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TSMC、熊本第2工場建設着手、今四半期に2nm量産開始、売上・利益共過去最高

10月16日、TSMCが2025年第3四半期(7〜9月)の決算発表を行った。翌17日の日本経済新聞で一部報告されたが、質問も含めて日本と関係する部分を中心に、その詳細を報告しよう。この期における売上額は前年同期比40.8%増の331億ドル、営業利益率は50.6%と前年同期よりも3.1%ポイント増加した。ドル安・台湾元高の影響で台湾元では売上額は30.3%増の9899.9億台湾元になっている。

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図1 2025年第3四半期におけるTSMCのプロセス別売上額比率 出典:TSMC


売上額の内、けん引しているプロセスは7nm以下の先端プロセス品で、全売上額の74%を占めている(図1)。3nmプロセスが全体の23%、5nmプロセスは37%、7nmプロセスは14%となっている。1年前は先端プロセスを16nm以下、と定義しており、16/20nmも含めると実に81$に達する。すなわち先端プロセスで稼いでいるといえる。ラピダスの小池淳義社長が2nmを開発する理由の一つとして、先端プロセスは儲かるから、を挙げていることはTSMCの業績からもわかる。

また応用別で売上額が最も多いのはデータセンターやスーパーコンピュータなどを中心とするHPC(高性能コンピューティング)であり、全売上額の57%となっている。次がスマートフォンの30%で、以下IoT5%、自動車5%などとなっている(図2)。やはり先端プロセスをまだ必要としないIoTや自動車向けのウェーハ価格は先端プロセスのそれよりも安いため売上比率は少ないが、自動車がSDV(ソフトウエア定義のクルマ)時代に入ると、クルマがコンピュータそのものになり先端プロセスが必要となる。このため、TSMCは自動車分野にも真剣に取り組んでいる。


3Q25 Revenue by Platform / TSMC

図2 2025年第3四半期におけるTSMCの応用別売上額比率 出典:TSMC


成長をけん引するのはやはりAI関連の強い需要であり、それ以外の市場も底を打ちゆっくりと回復してきている、とTSMC CEOのC.C. Wei氏は述べている。少なくとも2025年全体の売上額は、前年比35%前後の年成長率になりそうだとしている。AI PCにおいてもLLM(大規模言語モデル)ないしSLM(小規模言語モデル)の採用が増え続けている。「その情報量の基本単位であるトークンの量が爆発的に増えているため、コンピュテーション能力がますます求められ、それにより半導体の集積度がますます高まっていく。このため、シリコンの需要がますます高まっている」とWei氏は語る。このことはNvidiaのJensen Huang氏が述べてきたことと一致する。AIのメガトレンドが強まる方向であることは、TSMCとしてもシリコンの生産能力をもっと上げていかなければならないことになる。

TSMCの海外展開に関しては、米国のアリゾナ工場、日本の熊本工場、欧州のドレスデン工場に関して言及している。アリゾナ工場ではN2(2nm)プロセスへの移行を進めており、さらにA16などの先端プロセスについても移行していく方針だ。米国での生産能力を上げるため、2か所の土地を確保しつつあるという。今後数年間にわたる強いAI需要に対処するためである。アリゾナ工場をギガファブ規模に拡張していくとWei氏は述べている。

熊本工場では第2工場の建設が始まったが、その立ち上げ時期は顧客のニーズに合わせて決める。第1工場は2024年末に量産を開始しており歩留まりも良いという。熊本工場は日本政府、地方自治体の強いサポートに感謝の意を表明している。

ドイツのドレスデン工場についても、スペシャルティファブ(特殊プロセスのファブ)向け工場の建設が始まった。ここでもEC(欧州委員会)とドイツ連邦政府、市政府からの支援への感謝の意を表している。

AI需要は今後とも45%前後で成長していくことから、これまでと同様、設備投資も増やしていく。以前の45%前後という伸びより少し上方かもしれないと見ている。2026年はAI需要が順調に伸びるため、投資も増える方向だが、具体的な数字は来年初めに明らかにするWei氏は述べている。

2nmプロセスは今の第4四半期中に量産を開始する予定であり、歩留まりも良いため26年には早い立ち上がりを見込んでいる。特にスマホとHPCの強い需要に応えるためだという。このN2プロセスに続き、その派生品となるN2Pプロセスにも力を入れており、N2Pプロセスも26年後半には量産開始する予定だとしている。さらにA16プロセスでは裏面電源配線技術であるSuper Power Railを採用する。A16も来年後半に量産開始する見込みである。

(2025/10/20)
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