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AI牽引の市場に関税&規制インパクト、先行き不安定な情勢の市況模様

AI(人工知能)関連需要が非常に大きく引っ張る一方、パソコン、スマホ、産業はじめ従来分野の本格的な盛り返しが明確にあらわれていない現時点の半導体市場の見え方である。米国トランプ政権の相互関税が世界各国・地域に投げかけられて、日米間では今週15%合意が交わされたが、半導体も然り、個別には確認を要している。Nvidiaの中国向けAI半導体輸出について先週米国政府が認めて再開されたが、米国議会には依然警戒する向きがあり、今後の推移に目が離せないところがある。不安定要素を多々孕んだ情勢のもと、AI需要の対応で世界をリードしている限られた数社が非常に好調な業況を示し続ける一方、従来の半導体市場をリードしていた顔ぶれが概して苦境にあるという、ここでも分断の色合いを感じる市況模様を呈している。

≪AIが引っ張る先の市場の見え方≫

半導体市場全体に関わる現下の内容&動きを、以下取り出している。まず、レアアース関連から。

◇U.S. firms scramble to secure rare-earth magnets - imports from China surge 660% (7月21日付け CNBC)
→1)*中国は先月、希土類永久磁石を全世界で3,188トン輸出し、5月比で約160%増加した。
  *税関データによると、米国は6月に中国から約353トンの希土類永久磁石を輸入した。
 2)米国企業がEVs、AI、および先進製造業に不可欠な重要材料の確保に躍起になる中、貿易摩擦の緩和と新たな輸出許可の取得を受け、中国から米国への希土類磁石の輸出は6月に660%以上増加した。

◇The Unseen Impact of the Tariffs: A Semiconductor Monopoly (7月23日付け 3DInCites)
→特に中国を標的とした新たな貿易規制と関税は、希土類鉱物に依存するサプライチェーンを脅かし、半導体産業のあり方を大きく変えつつある。これらの資源を一国が独占しているため、世界のテクノロジー企業は予期せぬリスクと、サプライチェーンにおける喫緊の課題に直面している。

半導体製造装置市場の伸びの見方である。

◇SEMI Reports Global Total Semiconductor Equipment Sales Forecast to Reach $125.5 Billion in 2025 (7月22日付け SEMI)
→SEMIは、AIの需要と先進技術に牽引され、世界の半導体製造装置の売上高が2025年に前年比7.4%増、過去最高の$125.5 billionに達し、2026年にはb$138.1 billionまで成長を続けると予測している。

◇SEMI Reports Global Total Semiconductor Equipment Sales Forecast to Reach $125.5 Billion in 2025 (7月22日付け SEMICONDUCTOR DIGEST)
→SEMIは本日、「Mid-Year Total Semiconductor Equipment Forecast - OEM Perspective(中期半導体製造装置総売上高予測 - OEM視点)」を発表し、OEM(相手先ブランド製造会社)による半導体製造装置の世界売上高が2025年に前年比7.4%増の$125.5 billionに達し、業界記録を更新すると予測した。半導体製造装置は2026年も成長が続き、最先端のロジック、メモリおよび技術の移行が牽引役となり、売上高は過去最高の$138.1 billionに達すると予測されている。

◇AI Fuels Record Chip Manufacturing Equipment Sales―SEMI: AI to drive record chip equipment sales into next year ―SEMI expects expansion to continue into 2026, driving sales to $138.1 billion (7月23日付け EE Times)
→1)世界の電子機器設計・製造サプライチェーン、original equipment manufacturers (OEMs)を代表する業界団体、SEMIは、半導体製造装置の総売上高が2025年に$125.5 billionに達し、前年比7.4%増となると予測している。さらに、SEMIはこの力強い成長が2026年も継続し、売上高がさらに高い$138.1 billionに達すると予測している。
 2)AI需要の急増と最先端技術に牽引され、世界の半導体装置の売上は2026年まで過去最高を記録する見込みで、ウェーハ製造装置、テストシステム、メモリおよびロジック容量への強力な投資が成長を牽引すると予測されている。

不安定な現下の情勢、パンデミックでの教訓が活きるとの見方である。

◇Lessons Learned from the Pandemic Help Mitigate Today’s Tariffs and Navigate Uncertainty (7月24日付け SEMICONDUCTOR DIGEST)
→DigiKeyのvice president, digital business、Tim Carroll氏記事。今日の関税のジェットコースターと経済の不確実性が、2020年の世界的パンデミックとサプライチェーンの混乱を彷彿とさせると感じたとしても、それはあなただけではない。だからこそ、私たちはパンデミック中に経験した課題とそこから得られた教訓を振り返る。そこから得られる教訓は、今日の嵐を乗り切るために活かせるものがたくさんある。

中国で、スマホの対米国輸出価格が関税を見据えて下げられている。

◇中国スマホ、対米輸出価格4割下落 市場維持へ関税分負担か (7月25日付け 日経 電子版 05:00)
→米国が中国に依存する家電や雑貨を巡り、中国が輸出単価を下げている。6月はスマートフォンが前年同月比4割、ゲーム機は2割下落した。中国企業がトランプ米政権による対中追加関税分を負担してでも米国市場で一定のシェアを維持しようとしているとみられる。

