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貿易摩擦が覆う市場後退懸念が増す一途、半導体業界&各社の対応

我が国では8月お盆休みの最中、米中貿易戦争は通貨安競争そして香港での暴動の局面が加わって、それぞれの切り口での応酬、駆け引きが高まっていく様相を呈している。日韓摩擦の方は、韓国が日本を輸出管理の優遇対象から除外すると反撃の一方、韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領は光復節での演説で「日本が対話なら協力」と批判のトーンをぐっと抑制した様変わりを見せている。このような空気が覆っては市場の好材料が見られるわけがなく、欧米景気の後退懸念が市場を揺らしており、ドイツの4-6月GDPにもあらわれている。半導体業界および各社において、摩擦被害の軽減そして5Gが特に注目材料、新分野への取り組みへの対応が引き続き熱を帯びてきている。

≪高まる景気後退懸念への警戒≫

米中貿易戦争関連の動きに基本時間順序に以下注目していく。

中国の反応、仕返しの構図である。

◇China's Xi gets tougher on Trump after new tariff threat-China hits back at US after Trump's latest tariff threat (8月12日付け The Associated Press)
→米ドルに対して人民元を安くして大豆購入のbillions of dollarsを打ち消し、米国の会社に対する法的規制を課して脅威を与えて、中国が、Donald Trump大統領のさらなる関税の最新の脅威に反応の旨。エコノミストは中国の強い反応をwarning shotと呼んでいる旨。

米国での関税徴収の実情データである。

◇U.S. businesses paying record amounts in Trump tariffs-US companies to pay $81B in tariffs, almost double 2018's level (8月12日付け The Atlanta Journal-Constitution)
→中国はじめ海外製品を輸入するアメリカの会社から集める金額が引き続き記録的な水準に伸びており、Trump政権は今や2019年の関税徴収を$81 billionと予想、前年の輸入税$41.3 billionのほぼ倍の旨。

中国の元安容認のスタンスが続いている。

◇人民元、11年5カ月ぶり安値更新、基準値は8日続落−一時7.07元台 (8月12日付け 日経 電子版 18:08)
→中国の通貨・人民元は12日の上海外国為替市場で一時1ドル=7.0707元まで元安・ドル高が進み、2008年3月以来、11年5カ月ぶりの安値を更新した旨。中国人民銀行(中央銀行)は12日朝、取引の目安となる基準値を7.0211元に設定した旨。基準値としては8営業日続けての元安。当局が緩やかな元安を容認しているとの見方が一段と強まった旨。

消費者への影響を考慮、Trump政権が追加関税「第4弾」の発動についてスマホなどconsumer製品への関税適用を遅らせている。

◇Trump delays tariffs on Chinese cellphones, laptops, toys; markets jump (8月13日付け Reuters)
→Trump政権が、holiday shopping seasonの間の米国消費者およびビジネスに損害を与える懸念に対応、中国製品約$156 billionについての関税適用日を遅らせる旨。laptops, video games, スマートフォン, toysなどconsumer製品への関税は、9月1日でなく12月15日に発効する旨。

◇U.S. Retreats on Chinese Tariff Threats, Stocks Soar-Some tariffs to be delayed until Dec. 15 on items including smartphones, laptop computers and toys (8月13日付け The Wall Street Journal)

◇U.S. to delay some tariffs on China (8月13日付け SILICON VALLEY BUSINESS JOURNAL)
→Trump政権が火曜13日、9月1日付けで新たな関税を課す計画の中国製品リストを狭めており、携帯電話、laptop computers, toysなどの製品への賦課を遅らせ、いろいろな理由で他の製品に向けての除外を発表の旨。

◇米の対中関税第4弾、スマホなど12月に発動先送り (8月13日付け 日経 電子版 23:16)
→米通商代表部(USTR)は13日、ほぼすべての中国製品に制裁関税を広げる「第4弾」について、スマートフォンやノートパソコン、玩具など特定品目の発動を12月15日に先送りすると発表、第4弾の関税自体は予定通り9月1日に発動するが、代表的な消費財を当面除外することで米消費者への影響を抑える旨。
約3千億ドル(約32兆円)分の中国製品を対象としていた第4弾は消費財が4割を占めており、実際に発動すれば米国の個人消費や中国を中心としたサプライチェーン(供給網)への影響が甚大。主要品目の発動を12月に延期することで、米中両政府には協議の余地が生まれる旨。

米中双方へのインパクトが、当然のこと、以下いろいろな切り口で拡大&継続している。

◇NYダウ続落、391ドル安、景気減速懸念強まる (8月13日付け 日経 電子版 05:30)
→12日の米株式市場でダウ工業株30種平均は続落し、前週末比391ドル(1.5%)安の2万5896ドル44セントで取引を終えた旨。取引時間中には一時462ドル安まで下げる場面もあった旨。米中貿易戦争の激化で景気減速への懸念が強まり、株が売られた旨。香港のデモの収束が見えないことも投資家心理の悪化につながった旨。

