2025年5月20日
|服部毅のエンジニア論点
前回はTSMCの2nmや1.4nmプロセスの量産計画について紹介したので(参考資料1)、今回は、TSMCへの生産委託パートナーでもありライバルでもあるIntelの計画を紹介しよう。TSMCは、4月23日にシリコンバレーの中心地であるサンタクララコンベンションセンターで開催されたTSMC North America Technology Symposium 2025で、 1.4nmプロセス(TSMCでは「A14」と呼んでいる)の概要を発表した。これに対して、Intelは、4月29日に隣町のサンノゼコンベンションセンターでIntel Foundry Direct Connectというイベントを開催し(参考資料2)、ロジックプロセス微細化のロードマップ最新版(図1)を示すとともに、1.4nmプロセス(「Intel 14A」)の概要の発表を行った。
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2025年5月19日
|長見晃の海外トピックス
米中の関税の応酬が、115%引き下げで90日の休戦と一時的な懸念緩和の市場の空気となっているが、半導体関税はじめ先行きが見通せない不安定性を孕んでいる。そんな中、トランプ大統領が中東を訪問、米国テック大手トップが同行して、サウジアラビアおよびUAEと、それぞれAI(人工知能)関連の巨額プロジェクト投資が打ち上げられている。バイデン政権では、中国はじめ中東、東南アジアへのAI半導体輸出規制が行われていたが、政権交代での様変わりである。一方、中国・Huawei製のAI半導体の使用は規制に違反するとトランプ政権より警戒の発表が行われている。AI分野を引っ張るNvidiaも、米中の一層の狭間に置かれる状況がうかがえており、引き続き注目である。
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2025年5月13日
|服部毅のエンジニア論点
ファウンドリ世界最大手TSMCの魏哲家董事長(C.C.Wei会長)は、4月17日の2025年第四半期業績説明会で「N2」(いわゆる2nm)プロセスを採用した先端ロジックチップを今年(2025年)後半、「A16」(1.6nm=16Å)を来年(2026年)後半に台湾域内で量産開始すると発表した(参考資料1)。さらには、米国の大口顧客の力強いAI需要に呼応して、米国のアリゾナ工場(図1)でも2/1.6nm製造棟(Fab21 Phase3)で近く建設開始すると発表した。その後、4月29日に、米国商務省のラトニック長官臨席の下で起工式が行われ、2030年までに生産を開始するという。
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2025年5月12日
|長見晃の海外トピックス
米国・Semiconductor Industry Association(SIA)より月次世界半導体販売高が発表され、3月および1−3月四半期のデータがあらわされている。この第一四半期は、前年同期比18.8%増、前四半期比2.8%減、3月については、前年同月比18.8%増、前月比1.8%増となっている。昨年12月から3ヶ月連続で前月比減であった販売高が3月に持ち直す見え方であるとともに、3月としては史上最高の販売高である。米国トランプ政権の関税圧力を受けて各国との交渉が行われていく中、AI(人工知能)半導体の中国に対する米国の輸出規制を巡る動きがいろいろ展開しており、先行きの予測が難しくなっている現時点である。落ち着き具合を引き続き見定める必要がある状況である。
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2025年5月 9日
|泉谷渉の視点
いまや事実上の半導体生産の世界チャンピオンとなった台湾TSMCの勢いが止まらない。2025年1〜3月期売上は前年同期比41.6%増の3兆6800億円となった。純利益は60.3%増であり、売上利益ともに同期としては過去最高だ。
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2025年5月 8日
|山田周平の中国・台湾レポート
中国の通信機器最大手、華為技術(ファーウェイ)がIC(集積回路)の調達で脱米国に成功している。2019年に米中ハイテク摩擦が激化して以降、米政府はファーウェイに対し、半導体関連の禁輸措置を段階的に強化してきた。同社はこれを「スペアタイヤ計画」と呼ぶ事業継続計画(BCP)で切り抜けたばかりでなく、中国全体の最先端ICの開発を先導する役割を担いつつある。
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2025年5月 7日
|長見晃の海外トピックス
米国と中国の間の関税をめぐる応酬、米国製AI半導体の輸出規制など先々の摩擦の可能性を孕んだ情勢を受けて、中国および台湾それぞれに入り混じる動きの様相が見られている。HuaweiのAI半導体の中国顧客への出荷が来月にも予定され、性能もNvidiaに急迫するとのこと。中国はすぐ後ろに迫っていると、NvidiaのCEO、Jensen Huang氏の危機感溢れるコメントである。米国依存を脱却、規制強化で今後収まるかという動揺の空気である。台湾では、最先端は台湾でのみ行い、海外は少なくとも1世代遅らせる方向が改めてあらわされている。米国の関税に迫られる中、アリゾナ州では第3工場建設の取り組みと、狭間の内外基地展開が行われている。
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2025年4月28日
|長見晃の海外トピックス
米国の関税による摩擦および対中半導体輸出規制のもと、中国ではNvidia製品備蓄の一方、自立化に向けて対抗するHuaweiのGPU出荷の動きである。
半導体各社もそれぞれの動き、インテルでは1〜3月四半期の業績発表が行われ厳しい内容であり、新CEOの計画的なレイオフを含む構造改革の取り組みがあらわされている。AI分野を大きく引っ張るNvidiaは、米国の対中規制の影響を受ける中、CEO、Huang氏が中国を訪問、米中の狭間でつなぎ止めの対応である。そして、TSMCは、米国工場の立ち上げる中、インテルをさらにリードする1.4-nmノード対応「A14」を発表、一層の最先端差別化を図る動きである。先行き不安定性の取り沙汰の中の今後の展開に注目である。
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2025年4月22日
|服部毅のエンジニア論点
米トランプ政権は、各国との相互関税を発表した際に、「半導体」については、「医薬品」とともに相互関税とは別に賦課することとし、相互関税の枠組みに入れずに(つまり当面は関税賦課なし)、国家安全保障の観点から実態調査のうえ、課税範囲や税率を近く発表すると記者団に語った。これに呼応して米商務省は、半導体(デバイスだけではなく原材料のベアウェーハも含む)とその応用製品と半導体製造装置(部材を含む)を対象に、これらを輸入に頼っていることが米国の国家安全保障にどの程度影響するかについてすでに4月1日に調査を開始していることを明らかにした。
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2025年4月21日
|長見晃の海外トピックス
半導体、スマホや半導体製造装置は相互関税の対象から免除ということで一服感があったのも束の間、時間を置いて改めて半導体分野別関税を設けて適用するとのこと。1〜2カ月後に打ち出される可能性が高いとの見通しとされているが、二転三転のトランプ政権に振り回される半導体関連業界模様である。並行して、Nvidiaの中国向け仕様のGPU製品に対しても、米国のAI半導体輸出規制が適用され、AMDとともに当面の業績への打撃が避けられない見込みである。米国政府の関税インパクトは、中国との摩擦を激化させるのに加えて、中国向けビジネス比率が高い韓国をはじめとして、世界各国および関連各社に推移に警戒しながらの当面の対応を余儀なくさせている。
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