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米中摩擦の狭間、半導体業界における台湾の急伸長および脈動

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新型コロナウイルスによる累計感染者数は金曜27日正午過ぎ時点、世界全体で6085万人を超え、1週間前から約410万人増加とほとんど変わらない勢いである。欧州が最多で、11月22日に1600万人を上回り、北米は11月26日に1300万人に達している。今年の世界半導体販売高関連のデータがあらわれ始めたが、米国SIAの月次販売高が前年比5〜6%増の堅調な推移を示して、このまま順調であれば過去最高を記録した2018年($468.8 Billion)に次ぐ年間販売高が見込まれる。このほど発表のIC Insightsの2020年サプライヤ・トップ15予想データでは、特に30%を越える伸び率のサプライヤの顔ぶれでの台湾勢、そして台湾系米国人がCEOの会社の席巻の状況に改めて注目している。

≪先端および全体を引っ張る勢い≫

世界半導体販売高は、米国SIAのデータで、2017年に初めて$400 billionの大台を突破、以降次の推移となっている。

 2017年   $412.2 billion
 2018年   $468.8 billion
 2019年   $412.1 billion

本年は9月までの月次販売高の推移から一桁半ば、5〜6%増が見込まれて、過去最高の2018年に次ぐ販売高に順調であれば到達しそうな現時点である。

そんな中、台湾の半導体業界では、本年について20%を上回る伸びを見込んでいる。コロナ禍、5G需要、などのキーワードでだんだんと伸びが上方修正された経緯となっている。

◇IC industry output to grow more than 20 percent: TSIA (11月16日付け Taipei Times)
→Taiwan Semiconductor Industry Association(TSIA, 台灣半導體協會)、金曜13日発。台湾のintegrated circuit(IC)業界の今年の生産額が、活況のstay-at-home経済および新規途上技術の影響で20.7%増の見込み、前回は12.6%と見ていた旨。

米国と中国の狭間にある台湾であるが、特に半導体における米国と台湾の一層緊密な関係が、ここにきて以下の通り確認されている。

◇Taiwan, US to focus on semiconductors-Taiwan and US have strong ties in microchips (11月22日付け The Taipei Times (Taiwan))
→台湾と米国が金曜20日、経済関係強化の話し合いをもち、半導体業界を経済協力における相互の優先順位トップと同定の旨。台湾政府officialsがpress conferenceにて、半導体技術などの領域における台湾と米国の間の強力な関係を強調の旨。「米国-台湾経済対話は、該経済関係が力強いだけでなく、引き続き深まり成長していくと物語っている。」と、American Institute in Taiwanのdirector、Brent Christensen氏。

ここで、IC Insightsからの2020年半導体サプライヤ・トップ15予想に注目する。トップ15合計販売高では、前年比13%増となっている。

◇Intel to Keep Its Number One Semiconductor Supplier Ranking in 2020-Seven top-15 semiconductor suppliers forecast to show ≧22% growth this year with Nvidia expected to post a huge 50% increase. (11月23日付け IC Insights)
→IC InsightsのNovember Update to the 2020 McClean Reportより、2020年半導体サプライヤ・トップ15予想、次の通り:

2020年
2019年
会社
2020年販売高
2020/2019
順位
順位
予想
伸び率
1
1
Intel
$73,894 million
4%
2
2
Samsung
60,482
9
3
3
TSMC
45,420
31
4
4
SK Hynix
26,470
14
5
5
Micron
21,659
-3
6
7
Qualcomm
19,374
35
7
6
Broadcom
17,066
-1
8
10
Nvidia
15,884
50
9
8
TI
13,088
-4
10
9
Infineon
11,069
-1
11
16
Mediatek
10,781
35
12
14
Kioxia
10,720
22
13
15
Apple
10,040
25
14
11
ST
9,952
4
15
18
AMD
9,519
41

