AI)およびmachine learning(ML)応用向けに出荷されている旨。該デバイスは、同社のデータセンター向けadaptive compute accelerationプラットフォームにおける先陣となる旨。

【Robocars】

プログラム制御により走る、曲がる、止まる等の制御が可能な自動運転を開発するための車両プラットフォーム(ロボットカー)とされているRobocarsについて、目に留まった関連記事が以下の通り。実用化へのステップ、距離感を考えるところがある。

◇Let's Cut the Hype About Robocars-Nine things to know about AVs today (6月18日付け EE Times)
→NXPの先週のイベントでのパネル討議、“Self-Driving Cars: What's the Payoff for Carmakers?”より今日の自動運転について9点:
 1. Why do we need highly automated vehicles?
 2. This is about the automotive industry's survival.
 3. AVs are still decades away from driving a vehicle at the same level as humans.
 4. The Uber fatality and Tesla accidents cast a long shadow.
 5. To justify AVs on public roads, AVs must be 10 times safer.
 6. There will be no payoff for the AV industry before 2025.
 7. There will be losers.
 8. Level 5 cars will largely remain an academic concept.
 9. Is there an opportunity to try less safe AVs on the road?

◇2 Chinese self-driving car startups win permits for robotaxis in Silicon Valley (6月20日付け SILICON VALLEY BUSINESS JOURNAL)
→シリコンバレーの通勤者はまもなく、一対の中国のstartupsからのrobotaxi乗車を迎えられる旨。中国のbest-funded autonomous driving startupsの1つ、AutoXおよび前Baidu executivesが共同創設したPony.aiが、カリフォルニアでのrobotaxiサービスの提示が許される2番目および3番目の会社の旨。もう1つはZoox社(Foster City)で、約6ヶ月前に許可を得た旨。

◇Robocars: HD Mapping & Data Ownership (6月21日付け EE Times India)
→HD(High Definition) mappingは利便性ではなく、AVs, car OEMsおよびハイテクメーカーには非常に重要となる旨。データownershipに向けて行われるいちかばちかのゲームというものがある旨。


≪グローバル雑学王−572≫

元陸上自衛隊陸将の筆者ならではの目で、米中経済戦争について米国がいかに戦っているのか、

『軍事的視点で読み解く 米中経済戦争』
 (福山 隆 著:ワニブックス「PLUS」新書) …2019年3月25日 初版発行

より4回にわたって分析&見方が展開されていく。世界覇権(パクス・アメリカーナ)の回復・維持に向けて、強大な権限を発揮するトランプ大統領が引っ張る米国政府の経済戦争遂行体制、そして経済戦争計画について米国の取り組みの骨子があらわされている。著者が続けてまとめた米国の経済戦争計画の骨子の方がより具体的な内容となっている。


第四章 米国は対中経済戦争をいかに戦っているのか …4分の1

〓参考になる戦史は、大東亜戦争開始までの日米交渉(交渉失敗例)とキューバ危機(交渉成功例)

□トランプ陣営の道標
・米中経済戦争を行う上で「道標になるもの」
 →筆者が役に立つのではないかと思う2つの戦史
  …戦争を回避できた例としてのキューバ危機
  …戦争を回避できず、結果としては米国の陰謀により開戦に誘導された大東亜戦争(日本側から見て)
・1962年のキューバ危機
 →米ソの対立が核戦争の危機へと向かった事例
 →米中経済戦争の道標になるポイント
  (1)トランプと習の「平和的解決」に向けた強い信念とリーダーシップの重要性
  (2)誤解を生まないための対話の枠組み
  (3)強硬派(特に米中の軍部)の抑え込み
  (4)全権代表による「落としどころ」の模索と交渉による合意への到達
  (5)不測・偶発事態への対処
・米国(トルーマン)が圧倒的に日本を上回って、主導権を持って日米交渉を行った日米戦争(大東亜戦争)
 →米国にとって、大東亜戦争が米中経済戦争の道標になるポイント
  (1)主導権を握っていかなる方向に中国を誘導し最終的な目的・目標を達成するか
  (2)そのために、経済戦争の次にいかなる選択肢を選び、中国を挑発するのか
  (3)貿易・経済から軍事にエスカレートする場合の対処要領

