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決裂は回避へ、米中協議とともに目が離せない最先端微細化の動き

半導体業界にも大きく影を落とす米中貿易摩擦であるが、遅過ぎるとする交渉の進展に業を煮やした米国トランプ大統領が、中国製品$200 billionに対する関税を10%から25%に上げると宣告、振り回された1週間となっている。
米中両政府ワシントンDCでの2日間の閣僚級協議が行われる最中、米東部時間5月10日午前0時1分(日本時間同日午後1時1分)、上記制裁関税が引き上げられ、中国も報復措置をとるとしている。両国間の交渉は継続として決裂は回避された形であるが、世界経済の重荷と称される該摩擦の先行きは予断を許さないところがある。このような中、半導体最先端微細化に向けたトップ3社の取り組み、動きに今後の糧として注目させられている。

≪気もたせな推移≫

トランプ大統領が制裁関税大幅アップを打ち上げた、波乱の1週間の発端である。

◇Trump Issues Tariff Threat and China Considers Pulling Out of Talks-President's warning to China takes Beijing by surprise (5月5日付け The Wall Street Journal)

◇Trump threatens to hike tariffs on $200B of Chinese imports-Trump threatens tariff hike if China talks don't speed up (5月6日付け The Associated Press)
→Donald Trump大統領が、貿易協議の進展があまりに遅いとして、中国製品$200 billionに対する関税を10%から25%に上げると迫っている旨。これに反応して中国は、水曜8日Washingtonで予定の交渉取り消しを検討している旨。

◇Trump ratchets up pressure on China, threatens tariff hikes (5月6日付け Reuters)

◇トランプ氏、対中関税25%に上げ表明、最終盤で威嚇か (5月6日付け 日経 電子版 01:26)
→トランプ米大統領は5日、中国の知的財産権侵害などを理由に2000億ドル分の同国製品に課す関税を、10日から現在の10%から25%に引き上げると表明した旨。米中は2018年12月から貿易協議を開いて打開策を探ってきたが「交渉が遅すぎる」として制裁強化に転じる構え。最終協議を前にした威嚇との見方もあるが、米中の貿易戦争が一段と激化する懸念がある旨。

株式市場の早々の反応である。朝内大きく下げてお昼までには半分戻す動きが見られている。

◇Dow makes stunning comeback, recovering nearly all of 471-point plunge on hope trade deal not dead-Stock markets drop on new tariff threat (5月6日付け CNBC)
→米国株式市場が月曜6日朝、Donald Trump大統領が中国からの輸入品$200 billion相当について関税を上げ、さらに加えて$325 billion相当に関税を課すというニュースを受けて値を下げた旨。該市場は正午までに値下がりの約半分回復の旨。

◇Dow makes major recovery, rebounding from 471-point plunge-Dow drops 450 points as trade-dispute fears reignite (5月6日付け CNN)

◇Dow drops 470 points on growing trade-war threat, biggest decline since early January-Tariff plans continue to drive stocks down (5月7日付け CNBC)
→Dow Jones Industrial Average(ダウ平均株価)が、米国が関税を高め、今週末に中国製品について新たな関税を課するというニュースを受けて、火曜7日の朝の取引で450 points下げた旨。市場は月曜6日に同様に低下、しかしその日後半に大方回復している旨。

長い連休明けの我が国の市場の状況である。

◇10連休明け相場、米中交渉にらみ、プロはこう見る (5月7日付け 日経 電子版)
→東京マーケットは7日、10連休後初の取引を迎える旨。トランプ米大統領が中国の2000億ドル分の製品に課している関税を10%から25%に引き上げると表明し、海外市場は波乱の動き。中国の上海総合指数は6日、6%近く下げ、米原油先物も売られた旨。米ダウ工業株30種平均は7日の取引開始直後に471ドル下げる場面があった旨。専門家に見通しを聞いたところ、東京市場でもリスクオフの動きが強まり、株や商品は売られ、円高が進みやすくなるとの声が聞かれた旨。

この制裁関税引き上げを10日に実施する、と米通商代表部(USTR)の表明である。反応して関連する動き、見方が続いていく。

◇米「関税上げ10日に実施」表明、中国は協議継続に意欲 (5月6日付け 日経 電子版 19:04)
→トランプ米大統領が5日、中国への制裁関税を現在の10%から25%に引き上げると表明したことを巡り、米通商代表部(USTR)のライトハイザー代表は6日、10日に実施すると表明した旨。7日にも官報で正式に通知する旨。中国との交渉本格化を前に改めて強硬姿勢を示した格好。一方、中国側は劉鶴副首相が9〜10日にワシントンを訪れて協議に臨むとしており、ぎりぎりの駆け引きが続いている旨。

