なお続くAI連携、OpenAIとBroadcom、OracleとAMD、Googleとインド
前回は、Nvidiaと富士通、xAIおよびインテルの各社、そしてOpenAIのAMDおよび開発者イベント、OpenAI DevDayでのそれぞれ戦略的連携に注目したが、今回も、OpenAIとBroadcom、OracleとAMD、そしてGoogleとインドという組み合わせでの同様の連携が引き続いて見られて、以下取り上げている。AI(人工知能)データセンター構築に向けた巨額のインフラ投資がそれぞれにあらわされて、過剰投資あるいは過大評価を危ぶむ見方もあらわれている。月次最高更新がこのところ続く世界半導体販売高も、AI関連需要が大きく引っ張って、従来分野は控え目な伸び、というのが大方の見方となっているが、AIの活況がいつまで続くか、今後の推移に注視する市場模様である。
≪引き続き、AI需要が引っ張る活況のもとで≫
現下の戦略的連携について、市場の空気感があらわされている。ともに先行きに慎重な見方である。
◇OpenAI、NVIDIAと200兆円「循環投資」 ITバブル型錬金術に危うさ (10月16日付け 日経 電子版 04:34)
→米オープンAIが約200兆円のインフラ投資でいびつな取引を繰り返している。AI開発用半導体を調達するため、米エヌビディアなどから巨額資金の提供を受ける。売り手と買い手で資金循環する手法はITバブル期に類似し、成長を実態以上に大きく見せ過剰投資を呼ぶ危うさがある。
◇Chance of AI market correction is ‘pretty high,’ says ex-Meta exec Nick Clegg as he pushes back on superintelligence (10月16日付け CNBC)
→1)*元Meta幹部で英国政治家のNick Clegg氏は、水曜15日にCNBCの番組「Squawk Box Europe」に出演し、Arjun Kharpal氏と対談した。
*クレッグ氏は、「AIの世界では、ほぼ毎日、毎時間、取引が爆発的に行われている」と述べた。
*クレッグ氏は、AIは今後も普及していくとしながらも、テクノロジー業界のリーダーたちが掲げる約束の一部には疑問を呈した。
2)元Meta幹部のニック・クレッグ氏は、過大評価された評価額と熱狂的な取引を例に挙げ、AI市場の調整の可能性が「かなり高い」と警告した。AIの長期的な影響は依然として現実のものだが、普及は誇大宣伝ほどには進まない可能性が高いと強調した。
今回の戦略的連携について、まず、OpenAIとBroadcom関連が以下の通りである。コンピューティング容量に向けた電力需要の大きさに注目している。
◇OpenAI, Broadcom Forge Multibillion-Dollar Chip-Development Deal―Broadcom, OpenAI team up for custom AI chips―The companies plan to deploy 10 gigawatts of custom AI chips over the next four years (10月13日付け The Wall Street Journal)
→OpenAIとBroadcomは、今後4年間で10ギガワットのカスタムAIチップとコンピューティングシステムを共同開発・導入するための数十億ドル規模のパートナーシップを締結した。この提携は18ヶ月にわたる協力関係をさらに拡大するもので、Broadcomは来年後半にOpenAI向けチップの導入を開始する予定である。これにより、OpenAIのコンピューティング容量契約は合計26ギガワットとなる。
◇Broadcom CEO says generative AI will become a much larger part of global GDP (10月13日付け CNBC)
→1)*ブロードコムのCEO、Hock Tan氏は、CNBCのJim Cramer氏とのインタビューで、生成AIの世界GDPへの貢献は増加するだろうと述べた。
*タン氏は、現在のGDPは約$110 trillion(110兆ドル)で、そのうち30%は「知識ベースで技術集約型の産業によるもの」であり、生成AIによってその数字は40%にまで拡大する可能性があると述べた。
2)ブロードコムのCEO、ホック・タン氏は、産業界が生成AIを導入するにつれて、AIは世界のGDPの30%から40%に拡大し、年間10兆ドルの付加価値を生み出す可能性があると述べた。ブロードコムとOpenAIが10ギガワットのAIアクセラレーター開発で提携したことが、株価を10%近く急騰させた。
◇Why Broadcom’s Bet on OpenAI Is a Big Risk―Why Broadcom's OpenAI deal is a high-risk, high-reward bet―Broadcom is hitching its future to Sam Altman’s vision (10月14日付け The Wall Street Journal)
