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米国制裁下の中国の動き:Semicon China、インテル/AMD排除、製造対応

米国政府の輸出規制制裁措置を受けて、最先端半導体技術関連のデバイス、製造装置などに手が届かない中国での動きが見られている。Semicon Chinaでは、中国国内メーカー一色の様相が深まり、世界市場での中国の果たす役割および自律性強化の必要性が謳われている。一方、中国政府はパソコンなどの政府調達で搭載する半導体からインテル、AMDなど米国企業の製品を排除する指針を打ち出している。米国での対中強硬姿勢が強まる一途の中、米中対立がさらに激化する可能性がある。半導体製造面では、オランダ・ASMLのEUVリソ装置に規制がかかる中、代替の技法で現状の最先端に近づける取り組みがあらわされている。水面下の双方の応酬に目が離せない局面がある。

長見晃の海外トピックス

≪AI活況の中での取り組み≫

Semicon Chinaが、3月20―22日に上海で開催され、AI半導体活況のもと、中国国内での結束強化を一層図る必要性が伝わる以下の取り上げである。

◇Domestic chip tool companies take centre stage at Semicon China with US counterparts largely absent amid tech war (3月21日付け South China Morning Post)
→Semicon China(3月20―22日:上海)について、
 *半導体欠陥検査・計測システムの主要サプライヤーであるKLA社は、米国で参加している唯一の大手ツールメーカーである。
 *Lam ResearchおよびApplied Materials(AMAT)は、2年連続でセミコン中国のスポンサーとなっているが、どちらも出展していない。

◇Tech war: Chinese chip executives put faith in global cooperation despite intensifying US restrictions (3月21日付け South China Morning Post)
→*水曜20日に上海で始まったSemicon Chinaでは、業界のベテランたちが、世界の半導体サプライチェーンで中国が果たす役割を強調した。
 *中国の半導体企業は米Nvidia社の進展に興奮している、とYangtze Memory Technologies Corporationのchairman。

◇At major China chip fair, firms ramp up call to buy domestic (3月23日付け Reuters)
→中国の半導体関連企業は今週、国内最大級のチップ業界見本市、SEMICON CHINA(3月20−22日:上海)であらゆる手段を講じて国内購買を売り込み、地政学的緊張の高まりに直面する業界への支援を喚起する北京の呼びかけに呼応している。

◇SEMICON China shows mercury rising in US-China chip war (3月25日付け DIGITIMES)
→中国の出展者は完全国内勢。
上海で開催されたSEMICON China expoは、3月20-24日の間、半導体エコシステムの地元出展者を紹介した。出展各社は、米国の装置への依存を減らすため、先進的な半導体製造プロセスにおけるより深い自律性を求める北京の後押しを支持したと伝えられている。

米国の対中強硬姿勢が続く中、中国政府のPCやサーバーにおいてインテルとAMDのマイクロプロセッサーを段階的に締め出す指針を打ち出している。対立の激化は避けられない動きであり、米国政府の対中輸出規制が同盟国を巻き込んで一層強まる様相の中、今後の推移、応酬に注目である。

◇China blocks use of Intel and AMD chips in government computers, FT reports (3月24日付け Reuters)
→中国が、インテルおよびとAMDからの米国製マイクロプロセッサーを政府のパソコンやサーバーから段階的に排除するガイドラインを導入したと、フィナンシャル・タイムズ紙が日曜24日に報じた。

◇中国、政府調達PCから米国半導体を排除へ;インテルなど (3月24日付け 日経 電子版 23:03)
→中国政府はパソコンなどの政府調達で搭載する半導体から米インテルなど米国企業の製品を排除する指針を打ち出した。パソコンや基本ソフト(OS)で既に排除しており、対象を広げた。半導体を巡る米中対立が激しくなるのは確実だ。
中国の財政省と工業情報化省が2023年12月下旬、中央政府の組織と地方政府に政府調達に関する通知を出したことが分かった。