◇米、中国「産業補助金」に圧力、関税上げ通知へ (5月7日付け 日経 電子版)
→トランプ米大統領が中国製品の関税を10日に引き上げると表明し、9日再開する米中貿易協議は制裁回避に向けたぎりぎりの交渉となる旨。米国の態度を硬化させたのは、中国の産業補助金を巡る問題。補助金は中国の「国家資本主義」の根幹をなすが、米国は撤廃を求める旨。中国は高関税を受け入れるか、弱腰批判も覚悟して譲歩するかの選択を迫られる旨。

◇Automakers expect White House to delay decision on auto tariffs: sources-Trump could postpone vehicle tariffs (5月8日付け Reuters)
→自動車メーカーは、Donald Trump大統領が国家安全のため輸入自動車&自動車部品に法外な関税を課するかどうか、来週期限の決定を遅らせる、と見ている旨。

10日実施の官報通知が行われ、中国側の対抗の動きが強まっていく。

◇米、25%に関税上げ正式通知、中国「必要な反撃措置」 (5月8日付け 日経 電子版 22:48)
→米通商代表部(USTR)は8日、2千億ドル(約22兆円)分の中国製品に対する制裁関税を10日に現在の10%から25%に引き上げると官報で正式に通知した旨。今後は通知を修正しない限り、家具や家電など約6千品目の輸入品を対象とした追加関税が上がる旨。これに対し、中国も対抗措置を取る方針を表明、9日からの閣僚級協議に向け、米中の最終攻防が激しさを増している旨。米国側は米税関・国境取締局(CBP:Customs and Border Protection)が徴収する追加関税を、10日午前0時1分(日本時間同日午後1時1分)以降に10%から25%に引き上げると明記、トランプ大統領が5日に表明したものを行政府として正式に実行に移した旨。

◇Trump: China 'broke the deal' in trade talks-Trump blames breakdown of trade talks on China (5月9日付け CNBC)
→Donald Trump大統領が中国製品への関税を上げるとしている一方、貿易交渉の話し合いは中国が"取引を破った"として依然続いている旨。中国は、Trump氏が金曜10日$200 billionの中国製品への関税を25%に上げれば、報復関税を課していく旨。

こんな中、米中妥結の見方が一瞬顔を出している。

◇China Hardens Trade Stance as Talks Enter New Phase (5月9日付け The Wall Street Journal)
→米国側が妥協を図ろうとしているという受け取りで、中国交渉筋が大胆になってきている旨。

◇NY株、2ドル高で3日ぶり反発、米中妥結への思惑で (5月9日付け 日経 電子版 04:51)
→8日の米株式市場でダウ工業株30種平均が3営業日ぶりに反発、終値は前日比2ドル高の2万5967ドル。取引開始直後に同76ドル安まで下落したが、午後は一時153ドル高まで値を戻した旨。米政府は中国製品への制裁関税を25%に引き上げると正式に通知したが、9日に始まる米中閣僚級協議への思惑から買い戻しも入り、売買が交錯した旨。原油も株式と同様、小反発した旨。

5月9日、10日の閣僚級協議を控えて、トランプ大統領がいくつかののろしをあげている。

◇米中、瀬戸際の応酬、トランプ氏「中国が約束破った」−中国も対抗措置示唆 (5月9日付け 日経 電子版 10:20)
→トランプ米大統領は8日、2千億ドル(約22兆円)分の中国製品に対する制裁関税を10日に現在の10%から25%に引き上げる方針を巡り「中国が約束を破ったからだ」と批判した旨。米通商代表部(USTR)は同日に関税上げを正式に通知し、中国も対抗措置を取る方針を表明した旨。実際に関税の応酬に突入するかどうかは9日から始まる閣僚級協議が焦点になる旨。

◇トランプ氏、習氏から「美しい手紙」、電話協議の公算も (5月10日付け 日経 電子版 02:34)
→トランプ米大統領は9日、中国の習近平(シー・ジンピン)国家主席から8日に「非常に美しい手紙」を受け取ったと明らかにした旨。「習氏と電話で話すかもしれない」と述べ、電話協議を開く可能性に触れた旨。2千億ドル(約22兆円)分の中国製品への制裁関税を10日に引き上げると改めて表明したうえで、9日夕から始まる閣僚協議について「どうなるか見てみよう」と述べた旨。

◇米中閣僚協議が開始、税関が10日の関税上げ通知 (5月10日付け 日経 電子版 05:50)
→米中両政府は9日、ワシントンで貿易問題を巡る閣僚級協議を開始した旨。米国は2千億ドル(約22兆円)分の中国製品に課す制裁関税を10日に現在の10%から25%に引き上げる構えで、中国も対抗措置を表明している旨。
協議が不調に終わり関税拡大を実行に移せば、二大経済大国による貿易戦争が激化して世界経済の重荷となりかねない旨。