このデータについての台湾および韓国の業界紙の取り上げである。

◇Top-15 semiconductor suppliers to see combined revenue increase 13% in 2020, says IC Insights-IC Insights: Leading chip vendors grow 2020 revenue 13% (11月24日付け DIGITIMES)
→IC Insightsの予測。今年の難しい経済および物流状態にも拘らず、半導体メーカートップ15の販売高合計が13%の増加、業界予測6%を上回り、昨年の15%減からの転向の旨。MediaTekが年間売上げで11位に上昇、一方、Advanced Micro Devices(AMD)は今年15位に進む旨。

◇TSMC expected to remain 3rd largest IC supplier; MediaTek 11th (11月24日付け Taiwan News)

◇Samsung to take 2nd spot in semiconductor supplier ranking in 2020: report (11月24日付け Yonhap News Agency)

上記のトップ15のデータで伸び率が30%を超えるサプライヤが以下の通りである。

 TSMC    台湾
 Qualcomm  米国
 Nvidia   米国
 Mediatek  台湾
 AMD    米国

TSMC、Mediatekの台湾勢とともに、注目させられたのが米国のNvidiaおよびAMDのCEOの方々の横顔である。NvidiaのJensen Huang氏およびAMDのDr. Lisa Su氏ともに台湾・台南がルーツの台湾系米国人であり、お互い親戚関係との記事も見られるが確認されていない。

Huang氏は、LSIロジック、AMDを経て、1993年にNvidiaを共同設立し、現在に至るまでCEO兼社長を務めている方。一方、Dr. Lisa Su氏は、IBMの半導体研究開発センターでシリコンオンインシュレータ半導体製造技術とより効率的な半導体チップを開発したことで知られ、2014年10月にAMDの社長兼CEOに任命された方。

NvidiaおよびAMDともにTSMCの顧客ということで、台湾つながりをひときわ感じているところでもある。そして、残るQualcommもTSMCの顧客である。

台湾の急伸長および脈動を感じる動きがまだまだ続き、まずは、TSMCの南京拠点の増強である。

◇TSMC reportedly plans capacity expansion at Nanjing fab-Report: TSMC will expand Nanjing wafer fab's capacity (11月23日付け DIGITIMES)
→台湾のCentral News Agency発。TSMCが、中国での現地顧客からの需要増大に対応、南京(Nanjing)の同社12-インチfabにて新しい拠点建設を決定の旨。

台湾の半導体関連各社の人員増強が行われている。

◇Taiwanese IC supply chain expands hiring for 2020, 2021-Taiwan's chip firms continue to expand their headcounts (11月24日付け Taiwan News)
→TSMC, MediaTek, Phison, ASEが、力強い顧客需要に対応、headcountを増やしている旨。

先端5Gミリ波への台湾supply chainの取り組みである。

◇Taiwan backend supply chain poised to embrace 5G AiP segment-Sources: Taiwan supply chain adopts 5G mmWave AiP tech (11月25日付け DIGITIMES/Central News Agency)
→業界筋発。5G mmWave AiP(antenna in package)モジュールが、iPhone 12シリーズに取り入れられてからhandsetsなどの機器への浸透が高まっていく軌道にあり、FC-AiP技術が該モジュールに向けた主流backendプロセスになる見込みであって、台湾のさらに多くのbackend supply chainプレイヤーに該新分野の時流に乗ってASE Technologyへの参加を促している旨。

台湾の研究機関がArmと協働する調印発表が行われているが、昨年1月に新設というTaiwan Semiconductor Research Institute(TSRI)に遅ればせながら注目している。