◇China’s new guidelines block Intel and AMD chips in government computers: FT (3月25日付け CNBC)
→*フィナンシャル・タイムズ(FT)紙が日曜24日に報じたところによると、中国は、政府のPCやサーバーにインテルとAMDのチップを入れないことを目的とした新しいガイドラインを導入した。
 *この調達指針はまた、マイクロソフトのウィンドウズ・オペレーティング・システム(OS)や外国製のデータベース・ソフトウェアを中国製ソリューションに優先させようとするものだという。
 *中国は、外国技術への依存を減らすため、国内の半導体産業を強化している。

◇米中半導体神経戦…中国政府機関で米インテルとAMDのチップ段階的締め出し (3月25日付け 韓国・中央日報)
→中国が米国半導体メーカーのインテルとAMDのマイクロプロセッサーを自国政府機関のパソコンとサーバーから段階的に締め出す指針を導入した。米国がファーウェイなど中国企業の先端半導体開発を防ぐために制裁を強化し、中国もやはり米国のIT企業の影響力を減らそうとして正面から対応する様相だ。
フィナンシャル・タイムズが24日に伝えたところによると、中国工業情報化部(MIIT:Ministry of Industry and Information Technology)が昨年12月26日にこうした内容を盛り込んだ新たなガイドラインを発表し今年から施行中だ。

◇China’s Intel, AMD Ban Helps Local Rivals, Analysts Say―China stocks up on Dutch equipment before embargo (3月28日付け EE Times)
→1)アナリストによると、中国がインテルとAMDプロセッサーの政府使用を禁止したことで、Hygon(ハイゴン)のような国内競合企業は売上を伸ばすことができるという。
 Financial Timesが3月24日に報じたところによると、中国は、政府のPCおよびサーバーからIntelおよびAMDプロセッサの使用を排除する。Intelはコメントを拒否し、AMDはEE Timesの電子メールによる要請に応じなかった。
 2)オランダが半導体製造装置の輸出を制限すると発表したことで、税関のデータによると、中国では土壇場で買いが殺到したようだ。一方、アナリストによれば、AMDとインテルの半導体を国有コンピューターに使用することを禁止した中国は、ハイゴンのような地元の競合企業にとっては好都合だという。

オランダ・ASMLのEUVリソ装置に規制がかかる中、これを回避する可能性がある技法、自己整合4重パターニング(SAQP)が、遠回しながら以下あらわされている。中国・HuaweiのスマホでのSMIC製半導体が引き続き注目されているが、最先端に近づけるアプローチがどこまでいけるか、これも目が離せないところである。

◇Huawei Tests Brute-Force Method for Making More Advanced Chips―Huawei tests low-tech technique to sidestep sanctions (3月22日付け BNN Bloomberg (Canada))
→Huawei Technologiesと中国の正体不明のパートナーが、米国の制裁を回避するためのローテク半導体製造方法に関する特許を同国で申請した。このプロセスでは、自己整合的な4重パターニングが行われ、ハイエンドリソグラフィへの依存を減らし、オランダからの極端紫外線(EUV)リソグラフィ装置の必要性を排除する。

◇China’s SMIC ‘potentially’ broke law, US official says (3月23日付け Taipei Times)
→中国のチップメーカー、セミコンダクター・マニュファクチャリング・インターナショナル(SMIC、中芯)は、制裁対象の通信大手、ファーウェイ・テクノロジーズ(華為技術)向けのプロセッサを製造していた場合、米国の法律に違反する「可能性がある」と、米国高官が木曜21日に述べた。

◇SMIC and Huawei could use quadruple patterning for China-made 5nm chips: Report―Self-aligned quadruple patterning (SAQC) is now patented in China. (3月24日付け Tom's Hardware)
→ファーウェイとおそらく中国のセミコンダクター・マニュファクチャリング・インターナショナル社(SMIC)は、self-aligned quadruple patterning(SAQP)と呼ばれる半導体製造方法の特許を提出した。ブルームバーグの報道によると、最終的な目的は5nmクラスのプロセス技術で半導体を生産することだという。インテルの第1世代10nm級プロセス技術が失敗した主な原因は、まさにこの手法であったが、ファーウェイとSMICは米国の輸出規制により最先端の製造ツールを入手できないため、4分割パターニングを使用するしかない。

