2月半導体販売高;トランプ政権半導体関連;インテル今後の取り組み
米国トランプ大統領の相互関税発表を受けて、世界同時株安など大きく混乱する中、半導体業界での注目3点である。まずは、定点観測の世界半導体販売高であるが、米国・SIAよりこの2月について$54.9 billionと、2月としては史上最高の高水準ながら、昨年11月をピークに3ヶ月連続前月比減となっている。次に、トランプ政権の半導体関連として、台湾はじめ半導体への今回の関税は免除される一方、バイデン政権でのCHIPS法助成の先行きが米国への投資優先を求めて不透明な様相である。そして、就任2週間のインテルのCEO、Tan氏が今後の基本方針をあらわしているのに続いて、インテルのファウンドリー事業にTSMCが合弁で参画する動きが伝えられている。
≪相互関税圧力を受ける中で≫
米国・SIAからの今回の月次半導体販売高の発表が、次の通りである。
☆☆☆↓↓↓↓↓○2月のグローバル半導体販売高が、前年同月比17.1%増―販売高は2月としては史上最高;前月比では2.9%減 …4月4日付け SIA/Latest News
米国・Semiconductor Industry Association(SIA)が本日、2025年2月の世界半導体販売高が$54.9 billionで、前年同月、2024年2月の$46.9 billionに比べて17.1%増、そして前月、2025年1月の$56.5 billionを2.9%下回った、と発表した。
月次販売高は、WSTS(World Semiconductor Trade Statistics)機関が集計し、3ヶ月移動平均を表している。SIAは、売上高で米国半導体業界の99%を代表し、米国以外のチップ企業のほぼ3分の2を代表している。
「前月比販売高が若干減少したものの、グローバル半導体業界は2月の月間販売高が過去最高を記録、前年同月比の力強い伸びを牽引している。」と、SIAのpresident and CEO、John Neuffer氏。「前年同月比売上げは10ヶ月連続で17%以上増加、これはthe Americasでの50%近い前年同月比売上げ増が牽引している。」
地域別では、前年同月比で、the Americas (48.4%), Asia Pacific/All Other (10.8%), China (5.6%), およびJapan (5.1%)では増加したが、Europe (-8.1%)では減少した。2月の販売高前月比では、Asia Pacific/All Other (-0.1%), Europe (-2.4%), China (-3.1%), Japan (-3.1%), およびthe Americas (-4.6%)とすべてで減少した。
【3ヶ月移動平均ベース】
市場地域 | Feb 2024 | Jan 2025 | Feb 2025 | 前年同月比 | 前月比 |
======== | |||||
Americas | 12.57 | 19.54 | 18.64 | 48.4 | -4.6 |
Europe | 4.36 | 4.11 | 4.01 | -8.1 | -2.4 |
Japan | 3.60 | 3.90 | 3.78 | 5.1 | -3.1 |
China | 14.26 | 15.54 | 15.06 | 5.6 | -3.1 |
Asia Pacific/All Other | 12.12 | 13.44 | 13.42 | 10.8 | -0.1 |
計 | $46.90 B | $56.53 B | $54.92 B | 17.1 % | -2.9 % |
--------------------------------------
市場地域 | 9-11月平均 | 12- 2月平均 | change |
Americas | 19.50 | 18.64 | -4.4 |
Europe | 4.43 | 4.01 | -9.6 |
Japan | 4.18 | 3.78 | -9.5 |
China | 16.46 | 15.06 | -8.5 |
Asia Pacific/All Other | 13.44 | 13.42 | -0.1 |
$58.02 B | $54.92 B | -5.3 % |
-------------------------------------
※2月の世界半導体販売高 地域別内訳および前年比伸び率推移の図、以下参照。
⇒https://www.semiconductors.org/wp-content/uploads/2025/04/February-2025-GSR-Table-and-Graph.pdf
★★★↑↑↑↑↑
これを受けた取り上げが、次の通りである。
◇Global Semiconductor Sales Increase 17.1% Year-to-Year in February (4月4日付け SEMICONDUCTOR DIGEST)
2021年、2022年と相次いで年間半導体販売高の最高を更新して、2023年は減少に転じたが、2024年はAI需要が牽引してまたも過去最高を更新するとともに、$600 Billionの大台に初めて載せた経緯となっている。
パソコン、スマホなど従来の主要応用分野の本格回復がいまだ道半ばという見方が優勢な中、AIが大きく引っ張る現下の市場がどう推移するか、今後に注目するところである。照らし合わせの意味合いで、2022年以降の以下の見方を続けることにする。
以下、米国・SIAの月初の発表時点の販売高、そして前年同月比および前月比が示されている。
2024年11月に記録した単月販売高最高の$57.82 Billionから、2ヶ月連続若干落として、この2025年1月は$56.52 Billionとなっている。依然最高水準にあることは以下のデータよりわかるが、今後に向けては現下の市場特性の見極めを要するところである。
2月の販売高としては史上最高を記録しているが、以下に示す通り、前月比で3ヶ月連続減少しており、今後に注目するところである。
販売高 | 前年同月比 | 前月比 | 販売高累計 | |
2022年 1月 | $50.74 B | 26.8 % | -0.2 % | |
2022年 2月 | $50.04 B | 26.1 % | -1.4 % | |
2022年 3月 | $50.58 B | 23.0 % | 1.1 % | |
2022年 4月 | $50.92 B | 21.1 % | 0.7 % | |
2022年 5月 | $51.82 B | 18.0 % | 1.8 % | |
2022年 6月 | $50.82 B | 13.3 % | -1.9 % | |
2022年 7月 | $49.01 B | 7.3 % | -2.3 % | |
2022年 8月 | $47.36 B | 0.1 % | -3.4 % | |
2022年 9月 | $47.00 B | -3.0 % | -0.5 % | |
2022年10月 | $46.86 B | -4.6 % | -0.3 % | |
2022年11月 | $45.48 B | -9.2 % | -2.9 % | |
2022年12月 | $43.40 B | -14.7 % | -4.4 % | $584.03 B |
2023年 1月 | $41.33 B | -18.5 % | -5.2 % | |
2023年 2月 | $39.68 B | -20.7 % | -4.0 % | |
2023年 3月 | $39.83 B | -21.3 % | 0.3 % | |
2023年 4月 | $39.95 B | -21.6 % | 0.3 % | |
2023年 5月 | $40.74 B | -21.1 % | 1.7 % | |