◇TSRI signs deal with Arm in UK-Arm works with Taiwan Semiconductor Research Institute (11月25日付け The Taipei Times (Taiwan))
→Taiwan Semiconductor Research Institute(TSRI, 台灣半導體研究中心)が昨日、英国の半導体&ソフトウェア設計会社、Arm Ltdとの合意に調印、TSRIがリサーチ目的で広範囲のArmの製品に自由にアクセスが行える旨。
TSRIは、Arm Flexible Access for Researchプログラムに入られるアジアで最初の機関であり、研究者が自前の新しいシステム設計に向けてArmがつくったプロセッサおよびソフトウェアを使用できる旨。該プログラムのもと、台湾の研究者たちは最初から半導体を設計する必要がなく、現状の製品に基づいて事を進められる、とTSRIのdirector-general、Yeh Wen-kuan(葉文冠)氏が台北での調印式にて。
 (注)陳科技部長、新たに設立された台湾半導体研究中心に3つの期待 (2019年1月31日付け Taiwan Today)
 →国家実験研究院台湾半導体研究中心(Taiwan Semiconductor Research Institute 台湾北部・新竹市など)が30日に運営を開始。科技部(日本の省レベル)の陳良基部長(大臣)は同センターに3つの期待を寄せた。陳科技部長によると、台湾におけるハイテク産業は1980年に政府が新竹サイエンスパークでスタートさせたもので、その後の様々な発展はいずれも半導体と深く関わっている。世界最大の半導体ファウンドリであるTSMC(台湾積体電路製造株式会社)は1987年に創設され、1988年には国立交通大学(新竹市)の学長を務めた故・張俊彦氏が、国家奈米元件実験室(National Nano Device Laboratories, NDL)を立ち上げた。

台湾関連の前向きな注目内容を続けたが、不安材料も無きにしも非ず。次の通りである。

◇台湾半導体、水不足に不安(アジア便り) (11月27日付け 日経)
→台湾は今年、例年にない水不足に悩まされている旨。今夏は台風がことごとく日本側にそれていき、ほぼ来なかった旨。これは1960年代以来の珍しいことの旨。困っているのは、農家だけではない。台湾南部に多くの生産拠点を持つ半導体業界も、もともと雨が少ない冬に入ったが、早く雨が降ってほしいと気をもんでいる旨。

本年の半導体業界の締めが上記の通りになるかどうか、引き続き注目するところである。


コロナ禍のもと、いっそう収まらない状況推移に対して当面の警戒感を伴った舵取りが各国それぞれに引き続き行われている世界の概況について、以下日々の動きからの抽出であり、発信日で示している。

□11月24日(火)

米国株式市場の今週は、政権の移行およびワクチン開発を受けて史上初の3万ドルを付けたが、感謝祭を挟んで3万ドルの手前で上下する推移を示している。

◇NYダウ反発し、350ドル高で推移、ワクチン期待で買い (日経 電子版 05:21)
→23日の米株式市場でダウ工業株30種平均は反発、15時現在は前週末比348ドル25セント高の2万9611ドル73セントで推移している旨。英製薬アストラゼネカが23日、オックスフォード大学と共同開発する新型コロナウイルスのワクチンの臨床試験で、最大で90%の有効性を確認したと発表。米製薬ファイザーが開発中のワクチンの接種が12月11日にも始まる見通しになるなど、ワクチン開発を巡る好材料が相次いだ旨。経済活動の正常化が進むとの期待が広がった旨。

□11月25日(水)

米国の第三四半期GDPは、当初の読み通りの回復を示したが、感染が拡大し続けている現下の状況である。

◇U.S. economy grew at an unrevised 33.1% rate in the third quarter-US GDP increased by an unrevised 33.1% rate in Q3 (CNBC/Reuters)
→第三四半期の米国実質国内総生産(gross domestic product:GDP)改定値は前期比で年率33.1%増、予想に一致した旨。該四半期における経済の歴史的な拡大ペースが確認された旨。第二四半期では31.4%の縮減、1947年に記録をとり始めて以来最も深い落ち込みと商務省。

◇NYダウ一時3万ドル、米政権移行・ワクチン開発期待で (日経 電子版 05:30)
→24日のニューヨーク株式市場でダウ工業株30種平均が一時、史上初となる3万ドルを付けた旨。米政権の移行作業が始まったことを好感し、幅広い銘柄が買われている旨。新型コロナウイルスの感染が拡大しているが、ワクチン開発も進展し、景気敏感株を中心に買う動きが勢いづいている旨。

□11月26日(木)

◇NYダウ反落、200ドル安で推移、利益確定売りが優勢 (日経 電子版 05:26)
→25日の米ダウ工業株30種平均は3営業日ぶりに反落、15時現在は前日比198ドル46セント安の2万9847ドル78セントで推移している旨。前日に初めて3万ドルの大台に乗せ、短期的な利益確定売りが優勢となっている旨。最近の上げ相場を牽引してきた景気敏感株を中心に売りに押されている旨。

