免除から一転、半導体関税検討、各国&各社でのインパクト&当面の対応
半導体、スマホや半導体製造装置は相互関税の対象から免除ということで一服感があったのも束の間、時間を置いて改めて半導体分野別関税を設けて適用するとのこと。1〜2カ月後に打ち出される可能性が高いとの見通しとされているが、二転三転のトランプ政権に振り回される半導体関連業界模様である。並行して、Nvidiaの中国向け仕様のGPU製品に対しても、米国のAI半導体輸出規制が適用され、AMDとともに当面の業績への打撃が避けられない見込みである。米国政府の関税インパクトは、中国との摩擦を激化させるのに加えて、中国向けビジネス比率が高い韓国をはじめとして、世界各国および関連各社に推移に警戒しながらの当面の対応を余儀なくさせている。
≪動揺するなかの当面の対応模索≫
相互関税の対象から免除ということで、一瞬の安堵が次の通り見られていた。
◇米相互関税、スマホ・半導体装置除外 テックの現実に屈す (4月13日付け 日経 電子版 14:12)
→トランプ米政権は相互関税の対象からスマートフォンや半導体製造装置など電子関連製品を除外した。国内テック企業からの要望を受け入れた。行き当たりばったりの政策では、国際分業が高度に進んだサプライチェーン(供給網)の現実を乗り越えられなかった。
◇Trump exempts phones, computers, chips from ‘reciprocal’ tariffs (4月13日付け Taipei Times)
→トランプ政権は、スマートフォンやノートパソコンなどの主要電子機器に高関税を適用せず、消費者のコスト負担を軽減し、アップルやサムスンなどの企業に恩恵を与えた。また、半導体製造装置も緩和され、TSMCのようなメーカーに恩恵をもたらした。
ところが、分かれ目が急に次の通りあらわれて、半導体関税が打ち出されている。
◇Trump's electronics tariff exemption is temporary, Commerce secretary says (4月13日付け Axios)
→Howard Lutnick商務長官は日曜13日に、スマートフォンやその他の電子機器も将来の半導体分野別関税に含まれると述べた。トランプ政権がそのような製品は中国からの輸入関税の対象外であると述べた2日後のこと。
◇Shifting Signals on Tech Tariffs Fuel Fresh Trade Uncertainty―Mixed signals on tech tariffs create market chaos―Trump says tech products exempted from ‘reciprocal’ tariffs could soon see additional levies (4月13日付け The Wall Street Journal)
→US Customs and Border Protection(米税関・国境警備局)が電子機器は免除されると報告したことを受け、トランプ政権はスマートフォンやその他のハイテク製品の関税について複雑なシグナルを送っている。Howard Lutnick商務長官は、中国からの輸入関税に対する最近の例外措置は一時的なものに過ぎないと述べている。
◇米、中国製スマホなど新たな半導体関税の対象に (4月14日付け 日経 電子版 05:10)
→ラトニック米商務長官は13日、トランプ米政権が11日夜に相互関税の対象から除外したスマートフォンなど電子関連製品について、半導体関連に焦点を絞った新たな分野別関税の対象になると明らかにした。1〜2カ月後に打ち出される可能性が高いとの見通しも示した。
◇トランプ関税、スマホでも迷走 「除外」一転し別関税に (4月14日付け 日経 電子版 12:07)
→トランプ米政権の高関税政策が迷走している。11日に中国製品向けの相互関税から除外したスマートフォンなどを巡り、ラトニック米商務長官が13日に新たな半導体関税に組み入れると表明した。政策が二転三転してコスト高が避けられなくなったテック業界は困惑する。
米国連邦官報には、次の通りこの急転措置があらわされている。
◇U.S. announces probe into chip, electronics imports, paving the way for new tariffs (4月15日付け CNBC)
→1)*連邦官報告示(Federal Register notice)によると、この調査は、チップ部品、チップ製造装置、および「半導体を含む川下製品」を含む幅広い品目を網羅している。
*この文書はさらに、金曜11日にトランプ大統領が「相互関税」から免除を受けたにもかかわらず、チップとエレクトロニクスのサプライチェーンがトランプ大統領の関税計画から除外されないことを裏付けている。
2)米商務省は半導体輸入に関する国家安全保障調査を開始し、新たな関税の可能性に道を開いた。それ以前の免除にもかかわらず、トランプ大統領はチップと電子機器への関税がありそうであることを確認し、数週間以内に発表される見込みである。
◇スマホに関税へ軌道修正 米半導体課税 装置やPCも トランプ氏「近く説明」「柔軟性必要」 (4月15日付け 日経)
→トランプ米政権は13日、米国が輸入するスマートフォンなどの電子機器を半導体関連にかける分野別関税の対象とする方針を示した。相互関税の対象から除外する措置をとったが軌道修正した。トランプ大統領が近く税率などを説明する。関税政策は二転三転している。
国際分業から米国内での生産集中への流れが急がされている。
◇半導体の国際分業に転機 米、関税導入へ調査 エヌビディアは米に生産集中各国内製化へ、供給過剰も (4月16日付け 日経)
→米商務省は14日、半導体と医薬品について関税導入に向けた調査を始めたと明らかにした。半導体はスマートフォンなど電子機器を含めたサプライチェーンも対象とし、安全保障上の懸念がないか調べる。官報で通知した。安保を理由に輸入制限を課す大統領権限を定めた通商拡大法232条に基づき270日以内に大統領に報告する。
輸入が特定の国に集中していないかなどを調べ、関税や輸入割当枠などの是正措置を必要に応じて勧告する。大統領が最終判断する。
当然ながら、米国政府の関税政策は世界各国&各社に動揺を与えており、まずは、現下のAI活況を引っ張る米国・Nvidiaについて、以下の動きである。
米国内でのAIインフラ構築への同社の取り組みがあらわされている。
◇Nvidia to be the first to make American-made AI supercomputers―Nvidia to make AI supercomputers in US for the first time (4月14日付け SILICON VALLEY BUSINESS JOURNAL)
