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アップルの自社設計開発半導体搭載パソコン「Mac」発表の波紋

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新型コロナウイルスによる累計感染者数は金曜13日正午過ぎ時点、世界全体で5255万人を超え、1週間前から約400万人あまり増加と勢いを増す一途である。日本や米国では新規感染の右肩上がりが続いている。米国大統領選挙はジョー・バイデン氏が当選を確実にし、米中、半導体の切り口で今後の見方が取り沙汰され始めている。アップルが3回目の新製品発表、こんどは注目&待望の自社開発プロセッサ「M1」搭載のMacintoshコンピュータ、「Mac」である。PowerPCからインテルに移行したのが2005年、それから15年経っての自前プロセッサへの移行を巡ってさまざまな視点の論評が見えてきている。
GAFAの自前custom設計に向かう流れがAmazonでも見えている現時点である。

≪自前設計に向かう流れに注目≫

"mindblowing(幻覚を起こさせる, びっくりするような)"という形容も見られる今回のアップルの「Mac」発表であるが、遡って半導体・エレクトロニクス業界の「今日は何の日」の記事から、6月6日について次の通りである。

○Apple announces Mac move to Intel chips, June 6, 2005…設計戦略の大きな変更、AppleのCEO、Steve Jobsが、2005年のこの日、AppleのWorld Wide Developer's Conference(WWDC)(San Francisco)での基調講演で、Intelプロセッサを用いたMacintosh computersを出していく計画を発表、移行は2006年からスタート、2007年末までにすべてのMacintosh製品をIntelベースにするとした。Jobs CEOは「われわれの目標は、世界最高のパーソナルコンピュータを顧客に提供するというもので、将来を展望すると、Intelが最強のプロセッサロードマップを持っていることが分かった。PowerPCへの移行から10年が経過した。Intelの技術の助けを得て、次の10年間、最高のパーソナルコンピュータを作っていくことができると考えている」と述べた。これに対し、インテルの社長兼CEO、ポール・オッテリーニ(Paul S. Otellini)は、「世界で最も革新的なパーソナルコンピュータメーカを顧客に持つことを非常に嬉しく思う。アップルはPC業界の立ち上げに非常に重要な役割を果たし、その後何年にもわたってフレッシュなアイディアとあたらしいアプローチで知られてきた。先端のチップテクノロジの提供を通じて、アップルが今後何年にもわたって革新的な製品を提供し続けられるように、新しい事業で協力してゆくことを楽しみにしている。」と述べている。JobsはIntelプロセッサを用いる最初のMacsはWWDC基調講演から1年で出てくると述べていたが、Appleは6ヶ月前倒しして、2006年1月のMacWorld Expoにて最新iMacは新しいIntel Core Duoプロセッサで動くと発表している。

15年前のPowerPCからインテル半導体への切り換えの当時の雰囲気、興奮が伝わる感じ方がある。今回もアップルの発表を直前に控えて、パソコン半導体の競合模様が掻き立てられるとの見方があらわされている。

◇Apple's new Macs could revive the PC chip wars, analysts say-Analysts: PC chip wars rev up with Apple's new Macs (11月9日付け Reuters)
→Appleが設計したcustom Arm-ベース半導体支給の新しいMacs到来で、laptopsおよびdesktop PCs市場でのIntelおよびAdvanced Micro Devices(AMD)との競合が蘇る、とアナリストの予想。「AppleのArmへの突入が早めていく。」と、Moor Insights & StrategyのPatrick Moorhead氏。

そして、アップルのこの秋3回目の新製品発表が行われ、以下の通り新しい「Mac」が取り上げられている。

◇Apple launches MacBook laptops powered by its own computing chips (11月10日付け Reuters)

新し尽くめの次世代Macsとあらわされている。

◇New Macs, new chips, new OS- Here's what Apple could be showing off today, and how to watch it all. (11月10日付け SILICON VALLEY BUSINESS JOURNAL)
→Appleの3回目の製品陳列は、Apple-愛好者が6月以降待ち望んでいたものを披露、同社自前のプロセッサを用いる次世代Macsの旨。