→OpenAIと膨大な数のチップとコンピューティングシステムを開発する契約は投資家から歓迎されている。しかし、同社の株価が示唆するほど、明確な勝利ではない。
この契約は、OpenAIとNVIDIAやAdvanced Micro Devices(AMD)を含む世界最大のAIチップサプライヤーとの間で相次いで締結された一連の契約の集大成となる。いずれの契約も、OpenAIが数十万個のチップを保有するデータセンターに数十億ドルを投じる内容となっている。Broadcomの株価は、この契約の報道を受け、月曜日に9.9%上昇した。
◇Good business or risky business? ―Broadcom, OpenAI team up for custom AI chips (10月14日付け AI Impact)
→OpenAIとBroadcomは、今後4年間で10ギガワットのカスタムAIチップとコンピューティングシステムを共同開発・導入するための数十億ドル規模のパートナーシップを締結した。この提携は18ヶ月にわたる協力関係をさらに拡大するもので、Broadcomは来年後半にOpenAI向けチップの導入を開始する予定である。この契約により、OpenAIのコンピューティング容量契約は合計26ギガワットとなり、ウォール・ストリート・ジャーナルの報道によると、「ニューヨーク市の夏の電力需要の2倍以上を満たすのに十分な量」に相当する。
次に、OracleとAMDであるが、AMDのAI半導体が用いられて、Nvidiaへの対抗色が強い内容となっている。
◇Oracle Cloud to deploy 50,000 AMD AI chips, signaling new Nvidia competition (10月14日付け CNBC)
→1)*Oracle Cloud Infrastructureは火曜14日、2026年後半から5万台のAMD製グラフィックプロセッサを導入すると発表した。
*この動きは、クラウド企業がAI向け市場をリードするNVIDIAのGPUsに代わるAMD製GPUsの提供を増やしていることを示す最新の兆候である。
*Oracle Cloud Infrastructure担当シニアバイスプレジデントのKaran Batta氏は、「特に推論分野において、お客様はAMDを非常にうまく受け入れるだろうと感じている」と述べている。
2)Oracle Cloud Infrastructureは、2026年後半から5万台のAMD Instinct MI450 AI GPUsを導入する予定であり、NVIDIAとのクラウド競争の激化を示唆している。この動きは、OpenAIのマルチベンダーAI戦略をサポートし、大規模推論能力を拡張するとともに、OracleのエンタープライズAIへの取り組みを強化するものである。
◇Oracle to offer cloud services using AMD's upcoming AI chips―Oracle turns to AMD AI chips for cloud services (10月14日付け Reuters)
→オラクルは、AMDの次期AIチップ「MI450」を用いたクラウドサービスを提供するため、AMDと提携した。来年第3四半期には、5万個のプロセッサを初期導入する予定である。大規模なAIワークロードに対応するよう設計されたこのチップは、AMDのHeliosラック設計を採用した新しい「AIスーパークラスター」の中核を担う。
◇AMD says Oracle is committing to widespread use of new AI chips (10月15日付け Taipei Times)
→AMDは来年からOracleにデータセンター向けMI450 AIプロセッサ5万個を供給する予定で、AIインフラ需要の急増とOpenAIおよびBroadcomとの継続的な契約の中で、AMDはNVIDIAの信頼できるライバルとしての役割を拡大する。
◇米オラクル、AMDのAI半導体採用 NVIDIA依存の脱却狙う (10月15日付け 日経 電子版 07:43)
→米オラクルは14日、米AMDのAI向け半導体の採用を増やすと発表した。2026年後半にAMDから次世代品を5万個調達し、データセンターで使う。AI半導体で世界シェアの大半を握る米エヌビディアに依存する状態からの脱却を狙う。
同日から米西部ラスベガスで開く技術イベントで発表した。
オラクルも、AI需要による業績急拡大があらわされている。
◇米オラクル、売上高「5年で4倍に」 メタからもAIクラウド受注 (10月17日付け 日経 電子版 16:48)
→米オラクルは16日、2030年5月期の売上高が25年5月期比3.9倍の$225 billion(約33兆8000億円)に増える見通しを発表した。AI向けのクラウド事業が急拡大する。調整後1株利益は30年5月に21ドルを見込み、同期間で3.5倍に伸ばす計画だ。
Googleのインドへのデータセンター投資が、次の通りである。
◇Google to invest $15 billion to build data center hub in India; largest outside of the U.S. (10月14日付け CNBC)
