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インテルの取り組みから:TeraFab参加、先端製造供給、新技術&新製品

インテルの取り組み3点に注目の今週である。まずは、電気自動車、宇宙を手がけるElon Musk氏のAI半導体製造プロジェクト、TeraFabへの参加であり、Austin, Texasに製造工場を建設し、インテルのプロセス技術を活用し、2-nmチップ製造も計画されているとのこと。次に、インテルの先端実装技術&製造の供給であり、GoogleおよびAmazonとの契約交渉が進められている。EMIBおよびFoveros技術を拡張して、売上げ拡大を図ろうとしている。
そして、インテルの長年にわたる新技術&新製品の打ち上げの最新版の受け止めである。Nova LakeおよびSerpent Lakeと今後のCPUsの片鱗があらわされるとともに、世界最薄のGaNチップレット技術が打ち上げられている。

≪それぞれ今後の展開に期待≫

インテルのまずはTeraFab参加関連について、業界各紙の取り上げが以下の通りである。

◇Intel Pairs Up With Elon Musk on the Grand “TeraFab” Project, Which Plans to Produce Chips at a Volume Significantly Larger Than Any Other Foundry―Intel joins Musk's TeraFab to advance chip manufacturing (4月7日付け Wccftech)
→インテルは、イーロン・マスク氏が率いる$25 billion規模のテラファブ・プロジェクトに参加し、半導体製造技術の強化を目指す。インテルは、チップ設計と製造における自社の能力を活用する。テスラ、スペースXおよびxAIも参加するこのプロジェクトは、AIとロボット工学向けに年間1テラワットのコンピューティング能力を生産することを目標としている。インテルのプロセス技術とテスラのインフラを活用し、2ナノメートルチップの製造も計画されている。

◇Elon Musk's $25 Billion Terafab Project Gets a Helping Hand From Intel―The US chipmaker signs on to help SpaceX, xAI and Tesla make hardware in Texas. (4月7日付け CNET)
→イーロン・マスク氏がテキサス州で立ち上げたAIチップ製造プロジェクト「テラファブ」に、世界最大級の半導体メーカーが新たなパートナーとして加わった。インテルは火曜7日、マスク氏のスペースX、xAIおよびテスラが出資する$25 billion規模のプロジェクト向けに、チップ製造ハードウェアの設計・製造を支援する契約を締結したと発表した。

◇Intel joins Elon Musk's TeraFab project - 'Intel is proud to join the Terafab project with SpaceX, xAI, and Tesla to help refactor silicon fab technology'―Intel's abilities to design, fabricate, and package chips to help TeraFab to achieve its goals. (4月7日付け Tom's Hardware)
→予想外の展開として、インテルは火曜7日、イーロン・マスク氏のTeraFabプロジェクトに参加したと発表した。発表では、インテルが高度なプロセッサを大量生産、製造、そしてパッケージ化する能力を持っていることが言及されており、これによりテスラ、スペースX、およびxAIが次世代AIやロボットアプリケーションに必要な演算性能を確保できる可能性がある。しかし、以下で展開できるXの投稿で発表された内容からは、インテルがTeraFabに具体的にどのように貢献するのかは明らかにされていない。

◇Moon fab―Is a lunar semiconductor fab feasible? (4月8日付け Electronics Weekly (UK))
→*イーロン・マスク氏が衛星製造拠点を月面に設ける構想を表明した途端、月面ICサプライチェーンにおける有力なパートナー候補が現れた。
 *2月、マスク氏は自身のAI開発会社であるxAIの社員に対し、データセンターを搭載した衛星を組み立てるための月面工場を建設し、電磁カタパルト(electromagnetic catapult)を用いて宇宙へ打ち上げる必要があると伝えた。

◇Intel will help build Elon Musk’s Terafab AI chip factory―The chipmaker will help design and build a semiconductor factory for SpaceX and Tesla. (4月8日付け The Verge)
→イーロン・マスク氏のAIチップ開発プロジェクト「テラファブ」は、インテルがオースティン工場の設計・建設に参画したことで勢いを増している。これによりマスク氏へのプレッシャーは軽減され、テスラ、スペースX、およびxAI向けの大規模なチップ生産が目指される。この提携は、高コストや業界の制約にもかかわらず、急増するAI需要に応えることを目的としている。