◇Apple introduces new Macs with the first Apple chips (11月10日付け SILICON VALLEY BUSINESS JOURNAL)
→Appleが火曜10日、Macコンピュータの新シリーズを披露、初めて作り出したプロセッサを用いている旨。

自前設計プロセッサがなにより強調されており、少し詳細含め以下続いていく。

◇Apple launches three "mind-blowing" Macs with its M1 chip and Big Sur OS (11月10日付け FierceElectronics)
→Appleが火曜10日、macOS Big SurとともにMacBook Air, MacBook Pro 13”およびMac miniで動作する新しいSystem on Chip M1を披露、universalアプリおよびMacでiPhoneおよびiPadアプリを直接走らせる能力を特徴とする旨。
・M1半導体搭載の3種のMacsはすべて、11月17日入手可能
・M1は、5-nanometerプロセス技術でつくられた最初のPC半導体。1つのSoCに効率を高めてプロセッサ、I/O, セキュリティおよびメモリ半導体を組み合わせ。
・M1は、Appleでの単一半導体では史上最多、16 billion個のトランジスタ。Unified Memory Architecture採用。
・M1には、machine learning性能15倍高速化に向けて16 coresのAppleのNeural Engineが入っている
・iPhoneおよびiPadについてすでに行われている通り、TSMCが該新M1半導体を製造
・他のMacsについてのM1への移行は、完了に約2年かかる、とAppleが特に言及
・Intelは2005年以降Mac向け半導体をつくっている

◇Apple、独自半導体のMac3機種、miniは100ドル値下げ (11月11日付け 日経 電子版 05:16)
→米アップルは10日、自社で設計開発した半導体を初めて搭載したパソコン「Mac」3機種を発表、デスクトップ型の「mini」は従来機種より100ドル(約1万500円)値下げし、699ドルからとした旨。新型コロナウイルスで広がった在宅勤務や遠隔学習のパソコン需要を取り込む旨。
Mac向けの新たな半導体「M1」は英アーム・ホールディングスが提供する半導体設計支援ツールを使い、アップルが自社で設計開発した旨。CPUや画像処理の能力を高めつつ、消費電力を抑えた旨。動画再生なら最大20時間のバッテリー駆動が可能で、外出先でビデオ会議を長時間できる旨。

インテルとの協業を締める運びについてである。

◇Apple、Intelとの協業に幕、新型Macに独自半導体 (11月11日付け 日経 電子版 11:34)
→米アップルは10日、自社設計した半導体を初搭載したパソコン「Mac」3機種を発表、今後2年かけて全機種の半導体を米インテル製から自社設計品に切り替える旨。人工知能(AI)を使った画像・音声認識サービスの普及や、半導体業界で進む水平分業の動きが、約15年続いた両社の協業に終止符を打った旨。

自社設計に切り替える狙いがあらわされている。

◇アップル、インテル協業に幕、新型「マック」に自社半導体、価格戦略に自由度、使えるアプリ拡大 (11月12日付け 日経)
→米アップルは10日、自社設計した半導体を初搭載したパソコン「Mac」3機種を発表、米インテル製のCPUを採用してきたが、今後2年かけて全機種の半導体を自社設計品に切り替える旨。人工知能(AI)を使った画像・音声認識サービスの普及や、半導体業界で進む水平分業の動きが、約15年続いた両社の協業に終止符を打った旨。
「大きな前進は大胆な変更を行うことでしか達成できない」。アップルが10日にオンラインで開いた、今年最後の新製品発表会。ティム・クック最高経営責任者(CEO)は自社で設計したMac用半導体「M1」に全面移行する意気込みをこう表現した旨。
主力製品で最後まで外部調達を続けてきたMacの 半導体でも、インテル製からアームを使った自社設計品に切り替える狙いは主に2つ:
 1つ目は、価格設定の自由度
 2つ目は、スマホやタブレットとの連携強化