→これは、ドナルド・トランプ大統領が半導体関税の導入をほのめかしていることを受けたものだ。
◇Nvidia, TSMC, others to produce $500B in domestic AI infrastructure in AZ and TX―Nvidia to build $500B AI infrastructure in US by 2029 (4月14日付け Fierce Electronics)
→Nvidiaは、TSMC、FoxconnおよびAmkor Technologyなどの企業と提携し、2029年までに米国内で最大$500 billionのAIインフラを生産する計画だ。この構想には、Nvidia Blackwellチップやスーパーコンピューターの製造も含まれ、すでにPhoenixにあるTSMC工場で生産が開始されている。
◇Nvidia says it will build up to US$500 billion of AI gear in US (4月15日付け South China Morning Post (Hong Kong)/Bloomberg)
→*この$500 billionという数字は、エヌビディアがAIのサプライチェーンに販売すると予想されるすべての商品の合計額を指している。
*人工知能モデル用チップで圧倒的なシェアを誇るNvidiaは、製造パートナーシップを通じて、今後4年間でhalf a trillion dollars相当のAIインフラを米国で生産する計画だ。
Blackwellとして知られるNvidiaの最新世代AIチップの生産は、PhoenixにあるTSMCの新工場で開始された。
◇NVIDIA、AI半導体やサーバーを米生産 4年で72兆円計画 (4月15日付け 日経 電子版 02:34)
→米エヌビディアは14日、最新のAI半導体「ブラックウェル」とAIサーバーを米国で生産すると発表した。生産委託先と協力し、今後4年間で最大$500 billion(約72兆円)分を米国内でまかなう。トランプ米政権の関税政策で不透明さが増す供給網の安定性を高める。
◇Nvidia to build US$500bn of AI infrastructure in US (4月16日付け Taipei Times)
→Nvidiaは、TSMC、Foxconn、Wistron、Amkorなどと提携し、4年間で$500 billion相当のAIインフラを米国内で生産する計画だ。この構想は、国内のAIチップ製造を後押しし、トランプ大統領の関税主導のリショアリング・アジェンダに沿うものだ。
◇Nvidia $500 Billion Bet on American Soil―Trump has said he will announce semiconductor tariffs as soon as this week. (4月16日付け EE Times)
→エヌビディア・コーポレーションは、世界のテクノロジー情勢における緊張の高まりを強調する大胆な作戦として、最先端のAIスーパーコンピューターをすべて米国内で生産する$500 billion規模の野心的な計画を発表した。
このチップ大手は、今後4年間で最大$500 billion相当のAIインフラを国内で製造することを目指しており、台湾の製造パートナーへのこれまでの依存度から戦略的な軸足を移すことになる。
NvidiaがAMDと同様、TSMCの米国工場でチップ生産を始めるとの発表である。
◇Nvidia, AMD Ramp at TSMC Arizona as U.S. Tariffs Loom ―Nvidia, AMD begin chip production at TSMC Arizona amid looming U.S. tariffs. (4月16日付け EE Times)
→NvidiaとAMDは今週、アリゾナ州にあるTSMCの新チップ工場で生産を開始すると発表した。ドナルド・トランプ米大統領が数日後に半導体に関税を課すと宣言した矢先である。この2つの出来事は偶然の一致ではない、とアナリストはEE Timesに語った。
TechInsightsのDan Hutcheson副会長はEE Timesに対し、「基本的に、AMDとNvidiaは米国に生産拠点を移すことで、関税の不確実性に対処している。」「これは収益の安定に直結し、米国で生産することで、関税によるコスト変動のリスクが取り除かれるためだ。」
中国向け仕様のAI GPU製品に対して、米国当局が新たな輸出規制をかけるということで、Nvidiaが財務損失の可能性を以下の通りあらわしている。
◇Nvidia writes off $5.5 billion in GPUs as US gov't chokes off supply of H20s to China―AMD's Instinct MI308 reportedly gets export restrictions too. (4月16日付け Tom's Hardware)
→エヌビディアは、米国当局が中国市場向けに設計されたAI GPU「H20 HGX」に新たな輸出規制を課したため、$5.5 billionの財務的打撃を受けることになると発表した。
米国政府は新たな規制の理由として、H20のメモリと相互接続の帯域幅、スーパーコンピュータでの使用の可能性を挙げている。ロイターによれば、米商務省はAMDのInstinct MI308の中国向け販売も制限している。
◇Tech stocks drop as Nvidia, AMD warn of higher costs from China export controls―Trump's tariffs spark tech sector volatility (4月16日付け CNBC)
→1)*テクノロジー株は、ドナルド・トランプ大統領の関税プランによる不確実性の継続とコスト増を警告するチップ製造分野の下落によって急落した。
*エヌビディアは中国輸出に関連して$5.5 billionの費用を計上すると発表、AMDは最大$800 millionの打撃を予想している。
*オランダの半導体製造装置メーカー、ASMLは受注予想を下回り、関税制限が需要の不確実性を生むと述べた。
2)エヌビディアとAMDの株価は、中国向けチップに関する米国の新たな輸出規制によるコスト増を警告して下落した。Nvidiaは$5.5 billionの費用を見込んでおり、AMDはMI308製品への規制から$800 millionの影響を見込んでいる。