◇マスク氏、AI半導体国産へインテル連携 「米国版TSMC」の野望 (4月8日付け 日経 電子版 05:13)
→起業家イーロン・マスク氏の半導体量産計画に米インテルが参画する。AI用最先端半導体を台湾に代わり米国で生産する「米国版TSMC」を狙う。国策に乗る巨大構想に見合う技術と資金を確保できるかは未知数だ。「イーロンは様々な業界を根本から変革してきた実績がある。まさに今の半導体製造に必要だ」と、インテルのリップブー・タンCEOが7日、X(旧ツィーター)にて。

◇Intel Enters Pact With Tesla and SpaceX for Terafab (4月9日付け EE Times)
→1)*「テラファブは、独立した事業というよりは、テスラ、スペースX、およびxAIを主要顧客とするインテルの半導体工場拡張計画である可能性が高い」と、Yoleのアナリスト、Adrien Sanchez氏は述べている。
  *インテルは、テスラ、スペースX、およびAI企業xAIなど、イーロン・マスク氏率いる企業グループと製造パートナーシップを締結した。テラファブと名付けられたこのプロジェクトは、テキサス州オースティンに半導体製造工場を建設することを目的としている。
 2)インテルは、イーロン・マスク氏率いるテスラ、スペースX、xAIと提携し、テキサス州にテラファブを建設する。この新会社は、超高性能AIチップの設計・製造を目指す。インテルの18Aプロセスとパッケージング技術を活用し、TSMCとサムスンの供給制約に挑戦する。

◇Intel to join Musk on Terafab, lifting shares by 4.2% (4月9日付け Taipei Times)
→インテルは、イーロン・マスク氏のテラファブ構想と提携し、チップ製造技術の進歩を目指す。これは、大規模なAIおよびロボットシステムを支えるための技術開発を目的としている。今回の提携は、パートナーシップ、投資、そして業界からの信頼回復を通じてインテルの能力を強化することで、同社の業績回復を後押しするものだ。

◇マスク氏、AI用半導体量産へインテルと連携 米国産を推進 必要投資、最大13兆ドル (4月9日付け 日経)
→起業家イーロン・マスク氏の半導体量産計画に米インテルが参画する。AI用の最先端半導体を台湾に代わり米国で生産する「米国版TSMC」を狙う。
 「イーロンは様々な業界を根本から変革してきた実績がある。まさに今の半導体製造に必要だ」。インテルのリップブー・タンCEOは7日、Xに書き込んだ。AIに使う半導体の設計やチップ製造、後工程のパッケージングでマスク氏の「テラファブ」構想に協力するという。

次に、先端実装技術&製造の供給について、同社ファウンドリー事業戦略関連含めて、以下取り出している。

◇Intel reportedly in talks with Google and Amazon over advanced packaging - major customers could take advantage of EMIB-T later this year―EMIB-T is rolling out this year. (4月6日付け Tom's Hardware)
→インテルは、AIプロセッサ向け高度チップパッケージングの供給に関して、グーグルやアマゾンと交渉を進めており、数十億ドル規模の契約獲得を目指している。同社はEMIBおよびFoveros技術を拡張するとともに、グローバルな生産能力を拡大し、ファウンドリ事業の損失が続く中でも、パッケージングを主要な収益源として位置づけている。

◇The Ridiculously Nerdy Intel Bet That Could Rake in Billions―Reports: Intel's advanced packaging attracts Google, Amazon―Advanced chip packaging is suddenly at the center of the AI boom. Intel is going all in. (4月6日付け Wired)
→報道によると、インテルは次世代技術、EMIB-Tを用いたカスタムAIプロセッサ向け高度チップパッケージングサービスの提供について、グーグルおよびアマゾンと協議中である。これらの契約が実現すれば、ニューメキシコ、マレーシアおよび韓国の施設への最近の投資にもかかわらず大幅な損失を計上しているインテルファウンドリーの売上げを押し上げる可能性がある。