「M1」についての評論が見られ始めている。

◇Appleの自社チップ搭載Mac、気になる性能と互換性 -ITジャーナリスト 石川 温 (11月13日付け 日経 電子版 02:00)
→アップルは、自社で設計した「M1」というチップを搭載した3機種のパソコンを発表した。いずれも11月17日に発売する。このチップはこれまでのパソコンの選び方に変化をもたらすだろう。
今回発表したのはノートパソコンの「MacBook Air」「MacBook Pro」とコンパクトなデスクトップパソコンの「Mac mini」だ。MacBook Airは、従来よりも3.5倍速いCPU、5倍速いGPU(画像処理半導体)を搭載し、機械学習の処理は9倍速いという触れ込みだ。3機種とも、インテルのCPUを搭載する従来製品よりも高速だとしている。
面白いのが、いずれの製品も全く同じスペックのM1チップを採用している点だ。・・・・・

インテルが取り組むchipletsとの比較論議である。

◇Apple M1 Processor, Passing on the Chiplets (11月13日付け EE Times)
→今週のAppleのM1プロセッサ発表に照らして、Appleがなぜchipletsを通り過ぎたか、chipletsはどこで理に適うか、考えたい旨。

GAFAの一角、Amazonでも、Nvidia依存から離れて自前設計に向かう流れが見えてきている。

◇Amazon shifts some voice assistant, face recognition computing to its own chips-Amazon's custom chips take over computing tasks (11月13日付け Reuters)
→Amazonが、Alexa voice assistantおよび顔認識応用に向けたcomputing workloadsをさらに同社custom Inferentia半導体に移しており、Nvidiaプロセッサへの依存が減ってきている旨。最新MacモデルにおけるM1プロセッサのように、ハイテク業界の流れがよりcustom半導体設計に向かっている旨。


コロナ禍のもと、いっそう収まらない状況推移に対して当面の警戒感を伴った舵取りが各国それぞれに引き続き行われている世界の概況について、以下日々の動きからの抽出であり、発信日で示している。

□11月8日(日)

米国大統領選挙での当選を確実にしたバイデン氏の政権移行に向けた方針、方向づけが、順次本格化していく。

◇バイデン氏当確、2021年1月、パリ協定復帰へ (日経 電子版 23:00)
→米大統領選で民主党候補のバイデン前副大統領が当選を確実にしたことで、米国のエネルギー・環境政策は一変する旨。太陽光や風力発電の促進で2050年までに温暖化ガスの排出ゼロをめざし、現政権が離脱した温暖化防止の国際枠組み「パリ協定」に2021年1月にも復帰する旨。国際社会の脱炭素の流れが加速し、企業も対応を迫られるだけでなく、バイデン氏の国際協調路線の象徴となる旨。

□11月9日(月)

◇バイデン氏、最優先は4分野、コロナ・経済・人種・気候 (日経 電子版 08:08)
→米大統領選で勝利宣言したバイデン前副大統領は8日、政権移行に向けて設けたウェブサイトで、来年1月20日の就任初日から取り組む最優先の政策を発表、新型コロナウイルス対策、経済再生、人種、気候変動を4つの重点課題と位置づけ、選挙戦で訴えてきた課題への対処方針と具体策を示した旨。

□11月10日(火)

米国株式市場は、ワクチン、感染拡大に揺さぶられて上がり下がりする推移の展開である。

◇NYダウ一時1610ドル高、ワクチン開発に期待 (日経 電子版 05:36)
→9日のニューヨーク株式市場でダウ工業株30種平均が急上昇している旨。
一時は先週末より1610ドル高い2万9933ドルまで上昇、米東部時間午後3時30分時点では1200ドルほど高い2万9520ドルと、2月に付けた史上最高値(2万9551ドル)近辺で推移している旨。
米ファイザーが発表した新型コロナウイルスのワクチンの治験結果を受け、感染収束への期待が高まった旨。

◇米、国際協調へ転換、バイデン氏が政権移行加速−パリ協定・WHO復帰へ準備 (日経 電子版 05:43)
→米大統領選で当選を確実にした民主党のジョー・バイデン前副大統領は8日、政権移行に向けた準備を加速した旨。脱炭素社会をめざし、現政権が離脱した温暖化対策の国際枠組み「パリ協定」に復帰する旨。同盟国軽視が目立ったトランプ政権の外交路線を改め、国際協調を重視する方針に大転換する旨。

□11月11日(水)

