泉谷渉の視点
何かと話題が集中する熊本県下を取材サーキットしてみた。何といっても注目の的は、台湾TSMCの熊本県菊陽町に建設される新工場である。すでに鉄骨がくみ上げられており、まさに突貫工事で立ち上げが進んでいた。今後はさらに建設人員を増やしてとにもかくにも急ピッチで稼働に持ち込む考えだ。
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Amazon(アマゾン)というカンパニーは、いかにも新しいように見えるが、もうすでに創業して30年以上が経っている。筆者もまた年がら年中、アマゾンで買い物をするのであるが、先ごろの同社の株価の一気トーンダウンには驚かされた以外の何物でもない。何と、アマゾンの株価は超低迷の領域に入り、2021年7月の最高値から40%近くの下落を記録した。史上最大の株価引き下げと言ってよいだろう(編集注1)。
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「DX革命が加速度的に進んでいるが、(このままでいくと)2030年には現在の総電力の2倍、2050年には200倍もの電力をIT機器だけで消費してしまう。データセンターの電力に至っては、2022年に対しては2030年に9.4倍になる。エネルギー危機の解決なくして、データ駆動型社会の持続可能な発展はあり得ないのだ」。
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一本調子で上がり続けてきた半導体の市況に、少しく暗雲が立ち込め始めた。まずは何と言っても、ここに来てメモリ市場の一気下落が始まったことにある。メモリの総合最大手であるSamsungは、2022年3Q(7~9月期)の売り上げが前期比19%減の2兆3777億円に留まったことを明らかにした。幹部は「劇的に変化してきたメモリ市場をきっちりウォッチしなければならない」とコメントしている。
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半導体パッケージ基板への関心が、否が応でも高まっている。ナノプロセスの微細化に限界が見えてきており、三次元パッケージによりこれをブレイクしようという動きも多く出てきた。
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米国政府は、半導体に関する台湾依存は実にアブナイ!と見ているようだ。現段階では、ほとんどあり得ないことだが、中国が台湾に侵攻し、我が物としてしまえばTSMCをはじめとする最先端プロセス、および多くの台湾半導体企業が中国の傘下に置かれてしまう。そしてまた、米国内において生産される半導体のシェアはたったの10%しかない。国別の半導体企業シェアで言えば、米国が断トツであるにも関わらず、ひたすら台湾をはじめとするアジアに依存してきたことの危険性がはっきりと米国政府に認識されてきたのだと言えよう。
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ようやく、日本政府も重かった腰を上げ始めたようだ。岸田首相はここにきて、半導体の研究開発に取り組む研究機関や企業幹部との意見交換に力を入れている。要するに、彼の提唱する「新しい資本主義」なるものに半導体の大型新戦略を盛り込もうというわけだ。
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2022年5月23日、米国のバイデン大統領が来日し、岸田総理と共同記者会見を開催した。日本と米国が半導体サプライチェーンの強化で合意したことを明らかにしたが、この時「日の丸半導体で戦う」という従来の日本政府の方針が劇的転換を迎えたことに何人の人が気付いただろう。
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半導体の世界チャンピオンであるIntelが、ここに来て一気果敢に投資攻勢を強めている。とりわけEUにおいては、ドイツに2兆2000億円投じる新工場を建設するほか、アイルランド、フランス、イタリア、スペイン、ポーランドにおいても工場および開発拠点の拡充に動くというのである。
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九州シリコンアイランドの始まりは、1967年7月の三菱電機による熊本新工場の稼働である。その後、世界一のDRAM工場となった九州日本電気の設立、これまた世界一のメモリ工場と言われた東芝大分工場の進出などが相次ぎ、九州エリアは半導体産業の集積を加速してきた。
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