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TEL、村田機械、ディスコ、ナミックスがIntel/TSMC両社から優秀サプライヤ表彰

米Intelは、4月8日(米国時間)、同社のテクノロジー・ロードマップを推進するとともに 同社の顧客のためにサプライチェーンの強靭化を図るうえで高いパフォーマンスを発揮したパートナー企業を37社表彰したと発表した(参考資料1)。Intelは、EPIC(Excellence(卓越性)、Partnership (パートナーシップ)、Inclusion(包括性)、Continuous Improvement(継続的改善))の4項目で構成されるEPICパフォーマンスに対して貢献したパートナー企業を毎年一回表彰しており、数千社あるIntelのサプライヤの中で、EPICサプライヤ・プログラムに参加できるのは数百社に限られ、その中から今年は以下の37社が表彰された。

Intel EPIC

図1 EPICサプライヤ賞


The 2025 Intel EPIC Supplier Award(2025年 インテルEPICサプライヤ・アワード)」の受賞企業は以下の通り。
(ABC順。カッコ内は表彰対象となった特に優れた項目。赤字は日本企業)
•AGC (EUVマスクブランクス技術)
•Applied Materials (事業協力)
•ASM (技術開発・製造)
•ASML (高NA EUV技術開発)
•AT & S Austria Technologie & Systemtechnik Aktiengesellschaft (サブスレートの技術・コスト・規模)
•AzureWave Technologies (サプライヤの強靭性)
•Camtek (技術開発での価格競争力)
•ディスコ (技術開発ならびに事業協力)
•DS TECHNO (クオーツ部品のコストと性能)
•富士フイルムエレクトロニクスマテリアルズ (地域別調達)
•GF Piping Systems (建設資材/機材)
•HCLTech (技術開発サービス)
•Hoffman Construction Company (建設管理)
•Keysight Technologies (技術実装)
•KLA (技術開発)
•Lam Research (技術開発ならびにサステナビリティ)
•レーザーテック (EUVマスク技術開発)
•MSR-FSR (部品洗浄技術、コスト・サステナビリティ)
•村田機械 (製造)
•ナミックス (封止材料開発)
•日本通運 (品質)
•JiangXi Redboard Technology (品質)
•Saigon Fabrication (地域別調達)
•Samsung Semiconductor (戦略的パートナーシップ)
•Securitas USA. (サイト・サポートサービス)
•千住金属工業 (はんだ材料開発)
•新光電気工業 (サブスレートの技術・コスト・規模)
•Siltronic (シリコン開発)
•Solmics (シリコン部材のコスト・品質・技術)
•Technoprobe (ソート/テストの開発)
•東京エレクトロン (技術開発・製造・サステナビリティ)
•東ソー・クォーツ (クオーツ部品の品質、技術、供給能力)
•Trane U.S.(建設資材/機材)
•Ultra Clean Holdings (部品洗浄のコスト、納品パフォーマンス)
•Valex(建設資材/機材)
•Veeco Instruments (アニール技術)
•VeoliaES Technical Solutions (化学廃棄物処理)


TSMCは27社を表彰しそのうち日本企業は過半の14社

一方、台TSMCにも同様なサプライヤ表彰制度があり、昨年末に「2024 TSMC Excellent Performance Awards(2024 TSMC 優秀業績賞)」の授与を行った。この賞は、サプライチェーンと関連業界の継続的な改善を推進するために、タイムリーで高品質な専門サービスを提供したサプライヤに授与されるもので、今年は27社が対象になった(参考資料2)。そのうち、日本企業は、全被表彰企業の過半の14社も名を連ねており、TSMCの半導体製造事業に多くの日本企業が貢献をしていることがうかがえる。特に「先端パッケージングにおける優れた生産サポート」では6社が表彰されたが、そのうち5社が日本企業だった。

2024 TSMC Excellent Performance Awards(2024年TSMC優秀パーフォーマンス・アワード)受賞企業は以下の通り。(ABC順。カッコ内は特に優れた受賞対象項目。赤字は日本企業)
•Applied Materials(優れた技術コラボレーション)
•旭化成(先端パッケージングにおける優れた技術連携と生産サポート)
•ASM International(生産サポート)
•ASML(優れた生産サポート)
•キヤノン(先進的なパッケージングにおける生産サポート)
•DACIN CONSTRUCTION(新工場建設における実績)
•ディスコ(先進のパッケージングにおける生産サポート)
•HSINGMIEN INDUSTRY(生産サポート)
•JX金属(技術連携と生産サポート)
•KLA(技術コラボレーションと生産サポート)
•Lam Research(グリーン製造における貢献と優れた技術協力および生産サポート)
•LCYグループ(グリーン製造における貢献)
•村田機械(ファブ自動化における実績)
•ナミックス(日):先端パッケージングにおける技術連携と生産サポート
•ニューフレアテクノロジー(マスクライターコラボレーション)
•オルガノ(新工場建設における実績)
•Scientech(高度なパッケージングにおける生産サポート)
•SCREENセミコンダクターソリューションズ(グリーン製造への貢献と生産サポート)
•芝浦メカトロニクス(先端パッケージングにおける生産サポート)
•信越化学工業(生産サポート)
•SUMCO(生産サポート)
•Technoprobe(生産サポート)
•東京エレクトロン(技術連携と生産サポート)
•東京応化工業(新技術コラボレーション)
•Topco Quartz Products=台湾の信越石英関係会社(生産サポート)
•TUNG KANG STEEL STRUCTURE(新工場建設における実績)
•United Integrated Service(新工場建設における実績)

なお、これらの企業のうち、Intel, TSMC両社から表彰された日本企業は、
ディスコ、村田機械、ナミックス、東京エレクトロン(ABC順)の4社であった。世界的に名の通った大手企業の中にあって、特にナミックスは、新潟に本社を置き「Small but Global Only One/Number One」を標榜する社員7百人余りの中堅事業で、Intel/TSMC両社から「優れた先端パッケージング材料」が高く評価されたことは、特筆に値しよう。

このほか、Intel/TSMC両社から表彰された日本以外の企業としては、Applied Materials、ASM、ASML、KLA、Lam Research、Technoprobeの6社があげられる。いずれも評判の高い世界的な規模の企業である(資料3)。

TSMCが表彰した企業の中には、日本ではなじみのない地元台湾の6社が含まれている。
台湾の材料や工場サポート企業は、TSMCの世界展開にあわせて日米を含む世界へ羽ばたきつつある。日本勢も世界を舞台にリーダーシップをさらに発揮してほしいものだ。

参考資料
1. インテル発表資料
2. TSMC発表資料
3. 服部毅、「半導体製造装置サプライヤ顧客満足度ランキング2024トップ10」、マイナビニュースTECH+、(2024/06/20)

Hattori Consulting International 代表/国際技術ジャーナリスト 服部毅
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