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各国の半導体サプライチェーン関連を巡る現時点それぞれの動きから

世界各国・地域それぞれの経済安全保障に向けた半導体製造強化の取り組みが進んでいる中、半導体サプライチェーン関連を巡る現時点それぞれの様々な動きが見られている。CHIPS and Science Actによる国内製造強化から先端技術主導回復を図る米国は、主要半導体各社への資金提供関連の様々な駆け引きとともに、対中国の輸出規制強化の働きかけが続いている。韓国では、米国政府の資金提供の確定を強く期待する動きがあらわれている。欧州では、イタリアでの半導体工場およびスペインでのimecのR&Dラインの新設の動きである。米国政府のフィリピンでの半導体拡充に向けた働きかけ、そしてインドでの半導体工場建設関連、など以下現時点を追っている。

長見晃の海外トピックス

≪自己完結の半導体製造に向けて≫

各国・地域別に、現下の関連する動き&内容を以下取り出している。

米国では、まず、政府が支援するインテル向け資金について、商務省と国防総省のやりとり関連である。

◇Intel inches closer to $3.5B contract to build secret fabs for Uncle Sam―They can't have x86 goliath building military chips out in the open now can they? (3月7日付け The Register)
→インテルは、アメリカの軍事および諜報プログラム向けに先進的な半導体を製造するため、アメリカのCHIPS法から$3.5 billionの資金提供を受ける予定である旨。

◇US 2025 defense budget to cut semiconductor spending (3月13日付け DIGITIMES)
→Research, Development, Test, and Evaluation(RDT&E)予算の中には、国防総省のマイクロエレクトロニクス・プログラムへの支出が含まれている旨。マイクロエレクトロニクス・コモンズ、マイクロエレクトロニクス技術開発&サポート、およびTrusted & Assured Microelectronicsである旨。CHIPS法によって資金が提供された最初のプログラムを除けば、残りの2つの政府プログラムは資金が減少しているように見える旨。

◇米国防総省、インテルへの半導体補助金$2.5 billion支出計画を撤回 (3月13日付け ブルームバーグ 日本語版)
→*$1 billionのみを負担する予定だった商務省が不足分を補完へ
 *インテル株、ブルームバーグの報道後の時間外取引で一時1.7%下落
米国防総省は、インテルへの半導体補助金として最大$2.5 billion(約3700億円)支出する計画を撤回した旨。事情に詳しい複数の関係者が明らかにした旨。この不足分を他の連邦省庁である商務省が負担することになる旨。

◇Pentagon pulls out of Intel's $3.5 billion CHIPS Act grant, expects Commerce Department to foot the bill―Reports: Pentagon punts Intel's $3.5B CHIPS Act grant to Commerce (3月14日付け Tom's Hardware)
→商務省はCHIPS法の補助金を支出することになっていたが、現在では$1 billion+国防総省からの資金だけでなく、$3.5 billionの費用全額に責任を負っている旨。

そのインテルは、中国・Huaweiへの半導体出荷が行なえている、と以下の取り上げである。

◇Intel survived bid to halt millions in sales to China's Huawei, sources say―Intel maintains license to sell chips to Huawei, sources say (3月12日付け Reuters)
→情報筋によると、インテルはトランプ政権が発行したライセンスに基づき、ファーウェイへの半導体販売を継続できる旨。アドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)は、インテルが該ライセンスを保持することに反対しているが、他の半導体メーカーはアクセスを制限されている旨。

◇US chip firms urge Biden administration to approve sales to China as ban backfires―American businesses bear the loss of chip ban: experts (3月13日付け Global Times)
→火曜12日にメディアが報じたところによると、米国が中国の半導体産業に対する取り締まりを強化する中、インテルはファーウェイへの販売継続のライセンスを確保した旨。この動きは、米国が自国産業への影響を抑えるために、中国の半導体開発を封じ込めるのに的を絞った制限を課していることを示している旨。

◇Intel defends selling chips to Huawei (3月13日付け SILICON VALLEY BUSINESS JOURNAL)
→AMDは、インテルが中国の巨大ハイテク企業である華為技術(ファーウェイ・テクノロジーズ)に数億ドル相当のマイクロチップを販売するのを阻止しようとした旨。