◇Nvidia expects US$5.5 billion hit as US targets chips sent to China―Nvidia to take a $5.5B hit as US restricts H20 GPU exports (4月16日付け South China Morning Post (Hong Kong)/Reuters)
→1)中国の需要が拡大している同社の人工知能チップ「H20」に輸出ライセンスが必要に
2)エヌビディアは、同社のAIグラフィックス・プロセッシング・ユニット「H20 HGX」に対する米国の新たな輸出規制により、$5.5 billionの費用を計上する見込みだ。米国は、このGPUがスーパーコンピュータに使用される可能性があることを懸念している。H20は、中国で入手可能なNvidiaの最先端チップで、Tencent, AlibabaそしてByteDanceなどの企業で使用されている。
◇AI半導体に輸出規制 NVIDIA、引当金など7900億円計上 (4月16日付け 日経 電子版 08:17)
→米エヌビディアは15日、中国向けに設計したAI半導体「H20」が米政府による輸出規制の対象になったと発表した。2025年2〜4月期に最大$5.5 billion(約7900億円)の費用を計上する。性能を落としたH20はこれまで中国への輸出が認められてきたが、米政府が規制の対象範囲を拡大した。
エヌビディアが米証券取引委員会(SEC)に提出した資料で明らかになった。
NvidiaのCEO、Jensen Huang氏は、この件で急遽北京を訪れた模様。以下の通りである。
◇Huang Visits China as Nvidia Feels the Chip War ―Nvidia CEO visits Beijing as US restricts H20 chip exports―Jensen Huang makes a surprise visit to Beijing, meeting Chinese officials. (4月17日付け EE Times)
→エヌビディアのJensen Huang CEOは本日北京を訪れ、H20 AIチップに関する米国の新たな輸出規制の中、中国を「重要な市場」と強調したという。中国への輸出にライセンスが必要となるこの規制により、エヌビディアは最大$5.5 billionの損失を被る可能性がある。
◇Tech war: Nvidia CEO Huang says China a ‘key market’ on Beijing visit, as US bans AI chips (4月17日付け South China Morning Post (Hong Kong))
→*NvidiaのCEO、Huang氏は木曜17日、state-backed China Council for the Promotion of International Trade(中国国際貿易促進委員会)の招待で北京に到着した。
*Nvidiaの創業者でCEOのJensen Huang氏が北京をサプライズ訪問し、米チップ大手、NvidiaがH20チップを中国に輸出するためにワシントンがライセンスを要求、同社が$5.5 billionの打撃損失を見込む動きを明らかにした翌日、中国当局者と会談した。
AMDのGPU製品にも、今回の米国の規制が及んで、以下の通り影響および対応があらわされている。
◇AMD expects $800 million hit from U.S. chip restrictions on China (4月16日付け CNBC)
→1)*AMDは、同社のMI308製品を中国やその他の国々に輸出したことで、最大$800 millionの費用が発生する可能性があると発表した。
*AMDの株価は水曜16日に5%以上下落した。
*エヌビディアも火曜15日に同様の情報開示を行い、H20 GPUsの輸出で約$5.5 billionの四半期費用を計上すると発表した。
2)AMDの株価は、同社のMI308チップに関する米国の新たな輸出規制に関連して最大$800 millionの費用が発生すると警告した後、7%以上下落した。同社は、AIハードウェアの販売と将来の成長に影響を与える可能性のあるライセンスのハードルに直面している。
◇AMD’s Su praises Taiwan’s importance in chip ecosystem―COLLABORATION: Given Taiwan’s key position in global supply chains, the US firm is discussing strategies with local partners and clients to deal with global uncertainties (4月16日付け Taipei Times)
→AMDは、米国の関税を回避し、サプライチェーンの弾力性を確保するため、TSMCや台湾のパートナーとの関係を強化している。Lisa Su CEOは、AMDのAIチップはTSMCの先端ノードを使用し、台湾とアリゾナの両方で生産を拡大することを確認した。
◇AMD says US rule on chips to China could cost it US$800 million―AMD expects $800M impact from US-China chip export rule(4月17日付け South China Morning Post (Hong Kong)/Agence France-Presse)
→1)米国の新しい輸出規制措置は、高性能アプリケーション向けに設計されたMI308 GPUsに適用される
2)AMDは、中国への半導体輸出に関する米国の新しいライセンス規則により、最大$800 millionの財務的影響を予想している。該規制は、ゲームおよびAIに使用されるMI308 graphics processing unitsに影響する。
米中および関税が世界の各国&各社に与えるインパクトが、さらに以下の通りである。
まず、中国との関係が大きい韓国の対応である。
◇South Korea unveils $23 billion support package for chips amid US tariff uncertainty―South Korea boosts semiconductor support to $23B (4月14日付け Reuters)
→韓国政府は、半導体産業に対して2024年よりも増額した$23.25 billionの支援計画を発表した。このパッケージは、中国との競争に対抗し、米国の政策の不確実性に対処し、そしてチップメーカーがコスト上昇に対処できるようにするためのものである。さらに、半導体産業への財政支援は$12 billionから$15.4 billionに引き上げられた。