◇忍びよる米農業不況、米中摩擦が世界の農産物需給変える (8月13日付け 日経 電子版 05:44)
→米中貿易摩擦の激化がトランプ米大統領の票田である米農家を崖っぷちに追い込んでいる旨。関税への対抗措置として米農産物の輸入停止を決めた中国にはブラジルやロシアなどの農業大国が接近し、供給の拡大を通して商品価格に下押し圧力をかける旨。終わりの見えない米中の経済戦争は世界の農産物需給を揺さぶり、トランプ氏の2020年大統領選の戦略にも影を落としている旨。

◇中国新車販売、過去最悪ペース、通年で2ケタ減も (8月13日付け 日経 電子版 23:07)
→中国の新車市場が1年以上にわたり、前年実績を割り込む異常事態が続いている旨。中国汽車工業協会が12日に発表した7月の新車販売台数は前年同月比4.3%減となり、13カ月連続でマイナスとなった旨。2019年は通年で前年割れは確実で、過去最悪の2ケタ減の可能性もある旨。下半期の巻き返しがカギだが、株価は足元で落ち込み、政策もちぐはぐさが目立ち、復活の道筋は立っていない旨。

◇Trump Says Fed Should Cut Rates as Global Growth Concerns Jar Markets-President blames Fed for economy's signs of weakness-President's comments come as stocks on Wall Street drop sharply (8月14日付け The Wall Street Journal)
→Donald Trump大統領が、グローバル成長懸念はFederal Reserveの(金利を下げなかった)過失、とツイート、アナリストたちは、該経済低迷はTrump氏の予想できない通商政策の結果である様相、としている旨。

◇U.S. industrial production slumps in July-Drop in US industrial output surprises economists (8月15日付け MarketWatch)
→Federal Reserve発。先月の米国工業生産が0.2%減、エコノミスト予測0.2%増を外している旨。一方、工場、utilitiesおよびminesで用いられるcapacity稼働率は77.5%、2017年10月以来の最低figureの旨。

◇中国製造業、海外移転の波、上場30社超が表明 (8月16日付け 日経 電子版 06:01)
→中国製造業の海外移転が中堅企業にも広がっている旨。2018年夏以降、海外への生産移転や増産を表明した上場企業は30社を超え、売上高100億元(約1500億円)未満が8割を占めた旨。米国との貿易戦争に収束の兆しがみえないなか、米アップルなど外資企業に続いて中国勢も対応を加速し始めた旨。

難局打開への足取りの重さが受け取れる以下の内容である。

◇Silicon Valley stocks flash red as Dow posts worst day of 2019 (8月14日付け SILICON VALLEY BUSINESS JOURNAL)
→シリコンバレー最大手各社の株価が水曜14日、Dow Jones Industrial Averageが2019年最悪の日で引けて、急激に低下の旨。

◇Global economic trouble is brewing, and the trade war is only part of it (8月14日付け SILICON VALLEY BUSINESS JOURNAL)
→24時間を下回る時間範囲で、WashingtonおよびWall Streetでの展開が真に迫ったメッセージを送っている旨。世界は、単に大統領のtweetでは直せない種類の経済的難局にゆっくり歩んでいる旨。

◇中国工業生産、伸び率10年半ぶり低水準、7月4.8%増−自動車など不振 (8月14日付け 日経 電子版 12:53)
→中国国家統計局が14日発表した7月の主な経済統計によると、工業生産は前年同月比4.8%増えた旨。伸び率は6月(同6.3%増)から大幅に縮小し、およそ10年半ぶりの低水準となった旨。自動車や化学製品、非鉄金属の生産が振るわなかった旨。
工業生産は6月に回復したが、7月は再び大幅に鈍化、米国との貿易戦争で主に外資企業が海外に生産拠点を移転している影響が出始めた可能性がある旨。

◇米中協議、「第4弾」先送りで猶予、合意なお険しく (8月14日付け 日経 電子版 08:50)
→トランプ米政権が対中制裁関税「第4弾」について主要製品の発動を12月に先送りした旨。米中が貿易問題で話し合う猶予が3カ月できた格好だが、中国の構造問題や関税の扱いを巡って溝は深い旨。2020年の米大統領選や中国の建国70周年など両首脳にとって弱腰姿勢をみせられない政治環境が続き、合意に向けた道のりはなお厳しい旨。

特に香港での暴動を巡って、新たな米中応酬が加わっている。

◇Trump ties China trade deal to 'humane' Hong Kong resolution after troop buildup worry-Trump links China trade deal to resolution of Hong Kong turmoil (8月15日付け Reuters)
→Donald Trump大統領は、今後の貿易合意を香港における反政府活動に"人間らしく"対応する中国の姿勢と結びつけている旨。Trump氏のコメントは、香港の国境に沿った中国の準軍事的な力の動きについて米国が"深く懸念している"と国務省spokeswomanが述べた後に、出てきている旨。