◇Intel still sells to Huawei millions of dollars’ worth of advanced chips, while AMD receives no such licence: sources (3月13日付け South China Morning Post)
→*インテルは、バイデンに許可を取り消すよう圧力をかけられたにもかかわらず、ファーウェイに高度なラップトップCPUsを販売するためのトランプ時代のライセンスをまだ保持している、と情報筋は言う旨。
 *AMDはバイデン大統領就任後の2021年に同様の半導体を販売するライセンスを申請したが、申請に対する回答は得られなかった、と情報筋は語る旨。

Biden米大統領の2024年一般教書演説が行われたが、米国・SIAからはCHIPS法の資金提供促進の働きかけである。

◇CHIPS Act funding still waiting for progress as Biden's State of Union Address promises little (3月8日付け DIGITIMES)
→Joe Biden米大統領は、2024年の一般教書演説で、米国は上昇しており、対中貿易赤字は過去10年以上で最も少ないと述べた旨。米国・Semiconductor Industry Association(SIA)からの応答は、CHIPS法について早急に進展させるよう米国政府に求めている旨。

対中国の半導体輸出規制について、米国が我が国およびオランダに強化を求めている件、以下の通り続いている。

◇半導体規制強化、米が日蘭に要請;中国向けの製造装置や材料;技術革新抑止へ対象拡大 (3月9日付け 日経)
→米政府が中国への半導体輸出規制をめぐって、日本やオランダに対象を広げて監視を強めるよう求めたことが7日、わかった旨。先端製品に限っていた半導体製造装置の販売制限を一部の中上位機にまで広げるほか、化学材料も含める旨。日本政府は現時点で新たな制限は予定していないとするが、日本の関連メーカーの海外戦略に影響を及ぼす可能性がある旨。

◇Japan ‘Not Planning’ to Widen China Chip Curbs Despite US Push―Washington is also pushing the Netherlands to stop ASML from maintaining and servicing equipment it sold to China before the Dutch chip export curbs came into effect (3月10日付け The Financial Times)
→米国が同盟国に対し、主要な経済的ライバルに対してより厳しい規制を実施するよう圧力をかけている中、日本は当面、中国の半導体産業を対象とした規制を拡大しないと発表した旨。
日本の政府関係者や企業はアメリカの圧力に「驚いた」と付け加えた日経アジアの報道によれば、ワシントンは日本の重要な半導体製造装置や化学製品の中国への輸出に注目している模様の旨。

いろいろ駆け引きの局面を感じさせる内容であるが、引き続き注目である。

次に、欧州について、イタリアでシンガポールの新興企業による半導体工場建設の動きが、以下の通りである。

◇Singapore Startup To Invest 3.2 Billion Euros in Italy Chips Factory―Singapore-based Silicon Box investing $3.5B in chip factory in Italy (3月11日付け BNN Bloomberg (Canada))
→Adolfo Urso(アドルフォ・ウルソ)産業相は月曜11日、半導体の新興企業であるSilicon Box社が、イタリア北部に半導体工場を建設するために32億ユーロ($3.5 billion)を投資すると発表した旨。該チップレット生産工場は、フル稼働で1600人の雇用を生み出すと予想されている旨。
今回の発表は、政府が、米国の大手半導体メーカー、インテル社にイタリアへの投資を説得できなかった後に行われた旨。政府はこの資金がどこから来るのか、すぐには明らかにしなかった旨。

◇Silicon Box Announces $3.6B Investment For Expansion Into Italy (3月12日付け SEMICONDUCTOR DIGEST)
→最新鋭の先端パネルレベル実装ファウンドリーのSilicon Box社は、イタリア政府と協力し、北イタリアに最大$3.6B(3.2B euros)を投資し、最先端の半導体組立およびテスト拠点を新設する意向であることを発表した旨。この拠点は、シリコンボックスが2028年までに見込んでいる次世代技術を可能にする高度なパッケージング能力に対する重要な需要を満たすのに役立つ旨。この複数年にわたる投資は、世界で最も先進的な半導体パッケージング・ソリューションのための実証された能力とキャパシティを持つシンガポールのシリコンボックスの旗艦ファウンドリーを複製し、その後3D統合とテストにさらに拡大する旨。

そのイタリアは、STMicroelectronicsに対して投資割合を高めるよう要求している。

◇Italy Wants Bigger Share of Investments by Semiconductors Firm―Italy demanding a bigger piece of STMicroelectronics' investments (3月12日付け BNN Bloomberg (Canada))
→Giorgia Meloni(ジョルジア・メローニ)政権は、半導体メーカー、STマイクロエレクトロニクスNVのイタリアへの投資割合を増やすよう要求している旨。
この問題に詳しい関係者が匿名を条件に語ったところによると、該半導体企業の株式を保有するイタリアは、Jean-Marc Chery(ジャン=マルク・チェリー)最高経営責任者(CEO)の新たな3年任期に反対している旨。イタリアは、同社の投資がフランスに有利であると考えている旨。