→1)*この契約は「1年間にわたる熱心な議論と不断の努力」の末に成立したものであり、「これは始まりに過ぎない」とAndhra Pradesh州の人材開発大臣は述べた。
*テクノロジー企業は、AIブームのコンピューティング需要に対応するため、データセンターに多額の投資を行っている。
*インドは、自国のクラウドおよびAIインフラへの投資を多国籍企業に促す動きをますます強めている。
2)グーグルは、米国以外では最大規模のAIハブを南インドに建設するため、今後5年間で$15 billionを投資する。Visakhapatnamに3つのキャンパスを建設し、急増する世界的なAI需要に対応するため、同地域のクラウドインフラを強化する。
2025 OCP Global Summit(10月13−16日:San Jose, California)にて、oogleの取り組みが披露されている。
◇OCP Summit: Inside Google's plan to make data centers as adaptive as AI itself―Google's adaptive data center initiative targets AI era (10月14日付け DigiTimes)
→Google は、AI時代のデータセンター アーキテクチャを再定義する業界全体の新しい取り組みを発表し、Open Compute Project (OCP) の下で「アジャイルで代替可能なデータセンター」workstreamを作成することを発表した。
熱いAI活況の推移を慎重に見つめる気分のなか、半導体関連での引き続きの注目である。
激動の世界の概況について、以下日々の政治経済の動きの記事からの抽出であり、発信日で示している。
□10月14日(火)
米中摩擦の警戒一服から重荷に転じる流れが見られて上げ下げとなり、締めは銀行信用リスク不安が後退して上げる推移となった今週の米国株式市場である。
◇NYダウ、反発587ドル高 米中摩擦への警戒が一服 (日経 電子版 06:12)
→13日の米株式市場でダウ工業株30種平均は6営業日ぶりに反発し、前週末比587ドル98セント(1.29%)高の4万6067ドル58セントで終えた。前週末に強まった米中の貿易摩擦に対する警戒が一服し、主力株を買い直す動きが広がった。ダウ平均の上げ幅は670ドルを超える場面があった。トランプ米大統領は12日、自身のSNSに「中国については心配いらない。すべてうまくいく」と投稿した。
IMFの世界経済見通し、ここでも上方修正としながら、「AIブーム崩壊」警戒のあらわし方となっている。
◇IMF、25年の成長率を上方修正 関税不安後退も「AIブーム崩壊」警戒 (日経 電子版 22:00)
→IMFは14日、2025年の世界経済の成長率見通しを3.2%と、前回の7月時点から0.2ポイント上方修正した。米国と主要国・地域との関税交渉の進展を反映した。急速な落ち込みを回避できるシナリオだが、新たな「AIブームの崩壊」をリスクに挙げた。
□10月15日(水)
◇乱高下のNYダウ、202ドル高 FRB議長が量的引き締め終了示唆で買い (日経 電子版 06:28)
→14日の米株式市場でダウ工業株30種平均は続伸し、前日比202ドル88セント(0.44%)高の4万6270ドル46セントで引けた。米中対立の激化懸念から朝方は600ドルあまり下げる場面もあった。その後は米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長が量的引き締め(QT)の終了が近いことを示唆し、一転して買いが広がった。
□10月16日(木)
◇NYダウ、反落し17ドル安 米中関係巡る懸念が重荷 (日経 電子版 06:01)
→15日の米株式市場でダウ工業株30種平均は3営業日ぶりに反落し、前日比17ドル15セント(0.03%)安の4万6253ドル31セントで終えた。米中貿易摩擦への懸念が根強く、ダウ平均の重荷となった。半面、同日に四半期決算を発表した金融が買われたことは相場を支えた。
FRBのミラン理事は15日、「米中の緊張が再燃したのは深刻な問題だ」として「1週間前よりも(経済の)下振れリスクがある」との考えを示したと伝わった。
IMFのGDP見通し、我が国がインドに抜かれている。
◇日本のGDP、インドに抜かれ世界5位へ IMF2026年見通し (日経 電子版 13:47)
→日本の名目GDPが2026年にインドに抜かれる見通しとなった。IMFが14日に発表した最新の推計によると、日本は26年に4兆4636億ドルと世界4位から5位に後退する。為替が円安傾向にあり、ドル建てでGDPが目減りしている影響が大きい。
□10月17日(金)
◇NYダウ301ドル安、地銀の信用リスク浮上 長期金利は半年ぶり低水準 (日経 電子版 06:20)
→16日の米株式市場でダウ工業株30種平均は続落し、終値は前日比301ドル07セント(0.65%)安の4万5952ドル24セントだった。銀行業界の健全性を巡る懸念から金融株全般が売られた。米中貿易の対立も引き続き売りにつながった。株式市場で警戒感が強まったことで安全資産とされる米国債にマネーが向かい、長期金利は半年ぶりの低水準(債券価格は上昇)となった。