◇China’s control of rare earth exports weighs on Korean industries―Korea urged to diversify supply chain for vital materials (4月14日付け The Korea Times)
→中国のレアアース輸出制限により、韓国の米国におけるIT工場や自動車工場の生産が脅かされ、在庫が少ない中での生産遅れの懸念が高まっている。専門家は韓国に対し、サプライチェーンを多様化し、代替材料戦略を迅速に構築するよう促している。
◇South Korea announces over $23 billion for chip sector as Trump tariffs on semiconductor imports loom (4月15日付け CNBC)
→1)*韓国政府は、半導体集積地への地下送電線建設に補助金を出すほか、先端産業団地のインフラ整備への出資比率を高める。
*また、半導体関連企業への低利融資も拡大する。
*その他の措置としては、国内の修士・博士課程の学生を対象とした研修・研究プログラムの導入や、外国人人材を対象としたグローバルな共同研究プログラムの導入などがある。
2)韓国は、米国の関税脅威の中、インフラ、融資、および研究を強化し、半導体産業に対する$23.25 billionの支援策を発表した。この動きは、サムスンやSKハイニックスのような世界的なチップリーダーを貿易摩擦の激化から守ることを目的としている。
◇Korea provides $23bn subsidy to chip industry (4月15日付け Electronics Weekly (UK))
→本日未明、韓国政府は半導体産業に対する支援策を、昨年の26 trillion won(26兆ウォン)から$23.25 billionに増額すると発表した。
◇S Korea plans extra US$4.9bn help for chip industry (4月16日付け Taipei Times)
→韓国は、SamsungやSK Hynixのような主要輸出企業に打撃を与えかねない米国の関税脅威に対応し、半導体業界に対して$4.9 billionの追加支援を約束した。この支援パッケージは競争力強化を目的とし、インフラおよび人材育成を含んでいる。
◇US regulations on China-bound chips to weigh on Samsung Electronics (4月17日付け The Korea Times)
→AIチップに対する米国の輸出規制強化は、中国を最大の市場とするサムスンを圧迫している。Nvidiaに影響を与え、次は中国のAI企業をターゲットにするかもしれない禁止令により、サムスンのHBM(High Bandwidth Memory)輸出は、間接的な供給ルートにもかかわらず、リスクの上昇に直面している。
米国の関税を受けての動きが続いている。
◇China’s largest iPhone factory resumes hiring after Trump spares electronics from tariffs (4月14日付け South China Morning Post)
→1)この動きは、米国の新関税がアップルのサプライチェーンにもたらした混乱を浮き彫りにしている
2)Foxconnは、米国の新関税により一時休止していた鄭州のiPhone工場での雇用を再開した。この混乱は、貿易摩擦が激化する中、インドへの生産シフトが進むアップルのサプライチェーンにおける不確実性の高まりを浮き彫りにしている。
◇China’s chip trade faces uncertainty after growing in first quarter amid US tariff war (4月14日付け South China Morning Post)
→1)貿易戦争がエスカレートするなか、中国のチップ商いが価格提示を停止したと報じられている
2)米中関税のエスカレートにもかかわらず、中国のIC貿易は第1四半期に急増、出荷が中断し、深?での価格提示が停止した。半導体の緊張は、両国が関税を調整し、国内製造の優位性を確保しようと奔走する一方で、重要な技術を標的にしたことで深まった。
以下にも示すTSMCとASMLの業績関連である。
◇TSMC, ASML Outlooks to Reveal Depths of Tariff Pain, AI Pullback (4月15日付け Live Mint)
→1)今週のチップ業界大手2社の決算は、投資家の信頼に穴を開け、バリュエーションを数年来の低水準に追いやった問題をいち早く洞察する構えだ。
2)今週のTSMCとASMLの決算は、米国の関税とAI需要の不確実性がチップ・セクターをどのように揺さぶっているかを明らかにする可能性がある。足元の売上は好調だが、貿易リスクやデータセンター戦略の変化の中で、投資家の関心はフォワード・ガイダンスに集まっている。
◇Taiwan IC packaging firms report strong 1Q25, but US tariff uncertainty casts shadow (4月15日付け DigiTimes)
→台湾のICパッケージング&テスト業界は2025年第1四半期に好調な業績を上げ、ASEやCWTなどの企業は記録的な売上げを計上した。堅調な需要と関税の免除にもかかわらず、迫り来る米国の半導体関税は、将来のサプライチェーンの混乱に対する懸念を引き起こしている。
◇Tariffs on chips coming, Trump says (4月15日付け Taipei Times)
→1)免除: ハイテク関税の免除で市場は上昇したが、トランプ大統領のチップに関税をかけるという脅しが投資家を緊張させており、半導体セクターは圧力に備える
2)米国の電子機器関税の免除で世界市場は上昇したが、トランプ大統領は一時的なものだと警告。トランプ大統領は半導体に差し迫った関税をかけると公言し、台湾のTSMC株を動揺させた。中国は保護主義的なアプローチを批判し、ワシントンは積極的な貿易政策を擁護した。
◇1〜3月スマホ出荷、Apple過去最高 関税前に駆け込み (4月15日付け 日経 電子版 07:14)
→米調査会社IDCは14日、2025年1〜3月のスマートフォンの世界出荷台数(速報値)が前年同期比1.5%増の3億490万台だったと発表した。トランプ米政権の対中追加関税に備えて多くのメーカーが増産した。特に米アップルは10%増え、1〜3月期では過去最高となった。
現下の市況に向けた論評&分析関連が、以下の通りである。
