中国半導体は国産AIチップ開発で注目集める!!〜産業スパイ、台湾の技術流出急増も
中国ファーウェイは計算能力を高めた新しいAI半導体技術を発表した。グラフィックスカードを1万5488枚も相互接続が可能であり、まことにもって優れものなのである。そしてまた、中国の国有通信会社のチャイナユニコムは、アリババなどが開発した国産AI半導体を活用した大規模データセンターを建設し、注目を集めている。このデータセンターは約2万3000個の国産AI半導体を使用し、3579 Peta FLOPS(ペタフロップス)の演算能力を構築したのである。
一方、中国政府はAIチップにおいて圧倒的なマーケットシェアを誇るNvidiaの半導体購入を停止するよう命令を出した。米中貿易戦争が激化する中にあって、Nvidia製のAIチップが手に入らない状況下で、アリババなどに対し、自前の半導体を作るべきだという指令を出しており、これに限らず半導体設計、半導体製造さらには、半導体製造装置、半導体材料などをすべて国産化していくと実に威勢のいいことを中国政府はぶち上げているのだ。
しかしながら、よく知られている通り、中国勢が基礎材料から立ち上げていくすべての半導体技術を、自前で開発することはほとんどないと言ってよいだろう。大半がコピーなのである。ただ、正確に言えば欧米およびアジアの半導体関連企業に勤務するエンジニアたちを口説いて、とんでもない年収を保証するから中国企業に入社してくれとのお誘いをかけるケースが多いのである。職業選択の自由がある限り、どんな国においても他の国の企業に移ることは全然問題のないことであり、裏に忍び寄る中国の罠が見えているとしても、これは合法行為なのである。
しかし、台湾で産業スパイの活動が活発化していることはかなり問題になってきている。5年間で110件の技術が流出した疑いが出ている。台湾当局の捜査によれば、TSMCが産業スパイの標的になっており、ここにきては、こうした産業スパイによる技術を盗む案件が激増しているという。
この背景には、中国の半導体国産化の推進があるわけだが、結局は技術を盗んでの国産化であるからして、まったくもって酷いものだと言えよう。
思えば、先端技術の流出の中心は、1980年代には最強の半導体王国であった日本が標的にされた。今の日本の半導体は、世界シェア8%しかなく、情けないことに技術が流出される対象にない。最も、北海道ラピダスが立ち上がればシェアが一気に上がってくるであろうが、これには5年以上の歳月がかかるだろう。
そして、90年代以降には台頭著しいSamsungやSK hynixなどの韓国勢から技術を盗むという風潮が高まった。そして今や、事実上の半導体生産の世界チャンピオンであるTSMCなど台湾からの技術流出が一気に増えてきた。技術流出の推移は、半導体産業の歴史とともにあるのだといえよう。