◇米、香港デモで中国に自制求める、貿易協議に影響懸念 (8月15日付け 日経 電子版 19:30)
→トランプ米政権が香港のデモ活動への対応で中国政府に自制を求めている旨。トランプ大統領は14日に「人道的に対処すべきだ」と強調し、中国政府の力によるデモ鎮圧を2日連続で牽制した旨。デモ隊に死者が出るような事態が起きれば、米中貿易協議の進展が見込めなくなると懸念している模様。米政権は強権的統治を進める中国への懸念を強め、人権重視などを共有してきた香港の行方に神経をとがらせる旨。

◇China softens stance on trade after saying it has to take counter-measures to US tariffs-China sends mixed signals on how it will approach US (8月15日付け CNBC)
→中国は貿易問題について"米国と歩み寄る"ことを希望、と木曜15日、中国外務省のspokesperson。該ステートメントは、中国がDonald Trump大統領の最新の関税脅威に対して中国は必要な対策をとらなければならないとした後、出てきている旨。

◇Trump's Re-Election Now at the Mercy of a Slowing Economy-Economic issues could impact Trump's reelection potential (8月15日付け Bloomberg)
→落ち着きのないグローバル経済、複数の中央銀行の利下げ、そしてDonald Trump大統領の関税一時中止に伴う鈍い回復、これらすべて来る景気低迷の可能性を示している旨。力強い経済が同氏支持の主要な属性であり、Trump氏の再選の可能性を害する可能性の旨。

◇トランプ氏、習氏と近く電話協議、「香港で暴力回避を」 (8月16日付け 日経 電子版 06:01)
→トランプ米大統領は15日、香港での「逃亡犯条例」の改正案をきっかけにした抗議活動について「(中国政府の)暴力による鎮圧は見たくない」と強調した旨。香港情勢をめぐって中国の習近平(シー・ジンピン)国家主席と近く電話協議するとも明らかにした旨。
中国政府が米国の制裁関税「第4弾」に対抗措置をとる方針を示したことに関して「中国は報復しないと思う」と主張、もし中国が報復した場合「米国は(制裁を)強化できる」と指摘し、中国を牽制した旨。

次に、日韓摩擦関連の動きであるが、まずは、韓国の輸出状況。半導体はじめ大きく落ち込んで然りの環境ではある。

◇輸出9カ月連続で前年より減少…半導体34%減 (8月12日付け 韓国・中央日報)
→韓国・関税庁、12日発。今月1〜10日の輸出は$11.5 billionで、前年同期比22.1%減。操業日数は8日で昨年より0.5日少なく、これを考慮した1日平均輸出額は17.2%減少した旨。異変がない限り今月も輸出が前年より減少し、9カ月連続で輸出が「マイナス」行進を続ける見込み。今月の輸出も半導体や対中国輸出などの不振を振り切れず、減少傾向でスタートを切った旨。品目別では韓国の輸出の5分の1ほどを占める半導体が引き続き下り坂。半導体輸出は前年同月比34.2%も減少した旨。

韓国は、日本を輸出管理の優遇対象から除外するとまさに反撃措置である。

◇S. Korea removes Japan from trusted trade list in tit-for-tat action-Japan is no longer on S. Korea's trusted trade partner list (8月12日付け Pulse by Maeil Business Newspaper (South Korea))

◇韓国、日本を輸出管理の優遇対象から除外、9月中に (8月12日付け 日経 電子版 15:46)
→韓国政府は12日、安全保障にかかわる戦略物資の輸出管理の優遇対象国から9月中に日本を除外すると発表した旨。日本に対してこれまで原則的に認めてきた包括許可の適用を厳しくし、審査期間も延ばす旨。日本政府が2日、韓国を優遇対象国から外すと決めたことへの対抗措置とみられる旨。

◇日韓、輸出管理で応酬、優遇国から除外で摩擦一段と、韓国側措置、半導体は対象外の見通し (8月14日付け 日経)
→日韓両政府が安全保障にかかわる輸出管理の厳格化をめぐって応酬を繰り広げている旨。韓国政府が12日、戦略物資の輸出手続きを簡素化する優遇対象国から日本を9月中に除外すると発表、日本政府は韓国を優遇対象国から外す政令を決定済み。韓国の措置に半導体メモリのDRAMなどは含まれない見通しで影響は軽微との見方が多い旨。ただ両国間の摩擦の激化で混乱が長期化するおそれがある旨。
韓国政府は日本を優遇対象国から外すことで、原則的に認めてきた包括許可の適用を厳しくし、審査期間も延ばす方針。14日から9月2日にかけて意見公募の期間を設け、9月中に改定案を施行する旨。

SK hynixは、半導体材料のエキスパートを採用する動きである。

◇SK hynix recruits materials experts amid Japan's export curbs (8月13日付け The Korea Times)
→SK hynix、火曜13日発。同社は、半導体製造材料分野での研究者などエキスパートを採用しており、科学技術capabilitiesの改善および重要な半導体製造材料の輸入ラインの多角化に向けてである一方、日本の輸出規制強化を巡る不安定性に直面している旨。