◇From Defect Images to Die Prediction: How Intel Is Scaling AI in Advanced Manufacturing (4月7日付け EE Times)
→1)*インテルのAI戦略は、運用規模、ライフサイクル管理、そして工場全体への展開に重点を置いている。
  *人工知能は長らく半導体製造に組み込まれ、検査ツール、統計的プロセス管理、および歩留まり分析などを静かに支えてきた。変化しているのは、AIの存在そのものではなく、その運用上の役割である。デバイスアーキテクチャが複雑化し、プロセスウィンドウが狭まるにつれ、AIは高度なファブの稼働を支えるコアインフラストラクチャの一部となりつつある。インテルファウンドリーでは、この変化を社内で「孤立した分析から、同社が『大規模な応用インテリジェンス』と呼ぶものへの移行」と表現している。重点は実験的なモデルではなく、製造フロー全体で継続的に稼働する生産システムに置かれている。
 2)AIは半導体製造工場において、単なるサポートツールではなく、中核的なインフラになりつつある。インテルは、大規模なモデルを導入して故障予測、歩留まり向上、エンジニアへのガイダンスを行い、膨大なデータ、専門知識、そして人間の監視を組み合わせることで、製造効率を高めている。

◇Intel Bets Billions on Chip Packaging to Win AI Race (4月7日付け The Tech Buzz)
→1)インテルは、AIインフラにおける切り札として、高度なチップパッケージングに注力する。
 2)インテルは、次世代AIを支える技術として高度なチップパッケージングに賭け、複雑なプロセッサのスケーラブルかつ効率的な組み立てを可能にし、業界における重要なボトルネックを解消することで、NVIDIAなどのライバル企業に先んじる立場を確立しようとしている。

◇[News] Intel Advanced Packaging Reportedly Gains Traction vs. TSMC as Google, Amazon Weigh EMIB Adoption (4月7日付け TrendForce)
→インテルの先進パッケージング部門は、GoogleとAmazonがASICパッケージングに関する契約を検討し、EMIBを採用する可能性を探る中で、勢いを増している。強い需要、TSMCの生産能力の限界、そしてグローバル展開計画を背景に、インテルは2026年末までに大規模な契約締結と高収益の成長を目指している。

◇Intel is in talks with Google and Amazon to power AI chips with new ackaging tech―The company is betting advanced packaging, not process nodes, will drive its foundry comeback (4月8日付け TechSpot)
→インテルは、高度なチップパッケージング技術が自社の復活を牽引すると見込んでおり、TSMCからAI向け半導体事業を獲得するため、GoogleやAmazonと協議を進めている。EMIB-Tなどの新技術と大規模な投資により、インテルはパッケージング事業を数十億ドル規模の収益源にすることを目指している。

◇AI Chip Supply Chain Faces Packaging Bottleneck―U.S. chip makers still depend on Taiwan for final assembly, creating a major supply chain risk (4月9日付け National Today)
→高度なチップパッケージングは、需要の急増と生産能力がアジアに集中している現状から、AIサプライチェーンにおける大きなボトルネックになりつつある。米国企業は依然として台湾にチップを出荷している一方、インテルは拡大する市場機会を獲得するため、国内でのパッケージングを推進している。

◇Google expands partnership with Intel for AI chips (4月9日付け CNBC)
→1)*Googleは、既存のパートナーシップを拡大し、AIデータセンターの電力供給に複数世代のIntel製チップを採用することを表明した。
  *このインターネット大手は、約30年前のサーバーラック事業の黎明期から、長年にわたりIntel製プロセッサに依存してきた。
  *Intelの最新Xeon 6 CPUsは、AIのトレーニングおよび推論ワークロードを実行する。
 2)GoogleはIntelとのパートナーシップを拡大し、トレーニングおよび推論ワークロード向けに、AIデータセンターに複数世代のXeon 6 CPUsを導入する。この動きは、IntelのNVIDIAに対する優位性を強化するとともに、両社がインフラストラクチャ処理ユニット(IPU)分野での協業を推進するものである。

そして、新技術&新製品の現状および打ち上げである。

◇Rumor Claims Intel Coyote Cove P-Cores For Nova Lake CPUs Have Higher IPC, But Lower Clocks Than AMD’s Zen 6―Rumors: Intel Nova Lake to surpass AMD Zen 6 in IPC―Nova Lake vs Zen 6 Rumors: Intel Leads In IPC While AMD Leads In Clock Speeds (4月5日付け Wccftech)
→1)Intel Nova Lakeの性能とクロック周波数に関する噂がインターネット上で広まり始めており、IPC(Instructions Per Cycle:命令/サイクル)はAMD Zen 6よりも高いとされている。
  最新の噂はHXL氏(@9550pro)によるもので、IntelのCoyote CoveやAMDのZen 6といった次世代CPUアーキテクチャのIPCとクロック周波数に関する噂情報を投稿している。
 2)Coyote Cove P-Coreアーキテクチャを採用するIntelの次世代CPU、Nova Lakeは、Advanced Micro DevicesのZen 6よりも高い命令/サイクルを実現すると噂されている。しかし、クロック周波数ではZen 6が優位に立ち、最大6GHzに達する可能性があるとされている。IntelとAMDはともに、今年後半にそれぞれのプロセッサをリリースする予定である。

