泉谷渉の視点
「世界全体の半導体設備投資は、アップルの不振が明らかとなってきた以上、下期に減速する恐れはある。それでも、今のところは2015年を上回る勢いで進んでおり、前年を少し上回る6兆5000億円以上が想定されるだろう。それにしても日本勢の存在感はない。大型投資を構えるのはひたすら東芝とソニーだけだ」。
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世界初とでも言うべき、とんでもないディスプレイを見せていただく機会に恵まれた。それは、ソニーとパナソニックの有機EL部門が統合したJOLEDが作り上げた約20インチの印刷法による有機ELディスプレイである。これにはかなり参った。漆黒の奥深さ、モビリティのすばらしさ、コントラストの鮮やかさ、そして何よりも切れのある画像に筆者は打ちのめされた。
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「学問に裏打ちされた技術だけが生き残る。まがい物のカンに頼った半導体製造の時代は終わったのだ。そしてまた、真理の前には何人といえども頭を垂れる、という姿勢が大切なのだ」。
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世界の半導体市場はスマートフォンの伸び悩みが明らかとなり、2016年についてはほぼ横ばいの40兆円が予想されている。スマホおよびタブレットの出荷状況によっては、若干のマイナス成長もあり得る展開。
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「世界の半導体はデジタル家電全体の伸び悩みや、一大アプリであるパソコンの後退もあって、2015年は微減の約40兆円市場にとどまっている。しかしながら、IoT時代の到来を考えれば再上昇し、2025年ごろには50兆円は楽々超えていくだろう。ただし、今や世界半導体の市場別シェアでいけば、ダントツのシェア60%を占有するのは、中国を筆頭格とするアジア諸国だ。時代はすさまじい勢いで回転している」。
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IoT時代は、あらゆるものがセンサ、マイコン、ビッグデータなどでネットワーク化され、便利で暮らしやすい未来社会を構築しようというものだ。
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太陽電池やLED照明の分野を圧倒的な札束攻勢で制覇した中国ではあるが、市場は混乱し、その後それらの中国企業の多くが大赤字であるというのだから話にならない。しかし液晶分野にも3兆円投入し、2018年までの世界チャンピオン奪取はほぼ確実になってきた。
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筆者が所属する電子デバイス産業新聞では現在、熊本県の産官学をテーマにした企画を連載している。2014年秋から冬にかけて何と10回以上も熊本県に足を運ぶ有様となった。
2014年の12月初旬に熊本を訪れ、下通りの居酒屋で一杯やっていたところ、装置関連業界と思われる人たちがどやどやと入ってきた。口々に忙しくなったね、といいながらビールを口に運んでいた。
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「少子高齢化の世の中にあっては、とにかく大量に移民を受け入れるか、中高年者や女子労働力のフル活用を進めるしかない。しかし、もう一つの解がある。それは日本企業が世界の40%シェアを占有するロボット産業を加速することだ。作業、介護、サービスをこなすヒト型ロボットを量産し、あらゆる社会の現場に回せといいたい」。
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ソニーは先ごろ、2015年4-9月期の連結決算を発表したが、1159億円の黒字を計上し、上期としての最終黒字は実に5年ぶりのこととなった。ここで出した純利益は、パナソニック、日立、三菱電機の金額を上回るものであり、電機6社の中で最も多いのだ。見逃せないのはこの利益の多くをたたき出したのが半導体などの電子デバイス部門であり、実にここの営業利益は58%も増えた。
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