2023年 6月 | $41.51 B | -17.3 % | 1.9 % | |
2023年 7月 | $43.22 B | -11.8 % | 2.3 % | |
2023年 8月 | $44.04 B | -6.8 % | 1.9 % | |
2023年 9月 | $44.89 B | -4.5 % | 1.9 % | |
2023年10月 | $46.62 B | -0.7 % | 3.9 % | |
2023年11月 | $47.98 B | 5.3 % | 2.9 % | |
2023年12月 | $48.66 B | 11.6 % | 1.4 % | $518.45 B |
2024年 1月 | $47.63 B | 15.2 % | -2.1 % | |
2024年 2月 | $46.17 B | 16.3 % | -3.1 % | |
2024年 3月 | $45.91 B | 15.2 % | -0.6 % | |
2024年 4月 | $46.43 B | 15.8 % | 1.1 % | |
2024年 5月 | $49.15 B | 19.3 % | 4.1 % | |
2024年 6月 | $49.98 B | 18.3 % | 1.7 % | |
2024年 7月 | $51.32 B | 18.7 % | 2.7 % | |
2024年 8月 | $53.12 B | 20.6 % | 3.5 % | |
2024年 9月 | $55.32 B | 23.2 % | 4.1 % | |
2024年10月 | $56.88 B | 22.1 % | 2.8 % | |
2024年11月 | $57.82 B | 20.7 % | 1.6 % | |
2024年12月 | $56.97 B | 17.1 % | -1.2 % | $616.70 B |
年間最高更新 | ||||
2025年 1月 | $56.52 B | 17.9 % | -1.7 % | |
2025年 2月 | $54.92 B | 17.1 % | -2.9 % |
次に、トランプ政権の半導体関連であるが、トランプ大統領の相互関税の発表を前に見られた論評、動きが次の通りである。
◇America’s Many Chip Vulnerabilities (3月27日付け Project Syndicate)
→1)自国経済を停止させかねない壊滅的な半導体供給の途絶のリスクを回避するために、米国は業界のすべてのノードを包含する首尾一貫した戦略を必要としている。それは、最先端のチップやAI競争だけでなく、いくつかの明らかな盲点に注目することを意味する。
2)中国がレガシー半導体で優位に立つにつれ、米国は世界のチップ競争で遅れをとるリスクがある。専門家は、CHIPS法のように国内投資を縮小することは、国家安全保障および経済の回復力を弱める、と警告している。
◇TSMC seeks to build 3rd fab in Arizona as soon as possible (3月29日付け Focus Taiwan)
→TSMCは来週、アリゾナ州に3つ目の先端チップ工場を着工する予定だが、米国政府の許可が必要である。$165 billionの投資は、高い人件費と規制上のハードルにもかかわらず、TSMCが米国のAIリーダーシップへのコミットメントを強調するものである。
TSMCのトランプ政権への事前の働きかけである。
◇TSMC, US working on solutions as new tariffs loom (3月30日付け Taipei Times)
→TSMCは、米国の半導体関税の可能性についてホワイトハウスと協議中であり、双方に利益をもたらす解決策を模索している、と同社幹部が金曜28日に述べた。
米国のシンクタンク、Hudson Instituteがワシントンで主催したフォーラムで、TSMCのsenior vice president、Peter Cleveland氏は、同社はDonald Trump米大統領政権と緊密なコミュニケーションを維持しており、協議が 「前向きな方向 」に進んでいると楽観視していると語った。
バイデン政権でのCHIPS法助成の扱いの見直しについてである。
◇U.S. Commerce Secretary Lutnick could withhold CHIPS Act grants - Bloomberg (3月31日付け Yahoo/Investing.com)
→ブルームバーグが火曜1日に報じたところによると、米商務長官は、大手チップメーカーの対米投資を増やすために、CHIPS法の下で約束した助成金を差し控える可能性があるという。
◇Trump yanks CHIPS Act cash unless tech giants pony up more of their own dough―Reports: US may target CHIPS Act grants to up investments―Commerce chief threatens to pull grants so firms double down on US spending (4月1日付け The Register (UK))
→Howard Lutnick商務長官は、大手チップメーカーに米国製造業への投資を促すため、CHIPS and Science Actの助成金の差し止めを検討している、とBloombergが報じている。ルトニック氏はまた、同法に基づく25%の税額控除を拡大する可能性もあるが、これには議会の承認が必要となる。ドナルド・トランプ大統領はCHIPS法に批判的で、企業の対米投資を促進する大統領令に署名した。サムスン電子とSKハイニックスなどチップメーカーは、補助金の受給を迷っている。
◇Trump sets up new office to manage CHIPS Act and speed up investments (4月1日付け MSN/Reuters)
→ドナルド・トランプ大統領は月曜31日、CHIPS法プログラムを引き継ぎ、企業の対米投資を加速させるための新組織を設立する大統領令に署名した。商務省内のUnited States Investment Acceleratorは、半導体チップ製造・生産に$52.7 billionの補助金を利用できるようにした2022年の法律、CHIPS and Science Actの実施を監督する。
◇Samsung, SK face fresh uncertainty over CHIPS Act funding―Despite subsidy risks, Korean chipmakers remain focused on building US customer base, experts say (4月2日付け The Korea Herald (Seoul))
→米国は、企業が国内への投資を増やさない限り、CHIPS法の下で約束された補助金を抑制することを検討していると伝えられており、韓国のチップメーカーであるサムスン電子とSKハイニックスに新たな不安をもたらしている。Bloombergは、この問題に詳しい8人の関係者の話として、Howard Lutnick商務長官が、2022年Chips and Science Act(米国に投資するグローバル半導体企業に$52.7 billionの資金を提供したBiden氏の署名イニシアチブ)の下で過去に承認された補助金を一時停止する可能性を示唆したと火曜1日に報じている。
台湾の米国との投資バランスについての考え方である。
◇TSMC、米台の投資バランス苦心 高雄に6.8兆円先端工場 (3月31日付け 日経 電子版 17:21)