先行き打開の見通しが得られない日韓摩擦の中、韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領が「光復節」の演説でぐっと抑制トーンを落としている。

◇韓国大統領「日本が対話なら協力」、光復節で批判抑制 (8月15日付け 日経 電子版 10:52)
→韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領は15日午前、日本の植民地支配からの解放を記念する「光復節」の式典で演説、日韓は輸出管理の問題で対立を深めるが、約30分間の演説では日本批判を抑制した旨。輸出管理に関しては「日本が対話と協力の道に出れば我々は喜んで手をつなぐ」と述べ、対立の沈静化に期待を示した旨。

危機が叫ばれているだけでは仕方&やるかたなし。今後の両国の努力に期待である。

◇日韓「政冷経冷」の危機、歴史問題、貿易・投資に影 (8月15日付け 日経 電子版 20:00)
→15日に74回目の終戦記念日を迎えたが、元徴用工判決に端を発した隣国・韓国との対立は解消の兆しが見えない旨。日韓は輸出管理の厳格化で応酬を繰り広げ、貿易、投資、人の往来にも暗い影を落とす旨。韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領は15日の演説で対話を呼びかけたが、両国の溝は深い旨。政治の対立が、強固な結びつきを保ってきた経済に及ぶ「政冷経冷」の危機が迫る旨。

このような米中貿易戦争、そして日韓摩擦も加わって、欧米景気の後退懸念の高まりが以下の通りである。

◇ドイツGDP、4〜6月0.1%減、欧州景気に影−3四半期ぶりマイナス (8月14日付け 日経 電子版 16:05)
→ドイツ連邦統計庁は14日、2019年4〜6月の実質国内総生産(GDP、速報値)が前期比0.1%減ったと発表、マイナス成長は3四半期ぶり。米中貿易戦争のあおりで、自動車など製造業の生産・輸出が落ち込んだことが響いた旨。欧州連合(EU)経済の2割超を占めるドイツ経済の不振は、EU全体の景気に影を落としそうな旨。

◇市場揺らす欧米景気の後退懸念、NYダウ800ドル安 (8月15日付け 日経 電子版 01:12)
→欧米で広がる景気後退への懸念が金融市場を揺らしている旨。米英の国債市場で14日、景気後退の前兆とされる長短金利の逆転が起こり、同日の米株式市場ではダウ工業株30種平均が前日比800ドル安と今年最大の下げ幅を記録した旨。米中貿易摩擦の余波でドイツがマイナス成長に陥るなど実体経済にも強い下押し圧力がかかる旨。世界経済の潮目が変わりつつある旨。

◇日経平均が約半年ぶり安値の2万0405円、景気後退サインに警戒 (8月15日付け 日経 電子版 11:59)
→景気後退局面が近いことを示唆するサインが次々点灯し、世界の金融市場が動揺している旨。15日の東京市場では日経平均株価終値が249円安の2万0405円となり、約半年ぶりの安値を付けた旨。景気後退入りの前兆である長短金利の逆転が前日の米国債券市場で発生。ドイツはマイナス成長に陥った旨。日経平均株価は15日に急反落し、節目の2万円まであと180円あまりに迫る場面があった旨。米中貿易摩擦の影響が心理面だけでなく、実体経済への下押し圧力として表れ始め、市場参加者はリスク回避姿勢を強めている旨。

半導体業界のsupply chainにおいては、次の問題意識があらわされている。

◇Critical Subsystems: Mapping Out Risks Posed by Growing Trade War (8月12日付け SEMI)
→最近の自国主義に向かう反グローバル化の政治的な方向変化が、半導体supply chainに向けていくつかの課題を引き起こしている旨。引き続く米中貿易戦争、そして今や日韓の係争を通して、大方の注目はsupply chainの上でのプレーヤーに向けた結果に置かれている旨。しかしながら、最大のリスクのいくつかがさらに該chainの下に隠されており、いくつかの非常に重要なsubsystems技術が大きな地理的集中リスクに直面の旨。

半導体各社の現下の対応として、Samsungの工場フル稼働の一方、ベルギーからの半導体材料の調達の動きである。

◇Samsung operates chip plants at full capacity despite Japan curbs (8月9日付け The Korea Herald (Seoul))

◇Samsung secures key chip supply in Belgium as Tokyo curbs exports-Korean tech groups accelerate diversification while keeping Japanese suppliers (8月10日付け Nikkei Asian Review)

◇サムスン、ベルギーで調達、半導体材料、代替ルートに (8月11日付け 日経)
→韓国のサムスン電子が、ベルギーから半導体チップを製造するための化学材料を調達していることが分かった旨。サムスンの元幹部が、Nikkei Asian Reviewに答えた旨。日本の韓国向けの輸出管理の厳格化を受けた措置とみられる旨。