スペインでは、imecが300mm R&Dプロセスラインを設ける計画である。

◇imec to establish 300mm R&D process line in Spain for specialised chip technologies―Imec working on 300mm process facility in Spain (3月14日付け New Electronics (UK))
→1)スペイン政府とAndalusia(アンダルシア)州政府は、ナノエレクトロニクスとデジタル技術の研究拠点であるimecとともに、Malaga(マラガ)に半導体技術専門のパイロットラインを設立する計画である旨。
 2)imecは、スペインのマラガに300mm半導体プロセスの研究開発(R&D)拠点を計画している旨。この拠点は、ベルギーにあるImecのCMOSプロセスラインを補完することになる旨。

半導体工場建設が一気に具体化している感じ方のインドについて、業界各紙の取り上げが以下の通り続いている。

◇In India's semiconductor moment, spotlight on talent (3月9日付け The Economic Times)
→インドの半導体業界は、極めて重要な局面を迎えており、人材への注目が高まっている旨。

◇India roundup: India chip projects to begin construction as Taiwanese firms seek growth opportunities (3月11日付け DIGITIMES)
→3つのチップ製造プロジェクトのうち2つは、2024年半ばまでに開始される予定である旨。台湾企業は、インドでのビジネスチャンスに対して慎重な姿勢と楽観的な見方を示した旨。
 ・Tata fab in India to begin construction in mid-March, says PSMC chairperson
 ・CG-Renesas ATMP project in India to commence construction in mid-2024
 ・Foundry execs unsure about India's IC manufacturing ambitions
 ・India's ICT and EV manufacturing boom promises huge opportunities for Taiwanese industrial players
 ・India tightens grip on generative AI platforms
 ・Apple's reliance on iPhone in India increases as other products witness sales fall

◇Tata-PSMC wafer fab to produce first Indian chip by 2026 (3月13日付け DIGITIMES)
→PSMC会長によると、PSMCの技術支援により、30年以上ぶりの商業ファブであるタタのウェーハファウンドリーは、2026年末までに稼動する予定である旨。

◇Gujarat: First chip from Tata's Dholera plant to be out in 2026―Tata Electronics expected to debut first chip from Dholera fab in 2026 (3月14日付け The Times of India)
→Ashwini Vaishnaw電子情報技術(MeeiTY)大臣は、タタ・エレクトロニクスのDholera工場で生産される最初の半導体は2026年に出荷されると述べた旨。Vaishnaw氏は、グジャラート州CMのBhupendra Patel氏と共に、水曜13日にDholeraで行われた同社の半導体工場起工式後のメディアブリーフィングでこのように述べた旨。

米国のRaimondo商務長官一行が、フィリピンを訪問、同国での半導体製造拡充強化への支援を行うと訴えている。

◇US Chip Supply ‘Too Concentrated’ Globally, Raimondo Says (3月12日付け Bloomberg)
→Gina Raimondo(ジーナ・ライモンド)米商務長官は火曜12日、マニラで開催されたビジネスフォーラムで、米国はフィリピンの半導体拠点を倍増させ、世界の半導体サプライチェーンの地理的集中を緩和する手助けをしたいと述べた旨。

◇US Chip Supply ‘Too Concentrated’ in Few Nations, Raimondo Says―Raimondo looks to the Philippines to widen chip supply chain (3月12日付け BNN Bloomberg (Canada))
→Gina Raimondo(ジーナ・ライモンド)米国商務長官は火曜12日、マニラで開催されたビジネスフォーラムで、米国はフィリピンが半導体拠点を倍増させ、世界の半導体サプライチェーンの地理的集中を緩和することを支援したいと述べた旨。
この発言は、ライモンド長官の率いる貿易使節団が、米国企業によるフィリピンへの$1 billion以上の投資を発表したことを受けてのものである旨。ライモンド商務長官は、Antony Blinken(アントニー・ブリンケン)米国務長官と同様、東南アジア諸国に対し、そのようなビジネスの多くが、いまだに台湾、中国および韓国で行われているいま、半導体製造や関連産業への投資拡大を促している旨。