懸念を孕んだ本年の米国の感謝祭休暇である。

◇米感謝祭休暇、1日100万人の大移動、コロナ爆発懸念も (日経 電子版 07:23)
→全米が感謝祭(サンクスギビング)の休暇シーズンに入るなか、新型コロナウイルスの感染爆発に警戒が広がっている旨。帰省客の増加で空港利用者は1日あたり90万〜100万人に達し、3月以来の多さとなった旨。保健当局や医療専門家らは、旅行や親族の集まりを控えるよう呼びかけていたが、限界が浮き彫りになっている旨。

□11月28日(土)

◇NYダウ反発、37ドル高、円滑な政権移行に期待 (日経 電子版 05:19)
→27日の米株式市場でダウ工業株30種平均は反発し、前営業日の25日に比べ37ドル90セント(0.1%)高の2万9910ドル37セントで終えた旨。米政権の移行が円滑に進むとの見方や新型コロナウイルスのワクチン普及の期待から買い優勢となった旨。感謝祭の翌日とあって売買は盛り上がりを欠いた旨。


≪市場実態PickUp≫

【次期政権に対して】

IntelのCEO、Bob Swan氏が、米国次期大統領、Joe Biden氏に宛てて半導体関連の支援を早急に求める公開letterを送っている。コロナ打開の技術、米国での製造およびディジタル・インフラへの投資などが挙げられている。

◇Intel CEO Bob Swan writes open letter to President-elect Biden (11月23日付け SILICON VALLEY BUSINESS JOURNAL)
→IntelのCEO、Bob Swan氏が、次期大統領に急ぎ求める4つの重要政策領域:
 Investing in technology to solve the challenges posed by Covid
 Investing US manufacturing
 Investing in digital infrastructure
 Developing a 21st century workforce

◇Intel CEO Swan pens open letter to Biden urging domestic semi support (11月23日付け FierceElectronics)

◇Intel CEO Bob Swan Urges Biden To Invest In U.S. Manufacturing-Intel CEO calls for support of US manufacturing (11月23日付け CRN (US))
→次期大統領、Joe Biden宛て公開letterで、IntelのCEO、Bob Swan氏が、Biden政権のもと米国における半導体製造およびディジタルインフラへの政府支援を求めた旨。「我々は再び科学技術進展の次世代を支える備えにある。」と書いた同氏。

【社債支払い不履行の件】

清華大学系の半導体大手、紫光集団はじめ中国での社債の債務不履行の広がりが、以下の通りあらわされている。コロナ対応での支援縮小が圧迫した模様である。

◇中国、社債不履行が多発、金融当局、警戒強める (11月22日付け 日経 電子版 18:31)
→中国で企業が発行する債券(社債)の債務不履行が多発している旨。元本や利息を払えなかった社債の金額は計1570億元(2兆5千億円)となり、過去最高を上回るペースで推移する旨。当局は社債市場の動揺が金融システム全体に波及しないか警戒し、企業の返済逃れなどの監督強化に乗りだす旨。
清華大学系の半導体大手、紫光集団が債務不履行を起こすなど、債務危機は一部の名門国有企業にまで広がる旨。中国では、銀行がしばらくは運転資金を供給することが多く、社債の償還が遅れてもすぐに経営が破綻するわけではない旨。

◇中国の社債不履行、4割が国有、支援縮小で資金難鮮明-紫光集団・河南省系など、過去最高更新も (11月22日付け 日経 電子版 18:45)
→中国の社債の債務不履行は足元で国有企業にも広がってきた旨。2020年は20日までに1570億元(2兆5千億円)で元利払いが遅れ、うち国有企業の比率は4割強と2019年を大きく上回った旨。新型コロナウイルスで資金繰りを助けてきたが、景気回復を受けて支援措置を縮小した途端に過剰債務企業の資金繰りが苦しくなった旨。