◇Intel Serpent Lake SoCs To Feature NVIDIA RTX GPU Tile, Next-Gen P-Core uArch is Copper Shark―Intel's Serpent Lake SoCs to integrate Nvidia's RTX GPU tile (4月6日付け Wccftech)
→*Intel Serpent Lake CPUsは、Intelのx86アーキテクチャの強みとNVIDIAのRTX GPUsを融合させる
 *Intel Serpent Lake CPUsは、NVIDIA RTX GPUタイルを初めて採用するCPUsになると予想されており、Copper Sharkは次世代Pコアアーキテクチャとして発表された。
  最近、Razer Lake-AXがAMDのHaloシリーズに対抗するIntel初のSoCsとなることが明らかになった。Razer LakeはNova Lakeの後継となるため、2027年から2028年頃に発売されると予想されているが、NVIDIA GPUタイルを採用するIntel初のSoCは、Serpent Lakeという形でずっと後に登場するよう。

◇Intel Foundry’s Latest Milestone Is The World’s Thinnest GaN Chiplet, Measuring Just 19µm―Intel Foundry creates thinnest GaN chiplet at 19 micrometers (4月9日付け Wccftech)
→*インテルファウンドリー、世界最薄のGaNチップレットで次世代データセンターとネットワークを強化
 *インテルファウンドリーは、わずか19µmという世界最薄のGaNチップレットの開発に成功し、新たなマイルストーンを達成した。
  インテルは、この最新技術である世界最薄のGaNチップレットによって、小型ながら高い性能、速度、および効率性を実現した。インテルファウンドリーの研究チームは、300mm GaNオンシリコンウェハを用いて製造された、厚さわずか19µmの画期的なGaNチップレットをデモ展示し、次世代半導体の実現に向けた技術革新を披露した。

◇Foundry Achieves Breakthrough with World’s Thinnest GaN Chiplet Technology (4月10日付け 3D InCites・IMAPS Content Platform)
→*インテルファウンドリは、300mmのGaNオンシリコンウェハから切り出した、わずか19µm厚のベースシリコン層を持つ、世界最薄のGaNチップレットを開発した。
 *研究者らは、GaNトランジスタと従来のシリコンベースのデジタル回路を単一チップ上に集積することに成功し、複雑な演算機能を別途チップレットを用意することなく、パワーチップレットに直接組み込むことが可能になった。
 *厳密な試験により、この新しいGaNチップレット技術は、実用化に必要な信頼性基準を満たす有望な候補であることが確認された。これにより、データセンターから次世代5Gおよび6G通信まで、幅広い用途において、より小型で高効率な電子機器の実現が可能になる。

米国の国内半導体製造の強化を図る取り組みの中核であり、今後の展開&推移に引き続き注目するところである。


激動の世界の概況について、以下日々の政治経済の動きの記事からの抽出であり、発信日で示している。

中東情勢が引き続き大きく影を落とす以下今週の推移である。

□4月6日(月)

アジア経済への影響である。

◇アジア経済、中東情勢悪化なら4年ぶり低成長 26年の成長率4%見通し (日経 電子版 11:30)
→日中韓と東南アジア諸国連合(ASEAN)の経済を分析する国際機関「ASEANプラス3マクロ経済調査事務局(AMRO)」は6日、2026年の成長率が4%になるとの見通しを公表した。米関税政策などの影響で25年より減速する。
 25年は4.3%だった。米国とイスラエルによるイラン攻撃を受けてガソリン価格が高騰し、アジア新興国では経済活動に大きな影響が出ている。

□4月7日(火)

持続力に不安を伴いながらの上げ下げの推移、今週の米国株式市場である。

◇NYダウ反発、165ドル高 米イランの停戦協議の進展期待 (日経 電子版 05:32)
→6日の米株式市場でダウ工業株30種平均は反発し、終値は前営業日の2日に比べ165ドル21セント(0.35%)高の4万6669ドル88セントだった。米国とイランの停戦に向けた協議が進むとの観測から、買いが優勢だった。協議を巡る不透明感は根強く、上値は限定的だった。