AI需要を受けて非常に好調な業況にある中から、まずはTSMCについての動き&内容である。

◇TSMC Packs Up GaN To Focus on Advanced Packaging (7月17日付け EE Times)
→1)Navitas(ナビタス)がPSMCの窒化ガリウム(GaN)ウェハ需要を満たすためPSMCと提携すると発表したことを受けて、TSMCがGaN生産から撤退するという憶測が飛び交っている。Taipei Timesは、TSMCが2027年までにGaNファウンドリサービスを終了すると報じ、世界最大の半導体チップ受託製造業者の撤退につながる「市場力学の変化」に言及した。
 2)ナビタスとPSMCのGaNウエハーに関する契約に続き、TSMCは2027年までにGaN生産から撤退すると発表した。この動きは、市場動向の変化、製造コストの高騰、および中国との競争激化を反映しており、効率性の利点にもかかわらず、GaNのより広範な採用に課題が生じている。
 3)TSMCは、コスト上昇と市場動向の変化により、2027年までに窒化ガリウムの生産から撤退する。この決定は、ナビタスとPSMCのGaN事業契約に続くもので、GaN分野における中国との競争激化の憶測を呼んでいる。

◇TSMC says FX is ‘big uncertainty’―CURRENCY WOES: A company executive said that every 1 percent appreciation of the New Taiwan dollar against the greenback would reduce revenue by 1 percent (7月19日付け Taipei Times)
→TSMCのWendell Huang CFOは、為替変動が利益率に対する大きなリスクであると指摘し、ヘッジ戦略の継続的な見直しを強調した。同社は、スポット市場販売高、先渡契約、およびオフショアでの現金保有を通じて、為替の影響を管理している。

台湾における新工場はじめ2-nmの取り組みである。

◇TSMC to start building four new plants―NEXT GENERATION: The four plants in the Central Taiwan Science Park, designated Fab 25, would consist of four 1.4-nanometer wafer manufacturing plants, TSMC said (7月20日付け Taipei Times)
→TSMCは、2028年末までに2ナノメートルウエハーの量産開始を目指し、今年中に台湾中部サイエンスパークに4つの新工場の建設を開始する。同社はまた、米国での大規模な事業拡大も計画しており、$165 billionを投資する。

◇TSMC’s 2nm Production Is Expected to Break Records, With Capacity Surpassing 3nm & Soaring Demand Driven by Massive Interest From Big Tech―Reports: TSMC's 2nm production expected to surpass 3nm―TSMC's 2nm Process Expected to Be the Next "Revenue Driver" For the Taiwan Giant, Potentially Bringing in Billions (7月24日付け Wccftech)
→報道によると、TSMCは2ナノメートルプロセスの生産拡大を準備しており、2028年までに月産20万枚のウェハ生産を目指している。これは3ナノメートルノードの生産量を上回る規模となる。2ナノメートルプロセスは2025年後半に量産開始が見込まれており、NVIDIA、Advanced Micro Devices(AMD)、GoogleおよびMetaといった企業を含むAI分野からの需要を中心に、売上高を牽引すると見込まれている。

直近四半期の業績が過去最高、通期の伸びが引き上げられている。

◇[News] TSMC’s Q2 AI Revenue Reportedly Exceeds USD 10B, with Share Expected to Reach Nearly 50% (7月22日付け TrendForce)
→TSMCは、AI需要の急増に牽引され、第2四半期の売上高が過去最高の$30.07 billionに達したと発表した。AI関連事業は$10 billionを超え、総売上高の3分の1以上を占め、同社は通期成長率予測を30%に引き上げた。

台湾市場での時価総額が、最高の大台突破である。

◇TSMC’s Taiwan market value surpasses US$1tn (7月22日付け Taipei Times)
→TSMCの時価総額は、AI需要の急増と売上高見通しの引き上げを背景に、初めて1兆米ドルを突破した。同社の株価は4月以降、約50%上昇しており、AI製造における同社の優位性と価格決定力に対する投資家の信頼を反映している。

◇TSMCの時価総額が一時1兆ドル超え AI向けの成長期待 (7月22日付け 日経 電子版 17:19)
→台湾株式市場でTSMC株が高値圏にある。18日には終値ベースで1155台湾ドルと最高値を更新し、米ドル換算の時価総額が$1 trillion(1兆ドル:約148兆円)を突破した。生成AIの処理を担う先端半導体の販売が好調で、成長期待が高まっている。

工場の世界展開についての変更である。

◇TSMC、熊本第2工場稼働1年半延期 29年上期に (7月25日付け 日刊工業)
→半導体受託製造(ファウンドリー)世界最大手のTSMCが熊本県菊陽町で建設する第2工場について、稼働時期を最大1年半程度遅らせる調整に入ったことが分かった。着工は計画通り2025年中に行うが、装置搬入などのペースを遅らせる。稼働時期は従来の27年10―12月から29年1―6月への延期を検討している。TSMCが米国アリゾナ州で進める工場建設稼働を優先していることや稼働済みの熊本第1工場に比べ工期が長いこと、民生品の市況低調などが理由とみられる。