□10月18日(土)
◇NYダウ、3日ぶり反発 米地銀決算受け信用不安がやや後退 (日経 電子版 05:36)
→17日の米株式市場でダウ工業株30種平均は3日ぶりに反発し、終値は前日比238ドル37セント高の4万6190ドル61セント(速報値)だった。底堅い米地銀の決算を受けて、信用不安に対する問題がひとまず一服したと捉えられたことが相場を支えた。
≪市場実態PickUp≫
【米中摩擦関連】
AI半導体の対中国出荷、レアアースの対米輸出、それぞれへの規制をはじめ暇なく引き続く応酬の推移が、以下の通りである。米中首脳会談で、なんらかの打開が図られるかどうか。
◇China blacklists major chip research firm TechInsights following report on Huawei (10月10日付け CNBC)
→1)*中国商務省は木曜9日、国家安全保障上の懸念を理由に、テックインサイツを「信頼できない組織」に指定したと発表した。
*これは、中国の個人または組織がカナダに拠点を置くテックインサイツと情報を共有することを禁じるものだ。
*中国政府によるテックインサイツへの取り締まりは、同社がファーウェイの最新AIチップに中国本土外から調達された部品が含まれていると報じたことを受けて行われた。
2)中国政府は、ファーウェイのAIチップに外国製の部品が使用されていることを明らかにしたカナダ企業のテックインサイツに対し、国家安全保障を理由に中国のデータへのアクセスを禁止した。この措置は、中国の半導体産業の不透明さを一層深刻化させ、半導体の自給自足を目指す中国の取り組みにおける課題を浮き彫りにしている。
◇US Senate passes measure that limits Nvidia and AMD’s AI chip exports to China―The Senate action follows a Trump administration deal this summer with Nvidia and AMD to ease China export restrictions (10月10日付け South China Morning Post)
→米国上院は、国家の競争力と安全保障の向上を目指し、NVIDIAとAMDに対し、AIチップの調達において米国からの調達を中国よりも優先するよう義務付ける法案を可決した。テクノロジー業界は、この法案がイノベーションを阻害する可能性があると警告しており、議会は下院と上院の法案をすり合わせなければならない。
◇Can anything knock China off its mountain?―Trump has squandered America’s chance of checking China - only a Xi miscalculation stands in the way of a Chinese century (10月11日付け Asia Times)
→トランプ2.0の下では、米国の関税と外交上の失策により同盟関係が弱体化し、中国が世界有数の大国としての地位を不動のものとしている。しかし、中国の長期的な優位性は、深刻な人口減少と潜在的な国内経済停滞というリスクに直面している。
◇US Senate passes export curbs for AI chips (10月11日付け Taipei Times)
→1)テクノロジーの後退:NVIDIA社は、米国が同社最大の市場であり、この法案はかなり意図に基づくものだが、実際には存在しない問題に対処するものだと主張した。
2)米国上院は、NVIDIA社とAMD社に対し、AIチップ供給において中国よりも国内顧客を優先するよう義務付ける法案を可決した。これは、国家競争力の強化と輸出制限を目的としている。業界リーダーたちは、中国政府がチップ輸入審査を厳格化する中で、この法案がイノベーションを阻害する可能性があると警告している。
◇中国、米関税に報復示唆 100%の追加関税なら「相応の措置」 (10月12日付け 日経 電子版 13:56)
→中国商務省は12日、トランプ米大統領が中国に100%の追加関税をかけると宣言したことに反発した。米国が発動すれば「相応の措置をとる」と報復措置を示唆する報道官談話を発表した。具体的な内容は明示しなかった。9日に発表したレアアースの輸出規制に関し「輸出そのものを禁止するものではない」と強調した。
◇Chip supply chain braces for China’s rare earth curbs (10月13日付け Taipei Times)
→中国が希土類の輸出制限を課し、米国が新たな関税とソフトウェア制限で報復し、世界中のAIチップ生産とサプライチェーンを脅かす貿易摩擦が激化したことを受けて、世界の半導体サプライチェーンの企業は混乱に備えている。
◇米中が実務者協議、レアアース輸出規制めぐり議論か (10月14日付け 日経 電子版 16:26)