◇US ‘all in’ on Philippine chip sector as China tensions ramp up (3月12日付け Benar News)
→Gina Raimondo(ジーナ・ライモンド)米商務長官は火曜12日、中国との緊張が高まる中、世界の半導体サプライチェーンを多様化するため、米国はフィリピンとその半導体分野に「全力投球」すると述べた旨。
ライモンド商務長官は、2日間にわたるマニラへの貿易使節団の中で、アルファベットのグーグル、ビザおよびマイクロソフトを含む22人のアメリカ人企業幹部と共にこの発表を行った旨。

韓国では、半導体人材引き抜きを警戒する動きである。

◇Samsung, SK on high alert as more chip engineers move to foreign rivals (3月12日付け The Korea Times)
→サムスン電子とSKハイニックスは、中国の半導体企業だけでなく、米国の半導体企業からも人材を引き抜こうとする動きが続いており、技術盗用の問題の傾向を注視している旨。
業界関係者や専門家によると、企業がセキュリティ対策を強化し、競業避止義務契約を通じて人材を守る努力を行っているにもかかわらず、AIの時代において半導体分野の技術的優位性を確保することが極めて重要になっている今、専門家をリクルートし韓国企業の先端技術を盗もうとする試みが増加する見込みである旨。

韓国メーカーの米国での工場に対する米国政府補助金について、懸念が入り混じる以下の内容である。

◇Samsung, LG, SK suspend US construction projects amid soaring costs―US construction costs stymie investments from Samsung, SK, LG (3月13日付け The Korea Times (Seoul))
→サムスン、LGおよびSKの3社は、世界最大の経済大国である米国の大統領選挙を控え、建設コストの高騰や補助金の不透明感が残るなか、米国への投資に懸念を抱いている、と火曜12日関係者やアナリスト発。

◇Samsung Poised to Win Over $6 Billion for Expanded US Investment―Samsung set to receive more than $6B in CHIPS Act funds for US expansion (3月14日付け BNN Bloomberg (Canada))
→関係者によると、米国はサムスン電子に$6 billion以上の資金を提供する予定であり、サムスン電子がすでに発表しているテキサス州でのプロジェクト以外にも事業を拡大できるよう支援する旨。

米国の制裁を受ける中国であるが、以下の通り、SMICでの実態、そして国内外のリソース結集を学ぶスタンスに注目させられている。

◇Huawei chip used tech from two US gear suppliers (3月9日付け Taipei Times)
→華為技術有限公司(Huawei Technologies Co., Ltd.)とそのパートナーであるSemiconductor Manufacturing International Corp(SMIC、中芯)は昨年、米国の技術を利用して中国で先進的な半導体を製造した、とこの件に詳しい関係者が語った旨。
上海に本社を置くSMICは昨年、カリフォルニアに本社を置くApplied Materials社とLam Research社の装置を使い、ファーウェイのために先進的な7ナノメーターの半導体を製造した、と該筋は詳細は公表されていないため、名前は伏せた旨。

◇For semiconductor self-sufficiency, China must collaborate, not just innovate (3月12日付け South China Morning Post)
→*米欧の半導体業界は、数十年にわたる共同研究と知的財産の共有によって培われた、相互に絡み合ったグローバル・ネットワークである旨。
 *北京は、野心を実現するために、同様の方法で国内外のリソースを結集することを学ばなければならない旨。

最後に、台湾では、TSMCが国内外の拡張プロジェクトに向けて採用を再開しようとしている。

◇TSMC announces massive recruitment drive to bolster expansion projects (3月12日付け DIGITIMES)
→TSMCは、2023年に採用凍結を実施した後、採用を再開する計画を発表し、国内外の拡張プロジェクトに伴う人材ニーズの高まりに対応するため、2024年に6,000人のエンジニアとtechniciansの採用を目標としている旨。

それぞれ情勢の推移に照らしての取り組みであるが、問題含みの中の前進に引き続き注目するところである、


コロナ「5類」移行とはいえ、インフルエンザが加わり、直近ではコロナ新変異型が取り沙汰されて、一層用心怠りなくの現状と言えるかと思うが、コロナ前に戻る舵取りがそれぞれに行われている中での世界の概況について、以下日々の政治経済の動きの記事からの抽出であり、発信日で示している。

□3月12日(火)