→半導体世界大手のTSMCは31日、台湾南部・高雄の次世代工場の本格始動に向けた式典を開いた。総投資額は1兆5000億台湾ドル(約6兆8000億円)を超え、最先端半導体の研究開発や量産を台湾で担う方針をアピールした。トランプ米大統領と15兆円の投資を発表した米国拠点とのバランスに苦心が透ける。
◇IFTLE 623: TSMC Advanced Packaging Coming to the U.S.A. (4月1日付け 3DInCites)
→TSMCは、5つの新施設、すなわち3つのファブ、2つのパッケージング工場、および研究開発センターを含む、$100B規模の米国拡張計画を発表した。同社は来年、最先端の2nmおよび1.6nm技術を米国内に導入することはないが、この動きは米国のチップ生産を強化するものである。TSMCは米国の成長を約束するが、最先端の2nmと1.6nm技術は台湾にとどまる。
自動車関税の影響があらわされている。
◇Auto Tariffs Send Ripples Across Supply Chains - Part 2―Inflationary gears grip markets as trade partners consider retaliation (4月1日付け EE Times)
→1)トランプ大統領による自動車関税の影響は、サプライチェーンの混乱や部品コストにとどまらず、潜在的なインフレの高騰や、世界の主要貿易相手国からの報復措置の脅威が迫っているという深刻な懸念を引き起こしている。アナリストたちは、この新たな課税によって新車や中古車の価格が上昇すると広く予想している。潜在的な価格上昇の見積もりは幅が広く、国産車の約3,000ドルから輸入モデルの10,000ドルを大きく超えるものまである。
2)トランプ大統領の自動車関税は、自動車価格を引き上げ、場合によっては1万ドルに達する。アナリストたちは、インフレやサプライチェーンの混乱、および国際貿易関係への持続的なダメージを警告している。
トランプ大統領の相互関税発表を受けての様々な反応、動きが以下の通り続いている。
◇White House Says Taiwan Tariffs Won’t Apply to Chips―White House: Taiwan tariff to spare semiconductors (4月2日付け Barron's)
→ホワイトハウスは、台湾に対する32%の輸入関税が半導体には適用されないことを明らかにした。この関税のニュースは当初、TSMCに依存しているNvidia、Qualcomm、およびAdvanced Micro Devices(AMD)などの企業に懸念を引き起こした。関税はまた、鉄鋼、アルミニウムおよび銅を免除するが、他の主要技術材料を対象としている。
◇S. Korean chip industry wary despite exemption from U.S. reciprocal tariff (4月3日付け Yonhap News Agency)
→韓国のチップ産業は、トランプ大統領の新たな25%関税をかわしたが、分野別関税が迫るなか警戒を続けている。サムスンとSKハイニックスは、国内製造の強化とCHIPS法補助金の精査を求める米国の圧力が高まるなか、リスクを軽減する戦略を練っている。
◇Trump's 32% tariff on Taiwan exempts chips but hits key tech exports (4月3日付け DigiTimes)
→トランプ米大統領は、予想を上回る最大32%の台湾への相互関税率を発表した(ただし、鉄鋼、アルミニウム、銅、医薬品、および半導体などの品目は一時的に関税リストから除外される)。
◇米関税、車や半導体装置「甚大な影響」 農産品も冷や水 (4月4日付け 日経 電子版 00:34)
→米国が日本に課す24%の相互関税と3日に発動した自動車への追加関税は国内産業に大きな打撃となる。米国向け輸出は自動車や半導体製造装置といった製造業のほか、近年は農産品も伸ばす。影響は多岐にわたる恐れがある。
財務省の貿易統計によると、2024年の米国向け輸出額は前年比5.1%増の21兆2947億円だった。日本の輸出額全体の20%を占める。内訳では輸送用機器が7.6兆円と全体の36%を占める。
◇ASML CEO says global tensions harm innovation as US tariffs hit (4月4日付け Taipei Times)
→ASMLが、地政学的緊張の高まりおよび米国の新たな関税がグローバルな技術協力およびチップ革新を脅かすと警告した。半導体は除外されているが、主要輸出国への関税は、ASMLの重要なチップ製造ツールサプライチェーンへの影響を懸念させている。
◇Computer industry to bear brunt of US tariffs: statistics (4月4日付け Taipei Times)
→台湾のコンピューター・サーバーメーカーが32%の高関税に直面し、2月出荷の58%を占める輸出に打撃を受ける。半導体企業は免除されたままだが、Wistronのような企業は打撃を相殺するために米国生産に軸足を移している。
◇Chip industry relieved by tariff exemption: analyst―NOT TERRIBLE: Semiconductor firms were not included in the latest tariffs, likely due to their investments in the US, although an unpredictable Trump leaves uncertainty (4月4日付け Taipei Times)
→台湾のチップ業界は、半導体が免除されたことで米国の新関税をかわし、束の間の猶予を与えられている。アナリストによると、Trump氏の戦術はTSMCに米国への投資を増やすよう圧力をかける一方、小規模サプライヤーは価格引き下げを余儀なくされれば破綻するリスクがある。
◇iPhone、米国で33万円に値上げも トランプ関税で試算 (4月5日付け 日経 電子版 06:46)
→トランプ米政権による相互関税の発表を受け、米アップルが米国内で販売するスマートフォン「iPhone」が大幅値上げを迫られる可能性が出てきた。米証券会社は関税コストを相殺するには最大43%の価格転嫁が必要だと試算し、最も高い機種で約2300ドル(約33万5000円)になるとの見方もある。アップルは米国で販売するiPhoneのほとんどを、中国で組み立てて輸入している。
◇時価総額「3兆ドルクラブ」消える 米関税でAppleも脱落 (4月5日付け 日経 電子版 05:12)
→米国で4日、時価総額が3兆ドル(約450兆円)を超える企業がゼロになった。2024年夏にはテック3社が「3兆ドルクラブ」に名を連ねたが、AIへの過剰投資懸念からマイクロソフト、エヌビディアが脱落。残ったアップルも米相互関税による先行き不安から株価が急落し、同日に3兆ドルを割り込んだ。
米アップルの株価は2日の直近高値から約15%も下落した。
そして、インテルの新CEO、Lip-Bu Tan氏が3月31日にIntel Visionイベントにて、今後の取り組みをあらわすまでの動きが、関連含め以下の通りである。
◇Intel CEO Lip-Bu Tan: "We will remain focused" on cutting costs and complexity (3月28日付け CTech)
→1)インテル新CEO、経営合理化と効率化で再建を誓う
2)インテルの新CEO、Lip-Bu Tan氏は、3人の取締役が退任する中、大胆な改革に着手し、事業の合理化とリーダーシップの再構築を図る。タン氏は、インテルの優位性を回復し、業界戦略の焦点を絞り直すために、製品革新と委託チップ製造の両方を目標としている。