◇Shifting Sands in Silicon by Global Supply Chains―Manufacturing landscape reconfigured by AI frenzy and shifting architectures (4月15日付け EE Times)
→1)デジタル時代を動かす目に見えないエンジンである世界の半導体製造分野は、AIに対する需要の急増、プロセッサ・アーキテクチャ間の競争の激化、および複雑な国際サプライチェーンの再構築に向けた協調的な取り組みによって、大きな変革期を迎えている。
2)世界の半導体業界は、AI需要、進化するプロセッサアーキテクチャ(x86, Arm, RISC-V)および再構築されたサプライチェーンに牽引され、大きな転換期を迎えている。TSMCがファウンドリー生産を独占する一方、Intel、Samsung、その他がハイパフォーマンス・コンピューティング(HPC)、AIおよび自動車ニーズの高まりに対応すべく競争している。
先行きをAIに聞きたいぐらい、との本音である。
◇AI Can’t Predict the Impact of Tariffs-but It Will Try―AI supercharges supply chain upset analysis―Companies are looking to technology to help navigate supply-chain uncertainty (4月15日付け The Wall Street Journal)
→トランプ大統領の下で予測不可能な関税によって引き起こされるサプライチェーンの混乱を管理するために、企業はAIに目を向けている。ベンダー各社は関税の影響をモデル化するAI機能を導入しているが、ホワイトハウスが次に何をするのかを見極めるのに苦労している。
◇US Republican senators ask Trump administration to reject Biden's AI chip rule (4月15日付け Reuters)
→共和党の上院議員7人は、AIチップの輸出を制限する迫り来るバイデン規則を破棄するようHoward Lutnick商務長官に要請し、米国のリーダーシップを脅かし、同盟国に負担をかけ、そしてバイヤーを中国の規制のない低コストの代替品に向かわせる恐れがあると警告した。
◇米半導体関税、国際分業に転機 各国内製化で供給過剰も (4月15日付け 日経 電子版 19:44)
→半導体産業を支えてきた国際分業体制が転機を迎える。トランプ米政権は14日、半導体と半導体製造装置への関税発動に向けて調査に動き出した。半導体産業は一国では完結できない複雑なサプライチェーンを築いており、混乱は避けられない。米国をはじめ各国が経済安全保障の観点から内製化を目指しており、供給過剰となるリスクもはらむ。
◇The Many Ways Tariffs Will Hit Your Electronics ―5 questions for IPC chief economist Shawn DuBravac (4月16日付け IEEE Spectrum)
→IPCのチーフエコノミストであるShawn DuBravac氏は、米国の関税引き上げによって電子機器の価格が大幅に上昇する可能性があり、スマートフォンは最大101%の上昇に直面すると警告した。同氏は、消費者コストの上昇、製品の多様性の低下、投資の停滞、そして業界全体の技術革新の鈍化を予測している。
◇「関税一色」の米自動車ショー 現代自、値上げ検討を表明 (4月17日付け 日経 電子版 05:52)
→トランプ米大統領が発動した輸入車への25%の追加関税を巡り自動車大手が米国で値上げを検討し始めた。現代自動車は16日、開幕したニューヨーク国際自動車ショーの場で高級車などで今後の値上げの可能性を示唆した。日産自動車も6月までは価格を据え置くが、その後は需要をふまえて判断するとした。
◇米中対立、レアアース波及 高関税に報復、輸出規制強化 中国に生産7割集中 (4月17日付け 日経)
→関税政策を巡る米中対立が重要鉱物のレアアースに波及してきた。トランプ米大統領は輸入実態の調査を指示し、中国は輸出規制を進める。レアアースを巡る対立激化は日本など世界のサプライチェーン(供給網)に打撃を与える。
◇米中対立の余波広がる ボーイングやエヌビディア 納入停止や輸出規制対象に (4月17日付け 日経)
→米国と中国の対立による悪影響が米国企業に本格的に広がってきた。トランプ米政権の関税発動により、中国は米国の輸出の象徴である米ボーイングの機体の納入停止を決めた。米国は中国のAI開発を封じ込めようと、中国向けに設計した米エヌビディアのAI半導体を輸出規制の対象にした。
今後の展開&推移に、引き続き注目するところである。
激動の世界の概況について、以下日々の政治経済の動きの記事からの抽出であり、発信日で示している。
□4月15日(火)
金曜18日はGood Fridayでお休み、出だしはいったん緩んだものの、あと3日は関税を巡る不透明感から下げる展開となった今週の米国株式市場である。
◇NYダウ続伸、312ドル高 関税警戒が一旦緩む (日経 電子版 05:31)
→14日の米株式相場でダウ工業株30種平均は続伸し、前週末比312ドル(0.78%)高の4万524ドルで終えた。トランプ米政権が相互関税の対象から電子機器類を一旦除外する方針を示し、税率緩和への思惑からハイテク株を中心に買われた。アップル株が2%高になるなど、中国での生産比重が大きく恩恵を受けやすいとみられる銘柄が買われた。
□4月16日(水)
◇米国株、ダウ反落し155ドル安 関税巡る不透明感強く (日経 電子版 06:02)
→15日の米株式市場でダウ工業株30種平均は3営業日ぶりに反落し、前日比155ドル83セント(0.38%)安の4万0368ドル96セントで終えた。米政権の関税政策の内容を見極めたい雰囲気から売りが優勢となった。ダウ平均は前日までの2営業日で900ドルあまり上昇した後で、持ち高調整の売りも出やすかった。一方、市場予想を上回る四半期決算を発表した米銀行の株高が市場心理の支えとなり、下値を抑えた。
トランプ大統領と米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長の間の不協和音が、以下に続く通り、一層高まってきている。
◇Powell indicates tariffs could pose a challenge for the Fed between controlling inflation and boosting growth―Powell: Tariffs likely to challenge Fed goals (CNBC)
→1)*パウエルFRB議長は水曜16日、該中央銀行がインフレ抑制と経済成長支援の間でジレンマに陥る可能性があると述べた。