◇米中貿易協議、10日も継続、初日の閣僚会合終了 (5月10日付け 日経 電子版 11:36)
→米ホワイトハウスは9日夜(日本時間10日午前)、米中両政府が貿易問題を巡る閣僚級協議の初日会合を終えたと発表、米通商代表部(USTR)のライトハイザー代表とムニューシン財務長官が中国の劉鶴副首相と会談した旨。
10日午前に再び会合を開く旨。10日午前0時1分(日本時間同日午後1時1分)に予定する2千億ドル分の中国製品に対する追加関税の引き上げは避けられない情勢になった旨。

協議の渦中で対中制裁関税の引き上げが発動されている。

◇米、対中制裁関税引き上げ発動、5700品目が25%に (5月10日付け 日経 電子版 13:01)
→トランプ米政権は米東部時間10日午前0時1分(日本時間同日午後1時1分)、2千億ドル(約22兆円)分の中国製品に課す制裁関税を現在の10%から25%に引き上げた旨。中国も報復措置を取るとの声明を出した旨。米中両政府は9日から閣僚級協議を開いており、10日午前も交渉を続けることで合意した旨。早期に妥協点を見いだせなければ二大経済大国による貿易戦争がさらに激化し、世界経済の重荷となりかねない旨。

業界各紙の米国そして中国における反応である。

◇Trump increases China tariffs as trade deal hangs in the balance (5月10日付け SILICON VALLEY BUSINESS JOURNAL)
→Donald Trump大統領が金曜10日朝、中国との貿易戦争をエスカレート、北京の通商取引を"協定し直す"試みに対する罰として、中国製品$200 billion相当についての関税を上げ、ほぼすべての中国からの輸入に課税する段階をとっていく旨。

◇China, Defiant but Careful, Promises Aggressive Response to Tariffs (5月10日付け The New York Times)
→米国が金曜10日、北京との通商の緊張を高めた時、そのニュースは即時価格を支払う中国の人々、大小工場のオーナーの間では疲労と予感をもって迎えられた旨。

◇US-China talks break up after US raises tariffs-China plans counteraction after US raises tariffs (5月10日付け The Associated Press)
→米国が中国製品$200 billionに対する関税を10%から25%に高め、貿易協議は両国の間で続く旨。「中国は非常に遺憾ながら必要な対抗策をとらなければならない。」と中国・Commerce Ministry。

2日間の協議は終わり、話し合いは続けるとして決裂は一応回避されている。米国側は中国に対する制裁関税の手綱の引き締めにさらに備えている現時点である。

◇トランプ氏「中国と貿易交渉継続」、決裂は回避 (5月11日付け 日経 電子版 05:03)
→米中両政府は10日、貿易問題を巡る2日間の閣僚級協議を終えた旨。トランプ大統領は同日、今後も交渉を続ける方針を表明した旨。米政権は同日未明に2千億ドル(約22兆円)分の中国製品に対する制裁関税を現在の10%から25%に引き上げた旨。中国の報復次第で対立は一段と激しくなる恐れがあるが、現時点でひとまず対話は続く見通しの旨。

◇米、全輸入品への対中関税、13日に詳細公表 (5月11日付け 日経 電子版 08:11)
→米通商代表部(USTR)は10日、中国からの輸入品すべてに制裁関税を課す準備を始めたと発表、現在は対象外の約3千億ドル(約33兆円)分にも「第4弾」の関税発動を検討する旨。トランプ大統領は同日、中国との貿易交渉を続けると表明、対話の窓口を残しつつ、相次いで制裁措置を打ち出して中国への圧力を一段と強める旨。

米中摩擦に関連する動きを拾って以下の通り。まずは、中国ネット企業を締め出す台湾での動きである。

◇台湾、中国ネット企業を締め出し、世論操作を警戒−総統選控え、動画サイトなど規制 (5月8日付け 日経 電子版)
→台湾の蔡英文政権が、中国のネット系企業に対する警戒感を強めている旨。中国版の米ネットフリックスと呼ばれる人気の動画配信大手の愛奇芸(iQIYI)を、このほど違法営業として閉め出す方針を決めた旨。騰訊控股(テンセント)系の動画サービスの台湾進出も阻む構え。背景には来年の総統選も踏まえ、中国がネットを通じて台湾世論への影響力を強め、統一をも引き寄せようとしているとの危機感がある旨。