◇Imec jv said to be supplying photoresist to Samsung-Report: Samsung obtains photoresist from an imec JV-Samsung has found a source of photoresist from a Belgian company believed to be EUV Resist Manufacturing & Qualification Center- an Imec-JSR jv set up three years ago, reports the Nikkei. (8月12日付け Electronics Weekly (UK))
→Nikkei発。imecとphotoresistメーカー、JSRの合弁、EUV Resist Manufacturing & Qualification Center(ベルギー)が、Samsung Electronicsに重要なレジスト材料を供給、Samsungはextreme ultraviolet(EUV) lithographyシステムによる生産を行うことができ、日本政府による輸出規制を避けていく旨。Samsungは、日本の輸出制限にも拘らずメモリ半導体の量産を立ち上げていく、としている旨。

今後の局面打開に向けて、新分野、特に5Gへの取り組み&市場の見方が以下の通り続いている。

◇Q&A: Qualcomm CMO Says 5G's Potential Is ‘Not Well Understood’-Qualcomm exec touts 5G's potential to business leaders -Next-generation wireless network will change almost every industry (8月9日付け Adweek)
→Qualcommのchief marketing officer(CMO)、Penny Baldwin氏。ビジネスcommunityのリーダが、5G cellular通信の属性を完全にはわかっていない、としている旨。同社は、5G技術が促進する多くの新しい応用の注意喚起を行っている旨。

◇IC backend supply chain to thrive on 5G smartphone penetration-Sources: IC backend firms to get boost from 5G smartphones (8月12日付け DIGITIMES)
→業界筋発。Qualcommの5Gスマートフォン向け製品portfolioの積極的な販売促進が、ASE Technology Holding, Chunghwa Precision Test Tech, Sporton Internationalなどbackend supply chain各社の利益となる見込みの旨。Gartnerの予測では、今年の世界5Gスマートフォン出荷が1.5 billion台となる一方、来年の伸びは5%増の旨。

◇Memory firms expect explosive growth from 5G starting 2020-5G deployment expected to drive higher demand for memories (8月13日付け DIGITIMES)
→業界筋発。来年5G cellular通信の採用が広まって、メモリデバイス市場の力強い伸びが得られる見込みの旨。5Gの勢いから、5G端末機器, データセンターartificial intelligence(AI), internet of things(IoT)などの応用においてメモリ半導体需要が高まっていく旨。

◇Samsung Tests How 5G Can Improve Chip-Making -Samsung looks at 5G's potential role in IC fabrication-Company is experimenting with the new technology to show what ultrafast speeds can do at its Austin chip factory (8月14日付け The Wall Street Journal)
→Samsung ElectronicsとAT&Tが、5G cellular通信が半導体製造プロセスの改善に向けて如何に役立つかを見るために、Austin, Texasでpilotプロジェクトを行う旨。「5Gは、今日代表的な工場のあるたくさんのWi-Fi issuesを打開する非常に大きなソリューションである、と見ている。」
と、AT&Tの最大division、AT&T Communicationsのchief technology officer(CTO)、Andre Fuetsch氏。


≪市場実態PickUp≫

【Nvidiaの四半期業績】

AIはじめ新分野に積極的に取り組んでいるNvidiaの5〜7月期決算が発表され、貿易摩擦の影響を受けて売上げは前年比17%減ながら、市場の予想を上回って株価は急伸している。以下の通り同社の積極的な取り組みへの期待があらわれている。

◇Nvidia revenue tops expectations on strength in video gaming, auto units-Nvidia's Q2 revenue beats analyst estimates, while falling (8月15日付け Reuters)
→Nvidiaの第二四半期売上げが$2.58 billion、前年同期比17%減、平均アナリスト評価(RefinitivからのIBESデータ)、$2.55 billionは上回っている旨。第三四半期の売上げ予測は約$2.9 billion、平均アナリスト評価、$2.97 billionを下回る旨。

◇Nvidia CEO: AI is the single most powerful force of our time (8月15日付け VentureBeat)

◇Nvidia shares rally as earnings fuel hopes for rebound (8月16日付け SILICON VALLEY BUSINESS JOURNAL)
→四半期業績の数字が、政治的&経済的不安定性にも拘らず、Nvidiaは依然本筋から離れていないと示している旨。

◇エヌビディア、AI半導体の次へ緩めぬ顧客開拓 (8月16日付け 日経 電子版 05:51)
→米半導体大手、NVIDIA(エヌビディア)の業績が停滞している旨。15日に発表した2019年5〜7月期決算は前年同期比で17%減収、50%減益。過剰だった流通在庫の消化が進み改善はしているが、人工知能(AI)計算用の半導体が急拡大していた1年前までの勢いはない旨。不調が続くなか、精を出しているのが将来の顧客を育てる「布教活動」。
米ロサンゼルスで7月下旬に開かれたCG(コンピューターグラフィックス)の技術会議。米ピクサーなどアニメスタジオやゲーム制作会社の従業員と学生たちが集まる5日間のイベントで、エヌビディアは70近い講習会や討論会を開いた旨。米インテルや米アドビといった他のスポンサー企業と比べても講座の数は断トツで多い旨。