前半3日は上げたが、インフレ懸念が高まって後半2日は下げる展開の今週の米国株式市場である。

◇NYダウ反発、46ドル高;ナイキとディズニーは2%高 (日経 電子版 07:41)
→11日の米株式市場でダウ工業株30種平均は反発し、前週末比46ドル97セント(0.12%)高の3万8769ドル66セントで終えた旨。12日の2月の米消費者物価指数(CPI)発表を控えて市場参加者が売り買いともに手控えたため、方向感に乏しい展開だった旨。相場上昇に出遅れていたディフェンシブ株や一部の消費関連銘柄が買われた旨。半面、前週末に続いて半導体やハイテク株の一角は売られ、相場の重荷となった旨。

米国の消費者物価指数(CPI)の伸びが高止まりの様相、インフレ懸念につながっている。

◇Stock Market News, March 12, 2024: S&P 500 Logs Fresh Record After Hotter-Than-Expected Inflation Data―Inflation in Feb. higher than anticipated at 3.2% ―February CPI up 3.2% from a year earlier; Nasdaq leads broad advance (The Wall Street Journal)
→米国の2月の消費者物価指数(CPI)は前年比3.2%上昇し、エコノミスト予想の3.1%をわずかに上回った旨。コア・インフレ率は3.8%で、1月の3.9%から低下したが、予想の3.7%をも上回った旨。

□3月13日(水)

◇NYダウ続伸で235ドル高;NVIDIA7%高、S&P500最高値 (日経 電子版 06:37)
→12日の米株式市場でダウ工業株30種平均は続伸し、前日比235ドル83セント(0.60%)高の3万9005ドル49セントで終えた旨。このところ下げの目立っていた半導体株が上昇し、投資家心理が改善した旨。半面、2月の米消費者物価指数(CPI)が市場予想を上回り、米長期金利が上昇したのは株式相場の重荷だった旨。

◇米利下げ「年内3回」に後退;市場、粘着インフレを警戒 (日経 電子版 07:00)
→米労働省が12日公表した2月の米消費者物価指数(CPI)が想定より強い結果となったことで、投資家の利下げ期待は後退した旨。インフレの長期化懸念が広がり、金利先物市場が織り込む年内の米連邦準備理事会(FRB)の利下げ回数は3回とFRBが昨年末に示した見通しと同程度になった旨。ただ、米株式市場で主要指数が最高値を更新するなど過熱感も垣間見える旨。

□3月14日(木)

◇NYダウ小幅続伸、37ドル高;NVIDIAやIntelが反落 (日経 電子版 06:46)
→13日の米株式市場でダウ工業株30種平均は小幅に3日続伸し、前日比37ドル83セント(0.09%)高の3万9043ドル32セントで終えた旨。米経済がソフトランディング(軟着陸)に向かうとの見方が支えとなり、相対的に出遅れていた景気敏感株の一角に買いが入った旨。一方、米長期金利の上昇が投資家心理の重荷となり、ダウ平均は次第に伸び悩んだ旨。

米国の生産者物価指数(PPI)でも、インフレ懸念然りである。

◇US Producer Prices Jump, Adding to Signs of Persisting Inflation―PPI posts largest jump in 6 months in Feb.―Core and broader measures exceed estimates for modest rises―Economists parse PPI for inputs into Fed’s preferred gauge (Bloomberg)
→2月の生産者物価指数(PPI)は過去6ヵ月で最大の伸びとなり、前年同月比1.6%、1月比0.6%の上昇となった旨。コアPPIも前月比0.3%、前年同月比2%上昇し、インフレが依然高水準にあることを示した旨。

□3月15日(金)

◇NYダウ反落、137ドル安;インフレ懸念が重荷 (日経 電子版 07:12)
→14日の米株式市場でダウ工業株30種平均は4営業日ぶりに反落し、前日比137ドル66セント(0.35%)安の3万8905ドル66セントで終えた旨。朝方発表の2月の米卸売物価指数(PPI)が市場予想を上回り、米長期金利が上昇。株式の相対的な割高感が相場の重荷となった旨。ダウ平均の下げ幅は一時300ドルを超えた旨。

□3月16日(土)

我が国の本格成長戦略回帰が問われる動きである。

◇日銀、マイナス金利解除へ;賃上げ拡大で17年ぶり利上げ (日経 電子版 02:00)
→・金融政策は正常化に向かい「金利ある世界」へ
 ・新たな短期金利の誘導目標は0-0.1%案が有力
 ・中小の賃上げ率4.42%、物価との好循環見込む
日銀は18〜19日に開く金融政策決定会合でマイナス金利政策を解除する見通しになった旨。2024年の賃上げ率は5.28%と33年ぶりの高水準となり、2%の物価目標を持続的・安定的に達成できる環境が整った旨。