*「もしそのような事態に陥った場合、経済がそれぞれの目標からどの程度離れているのか、また、それぞれのギャップが縮まると予想される時間がどの程度異なる可能性があるのかを検討するだろう」とパウエル議長はシカゴでの講演で述べた。
*パウエル議長は、金利の方向性については言及しなかったが、「当面は、政策スタンスの調整を検討する前に、より明確になるのを待つのがよいだろう」と述べた。
2)FRBのパウエル議長は、ドナルド・トランプ大統領による関税措置は、インフレ抑制と低失業率の維持という中央銀行の目標を危うくしかねないと警告した。パウエル議長は、関税が予想以上に大きく、インフレ率の上昇と経済成長の鈍化を招く可能性があると指摘する。「その影響は我々の目標から遠ざかる可能性が高い」とパウエル氏は述べた。
□4月17日(木)
東南アジアでは、米中に大きく頼れない動きである。
◇東南ア、米中以外の輸出先開拓 リスク分散でEUなど (日経 電子版 05:00)
→米中の貿易戦争が激しくなるなか、東南アジアの国が米中以外の国・地域に接近している。幅広い国と経済連携を深めて影響を軽減する狙いがある。EUとの交渉を活発化させているほか、中東や南アジアとの連携にも動き始めた。
◇NVIDIA7%安、米中対立と関税懸念 NYダウ699ドル安 (日経 電子版 06:25)
→16日の米株式市場で半導体株が軒並み下落した。トランプ米政権による半導体の対中輸出規制の強化が減益要因になると前日発表した米エヌビディアの株価は前日比で7%安となった。関税戦争で景況が悪化する懸念が広がるなか、オランダの半導体製造装置ASMLホールディングの受注が予想を下回ったことも産業の先行き懸念を高めた。
先頭を切って、日米関税交渉が行われている。
◇日米関税交渉、トランプ氏ペース 「日本との協議最優先」 (日経 電子版 16:42)
→日米関税交渉の初会合は、突如参加を表明したトランプ米大統領のペースで終わった。トランプ氏は日本との交渉を「最優先」と位置づける。各国・地域との交渉で早期に譲歩を引き出したい同氏が最初に照準を合わせた相手が日本だった。
□4月18日(金)
◇NYダウ3日続落 医療株安が重荷、エヌビディアも下落 (日経 電子版 05:32)
→17日の米株式市場でダウ工業株30種平均は3日続落し、前日比527ドル16セント(1.32%)安の3万9142ドル23セントで取引を終えた。17日朝発表の四半期決算が市場予想を下回ったユナイテッドヘルス・グループが急落し、ダウ平均を押し下げた。エヌビディアの下げも続いた。
◇トランプ氏、FRB議長の退任要求 「後任検討」と米報道 (日経 電子版 09:57)
→トランプ米大統領がFRBのパウエル議長への退任要求に踏み込んだ。17日にはSNSに「一刻も早く解雇すべきだ」と投稿した。自身の高関税政策によって景気悪化懸念が急速に高まるなか、早期の利下げを求めて言動が過激になっている。
≪市場実態PickUp≫
【TSMC関連】
AI半導体需要対応が好調で最高業績のTSMCの1〜3月であるが、同社CEO、C.C.Wei氏の今後の米国事業の取り組みが以下にあらわされている。
◇TSMC hikes 4nm pricing; US clients scramble under tariff pressure―Sources: TSMC raising 4nm tech pricing amid tariffs (4月16日付け DigiTimes)
→ドナルド・トランプ米大統領の広範な新関税は、すでに半導体企業に生産戦略の見直しを迫っている。サプライチェーン関係者によると、TSMCのアリゾナ工場でのコスト高が、アップルのような米国の顧客に大規模生産へのコミットをためらわせていたという。
◇TSMC Q1 profit up 60% YoY and revenue up 42% (4月17日付け Electronics Weekly (UK))
→TSMCの第一四半期の売上げが前年同期比42%増の$25 billion、利益が同60%増の$11.1 billion。
◇TSMC、1〜3月純利益最高、60%増 AI半導体需要がけん引 (4月17日付け 日経 電子版 14:40)
→半導体世界大手のTSMCが17日発表した2025年1〜3月期決算は、売上高が前年同期比41.6%増の8392億台湾ドル(約3兆7000億円)、純利益は60.3%増の3615億台湾ドルだった。いずれも同期として最高だった。今後はトランプ米政権が検討する半導体関税の業績への影響が懸念される。
増収増益は5四半期連続。回路線幅3〜5ナノメートルの先端半導体の販売好調が寄与した。
◇最高益TSMC、「AI関連需要続く」 トランプ政権対応は苦慮 (4月17日付け 日経 電子版 17:45)
→半導体世界大手のTSMCが17日発表した2025年1〜3月期決算は売上高・純利益ともに1〜3月期として最高だった。AI向け半導体が堅調だが、トランプ米政権の二転三転する関税政策が成長に影を落とす。リスク抑制へ対米投資で米経済への貢献をアピールする。
◇TSMC denies Intel tie-up, announces CoWoS capacity doubling for 2025 AI boom (4月17日付け DigiTimes)
→スマートフォンの販売不振や地政学的リスクの高まりにもかかわらず、TSMCは平静を保っている。C.C.ウェイ会長兼CEOは最新の決算会見で、該チップメーカーの好調な2025年見通しを再確認し、AI需要の軟化に関する憶測を一蹴し、否定した。
◇TSMC says it will build 'independent' U.S. chip hub―TSMC targets "independent" US chip hub―Taiwanese chipmaker aims to make 30% of its cutting-edge 2-nm chips in Arizona (4月17日付け Nikkei Asia)
→TSMCは、米国に「独立した」クラスターを作る努力の一環として、2ナノメートルチップの30%をアリゾナで生産する計画を持っていると、会長兼CEOのC.C.Wei氏は述べた。同氏はまた、該チップメーカーが合弁事業や技術共有は考えていないという噂を否定した。
これとは別に、同社は2024年第1四半期と比較して、第1四半期の利益が60%増の$11.1 billion、売上高が42%増の$25 billionになったと報告した。
◇TSMC says it will manufacture 30% of most advanced chips in Arizona (4月17日付け Axios)