□4月8日(水)

◇NYダウが反落、85ドル安 イラン停戦交渉を巡り売り買い交錯 (日経 電子版 06:07)
→7日の米株式市場でダウ工業株30種平均は前日比85ドル42セント(0.18%)安の4万6584ドル46セントで取引を終えた。トランプ米大統領が設定したイランとの停戦交渉期限(米東部時間の7日午後8時)が迫るなか、楽観論と悲観論が入り乱れ、売り買いも交錯した。ダウ平均の下げ幅は午前に一時400ドルを超えた。

米国とイランの交渉に注目が集まる現時点である。

◇米・イランが即時停戦合意、仲介国パキスタン発表 恒久解決へ10日協議 (日経 電子版 12:57)
→パキスタン政府は8日、イランと米国が即時停戦に合意したと発表した。停戦は即日発効する。パキスタンは両国の代表団を10日に首都イスラマバードに招き、紛争の恒久的な解決を目指した協議をする予定だ。シャリフ首相がXで明らかにした。
 シャリフ氏はイランと米国などが、イスラエルが攻撃を続けるレバノンを含む「あらゆる地域で即時かつ全面的な停戦に合意した」と投稿。「数日のうちにさらなる朗報を伝えられることを楽しみにしている」と強調した。

□4月9日(木)

◇NYダウ1325ドル高 短期勢中心、「もろい休戦」で持続力に不安―ほぼ「寄り付き天井」、上値重く (日経 電子版 04:46)
→急転直下の米イラン停戦から一夜明け、8日の米株式相場は大幅反発した。買いのけん引役はヘッジファンドなど短期筋との見方もある。両国の合意には既にほころびが出始め、株高持続の前提となる「ホルムズ海峡の正常化」には懐疑的な投資家が多い。
 ダウ工業株30種平均は寄り付き後に前日比1400ドル高の4万8000ドル超えと急伸した。

□4月10日(金)

◇米GDP0.5%増に下方修正、25年10〜12月 政府閉鎖で急減速 (日経 電子版 03:54)
→米商務省が9日発表した2025年10〜12月期の実質国内総生産(GDP)の確定値は季節要因をならした前期比年率で0.5%増えた。政府閉鎖などの影響で、7〜9月期の4.4%増から急減速した。
 2月に公表した速報値は1.4%増、3月発表の改定値は0.7%増だった。

◇NYダウ、続伸し275ドル高 イスラエルとレバノンの和平協議報道で (日経 電子版 05:40)
→9日の米株式市場でダウ工業株30種平均は続伸し、終値は前日比275ドル88セント(0.57%)高の4万8185ドル80セントだった。イスラエルとレバノンが和平協議を始めると伝わったことで買いが入った。

台湾の野党、国民党と習近平国家主席の接触である。

◇台湾・国民党主席、習近平氏の台湾招待に意欲 国共トップ会談で (日経 電子版 15:52)
→台湾野党・国民党の鄭麗文主席は10日、北京の人民大会堂で中国共産党の習近平総書記と会談した。鄭氏は「将来私が主人となり、台湾で習総書記らを迎える機会があることを心から願う」と述べた。

□4月11日(土)

◇NYダウ反落269ドル安、停戦合意後の買い続かず 消費も懸念材料 (日経 電子版 05:51)
→10日の米株式市場でダウ工業株30種平均は前日比269ドル安の4万7916ドルと反落して取引を終えた。多くの機関投資家が運用指標とするS&P500種株価指数も下げた。米国とイランの停戦合意を受けた急伸後で投資家の間では持ち高を調整する売りが出た。


≪市場実態PickUp≫

【Gartnerの半導体売上高予測】

米国・SIAより今年の半導体販売高が1兆ドル($1 Trillion)を超える予測が発表されたばかりであるが、Gartnerからは$1.3 Trillion超とのあらわし方、以下の通りである。AI半導体およびメモリ価格の上昇が引っ張る見方である。

◇Gartner Forecasts Worldwide Semiconductor Revenue to Exceed $1.3 Trillion in 2026 (4月8日付け Gartner)
→1)*半導体売上高は2026年に64%増加
  *DRAM価格は2026年に125%上昇、ストレージ危機は2027年まで続く見込み
ビジネスおよびテクノロジー分析企業であるガートナー社によると、世界の半導体売上高は2026年に1兆3000億ドルを超え、過去20年間で最高の成長率を示すと予測されている。
   ※世界半導体売上げ予測 2025-2027 (金額:USB$)