◇NYダウ続落、190ドル安;金利高でハイテク株に売り (日経 電子版 06:34)
→15日の米株式市場でダウ工業株30種平均は続落し、前日比190ドル89セント(0.49%)安の3万8714ドル77セントで終えた旨。米長期金利が上昇し、ハイテク株を中心に株式の相対的な割高感が意識され、売りが出た旨。


≪市場実態PickUp≫

【AI関連の提訴および規制】

著作権侵害を巡る提訴が、以下の通りである。

◇Nvidia sued by authors over the unapproved use of copyrighted material in training AI (3月10日付け SILICON VALLEY BUSINESS JOURNAL)
→訴状によると、該著者の本は、NvidiaがオープンソースのAI研究組織、EleutherAIから受け取った「The Pile」と呼ばれるデータセットの一部だった旨。

◇NVIDIAを著作権侵害で提訴、米作家;対話AI開発に利用 (3月12日付け 日経 電子版 04:24)
→米半導体大手エヌビディアが手がける対話型AI(人工知能)の開発支援サービスをめぐり、本のデータ利用で著作権を侵害しているとして米国の作家3人が同社を提訴したことが11日までに分かった旨。同社は著作権に関する法律に従っていると主張している旨。
エヌビディアは「NeMo(ニーモ)」と呼ぶ対話型AIの開発支援サービスを提供している旨。

◇米NYタイムズ、OpenAIの主張に反論;著作権訴訟で (3月16日付け 日経 電子版 05:15)
→米新聞大手ニューヨーク・タイムズ(NYT)が米人工知能(AI)企業のオープンAIを著作権侵害で訴えている問題を巡り、両社の応酬が激しさを増している旨。オープンAIはNYTの証拠の一部が不正だとして訴訟の取り下げを求めたが、これに対してNYTは「オープンAIの主張は間違いだ」と反論していることが15日までに分かった旨。

世界初の動き、欧州議会がAI規制案を可決、生成コンテンツに明示義務を求めている。

◇World’s first major act to regulate AI passed by European lawmakers (3月13日付け CNBC)
→*欧州連合(EU)の議会は水曜13日、ハイテク投資の最前線にあるメディア化された人工知能(AI)を管理するための、世界初の主要な規制基本規則を承認した旨。
 *2021年に誕生したEUのAI法は、技術を禁止する「容認できない」から高、中および低の危険度まで、リスクのカテゴリーに分ける旨。
 *この規則は、最終チェックを通過し、欧州理事会(EC)の承認を得た後、5月の議会終了後に発効する予定である旨。

◇欧州議会がAI規制案可決;生成コンテンツに明示義務 (3月13日付け 日経 電子版 23:00)
→欧州連合(EU)の立法機関である欧州議会は13日の本会議で、人工知能(AI)の開発や利用を巡る世界初の包括規制の最終案を可決した旨。生成AIの提供企業に、AI製であることを明示させるなど透明性の担保を求める旨。違反企業には制裁金を科す旨。
欧州議会が仏ストラスブールで本会議を開き、賛成多数で承認した旨。加盟国からなる閣僚理事会も近く承認し、成立する見通しとなった旨。


【インテルの巻き返し】

あれこれあって発散しがちなインテルの動向についての理解であるが、1.4-nmまで見える微細化での巻き返しの取り組みである。

◇インテル、半導体微細化で巻き返し;米先端工場に6兆円 (3月11日付け 日経 電子版 02:00)
→米インテルが半導体の微細化競争で巻き返しに動いている旨。米国内への工場誘致を目指すバイデン米政権の補助金をフル活用し、米国では総額$40 billion(約6兆円)を超える投資計画を進める旨。先端品の製造能力で台湾や韓国勢に追いつき、外部の半導体メーカーからの製造受託の拡大を狙う旨。

◇インテル、先端半導体量産で挽回へ 米で補助金活用、6兆円投資 製造受託、復権の核に (3月12日付け 日経)


【注目の取り組み3件】

≪Nvidiaの1,000-watt GPU≫

◇Dell COO lets slip upcoming 1,000-watt GPU from Nvidia (3月7日付け FierceElectronics)
→AI半導体の消費電力は、データセンターの達人やデルのようなサーバーメーカーが最も懸念していることのひとつ。
デルのCOO、Jeff Clarke(ジェフ・クラーク)氏は、先週の同社の決算説明会で、Nvidiaの最新のAIアクセラレータの消費電力が1,000ワットで、前モデルから42%増加することを明らかにした旨。