米中の対立&応酬に関わる現下の動き、内容を、いろいろな切り口で以下取り出している。

中国が最終的に米国に追い着く可能性とのあらわし方が見られている。

◇China could catch up to U.S. in the semiconductor sector, says Insights & Strategy CEO―Patrick Moorhead, Insights & Strategy CEO, joins ‘Closing Bell: Overtime’ to discuss China’s crackdown on U.S. chips. (3月25日付け CNBC)

◇China’s new tech policies challenge Intel and AMD in a shifting landscape―US tech giants could suffer as China looks inward (3月26日付け Tech Wire Asia)
→2027年までに国有企業に国内テクノロジー・プロバイダーへの転換を求める中国の新政策は、AMD、インテルおよびマイクロソフトといった米大手企業にとって財務的に大きな影響を及ぼす可能性がある。Insights & StrategyのPatrick Moorhead(パトリック・ムーアヘッド)CEOは、中国が半導体産業で最終的に米国に追いつく可能性があると言う。

米国の対中規制強化に向けて、同盟国に働きかける動き関連が続いている。
ASMLを擁するオランダに特に焦点である。

◇US urges allies to bar firms from servicing key chipmaking tools for China―US wants allies to stop servicing equipment in China (3月27日付け Reuters)
→米国は、中国の半導体分野に新たなジャブを浴びせ、同盟国に同国の製造装置へのサービス提供を停止するよう要請した。ホワイトハウスはすでに、Allied Materialsと米国の同業他社が特定の中国プロジェクトを支援することを停止しているが、日本とオランダはそのような政策をとっていない。

◇US Is Asking Allies to Tighten Servicing of Chip Gear in China (3月27日付け BNN Bloomberg (Canada))
→米国は、バイデン政権が北京の最先端半導体製造の野望をさらに阻止しようとしているため、同盟国に対し、中国での半導体製造装置の維持にさらなる制限を課すよう求めている。

◇Darling stay with me, Dutch government tells ASML (3月27日付け DIGITIMES)
→ASMLの将来はベートーベンが決めるかもしれない。報道によると、オランダ政府は同国半導体大手のASMLとNXPに国内にとどまるよう説得しようとしている。このニュースは、ASMLが撤退すると迫ったという報道を受けてのもの。
Hague(ハーグ)政府は、ASMLの本社があるEindhoven(アイントホーフェン)のBrainport(ブレインポート)地区への投資に10億ユーロ(約$1 billion)以上を充てる計画。オランダ政府の計画のコードネームは「Project Beethoven(プロジェクト・ベートーベン)」。

◇China's chipmaking tool purchases skyrocket ー imports up 256% in the face of intensifying U.S. sanctions―But those are mostly wafer fab equipment for mature process (3月28日付け Tom's Hardware)
→米国主導による中国へのウェハーファブ装置輸出規制にもかかわらず、中華人民共和国は2024年の最初の2カ月間にオランダからのリソグラフィ装置の輸入が著しく増加した。中国最大の受託チップメーカーであるSemiconductor Manufacturing International Co.(SMIC)がASMLのリソシステムの主要な買い手であったと思われる。

◇Dutch Invest 2.5 Billion Euros in Eindhoven Area to Keep ASML on Side―Netherlands aims to keep ASML happy, infusing $2.7B into infrastructure, education (3月28日付け BNN Bloomberg (Canada))
→オランダ政府は、ハイテク大手のASMLホールディングNVが海外進出を切り出して迫ったことを受け、アイントホーフェン地域のインフラと教育プロジェクトに25億ユーロ($2.7 billion)を支出する。

◇US urges allies to ban companies from servicing key chip-making tools for China (3月28日付け South China Morning Post)
→*ワシントンは同盟国に対し、中国に拠点を置く顧客の半導体製造装置における「主要部品」の整備サービスを停止するよう働きかけている。
 *現在のオランダと日本の輸出規則では、中国の顧客が以前に購入した装置を整備する地元企業に対する制限はない。