→中国商務省は14日、報道官談話で米国と13日に実務者協議を開いたと明らかにした。中国が打ち出したレアアースの輸出規制を巡り議論を交わしたとみられるが、具体的な内容には言及しなかった。同省は9日、輸出許可の取得を義務付けるレアアースの対象を拡大させると発表した。採掘や製錬、磁石材料の製造、リサイクルに必要な技術の輸出管理も厳格にする。
◇Microsoft、新製品から中国製部品排除 米中対立長期化に備え (10月16日付け 日経 電子版 13:29)
→米マイクロソフトが2026年にも新製品の大部分を中国以外で生産するよう部品メーカーなどの取引先に要請したことがNikkei Asiaの取材で分かった。米中対立の長期化をにらみ米テック大手がサプライチェーンの脱・中国依存に動く。
複数の関係者によると、マイクロソフトはノートパソコン「サーフェス」やデータセンター用のサーバーが対象にあがっている。
【Nexperiaをめぐる動き】
これも米中摩擦関連といえるかどうか、オランダ政府がオランダに拠点を置く中国系半導体メーカー、Nexperiaを買収する動き、そして中国側が反発する動き、以下の通りである。
◇In rare move, Dutch government takes control of China-owned chipmaker Nexperia (10月13日付け Reuters)
→オランダが、安全保障上の理由から中国の半導体メーカー、Nexperiaを買収
◇Dutch government takes control of Chinese-owned chipmaker Nexperia in ‘highly exceptional’ move (10月13日付け CNBC)
→1)*オランダ政府は、Goods Availability Act(物品入手可能性法)に基づき、オランダに拠点を置く中国系半導体メーカー、Nexperiaの経営権を行使した。
*ハーグでの発表を受け、上海証券取引所に上場しているWingtechの株価は10%急落し、1日の制限値幅に達した。
2)オランダ政府は、欧州の半導体供給を確保するため、物品入手可能性法に基づき、中国系半導体メーカー、Nexperiaの経営権を行使した。Wingtechの経営権を停止することで、貿易摩擦の激化が続く中、自動車や電子機器に不可欠な半導体へのアクセスを確保する。
◇Chinese chip association voices concern over Dutch intervention in Nexperia (10月14日付け China Daily)
→中国半導体産業協会(CSIA)は、オランダ政府によるWingtechからのネクスペリア買収を非難し、差別的であり、世界のサプライチェーンに損害を与えるものだと述べた。CSIAは、会員の権利を守り、選択的な「国家安全保障」行為に反対することを誓約した。
◇Nexperia seizure: chip supply threatened amid fight over unit of China’s Wingtech (10月15日付け South China Morning Post)
→1)オランダと中国の当局間の攻防に巻き込まれたことで、AppleやTeslaなどの顧客は他のサプライヤーを探さざるを得なくなる可能性もある。
2)中国Wingtechの欧州半導体部門であるNexperiaは、米中テクノロジー摩擦による圧力の高まりに直面している。オランダと中国の輸出規制がNexperiaの世界的な供給拠点としての役割を脅かしているからだ。禁止措置や押収の可能性は、自動車および産業用半導体の供給を危うくする。
【TSMC関連】
AI活況を支える最先端半導体を一手に引き受けるTSMCであるが、依然熱い状況があらわされる直近四半期の業績発表はじめ、以下の同社関連内容である。
◇TSMC not shield how many think (10月11日付け Taipei Times)
→米国が半導体生産の海外移転を求める中、台湾が「シリコンシールド」に依存していることを巡り、3本の論説記事が議論を呼んでいる。論説では、台湾の安全保障はTSMCの不可欠性ではなく、民主主義の力、同盟関係、そして信頼できる軍事的抑止力にかかっていると主張している。
◇IFTLE 642: TSMC Advanced Co-packaged Optics Integrated CoWoS and COUPE (10月13日付け 3DInCites)
→台湾で開催されたOCP(Open Compute Project)/APACサミットにおいて、S.Y. Hou氏(Director of Advanced Packaging Integration)はTSMCのAdvanced Co-packaged Opticsを発表し、COUPE(Compact Universal Photonic Engine)光学エンジンに注目した。SoIC 3Dスタッキングを採用したCOUPEは、コンパクトなサイズ、高い電力効率、そして優れた電気的・光学的性能を実現する。