半導体メーカー、Microchip Technologyの米中摩擦の見方である。

◇Microchip CEO sees uncertainty amid U.S.-China trade war-US-China trade war creates uncertainty, Microchip CEO says -One analyst has issued a 'strong buy' on the company's shares (5月8日付け The Business Journals/Phoenix)
→Microchip TechnologyのChairman and CEO、Steve Sanghi氏が、より弱含みの半導体販売高を予想、中国と米国の間の貿易係争が不安定な領域に向かっている旨。同社は、3月締め四半期で売上げ$1.3 billionでnet incomeが$174.7 million、前年同期は売上げ$1 billionでnet incomeが$146.7 millionであった旨。

台湾での中国半導体業界を見る論調である。

◇Asian Edge: A look at the semiconductor industry of China (5月9日付け DIGITIMES)
→疑いなく、半導体業界は米中貿易戦争に横たわるkey要因である旨。しかしながら、中国半導体業界の強みおよび進展を理解しようとすると、該figuresすべてがつながって見え、しかも直接に比べられないことがわかる旨。ウェーハ製造業界の生産額はIC設計のそれとは結びつかず、該2分野はまったく異なるビジネス構造である旨。半導体業界のfiguresを読むのは国の予算計画を眺めるようなもの、ともに隠された、奇妙な、そして答えられない部分が詰まっている旨。

中国・ファーウェイの5G参入で、米国が英国にくぎ刺しである。

◇米国務長官、ファーウェイ5G参入で英にクギ、安保リスク巡り (5月9日付け 日経 電子版)
→ポンペオ米国務長官は8日、ハント英外相との会談後の記者会見で、次世代通信規格「5G」への中国の通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)の参入について「我々は安全保障上のリスクがどこにあり、信頼できるネットワークで活動できるのかを保証する義務がある」と語った旨。同社の5G分野への参入を禁止し、同盟国に排除を呼びかける米国の考えを正当化した発言とみられる旨。

米国は、チャイナモバイルの米国参入も却下している。

◇米、中国国有通信最大手の参入却下を正式決定 (5月10日付け 日経 電子版 00:53)
→米連邦通信委員会(FCC)は9日、中国国有通信最大手、中国移動(チャイナモバイル)の米国参入を認めない方針を正式決定した旨。米国の通信網につながれば中国政府のスパイ活動などに使われる安全保障上のリスクを考慮した旨。通信機器最大手の華為技術(ファーウェイ)とあわせて、中国の通信業界全体への警戒を強めている旨。

米中摩擦に振り回されてはならじと、本来の半導体業界の注目する軸の1つ、最先端微細化について現在リードするトップ3社の動きが目に入ってきて、以下の通りである。

まず、長年の業界リーダーであるインテルは、このところ10-nmでの後れはじめ精彩を欠く受け取りがあるが、このほどWall StreetアナリストとのInvestor Dayを開催、この6月に10-nm、2021年に7-nmと打ち上げている。
これでTSMC、Samsungと現状先行イメージの2社に優る印象かとなると、市場の反応は厳しそうな以下の内容である。

◇Intel will ramp up 10nm CPU production in June, 7nm in 2021-The first 10nm parts are for thin-and-light-laptops. (5月8日付け Engadget)

◇Intel shares drop, three-year outlook seen lagging rivals (5月8日付け Reuters)
→Intel社executivesが向こう3年にわたる控え目な利益の伸びを予測、技術で巻き返しを図るかつて席巻した半導体メーカーとして大手ライバルに後れをとる様相を呈して、同社株が水曜8日、2.5%下がった旨。

◇Intel Targets 2021 for 7 nm-Intel sets volume shipments of 10nm chips in June (5月9日付け EE Times)
→Intelが、同社10-nm Ice Lakeモバイルプロセッサの量産出荷が来月開始、該半導体は軽薄laptopsに入っていく、と発表の旨。同社初の7-nm半導体、Xeアーキテクチャー搭載汎用graphics processing units(GPUs)、Intel初のdiscrete GPUは来年リリースの運びで出荷予定の旨。

◇Intel shares sink as company gives its three-year outlook (5月9日付け SILICON VALLEY BUSINESS JOURNAL)
→Intelが2年以上ぶり水曜8日、Wall StreetアナリストとのInvestor Dayを開催、新CEO、Bob Swan氏は、data-centric事業、すなわちデータセンター、メモリ、Internet of things(IoT), およびprogrammableシステムを伸ばしていく意向を繰り返した旨。

◇Intel 10nm CPU to ship in June; 7nm product to launch in 2021 (5月9日付け DIGITIMES)