◇エヌビディア、5〜7月期は50%減益、予想ほど悪くなく株価急伸 (日経 電子版 05:51)
→画像処理半導体(GPU)大手、米エヌビディアが15日発表した2019年5〜7月期決算。売上高は前年同期比17%減の$2.579 billionで市場予想($2.549 billion)を上回り、純利益は同50%減の$552 million(585億円)。
中国景気の減速などを受けて主力のゲーム向けの苦戦が続いたほか、データセンター向けも減少した旨。3四半期連続の減収減益だったが、1株利益は0.90ドルと市場予想(0.82ドル)を上回った旨。時間外取引で株価は急伸している旨。画像をなめらかに表示するために使われるGPUが苦戦し、主力のゲーム事業は同27%減ったが市場予想よりは多かった旨。自動運転向けは同30%増と市場予想以上に伸びた旨。

【ライバル同士】

長年のライバル、インテル対AMDについて、インテルに対抗するAMDの率直な見方があらわされている。

◇Forrest Norrod Outlines AMD's Plan To Fight Intel In The Data Center-AMD exec explains firm's strategy for data center chips (8月14日付け CRN (US))
→AMDのデータセンタートップexecutive、Forrest Norrod氏。同社は、最初からすべての法人の最も重要なITインフラに同社の新しい第2世代EPYCプロセッサを得ることは期待できないことはわかっている旨。

かたや、インテルからはパソコン脱却、AI、5Gに向かう取り組みである。

◇インテル、データ経済の需要狙う、CEO「パソコン中心」脱却強調、AI向けなど拡大 (8月15日付け 日経)
→半導体大手の米インテルが成長戦略を模索している旨。ボブ・スワン最高経営責任者(CEO)は日本経済新聞のインタビューで、パソコン向け中心から「データ分野の半導体企業に変わる」と述べた旨。データ経済の広がりに伴い需要が拡大する人工知能(AI)や次世代通信規格「5G」に使う半導体の品ぞろえを増やして、競争軸の変化に対応する旨。

【台湾プレーヤー関連】

back endのASE、新工場の買収である。

◇ASE to buy new factory building to optimize capacity deployment-ASE will purchase a factory building for warehousing (8月13日付け DIGITIMES)
→Advanced Semiconductor Engineering(ASE)が、Kaohsiung(高雄), Taiwanで新しい工場拠点を買収、化学材料を貯蔵およびflip-chip実装およびhigh-end IC testingサービスに向けた余分の生産capacityを供給する旨。ASE Technology HoldingのCFO、Joseph Tung氏は、該購入価格が約$74.67 millionとしている旨。

TSMCの新規設備投資承認、以下の通りである。

◇TSMC board approves US$6.5 billion for advanced process, capacity expansion-TSMC will spend $6.5B on extending capacity, process tech (8月14日付け DIGITIMES)
→TSMCの役員会が、新しいfab拠点の建設、先端技術capacityの取り入れ、拡張およびアップグレード、並びにspecialty技術capacityの取り入れに向けた約$6.5 billionの設備投資適用を承認の旨。

【シンガポール関連】

半導体のグローバル需要にしっかりと対応できる位置づけと、シンガポールを同国副首相がアピールしている。

◇Singapore well-positioned to meet global demand for semiconductors: DPM Heng-Singapore remains a chip-making hub, government official says (8月14日付け Channel NewsAsia (Singapore))
→シンガポールは、半導体のグローバル需要に良く適合する位置づけにあるが、半導体hubとして適切であり続けなければならない、と、水曜14日、Deputy Prime MinisterのHeng Swee Keat氏。

◇Singapore ups the ante in chips industry's future (8月14日付け The Business Times)

Micron Technologyが、シンガポール製造拠点の増強を図っている。

◇Micron plans to add 1,500 more jobs to its Singapore operations-Micron continues to add positions at its Singapore fab (8月15日付け The Straits Times (Singapore))
→Micron Technologyが、シンガポールの半導体製造operationsを拡大、今年新しい600jobsを作り出し、近い将来には該ウェーハ製造拠点でさらに1,500 positionsを加える計画の旨。

【新型メモリ】

Samsungに続いてかと思うが、業界最高速の次世代メモリ半導体HBM(High Bandwidth Memory)新製品「HBM2E」規格DRAMを、SK Hynixが開発している。

◇SK hynix develops highest bandwidth DRAM for mass production in 2020-SK Hynix designs high-bandwidth DRAM for 2020 production (8月12日付け The Korea Herald (Seoul))
→SK Hynixが、artificial intelligence(AI), machine learning(ML)およびsupercomputingシステム応用向けにHBM2E DRAMを開発、through-silicon vias(TSVs)搭載の該先端メモリデバイスは、来年量産に入る旨。