NvidiaとともにAI半導体供給に取り組んでいるAMDからは、TSMCの米国工場製造品についての価格の見方があらわされている。

◇AMD CEO Sees Chips From TSMC’s US Plant Costing 5%-20% More (7月23日付け MSN/Bloomberg)
→AMDのLisa Su CEOは、同社がサプライヤーであるTSMCから調達しているチップは、アリゾナ州のTSMC工場で生産するとコストが高くなると述べた。
 スー氏は水曜23日にワシントンで開催されたAI関連イベントで、台湾の工場で生産される同様のチップと比較して、米国製のチップは「5%以上20%未満」のコスト高になると説明した。スー氏によると、AMDは年末までにTSMCのアリゾナ工場から最初のチップを出荷する予定だという。

◇AMD CEO says U.S.-made TSMC chips are more expensive, but worth it - costs 'more than 5% but less than 20%' higher than Taiwan-sourced alternative―AMD's Su sees value in TSMC chips made in US―The U.S.'s push for domestic chip manufacturing is bearing fruit. (7月24日付け Tom's Hardware)
→AMDのLisa Su CEOは、TSMCのアリゾナ工場で製造されるチップは台湾製のものより5〜20%高いことを認めているものの、その価格は回復力のために支払う価値があると述べている。「経済的な観点から言えば、サプライチェーンの回復力を考慮する必要があると思う。パンデミックを通して、サプライチェーンを考える際には、コストの最低水準だけでなく、信頼性や回復力など、あらゆる側面を考慮する必要があることを学んだと思う」とスーCEOは述べた。

◇Chips from TSMC’s US plant to cost more: AMD’s Su―SUPPLY RESILIENCE: The extra expense would be worth it, as the US firm is diversifying chip sourcing to avert disruptions similar to the one during the pandemic, the CEO said (7月25日付け Taipei Times)
→AMDのCEO、Lisa Su氏は、アリゾナ州で製造されるTSMCのチップは台湾製のものより5〜20%高価になるものの、サプライチェーンのレジリエンス強化にはそれだけの価値があると述べた。また、世界的なAIリーダーシップを維持するために、バランスの取れた米国の輸出政策を強く求めた。

高帯域幅メモリ(HBM)でAI需要に対応しているSK Hynixについて、過去最高の直近業績が以下の通りである。

◇Nvidia supplier SK Hynix posts record second-quarter profit and revenue on strong AI memory demand (7月23日付け CNBC)
→1)*6月締め四半期の売上高は前年同期比で約35%増加し、営業利益は前年同期比で約69%増加した。
  *SK Hynixは、AIサーバーに使用されるDRAMの一種であるHBMにおいて、世界的リーダーとしての地位を確立している。
  *同社は、通期でHBM売上高が2024年比で倍増すると予想しており、第2四半期の売上高の77%を占めた。
 2)SK Hynixは、AIに使用されるHBMの需要急増に牽引され、第2四半期の売上高と利益が過去最高を記録した。同社はHBM市場をリードし、DRAMではサムスンを上回っており、2026年まで力強い成長を見込んでいる。

◇SK Hynix announces 2Q25 financial results―SK Hynix posts record Q2 results on AI memory demand (7月24日付け DigiTimes)
→SK Hynixは、世界的なテクノロジー企業からのAIメモリ需要に牽引され、第2四半期の売上高と営業利益が過去最高を記録した。DRAMとNANDフラッシュメモリの出荷量が大幅に増加した。SK Hynixは、特にAI分野の競争が激化する中で、高性能メモリの需要が継続すると予想している。

◇SK Hynix posts record profits on surging AI demand (7月25日付け Taipei Times)
→SKハイニックスは、AI需要の急増とHBMチップにおける優位性に牽引され、第2四半期に過去最高の利益を記録した。DRAMとNANDフラッシュメモリの好調な売上が売上高を過去最高に押し上げたため、営業利益は70%近く増加し、$6.7 billionとなった。

米国国内でのメモリ生産増強を図るマイクロンである。

◇IFTLE 634: Micron Invests Onshore; TSMC CoPoS (7月22日付け 3DInCites)
→マイクロンは米国における半導体投資を$30 billion増額し、アイダホ州とニューヨーク州の製造施設を拡張して先進DRAMの国内生産と自動車、産業、防衛分野向けサプライチェーンの強化を図る。TSMCはCoPoSパッケージング技術を開発し、2029年までの量産を目指している。

対して、厳しい側にある各社について、まずは立て直しを図っているインテルである。直近業績関連および再構築の取り組みが以下続いていく。

◇Intel's Chip Contracting Plan in Spotlight on Earnings Day (7月23日付け U.S. News World & Report)
→インテルは6期連続の純損失を発表する見込みであり、CEOのLip Bu-Tan氏が次世代14Aチップ技術と受託製造に注力する中で、売上高は再び減少している。投資家は、減損、資産売却、そしてファウンドリーの収益性向上への道筋について明確な見通しを待ち望んでいる。

◇Intel will cancel 14A and following nodes if it can't win a major external customer - move would cede leading-edge nodes to TSMC and Samsung―Intel signals uncertainty over 14A node―Then exit the leading-edge process technologies completely. (7月24日付け Tom's Hardware)
→インテルは、1.4ナノメートル級ノードである14Aプロセスについて、主要な外部顧客を確保できない場合、あるいは重要な開発マイルストーンを達成できない場合、開発を減速または中止する可能性があると示唆した。この動きはインテルの戦略転換を示すものであり、最先端半導体の競争をTSMCおよびサムスンファウンドリーに明け渡す可能性もある。Lip-Bu TanCEOは、生産能力への投資を行う前に、商業的な実現可能性を確認する必要があると強調している。