◇Apple Was TSMC’s Biggest Customer In 2024, Accounting For 24% Of Revenue, But It Might Lose That Position Due To Increased HPC Orders In 2025―Apple-Nvidia battle it out as TSMC's top customer (10月14日付け Wccftech)
→2024年にはAppleがTSMCの最大の顧客となり、売上高の24%を占めていたが、NVIDIAは今年、TSMCの売上高の19%から21%を占めると予想されており、Appleを追い抜く可能性もある。もちろん、AppleはTSMCの2026年向け2ナノメートルプロセスの初期供給量の半分以上を確保しており、これでトップの座に返り咲く可能性もある。
◇TSMC Q3 profit expected to soar 28% on AI spending boom (10月14日付け Taipei Times)
→TSMCは、AIチップ需要の急増に支えられ、第3四半期に過去最高の4,154億台湾ドルの利益を計上する見込みだ。米国の関税や貿易摩擦にもかかわらず、世界最大の半導体メーカーであるTSMCは、急速な売上げ成長とグローバル展開を続けている。
◇TSMC Q3 revenue up 40.8% YoY―TSMC posts strong Q3 results on process tech demand (10月16日付け Electronics Weekly (UK))
→1)本日、TSMCは第3四半期の売上高が$33.1 billion、利益が$14.76 billionだったと発表した。
2)TSMCは、先端プロセス技術への需要が牽引し、第3四半期の売上高が前年同期比40.8%増の$33.1 billion、純利益が39.1%増加したと発表した。同社は第4四半期も引き続き堅調な需要が見込まれると予想しており、特にアリゾナ州において、AI関連の需要に対応するため、技術革新を加速させる計画である。
◇TSMC profit surges 39% to beat estimates and hit yet another record on AI chip demand (10月16日付け CNBC)
→1)*TSMCの高性能コンピューティング部門は、AIと5Gアプリケーションを網羅しており、第3四半期の売上高の大部分を占め、売上高の57%を占めた。
*TSMCは、NVIDIAやAppleなどの顧客向けに高度なAIプロセッサを製造しており、AIのメガトレンドの恩恵を受けている。
2)TSMCは第3四半期の純利益が4,523億台湾ドル(前年同期比39.1%増)となり、AIチップの需要急増により予想を上回った。売上高は、7nmプロセス以下の高度なチップが牽引し、9,899億台湾ドルに達しました。Wei CEOは、AIの堅調な成長を背景に、2025年の成長率予測を30%台半ばに引き上げ、生産能力の拡張を$40Bに引き上げた。
◇TSMC、7〜9月最高益 AI向け先端半導体が好調で39%増 (10月16日付け 日経 電子版 14:40)
→半導体世界大手のTSMCが16日発表した2025年7〜9月期決算は、売上高が前年同期比30.3%増の9899億台湾ドル(約4兆9000億円)、純利益が39.1%増の4523億台湾ドルだった。いずれも四半期として最高だった。
増収増益は7四半期連続だ。回路線幅3〜5ナノメートルの先端半導体の販売が好調だった。
◇TSMC 一段と成長加速 今期増収30%台半ばに上振れ AI半導体の実需強く (10月17日付け 日経)
→AI向けの半導体需要を追い風にTSMCの成長が加速している。16日に2025年12月期の売上高予想を「前期比30%台半ば近くの増収」に上方修正した。AI半導体に強い実需があると強調した。
「AI関連の需要は依然強く、AI以外の市場も緩やかに回復している」。TSMCの魏哲家・董事長兼CEOは同日開いた25年7〜9月期決算のオンラインでの説明会で現在の市場動向をこう説明した。
◇TSMC raises full-year growth outlook (10月17日付け Taipei Times)
→1)「劇的で前向き」:AIの成長は以前の予測を上回り、中国市場への顧客アクセスが制限された場合でも堅調に推移すると同社は述べた。
2)TSMCは、AIバブルをめぐる市場の懸念にもかかわらず、AIチップの需要が予想を上回っていることを理由に、通期の売上高成長率予測を35%に引き上げた。同社は過去最高の四半期利益を計上し、米国への投資を拡大し、2ナノメートル技術の導入を加速させる計画だ。
【インテル関連】
立て直しを図っているインテルの最先端プロセッサ半導体にまず注目、そしてAIに特化した新GPUと、目が離せない以下それぞれの内容である。
◇Intel’s Confidence Shows As It Readies New Processors on 18A―Intel 18A process sets benchmarks with RibbonFET, PowerVia (10月9日付け EE Times)