〓米国政府の経済戦争遂行体制

□最高総司令官・トランプの強大な権限
・合衆国憲法の第2条第2節
 →「大統領は、合衆国の陸海軍および合衆国の軍務に実際に就くため召集された各州の民兵の最高司令官である」
  →大統領は、合衆国軍の最高司令官(Commander-in-Chief)としての指揮権を持っている
  →外交政策の遂行は、実質的に大統領が一手に引き受けている
 →対中経済戦争はもとより、エスカレートする場合も、トランプは大統領の権限で十分に対処できる
・米朝首脳会談実現で見せたトランプの独断専行・トップダウンの政策決定
 →米中経済戦争においてもトランプの影響力は大きいと思われる
 →パクス・アメリカーナを再興しようと努力している点では、米国の歴史に名を遺す大統領となるであろう
・トランプは議会対応が幾分困難になる可能性も
 →だが、民主党はもとより、米議会は超党派的にトランプの対中国強硬政策を支持するように変化したのは事実

□米中経済戦争の道筋を決める場は国家安全保障会議
・米中経済戦争の道筋を決める場は、国家安全保障会議(National Security Council:NSC)が主体に
 →今回の経済分野をメインとする経済戦争では、ムニューシン財務長官はじめ該会議メンバーが何らかの形で重用されるであろう
・クドロー国家経済会議委員長、ムニューシン財務長官、ロス商務長官、ライトハイザー通商代表、ナヴァロ通商製造業政策局長
 →2018年5月3日に北京を訪問、中国の劉鶴国務院副総理らと通商協議、その後17日からワシントンDCでの第2回通商協議
 →トランプを中心に、これらの閣僚らが織り成す人間関係や強烈な個性・思想に基づく主張がどのように展開されるのか見もの
・さらには軍事分野へと事態がエスカレートする場合は、CIAや軍の幹部が占める役割が増大へ
・このたびの米中経済戦争においては、米政府内の軍事・非軍事の多岐にわたる行政組織がコミットすることに
・政権内では数少ない国際協調派・良識派で政権の暴走を制御してきたマティス国防長官、そしてケリー大統領首席補佐官も退任
 →2人の辞任は、事態がさらに悪化し、緊張が高まる方向に作用するかも

〓米国の経済戦争計画の骨子

・米国の地政学に由来する「米国の基本戦略」5項目(ジョージ・フリードマン『100年予測』から)
 →(1)米国陸軍が北米を完全に支配すること
  (2)米国を脅かす強国を西半球(中南米)に存在させないこと
  (3)侵略の可能性を排除するため、米国への(太平洋・大西洋からの)海上接近経路を米海軍が完全に支配すること
  (4)米国の物理的安全と国際貿易体制の支配を確保するため、世界の全海洋を支配すること
  (5)いかなる国にも米国のグローバルな海軍力に挑戦させないこと

□著者が考える米国の経済戦争計画の骨子
 …筆者が大胆に書いてみた「対中国経済戦争計画」の骨子
1 情勢認識
 (1)中国の習近平政権は、米国の覇権に挑戦する姿勢を顕わに
 (2)中国は、富国強兵政策を推進…「一帯一路」と「中国製造2025」が柱
 (3)中国は、先進技術分野で世界をリード、新たな産業革命の振興により「右肩上がり」の経済発展を目指す
 (4)中国は、米国をはじめとする先進国の技術を盗用、世界のトップに立とうとしている
  →米国の「安全保障上の脅威」とも
2 米国の対処方針――経済戦争
 (1)米国の経済戦争の目的・目標は、「中国の経済・軍事・科学技術の台 頭を抑え込み、ひいては習近平の中国共産党を弱体化し崩壊させるこ と」
  →中国の挑戦を退け、世界覇権(パクス・アメリカーナ)を維持・継続すること
  →非軍事的な手段を主体に中国にダメージを与え、国力を削ぎ、米国の覇権に対する挑戦の意思を放棄させる
 (2)目的は、あくまでも中国の企図(米国の覇権に挑戦)を挫くこと
 (3)米国はあらゆる方策を講じて、中国のハイテク覇権奪取を阻止し、米国のハイテク覇権を維持しなければならない
3 実行すべき具体策
 (1)情報・謀略戦、外交戦、軍事的な圧力など多角的に準備・実行
 (2)米中経済戦争は、常に微妙なさじ加減、「trial and error(試行錯誤)」を繰り返す必要
 (3)中国を1つに結びつけているものはイデオロギーではなく金(カネ)
  →中国では、経済戦争による景気の悪化で政情不安が広がる可能性が高い
  →米国としては、中国共産党政権に対するデリケートな配慮も必要
 (4)「対中国経済戦争計画」は、トランプ大統領の政治スケジュールと吻合されるべき
  →計画の期間は、中国建国100周年の2049年までを視野に
 (5)習近平政権の至高の目標・価値は、自己の保身と中国共産党の生き残り
  →脅かされる場合は、強硬策にエスカレートする恐れ、米国は、事態の悪化を回避すべき
 (6)しかし、万一事態がエスカレートした場合の備え
  →シナリオ別の対処計画を策定、軍事作戦へのエスカレート回避、偶発的衝突事態回避への構築

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