◇Intel's foundry future depends on securing a customer for next-gen chipmaking tech (7月24日付け Reuters)
→インテルは木曜24日、自社工場でチップを製造する外部顧客を獲得できなければ、チップ製造事業から撤退せざるを得なくなる可能性があると投資家に警告した。
 新CEOのLip-Bu Tan氏は木曜日、同社のエンジニアたちは顧客と協力して次世代の受託製造プロセス(ファウンドリー)の立ち上げに尽力していると述べた。同社は大規模な人員削減に加え、予想を上回る第3四半期の損失見通しを発表した。

◇インテル、4〜6月も最終赤字4300億円 生産部門不振で6四半期連続 (7月25日付け 日経 電子版 07:49)
→米インテルが24日発表した2025年4〜6月期決算は、最終損益が$2.918 billion(約4300億円)の赤字(前年同期は$1.61 billionの赤字)だった。最終赤字は6四半期連続。市場予想は黒字転換を見込んでいた。他社から半導体の生産を受託する事業の不振が続き、人員削減や投資計画の縮小を表明した。

◇Intel facing another crossroads: 18 A or 14A process node―While Intel’s fab business is the elephant in the room, the company is showing some progress on other fronts. (7月25日付け EE Times)
→7月24日にインテルが2025年第2四半期決算を発表する前夜、業績の好転を予想する人はほとんどいなかった。業界関係者が待ち望んでいたのは、苦戦を強いられている同社の受託製造事業の方向性であった。
 カリフォルニア州サンタクララに本社を置くインテルは、より迅速で、よりフラットで、そしてより機敏な組織の構築を目指しており、同社の再編計画も注目を集めていた。

◇インテル、単独再建へ危うい賭け 独半導体工場計画を撤回 (7月25日付け 日経 電子版 11:40)
→米インテルの苦境が続いている。24日に発表した2025年4〜6月期の最終損益は6四半期連続の赤字となり、ドイツでの半導体工場など投資計画を撤回して15%の人員削減も発表した。ただ業績回復の切り札とされた受託生産事業での提携交渉に進捗は見られない。単独再建をめざす経営戦略は危うい賭けとなる。

◇Intel is cutting more jobs as CEO Tan tries to fix manufacturing missteps (7月25日付け Reuters)
→インテルは、新CEOのLip Bu Tan氏が厳格なコスト管理を実施し、工場を縮小し、そして過去の失敗から立ち直り、半導体市場で競争力を取り戻すために事業を再編する中で、年末までに従業員数を22%以上削減する予定だ。

関税への懸念で株価が下がる反応のTIである。

◇Texas Instruments stock falls 13% as CEO warns of tariff concerns (7月23日付け CNBC)
→1)*テキサス・インスツルメンツの株価は、同社が弱い業績見通しを発表し、関税をめぐる不確実性が需要を圧迫していると述べたことを受けて下落した。
  *同社の第3四半期業績予想の中央値はアナリスト予想を下回った。
  *CEOのHaviv Ilan氏は、第2四半期の好調な業績の一部は、関税発動前の在庫確保に向けた需要の前倒しによる可能性があると述べた。
 2)テキサス・インスツルメンツの株価は、第3四半期の業績見通しが弱く、関税発動の影響を警告したことを受けて13%急落した。第2四半期はEPSが1.41ドル、売上高が$4.45Bと予想を上回ったものの、同社は自動車産業の回復の鈍化と地政学的な懸念を理由に挙げた。

まだまだ各社いろいろな業況模様が続いており、特に情勢の変わり目とともに注目するところである。


激動の世界の概況について、以下日々の政治経済の動きの記事からの抽出であり、発信日で示している。

□7月22日(火)

関税交渉の進展の期待から、週半ばには最高値に迫る値動きが見られた今週の米国株式市場である。

◇NYダウ続落19ドル安、関税の不透明感で 円は147円台前半に上昇 (日経 電子版 06:44)
→21日の米株式市場でダウ工業株30種平均は続落し、前週末比19ドル12セント(0.04%)安の4万4323ドル07セントで終えた。米政権と欧州連合(EU)との貿易交渉を巡る不透明感が相場の重荷となった。半面、主力企業の四半期決算への期待などから、ハイテク株の一部には買いが入った。

□7月23日(水)

◇NYダウ反発、179ドル高 米貿易交渉の進展期待で (日経 電子版 06:15)
→22日の米株式市場でダウ工業株30種平均は3営業日ぶりに反発し、前日比179ドル(0.4%)高の4万4502ドルで引けた。トランプ米政権が8月1日に定める貿易交渉の期限が迫るなか、協議進展への期待感から株を買う動きが優勢となった。

日米の関税協定が、合意に達している。半導体も見定めを要するところである。

◇U.S. and Japan Reach Trade Deal―US, Japan reach deal on tariffs, LNG, investment―Trump says Tokyo will face 15% reciprocal tariffs instead of the 25% he had threatened (The Wall Street Journal)
→ドナルド・トランプ米大統領は、日本との重要な新たな貿易協定を発表、この協定では、両国間の輸出品に相互に15%の関税を課す。この協定には、日本が自動車、トラック、および農産物などの米国製品に対する市場開放をさらに進めるという約束が含まれている。また、この協定には日本から米国への$550 billionの投資が含まれており、トランプ氏によると、米国は「利益の90%」を受け取る予定だ。