Yellen米財務長官の中国に対するスタンスが、重ねて以下の通りである。

◇Yellen Warns China's Industry Ramp-Up Is Distorting World Economy―Treasury Secretary Yellen criticizes China for propping up manufacturers (3月27日付け BNN Bloomberg (Canada))
→Janet Yellen(ジャネット・イエレン)米財務長官は、世界経済を歪める代償を払ってでも、主要な新産業のメーカーに競争上の優位性を与えるために中国が補助金を使用していることを非難し、今度の訪中でこの問題について中国に圧力をかけるつもりだと述べた。

我が国の関連であるが、ニコンの中国への戦略的な進出があらわされている。

◇Nikon sees Chinese EV industry as a key part of its lithography revival (3月27日付け DIGITIMES)
→ASMLが支配する世界リソグラフィ市場の熾烈な競争領域で、ニコンは戦略的な進出を果たしている。この知られた日本企業は現在、中国のトップクラスの新エネルギー自動車メーカーにリソグラフィ装置を供給している。

米国の制裁を受ける中で、中国・Huaweiの2023年業績が以下の通りである。
SMIC製最先端プロセッサ半導体を搭載したスマホが、昨年後半注目され、米中摩擦さらなる激化の一因になったが、同社業績を押し上げている模様である。

◇China's Huawei continues rebound with strongest earnings growth since 2019―Huawei, despite US sanctions, grows revenue by 9.6% (3月29日付け Reuters)
→中国を拠点とする通信企業ファーウェイは、自動車とスマートフォン分野の業績改善により、2023年の純利益を144.5%増加させた。米国政府の制裁により米国から高品質の部品を確保できない状況下でも、売上高は前年比9.6%増の$99 billion以上となった。

◇Huawei’s profit doubled in 2023 as smartphone, autos business picked up (3月29日付け CNBC)
→*中国の通信会社ファーウェイは金曜29日、より良い製品提供のおかげで2023年の純利益が2倍以上になったと発表した。
 *同社は8月下旬に中国で「Mate 60 Pro」を静かに発表し、2023年のスマートフォン市場にカムバックした。

いろいろ駆け引き、応酬が絡んで、行ったり来たりの様相ではあるが、なにしろインパクトの大きな米中摩擦の推移、そして足もとの動きには引き続きの注目である。


コロナ「5類」移行とはいえ、インフルエンザが加わり、直近ではコロナ新変異型が取り沙汰されて、一層用心怠りなくの現状と言えるかと思うが、コロナ前に戻る舵取りがそれぞれに行われている中での世界の概況について、以下日々の政治経済の動きの記事からの抽出であり、発信日で示している。

□3月26日(火)

金曜29日が聖金曜日で4日の取引、前半下げたが、後半警戒が薄まって大きく上げ、1週間ぶりの最高値更新で締めた今週の米国株式市場である。

◇NYダウ続落、162ドル安;EU規制でAppleとメタ1%安 (日経 電子版 02:00)
→25日の米株式市場でダウ工業株30種平均は続落し、前週末比162ドル26セント(0.41%)安の3万9313ドル64セントで終えた。前週に主要株価指数の最高値更新が続き、高値警戒感から主力株に利益確定売りが出た。一部の大型ハイテク銘柄は欧州の規制強化への懸念が株価の重荷となり、米株相場を下押しした。

□3月27日(水)

◇NYダウ小幅続落、31ドル安;Amazonやメタ1%安 (日経 電子版 06:05)
→26日の米株式市場でダウ工業株30種平均は3日続落し、前日比31ドル31セント(0.07%)安の3万9282ドル33セントで終えた。四半期末を控えた持ち高調整の売りに押された。米株高を牽引してきた主力ハイテク株の下げも投資家心理の重荷となった。

マイナス金利解除が決定されたが、円安が進み34年ぶりの水準となっている。

◇円相場、一時151円97銭に下落;34年ぶり円安水準 (日経 電子版 11:47)
→27日の外国為替市場で円が対ドルで下落し、一時1ドル=151円97銭と1990年7月以来およそ34年ぶりの円安・ドル高水準を付けた。2022年10月に付けた151円94銭を超えて円安・ドル高が進んだ。日銀が19日にマイナス金利の解除を決定した一方、早期の追加利上げ観測が後退。円売りに安心感が強まり、幅広い通貨に対して円安が進んでいる。