◇Intel CEO Tan sees equal priority on both design and foundry―Intel CEO Tan commits to dual focus on design, foundry (3月31日付け Fierce Electronics)
→インテルCEOのLip-Bu Tan氏は、チップ設計とファウンドリーサービスの二本柱を維持することを確約し、潜在的な変化に対する懸念に対処した。タンCEOは、政府のイニシアティブに沿った国内生産計画を強調し、製品のマイルストーンについて説明し、優秀なエンジニアを維持し採用する計画について概説した。
◇ニュース拡大鏡/米インテル、新体制始動 1.4ナノで起死回生図る (3月31日付け 日刊工業)
→“戦友”材料各社、量産化を支援 歩留まり向上が焦点経営の混迷を極めてきた米インテルの新体制が始動した。電子回路の設計自動化(EDA)大手の米ケイデンス・デザイン・システムズでCEOを務めたリップブー・タン氏がトップに就任。製造面では台湾積体電路製造(TSMC)の後塵を拝し、設計と製造を分離する案もささやかれる。インテルは日本の半導体関連企業にとってともに技術を磨いてきた戦友だ。同社の反転の好機はあるのか。
◇Lip-Bu Tan's first speech as Intel CEO focuses on innovation and working with foundry customers―“I can’t do it alone: I need your help as a customer - give me honest feedback.” (4月1日付け Tom's Hardware)
→最近インテルCEOに就任したLip-Bu Tan氏は、Intel Vision 2025で初の基調講演を行い、顧客の信頼を獲得し、顧客のニーズと要求に応えることに注力すると述べた。チップ製造大手のこのような考え方の変化は、Pat Gelsinger前CEOのIDM 2.0計画から始まったが、タン氏は前任者の支援を受けて、このアジェンダをより強力に推進しているようだ。
◇Intel announces 18A process node has entered risk production - crucial milestone comes as company ramps to Panther Lake chips―Intel begins risk production of 18A node, exec says―Five nodes in four years is nearly accomplished. (4月1日付け Tom's Hardware)
→Intel Foundry Servicesの上級副社長兼ジェネラル・マネージャー、Kevin O'Buckley氏によると、インテルはカムバック戦略の重要な段階である18A半導体ノードのリスク生産を開始した。
同社は、Panther Lakeセントラル・プロセッシング・ユニット(CPUs)の発売に向けて、今年中に大量生産に達することを期待している。NvidiaとBroadcomは、18Aプロセスノードをテストしていると伝えられている。
◇Intel's 18A node enters risk production, paving the way for Panther Lake―18A node production begins ramping up (4月1日付け TechSpot)
→全体像:2025年は、インテルの復活戦略にとって極めて重要な年になりそうだ。新CEOを迎えたインテルは、次世代ハードウェアを半導体製造の最前線に返り咲くためのリトマス試験紙と位置づけている。インテルの生産ロードマップが重要な岐路に立つ中、見込み顧客がどのような反応を示すかは不透明なままだ。
インテル・ファウンドリー・サービス担当シニア・バイス・プレジデント兼ジェネラル・マネージャーのKevin O'Buckley氏は、同社の次期18A半導体ノードのリスク生産が開始されたことを確認した。インテルのVisionカンファレンスで発表されたこの発表は、次世代のノートパソコンやサーバー用プロセッサーの開発が重要な段階に入ったことを投資家や顧客に安心させるものだろう。
◇Intel's new CEO tells customers 'be brutally honest with us' (4月1日付け Reuters)
→インテルの新CEOであるLip-Bu Tan氏は、会社のスリム化、肥大化した経営陣の削減、およびエンジニアの技術革新への権限委譲を誓った。インテルのビジョン・イベントでタン氏は、失われた業界の地歩を取り戻すため、人材の再構築と顧客からのフィードバックの優先を強調した。
◇Lip-Bu Tan seeks US support to rebuild Intel Foundry, aims to secure 2-3 key customers (4月1日付け DigiTimes)
→3月31日、ラスベガスで開催されたIntel Visionカンファレンスで、CEOとして初めて公の場に登場したLip-bu Tan氏は、非中核資産の切り離し、AI関連製品の強化、およびファウンドリー事業の主要顧客2〜3社を確保するための米政府との提携など、インテルの戦略を披露した。
◇Intel to spin off assets not central to business: CEO (4月2日付け Taipei Times)
→インテルCEOのLip-Bu Tan氏は、非中核資産の切り離し、カスタムチップの開発、および顧客の需要に応えるための製造の見直しを約束した。タンCEOは、業界のリーダーシップを取り戻すため、技術革新、人材の再構築、そしてインテル再建への長期的なコミットメントを強調した。
◇Intel CEO: ‘You Deserve Better, We Need To Improve and We Will’―Intel CEO plans improvements in culture and innovation to regain industry leadership. (4月3日付け EE Times)
→1)今週ラスベガスで開催されたインテルのイベント「Vision」で、新CEOのLip-Bu Tan氏が登壇し、インテルの顧客基盤の代表からなる聴衆を安心させるために、すでに「明確な見解」と「前進するための計画」を持っていると語った。
就任からわずか2週間しか経っていないLip-Bu Tan氏は、アメリカの半導体業界の巨体の継続的な再建について具体的なことは語らなかったが、企業文化の変化、革新および謙虚さについて語った。
2)インテルのビジョン・イベントで、Lip-Bu Tan新CEOは、顧客からのフィードバック、企業文化の変革、イノベーション、および人材確保に焦点を当てた4部構成の再建計画を発表した。同氏は、事業を簡素化し、ソフトウェアを優先し、非中核部門を切り捨て、そしてインテルの競争力を回復することを誓った。
Tan氏の今後の取り組みに注目しているうちに、インテルの米国工場運営にTSMCが参画するという動きが、以下の通りあらわされてきている現時点である。
◇Intel and TSMC agree to form chipmaking joint venture: Report―No smoke without fire? (4月3日付け Tom's Hardware)
→半導体製造の世界は、1〜2ナノメートル縮小したのだろうか?インテルとTSMCは、米国でインテルの工場を運営する合弁会社を設立することで予備合意に達したと報じられている。
