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ChatGPTは半導体需要を爆発的に拡大!〜NvidiaのGPUにメモリ生産必須

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AIの自動言語生成技術であるChatGPTへの期待が高まっている。たしかに、登場して間もないというのにすごい勢いでその利用が広まっている。とりわけ、MicrosoftやGoogle、AmazonなどのITカンパニーが凄まじい勢いで対話型のAIエンジンを徹底開発しているのである。

泉谷渉の視点

「最近のことであるが、TwitterはChatGPTライクの生成AI関連事業を開発すべく、NvidiaのGPUを一万個購入したようだ。今後は、ChatGPTの爆発的拡大に対応すべくデータセンター投資がさらなる加速を呼び込むことは間違いない。こうした動きは、爆発的な半導体需要を生み出し、ひいては半導体装置の活性化を進展させるのだ。」

こう語るのは、半導体のスーパーサイクル論をふりかざし、爆裂アナリストとして知られる和田木哲哉氏(三菱UFJモルガン・スタンレー証券)である。和田木氏は昨今の半導体生産および設備投資の著しいトーンダウン現象を指摘しながらも、ChatGPT、メタバース、エッジコンピューティングの新時代がやってくるのは間違いないので、今後の半導体の成長についてはまったく心配はないと言い切っている。

ChatGPTはAIの力によって簡単にその答えを導き出すことで便利なこととされている。そして岸田首相の声も覚えてしまえば全部復元し、コピーすることができる(編集注1)。もちろん、岸田首相のお顔も同じようにAI処理で作れる。そうなれば、岸田首相を装った犯人がとんでもないことをしでかすという恐怖感から逃れることができない。公明党の山口那津男氏がChatGPTに自分の名前を言ったところ、「そんな人は存在しない」と言われて大ショックに陥ったと聞いている(編集注2)。

それはともかく、我々半導体業界に生きる人間としては、ChatGPTそのものよりもそれが与えるインパクトが重要であり、そこにつながる企業連鎖を想定しなければならない。ChatGPTには高性能のGPUを備えた多数のサーバからなる大規模なデータセンターがなんとしても必要なのだ。このGPUは今のところ並列処理を得意とするNvidiaが大きく抜け出している。そして同社は、日本の装置大手であるアドバンテストのテスターを採用するのだ。そしてまた、このGPUをフル稼働させるためにも超高速のDRAMが大量に必要になる。このプローバーについては同じく日本勢の東京エレクトロンや東京精密が大活躍することになるのだ。

さて、現状においてMicrosoftは検索エンジンBing、クラウドサービスAzure、Office365などにChatGPT機能を搭載する。1Qの決算発表で、AI関連サービスに対する投資の継続を強調した。Googleは3月、対話型AI「Bard」を公開し、年内に広告事業など各種サービスの生成AI機能を搭載する計画を打ち出した。1Qの決算発表で、データセンターとサーバ投資は2Qから加速し、年間を通じて増加し続けるとアナウンスしている。

もちろん、Amazonも、Twitterも、Metaも、Alibabaも、Tencentも、Baiduも生成AIについては徹底的な開発と事業化を計画しており、この半導体インパクトが出てきた時には前記のGPUや超高速メモリだけでなく、サーバ向けのパワー半導体が10〜20倍に膨れ上がるという予想だってあるのだ。

ところで筆者は、自分の名前をChatGPTで調べることを恐れおののいている。おそらくは、「泉谷渉」と入れれば「どうしようもないヤクザ記者」と出てくる可能性が強いからだ(編集注3)。

産業タイムズ社 代表取締役会長 泉谷 渉

編集注
1. ChatGPTは、文字を読み込んでテキストを生成する生成AIの一種なので、その回答したテキストを音声に変換して(つまり音声合成)出力することは可能である。しかし、ChatGPTが直接、音に変換するわけではない。
2. 現在のChatGPTに使われているGPT-3技術は、2021年9月時点までの英語世界のデータを入れているため、それ以降の話は答えられない。しかも日本情報は少ないため、日本で有名人でも答えることができないのだろう。
3. 日本語で問い合わせても日本語で答えてくれるのは、日本語を英語にいったん翻訳し英語ベースで入力し、結果を日本語に翻訳しているからである。東京工業大学と富士通が日本語ベースで大規模言語モデルを開発するので、これが実現されれば日本の情報をもっと的確に答えてくれるようになる。

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