◇Is China giving up on its chip ambitions? -Viewpoint: China's chip ambitions hit a financial snag (11月24日付け Electronics Weekly (UK))
→中国・清華大学の半導体製造部隊、Tsinghua Unigroupが、$198 millionの社債支払い不履行の旨。該不履行は、同社が$110 billionの予算のDRAM製造拠点プロジェクト計画を賄えるか疑問を呈している旨。

【SK TelecomのAI半導体】

韓国のワイヤレスcarrier大手、SK Telecomが、データセンター向けAI(人工知能)半導体の開発を発表、韓国初であるとし、半導体市場への事業展開を行う運びとのこと。

◇South Korea Unveils AI Chip to Maintain Semiconductor Leadership-South Korea looks to AI chip tech for semi leadership (11月24日付け Bloomberg)
→SK Telecomが、データセンターで用いられるSAPEON X220 artificial intelligence(AI)デバイスを投入の旨。Gartnerは、世界AI半導体市場が4年以内に$45 billionに増大する、と予測の旨。

◇(LEAD) SK Telecom enters semiconductor biz with new AI chip (11月25日付け Yonhap News Agency (South Korea))
→韓国のワイヤレスcarrier大手、SK Telecom Co.が水曜25日、データセンターoperations向けの新しいartificial intelligence(AI)半導体を披露、事業を半導体市場に拡げる旨。該新SAPEON X220は、該モバイルcarrierが開発した最初のAI半導体であり、同国初のデータセンター用AI半導体でもある旨。

【米中摩擦、中国側関連】

Huaweiに先立って米国の制裁措置を受けたZTEが、米国国家安全脅威とする決定の再考を米国・FCCに求めたが、却下されている。

◇FCC affirms ZTE poses U.S. national security threat-FCC: ZTE remains security threat to the US (11月24日付け Reuters)
→Federal Communications Commission(FCC)が火曜24日、中国・ZTE社を通信ネットワークスへの米国国家安全脅威とする決定の再考を求めるZTEからの請願を却下の旨。

Huaweiとの関りを禁ずる英国では、セキュリティ対応が要求通り行えない会社に巨額の罰金を科す新しい法律の施行である。

◇Huawei ban: UK networks breaking new law face big fines-Bill aims to impose fines on UK networks using Huawei gear (11月24日付け BBC)
→Telecommunications Security Billは、英国の5Gモバイルネットワークにおける中国の会社、Huaweiの関りを禁じているが、セキュリティ要求高度化期限に対応できない会社は巨額の罰金になる可能性とも謳っている旨。
これらのあるものは総売上高の10%、あるいは£100,000/日を上回る可能性の旨。

半導体設計のEDAツールの国産化をめぐって、中国政府が支援、人材の引き抜きも行われている現況である。

◇中国、米半導体幹部「引き抜き」、設計ソフト国産化 (11月27日付け 日経 電子版 21:30)
→半導体の開発に欠かせない設計支援ツール「EDA」を手掛ける企業の設立が中国で相次いでいる旨。EDAは米大手が寡占しており、半導体の国産化を目指す中国にとって自前開発が不可欠の分野。新会社にはこれら米大手の幹部が参加したのが特徴。中国政府も資金面などで事業を支援している旨。
シノプシス中国法人の幹部だった王礼賓氏は3月に芯華章科技(エックスエピック)を創業し、最高経営責任者(CEO)を務める旨。8月にはケイデンスで副社長を務めた林財欽氏がチーフサイエンティストとして加入、11月にもケイデンスの技術者だった顔体儼氏が研究開発担当の副総裁に就任すると発表した旨。
*中国で最近設立された半導体設計ソフト会社
 アメダック
 エックスエピック
 上海合見工業軟件集団

【スタートアップ関連】

我が国でのスタートアップ投資件数が、4〜9月上半期で過去最高を更新、半導体関連始め盛り返す世界のM&Aを反映している。

◇スタートアップ投資、件数最多、4〜9月、大企業、変革の契機に (11月24日付け 日経)
→新型コロナウイルス下でも大企業のスタートアップ投資は底堅い旨。4〜9月の国内企業のM&A(合併・買収)を含むスタートアップ投資件数は522件と上半期では調査を始めた2012年以降で過去最高を更新した旨。新型コロナで社会や生活が大きく変わり、スタートアップの技術を自社の変革や研究開発に生かす動きが広がっている旨。