DRAMそしてフラッシュメモリに続く次世代の新型メモリには、注目してだいぶ時間経過、依然初期段階の様相のコメントが見られている。

◇The Next New Memories-Next-generation memories proliferate-A new crop of memories in R&D could have a big impact on future compute architectures. (8月15日付け Semiconductor Engineering)
→Phase-changeメモリ半導体など以下の新型メモリデバイスがあらわれてきている旨。
 FeFET or FeRAM
 Nanotube RAM
 Phase-change memory
 ReRAM
 Spin-orbit torque MRAM(SOT-MRAM)
「これら新規途上あるいは次世代メモリがついにさらなる牽引力を得始めているが、依然初期開発段階にある。」と、Lam Researchのsenior technical director、Alex Yoon氏。

【2018年米国特許ランキング】

米国知識財産権者協会(IPO)による2018年米国特許ランキングについて、韓国における記事。12年連続首位のIBMには敬服であるが、我が国は1社どまり。このところずっと居座り続ける問題意識ではある。

◇米国特許登録「トップ10」にサムスン・LG…日本は1社 (8月12日付け 韓国・中央日報)
→米国知識財産権者協会(IPO)が最近発表した「2018年米国特許登録上位300大企業・機関」リスト。サムスン電子は前年比0.4%増の特許登録、2007年から12年連続でIBMに次ぐ2位を守った旨。
 1. IBM            9088件
 2. サムスン電子       5836
 3. キヤノン         3206
 4. ゼネラルエレクトリック  2769
 5. インテル         2728
 6. アルファベット      2597
 7. LGエレクトロニクス    2473
 8. TSMC           2448
 9. マイクロソフト      2385
 10. クアルコム        2300
 11. アップル         2147


≪グローバル雑学王−580≫

人工知能(AI)については、知識ゼロからの入門そして使いこなすための教養と、本欄で読んできているが、少し久しぶりにAIの研究開発、CG制作、ゲームソフト、スマホアプリ開発をしている著者による

『イラストで読むAI入門』
 (森川 幸人 著:ちくまプリマ―新書 322) …2019年3月10日 初版第一刷発行

を、今回から目を通していく。AIって何? 今さら聞けない初歩の初歩から、イラストで解説! と、言葉では身近でも実際の中身となると縁遠い感じ方があるAI。まずは、AIの歴史を2回に分けて見ていく前半である。「ファジー」、「マイコン」にして然り、日常生活に当たり前に入ってくると、それらの言葉は消えていく。AIという言葉が意識されなくなった頃には、ずっとAIに囲まれた生活を送ることになっている、とあるが、繰り返す実感になりそうである。AIはおそらく会社より先に家庭に入ってくる。この逆転現象がとても面白いと思ったことが、本書のきっかけに、と著者は述べている。


≪はじめに≫

・25°C「くらいで」冷房が入る(切れる)よう、曖昧な線引きでコンピュータに命令できるようにした機能
 →ファジー機能
 →体に優しいエアコンや扇風機、かまど炊きのようなお米が炊ける炊飯器
・ファジーやマイコンなどがそうだったように、AIもまた、最初に入ってくるのは家庭
 →まず、家電やスマホといったところから入ってきて、私たちの生活を変えていく
 →好き嫌いにかかわらず、誰もがAIに接し、AIの恩恵を受けることに
・今までAIなんて自分には無縁だと思われていた方に、少しでも「AIって面白いかも」と思っていただけたら本望

第一章 AIの歴史―――第三次AIブームまでの道のり …2分の1…

□「仕事のAI」から「家庭のAI」へ
・さまざまな要素や目的に合わせて火加減を細かく調整するのは、マイコンならではの機能
 →理論や技術に関心がなくても、知らず知らずに家の中で最新技術に接していることはよくある
・日常生活に「AI」が入ってくると同時に、「AI」という言葉は消えていく
 →「ファジー」も「マイコン」も消えた
 →昔はワープロの漢字変換や予測変換さえ「AI機能」といっていた
・AIという言葉が意識されなくなった頃には、起きてから寝るまでずっとAIに囲まれた生活を送ることになっている
・具体的に、AIは生活の中にどのように入ってくるのか
 →以下、生活シーンごとにみていく