このニュースはReutersからのもので、この件に詳しい2人の情報筋に基づくThe Informationの報道を引用している。Tom's Hardwareは両社に詳細を問い合わせている。
◇インテル、半導体生産で「TSMCの出資受け入れ」 米報道 (4月4日付け 日経 電子版 05:54)
→米ネットメディアのThe Informationは3日、米インテルが半導体生産を巡ってTSMCの出資を受け入れることで暫定合意したと報じた。インテル工場を運営する生産合弁を新たに設け、TSMCが合弁に20%出資することで協議しているという。
報道によると、インテルはTSMCのほかに、米国の半導体企業とも生産合弁で組む。
◇TSMC-Intel jv back on the cards―Report: Intel, TSMC plan US manufacturing JV―The Intel-TSMC jv is back on the cards again, according to a report in The Information. (4月4日付け Electronics Weekly (UK))
→The Informationによると、インテルとTSMCは、インテルの米国工場を運営する合弁会社を設立し、TSMCが20%を所有することで予備合意に達したという。米国政府は、経営難にあるインテルの安定化を図るため、この取引に影響を与えたと言われている。
◇Intel gains on report of joint venture deal with TSMC―Both companies reached a preliminary agreement to form a joint venture to run Intel’s manufacturing plants, a report said (4月4日付け South China Morning Post (Hong Kong)/Bloomberg)
→インテル株は、TSMCとの合弁に暫定合意したとの報道を受けて上昇した。これは、苦境に立たされている該米チップメーカーが、投資家から待望されていた計画を進めようとしている兆候である。
木曜3日、The Informationのウェブサイトがこのニュースを報じた後、株価は2%以上上昇し、セッション序盤の5%以上の下落を帳消しにした。インテルがこのような動きをするのではないかという期待もあり、株価は水曜2日まで今年に入って約10%上昇していた。
◇Intel, TSMC recently discussed chipmaking joint venture, the Information reports (4月5日付け Reuters)
→インテルとTSMCは、ホワイトハウスの圧力により、経営難に陥っているインテルのチップ事業を救済するため、インテルの米国工場を共同で運営することで予備合意に達した。インテルは2024年、1986年以来となる$18.8 billionの損失を計上した。
トランプ政権の政策運営で半導体業界も大きく影響を受けそうな最中であり、今後の推移にいっそう目が離せないところである。
激動の世界の概況について、以下日々の政治経済の動きの記事からの抽出であり、発信日で示している。
□3月30日(日)
今週半ばの相互関税発表ということで、トランプ一色の様相の以下の内容である。
◇Trump Team Weighs Broader, Higher Tariffs―Back on the table ahead of Wednesday’s deadline: an across-the-board hike of up to 20% (The Wall Street Journal)
→トランプ政権は水曜2日の期限を前に、新たな関税政策の具体的な内容を決めるべく奔走しており、トランプ大統領は新たな関税を導入してアメリカ経済を立て直すとの公約から、その選択肢を検討している。
論点のひとつは、トランプ大統領がここ数週間で予告していたように、米国の貿易相手国に個別の関税率を課すのか、それとも、米国とビジネスを行っている事実上すべての国に影響を与える全面的な関税を課すという選挙公約に戻すのか、ということだと、話し合いに詳しい関係者は言う。
□3月31日(月)
◇Trump Says He Settled on ‘Liberation Day’ Tariff Plan but Doesn’t Reveal It―Trump finalizes tariff plan; details still unknown―President wants to use tariffs to both raise revenue and negotiate with other countries (The Wall Street Journal)
→ドナルド・トランプ大統領は、自らに課した4月2日の「解放の日」の期限を前に、新たな関税戦略を選択したと語ったが、具体的な内容は明らかにしていない。選択肢としては、すべての輸入品に20%の世界共通関税をかけるか、各国を個別にターゲットにした相互主義的なアプローチが考えられる。
□4月1日(火)
今週の米国株式市場、トランプ大統領の発表を受けて史上3番目の下げ幅に至っている。
◇NYダウ反発、417ドル高 ナスダックは半年ぶり安値 (日経 電子版 06:07)
→3月31日の米株式市場でダウ工業株30種平均は4営業日ぶりに反発し、前週末比417ドル86セント(1.00%)高の4万2001ドル76セントで終えた。月末・四半期末で機関投資家による資産配分を調整するための株買いが入った。トランプ米政権の関税政策が米景気を押し下げるとの警戒が根強いなか、ディフェンシブ株に資金が流入したことも相場を支えた。
□4月2日(水)
◇NYダウ小反落、11ドル安 J&J株8%安が重荷 (日経 電子版 06:25)
→1日の米株式市場でダウ工業株30種平均は小幅に反落し、前日比11ドル80セント(0.02%)安の4万1989ドル96セントで終えた。米景気の減速を示唆する経済指標が投資家心理の重荷となった。2日には米政権が「相互関税」について発表する見通しで、様子見の市場関係者が多かった。
□4月3日(木)
◇NYダウ反発235ドル高 関税発表前、過度な警戒後退 (日経 電子版 06:05)
→2日の米株式市場でダウ工業株30種平均は反発し、前日比235ドル36セント(0.56%)高の4万2225ドル32セントで終えた。米政府効率化省(DOGE)に関する市場の過度な警戒が後退し、株買いを促した。ダウ平均の上げ幅は一時390ドル超となった。半面、米政権が「相互関税」の詳細を2日夕に公表するのを前に様子見の投資家も多く、上値を抑えた。
◇‘Liberation day’ as it happened: US hits major trading partners with steep ‘reciprocal’ tariffs; Stocks tumble as Trump takes world to brink of full-blown trade war―Trump imposes sweeping global tariffs (Financial Times)
→ドナルド・トランプ大統領は、4月5日からほぼすべての米国への輸入品に10%の関税を課すと発表した。中国製品に対する関税は54%に引き上げられ、EUからの輸入品には最大20%、英国からの輸入品には10%の関税が課される。この決定は世界的な貿易戦争への懸念を呼び起こし、金融市場の下落を招いた。投資家や企業は、世界的な貿易摩擦の激化に伴う潜在的な経済的混乱に備えている。