□3月28日(木)

◇NYダウ反発、477ドル高;警戒薄れ今年最大の上げ幅 (日経 電子版 05:53)
→27日の米株式市場でダウ工業株30種平均は4営業日ぶりに反発し、前日比477ドル75セント(1.21%)高の3万9760ドル08セントで終えた。今年最大の上げ幅となった。米景気の先行きに対する楽観が投資家心理を支え、相場全体の上昇に出遅れていたディフェンシブ株や景気敏感株などに買いが入った。引けにかけて上げ幅を拡大し、この日の高値圏で終えた。

米国経済の拡大基調が以下の通り見られ、株価の高値更新の流れを支えている。これも逐一の推移に目が離せないところである。

◇US economy continues to shine with help from consumers, labor market―Q4 GDP numbers revised upward; initial jobless claims edge downward (Reuters)
→商務省経済分析局によると、第4四半期のGDPは年率換算で3.4%拡大し、事前予想の3.2%を上回った。一方、別の報告によると、先週の新規失業保険申請件数は21万件だった。

□3月29日(金)

◇NYダウ最高値更新、47ドル高;利下げ観測が支え (日経 電子版 07:06)
→28日の米株式市場でダウ工業株30種平均は続伸し、前日比47ドル29セント(0.11%)高の3万9807ドル37セントで終え、1週間ぶりに最高値を更新した。米経済への楽観や米利下げ観測が相場を支えた。ただ、29日(聖金曜日で休場日)からの3連休を控え薄商いとなるなかで、方向感を欠く場面もあった。


≪市場実態PickUp≫

【Nvidia関連】

Nvidiaのイベント、GTC(GPU Technology Conference)を、前回主題の1つに取り上げたが、週をまたいで余韻が引き続いており、関連する内容が以下の通りである。

◇Nvidia’s robotic Project GROOT pairs Apptronik humanoid with gen AI (3月22日付け FierceElectronics)
→Nvidia GTC2024は、サンノゼ・コンベンション・センターで開催され、ヒューマノイド型ロボットを含むAIのバリエーションを提供するベンダーの展示ホールで活気にあふれていた。
Apptronikは、NvidiaがヒューマノイドにジェネレーティブAI機能をもたらすProject GROOTで協力しているロボットメーカーのひとつである。

◇Blackwell platform puts Nvidia in higher realm for cost and energy (3月24日付け FierceElectronics)
→Nvidiaのジェンセン・フアンCEOは、サンノゼで開催されたGTC2024において、より大型のBlackwell GPUを、その前身であるHopper GPUとともに展示した。
Blackwellアクセラレーター半導体を紹介したことで、GenAI革命で優位に立つために企業がハードウェアに支払うドル建てコストと、エネルギーに支払うコスト--需要を満たすのに十分な電力があると仮定して--という重要な疑問が再び提起された。

◇Exclusive-Behind the plot to break Nvidia's grip on AI by targeting software (3月26日付け Reuters)
→Nvidiaは、新興企業からマイクロソフト、OpenAIおよびグーグルの親会社であるアルファベットまで、ジェネレーティブAI開発者の新時代を支える生命線となった人工知能(AI)半導体を製造することで、$2.2 trillionの時価総額を獲得した。
ハードウェアと同じくらい重要なのは、同社が20年近く蓄積してきたコンピューターコードである。世界の400万人以上の開発者が、AIやその他のアプリケーションを構築するために、NvidiaのCUDAソフトウェア・プラットフォームに依存している。

◇Nvidia’s Blackwell Offers FP4, Second-Gen Transformer Engine―Nvidia’s lastest Blackwell GPU can achieve 30x performance for generative AI. (3月27日付け EE Times)
→市場のリーダーであるNvidiaは、生成AIのトレーニングと推論を加速させるために設計された新世代のGPUテクノロジーを発表した。この新しい技術プラットフォームは、ゲーム理論家のDavid Harold Blackwell(デイヴィッド・ハロルド・ブラックウェル)にちなんでBlackwellと名付けられ、前世代のHopperに取って代わる。