→1)*インテルは、最新世代のプロセッサ「Panther Lake」と「Clearwater Forest」をアリゾナ州チャンドラーのFab 52で18Aプロセス技術を用いて製造すると発表した。
*インテルは本日、最新世代のクライアントおよびサーバー向けプロセッサ「Panther Lake」と「Clearwater Forest」を発表した。これらのプロセッサは、アリゾナ州チャンドラーにある最先端製造施設「Fab 52」において、最新の18Aプロセス技術を用いて既に生産中で、来年初めに量産開始予定であると発表した。特筆すべきは、大規模な分割の話であり、製造準備が整った18Aプロセス技術をもって、インテルの先端実装技術を活用して、ゲート・オール・アラウンド(GAA)技術、そしてバックサイドからの電力供給技術を採用している点である。
2)インテルの最新プロセス技術が、アリゾナ州チャンドラーのFab 52で現在、量産段階に入っている。米国で開発・製造された初の2ナノメートルクラスのノードであるインテルの18Aは、インテル3と比較してワット当たり最大15%の性能向上とチップ密度30%の向上といった進歩をもたらす。このプロセスには、インテルの新しいトランジスタアーキテクチャであるRibbonFETと、電力フローと信号整合性を向上させる裏面電源供給システムであるPowerViaも搭載されている。
3)インテルは、アリゾナ州のFab 52で最先端の18Aプロセスを採用した次世代プロセッサ「Panther Lake」と「Clearwater Forest」を発表した。これらのチップは、RibbonFET、PowerVia、GAA、そして高度なパッケージング技術を採用した「System of Chips」設計を採用している。
4)インテルは、アリゾナ州のFab 52で先進的な18Aプロセスを採用した次世代プロセッサ「Panther Lake」と「Clearwater Forest」を発表した。RibbonFET、PowerVia、およびGAAテクノロジーを活用することで、インテルはモノリシックチップから分散型SoC設計へと移行する。
◇Intel debuts new technology as part of turnaround bid (10月11日付け Taipei Times)
→インテルは、先進の18Aテクノロジーを採用したPanther Lakeプロセッサを発表し、再建計画の重要な一歩を踏み出した。米国の大手投資家や民間投資家の支援を受け、同社はイノベーションと国内生産を通じて市場シェアの回復と収益性の回復を目指している。
◇Intel’s Retreat Shifts Europe Semiconductor Reality―Europe recalibrates chip goals after Intel project falters (10月13日付け EE Times)
→インテルがドイツに300億ユーロ、ポーランドに42億ユーロを投じた半導体工場の閉鎖を決めたことで、欧州の最先端技術への野望は頓挫したが、TSMCが支援するESMCとグローバルファウンドリーズは、自動車および産業分野の成熟ノードに重点を置き、ドレスデンのチップクラスターの拡大を続けている。
◇Intel takes another crack at the AI chip market with its new Crescent Island GPUs (10月14日付け Silicon Angle)
→Intelは、AIに特化した新GPU「Crescent Island」を発表した。エネルギー効率の高いXe3Pアーキテクチャと160GBのLPDDR5Xメモリを搭載し、推論ワークロードをターゲットとしている。これは、急成長を遂げるAIアクセラレータ市場において、NVIDIAやAMDとの競争に新たな弾みをつける動きである。
◇Intel unveils Crescent Island, an inference-only GPU with Xe3P architecture and 160GB of memory―Will Crescent Island put Intel back in the AI mix?―And a mysterious configuration. (10月14日付け Tom's Hardware)
→Intelは、推論ワークロード向けに最適化されたデータセンターGPU「Crescent Island」を発表した。来年発売予定の該Crescent Island GPUは、Core Ultra 300シリーズ「Panther Lake」プロセッサに搭載されているXe3アーキテクチャの進化形であるIntel Xe3Pアーキテクチャを基盤としている。今回の動きは、GaudiやFalcon Shoresといった過去のプロジェクトでの挫折を経て、AI市場への再参入を目指すIntelの新たな試みとなる。
◇Intel signals return to AI race with new chip to launch next year (10月14日付け Reuters)