2025
2026
2027
Memory 
216.3
633.3
748.1
Nonmemory 
589.0
686.9
806.4
Total Market 
805.3
1,320.2
1,554.5

[Source: Gartner (April 2026)]

 2)世界の半導体売上高は2026年に$1.3T(1兆3000億ドル)を突破し、AI需要とメモリ価格の高騰を背景に、20年連続でピーク成長を遂げる見込みだ。メモリ価格は3倍に跳ね上がり、AIチップが売上高の30%を占め、ハイパースケーラーによるAIインフラへの投資は50%増加すると予測されている。

◇Chip revenue to reach record $1.3T in 2026, including sensors―Gartner: Global semiconductor revenue to hit $1.3T (4月9日付け Fierce Sensors)
→ガートナーのレポートによると、世界の半導体売上高は今年$1.3 trillionを超え、過去20年間で最高の成長率を記録する見込みだ。メモリ売上高は「メモリインフレ」の中で3倍になると予測されており、DRAMとNANDフラッシュの価格はそれぞれ125%と234%上昇する見込みだ。AI半導体は、ハイパースケーラーによるAIインフラへの積極的な投資に牽引され、総売上高の30%を占める見込みだ。

◇Semi revenues to grow 64% this year says Gartner (4月10日付け Electronics Weekly (UK))
→ガートナーによると、世界の半導体売上高は2026年には$1.3 trillionを超え、過去20年間で最高の成長率を示すと予測されている。


【米国の規制法案】

米国の中国に対する半導体輸出規制強化の動きが以下の通り見られている。
煽りを受けて、ASMLの株価が下落している。今後に注目である。

◇ASML shares fall after proposed U.S. export curbs target an already fragile China market (4月7日付け CNBC)
→1)*米議会が中国に対する半導体輸出規制をさらに強化する法案を提出したことを受け、ASMLの株価は下落した。
  *この規制は、ASMLの深紫外(DUV)リソグラフィ装置を対象とするもので、中国企業はこれまでこの装置を入手できていた。
  *ASMLに対するさらなる規制は、既に低迷している中国事業に悪影響を与える可能性がある。
 2)米議会が中国の半導体製造装置へのアクセスを規制する輸出規制強化案を提出したことを受け、ASMLの株価は下落した。DUV装置の輸出禁止は、同社の主要な収益源を脅かし、売上高の変動や中国事業への圧力に対する懸念を高めている。

◇Washington pushes allies to match tougher China chip curbs under new bill (4月8日付け South China Morning Post)
→1)米国の新法案、日本とオランダに対中国半導体輸出規制への連携を迫る。世界的なサプライチェーンへの影響も懸念される。
 2)米国の議員らは、中国についての半導体輸出規制を強化する「Match Act(マッチ法案)」を推進し、同盟国に対し150日以内に連携するよう求めている。超党派で提出されたこの法案が可決されれば、半導体製造装置の輸出禁止範囲が拡大し、世界的なサプライチェーンが混乱し、米中間の技術摩擦が激化する可能性がある。


【Apple関連】

AppleのAI対応に出遅れ感が否めないが、自社開発のAIサーバー半導体など以下の通りである。

◇Apple approves drivers that let AMD and Nvidia eGPUs run on Mac - software designed for AI, though, and not built for gaming―Apple greenlights AMD, Nvidia eGPU drivers for Apple silicon―Gamers are disappointed. (4月5日付け Tom's Hardware)
→Appleは、AMD社製およびNvidia社製の外部GPUs向けドライバを承認し、これらのGPUsがAppleシリコン搭載デバイス上でAI処理に利用できるようになった。これにより、System Integrity Protection(SIP:システム整合性保護)を無効にするなどの回避策が不要になる。

◇[News] Apple Reportedly Sources Glass Substrate Samples Directly, Signaling Further In-House AI Server Chip Push (4月8日付け TrendForce)
→Appleは、自社開発のAIサーバーチップの開発を推進しており、サムスン電機のガラス基板を評価するとともに、Broadcomの「Baltra」チップで提携している。この動きは、パッケージングの内製化、GPUへの依存度低減、そして2027年までのAIデータセンターの規模拡大という長期計画を示唆している。