◇Dollar sinks as investors grapple with tariff aftermath―Dollar drops to new lows after tariff announcement (Reuters)
→ドナルド・トランプ大統領が新たな輸入関税を発表したことで、米ドルは急落、投資家が、円、スイス・フランおよび金に安全資産を求めている。10%の基本関税(約60カ国に影響)は、世界経済の減速とインフレへの懸念に火をつけた。安全資産の需要が急増したため、国債利回りは急落し、市場のボラティリティは上昇した。
□4月4日(金)
◇米関税がテック直撃、Apple一時10%安 アジア依存裏目 (日経 電子版 05:28)
→米政権が全世界からの輸入品への関税引き上げを決めたことで、米テクノロジー企業の収益に対する悲観的な見方が広がった。スマートフォンを中国で製造するアップルは純利益が最大14%減るとする試算もあり、株価は一時約10%下落した。アジアの安価な供給網に依存してきたアマゾン・ドット・コムやAI関連などにも影響が広がっている。
◇トランプ関税、日米欧株500兆円消失 コロナ以来の衝撃 (日経 電子版 05:52)
→トランプ米政権による世界を標的とした相互関税の発表を受け、世界同時株安が進んでいる。日米欧では時価総額が約500兆円が1日で消失。減少額は新型コロナウイルス感染が拡大した2020年3月以来の大きさだ。貿易不均衡の是正を意図した施策は自国や同盟国の経済を傷つけ、世界不況のリスクを高める。先の見えぬ貿易戦争に市場参加者はおののく。
□4月5日(土)
◇NYダウ急落、2231ドル安 関税応酬で史上3番目下げ幅 (日経 電子版 05:59)
→4日の米株式市場でダウ工業株30種平均が前日比2231ドル(5.5%)安の3万8314ドルで引けた。1日の下げ幅として史上3番目の大きさを記録した。トランプ米政権の相互関税に中国が報復関税で対抗し、貿易戦争の激化に市場参加者はリスク回避を強める。相場の下げ止まりがみえない。
≪市場実態PickUp≫
【UMC関連】
台湾のUMCが、米国・GlobalFoundriesとの合併を検討、そしてシンガポールの新工場で22-nm品量産ということで、以下の取り出しである。前者は、ファウンドリー業界での景観変化につながる意味合いで注目している。
◇United Microelectronics shares close up 9% on report of potential GlobalFoundries deal (3月31日付け CNBC)
→1)*台湾に本社を置くユナイテッド・マイクロエレクトロニクス(UMC)は、グローバルファウンドリーズとの合併を検討しているとの報道を受け、米国株が10%以上急騰した。
*日経新聞は、この取引に詳しい情報筋の話として、このニュースを報じた。
*この合併により、米国に本社を置き、アジア、米国およびヨーロッパで生産能力を持つ企業が誕生し、Taiwan Semiconductorの代替企業となる可能性があるという。
2)グローバルファウンドリーズは、UMCとの合併を模索しており、米国を拠点とし、グローバルに展開する巨大チップ企業の設立を目指していると報じられている。この動きは、中国関連のリスクに対抗し、成熟したチップ生産におけるTaiwan Semiconductorの優位性に挑戦する可能性がある。
◇GlobalFoundries Explores Merger With Taiwan’s UMC (3月31日付け Bloomberg)
◇GlobalFoundries mulls UMC takeover in effort dubbed 'Project Ultron'―Reports: GlobalFoundries eyes merger with UMC―A new foundry that could challenge TSMC? (4月1日付け Tom's Hardware)
→グローバルファウンドリーズは、成熟した特殊プロセス技術における地位を強化するため、UMCとの合併を検討しているとの報道がある。該"Project Ultron"構想は、チップ製造の主要プレーヤーとして展開する目的としているが、規制、財政および政治的なハードルに直面していると伝えられている。UMCはこの報道を否定している。
◇UMC Unveils New Fab Expansion in Singapore in Grand Opening Ceremony (4月1日付け SEMICONDUCTOR DIGEST)
→世界的な半導体ファウンドリーであるUMCは本日、シンガポールの新ファブ施設を正式に公開し、グランドオープニングセレモニーを開催した。新工場の第1期は2026年に量産を開始する予定で、これによりUMCのシンガポールにおける総生産能力は年間100万枚を超えることになる。また、通信、IoT、自動車、およびAIのイノベーションを実現する半導体を製造する、シンガポールで最も先進的な半導体ファウンドリの1つとなる。
◇UMC completes expansion of 22nm fab, set to begin production in 2026 (4月1日付け DigiTimes)
→UMCは4月1日、シンガポールの拡張を開所式でキックオフした。新工場の第1期は2026年に生産を開始し、Fab 12iの生産能力を年間100万枚以上の12インチウェーハに増強する。
◇GlobalFoundries weighs merger with No. 2 Taiwan chipmaker UMC: sources―Move could secure American access to older chips amid China aggression (4月1日付け Nikkei Asian Review (Japan))
→米国の委託チップメーカー、グローバルファウンドリーズと台湾第2位のチップメーカー、UMCが、台湾海峡をめぐるリスクを軽減し、成熟したチップで中国との競争激化をかわす米国の努力の中で、合併の可能性を探っていることが、日経アジアの取材で分かった。
日経アジアが見た評価計画では、GlobalFoundriesとUMCの提携は、アジア、米国およびヨーロッパにまたがる生産拠点を持つ、米国を拠点とする、より大きな会社を作ることになる。合併の目的は、中国との間で緊張が高まる中、アメリカが成熟したチップを入手できるような経済規模の会社を作ることである。
◇半導体受託生産の米台大手が合併検討 SMIC抜き3位へ (4月1日付け 日経 電子版 18:09)
→半導体受託生産で世界5位の米グローバルファウンドリーズと4位の台湾UMCが合併の可能性を検討していることが分かった。実現すれば中国大手の中芯国際集成電路製造(SMIC)を抜き業界3位に浮上する。米国を拠点に成熟世代の半導体を一定量供給できる規模を持つ企業をつくる。複数の関係者が日経アジアの取材に対し明らかにした。
◇UMC launches new 12-inch Singapore factory―TIGHT-LIPPED: UMC said it had no merger plans at the moment, after Nikkei Asia reported that the firm and GlobalFoundries were considering restarting merger talks (4月2日付け Taipei Times)
→UMCはシンガポールに$5 billionの12インチチップ工場を立ち上げ、生産能力を拡大し、そしてサプライチェーンの回復力を高める。この新工場は来年から量産を開始し、22nmと28nmの技術を使用して700人の雇用を創出する。