◇Nvidia’s 1,000-watt chips will be hot ー who can cool them? (3月8日付け FierceElectronics)
→同社が最近発表したホワイトペーパーによると、Iceotopeのシステムは最大1,000ワットの半導体を効果的に冷却できる旨。
 *今後登場する非常に高温の半導体を冷却することは、データセンター運営者にとって大きな課題である。
 *Dell'Oroのアナリストによれば、液冷が鍵になるとのこと。
 *Icetopeは精密液冷の道を歩む。


≪Appleの車用モンスター半導体≫

◇Apple developed a monster chip for its Apple Car project, report says―Apple was developing a chip "equal to about 4 M2 Ultras" ―Not one, not two, not three, but four M2 Ultras combined. (3月12日付け Mashable)
→アップルはApple Carプロジェクト用に「およそM2ウルトラ4個分」の半導体を開発していた、とブルームバーグのMark Gurman(マーク・ガーマン)氏は語った旨。同社はApple CarPlayに集中するため、自律走行車プロジェクトを中止したと伝えられている旨。


≪CerebrasのウェーハスケールAI半導体≫

◇Cerebras’ Third-Gen Wafer-Scale Chip Doubles Performance―Cerebras debuts wafer-scale chip with performance boost (3月13日付け EE Times)
→1)Cerebras(セレブラス)社は、単一デバイスで125PFLOPS(FP16精度)を提供する第3世代のウェハースケール半導体を発表した旨。1日あれば、4チップでLlama2-70Bの微調整が可能であり、最大で2,048チップを搭載すれば、同じ時間でゼロからLlama2-70Bを学習させることができる旨。セレブラスのAndrew Feldman(アンドリュー・フェルドマン)最高経営責任者(CEO)はEE Timesに対し、「このウェーハスケール・エンジン3(WSE3)は、同じ15kWの電力エンベロープと同じコストポイントで、WSE2のlarge language model(LLM)のトレーニング速度を2倍にする」と語った旨。
 2)セレブラスの第3世代ウェハースケールチップは、デバイスあたり125PFLOPSを提供し、ウェハースケールエンジン2の2倍の大規模言語モデル学習速度を実現する旨。このチップは、TSMCの5-nanometerプロセスで900,000個のコアを収容している旨。

◇Cerebras Unveils Its Next Waferscale AI Chip ―Which will power an 8-exaflop AI supercomputer (3月14日付け IEEE Spectrum)
→カリフォルニア州サニーベールのAIスーパーコンピューター企業、Cerebras(セレブラス)は、同社の次世代ウェハースケールAI半導体は、同量の消費電力で前世代の2倍の性能を発揮できると発表した旨。このウェハースケール・エンジン3(WSE-3)には4兆個のトランジスタが搭載されており、新しい半導体製造技術の採用により、前世代より50%以上向上している旨。


【HBM開発を巡るせめぎ合い】

広帯域メモリー(HBM)で先行優位のSK Hynixがトップのサムスン電子との差を詰めているとの理解であるが、両社のHBM開発を巡る応酬の様相があらわれる以下の内容である。

◇Exclusive: Samsung to use tech favoured by SK Hynix as AI chip making race heats up―AI chip race: Samsung reportedly turns to MUF tech (3月13日付け Reuters)
→サムスン電子は、ジェネレーティブAIへの関心が高まるにつれて、高帯域幅メモリー(HBM)半導体にモールドアンダーフィル(molded underfill)の半導体製造技術を使用しようとしている、と情報筋は述べている旨。ライバルのSKハイニックスは、非導電性フィルム(non-conductive film)の生産上の問題に対処するため、大量リフロー成形アンダーフィル(mass reflow molded underfill)に切り替えた旨。

◇Samsung Electronics denies media report on adopting SK hynix's chipmaking tech―Samsung rejects reports of its adoption of SK Hynix's tech (3月13日付け The Korea Times (Seoul))
→世界No.1のメモリー半導体メーカーであるサムスン電子は水曜13日、最先端の人工知能(AI)半導体市場で追い抜くために、地元のライバルであるSKハイニックスが使っている技術を利用しようと計画しているという最近の報道を否定した旨。
複数の情報筋の話を引用したReuters(ロイター)の報道によると、サムスン電子は、mass reflow molded underfill(MR-MUF:大量リフロー成形アンダーフィル)技術を導入できる半導体製造装置を取得中とされる旨。この技術は高帯域幅メモリー(HBM)半導体の製造に不可欠であり、SKハイニックスが専門性を確立している分野である旨。

