SiTime、0.46mm角のMEMS振動子をCSP、ベアダイで製品化
電源と同様、デジタル回路では水晶振動子のような安定な振動子は欠かせない。しかし、MEMS振動子が水晶振動子を超えただけではなく(参考資料1)、超小型のMEMS振動子Titanを開発したSiTimeは、新市場を手に入れつつある。従来の水晶振動子で最も小さい製品の1/4しかないTitanは、SiPパッケージ内にも導入できるレベルにやってきた。
図1 MEMS振動子から発振器、クロックICへとビジネスを拡大するSiTime 出典:SiTime
MEMSのメンブレンに圧電薄膜を形成すると水晶と同様の振動子ができるため、例えば32MHzの正弦波で駆動すれば安定した発振器ができる。さらにそれをベースに矩形波の連続パルスを発生すればクロックICとなる。SiTimeはMEMS振動子と発振器、クロックICと、3種類のタイミングデバイスを設計してきた。
MEMSデバイスは微細加工によって小型化が可能なため、MEMS発振器やクロックICなどのMEMSタイミングデバイスが新市場を開拓中だ。タイミングデバイス市場は2027年に、振動子、発振器、クロックICがそれぞれ40億ドル、40億ドル、30億ドルの市場になると予想されている(図1)。全体で110億ドルの市場の内の40億ドルをSiTimeは狙っている。
このほどSiTimeが発表した新製品Titanは、32MHzで動作するMEMS振動子で、その寸法が米粒よりも小さい、わずか0.46mm×0.46mmしかない。WLCSP(Wafer level chip scale package)に封止されている製品と裸のチップ(KGD: Known Good Die)製品がある。シリコンのMEMS振動子をここまで小さくしても満足な性能を提供できるのは、MEMS技術で制御できるからだ。水晶振動子は小さくすると周波数が上がってしまうため、望み通りの周波数で振動させることができないという。
しかも超小型であるため、KGDのままでもビジネスができる。SiTimeが考える実装形態を図2に示す。

図2 CSPでもKGDでも製品がある 出典:SiTime
CSPだと通常のプリント配線基板(PCB)に搭載することは言うまでもないが、それだけではない。SiP(システムインパッケージ)にも実装できる。例えばKGDではワイヤーボンディングで端子を接続できる上にCSPではSoCやMCUに直接実装できる。さらにインターポーザなどの上にハンダバンプで実装することもできる。すなわち、SoCやMCUなどの半導体メーカーにも売れることになる。つまり「MEMS振動子では顧客が従来の電子機器メーカーから半導体メーカーにまで広がる」とSiTimeのマーケティング担当エグゼクティブVPのPiyush Sevalia氏(図3)は述べる。

図3 SiTimeマーケティング担当エグゼクティブVPのPiyush Sevalia氏
CSP製品の電極端子はハンダボールなので、そのまま基板やインターポーザに実装できるだけではなく、図2の下側の写真に示すようにMCUやSoCのハンダボール端子側の隙間にも実装できる。
さらにSiTimeは、タイヤの内側に取り付けてタイヤ圧を常時測定し、タイヤ圧が下限ぎりぎりになるとBluetoothなどの無線通信で運転台に知らせてくれるTPMS(タイヤ空気圧監視システム)では振動子を含むすべてのICチップの小型化が求められるため、SiPとしてBLE(Bluetooth Low Energy)のチップ上に圧力センサや加速度センサと共にTitan振動子をワイヤーボンディングなどで実装した製品を将来のTPMSとしてタイヤメーカー、自動車メーカーに提案できるとしている。
参考資料
1. 「MEMS発振器が水晶を超え、データセンターなど高精度・高信頼性分野へ」、セミコンポータル、(2023/09/29)