◇NYダウ続伸、200ドル超高、景気敏感株に買い (日経 電子版 05:14)
→10日の米株式市場でダウ工業株30種平均は続伸、15時現在は前日比233ドル89セント高の2万9391ドル86セントで推移している旨。新型コロナウイルスのワクチンの普及期待を背景とした景気敏感株への買いが続いた旨。
半面、ハイテク株からは資金が流出し、ナスダック総合株価指数は続落している旨。

□11月12日(木)

来るバイデン政権を待ち構える半導体関連があらわされている。

◇Semiconductor Challenges Await President-Elect Biden-President-elect Biden to tackle semi industry needs (Design News)
→次期Biden政権は、artificial intelligence(AI), 半導体技術などの領域でのグローバルな席巻に向けた中国の計画に対峙しなければならない旨。
来る政権は、AIおよび量子computingに向けた連邦出資を増やしていく見込みの一方、Common Hardware for Interfaces, Processors and Systems Actを支持する旨。

◇NYダウ反落、過熱警戒の売りで (日経 電子版 05:20)
→11日の米株式市場でダウ工業株30種平均は3日ぶりに反落し、15時現在(日本時間12日午前5時)は前日比75ドル72セント安の2万9345ドル20セントで推移している旨。ダウ平均は今月に入り前日までに2900ドル強上昇しており、短期的な過熱感を警戒した売りに押された旨。一方、週初から下げが目立っていたハイテク株には見直し買いが入り、相場を支えている旨。

□11月13日(金)

米欧、そして我が国もそれぞれに感染拡大が高まる現時点である。

◇世界の新規感染、最多66万人突破、米は2日連続14万人超 (日経 電子版 06:35)
→世界で新型コロナウイルスの1日あたりの新規感染者数が11日、66万人を突破し過去最多となった旨。米欧で感染拡大に歯止めがかからず、死者数も急増している旨。米国では入院患者数が過去最多となり、病床確保など医療提供体制も課題となっている旨。イタリアは医療体制が不十分な南部の病院支援を急ぐ旨。

◇NYダウ続落、317ドル安、コロナ感染拡大で景気懸念 (日経 電子版 06:42)
→12日の米株式市場でダウ工業株30種平均は続落、前日比317ドル46セント(1.1%)安の2万9080ドル17セントで終えた旨。米国で新型コロナウイルスの新規感染者の増加基調が続き、短期的に景気の足を引っ張るとの警戒が強まった旨。景気敏感株中心に売られた旨。

□11月14日(土)

◇NYダウ反発、400ドル高で推移、ワクチン早期普及に期待 日経 電子版 05:40)
→13日の米ダウ工業株30種平均は3日ぶりに反発し、15時現在は前日比401ドル64セント高の2万9481ドル81セントで推移している旨。前日は新型コロナウイルスの感染拡大を懸念した売りが広がり、300ドル強下落した旨。
売りがひとまず一巡し、ワクチンの普及が追い風になる景気敏感株を中心に買いが優勢になっている旨。


≪市場実態PickUp≫

【Micron関連】

インテルとのメモリ連携を離れたMicronが、3D NANDフラッシュメモリの層数を176に高める世界初の取り組みである。とともに、volume出荷開始ということで、該業界での先行に一石が投じられている。

◇Micron Announces 176-layer 3D NAND (11月9日付け AnandTech)
→Flash Memory Summitにちょうど合わせて、Micronが記録破り、176層の3D NANDフラッシュメモリ、同社第5世代を発表の旨。該新176Lフラッシュは、MicronのIntelとのメモリコラボの解散以降開発された第2世代であり、Micronはfloating-gateメモリセル設計からcharge-trapセルに切り替えている旨。Micronの前世代の3D NANDは128層設計であったが市場での存在感が薄く、新しい176Lフラッシュが96L 3D NAND後継にもなっていく旨。

◇Micron ships 176-layer 3D NAND flash memory-Micron debuts 3D NAND flash memory with 176 layers (11月10日付け DIGITIMES)
→Micron Technologyが、176層3D NANDフラッシュメモリデバイスのvolume出荷を開始、該メモリは、データセンター、モバイル機器およびintelligent edgeにおけるデータストレージ向けの旨。

◇Micron Ships World's First 176-Layer NAND, Delivering A Breakthrough in Flash Memory Performance and Density (11月11日付け SEMICONDUCTOR DIGEST)