◇Trump’s New Trade Standard Takes Shape With 15% Tariff Deal―US, EU near 15% tariff deal amid global trade shift―Deal with Japan and potential deal with Europe follow months of uncertainty and will likely raise prices while offering a bit of clarity for global trade (The Wall Street Journal)
→米国とEUの間で提案されている15%の関税協定は、ドナルド・トランプ大統領の下での世界貿易政策の大きな転換を示すもの。日本との同様の協定に続くこの一律関税は、EUからの輸出品の大半、特に自動車に適用され、市場の不確実性を引き起こしてきた特定のセクターに課された高関税に代わるものである。15%の税率はトランプ大統領が以前に警告していたものよりは低いものの、2025年以前の水準と比べると依然としてはるかに高く、消費者と企業の双方にとってコスト増加につながることが予想される。

□7月24日(木)

◇NYダウ507ドル高、迫る最高値 「米EU関税で合意間近」報道 (日経 電子版 05:27)
→23日の米株式市場でダウ工業株30種平均は前日比507ドル(1.1%)高の4万5010ドルに急伸した。22日の日米関税交渉の妥結で他国との交渉の進展期待が高まり、欧州株も上昇した。英紙フィナンシャル・タイムズは米国とEUが関税率を「15%とする方向で詰めの交渉に入った」と伝えた。

□7月25日(金)

◇NYダウ反落316ドル安 IBM大幅安が重荷、ナスダックは小幅続伸 (日経 電子版 06:29)
→24日の米株式市場でダウ工業株30種平均は3日ぶりに反落し、前日比316ドル38セント(0.70%)安の4万4693ドル91セントで終えた。決算発表など個別の材料が出た銘柄の売買が活発で、IBMやハネウェル・インターナショナルなどの下げがダウ平均の重荷となった。半面、ハイテクや半導体株の一角は買われ、相場を支えた。

トランプ大統領が、米連邦準備理事会(FRB)に自ら赴いている。

◇トランプ氏、FRB本部に異例の訪問 パウエル氏に利下げを直接要求 (日経 電子版 06:58)
→トランプ米大統領は24日夕、改修工事費用が高額だと批判しているFRBの本部ビルの工事現場を視察した。ヘルメット姿で視察した後、パウエル議長と並んで記者団の質問に応じたトランプ氏は「(政策)金利を引き下げてほしい」と要求した。

□7月26日(土)

◇米EU首脳が27日に直接協議へ 関税交渉大詰め、カナダは難航か (日経 電子版 05:57)
→米国とEUの関税交渉をめぐって、トランプ米大統領とEUのフォンデアライエン欧州委員長は25日、英北部スコットランドで27日に会談すると明らかにした。トランプ氏は合意の可能性は「五分五分だ」と話しており、首脳同士の直接協議で決着を目指す。

◇NYダウ反発208ドル高、米関税の進展期待 S&Pは5日連続高値 (日経 電子版 06:07)
→25日の米株式市場でダウ工業株30種平均は反発し、前日比208ドル01セント(0.46%)高の4万4901ドル92セントで終えた。米国と主要な貿易相手との通商交渉が前進するとの期待から買いが入りやすかった。米経済の先行きに対する楽観的な見方も株式相場を支えた。


≪市場実態PickUp≫

【Nvidia関連】

上記の現下の業況において、AI半導体を引っ張る一番手として取り上げるべきNvidiaであるが、CEOのHuang氏の中国訪問、中国市場でのCPUを見据えた動きなどあって、以下基本時間順に取り出している。

◇Nvidia N1X CPU: Everything we know so far―Nvidia's Arm-based CPUs may be on the way, but when? (7月20日付け Tom's Guide)
→Nvidiaは(好むと好まざるとにかかわらず)GPU市場の紛れもないリーダーであり、今年RTX 50シリーズのグラフィックカードが大きな話題を呼んでいる。しかし、Team Greenは新たなCPUの発表を控えており、別の分野にも参入しようとしているようである。
 Nvidia N1XとN1というArmベースのCPUsが、それぞれデスクトップとラップトップ向けに開発されるという噂が飛び交っている。Nvidiaはすでに新しいArmベースのCPUを発表しているが、N1シリーズのチップはコンシューマー向けとなる予定である。

◇Nvidia's CUDA platform now supports RISC-V - support brings open source instruction set to AI platforms, joining x86 and Arm―Nvidia to add RISC-V support to CUDA software platform―Yet another alternative. (7月20日付け Tom's Hardware)
→NVIDIAは、同社のCompute Unified Device ArchitectureソフトウェアスタックがRISC-V命令セットアーキテクチャ(ISA)をサポートすると発表した。これは、欧米技術への依存度を下げようとしている中国市場にとって大きなメリットとなるであろう。中国で開催されたRISC-Vサミットで発表されたこの開発は、特にNVIDIAのJetsonモジュールのようなエッジデバイスにおいて、パフォーマンスが要求されるアプリケーションにおけるRISC-Vの大きな一歩となる。

