今年の世界半導体市場は1兆ドル超えが現実的になってきた
SIA(米半導体工業会)によると、2026年第1四半期(1〜3月期:1Q)における世界半導体販売額は、前年同期比(YoY)79.2%増、前期比(QoQ)25.0%増の2985億ドル(約46.3兆円)を記録した。半導体産業は例年、1Qはその前年の4Qと比べ、10%程度低下していたが、今年はプラス25%アップである。今年の半導体市場は過去最高の販売額になることは間違いなさそうだ。
図1 2000年1Qから2026年1Qまでの世界半導体販売額 単位は1000ドル 出典:WSTSの数字を筆者がグラフ化
例年、4Q(10〜12月期)はクリスマス商戦でゲーム機やスマートフォン、パソコン、タブレットなどが大いに売れ、半導体もそういった電子機器に大量に搭載されるため、1年の四半期の内でピーク値を示してきた。このため反動によって次の年の1Qは10%程度落ちて、これを底にして、2Q、3Q、4Qと徐々に販売額が増加してくるという傾向があった。
ところが、1Qに販売額がQoQで落ちなかった年は、ほぼ2桁成長を示してきた。毎年の1Qをピックアップしてみたのが図1である。2026年1Qは前年比79%増であるから、例年と比べ、とてつもなく大きな金額となっている。市場調査会社のOmdiaやGartnerは今年の半導体市場は1兆ドルに到達するという予測を立てている。この予測はウクライナ戦争、イラク戦争の最中の2026年でさえ、現実的になってきたといえそうだ。
2020年の新型コロナのころから見ると、新型コロナ⇒工場シャットダウン⇒1〜2週間後に再開、すぐ半導体を欲しい⇒そうすぐには生産できない⇒半導体不足⇒単価の値上がり⇒半導体売上23%増の過去最高額を示した2022年。翌年の23年はその反動が来て-21.3%の減少の後24年は、回復したという実感がないのに18.1%増、25年はさらに18.8%増とやってきた。
26年はこれまでスマホやパソコン、自動車などが回復したという感覚がないのにも関わらず、79%増の2985億ドルという市場最高額を示した。いうまでもなくAIデータセンターへの投資による急増である。AIはこれまでのけん引力だったパソコンやインターネット、スマホとは全く違うテクノロジーであり、あらゆる産業や、あらゆる業種の2次産業だけではなく、農業や漁業などの1次産業、さらにはITや情報、プログラミングなどの3次産業にまで入り込んでいる。しかも汎用性がなく専用的なので、専用のハードウエア、専用のソフトウエアが必要となるため、すそ野まで含めると応用分野は限りなく広い。
AIデータセンターは単なるAIクラウドや企業クラウドのインフラにすぎない。そのインフラへの投資が限りなく増えている。この広がりがAIの本質であり、しかもAIの進化とも絡んでいる。AIはディープラーニング(DNN)から始まり、生成AIで大人から子供まで広がった。さらに理由付けをしっかりと獲得するリーズニングAIや、専用AIから別の専用AIへと自動的に指示、動作させるエージェントAI、さらには実物のクルマやロボットにインテリジェンスを加えるフィジカルAIへと進化を遂げつつある。その進化と共に半導体に対して処理時間の短縮化と消費電力の削減が求められ、半導体の進化もAIの進化を後押しする。
だから79%増という数字は、今回がピークの成長率かもしれないが、27年、28年もAIがけん引する限り、2桁成長は続くと考えられる。あらゆる産業やあらゆる職業にAIがまだリーチしていないからだ。AIデータセンターへの大きな投資が2030年ころまで続くなら、AIデータセンターというインフラがある程度完成し、その次はエッジAIが大きく羽ばたくことになろう。本格的なAI時代は2030年代にやってくる。
参考資料
1. 「半導体ICの成長率を年初に推しあてる手法をIC Insightsが公開」、セミコンポータル、(2021/12/10)
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