企業評価金額が10億ドルを上回るスタートアップ、ユニコーン企業、世界での急増ぶりが以下の通りである。

◇世界のユニコーン企業、米中7割、2年で500社に倍増 【イブニングスクープ】 (11月26日付け 日経 電子版 18:13)
→「ユニコーン企業」(資金調達などの際に参考とする企業価値の評価金額が10億ドル[約1040億円]を上回るスタートアップ)と呼ぶ大型スタートアップ企業が世界で500社まで増えたことが明らかになった旨。既存産業とITの融合や人工知能(AI)の発達を背景に、約2年間で倍増した旨。
500社を国・地域別にみると、米国が242社で最も多く、119社の中国、24社の英国とインドが続き、米中で7割を占めた旨。日本はAI開発のプリファード・ネットワークス(東京・千代田)などの4社が入り、順位は11位だった旨。


≪グローバル雑学王−647≫

ますます激動の昨今、この10年を振り返ってもまさに「現代史」というあらわし方がぴったりする感じ方があるが、シリコンバレーでの2010年代史を、

『シリコンバレーの金儲け』
 (海部 美知:講談社+α新書 831-1 C) …2020年7月20日 第1刷発行

より2回にわたって辿っていく。リーマンショック後のこの10年代、前半は景気の回復に伴って新しいベンチャーがどんどん出現する「百花繚乱期」、後半が巨額の資金が集まる「メガディール期」とあらわされている。今回は主として前半の流れ、動きであり、リーマンショックの後の「ケチケチ生活ブーム」に乗った配車サービスのUber、民泊のAirbnbなどの取り組みである。「シェアリング・エコノミー」のケチケチ生活は短期間で消えて、こんどは「オンデマンド」サービス登場と、前半の中でも転回があらわれている。パソコン、スマホを用いた「位置・地図情報」「写真」「相互評価」「コミュニケーション」「料金決済」などに向けたものばかり、2000年代半ばから現在に至る「social」「mobile」「cloud」の時代、すなわち第5.5世代のビジネスを慌ただしく振り返る感じ方ではある。


第2部 シリコンバレー型金儲けの仕組み

第6章 シリコンバレー2010年代史 …前半…

◆2010年代クラスの「卒業式」
・ここ10年ほどのシリコンバレーとテック業界の「現代史」を細かく振り返ってみる
 →いろいろな意味で、この10年を代表するUber Technologies
  →創業したのは2009年、その前年にリーマンショックが発生

◆ベンチャー資金の動きの変化
・2009年から2019年まで、アメリカのベンチャー企業に投資された金額、件数
 →2008年9月にリーマンショック発生、翌2009年には、ベンチャーへの投資金額が落ち込み
 →2015年、投資金額と件数がいったんピークに
 →金額的には、2018年は急激な増加、2019年もほぼ横這い
 →件数は2015年のピークから2016年に大きく減少、少しずつ持ち直し2019年にピークを更新
・リーマンショック後から2015年までは、景気の回復に伴って新しいベンチャーがどんどん出現する「百花繚乱期」
 →2016年から2019年までは、巨額の資金が集まる「メガディール期」
・2019年の卒業クラスの大きなまとめ
 →「スマホ、クラウド、データのコンボが、リアル世界に広がった」