◇Nvidia’s China return buys time for Beijing to boost its chip drive (7月21日付け CNBC)
→1)*専門家はCNBCに対し、NVIDIAの中国への復帰は中国の国産チップ開発の取り組みを鈍化させる可能性があると述べた。
  *しかし、中国がより国産技術スタックへと移行していく軌道は変わっていないとも述べた。
 2)専門家はCNBCに対し、NVIDIAの中国への復帰は中国の国産チップ開発を鈍化させる可能性があるとしながらも、中国の自立型テクノロジーエコシステム構築に向けた取り組みは引き続き着実に進んでいると強調した。

◇Nvidia extends CUDA support to RISC-V just in time for next wave of Chinese CPUs―The prime beneficiary of the AI boom has global ambitions (7月21日付け The Register (UK))
→NVIDIAは、CUDAソフトウェアスタックをRISC-V CPUsに正式に導入する。CUDAは、NVIDIAが開発した高レベルソフトウェア抽象化レイヤーであり、アプリケーションがGPUsと連携するためのもの。CPUアーキテクチャでCUDAがサポートされていない場合、GPUの機能はせいぜい制限される。AIの武器商人であるNVIDIAは、金曜18日に中国で開催されたRISC-Vサミットのステージ上でRISC-Vのサポートを発表した。これにより、オープンISAベースのプロセッサがNVIDIA GPUsのホストCPUとして機能できるようになる。

◇Nvidia CEO's China charm offensive underscores rock star status in key market―Nvidia CEO navigates US-China trade conflict as tech rivalry intensifies (7月21日付け Reuters)
→*Huang氏の今年3度目の訪問は、NVIDIAの中国市場への注力を浮き彫りにした。
 *Huang氏はファンと交流し、自撮り写真を撮ったり、革ジャンにサインをしたりした。
 *NVIDIAは米中貿易摩擦に巻き込まれ、$17 billion規模の中国事業に影響が出ている。
 *Huang氏は、ライバル企業を含む中国のテクノロジー大手の技術力を称賛した。
CEOのJensen Huang氏は北京には馴染みがあるが、今年3度目となる今回の訪問で、同国における彼のロックスターとしての地位は確固たるものとなり、ファンは首都の路上でAIの巨人と自由に交流した。
世界で最も影響力のある企業のCEOが北京を歩き回り、多岐にわたるインタビューに応じ、興奮したファンとセルフィーを撮り、さらには該億万長者のトレードマークである革ジャンに熱心なフォロワーのためにサインをするというのは、珍しい光景だった。

◇NVIDIA Reportedly Pushes N1X SoC Launch To Q1 2026: Waiting For Right Time To Roll Out Next-Gen “AI” Chip On Next-Gen Windows Platform, Revisions Expected Too―Reports: Nvidia delaying N1X SoC's launch to 2026 (7月22日付け Wccftech)
→NVIDIAは、Microsoftの次世代Windowsプラットフォームの開発が予想よりも遅れていることと、NVIDIAが新しいSoC改訂版を評価していることを報じたところにより、N1X SoCの発売を2026年第1四半期まで遅らせている。
 MediaTekと共同開発したN1X SoCは、NVIDIA初のArm搭載Windowsチップであり、AI搭載PC分野でAMD、AppleおよびIntelのプロセッサと競合すると予想される。

◇Nvidia to support RISC-V processors in latest boost to China’s chip self-sufficiency drive (7月22日付け South China Morning Post (Hong Kong))
→*この動きは、AIコンピューティングにおけるオープンソースチップアーキテクチャの開発を促進する米国の半導体大手による大きな一歩を表している。
 *エヌビディアは、CUDAソフトウェアプラットフォームでRISC-Vチップアーキテクチャをサポートする取り組みを進めていると発表した。これは、中国が技術自立推進の一環として注力しているオープンソース運動を後押しすると期待される動きだ。
エヌビディアのハードウェアエンジニアリング担当副社長、Frans Sijstermans氏は、先週上海で開催された2025 RISC-Vサミットで、「CUDAをRISC-Vアーキテクチャに移植していく」と述べた。

◇[News] NVIDIA and MediaTek Reportedly Delay N1X Processor Launch from Second Half of 2025 to Q1 2026 (7月23日付け TrendForce)
→NVIDIAとMediaTekは、Windows on Arm開発の遅れ、市場の需要の低迷、およびチップ設計の継続的な改訂を主な理由として、N1X AI PCプロセッサの発売を2026年第1四半期に延期した。

◇Nvidia addresses AI chip smuggling, says bootleg data centers are a ‘losing proposition’ (7月24日付け CNBC)
→1)*エヌビディアは、少なくとも$1 billion相当の自社製AIチップが中国に違法に流入したというFinancial Timesの報道に対し、反論した。
  *「データセンターにはサービスとサポートが必要であるが、当社は認定されたNVIDIA製品のみを提供している」と、エヌビディアはCNBCへの声明で述べた。
  *先週、エヌビディアのJensen Huang CEOは、トランプ政権との規制に関する合意が進展したことを受け、H20チップの中国への販売をまもなく再開すると述べた。
 2)エヌビディアは、中国のデータセンターにおける密輸AIチップの使用を非難し、技術的にも経済的にも「損失になる」と述べた。米国の輸出規制下で$1 billion以上の規制対象チップが中国に流入したという報道を受け、同社は無許可の製品を否定した。