微細化ロードマップに最も積極的に映るTSMCは、5-nmの強化版を打ち上げている。

◇TSMC to roll out 5nm Plus process in 2021, says report-Report: TSMC plans 5nm Plus process node for 2021 (5月9日付け DIGITIMES)
→TSMCが、5-nmプロセス技術を2020年に量産化する運び、1年後に該プロセスの強化版を展開する計画の旨。最近の中国語Commercial Timesによると、N5+, すなわち5-nm Plusと呼ぶこのプロセスは性能および電力消費ともに進んでいる旨。TSMCは、N5+を2020年第一四半期にrisk生産にもっていく予定の旨。

もう1つ、Samsungは、メモリに続いてロジックでも世界制覇をと遠大な取り組みをあらわしている。

◇Samsung eyeing top spot among logic chipmakers (5月7日付け DIGITIMES)
→Samsung Electronicsが、ロジックIC事業の競争力強化に向けて大きな努力を払っており、2030年までに世界最大のロジック半導体メーカーになるともしている旨。

今後の半導体市場の起爆剤を支える最先端微細化の取り組みは、やはり最も目が離せないところである。


≪市場実態PickUp≫

【最高速スーパーコンピュータ】

Advanced Micro Devices(AMD)とCrayが取り組むスーパーコンピュータ、Frontierは、2021年にOak Ridge National Laboratory据え付けで世界最高速になる見込み。AMDにとっては高性能半導体への戦略的な取り組みと映る以下の内容である。

◇AMD Chips to Power Exascale System-Epyc, Radeon drive return to win not seen in a decade (5月7日付け EE Times)
→AMDが、3つの米国のexascale-classスーパーコンピュータの2番目、Frontierにおける次世代CPUs, GPUs, およびinterconnectsに向けたdesign winをすばやく獲得、$600 millionを上回る契約全体は、AMD、システムintegrator、Cray, および米国エネルギー省にとってこれまでで最大の取引の旨。該取引は、高性能半導体に新たに重点化するAMDにとって画期的な出来事である旨。Frontier nodeは、同社Infinity fabricの強化版の上で4つのアップグレードされたRadeon GPUsに首尾一貫して繋がれたcustom AMD Epyc CPUから成る旨。該Epycは、"将来世代"Zenコアを用い、AIおよびsupercomputing jobsに向けた新しいinstructionsを収めるmicroarchitecture更新版を搭載の旨。

◇AMD, Cray to build 1.5 exaFlop Frontier supercomputer for Oak Ridge National Lab-AMD, Cray will build a supercomputer for Tenn. lab -Frontier is set to become the world's fastest supercomputer when it arrives at the lab in 2021. (5月7日付け ZDNet)
→Advanced Micro Devices(AMD)とCrayが、Oak Ridge National Laboratory向けexascaleスーパーコンピュータを構築、2021年に据え付け予定の旨。
該$600 millionシステム, Frontierは、AMDのEPYC CPUsおよびRadeon Instinct graphics processing units(GPUs)をCrayのShastaアーキテクチャーおよびSlingshotネットワークとともに用いる旨。

【Samsung関連】

IoTプロセッサ、Exynos i T100の打ち上げである。

◇Samsung launches IoT processor Exynos i T100-Samsung debuts Exynos i T100 processor for IoT uses -The Internet of Things processor is optimised for data communications shorter than 100 metres, Samsung said. (5月7日付け ZDNet)
→Samsung Electronicsが、ガス検出器, smart照明, 温度コントローラ,wearable機器および窓センサなどinternet of things(IoT)応用向けにExynos i T100プロセッサを投入、該IoT半導体は、約328 feetを下回る距離を巡るデータ通信向けの旨。

注目の折り畳みスマートフォンは画面の品質問題を抱えるなか、出荷日はまだ確定しないとのこと。

◇Samsung Electronics says no anticipated shipping date yet for Galaxy Fold (5月7日付け Reuters)
→Samsung Electronicsが火曜7日、同社の折り畳みスマートフォン、Galaxy Foldの出荷日をまだ確定できす、米国の予約の顧客に対しその遅れを謝罪の旨。
イメージセンサ最先端品の打ち上げである。

◇Samsung launches first 64Mp image sensor for smartphones-Samsung readies 64MP image sensor for phones this year (5月9日付け ZDNet)
→Samsungが、64MPおよび48MPイメージセンサを打ち上げ、今年後半に発表されるflagshipスマートフォンに搭載される旨。Isocell Bright GW1が64MPそしてIsocell Bright GM2が48MPであり、ともに先行品同様サイズ0.8µmの旨。

【2019年半導体市場見通し】

2019年半導体販売高予測について、IHS Markitは前回の2.9%増から今回7.4%減と大きく下方転換している。昨年末からの急激な低下で致し方ないところである。