【TSMC関連】

グローバル半導体エコシステムの中核はやはりTSMCという現時点、本年第一四半期も前年比35%増と大幅な売上高の伸びとなっている。AI半導体需要牽引が続く現状である。

◇TSMC’s Chipmaking Edge Is So Strong That Competitors Are Fighting to Work with Its Supply Chain Partners, Viewing Them as a Winning Bet (4月9日付け wccftech)
→TSMCは、厳格なサプライヤー基準を徹底することで半導体業界における優位性を強化しており、ライバルのインテル、ラピダス、およびイーロン・マスク氏率いるテラファブは、台湾のパートナー企業を調達し、実績のあるサプライチェーンを活用することで、TSMCのやり方を模倣しようとしている。一方、台湾は依然として重要なグローバルチップエコシステムの中心地である。

◇台湾TSMC、予想超える35%増収-中東危機でもAI半導体需要の持続示唆- 1-3月の売上高は1兆1300億台湾ドル―予想平均1兆1200億台湾ドル―3月単月の売上高は前年同月比45%増加-需要後退懸念緩和も (4月10日付け ブルームバーグ 日本語版)
→TSMCの1-3月(第1四半期)売上高が、前年同期比35%増加した。中東での戦争開始から数週間を経ても世界的なAI半導体需要が維持されていることを示唆した。同社は米国のエヌビディアやアップルに半導体を供給している。
 TSMCが10日発表した資料によれば、1-3月の売上高は1兆1300億台湾ドル(約5兆6600億円)と、アナリストの予想平均(1兆1200億台湾ドル)を上回った。3月単月の売上高は前年同月比45%増えた。

◇TSMC's first-quarter revenue surges as AI interest propels sales beyond market forecasts―TSMC smashes records with massive 45% revenue surge in March―TSMC's Q1 revenue soars on AI demand, tops forecast (4月10日付け DigiTimes)
→テクノロジー大手、TSMCは、2026年3月期の驚異的な売上高報告を発表し、半導体業界の著しい成長加速を示唆した。


【中国半導体業過関連】

自立化を目指す中、中国半導体業界各社の堅調な伸びっぷりがそれぞれに伝わりくる以下の内容である。関連含め示している。

◇Chinese chip firms hit record high revenue driven by the AI boom and U.S. curbs (4月3日付け CNBC)
→1)*SMICから華虹に至るまで、中国の半導体企業は2025年の売上高が過去最高を記録したと発表しており、アナリストはさらなる成長を予測している。
  *これは、AI関連半導体に対する莫大な需要に支えられている。
  *しかし、ここ数年の米国の輸出規制は中国の自給自足への取り組みを加速させ、それが今、国内半導体産業の成長という形で実を結びつつある。
 2)中国の半導体企業は、AI需要、メモリ不足、そして自給自足への取り組みを加速させる米国の輸出規制を背景に、過去最高の売上高を記録した。SMIC、華虹、CXMTは急成長を遂げているものの、各社は依然として世界のリーダー企業に後れを取っており、アナリストは過剰生産能力と技術格差について警告している。

◇Semiconductor, AI talent race heats up as Taiwan tightens crackdown on alleged poaching (4月6日付け South China Morning Post)
→1)今回の捜査は、台湾が中国本土からの人材引き抜きを取り締まる一環であり、台湾経済情報局によると、2020年以降、100件の事例が処理されている。
 2)中国はAI開発への野望を後押しするため、半導体人材の獲得競争を強化しており、これを受けて台湾は中国本土企業による違法な人材採用の捜査に乗り出している。当局は、両国が将来の技術的優位性を確立するために不可欠な熟練労働者を巡って激しい競争を繰り広げる中、「静かなる技術戦争」の勃発を警告している。

◇Chinese memory giants to gain market share via lower prices, expanded capacity: analysts (4月7日付け South China Morning Post)
→1)YMTCやCXMTといった企業は、コスト優位性と補助金を活用し、NANDフラッシュメモリとDRAMの生産規模を拡大して、世界の主要企業に挑戦している。
 2)中国のメモリチップメーカーは、AIブームの中で生産能力を拡大し、価格面での優位性を活かして市場シェアを伸ばしている。YMTCとCXMTは、需要、補助金、および在庫積み増しによって価格が上昇する一方で、供給の伸びが鈍化しているため、生産量と投資を拡大している。