◆2009年の「ケチケチ生活ブーム」
・リーマンショックが発生した2008年9月、最初のAndroid端末が発売、そして同年11月には米国大統領選挙
 →この前後の数年間、世の中の流れとして特に注目されたのが「エコ」
  →ベンチャーとしてはあまり大きな成功が出ないまま、数年でブームは終息
 →この時代の嵐は、思わぬ形で別のベンチャー群を生み出した
  →「ケチケチ生活」の志向
・「シェアリング・エコノミー」と呼ばれる一群のベンチャー企業が立ち上がった
 →一番典型的な例が、民泊ブームのパイオニア、Airbnb(エアビーアンドピー)
  →2008年創業
  →自宅の空き部屋を人に貸すことで少しでもお金を稼ぎたい、少しでも安くバケーションを楽しみたい、という双方のニーズが合致
  →地図の上にわかりやすく空き室が表示されるインタフェース(ユーザへの見せ方・使い方)
 →同じく2008年、もう1つ不動産系のベンチャー、「Green Desk」
  →会費制でデスクスペースを貸して仕事ができるようにした、コワーキングスペースの走り
  →2010年に操業するWeWork(現社名はThe We Company)の前身
・2009年創業のUberは、当初は「黒塗りハイヤーをスマホで配車する」というサービス
 →リーマンショックより前の2007年、「Zimride」という小さな会社がサンフランシスコで立ち上がり、2012年、スマホで即時に乗り合いをマッチングする「Lyft」を開始、会社名もLyftに
 →UberもLyftも、Airbnbと同様に、地図情報・相互評価・料金決済・配車システムなどが技術的に重要な要素
・ありがたいor感心させられるサービス
 →経路がリアルタイムで地図上に表示
 →領収書はこの経路地図を添付したものがメールで送られる
 →運転手とユーザがお互いに評価をつける「相互評価」のシステム
 →金曜の夜などの需要が大きい時間帯には料金が高くなる変動料金制、「surge料金」
・2009年、(著者愛用の)「Rent the Runway」が創業
 →ドレスや衣服のレンタル・サービス
・長期的に成功したのは、「位置・地図情報」「写真」「相互評価」「コミュニケーション」「料金決済」などの要素を持ち、スマホを中心として使うという技術的要素をうまく活かしたものばかり
 →その多くが、User Interface(UI)とbackend(裏方)部分に大幅に「第5.5世代」型の仕組みを組み込んだもの

◆2012年のギグエコノミーとモノのサービス化
・「シェアリング・エコノミー」のケチケチ生活スタートアップたち
 →一部を除いて、短期間で消滅するものが相次いだ
・次の変化点は2012年頃のこと
 →前述のような技術の核をベースに新しいタイプの「オンデマンド」サービスが多数登場
・Lyftが2012年夏、本格的にオンデマンド・ライドシェア・サービスを開始
 →Uberもほぼ同時期、一般人が自分の車でお客を乗せるタイプの安価なライドシェア・サービス、「Uber-X」を投入
 →いずれも「スマホでリクエストすると即時に配車される」という「オンデマンド」が主眼
 →働く人は登録だけしておき、不定期・単発で呼び出され、サービスを提供するときだけ料金が発生
  …「フリーランス」「ギグワーク」と呼ばれる働き方
  …ジャズの単発セッションを「ギグ(Gig)」と呼んでいたのが語源
  …ギグワーク:「アルバイト」よりもさらに流動的な、不定期・単発の働き方
・新しい働き方に地図情報などの技術要素を取り込んだサービスがたくさん生まれた
 →2012年、スーパーでのお買い物代行「Instacart」、ミールキット配達「Blue Apron」
 →2013年、テイクアウト食事の配達「DoorDash」
 →いずれも、従来は不可能だった複雑な仕事の割り振りを、ソフトウェアの力で即時にできるようにしたもの
・もう1つの動きとして、安価な業務用クラウドサービスもこの頃から人気が急上昇
 →「フリーミアム、すなわち無料で使い始め、利用量が多くなったり高い機能が必要になったりしたら月額料金をもらう」
 →有料といっても、月額数10ドル(数千円)からのものが普通
 →代表例:
  2008年創業、オンライン・ファイル共有の「Dropbox」
  2011年のビデオ会議「Zoom Video Communications」
  2013年の業務用グループチャット「Slack Technologies」
 →いずれもなんらかの形で「他の人とコミュニケーションするためのツール」
  →1人のユーザが使い始めると連絡する相手にも使ってもらうことになり、広がっていきやすい傾向も
・「オンデマンド・サービス」「クラウドサービス」は、「モノのサービス化」
 →業務に必要なのはパソコンとスマホだけ
 →文房具もフロッピーディスクもビデオ会議システムも不要
 →コワーキングスペースで十分

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