◇Worst Chip Sales Decline in 10 Years Projected (5月6日付け EE Times)
→年初以降急速に落ち込んでいる半導体市場状況から、IHS Markitが半導体販売予測について10%を上回る下方修正の旨。前回は2019年の販売高が2.9%増と見ていたが、今回7.4%減の$446.2 billionとしている旨。

◇IHS cuts 2019 chip market growth forecast to negative-IHS forecasts 2019 chip revenue will fall 7.4% (5月6日付け DIGITIMES)
→IHS Markitが、今年の世界microchip売上げの伸び予測を下方修正、前回2.9%増から今回7.4%減と見ている旨。半導体販売高は2009年以降このような幅では低下していない旨。

一方、台湾の組立&テストのSiliconware Precision Industries(SPIL)からも、今年後半の市場好転が予想されている。

◇Semiconductor market to pick up in 2H19, says SPIL chairman-SPIL chairman sees Tokyo 2020 Olympics boosting chip sales (5月6日付け DIGITIMES)
→ASE Technology Holdingの関係会社、Siliconware Precision Industries(SPIL)のchairman、Bough Lin氏。半導体業界は、次第に底を打っていって2019年後半に需要が大きくもち上がり、台湾はその包括的なIC supply chainsをもってグローバル市場で健闘できる見込みの旨。2020年東京オリンピックが7月および8月に開催され、明るい半導体市場の展望がその1年前および該イベント後の半年と見込める旨。

【高密度NANDフラッシュ】

中国での国産メモリ半導体の一番手、Yangtze Memory Technologies(YMTC)の64-層3D NANDフラッシュメモリが、量産を控えるとともにAll Made-In Chinaのsolid-state drives(SSDs)など製造販売が進められている。

◇YMTC striving to sell own 3D NAND devices-Sources: YMTC wants to sell flash-based storage devices (5月7日付け DIGITIMES)
→業界筋発。64-層3D NANDフラッシュメモリの量産が今年末までに開始、Yangtze Memory Technologies(YMTC)が親会社のTsinghua Unigroupと協議、該メモリ半導体を搭載したsolid-state drives(SSDs)などフラッシュ-ベースのデータストレージ機器の販売許可を伺っている旨。別のTsinghua Unigroup関連会社、Beijing Unis Memory Technologyが、YMTCのメモリ搭載のストレージ機器の市場開拓および販売を行う責任をいまやもっている旨。

SK Hynixの先端96-層1Tb QLC(quadruple-level cell) 4D NANDがサンプル出荷されている。

◇SK Hynix ships samples of 96-layer 1Tb QLC 4D NAND-SK Hynix samples 96-layer QLC 4D NAND flash for SSDs (5月9日付け DIGITIMES)
→SK Hynixが現在、同社quadruple-level cell NANDフラッシュメモリ技術をsolid-state drive(SSD)コントローラベンダーにサンプル配布の旨。
該"96-層charge-trap-flash-ベース4D NANDフラッシュ"は、1 terabyteのデータを蓄えられる旨。

【Ray Tracing】

インテルが、ray-tracing(光線追跡法)技術を新しいXeグラフィックスアーキテクチャーに取り入れ、データセンターの格上げを図っている。

◇Intel Xe Architecture Upgrades Data Centers with Ray Tracing Technology-Intel debuts Xe graphics architecture with ray-tracing tech (5月3日付け Business Times (China))
→Intelが、同社の新しいXeグラフィックスアーキテクチャーにray-tracing(光線追跡法:光線などを追跡することで、ある点において観測される像などをシミュレートする手法)技術を取り入れ、来年展開する旨。これによるグラフィックスカードから、ディジタルcreatorsおよびスタジオが用いるデータセンター向けのray-tracing加速化が得られる予定の旨。

Imagination Technologiesは、PowerVR ray tracing intellectual property(IP)技術を開放、5G応用に向けたopportunitiesが模索されている。

◇Imagination Tech to License Ray-Tracing IP as 5G Beckons (5月8日付け EE Times)
→Imagination Technologiesが、同社デバイスを越えた市場へのlicensingに向けて、同社PowerVR ray tracing intellectual property(IP)技術を開放の旨。同社は、5G応用における高品質グラフィックスrenderingに向けて破壊的opportunitiesがあるとしている旨。

◇5G Potential Draws Ray-Tracing IP to Market -Ray tracing and 5G technology are likely to dovetail in the form of more realistic graphics for new apps. (5月9日付け EE Times India)