◇Nvidia, Synopsys flex their muscles (3月27日付け Forbes)
→Dave Altavilla氏は、先日Nvidiaとシノプシスがシリコンバレーに招いたAI技術の臨界点を分析している。アルタヴィラ氏は、「Nvidiaが設計し製造に送り出す半導体は、事実上すべてシノプシスのEDAツールを使用して実装され、設計、検証、そして半導体製造工場への移植が行われている。」と指摘している。

◇Tech coalition aiming to break Nvidia’s grip on AI (3月27日付け Taipei Times)
→エヌビディアは、人工知能(AI)半導体を生産することで$2.2 trillionの時価総額を獲得した。この半導体は、新興企業からマイクロソフト社、OpenAIおよびグーグル社の親会社であるアルファベット社まで、ジェネレーティブAI開発者の新時代を支える生命線となっている。

◇Nvidia Tops Llama 2, Stable Diffusion Speed Trials ―MLPerf releases new LLM and generative AI inferencing tests (3月28日付け IEEE Spectrum)
→時代は変わり、ベンチマークも変わらなければならない。大規模生成AIの時代に突入した今、MLPerfの推論テストにLlama 2 70BとStable Diffusion XLという2つの巨大AIを追加する時が来た。このベンチマークのバージョン4.0では、23の提出組織から8,500以上の結果がテストされている。当初からそうであったように、Nvidia GPUsを搭載したコンピューター、特に同社のH200プロセッサー(GPUアーキテクチャ「Hopper」を採用)を搭載したコンピューターが上位を占めた。しかし、インテルとクアルコムのAIアクセラレーターも混じっていた。

NvidiaのCEO、Jansen Huang氏は台湾出身、米国での台湾人との会合での以下同氏の弁である。

◇Taiwan in middle of AI revolution: Nvidia Corporation CEO Jansen Huang ―Nvidia CEO: Superchip will usher in "computing revolution" (3月25日付け Asian News International (India))
→NvidiaのCEO、Jansen Huang氏は、2080億個のトランジスタを搭載し、台湾の4ナノメートル技術で製造された同社の新しい「Blackwell」半導体は、台湾を中心とした新たな「コンピューティング革命」を象徴していると語った。インターネット上のテキストだけでなく、画像やグラフ......そして動画といった"multimodalityデータ"を使って、AIはまもなく訓練されるようになるだろうと同氏は言う。

◇Taiwan ‘in middle’ of AI revolution: Nvidia CEO―‘GROWING UP TOGETHER’: Jensen Huang celebrated the nation’s role in the formation of the tech firm at a Silicon Valley gathering, saying ‘Taiwan saved Nvidia’ (3月25日付け Taipei Times)
→台湾は新たな人工知能(AI)革命の中心にあると、エヌビディア社のジェンセン・フアンCEO(最高経営責任者)は木曜21日、シリコンバレー最大の都市、サンノゼで開かれた台湾人との会合で語った旨。
台南生まれの黄氏は、「新しいものが作られ、新しい方法で作られる」という新しい産業革命の「ど真ん中に台湾がある」ことを祝福しなければならないと語った。


【Apple関連】

中国市場でのiPhoneの苦戦が伝えられる中、AppleのCEO、Tim Cook氏の中国訪問があらわされている。

◇Apple CEO Tim Cook reported to Chinese government, accused of false advertising in Shanghai (3月22日付け DIGITIMES)
→アップルのティム・クック最高経営責任者(CEO)は21日夜、上海の新しい旗艦店のオープニングに登場し、注目を集めた。この動きは、中国のサプライチェーンと市場に対するアップルのコミットメントを再確認しようとする同氏の試みと見られている。
今回の訪問でクック氏は、BYD Electronics、Lens Technology、およびChangying Precisionを含む3社のアップルのサプライヤーと会談した。クック氏の訪中は、アップルが中国市場を見捨てないという明確なシグナルであり、同社にとっての中国サプライチェーンの重要性を強調するもの。

