津田建二の取材手帳
新年を迎え、新たな心意気で臨みたいと思います。
年明けの新聞では、昨年はスマホ元年という表現が踊っていた。一昨年からスマホは2ケタ以上の高い成長率で市場の拡がりを見せていた。今年は何が目玉か。と言いたいところだが、実はこの視点をもはや捨てる時代が来た。目玉を期待するのではなく、目玉をユーザーに提案していく時代に変わってきているからである。
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2011年が間もなく暮れようとしている。簡単に今年を振り返り、来年のはずみとなるヒントを提供したい。エレクトロニクス最大級の事件として、東日本大震災とその影響、スティーブ・ジョブズ氏の言葉、について考えていこう。
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英国は欧州大陸から離れている島国である。台湾も同様に大陸から離れている。日本も海に囲まれている。日本が外国と違う点があればこれまで、島国根性だから外国とは同じにはできない、と言い訳してきた。でも待てよ、英国も台湾も同じ島に囲まれ、大陸とは地続きではない、という点で同じではないか。
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先週、米国西海岸、先々週はベルギーと2週続けて海外を回ってきた。日本のメーカーには、わが社はシステムLSIメーカーだとか、システムLSIに注力するとか、という表現をとるところが多いが、海外企業は決してシステムLSIメーカーだとは言わない。そもそも「システムLSI」という言葉は海外では通用しない。和製英語である。
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「半導体業界から今、ファブレスという声が聞こえてくるが、10年前のシステムLSIと同じだな」。10月5日にフランスの国立研究所LETIによるフランス大使公邸でのパーティに出席した半導体産業人たちが言っていた言葉である。半導体業界ではファブレスへ移行する動きがある。しかし、このままのやり方では失敗する公算が非常に大きい。なぜか。
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2007年7月、iPhoneを最初に目にした時まだ日本では発売されていなかった。英国Imagination Technologies社の社長(CEO)ホセイン・ヤッシー氏からそれを見せてもらった時、そのユーザーインターフェースの魅力に圧倒された。それが発売された時、日本のメディアやメーカーの中には「目新しい技術はなにもない。やればできる」と切り捨てたところがあった。極めて日本的だ。
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半導体産業が転換期を迎えているということはよく言われるようになった。微細化が難しくなったこと、高集積になりチップが複雑になったこと、少量多品種の製品が増えてきたこと、などが背景にあると一般に言われている。しかし最大の理由は、半導体チップにソフトウエアを焼き込むことができるようになった、ということだ。この認識が実は海外と日本が違う。
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半導体産業の真っただ中にいると、「微細化はもう経済的に行き詰まるのではないか、いよいよ半導体産業はもう限界が迫ってきた」という声をいただくことがある。「半導体はもうおしまい。これからはエネルギーだ」との声も。不況時には総合電機は「半導体が赤字だから業績が悪かった」と発表した。しかし、半導体産業を暗く見るのは日本だけである。
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新しい技術が登場した場合の、日本と海外との違いを見てみよう。最近の例として、Siウェーハ上にGaN層を形成し、LEDやパワーデバイスを作る動きがある。LED照明のチップとなるGaNダイオードは、これまで高価なSiCやサファイヤ等の結晶を基板として形成されてきた。LEDのコストを下げるためには大口径化が欠かせないが、これまでの製法ではコストが上昇する。このため、結晶基板に安価なSiを使おうという研究、開発の動向がある。ここに日本と海外との大きな違いを見た。
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かつて「ここがヘンだよ、日本人」というタイトルのテレビ番組があった。日本人の行動パターンが世界から見ていかに特異なものか、を日本に滞在している外国人が議論する番組だった。企業やビジネス、産業の舞台などでも日本がいかに特異な行動を示しているか、海外の視点で日本を見るという仕事を1990年ごろからやってきた目で、整理してみる。
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