【高帯域幅メモリ(HBM)】

上にもSK Hynixの非常に好調な直近業績を示しているが、ここではHBMを巡るさまざまな動き関連である。

◇[News] HBM Demand from ASICs Reportedly to Surge 80% in 2026, Fueling Samsung-SK hynix-Micron Rivalry (7月21日付け TrendForce)
→ゴールドマン・サックスは、ASIC主導の需要急増と競争激化により、HBMの価格が2025年に下落すると予測している。メモリ大手のサムスン、SKハイニックス、およびマイクロンは、AmazonやBroadcomなどのクラウド企業向けにカスタムHBM事業を拡大している。

◇[News] HBM4 Reportedly Set to End SK hynix’s Exclusive Run with NVIDIA as Market Diversifies by 2026 (7月22日付け TrendForce)
→HBM4が市場に投入されるにつれ、SKハイニックスの優位性は、開発を加速させているライバルのマイクロンとサムスンからの圧力にさらされることになる。2026年までに激しい競争が繰り広げられ、NVIDIAとAMDが価格優位性を獲得することで、HBMの価格が下落する可能性がある。

◇NVIDIA CEO Jensen Huang Reportedly Approached Samsung Back in 2018 to Collaborate on HBM, Chip Processes, and CUDA - But Was Bluntly Rejected―Reports: Samsung rejected Nvidia's 2018 HBM, CUDA offer (7月23日付け Wccftech)
→報道によると、NVIDIAのCEOであるJensen Huang氏は2018年、HBM、チッププロセスおよびCUDAに関する協業をサムスン電子に打診したが、拒否されたという。本分析によると、この決定はサムスンに数十億ドルの損失をもたらし、NVIDIAが代わりにSK Hynixと提携し、HBMの主要サプライヤーとなったことを示唆している。

◇SK Group chairman meets OpenAI CEO Sam Altman to deepen AI, HBM ties―Reports: SK Group, OpenAI discuss AI infrastructure, HBM collaboration (7月23日付け DigiTimes)
→韓国の毎日経済新聞と聯合ニュースの報道によると、SKグループのChey Tae-won会長は最近、サンフランシスコにあるOpenAI本社を訪れ、Sam Altman CEOと非公開で会談した。両幹部の会談は、2025年2月にソウルで、2024年6月にサンフランシスコでそれぞれ行われたのに続き、今回が3度目となる。

◇Samsung delays HBM4 rollout to 2026 due to yield challenges, all while SK Hynix strengthens lead in AI memory―Samsung reportedly delaying HBM4 mass production to 2026 (7月24日付け DigiTimes)
→サムスン電子は、次世代HBMチップの量産開始を2026年に延期すると報じられており、DRAMの再設計が進む中で、より慎重な展開を示唆している。
 同社は当初、10nmクラスの第6世代1c DRAMをベースにした12チャネルHBM4モジュールの量産開始を2025年後半に計画していた。しかし、韓国のメディア、Deal Siteが報じた情報筋によると、サムスンは2025年第3四半期に主要顧客向けに初期サンプルを納入し、第4四半期には本格生産を開始する予定だという。


【中国市場関連】

Huawei、そしてx86互換チップ、そして新たなキーワードと、見逃せず、以下の通りである。

◇How Huawei ascended from telecoms to become China’s ‘jack of all trades’ AI leader (7月20日付け CNBC)
→1)*ファーウェイは、NVIDIAに対する中国政府の回答を象徴しているだけでなく、AIチップを中心としたAIエコシステム全体を構築し、データセンターとソフトウェアを提供している。
  *同社の最近のAI分野での成功は、ワシントンによる西側諸国の先進技術からの締め出しという厳しい措置にもかかわらず達成された。
 2)米国の貿易制限にもかかわらず、ファーウェイはAscend 910Cのような先進的なチップやNVIDIAを上回るAIシステムを開発し、AI分野で圧倒的な競争力を持つ企業へと成長している。中国の支援を受け、ファーウェイは現在、AIハードウェア、ソフトウェア、および産業用アプリケーションの分野でリードしている。

◇China’s SpinQ sees quantum computing crossing ‘usefulness’ threshold within 5 years (7月21日付け South China Morning Post)
→1)深センに拠点を置くSpinQは、創業者兼CEOが、年末までに100量子ビットの量子コンピュータを納入する予定だと述べた。
 2)中国のスタートアップ企業、SpinQは、500量子ビットのマシンが牽引役となり、量子コンピューティングが3〜5年以内に実用化されると予測している。中国の量子技術輸出をリードする同社は、スケーリングやエラー率といった課題を抱えながらも、技術とエコシステムの成長を推進している。

◇Hygon's 4GHz C86 chip marks China's shift from policy-driven to performance-led PCs―Hygon unveils 4GHz C86 chip, boosting domestic PC performance (7月22日付け DigiTimes)
→中国のITローカリゼーション戦略は、Hygon Information TechnologyのC86プロセッサの発売により新たな段階に入った。この4.0GHz x86互換チップは、現在、中国国内のデスクトップおよびノートパソコンの幅広いラインナップに搭載されている。