◇Apple’s Tim Cook tells China forum AI is key for climate battle―Cook: AI is key to climate efforts (3月24日付け The Economic Times (India)/Bloomberg)
→アップルのティム・クック最高経営責任者(CEO)はChina Development Forumで、企業が二酸化炭素排出量を削減しようとする際にAIは不可欠なツールになり、加えて、同社は"まだそこに到達しておらず、前途にはさらなる革新が必要だ"と語った。アップルは、企業活動は気候ニュートラルであり、10年後までにすべての事業における影響をゼロにすることを目指しているという。

◇Apple could double down on China market, Wedbush says, as iPhone sales drop (3月26日付け CNBC)
→*アップルのTim Cook(ティム・クック)最高経営責任者(CEO)は最近中国を訪れ、Wang Wentao(王文涛)商務相に会い、先週上海に同社の最新の旗艦店をオープンした。
 *同社はiPhone 16の発売までに中国での課題を克服する必要があり、「すべては中国におけるアップルの存在感を再確認することから始まる」とWedbushのアナリストが月曜25日に述べた。
 *アップルは主要市場である中国で、中国のスマートフォンメーカーとの厳しい競争やiPhoneの売上減少に直面し、厳しい環境の中で事業を展開している。

AppleとGoogleのAI連携についての見方である。

◇AI could be the tie that binds frenemies Apple and Google (3月24日付け Taipei Times)
→BFFs(best frenemies forever:永遠の親友)は今、互いのサポートを必要としている。モバイル・プラットフォームとしては長らくライバル関係にあった両社だが、グーグルのAI「Gemini」をアップルのiPhoneに搭載するという提携交渉のニュースは、両社にとって短期的な頭痛の種を解決できるかもしれない取引だ。

本年のApple開発者会議(WWDC)は、生成AIに否応なく注目である。

◇Apple開発者会議「WWDC」6月10日から;生成AI発表か (3月27日付け 日経 電子版 05:21)
→米アップルは26日、恒例の年次開発者会議「WWDC」を6月10日から14日にかけて開くと発表した。ティム・クック最高経営責任者(CEO)が「2024年内に明らかにする」と宣言している生成AI(人工知能)関連サービスを発表する可能性がある。


【TSMC関連】

人材教育の今昔があらわされている。高まるキャパ、複雑さに対応してこなす大変さをいろいろ考えさせられる。

◇Everyone wants the latest chips. That’s causing a huge headache for the world’s biggest supplier (3月22日付け CNN)
→ほんの数年前まで、世界最大のチップメーカーであるTSMCは、新入社員の教育についてシンプルな答えを持っていた。先輩エンジニアとペアを組み、手ほどきをするbuddy system(バディ・システム)である。
それが3年前、世界的な半導体不足と地政学的緊張の高まりによってTSMCの成長が加速したとき、すべてが変わった。TSMCは、何万人もの新入社員を迅速に働かせるために、集中的なトレーニングプログラムを作成する必要があった。

電気料金値上げの中、長期的な粗利益率目標を据え置いている。

◇TSMC’s gross margin target unchanged―ENERGY IMPACT: The electricity rate hike is expected to add about NT$4 billion to TSMC’s electricity bill a year and cut its annual earnings per share by about NT$0.154 (3月25日付け Taipei Times)
→TSMCは、政府が金曜22日に電気料金の値上げを決定したにもかかわらず、長期的な粗利益率の目標を据え置いた。
台湾で最も電力を消費するメーカーの一つであるTSMCは、政府のエネルギー政策を常に尊重し、省エネルギーに努めながら工場を運営していくと述べた。

最先端微細化の売上げ比率の一層の高まりが、以下あらわされている。

◇TSMC sees strong demand for 3nm chips with orders from Apple, Intel, and AMD: report―Report: TSMC's 3-nanometer chips draw interest big tech buyers (3月27日付け TechNode (China))
→台湾メディアのEconomic Daily Newsによると、半導体大手のTSMCは、アップル、インテル、およびAMDの3大顧客からの3nm半導体の注文が増えているという。TSMCは2022年後半に3nmプロセスを立ち上げたが、2023年の第4四半期までは、TSMCが徐々に生産量を増やしていたため、アップルが唯一の顧客であった。この状況が変わるにつれ、TSMCの3nm半導体からの売上げシェアは今年20%を超え、5nmチップに次いで2番目に大きな売上げ貢献になる見込み、とEconomic Daily Newsは報じている。


