2019年12月30日
|長見晃の海外トピックス
2019年が終わろうとしているタイミングでこの1年の半導体業界関連の動きを振り返ってみる。$469 Billionと史上最高を記録した2018年の世界半導体販売高であるが、米中摩擦のインパクトを受けて昨年末あたりから急激に落ち込んで本年2月からは底を伺う状況が続き、8月以降徐々に戻していく経過となっている。5G、AIなど新分野を巡る活発な取り組みが販売高を大きく下支えしている見え方である。WSTS秋季予測では今年総計が12.8%減の約$409 billionと二桁の落ち込みとあらわされ、来年、2020年も5.9%増と一桁の伸びで控え目な回復の見方である。現在休戦状態の米中貿易戦争であるが、どう転ぶか依然先が見通せない状況があり、新技術、新分野の引き続く伸びへの大きな期待とともに、世界情勢に一層敏感に注目せざるを得ない本年の締めとなる。
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2019年12月23日
|長見晃の海外トピックス
米中「第1段階の合意」が発表され、署名待ちの一方、対中輸出が米国の期待に沿うかどうか、波乱含みの一休みの状況となっているが、市場の方は休む暇なく、新分野の成長に備える戦略的な動きが相次いでいる。IntelによるイスラエルのAI半導体startup、Habana Labsの買収、量子コンピュータにおける日米欧、およびIBMと東大、それぞれの連携、BroadcomのRFワイヤレス半導体部門売却による事業シフト、そして、Amazon, Apple, Google, およびZigbee Allianceによるsmart home製品に向けた新しいroyalty-free connectivity標準を展開&推進するworking group、Connected Home over IPプロジェクトの発表、とそれぞれの切り口で矢継ぎ早の動きとなっている。
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2019年12月16日
|長見晃の海外トピックス
米中貿易戦争の覆いの中、下支えに健闘している新分野という今年の感じ方があるが、恒例のこの時期2大イベントでも然り。半導体デバイスに関する国際会議、IEEE International Electron Devices Meeting(IEDM:12月7-11日:San Francisco)では、Intelの量子コンピュータ向け低温半導体はじめ今後を切り拓く注目の発表である。もう1つ、半導体製造装置・材料の国際展示会、SEMICON Japan 2019(12月11-13日:東京ビッグサイト)では、今年の落ち込みから来年は5G需要で回復を見込む展望が示されている。本欄を埋めるときになって、米中貿易交渉「第1段階の合意」が発表され、15日に予定の対中制裁関税「第4弾」の発動が見送られ、ひとまずの安堵ではある。
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2019年12月 9日
|長見晃の海外トピックス
米国・Semiconductor Industry Association(SIA)から月次世界半導体販売高が発表され、この10月について$36.6 billion、前月比2.9%増、前年同月比13.1%減と、昨年12月から今年2月にかけて前月比約7%減と立て続けに落とした販売高をその後小幅な増減に保ち、7月から4ヶ月連続で前月比増加で持ちこたえている推移となっている。World Semiconductor Trade Statistics(WSTS) organizationの秋季予測では、今年は半導体販売高12.8%減と止む無し二桁の落ち込みとなり、来年、2020年は5.9%増、$433 billionと一桁の伸びに留まる見方である。米中貿易戦争が覆う中、他の予測機関でも4%〜8.7%と2020年の販売高の伸びの読みが一桁に収まっている現時点である。
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2019年12月 2日
|長見晃の海外トピックス
最先端半導体への取り組みが追い風となっている台湾半導体業界に向かう動きが相次いでいる。パナソニックが半導体事業から撤退、台湾の新唐科技(Nuvoton Technology)への売却を発表、世界半導体市場における我が国の存在感の一段の低下となる。最先端半導体の研究開発に向けて、東京大と台湾・TSMCが提携を発表している。そして、Intelと台湾・MediaTekが、5G対応半導体の設計および製作でコラボするとし、MediaTekは同社初の5G SoC、Dimensity 1000を打ち上げている。環境激変を受けて「グローバルな協調と競争」の枠組みがまた一段と変わらざるを得ない現状を受け止めるとともに引き続き業界構図の推移に注目するところである。