→*インテルのCrescent Islandチップは、エネルギー効率の高さでAI市場をターゲットに
*インテルはAIチップ市場でAMDとNVIDIAの挑戦に直面
*NVIDIAは将来のチップ開発のためにインテルに$5 billionを投資
◇[Insights] Intel’s Panther Lake Emerges - Can 18A Drive an Advanced-Process Comeback? (10月16日付け TrendForce)
→IntelのPanther Lakeは、18Aノードで製造された初のCPUであり、先進プロセス技術におけるIntelの復活を象徴する存在となる可能性がある。18A CPU、TSMC製GPUおよびI/Oタイルを搭載し、Arrow Lakeの性能、Lunar Lakeの効率、そしてRTX 4050レベルの統合グラフィックスをターゲットとしている。
◇Multiple generations of Intel's modern chips see price hikes up to 20% overseas - foreign markets are feeling the pinch on 12th, 13th, and 14th-gen chips―Source: Select Intel chips face price increases―When new CPUs aren't necessarily better CPUs (10月16日付け Tom's Hardware)
→価格比較プラットフォーム、Danawaによると、Intelは第12世代、第13世代、および第14世代プロセッサの価格を国際市場で最大20%引き上げた。この値上げは、Core i5-14400やCore i3-14100Fなど、人気のミッドレンジモデルに主に影響を及ぼすと報じられている。
【CEATEC関連】
ここでも主役はAI、と改めて感じさせる以下の内容である。テレビのニュースのなかで、じゃんけんコーナーが紹介され、繰り返すうちどうしても勝てなくなるとのこと。
◇シーテックきょう開幕 半数がAI関連展示 (10月14日付け 日刊工業)
→国内最大級の電機・情報通信技術の総合展示会「CEATEC(シーテック)2025」が14日、幕張メッセ(千葉市美浜区)で開幕する。国内外の810社・団体が出展し、先端の製品やサービス、電子デバイスなどを披露する。出展者の半数近くがAIに関係する展示を予定する。技術がどう人々の暮らしに貢献するのか、具体的にイメージできるよう、スマートホームなど総合的な展示も行う。会期は17日までで、10万人超の来場を見込む。
◇CEATECが14日開幕、810社・団体が出展 AIやセンサー技術披露 (10月14日付け 日経 電子版 05:00)
→デジタル技術の見本市「CEATEC 2025」が14日、千葉市の幕張メッセで開幕する。810の企業・団体が出展し、AIやセンサー、映像関連の技術を披露する。2年連続で10万人以上の来場を見込む。電子情報技術産業協会(JEITA)が主催し、17日までの会期中に222の講演を開く。「AIエージェント」や「持続可能な社会」などのテーマを取り扱う。
◇CEATECが開幕 JEITA漆間会長「デジタル技術の心躍る発見の場に」 (10月14日付け 日経 電子版 10:31)
→デジタル技術の見本市「CEATEC 2025」が14日、千葉市の幕張メッセで開幕した。810の企業・団体が出展し、AIやセンサー、映像関連の技術を披露する。2年連続で10万人以上の来場を見込む。主催するJEITAの漆間啓会長(三菱電機社長)は開会式で「世界で地政学リスクや関税など不確実性が高まるなか、持続的に成長、発展するにはデジタルの力が不可欠だ」と語った。
◇電通、「サクサク」など食感を疑似体験 CEATECで装置披露 (10月14日付け 日経 電子版 16:39)
→電通グループは14日、音や映像、においを活用して食感を疑似体験できる装置を披露した。実際に食べなくても「サクサク」や「もぐもぐ」などといった食感を感じられる。お菓子メーカーの販促イベントや、摂食嚥下障害のリハビリなどでの活用を狙う。
◇深層断面/シーテック開幕 出展各社、主役はAI (10月15日付け 日刊工業)
→JEITAが主催する電機・情報通信技術の総合展示会「CEATEC 2025」が14日、幕張メッセ(千葉市美浜区)で開幕した。主役はAIで、大手企業からスタートアップまで出展各社が業務効率化などのソリューションを競う。
小型チップなど先端電子デバイスも目立つほか、複数社の共創による展示も目を引く。AIを軸に日本の産業はどう進化するのか。会場にはそのヒントがあふれる。
◇ソニーG、CEATECにAI企業マッチング「人の認知の限界をITで解決」―CEATEC×Leader's Voice (10月16日付け 日経 電子版 11:00)
→ソニーグループは17日まで開催中のデジタル技術の見本市「CEATEC 2025」でAIを使い企業と企業をつなぐマッチングサービスをアピールしている。企業自身も気がついていないニーズや課題を見つけ事業創出を支援する。