【Samsung関連】

メモリ半導体落ち込みからの回復が問われる中、AI向け広帯域メモリー(HBM)ではSK Hynixが先行、とSamsung関連の動きにいろいろ注目、以下を取り出して、それぞれに思い巡らす中にある。

◇サムスン、細る先代の遺産;「前例ないとGo出せない」―サムスンと韓国経済(上) (3月25日付け 日経 電子版 05:00)
→日本の電機産業を苦境に陥れた韓国サムスン電子。トップの決断力と猛烈に働く組織力でエレクトロニクス産業の巨人となったものの、足元で米アップルや台湾積体電路製造(TSMC)の背中は遠のくばかり。中興の祖の先代会長が育てた事業の収益は細り、事業刷新は進まない。停滞は韓国経済の映し鏡でもある。

◇Samsung likely to solely supply 12-layer HBM3E to Nvidia as early as September―Reports: Samsung may become Nvidia's sole supplier of 12-layer HBM (3月26日付け DIGITIMES)
→サムスン電子が間もなく、エヌビディア向け12層HBM製品の単独サプライヤーになる可能性があるとの報道。
サムスン電子は広帯域メモリー(HBM)市場で急速に地歩を固めている。12層DRAMを搭載したHBM3Eの開発に成功したという最近の発表を受けて、同社が近いうちに現在のリーダーであるSKハイニックスとマイクロンを抜き、12層HBM3EのNvidiaの単独サプライヤーになる可能性があるとの報道が浮上している。

◇サムスンなど技術流出、5年で96件;中国に漏れる競争力―サムスンと韓国経済(下) (3月26日付け 日経 電子版 07:31)
→韓国サムスン電子が本社を置くソウル近郊の水原(スウォン)市。同市の地方裁判所402号法廷で、韓国産業界が注目する刑事裁判が進行中だ。
「サムスンは技術保護措置をどのように進めてきましたか」。2月28日、法廷で検察官が静かに問いかけた。・・・・・


【Nvidiaの急伸ぶり】

2023年の半導体市場売上げおよびサプライヤ・ランキングは、すでに目に入っているが、Omdiaからの見方のデータがあらわされている。ここでもAI半導体を席巻するNvidiaの独り勝ちの様相が如実にあらわれている。AIの熱気加減の今後には、引き続きじっくり向き合いながらの注目である。

◇New Omdia Research Reveals 2023 Semiconductor Market Revenue Down 9% from 2022 (3月27日付け SEMICONDUCTOR DIGEST)
→Omdiaの最新Competitive Landscape Toolレポートによると、2023年の半導体業界の低迷が明らかになり、売上高は2022年の$597.7 billionから2023年には$544.8 billionと9%減少する。この落ち込みは、過去2年間の記録的な成長に続くもので、半導体市場の循環的な性質を浮き彫りにしている。
※サプライヤ・ランキング(金額:USM$)


20222023
2022
2023
2023/2022
順位順位
2
1
Intel
60,810
51,197
-15.8%
8
2
NVIDIA
21,049
49,161
136.6
1
3
Samsung
67,055
44,374
-33.8
3
4
Qualcomm
36,722
30,913
-15.8
5
5
Broadcom
26,956
28,427
5.5
総計
597,662
544,813
-8.8

                          [Source:Omdia 2024]

◇As the market fell last year, a winner emerged―AI pushes Nvidia to second place in chip sales behind Intel (3月28日付け Electronics Weekly (UK))
→2022年の$597.7 billionから昨年の$544.8 billionへと9%減少する中、新たな成長ドライバーとしてAIが登場した、とOmdiaは言う。エヌビディアはAI半導体の分野を包括的に支配しており、半導体市場全体で第2位の座を獲得した。

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