→TSMCはフェニックスの6工場が稼動すれば、最先端チップの30%をアリゾナで生産することになる。CC・ウェイ CEOは、$165 billionの投資は、米国の最先端チップ製造ハブを構築する動きであるとし、インテルJVの噂を否定した。
◇TSMC denies it’s talking to Intel about chipmaking joint venture (4月17日付け CNBC)
→*「TSMCは、いかなる合弁事業、技術ライセンスあるいは技術に関しても他社と協議していない」とC.C.Wei CEOは述べ、インテルとの協業に関する噂を払拭した。
*今月初め、The Informationは、両社がインテルのチップ工場を運営するための提携について予備的な合意を協議し、TSMCが21%の株式を保有すると報じた。
*インテルは以前、報道された協議についてCNBCから質問された際、噂についてはコメントしないと答えていた。
◇TSMC outlook steady despite US tariffs (4月18日付け Taipei Times)
→1)旺盛な需要:TSMCは、CoWoS生産能力を倍増し、アリゾナに6つの工場を建設する計画であり、日本とドイツの拡張は減速しないと述べた
2)TSMCは、旺盛なAIチップ需要に牽引され、四半期ベースで13%の大幅増収を予想し、2025年の年間成長目標25%を再確認した。インテルとの合弁の噂を否定し、TSMCは事業のファンダメンタルズを強調、$38-42 billionの設備投資計画を維持した。
【ASML関連】
EUVリソ装置のオランダ・ASMLも、好調な1〜3月期決算であるが、今後に向けた受注仕掛かりが急落していて、AI需要そして関税と、予断を許さない状況である。
◇ASML92%増益 1〜3月、新規受注は予想下回る (4月16日付け 日経 電子版 17:07)
→オランダの半導体製造装置大手、ASMLホールディングが16日発表した2025年1〜3月期決算は、純利益が前年同期比92%増の23億5500万ユーロ(約3800億円)だった。前年同期の純利益が約4割減った反動もあり大幅増益となった。新規受注はアナリスト予想を下回った。
売上高は46%増の77億4100万ユーロだった。最先端半導体の量産に必要なEUV露光装置、前世代のDUV露光装置の販売がそれぞれ伸びた。
◇ASML Beats Expectations, Flags Tariff Uncertainty (4月16日付け EE Times)
→ASMLは2025年第1四半期の売上高が7.7 billion Euros、純利益が2.4 billion Eurosとなり、AIが引っ張る需要と好調なEUV tool販売により利益予想を上回った。しかし、経営陣は新たな世界的関税による不確実性の高まりを警告した。
◇ASML falls after bookings miss estimates, CEO warns of tariff uncertainty―ASML faced a major order shortfall in Q1 (4月16日付け MSN)
→ASMLホールディングは、第1四半期の受注額が予想を$1 billionほど下回る$4.47 billionとなったと発表した。TSMCやインテル社などの大手チップメーカーに露光装置を供給するオランダのASMLは、AIの成長から利益を得てきたが、現在はAI需要の減速の可能性や米国の関税の影響に対する懸念に直面している。
◇ASML’s orders fall short amid AI demand concerns, as CEO warns of tariff uncertainty―‘The situation will remain dynamic for a while,’ Christophe Fouquet, CEO of the chipmaking equipment giant, says (4月16日付け South China Morning Post (Hong Kong)/Bloomberg)
→ASMLホールディングは、第1四半期の受注が予想を10億ユーロ近く下回ったと報告し、半導体業界を根底から覆す恐れのある最近の関税発表による影響を定量化する方法がわからないと警告した。
TSMCとIntelを最大の顧客とするオランダの同社は、39億4000万ユーロ($4.47 billion)の売上高を計上した。ブルームバーグがまとめたデータによると、アナリストの平均予想は48億2000万ユーロだった。
◇ASML、株価一時8%安 1〜3月受注が予想4割下回り急落 (4月17日付け 日経 電子版 03:26)
→オランダの半導体製造装置大手ASMLホールディングの株価が16日、前日終値比で一時8%下落した。2025年1〜3月期の新規受注が事前予想を下回ったことが嫌気された。関税戦争が業績に悪影響を与える懸念も強いなか、ロジャー・ダッセン CFOは「供給網全体で連携し影響の最小化に努める」と述べた。
【インテル関連】
インテルが、傘下のFPGA事業のAlteraを以下の通りprivate equityのSilver Lakeに売却している。2015年に買収したときの半分の価値評価となっている。
◇Intel CEO’s past investments raise US security concerns (4月11日付け Tech in Asia)
→インテルのLip-Bu Tan CEOと中国のハイテク企業数百社(なかにはPLA[People’s Liberation Army]とつながっている企業もある)とのつながりは、特に、インテルがTSMCに遅れをとり、監視の目が高まる中で米国の主要な防衛契約を握っていることから、利益相反の懸念を高めている。
◇Intel sells 51% of Altera FPGA business to Silver Lake for $4.46 billion―Silver Lake buys Intel's majority stake in Altera for $4.46B―Intel bought Altera in 2015 for $16.7 billion. (4月14日付け Tom's Hardware)
→インテルは、アルテラの株式51%を$4.46 billionでシルバーレイクに売却した。この買収により、FPGAメーカーであるアルテラは、様々な分野のプログラマブル・ロジック・テクノロジーに注力し、独立した経営を行うことができる。元MarvellのRaghib Hussain氏がSandra Rivera氏の後任としてアルテラのCEOに就任する。この買収により、インテルは経営の複雑さを軽減し、中核分野に集中することができる。