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2019年11月25日
|長見晃の海外トピックス
Huaweiに対する制裁措置を一部緩和して米国製品の輸出を限定的に容認する動きを米国商務省が行なって、Microsoftは輸出ライセンスを認められたとのこと。まだまだ部分的で先行きが依然はっきりとは見えず、香港問題など加わって米中貿易戦争の覆いがまったく予断を許さない中、半導体関連の7-9月、第三四半期の戻し基調が鮮明になっている。それを受けて北米装置メーカーの10月世界billingsが、2018年10月以降はじめて前年比増加を示している。本年残すところ1ヶ月余り、今年の半導体サプライヤランキング予想がIC Insightsにより表わされ、メモリ半導体の落ち込みを反映、IntelがSamsungに$14.2 billionの差をつけて首位を取り戻す内容となっている。
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2019年11月18日
|長見晃の海外トピックス
中国・Alibabaの「独身の日」セールの最高取扱高に続いて、今度は色が黒い商品や名前に黒が入っている商品を特別価格で販売するAmazonのBlack Friday。米国・GAFA(Google:Apple:Facebook:Amazon)そして中国・BATH(Baidu:Alibaba:Tencent:Huawei)、米中IT巨人のそれぞれさまざまな戦略的展開に目を奪われる中、1つとして半導体も大きく関わって、米中摩擦に煽られる中での各社の備える動きに注目させられている。新興市場へのスマホ、5GそしてAIの展開とすでに見えているものに加えて、金融サービスへの参入など新たな機軸に向けた動きのうねりが見られて、半導体分野にどんなインパクトとなるか、目が離せないところである。
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2019年11月11日
|長見晃の海外トピックス
中国がここ2週間での米国との話し合いで、双方が貿易戦争の過程で発動した追加関税を段階的に廃止することで合意した、と明らかにして、市場の好感を呼ぶ動きが見られたところに、強硬筋の巻き返しがあったか、Donald Trump大統領はじめ米国政府高官の「合意していない」と打ち消す発言が続いている現時点である。大詰めにさしかかってなお予断を許さない状況の中、米国と中国に挟まれる位置づけながら5G、AIなど今後の中核技術に向けて最先端半導体に積極的に取り組むTSMCに注目させられている。3-nm新工場計画推進はじめ業界で一人勝ちになる可能性もあり、7-nmなど現下の最先端が売上げを大きく押し上げている同社となっている。
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2019年11月 5日
|長見晃の海外トピックス
今回締めてまとめる段になって、同時に2大インプット。米中貿易交渉の「部分合意」を巡る閣僚級電話協議が行われ、様々な分野で進展がみられ懸案事項についても進展中であるとのこと。引き続き次官級協議を行うとしており、今後の歩みよりの推移に注目である。もう1つ、恒例の米国・SIA(Semiconductor Industry Association)からの月次世界半導体販売高発表であるが、この9月について$35.6 billion、前月比3.4%増、前年同月比14.6%減となっている。単月としては今年最高の販売高であり、米中摩擦の快方を好感、一層の回復基調に戻していく市場の反応に期待するところである。まだまだ一寸先は予断を許さず、いろいろな切り口の推移に目が離せない。
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2019年10月28日
|長見晃の海外トピックス
とかく動静に注目せざるを得ない米国・GAFA(Google・Apple・Facebook・Amazon)において、技術面そしてビジネス面で世界の耳目を集める動きである。"Motion Sense"を取り入れた初のスマホ、Pixel 4に続いて、Googleが量子コンピュータ開発マシンで「量子超越」達成を発表、世界を驚かす技術革新の衝撃である。一方、Facebookが主導するディジタル通貨「リブラ」については、米議会公聴会で発行の延期を宣言するに至っている。規制対応に加え、独立性の確保、プライバシー保護という3つの壁が立ちはだかって、「米当局の承認」を事業開始の条件とする考えを明らかにせざるを得ない経過となっている。
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