≪グローバル雑学王−566≫

「世界3大投資家」と称される1人、ジム・ロジャーズ(Jim Rogers)による驚愕の未来予測の書、

『お金の流れで読む 日本と世界の未来 −世界的投資家は予見する』
 (ジム・ロジャーズ 著  大野 和基 訳:PHP新書 1172) …2019年1月29日 第一版第一刷

より、「我々はいま、そしてこれから何をすべきか?」という問いに対して、「大変化の波に乗り遅れるな」とするジム・ロジャーズの哲学に触れていく。出身会社の株少々だけで投資には無縁の小生であるが、正しく投資をすれば、金が勝手に金を生んでくれる、など魅力的なセンテンスに揺れ動くところがある。ラスベガスでお金が増えた実感の翌日、すっからかんになった覚えなど、賭け事は所詮こんなものという経験ばかり。世の中の刻々の動きを十二分に知って、自分の頭で考えリサーチをして、行動に移すこと、はじめ「これからの時代を生き抜くための知恵」の数々が以下展開されていく。


第五章 大変化の波に乗り遅れるな

[訳者記]
・本章ではより具体的に「我々はいま、そしてこれから何をすべきか?」という問いに対する答え
・ジム・ロジャーズの投資哲学は、実にシンプル
 →自らがよく知る分野に投資すること
 →利益が出た時は何をおいてもまずは「ビーチでのんびり」すること
・さらに本章では、「これからの時代を生き抜くための知恵」も伝授

◎投資は簡単ではないが、誰にでもできるコツがある
  抜け道はないが、金が金を生んでくれる仕組みはある

〓人のアドバイスには耳を傾けるな
・私の場合、朝一番にまずメール。朝起きると、何か劇的なことが起きているかどうか確認する
・これまでの経験上、他人の言うことに耳を傾けるとたいていは損をする
 →他の人と投資の話をすることは滅多にないし、人のアドバイスに耳を傾けることも絶対にしないように
・私は特定の銘柄を口にしないようにしている

〓ジム・ロジャーズ流「情報の入手法」
・私が参考にするのは、市井の人間からもらう、ごく普通のメール
 →業界の動向や株価の値動きの参考になるメッセージが隠れている
 →自分の頭で考えリサーチをして、行動に移すように
・かつては5ヵ国の新聞を購読、いまは2〜3ヵ国に絞っている。日経新聞も昔は購読
 →いま取っている新聞
  …「Financial Times」→日経新聞に買収された。国際的な新聞だと思う
  …「The Straits Times」→シンガポール最大の新聞
  …「The Business Times」→シンガポールの経済紙
・いまはネットで世界中のニュースが読める時代
 →外国の動きについては、ネットにアクセスした方が簡単で早い

〓学歴と成功は無関係
・世界は相手の学歴なんてどうでもいい
 →特に卒業して社会に足を踏み入れたら、どこの大学を出たかより、いかに仕事ができるかが重要に
・私の娘たちにはこう言い聞かせている
 →良い成績を残せば、自分がやりたいことを選択することができる。それこそが重要なんだ
・教育は間違いなく、将来役立つ多くのスキルや選択肢を与えてくれる

〓正しく投資をすれば、金が勝手に金を生んでくれる
・私は13才の時から、すでにアルバイトのような仕事をしていた
 →もらった金を銀行に預けると利息がつき、それが、私の貯蓄に関する原体験
 →勤労と貯金によって所得を得ることの価値を学ぶのは、10代のうちにしておくべきだというのが私の考え
・さらに、投資することを学べば、金で金を生むことができる
 →投資すれば、あなたの金はずっと働くことになる
 →簡単な道のりではないが、勉強やリサーチを積めば可能なこと
 →頭を使って正しく投資をすれば、金が自動的に金を生む、それが投資の面白さだ
・もう一つ、私にとって投資の面白さは、株式投資の場合、常に変化の渦中に身を置いていられるということ
 →すべてのことが毎分、毎時間、変化し続けている
 →私にとっては、エキサイティングなこと
 →世界中の人と常に知恵比べをしている
・大学を卒業して行ったウォール街
 →世界で何が起きているかを知ることで給料がもらえるとわかり、魅せられた
 →遠い異国の地で起こった革命が、自分が知っている、そして行うすべてのことに影響を及ぼす
・世界で起こる出来事のすべては、あなたの仕事が何であれ、最終的にあなたの人生に影響する
 →成功する投資家になるためには、世界で何が起きているか常に把握しておかなければならない
 →投資の難しさであり、面白さ