【エッジAI関連】

少なくともエッジAIが絡むとの勝手な嗅覚での取り出しではあるが、そのうち絞れてくるとの思い、以下の通りである。

◇Why the Latest AI Model Isn’t Always Best for Edge AI ―Optimizing models for hardware-constrained devices isn’t easy (7月20日付け IEEE Spectrum)
→エッジAIは、スマートフォンやウェアラブルなどのデバイス上で直接実行することで、リアルタイム、プライバシー、そして効率的なAIを実現する。このテクノロジーは、クラウドへの依存を最小限に抑え、速度、セキュリティ、そして自律性を向上させることで、ハードウェアの制約に関わらず、日常的なタスクを強力にサポートする。

◇LLMs in 2.5 Watts: Hailo Targets Lower Power Market (7月22日付け EE Times)
→AIチップのスタートアップ企業、Hailoは、第2世代Hailo-10ファミリーの最初の製品を、1年前に発表されたよりも低い電力性能で売り出している。現在量産出荷されているHailo-10Hは、測定結果に基づき、20億パラメータのLLMsを約2.5Wで実行できる(10シリーズの当初の電力性能は、同じシリコンのシミュレーションに基づいて70億、5Wとされていた)。

◇Hailo-10H debuts with GenAI focus for on-device processing―Hailo's GenAI processor targets on-device processing (7月23日付け Fierce Electronics)
→Hailo Technologiesは、エッジにおける生成型AIワークロード向けのディスクリートAIアクセラレータを発表した。同社のニューラルコアアーキテクチャをベースにしたHailo-10Hは、2.5ワットの消費電力で毎秒40テラオペレーション(TOP)のINT4パフォーマンスを実現し、自動車、小売および通信分野のアプリケーションに最適である。

◇Hailo Launches ‘First-Ever’ Edge AI Accelerator with On-Device Generative AI (7月23日付け All About Circuits)
→Hailo-10Hの発売は、プライバシー重視、低遅延のAI処理の需要に牽引され、エッジAIアクセラレータ市場が2025年の$10.13 billionから2034年までに$113.71 billionに成長すると予測される中で行われた。


【ラピダス関連】

GAAトランジスタの試作を開始、重要な一歩を踏み出したラピダスについて、国内外の見方&推移に注目である。

◇Japan’s Rapidus edging to its AI goals (7月19日付け Taipei Times)
→日本のラピダス社は、最先端のEUVリソグラフィーを使用して高度な2ナノメートルチップの試作を行い、2027年までに量産することを目指している。ラピダスは、官民合わせて$11.6 billionの資金援助を受け、台湾の半導体市場への依存を減らすことを目指している。

◇Rapidus Prototypes 2-nm Transistors for 2027 Ramp (7月21日付け EE Times)
→1)日本の新興ファウンドリー企業、ラピダスは先月、新工場で2ナノメートルゲートオールアラウンド(GAA)トランジスタの試作を開始した。これは、2027年に最初の生産を開始するという目標に向けた重要な一歩となる。AI向け最先端チップでTSMCやサムスンに対抗することを目指す同社は、プレス声明で、約3年で目標マイルストーンを達成したと発表した。これには、2023年9月のファブ着工、2024年のクリーンルーム完成、そして今年6月における生産設備の設置が含まれる。
 2)日本のスタートアップ企業、Rapidusは、新工場で2ナノメートルGAAトランジスタの試作を開始し、2027年の生産開始を目指している。IBMとimecの支援を受けるRapidusは、枚葉式プロセスとEUV装置を活用し、TSMCやサムスンに匹敵する高度なAIチップの開発を目指している。

◇ラピダス、倍速の生産立ち上げ 日本の半導体再興へ供給網の力結集―ラピダス始動(上) (7月22日付け 日経 電子版 05:00)
→最先端半導体の国産化を目指すラピダスが量産に向けアクセルを踏み込んでいる。工場稼働から3カ月で試作品を公開した。通常の2倍ともいわれる高速の生産立ち上げを支えたのは日本の半導体が世界首位だった時代から経験を積んできたベテランエンジニアやサプライヤーだ。半導体再興に向け、サプライチェーン全体の力を結集する。

◇若返るラピダス、設立3年で平均50歳切り TSMCと人材争奪―ラピダス始動(中) (7月23日付け 日経 電子版 05:00)
→ラピダス社内に熱気が高まってきた。2022年8月の会社設立直後は平均年齢が高く「おじさん集団」と揶揄されたこともあったが、最先端半導体に挑戦できる環境が若手を引き付ける。正社員は約800人に達し、平均年齢は50歳を切った。人材育成のサイクルが回り始めたが、世界首位のTSMCとの人材争奪も待ち構える。

◇ラピダス小池社長、2ナノ半導体量産「確証なかったが今はいけるかも」―ラピダス始動(下) (7月24日付け 日経 電子版 05:00)
→ラピダスが2027年を目指す最先端半導体の量産に向けて前進した。今月18日に回路線幅2ナノメートルの試作品を公開した。小池淳義社長は日本経済新聞のインタビューで、量産について「確証がなかったが、今は本当にいけるかもしれないと思える」と明かした。「まだ1.5合目」とし、課題となる資金調達や顧客獲得に取り組む。

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