□鏡の中のAI
・鏡にカメラがつけば、普段の健康状態をすぐチェックできるように
・鏡はディスプレイにも
 →今日やることのリストなども全部表示
・鏡が喋るように
 →「今日は体調が悪いようですね」などと
・遠からず、IoTも家の中に入ってきて、いずれすべての家電がネットを通してつながるように
 →朝起きて鏡の前に立ったときに、表情を見ながら鏡が体調をチェック
 →トイレに行けばトイレが主人の尿の状態を確認・分析
 →体重計から、日々の体重や体脂肪率の管理も
 →健康チェックの結果、「朝食には野菜ジュースを飲むとよいでしょう」というようなアドバイス
 →ご主人様の食生活や嗜好なども含めてレシピを考え、電子レンジやジューサーに送る
 →家電全体が協力し合う時代がくるのでは
・寝ている間の寝返りやいびきの回数、呼吸の様子など、睡眠の様子をモニタリングしてデータをPCに送る枕はすでに製品化
 →ベッドに感圧センサを組み込み、体調を管理してくれる製品も
・就寝時間、起床時間、帰宅時間、入浴時間、さらにドアの開け閉めの回数など
 →AIはその人ごとのライフログのデータから、その人の生活パターン(特徴)を見つけ出す
・(著者は、)スマートスピーカーが今の機能のままだったらブレイクしない気がしている
 →他の家電と協力し合って総合的に自分を見守ってくれる、時には楽しませてくれる、そうならないとなかなか
 →家自体が僕らを見守ってくれるAIになるということは十分に考えられる
・リビングに科学のすべてがあるという「リビングサイエンス」
 →今後はそれが「リビングAI」に置き換わっていく

□AIというネーミングで躓いた?
・1956年のダートマス会議で生まれた「AI(artificial intelligence):人工知能」という言葉
 →「人工知能に関するダートマスの夏期研究会」、"The Dartmouth Summer Research Project on Artificial Intelligence"
 →機械に言語を扱えるようにさせる自分たちの研究により、機械がいずれ人間の知能に追いつくのだという意気込み
・いくら人工知能が発達しても、いつまでも人間の知能に追いつくことができないのでは
 →いまだに一部を除いては全く到達できていないし、今では、最終的に到達できない分野もあるのではないかといわれるまでに
 →人間の知性の奥深さを知りながら、あたかも蜃気楼を追いかけるように近づいたり遠ざかったりしているのが現状

□あっという間に終わった第一次ブーム
・現在、AIは3回目のブームと言われている
・最初のブームは、ダートマス会議から
 →「パーセプトロン(Perceptron)」というモデル、簡単な記憶と判断
 →パーセプトロンに致命的な欠点、「排他的論理和ができない」
  …矛盾したことを覚えられない
 →あっという間にブームは収束
・実はこれはモデル的に問題
 →〇と×の線引きが直線的にしかできない
  …「非線形問題」とか、「線形分離不能問題」
 →実は人間の世界には、むしろ、直線できちんと分けられる事象の方が少ない

□第二次ブームでは、世の中の役に立つかどうかが問題に
・2回目のブームは1980年くらいから2000年という20世紀の終わりごろに
 →「バックプロパゲーション(Backpropagation:誤差逆伝播法)」というモデルが発明されて、「これはいけるかも!」となった
 →しかし、なかなか実用に使えるような精度にまでは到達しなかった
 →しばらく袋小路に入ったような状況が続いた
 →20世紀を越えられないまま、何となく消えていってしまった

□そして第三次ブーム
・現在3回目のAIブームがきている
 →2012年にディープラーニング(Deep Learning:深層学習)が登場
 →トロント大学のヒントン(Geoffrey Everest Hinton)教授が引っさげて来たこのAIモデル
  →実は2回目のブームの主役、バックプロパゲーションの改良型
・ディープラーニングとは
 →ざっくり「畳み込みニューラルネットワーク」と「多層ニューラルネットワーク」という2つのAIを合体させたAI
 →両者を組み合わせただけでこんなに精度が上がって強力なものができるとは誰も思っていなかった
・この3回目のブームは、学者の間だけでのブームではなく、今回は最初からグーグルが関わった
 →上記ヒントン教授が設立した学内ベンチャー「DNNリサーチ社」を買収
 →グーグルは1年間で1兆円をAI関連に投資しているといわれる
ビッグデータから有用な情報を取り出す作業(「データマイニング(Data mining)」)をAIにやらせる必要性
 →おそらくマイクロソフトやフェイスブックも、AIに巨額の投資
 →日本は、2018年度には、AI予算として770億円計上
  …アメリカや中国の2割以下という残念な額

□AIは人間の脳をモデルにしている
・今回のブームの背景にあるのはインターネットの登場
 →ディープラーニングに教えるべき大量のデータ、「教師信号」が集めやすくなった
・AIの発明は、コンピュータ、インターネットと合わせて「人類の三大発明」と言われる
 →蒸気機関を入れて四大発明という人も
・ここまでの説明は、いずれも脳をモデルにした「ニューラルネットワーク」というモデル
 →脳細胞に関する「ヘッブ(Hebb)則」という仮説を基盤に発展してきたもの
・興奮した細胞同志の結合が強く太くなり、相反する脳細胞の結合は弱くなるのではないかというのがヘッブの仮説
 →ローゼンバッハが「それだったら数理モデルになるのでは?」と考え、コンピュータでプログラム実験してみた
  →実際に簡単な記憶や判断ができた
 →人工知能のモデルは、そのようなあいまいな仮説の上に成り立っている

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