◇半導体受託、米台が合併探る グローバルファウンドリーズと聯華電子 米に拠点、世界3位に (4月2日付け 日経)
→半導体受託生産で世界5位の米グローバルファウンドリーズと4位の台湾・UMCが合併の可能性を検討していることが分かった。実現すれば中国大手のSMICを抜き業界3位に浮上する。米国を拠点に成熟世代の半導体を一定量供給できる規模を持つ企業をつくる。
◇台湾の半導体受託UMC、シンガポールで量産へ 22ナノ品 (4月3日付け 日経)
→台湾の半導体受託生産大手、UMCは、シンガポールの新工場で2026年に第1段階の量産を始め、回路線幅22〜28ナノメートルの半導体をつくると発表した。シンガポールで最も進んだ半導体受託生産の工場の一つになるという。
【TSMC関連】
インテルの件で上にも示しているが、ここでは台湾および我が国での動きについて、以下の通りである。
◇TSMC、半導体装置の搬入ペース抑制 熊本工場 成熟品低迷で (3月29日付け 日経)
→半導体世界大手のTSMCが熊本工場で製造装置の搬入のペースを抑えることが分かった。米インテルなどもマレーシアで事業の拡大を遅らせる。成熟世代の半導体の需要低迷とトランプ米政権の関税政策への懸念が背景にある。複数の関係者が明らかにした。
◇TSMC affirms commitment to Taiwan with new domestic fab amid overseas expansion―TSMC reassures on Taiwan expansion amid US investment (3月31日付け Reuters)
◇TSMC to invest NT$1.5tn in Kaohsiung expansion (4月1日付け Taipei Times)
→TSMCが、高雄(Kaohsiung)での2-nanometerチップ生産を拡大するためNT$1.5 trillion(US$45.2 billion)の巨額投資を発表、国内イノベーションを後押し、27,000の雇用を創出、そして米国事業が拡大する中、台湾の半導体リーダーシップを維持する狙いである。
◇TSMC's JASM doubles workforce amid production delays (4月2日付け DigiTimes)
→2025年4月1日、TSMCの日本法人であるJASMは、設備の遅れや第2工場建設の延期で熊本ウェハ工場の進捗が遅れる中、毎年恒例の入社式で新入社員を大勢迎えた。
◇JASMに527人入社 TSMC熊本工場運営 昨年の2倍に (4月3日付け 日本経済新聞 地方経済面 九州)
→TSMC熊本工場の運営子会社JASM(熊本県菊陽町)は、大学や大学院などを卒業した新入社員527人が入社した。昨年の256人から2倍以上となった。地元からの採用も一段と強化したという。
【ラピダス関連】
4月に入って試作始動ということで、ラピダスの順調な展開を願って、今後一層の注目である。現下の内容、動きから、以下の通りである。
◇ラピダス、試作資金2兆円にメド 量産へ民間出資課題に (3月31日付け 日経 電子版 16:26)
→最先端半導体の量産を目指すラピダスが経済産業省から2025年度に追加で最大8025億円の支援を受けることが31日、決まった。試作ラインに必要な約2兆円の資金にめどが立ち、4月1日に北海道千歳市の工場が動き出す。27年の量産に向けては追加で3兆円規模の資金が必要となり、民間資金の呼び込みが不可欠となる。
◇ラピダスに8025億円追加支援、4月から試作開始 経産省 (3月31日付け 日経 電子版 11:33)
→経済産業省は31日、最先端半導体の量産を目指すラピダスに追加で最大8025億円の支援をすると発表した。累計の支援額は1兆8000億円程度となる。
ラピダスは2027年に最先端半導体の量産を目指しており、4月から北海道千歳市にある工場で試作が始まる。経産省は試作向けの製造装置の購入や、生産管理システムの開発費用などを支援する。新型コロナウイルス禍の中小企業支援に積んでいた基金の残金などが財源となる見通しだ。
◇IBM、ラピダスに託す半導体製造 経済安保で白羽の矢―リバイバル半導体(上) (3月31日付け 日経 電子版 05:00)
→最先端半導体の量産を目指すラピダスが4月1日、北海道の工場で試作ラインを稼働させる。米国の経済安全保障の確保につながるとして、米IBMが技術供与や技術者育成などの支援をしてきた。米中対立など地政学リスクを背景に進むサプライチェーンの再編は、日本の半導体産業に再浮上の好機となるか。
◇Japan’s Rapidus starts test production in AI chipmaking gamble―Japan's Rapidus begins test production of 2nm chips (4月1日付け The Japan Times/Bloomberg)
→日本のstate-backed半導体企業であるラピダスは、2027年までに2ナノメートル半導体の量産を目指し、次世代チップの試験生産を開始した。この構想は$11.5 billionの政府資金によって支えられており、日本の外国技術への依存度を下げようとしている。ラピダスはASMLホールディングの極端紫外線(EUV)リソグラフィーを初めて使用、テストチップは7月までの予定。
◇ラピダス試作ライン稼働 北海道、半導体集積へ優遇策―ラピダスと北の変革 (4月1日付け 日経 電子版 05:00)
→最先端半導体の量産を目指すラピダスの試作ラインが4月に稼働する。工場が立地する北海道千歳市は、旺盛な企業進出ニーズを受けて工場団地の新設を決定。北海道も1日から企業立地助成制度を拡充し、半導体産業集積に向けた動きが加速する。
◇ラピダスが試作始動 IBM、委託先に期待 量産化へなお3兆円必要 (4月2日付け 日経)
→最先端半導体の量産を目指すラピダスが1日、北海道の工場で試作を始めた。日米の経済安全保障につながるとして、経済産業省の支援は1兆7000億円規模に積み上がるほか、米IBMが技術供与してきた。
米中対立など地政学リスクを背景に進むサプライチェーン(供給網)の再編を、日本の半導体産業が再浮上する好機とできるか。
◇ラピダス社長「40〜50社が顧客候補」 GAFAMとも交渉 (4月4日付け 日経 電子版 05:00)
→最先端半導体の量産を目指すラピダスの小池淳義社長は日本経済新聞の取材に応じ、生産受託の顧客候補として「40〜50社と交渉している」と明らかにした。1日に北海道千歳市の工場で一部の稼働が始まった試作ラインは、月内に全ての工程が動く予定で「遅くとも7月中旬までに顧客に対し製品のデータを示す」と語った。
試作開始を前にインタビューに応じた。
【中国半導体関連】
驚く技術内容、困るもの、いろいろとあるが、それぞれに注目している以下の取り出しである、
◇SMIC Is Rumored To Complete 5nm Chip Development By 2025; Costs Could Be Up To 50 Percent Higher Than TSMC’s Version Due To The Use Of Older-Generation Equipment (3月27日付け wccftech)
→SMICは5nmチップ開発の完了を目指しているが、33%という低い歩留まりやTSMCより50%高いコストなど、大きなハードルに直面している。EUVではなくDUV技術に頼るSMICは、中国国産のEUVツールが2025年第3四半期までに登場することを期待している。
◇Taiwan accuses China’s biggest chipmaker SMIC of ‘illegally’ poaching tech talent (3月28日付け CNBC)