◎全財産を失って気づいた人生の哲学
  「待つ」ことは時に行動するよりも大切だ

〓成功するために必要なたった一つのこと
・投資をする際、どういう点に注目して決めるのか
 →検討する点は多岐にわたる
 →人材にも経営にも業界にも、深い知識を持っていなければならない
 →ウォール街で働き始めた頃は1日に15社を梯子したり、1週間で5都市を訪問したりすることも
・もちろん、市場の動向も逐一追いかける必要
 →最近の例:AIは市場で機能するかどうか、するとしたら、どんなAIが使われるか
・成功する人は、決してあきらめない人である。特に投資をやっているとそうだ
・たいていの場合、市場は間違っている
 →粘り強くリサーチをしてから投資をする人――つまり正しい行為をする人は、金儲けの機会をきちんと手にすることができる
 →市場は最終的には正しいのだが、日々細かく見ていると間違っていると言える

〓誰も目をつけていないものをすぐさま買え
・一つだけ「成功する方法」のようなものを挙げるとしたら、「誰も目をつけていないものをすぐさま買え」と言いたい
・1973年にジョージ・ソロスと運用を開始した「クォンタム・ファンド」が成功したのも、他の人が知りもしないところに投資したから
 →当時はまだ興味を持つ人が少なかった海外投資や空売りに、私たち2人は積極的に取り組んだ
 →結果、4200パーセントもの伝説的なリターン
・もし北朝鮮に証券取引所が開設されたら、すぐにでも北朝鮮の株を買うべきである
 →ただ問題なのは、すでに多くの人が目をつけているという点
 →北朝鮮以外に、誰も目を向けていない国を見つけなければならない
・ロシアもいい投資先
 →大半の人間はロシアを敬遠しており、ロシアの株は安くなっている

〓「待つことができる」のは重要な才能の一つ
・新聞やネットで関心を引く銘柄が見つかっても、私はすぐには手を出さない
 →さらなるリサーチを開始、十分すぎるくらいに行う
 →自分がよく知っている業界や国に投資するのが一番
 →銀行に金を入れておいて、自分が十分な知識を持つ分野が出てくるまで待つのが賢明
・実は、「待てる」ことも、投資家に必要な資質の一つ
 →投資家に必要なのは、ほとんどの場合「何もしない」こと
・多くの人は――私を含めて――行動を急ぎすぎる
 →確実に商機が見えるまで、辛抱強く待たなければならない

〓儲けの直後は、一番失敗しやすい時
・特に、成功して儲けた時が要注意
 →儲けた時こそ、ビーチにでも行って何もせずにいるのが一番
・すべての失敗は自分のせい
 →十分なリサーチをしなかった自分が悪い
・このブランドは売れる、と、そういう予感こそが投資の始まりになる
 →ただ、何かに商機を見い出したら、行動も伴わなければならない
 →もう前ほどはいい商品が生まれていない、と感じたら売ればいい
・業界を徹底的にリサーチしていればその変化を捉えられ、売るべき時がわかる
 →そして、成功してものぼせ上らないようにすること

〓資産を三倍にした五カ月後に全財産を失って気づいたこと
・というのも、私自身が成功にのぼせ上って大損した経験がある
 →経験がない時に短期間で大金を手にすると、自分がやっていることが正しいと錯覚してしまう
・失敗して金を失うことは何も悪いことではない
 →失敗する人は多い。世界で最も成功した人も、その多くは失敗の経験

◎経済の変動に左右されない人生を送る秘訣
  投資先から必要なスキルまで

〓世界金融危機から身を守る最善の方法
・通貨の混乱やインフレから身を守るには、リアルアセット(実物資産)を持つしか方法はない
・金融緩和が進めばリアルアセットに資金が流れ込む、これは、歴史を通して変わらぬ真実
 →特に2008年のリーマンショック以降、金融商品に対する信用は地に堕ちた
 →いまは世界的に見て、金融セクターから、実際にモノを作り出している産業へのシフトが起きている

〓これから絶対必要になる二つのスキル
・一つでも多くの言語がわかれば、入ってくる情報の量と内容が劇的に変わる
 →とりわけ日本人にとって、外国語のマスターは必須事項と言ってもいい

〓私が日本人の若者なら、移住先はこの四カ国
・自国以外の国にしばらく住むことも勧めたい
 →私が日本人の若者なら、どの国に移住するか
  →韓国か中国、あるいはコロンビアかベトナム
・ベトナムは、単一民族でみな勤勉
 →多くの宗教や民族がない地域には、他民族・多宗教の地域より安定した未来が約束されている
・かつて世界を制覇したイギリスがいまや見る影もなく衰退しているように、アメリカもいずれ衰退する
 →日本も、残念ながら同様。50年もすれば日本人はこの世からいなくなってしまうのではないかと私は危惧している
・海外へ行くには多少の勇気がいるかもしれないが、後で振り返ればそれが人生で行ったベストな決断になると、私は断言できる

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