◇Micron Leapfrogs to 176-Layer 3D NAND Flash Memory (11月12日付け EE Times)
→Micron Technologyが、同社最新3D NANDフラッシュメモリに向けてreplacement gate(RG)技術の使用を謳い、初の176-層NANDをvolume出荷している一方、他のプレイヤーは128-層NANDに注力の旨。Micronは、フラッシュメモリの性能と密度でブレイクスルーを得ている旨。

【SMIC関連】

中国・SMICにも、米国の輸出制限の影響があらわれている。

◇China's SMIC facing delays on some U.S.-made supplies-Global Times-Report: SMIC needs supplies of IC gear, parts, materials (11月11日付け Reuters)
→Global Times紙、木曜12日発。Washingtonから輸出制限を課された後、中国のSemiconductor Manufacturing International Corp(SMIC)が米国製の装置、partsおよび材料の入手にいくつか遅れをきたしている旨。

先行きの懸念から、SMICは投資計画の削減を行っている。

◇中国半導体SMIC、投資12%削減、今期、米輸出規制受け 11月12日付け 日経)
→中国の半導体受託生産最大手、中芯国際集成電路製造(SMIC)は、2020年12月期の投資額を従来計画比で12%減の$5.9 billion(約6200億円)に減らす旨。米商務省がSMICの一部の取引先に対して輸出の事前許可を求めた規制を始めたことから、一部の設備の到着が遅れることなどが原因としている旨。

業績については、7-9月四半期から10-12月四半期には売上高が落ちる見通しであり、米国の対中制裁の影響と見られている。

◇SMIC売上高1割減、10〜12月見通し、米の対中制裁響く (11月13日付け 日経)
→中国の半導体受託生産最大手、中芯国際集成電路製造(SMIC)が11日、7〜9月期決算を発表、売上高が前年同期比33%増の$1.082 billion(約1100億円)、純利益が2.2倍の$256 million。決算資料で、10〜12月期の売上高は前四半期比10〜12%減少するとの見通しを示した旨。12日の電話会見で高永崗・最高財務責任者(CFO)は「出荷量の減少だ」などと説明した旨。トランプ米政権の中国通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)に対する制裁の影響とみられる旨。SMICは代替の顧客獲得を急ぐ旨。

【MediaTek関連】

米国のHuawei規制にも拘らず、業績活況を呈している台湾・MediaTekを前回も取り上げたが、Googleのノート型PC、Chromebooksなどに向けて6-nm 5G system-on-a-chip(SoC)はじめ活発な取り組みが以下の通りである。

◇MediaTek debuts chips for budget 5G phones and powerful Chromebooks (11月10日付け VentureBeat)

◇MediaTek targets mass-market 5G with latest chip (11月10日付け Mobile World Live (U.K.))
→MediaTekが、mass-marketに向けた新しいDimensity 700チップセットで5G silicon選択肢をもう一度拡大、引き続き該ネットワーク技術をより広範囲のhandsetsで使えるよう推進していく旨。

◇MediaTek looks to ship 45m SoCs-MediaTek readies Arm-based 6nm chip for 5G uses (11月11日付け The Taipei Times (Taiwan))
→MediaTek(聯發科)が、Chromebooks(Googleが開発した「Chrome OS」を搭載するノート型PC)およびbudgetスマートフォン向けに6-nanometerプロセスでつくられる5G system-on-a-chip(SoC)デバイスを開発しており、該SoCは、ArmのCortex-A78 coreを軸に構築の旨。
同社は今年、5G system-on-a-chip(SoC), Dimensityシリーズの45 million個を上回る出荷を見込んでおり、より広い製品portfoliosをもとに中国を越えたより多くの市場に出していく旨。

【Huawei関連】

米国の制裁の標的、Huaweiについて、低価格ブランド「Honor(栄耀)」を売却する動きの関連2点である。

◇Exclusive: Huawei to sell smartphone unit for $15 billion to Shenzhen government, Digital China, others - sources-Report: Huawei to sell Honor phone unit to consortium (11月10日付け Reuters)
→本件事情通引用、Reuters発。Huawei Technologiesが、budget-brandスマートフォンをつくる同社のHonor unitをある投資家コンソーシアムに$15.2 billionで売却する取引に達している旨。該コンソーシアムは、handset distributor、Digital Chinaおよび深セン市政府が率いている旨。

