2023年7月18日
|長見晃の海外トピックス
半導体工場建設の話が持ち上がってはなかなか結実しない経過が繰り返されてもう何年になるか、そんな受け止めのインドであるが、今や「グローバルサウス」を引っ張る人口世界一の大国としてモディ首相のもと改めて半導体の新興一大勢力圏を目指している。
インド国内大手資源企業を傘下に擁するVedantaがインドでの半導体工場建設を目指す現下の動きが特に注目であり、台湾・Foxconnとの合弁が物別れとなり、Vedantaはインド政府の支援を求める一方、FoxconnはTSMCなどと提携を検討の模様である。これまた成り行きに目が離せないところであるが、長いブランクの後の再生&復権に向けて戦略的な支援の取り組みが展開されている我が国の現時点とともに、以下今週の動きを取り出している。
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2023年7月11日
|服部毅のエンジニア論点
経済産業省は、「日本の半導体産業は30年以上にわたり凋落してきたが、これに対して日本の半導体製造装置メーカーや材料メーカーは、世界市場で圧倒的なシェアを有しており、半導体製造サプライチェーンにおいて不可欠な存在となっている」と半導体・デジタル産業戦略検討会議資料の最新版(2023年5月30日付)でも述べており、多くの人たちもそのように信じてきた。果たしてそうだろうか。
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2023年7月10日
|長見晃の海外トピックス
米国・Semiconductor Industry Association(SIA)より月次の世界半導体販売高が発表され、この5月について$40.7 billionと年初1月以来の$40 billion台回復、そして前月比1.7%増で3ヶ月連続の小幅な増加ながら、前年同期比では21.1%減と4ヶ月連続の20%台の落ち込みである。半導体メモリの価格がこの1年で4割安では致し方ないところ、Samsungの第二四半期業績も営業益が前年同期比96%減となっている。それでもなお、第三四半期には在庫が減ってきて回復に向かうとの予想が見られている。世界販売高が底打ちかどうか、見極めをさらに要するところである。米中摩擦について、中国がガリウムとゲルマニウムの輸出規制を発表、双方の応酬のまた新たな局面を巡る関連の動きを以下追っている。
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2023年7月 5日
|泉谷渉の視点
ロームのSiCパワー半導体にかける気力がますます充実し始めた。28年3月期までに何と5100億円を投資し、SiCパワー半導体の世界シェアを30〜50%握ると見られるのだ。この計画の裏には、福岡県筑後に立ち上げたSiC素材の新工場建設がモノを言ってくると見ているのである。
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2023年7月 3日
|長見晃の海外トピックス
ブリンケン米国務長官が北京を訪問、米国と中国の接触の糸口がつかめるかというところであるが、こんどは生成AIを巡る熱い議論が引き続く中、AI半導体の対中輸出規制の検討の動きが出てきて、半導体関連株価が下落の反応である。AI半導体市場をリードするNvidiaは、昨年秋に最先端半導体の「A100」と「H100」を中国向けに輸出できなくなっており、その後中国に輸出可能なスペック品を開発して拡販しているとされている。米国の今回の検討の動きで、輸出規制がこれらに及ぶかどうか、今後に注目である。オランダ政府も、半導体製造装置の輸出に関する新たな輸出規制を来週にも発表する予定と伝えられ、EUVリソのASMLはじめ9月から政府の輸出許可を取得する必要があるとのこと、ほか分断が深まる現時点の状況を以下追っている。
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2023年6月26日
|長見晃の海外トピックス
世界各国・地域の半導体製造を強化する動きが、それぞれに進められているが、この1週間で目立つ動きとして、まず、インテルのドイツ、イスラエルおよびポーランドでの新工場建設であり、$50 billionを上回る投資規模となっている。ドイツ政府とは交渉経過が伝えられていたが、投資の3分の1相当の補助金を得たとされている。イスラエルでも、政府の支援強化が行われている。インテルにTSMC、Samsungという主要半導体メーカーを取り込んで各国・地域内それぞれの強化を図る計画線表の今後の進捗に、当面注目していくことになる。次に、インドのモディ首相が米国を訪問、米印首脳会談が行われ、半導体での連携強化が1つに取り沙汰されている。地政学的バランスへの影響とともに、半導体製造への取り組みの今後にも大きな注目である。
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2023年6月19日
|長見晃の海外トピックス
米国の中国に対する規制の強化、米国主導の同盟国Chip4など半導体関連で見ても米中摩擦は強まる一途の状況が続く中、ここにきて新たな局面を迎えるか、関わりそうな動きが見られてきている。両国関係では、気球問題で中断していたブリンケン米国務長官の訪中が、この週末明けの6月18〜19日に行われる運びである。半導体関連では、米国が韓国および台湾への規制適用除外を延長するとし、1つとしてSamsungの中国での半導体製造事業が維持されることになる。米国では、対中規制のさらなる実施が続くとともに議会での突き上げが見られているが、両国の接触を図る動きが出始めて、冷えた市況の打開につながるか、今後に注目するところである。厳しい状況が伝えられるIntelについても、新技術、基地展開の動きなど、以下取り上げている。
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2023年6月13日
|鴨志田元孝の技術つれづれ
OpenAI社のChatGPTに代表される生成AIは、MicrosoftやGoogleの参入で、ますます開発の勢いを増している。最近もOpenAI、OpenResearch、University of Pennsylvaniaが共著で「Generative Pre-trained Transformers (GPTs)はgeneral-purpose technologies (GPTs)である」、つまりGPTは汎用技術であり、高賃金の仕事の効率を高められると分析している(参考資料1)。
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2023年6月12日
|長見晃の海外トピックス
米国・Semiconductor Industry Association(SIA)より月次世界半導体販売高が発表され、この4月について$40.0 billionと、前年同月比では21.6%と大きくマイナスながら、前月比では0.3%増と2ヶ月連続でプラスとなっている。米国の対中国規制および米国内製造強化を受けて、半導体製造装置販売高の米中間の対比が大きくなる中、米国および中国での半導体市場の持ち直しの推移に引き続きの注目である。今後本年後半に入って回復の足取りに乗れるかどうかにかかってくる。新規需要の展開の期待に向けて、AppleのWorldwide Developer Conference(WWDC)での新製品発表に注目、Apple Watch以来の世代革新を謳う拡張現実(AR)に対応したゴーグル型端末、Vision Pro、そしてMac用の新SoC、M2 Ultraを以下に示す。
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2023年6月 8日
|服部毅のエンジニア論点
ベルギーimecの年次イベント「ITF World 2023」が2023年5月16〜17日、同国アントワープにあるベルギー最大のエリザベスホールに約2千名の参加者を得て開催された。そこで、2nmロジック国策ファウンドリとして2022年に設立されたRapidus社の 小池淳義社長(図1)が、「Scaling Moonshot (微細化に向けた挑戦的な大きな計画)―半導体技術および製造革新を通して人類の真の繁栄を探る旅」という壮大なタイトルで、Rapidusの技術戦略を初めて明らかにした(参考資料1)。
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