◇Alibaba launches data center with 10,000 of its own chips as China ramps up AI push―Alibaba, China Telecom open AI-focused data center (4月8日付け CNBC)
→1)*アリババと中国電信は、AIのトレーニングと推論を目的としたデータセンターを中国に開設しました。
  *このデータセンターは、アリババが独自開発したZhenwu AI半導体によって稼働している。
  *米国が中国から主要技術を締め出そうとする中、中国企業は国産チップの代替品開発を加速させている。
 2)アリババと中国電信は、中国の韶関市にデータセンターを開設した。このデータセンターは、アリババのZhenwu AIチップ1万個を搭載し、将来的には10万個まで拡張する計画である。このデータセンターは、数千億ものパラメータを持つAIモデルをサポートしており、米国の制裁措置の中で、中国がAIと半導体技術の自給自足を目指す取り組みの一環である。
 3)アリババと中国電信は、大規模なAIモデルを実行するために、Zhenwu(振武)製チップを搭載した中国南部データセンターを開設した。このプロジェクトは、アリババがAI開発、リーダーシップへの注力、およびクラウド事業の拡大を加速させる中で、中国の自給自足への取り組みを強調するものだ。

◇No Fear to Fail: Secrets Behind Southchip’s Rapid Growth (4月10日付け EE Times)
→*2023年の上場以来、サウスチップ(上海に本社を置く半導体メーカーで、正式名称はSouthchip Semiconductor Technology Co., Ltd.。主にアナログ系・電源系ICを開発。)は中核となる半導体技術と自動車・産業分野への事業多角化を原動力として、急速な成長を遂げてきた。
 *2023年のIPO以来、サウスチップは12四半期連続で前年同期比増収を達成し、2025年には中国のアナログチップ業界で年間売上高上位3社にランクインした。ハイエンド家電分野におけるリーディングカンパニーとしての地位に加え、自動車および産業用コンピューティング市場においても目覚ましい進歩を遂げている。
  競争の激しいグローバル市場において、この若い企業がどのようにしてこれほどの急速な成長を遂げたのか?


【メモリ半導体関連】

AI需要向けが引っ張って不足&価格高騰が続いて当面抜け出せそうにない様相となっているが、以下現下の関連する内容である。

◇AI Is Insatiable ―And it’s got the munchies for memory chips (4月6日付け IEEE Spectrum)
→AIハイパースケーラーの台頭により、DRAMとHBMの深刻な不足が生じている。NVIDIAやGoogleといった企業がデータセンター向けにメモリ需要を拡大しているためだ。この需要急増はサプライチェーンに負担をかけ、コスト上昇を招き、大手メーカーの生産拡大までハードウェアの再設計を余儀なくされる可能性がある。

◇AI Demand for HBM Chips Doubles Prices, Exposes Supply Chain Fragility (4月6日付け Whalesbook)
→AI対応HBMチップへの需要急増により、メーカー各社が従来製品から転換する中で、メモリ価格は50〜100%上昇している。地政学的緊張と集中したサプライチェーンはリスクを高め、供給不足、価格の歪み、そして持続的な価格変動を引き起こしている。

◇Samsung shares rise after profit seen jumping 8-fold on AI chip boom (4月7日付け CNBC)
→1)*サムスンはAIチップ需要の高まりによる価格上昇を受け、四半期利益が過去最高を記録するとの見通しを示した。
  *暫定的な業績見通しでは、売上高と利益が市場予想を上回った。
  *この見通しは、サムスンがHBM競争で巻き返しを図っていることを示唆している。
 2)サムスン電子の株価は、AIメモリチップ需要の急増に牽引され、四半期利益が過去最高を記録するとの見通しを発表したことを受けて上昇した。力強い売上高の伸びと供給逼迫が業績見通しを押し上げたものの、中東情勢の緊迫化により、今年後半に半導体材料の供給が途絶える可能性が懸念されている。

◇Semiconductor Supercycle to Extend to 2027, Boosting Samsung, SK Hynix (4月9日付け The Chosun)
→1)サムスンは36万ウォン、SKハイニックスは180万ウォンを目標に、専門家はAIバブルのリスクにもかかわらず2027年のブームを予測
 2)サムスン電子とSKハイニックスの株価は、地政学的緊張の緩和と好調な業績が半導体スーパーサイクルを後押ししたことで急騰した。アナリストは、過剰投資、生産能力拡大、そしてデータセンターの遅延といったリスクがあるにもかかわらず、AI需要の持続と株価の上昇を予想している。

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