2025年8月 4日
|長見晃の海外トピックス
AI(人工知能)関連需要が非常に大きく引っ張る現下の半導体市場であり、中核のプロセッサのNvidia、それを製造するTSMC、そしてHBM(高帯域幅メモリ)をリードするSK Hynixなど限られたサプライヤにどうしても注目させられている。パソコン、スマホはじめ従来の応用分野のもと、長年にわたってサプライヤランキング首位のインテル、および近年メモリ活況でインテルに代わって首位になったこともあるSamsungは、現時点の動き&状況はどうか。
両社ともに、最先端微細化のファウンドリー対応で、圧倒的にリードするTSMCに対抗すべく、立て直しを図っている現時点でもある。この側面での現下の状況に、業界各紙の関連する内容から以下アプローチしている。
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2025年7月29日
|服部毅のエンジニア論点
フランスのMore-than-Moore半導体の市場動向調査を得意とするフランスのYole Groupは、2024年の世界MEMSサプライヤ売上高ランキング・トップ30を発表した(図1)(参考資料1)。30社の地域別・国別内訳は、北米14社、欧州8社、日本4社、中国4である。日本が一国だけで集計されているのは、かつて日本の企業が2桁エントリしてMEMS大国だった名残りであり、中国は、MEMSベンダーが次々と誕生しており、これから続々エントリしそうな状況にあるからであろう。
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2025年7月28日
|長見晃の海外トピックス
AI(人工知能)関連需要が非常に大きく引っ張る一方、パソコン、スマホ、産業はじめ従来分野の本格的な盛り返しが明確にあらわれていない現時点の半導体市場の見え方である。米国トランプ政権の相互関税が世界各国・地域に投げかけられて、日米間では今週15%合意が交わされたが、半導体も然り、個別には確認を要している。Nvidiaの中国向けAI半導体輸出について先週米国政府が認めて再開されたが、米国議会には依然警戒する向きがあり、今後の推移に目が離せないところがある。不安定要素を多々孕んだ情勢のもと、AI需要の対応で世界をリードしている限られた数社が非常に好調な業況を示し続ける一方、従来の半導体市場をリードしていた顔ぶれが概して苦境にあるという、ここでも分断の色合いを感じる市況模様を呈している。
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2025年7月23日
|鴨志田元孝の技術つれづれ
現代のAI機器が抱える消費電力の課題解決に向けてイノベーション技術を探る目的で、セミコン分野に隣接する分野の岡目八目を行ってきた。バイオ分野はニューロンの仕組みなど省電力システムを探る目的で見ておかねばならない。前報2編(「医工連携の進化を望む(その1)および(その2)」)におけるバイオの中でも特にAIに近いと思われる医工連携を覗きその課題と対策を記述した。DNAの損傷、回復のメカニズムに関する説明一つを見ても医の実践の場である病院の説明は一般患者にとって難解である。一方工学の実践の場である工場では作業ミスを防ぐため、データの「可視化」を基にわかりやすさを第一にした作業指導を行う管理技術も使われている。工学では管理技術と要素技術とが車の両輪なので、医学もその両輪を合わせて取り込み、医工連携を図る必要性を説いた。切り口が的外れだったのかもしれないが、医工連携からはAIの省電力イノベーションに関する予兆は見いだせなかった。
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2025年7月22日
|長見晃の海外トピックス
この6月終わりに米中貿易協定が最終決定され、中国がレアアースを供給する一方、米国は対抗措置を解除することが盛り込まれて、長らく膠着の米中摩擦に緩和の兆候を感じたところである。今月に入って早々、中国への半導体設計ソフトウェアの輸出規制が解除され、さらにこのほど、対中国輸出規制が取り沙汰されていたNvidiaの中国向け仕様の製品「H20 GPU」の出荷再開を米国政府が許可している。米中の狭間で、中国のAI分野の台頭そして中国でのビジネス機会に揉まれながら、粘り強く米国政府そしてトランプ大統領まで当たったジェンスン・ファン同社CEOの説得が奏功した形である。
引き続き注視を要するが、本件の経緯および関連に以下今回注目である。
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2025年7月15日
|服部毅のエンジニア論点
2nmおよびその先のデバイスの試作ラインを欧州連合(EU) 圏に設置して最先端デバイスの設計・開発・試作・応用のエコシステムを構築し、欧州における半導体産業を活性化する「NanoICプロジェクト」をご存じだろうか(参考資料1)。去る5月下旬に、EU加盟各国からNanoIC プロジェクト関係者がベルギーに集まり、このプロジェクトの決起大会ともいうべき「NanoIC Workshop」が開催され、プロジェクトの計画や進捗状況が報告された。
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2025年7月14日
|長見晃の海外トピックス
米国・Semiconductor Industry Association(SIA)から月次世界半導体販売高が発表され、この5月について$59.0 billionと、少なくとも2022年まで遡って昨年11月の$57.8 billionを上回る月次最高を示している。本年出だし2ヶ月は前月比減少となったが、以降5月まで3ヶ月連続増加となり、AI(人工知能)関連需要が圧倒的に牽引すると目される現下の市場の力強さがあらわれている。PC、スマホはじめ従来の分野の本格的回復が待たれる雲行きの中、今の状況が続くかどうか、変化に目が離せないところである。各社の状況についても、Nvidia及びTSMCがAI関連を圧倒的に引っ張る一方、インテル、Samsungなど追い込みを図る取り組みと、際立つAI濃淡模様である。
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2025年7月 9日
|鴨志田元孝の技術つれづれ
前報(参考資料1)で医工連携につき、医学の臨床現場で使われている患者に対する説明書の難解さを記述した。本稿ではAIの将来革新技術を探る目的で岡目八目をしているので、あまり深入りはせず、ただ実態を知るための現状認識程度に考えてお読みいただきたい。
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2025年7月 9日
|鴨志田元孝の技術つれづれ
現代のAI機器には消費電力の課題があるのでイノベーションが必要なことは誰しも思うことであるが、何をどうすればよいのかは皆目見当もつかない。こういう時は身近な産業分野を時々眺めてみることも必要である。いわゆる岡目八目である。本稿以降しばらくバイオと光学分野の現状を覗いてみたい。光学では情報伝送の省電力という意味でフォトニクスや量子産業がセミコン産業と隣接している。またバイオはニューロンの仕組みなど省力システム関係で見ておかねばならない。とはいっても、両者ともあまりに広いのでどこを覗くか、その切り口が重要になる。筆者の独断と偏見で医療関係、特に医工連携から入るが、それは筆者の個人的な事情もあるので、それによる偏りはあらかじめご了承頂きたい。
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2025年7月 7日
|長見晃の海外トピックス
トランプ政権の減税・歳出法案そして関税交渉の進捗具合が米国内そして世界各国にそれぞれ分断模様の議論を引き起こすなか、半導体関連では米国政府の2つの動きが見られている。トランプ大統領の言う「大きくて美しい法案(One Big Beautiful Bill Act)」を受けて、先進製造投資税額控除の税率が25%から35%に引き上げられ、最も重要な税制優遇措置が推進されている。そして、米中貿易協定の成立発表に応じる形で、中国企業への半導体設計ソフトウェアの提供に関するライセンス要件が撤廃されている。もう1つ、立て直しを図っているインテルについて、ファウンドリーの製造プロセス対応を先進的な14Aノードに移すなど、新たな基軸が示されている。
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