◇Intel sells 51% of Altera to Silver Lake; CEO Rivera replaced (4月14日付け Fierce Electronics)
→インテルは、FPGAメーカーであるアルテラの支配的株式をプライベート・エクイティ会社、シルバーレイクに売却する。この動きは、インテルが2015年に買収し、今年初めに完全所有会社として独立させたアルテラをどうするのかという数ヶ月にわたる噂や憶測に終止符を打つものである。
◇Intel set to sell majority stake in Altera raising $4.5bn (4月14日付け New Electronics (UK))
→インテルは、アルテラのプログラマブル・チップ事業の株式51%をバイアウト会社、Silver Lakeに売却することで合意したと発表した。
◇Intel Announces Strategic Investment by Silver Lake in Altera (4月14日付け Intel)
→インテルがアルテラ部門の株式51%を$8.75 billionでシルバーレイクに売却し、最大のピュアプレイFPGA企業が誕生する。アルテラは独立性を獲得し、Raghib Hussain氏の下で新たなリーダーシップを発揮し、AIに特化した戦略をより鮮明にする。
◇Intel Sells Majority Stake in Altera to Silver Lake (4月15日付け EE Times)
→1)*インテル、アルテラ株の過半数をシルバーレイクに売却。該チップメーカーの次なる展開とAI市場におけるアルテラの未来を探る。
*経営不振に陥っている大手チップメーカーのインテルは、FPGAメーカーのアルテラの株式の過半数をプライベート・エクイティ・グループのシルバーレイクに売却した。この取引によりアルテラの価値は$8.75 billionとなり、2015年に$16.7 billionでインテルに買収されて以来、その価値は約半分になった。
2)インテルは、アルテラの株式51%を$8.75 billionでシルバーレイクに売却し、2015年以来その価値は半減した。この動きは、インテルがAIとファウンドリーへの野心に再集中する中、非中核資産を売却するというLip-Bu Tan CEOの戦略に沿ったものだ。
◇Intel sells 51% of Altera (4月15日付け Electronics Weekly (UK))
→インテルは、アルテラの株式$3.4 billionを現金で受け取ることになる、とBloombergが報じている。2015年、インテルはアルテラに$16.7 billionを支払った。
【2-nm半導体】
Samsungが取り組む2-nmの進展状況、そして、TSMCの2-nmでのAMDの製品の進捗が、それぞれあらわされている。
◇Samsung's 2 nm GAA Node Process Test Yields Reportedly Pass 40% Mark (4月11日付け TechPowerUp)
→サムスンの2nm GAAチップ開発は、最近のテストで歩留まり40%を超えたと報告されており、大きな進展を示している。関係者によると、第3四半期までに量産が開始される可能性があり、サムスンはTSMCの高価な2nm製品に挑戦することになる。
◇AMD achieves first TSMC N2 product silicon milestone―AMD tapes out Epyc processor on TSMC's 2nm process (4月15日付け New Electronics (UK))
→1)AMDは、コードネーム「Venice」と呼ばれる次世代AMD EPYCプロセッサーが、TSMCの先端2nm(N2)プロセス技術でテープアウトされ、立ち上げられた業界初のHPC製品であることを発表した。
2)AMDは、コードネーム「Venice」と呼ばれる次世代EpycプロセッサーをTSMCの2nmプロセスでテープアウトした。さらに、AMDはアリゾナ州にあるTSMCの工場で第5世代Epycプロセッサーの検証を行い、AMD初の製品の米国製造となり、弾力性のあるサプライチェーンへのコミットメントを強調した。
【HBM関連】
HBMについて、マイクロンの取り組み、およびJEDECによる最新規格、HBM4リリースが、以下の通りである。
◇Micron makes aggressive HBM push to challenge Samsung, SK―Micron ramps up HBM production, sources say (4月13日付け The Korea Herald (Seoul))
→情報筋によると、マイクロン・テクノロジーは、NvidiaのBlackwell Ultra AIアクセラレーター向けに12層HBM3Eチップの量産を開始することで、HBM市場でサムスン電子とSKハイニックスに挑戦しようとしていると報じられている。マイクロンは生産能力を拡大し、人材を採用することで、HBMの市場シェアは5.1%から上昇すると見られている。
◇JEDEC announces release of the JESD270-4 HBM4 standard―JEDEC releases HBM4 standard for enhanced computing (4月17日付け New Electronics (UK))
→1)マイクロエレクトロニクス業界の標準規格を世界的に策定しているJEDEC Solid State Technology Associationは、待望のHBM DRAM規格を発表した:HBM4である。
2)JEDECは、AIやHPCの需要の高まりに対応するため、JESD270-4 HBM4規格を発表した。HBM4はHBM3よりも改善され、転送速度は最大8ギガビット/秒、総帯域幅は最大2テラバイト/秒となる。サムスン電子、SKハイニックスおよびマイクロン・テクノロジーはHBM4を共同で開発した。
◇JEDEC finalizes HBM4 memory standard with major bandwidth and efficiency upgrades―The latest JEDEC standard for HBM4 supports next-gen compute demands. (4月17日付け Tom's Hardware)
→JEDECは、AIワークロード、HPC、および高度なデータセンター環境の急速な要件増加に対応することを目的とした新しいメモリ規格であるHBM4仕様をJESD238の下で正式に発表した。この新規格は、データ集約的なアプリケーションが進化し続ける中で、メモリ帯域幅、容量、および効率の向上を目指すアーキテクチャの変更とインターフェイスのアップグレードを導入している。