→*台湾の捜査当局は金曜28日、中国最大の半導体製造会社であるSMICが、ハイテク人材を違法にリクルートしていたと主張した。
*台湾司法省調査局によると、SMICはサモアを拠点とする企業を隠れ蓑にして同島に子会社を設立し、台湾から人材を「積極的にリクルート」していたという。
*CNBCはこの主張を独自に確認することができず、SMICはすぐにコメントを出すことができなかった。
◇SMIC being probed for allegedly poaching engineers (3月29日付け Taipei Times)
→台湾法務省は、SMICがサモアに拠点を置く企業を装い、現地のエンジニアを違法に採用し、先端チップ技術にアクセスした疑いで捜査している。当局はSMICと他の中国企業10社を対象に34カ所を家宅捜索した。
◇China’s First “100% Localized” Server Makes Its Debut, Featuring Loongson’s 3C6000 CPUs In a Dual-Silicon Configuration―Loongson debuts 64-core server to compete with Intel (3月31日付け Wccftech)
→Loongsonは、64コアのdual-socket 2Uサーバーを発表、ハイパフォーマンス・コンピューティング(HPC)技術の国産化に向けた中国の取り組みの一環として、自社で設計・製造されたものである。Loongson Coherent Link技術を採用したこのサーバーは、インテルのXeon 4314に匹敵する。
◇Chinese brain chip project speeds up human trials after first success―China's BCI implants said to rival Neuralink (3月31日付け Reuters)
→中国脳研究所(Chinese Institute for Brain Research)とNeuCyber NeuroTech社は、Neuralink社の取り組みに匹敵する3つの「Beinao No.1」ブレイン・コンピューター・インターフェイス・システムの人間への移植を完了した。このインプラントは、麻痺患者がロボットアームやコンピューターを操作するのに役立つ。
◇Made in China, built to compete: Loongson's 64-core server takes on Intel in HPC race (4月2日付け DigiTimes)
→2025年ZGCフォーラムで、中国のチップメーカー、Loongsonは、同社初の完全自社設計・製造のデュアルソケット2Uサーバー、3C6000/Dを発表した。この発表は、国産のHPC技術を推進する中国の取り組みを浮き彫りにするものである。
◇Tech war: China claims AI chip progress as Loongson unveils CPUs amid self-sufficiency push―The new processors integrate Loongson’s central processing unit cores, which are based on its in-house instruction set architecture (4月3日付け South China Morning Post)
→Loongson Technologyは、産業およびモバイル市場をターゲットとした次世代AIプロセッサー、2K3000および3B6000Mを発表した。LoongArchベースの8つのCPUコアと先進的なGPGPUsを搭載したこのチップは、自立した中国のAIコンピューティング・エコシステムに向けた大きな一歩となる。
◇World’s first 1-nanometre RISC-V chip made in China with 2D materials―China develops 1nm RISC-V chip with 2D materials―China’s chip industry has reached a major milestone after scientists developed the world’s most complex semiconductor microprocessor (4月4日付け South China Morning Post (Hong Kong))
→中国の科学者たちが、二硫化モリブデン(MoS2)や二セレン化タングステン(WSe2)などの二次元材料を用いて、厚さ1ナノメートル以下のマイクロプロセッサー(MPU)を開発した。極端紫外線(EUV)リソグラフィに頼らないこのチップは、半導体技術革新の進歩を象徴しており、パイロット・スケールの生産が開始される予定である。
【アップル関連】
自社製セルラーモデム搭載M6プロセッサ、および生成AI対応について以下の注目内容である。
◇Work starts on Apple M6 chip with modems for future Macs (3月30日付け AppleInsider)
→アップルはすでに次世代Mクラスチップの先を見据えており、2027年に発売が予定されているMacのラインアップ向けに、自社製セルラーモデムを搭載した将来のM6プロセッサを設計している。
◇Apple M6 Chip to Feature Built-In Modem for Macs by 2027―Reports: Apple working on M6 chip with built-in modem (3月31日付け The Unofficial Apple Website)
→報道によると、アップルは2027年リリース予定のM6チップの設計を開始、Macs用の自社製セルラーモデムを搭載する予定である。この動きは、現行のMacsに採用されているクアルコムのチップへの依存度を下げることを目的としている。M5チップはパフォーマンス重視で最初に登場し、M6ではGPSや衛星通信への対応を含む高度なコネクティビティが実現する可能性があると伝えられている。
◇Apple’s M6 iPad Pro reportedly in early development - and it could have an Apple C2 modem―iPad Pro M5 isn't even here yet, but a successor is reportedly in the works (3月31日付け Tom's Guide)
→アップルのM5チップと、それが搭載されるMacやiPadの様々なモデルはまだ待ち遠しいかもしれないが、次に来るものについてはすでに報告がある。Mark Gurman氏によると、同氏のニュースレター「Power On」の最新号において、アップルはすでにM6チップの予備作業を始めているという。ガーマン氏によると、アップルはM6を搭載したiPad Proのアップデートモデルを2027年のある時点でリリースすることを目指しているという。しかし、チップ自体はそれよりも早く、2026年のある時点で、オーバーホールされたMacBook Proの一部としてリリースされる可能性が高い。
◇Apple Intelligenceが日本語対応 用途少なく遠のく競合 (4月1日付け 日経 電子版 11:33)
→米アップルの生成AI「アップルインテリジェンス」の日本語対応が1日に始まった。言葉による指示で絵文字などを作成できるようになったものの、音声アシスタントが端末内の情報を分析するといったより高度な機能は米国でもまだ提供されていない。AI開発で先行する米オープンAIや米グーグルの背中は遠のきつつある。