◇Qualcomm could be close to supplying Snapdragon chipsets to Huawei-Report: Qualcomm may resume shipping chipsets to Huawei -The U.S. might be throwing Huawei a much-needed bone. (11月11日付け Android Central)
→QualcommがHuaweiとのビジネス再開の許可を獲得との報道があるが、この動きにはHonor sub-brandの売却が前もって必要の旨。

Huaweiの総帥、Ren Zhengfei(任正非)氏の半導体についてのコメントが見られている。

◇Huawei CEO claims China is world's No. 1 chip manufacturer thanks to Taiwan-Huawei CEO says China is tops in ICs, thanks to Taiwan -Ren Zhengfei claims Taiwan's prowess in chip production and design as China's own (11月12日付け Taiwan News)
→Huawei Technologiesのfounder and CEO、Ren Zhengfei(任正非)が、台湾を半導体のトップ生産者と賛美、中国におけるHuaweiなど半導体設計会社に役立つ旨。同氏は、中国に半導体設計人材を養成、より多くの半導体製造装置を生産、そしてウェーハ製造に必要な化学材料を製造するよう強く奨励の旨。

【TSMC関連】

TSMCの10月売上げは最高を記録した9月から落としているものの依然力強い水準を維持している。

◇TSMC October sales stay strong-TSMC posts Oct. revenue of more than $3.5B (11月10日付け DIGITIMES)
→専業ファウンドリー、TSMCの月次売上げが、2020年10月で5ヶ月連続NT$100 billion($3.5 billion)超え。10月の連結売上げがNT$119.3 billion、前月、9月に記録した最高、NT$127.58 billionからは6.5%減。2020年1-10月の販売高累計が約NT$1.1 trillion、前年同期比27.7%増。

米国アリゾナ州での新工場の運営に向けて、TSMCは新会社設立の発表を行っている。前提となる米国の支援はじめ不透明さを孕んだ現時点ではある。

◇Chipmaker TSMC to set up Arizona subsidiary with $3.5 billion capital-TSMC capitalizes Ariz. subsidiary with $3.5B (11月10日付け Reuters)
→世界最大のcontract半導体メーカー、TSMCが火曜10日、同社役員会がArizonaに払込資本金$3.5 billionで完全子会社を設立する投資を承認の旨。

◇TSMC、米新工場の運営会社 (11月11日付け 日経)
→半導体大手の台湾積体電路製造(TSMC)は10日、米アリゾナ州に新工場を運営する新会社を設立すると発表、資本金は35億ドル(約3700億円)。5月に海外初の最先端の半導体工場を同州に建設すると発表したが、詳細が示されず、計画に不透明感も出ていた旨。
新会社設立の発表で、状況が進展したとみることもできる旨。一方、発表内容は新会社の資本金のみで、設立時期など詳細は明らかにしなかった旨。


≪グローバル雑学王−645≫

1980年代半ばからの半導体世界一から、今なお言われる失われた数十年の我が国というあらわし方があるが、

『シリコンバレーの金儲け』
 (海部 美知:講談社+α新書 831-1 C) …2020年7月20日 第1刷発行

より、技術の進歩が富を生み出すシリコンバレーでのビジネスモデルの推移に当てはめてそのおおもと、原因らしきを辿ってみる。以下に示す第4世代までをこれまであらわしてきているが、第5世代が追加されている。

 第1世代:古代からの伝統的な農業をベースとしたビジネスモデル
 第2世代:アジアで安く香料や絹を仕入れ、欧州へ運んで高く売る「裁定取引」
 第2.5世代:豊富な銀が掘り出し、欧州に持ち込んで大儲け、スペインの最盛期
 第3世代:植民地で開発した商品・作物を他に持っていって売り、さらに完成品を宗主国から輸出して売りつける
そして、
 第4世代:内需を中心とし、製造業による富をベースとしたビジネスモデル
 第5世代:「デジタル」により富が生み出されるフェーズ
 第5.0世代:初期のシンプルなデジタル化
 第5.5世代:2000年代半ばから現在に至る「social」「mobile」「cloud」の時代