◇Samsung Electronics denies media report on adopting SK hynix's chipmaking tech (3月13日付け Yonhap News Agency)

◇韓国でDRAM積層競争;材料・装置、日系企業も一役(ASIATECH) (3月13日付け 日経)
→先端メモリー製品の「広帯域メモリー(HBM)」の開発競争が熱を帯びている旨。半導体チップを積層しデータ処理能力を高める技術で、先行する韓国SKハイニックスをサムスン電子などが追う旨。精緻な積み上げ技術を支える日系の装置・材料メーカーにとってHBM普及は大きな商機。


【現下の市況関連】

半導体市場の本格的な回復立ち上がりが待たれる現時点であっるが、実態そして幾分期待が持てそうな内容をランダムに取り出して、以下の通りである。依然様子見を要する受け止めである。

◇Taiwan’s export growth suddenly sputters, but AI shipments offer ‘cushion’ amid subdued electronics market (3月8日付け South China Morning Post)
→*台湾の2月の輸出増加率はわずか1.3%だったが、2023年の大半は減少していたため、4ヶ月連続の増加となった旨。
 *先月は旧正月があったため輸出は減少したが、アナリストによれば、台湾は今年も全体的に輸出を伸ばせる旨。

◇Foxconn to shed light on China’s tech manufacturing sector as iPhone headwinds mount (3月11日付け Deccan Herald)
→Counterpoint Researchによると、アップル社の中国におけるiPhoneの販売台数は、今年最初の6週間で24%減少した旨。中国の半導体技術へのアクセスに対する規制が強まるリスクもあり、フォックスコンはiPhoneの組み立ての一部をシフトしている旨。

◇Global Shipments of PC Workstations Shrank Nearly 9% in 2023, but Recovery Expected as Several Market Drivers Coalesce in 2024, According to IDC (3月13日付け IDC)
→世界のデスクトップおよびモバイル・ワークステーション市場は、2023年の締めに向けてやや回復し、第4四半期(4Q23)の出荷台数は前年同期比6.1%増となった旨。International Data Corporation(IDC)のWorldwide Quarterly Workstation Trackerによると、第4四半期(4Q23)の出荷台数は185万台となり、5四半期連続で前年比出荷台数が減少していた状況から一転した旨。

◇台湾IT、19社、2月5.9%減収;TSMCは11.3%増収 (3月13日付け 日経)
→世界のIT大手に半導体やデジタル製品を供給する台湾メーカー主要19社の2月の売上高合計は前年同月比で5.9%減。3カ月連続のマイナスだったが、減少率は1月(8.3%減)に比べ縮んだ旨。人工知能(AI)向けが好調な台湾積体電路製造(TSMC)など半導体関連は増収が目立った旨。

◇DRAM、5%上昇、2月大口価格、PC向け回復観測 (3月13日付け 日経)
→半導体メモリーの一つ、DRAMの2月の大口取引価格が前月比で5%上昇した旨。2024年中にも見込まれるパソコン(PC)の更新需要を見すえ、買い手が安定調達のためにメモリーメーカーの値上げ要請を受け入れた旨。

◇Global Semiconductor Materials Market Set to Achieve Record Highs (3月14日付け SEMICONDUCTOR DIGEST)
→半導体サプライチェーンの回復力を高めるための材料市場情報を提供するアドバイザリー会社であるTECHCETは、今年の世界半導体材料市場の回復を予測している旨。2023年は半導体業界全体の環境低迷により前年比6%減となったが、2024年は状況が好転するため7%近いプラスとなる見込みである旨。

◇Chinese smartphones aid in NAND prices rebound (3月14日付け DIGITIMES)
→NANDフラッシュの価格が徐々に回復する中、サムスン電子も増産に乗り出しており、中国・西安工場の稼働率が70%程度まで回復したとの報道もあり、川上の原材料・部品サプライヤーの負担軽減に一役買っている旨。

◇車載半導体、在庫が滞留、10〜12月、コロナ禍上回る、中国景気減速で需要低迷 (3月15日付け 日経)
→日米欧の主要な車載・産業機器用半導体メーカー5社の平均在庫回転日数は、2023年10〜12月期に約73日となり、新型コロナウイルス禍で半導体需給が混乱した2020年4〜6月期(約71日)を上回った旨。中国景気の減速などで需要が失速している旨。2024年前半までは滞留が続くとの見方が多い旨。

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