半導体世界一はじめデジタル化初期、第5.0世代での日本エレクトロニクス産業の繁栄は、「第4世代的なモノづくり」の最後の輝きとあらわされている。現在、スマホは「物理的なモノを介さない、本格的なソフトウェア中心の世界への移行」であり、ちょっと見にはそれほど大きな転換には見えないので、「第6世代」ではなく「5.5」とあらわされている。このフェーズで、日本のエレクトロニクス業界は力を失ってしまったとしている。物販を介さない、全くのサービスのみでお金を儲けるモデルを確立するフェーズでのことである。「第4世代(製造業)」と第5.5世代(ソフトウェア)」が、それぞれの形で「金型効果」を活用した金儲けの方式ということで、「アルゴリズムは現代の金型」との表現に至っている。このビジネスモデルの世代変化に乗り切れなかった理由を問い詰める必要性である。


第2部 シリコンバレー型金儲けの仕組み

第4章 技術の進歩が富を生み出す

◆技術の革新がキーとなる
・第1部で見てきたこと
 →「投資ベースの金儲け」の文化が、アメリカという国とシリコンバレーという土地に長い時間かかって根付いている
  →次々とベンチャーが興ってくるというこの地域特有の現象
  →シリコンバレーで生まれる技術が長期的になんらかの「富」を生み出すからこそ
・「第4世代以降」の富の源泉
 →「技術の革新」がキーとなり、帝国主義的な「収奪」をする必要がないやり方
 →「技術の進歩で供給コストが大幅に下がる」
・自動車、T型フォードの例
 →「プロダクトの価格との間に大きな利潤が発生してざくざく儲かる」ように

◆第4世代における製造業の富の源泉
・20世紀は、基本的には「製造業の時代」であった
 →大量生産体制における「製造機械」と「金型」
  →「同じモノを大量に作って売る」
 →「効率的な営業・販売の仕組み」も製造業では重要
 →製造業での販売増大は、売上げ拡大とコスト低減という、ダブル効果
 →大規模な組織を運用するために間接部門も作り出し、さらにサプライヤや販売網などの裾野産業も拡大
・多数の人たちが「消費者」という大きなパワーになり、経済の主役となったのも、20世紀の特徴

◆デジタル化とムーアの法則が生み出す富と「第5.0世代」
・ある程度までいくと、「収穫逓減の法則」に突入
 →それ以上コストを下げようとすれば、「身を削る」事態に
 →アメリカは、1980年代の日本との貿易摩擦の時代にこの事態に直面
・1985年、マイクロソフトのWindows1.0が発売
 →1990年代、マイクロソフト・オフィス(Word、Excel、PowerPoint)と電子メールが普及
 →半導体の開発が進んでどんどん半導体の集積度が上がる「Mooreの法則」
  …「集積回路上のトランジスタの数は2年ごとにほぼ倍になる」
 →この法則通りに右上がりのグラフになるのが、1976年から2007年にかけての時期
  →Appleの創業から始まりiPhoneの登場の年までとも重なる
・デジタル化・Mooreの法則・光ファイバーなどの技術要因により各種デジタル製品やその利用のためのコストが劇的に低下
 →従来よりも少し安いぐらいの価格で販売すれば、そこに大きな利潤が発生
・「デジタル」により富が生み出されるフェーズ、「第5世代」
 →初期のシンプルなデジタル化を「第5.0世代」と呼ぶことに
  →この時代、日本のエレクトロニクス産業は、大いにデジタル化の恩恵を受けて躍進
  →1990年代のインターネット登場後も、しばらくはまだまだ「第5.0世代」的な商売が続いた
・この時代に一番地歩を確立したのは、「ゴールドラッシュ的」ベンチャーを相手に、「リーバイスのジーンズ」=サーバや回線などを提供する、シスコシステムズなどのインフラ・ベンダーたち
 →アマゾンは、AWS(Amazon Web Service)という「リーバイス型」へと拡大
・デジタル化というのは「1回きり」の現象
 →いったんアナログからデジタルに切り替わると、効果はそこで終わり

◆ソフトウェアが世界を食べる「第5.5世代」
・2000年代半ば、「social」「mobile」「cloud」の時代へ
 →現在に至る「第5.5世代」への突入
・このフェーズで、日本のエレクトロニクス業界は力を失ってしまった
 →1993年、日本はアメリカより数年早く携帯電話システムのデジタル化(2G)を開始、
  1996年、着メロ
  1999年、iモードとカメラ内蔵携帯を提供
  →デジタル携帯で世界の最先端を走っていた
 →アメリカではようやく2000年代半ばの3G導入で標準化の混乱が収拾
  →そのタイミングでスマートフォンが普及し、欧州へも広がった
  →しかし日本では、非スマートフォン(フィーチャーフォンとも)から脱することができず、スマートフォンへの流れに乗り遅れ
   →非スマホを俗にガラパゴス携帯=ガラケーと呼ぶように
 →デジタル化初期の日本エレクトロニクス産業の繁栄は、「第4世代的なモノづくり」の最後の輝き
・現在、スマホは「物理的なモノを介さない、本格的なソフトウェア中心の世界への移行」
 →ちょっと見にはそれほど大きな転換には見えないので、「第6世代」ではなく「5.5」としている
 →こうした転換が始まったのは、2004年Google上場の頃
  →同社は第5.5世代の象徴的な存在
 →それまでの「壊れないように、堅牢に高コストをかけて機械を作る」という考え方が根本から変わった
・Googleは、供給過剰になったデータを材料として使い、サーチ広告をネット上で販売する仕組みを整えた
 →物販を介さない、全くのサービスのみでお金を儲けるモデルを確立
 →Facebookも、social media上で広告を販売する、類似のビジネスモデル
・Netflixはこの時期に、従来の映画DVDレンタルを大幅に縮小、オンラインによる動画コンテンツの配信へと転身、さらに自前のコンテンツ制作へ
 →物理的なモノを介さない、ソフトウェアonlyの商売で儲けが出るようになった
・「ソフトウェアが世界を食べている(Software is eating the world)」
 …シリコンバレーの有名人、Marc Lowell Andreessen(ソフトウェア開発者、投資家)

◆アルゴリズムは現代の金型
・2006年、Hadoopなど「ビッグデータ技術」のオープンソース・ソフトウェアが登場
 ※Hadoop…「巨大データの取り扱いを目的とした分散処理のフレームワーク」
 ※オープンソース・ソフトウェア…「誰でも開発に参加でき、誰でも無料で使えるソフトウェア」
 →マイクロソフト・オフィスのように「ソフトウェアそのものをディスクに入れて販売」という第5.0世代方式の商売は成り立たなくなってしまった
・ソフトウェアは、サービスを作り出す「工場」の立場
 →無料のオープンソースでもよい
・アマゾンの場合、ネットサービスのインフラを有料で提供するAWSで支配的な地位を築いた
 →現在、アマゾンの儲けは、表向きの「物販」ではなく、この裏方商売からあげている
・マイクロソフトも、Microsoft Office365をオンライン提供、クラウド・インフラのMicrosoft Azureを企業向けを中心に有料提供する体制にシフト
・「リーバイ・ストラウス原則」はいまでも生きている
・ソフトウェアは「アルゴリズム」の塊
 ※アルゴリズム…ものごとの「やり方、手順」を、繰り返し同じやり方ができるように記述したもの
 →「すごく効率のよいやり方(すばらしいレシピ)」がアルゴリズムの形で固定化され、誰でもそのやり方を使えるようになる
 →ソフトウェアでは原材料はほとんどなく、変動費は電気代や販売コストなどだけで済む
・「アルゴリズムは現代の金型」
 →「第4世代(製造業)」と第5.5世代(ソフトウェア)」が、それぞれの形で「金型効果」を活用した金儲けの方式
・Googleの検索結果はデータが大量・多様に集まるほど正確に
 →Facebookでつながれる相手の数が増えれば利便性がますます増大
 →「参入障壁」ができる
 →盤石な基盤を持つこととなり、安定する
・ネットビジネスでお金を受け取るやり方の変遷
 →「物販」⇒「広告」⇒「サブスクリプション」
・「第5.5世代」という最新の金儲け方式
 →物理的なモノを介さずに、お客さんからお金を受け取る仕組みを使い、「アルゴリズムという金型」を使って富を生み出すというやり方

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